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年末年始の国際線予約動向:ANA・JALで明暗くっきり。好調な欧米・ハワイ路線と、回復が遅れる中国線の実情

2023年から2024年にかけての年末年始、多くの人が海外で過ごしました。新型コロナウイルスの水際対策が完全撤廃されてから初めての年末年始ということもあり、日本の航空大手ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)の国際線予約は、全体として力強い回復を見せています。しかし、その内訳を詳しく見ると、路線によって需要の回復ペースに大きな差が生まれ、「明暗」が分かれる結果となりました。

本記事では、発表された予約状況のデータを基に、その背景と今後の旅行動向への影響を解説します。

目次

全体では大幅回復、しかし路線ごとに濃淡

ANAとJALが発表した年末年始期間(2023年12月28日~2024年1月3日)の予約状況によると、両社ともに国際線の予約数は前年を大きく上回りました。

  • ANA: 予約数 約34万6,000人(前年比166.4%)、予約率 86.8%
  • JAL: 予約数 約31万7,000人(前年比140.2%)、予約率 86.6%

両社とも予約率は85%を超え、コロナ禍以前の水準に迫る活況ぶりです。特に、長年人気を誇るリゾート地や欧米への長距離路線が需要を牽引しました。

絶好調のハワイ・欧米路線

記録的な円安が続く中でも、ハワイ、北米、ヨーロッパといった長距離路線の人気は健在でした。

  • ハワイ線: ANAの予約率は91.8%、JALは90.5%と、両社ともに90%を超える非常に高い水準を記録。行動制限のない年末年始を暖かい気候の海外で過ごしたいという根強い需要がうかがえます。
  • 欧米線: 欧州線や北米線も、ANA・JALともに88%~89%台の高い予約率となり、ビジネス・観光両面での回復が顕著です。

これらの路線が好調な背景には、パンデミックを経て高まった「リベンジ消費」や、久しぶりの海外旅行への強い意欲があると考えられます。

回復の足枷となった中国線

一方で、全体の好調さとは対照的に、回復の遅れが目立ったのが中国線です。

JALが発表した方面別データでは、中国線の予約率は71.3%と、他の路線が軒並み85%以上である中で際立って低い数値となりました。前年比での予約数こそ約3倍(296.8%)と大きく伸びていますが、これは前年がゼロコロナ政策下で極端に需要が低かった反動であり、本格的な回復には至っていないことを示しています。

ANAは中国線をアジア路線として合算して発表していますが、JALと同様の傾向にあると見られています。特にANAはコロナ禍以前、JALよりも多くの中国路線を運航していたため、需要回復の遅れが事業計画に与える影響はより大きい可能性があります。この点が、両社の「明暗」を分ける一因となっています。

なぜ中国線の回復は遅れているのか?

中国路線の需要が伸び悩む背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。

  • 処理水問題の影響: 2023年8月の福島第一原発の処理水放出開始以降、中国では訪日旅行のキャンセルが相次ぎ、日本への団体旅行商品の販売も一部で停止されるなど、旅行ムードに冷や水が浴びせられました。この影響が個人旅行にも波及し、回復の足枷となっているとみられます。
  • 中国経済の減速: 中国国内の景気減速により、中間層の海外旅行意欲そのものが以前より低下しているとの指摘もあります。
  • 航空便の回復ペース: 日中間の航空便は、他の国際線に比べて増便のペースが緩やかで、コロナ禍以前の便数にはまだ遠い状況です。

今後の予測と旅行者への影響

今回の年末年始の動向は、今後の国際線戦略や私たちの旅行計画にどのような影響を与えるのでしょうか。

  • 航空会社の戦略転換: 中国線の需要回復が当面見込めない場合、航空会社は中国路線を減便し、好調な北米線や成長著しい東南アジア路線などへ機材や人員を振り向ける動きを加速させる可能性があります。これにより、旅行先の選択肢や航空券の価格にも変化が生まれるでしょう。
  • 旅行先の多様化: これまで人気だった中国への旅行需要が、同じアジアの台湾、韓国、タイ、ベトナムといった近隣諸国へシフトする流れがより強まると予測されます。これらの地域への増便やキャンペーンが期待できるかもしれません。
  • 旅行者への影響: 人気のハワイや欧米路線は、今後も高い需要が続くことが予想され、航空券は高値で推移する可能性が高いです。これらの方面への旅行を計画する際は、早期の予約がより重要になるでしょう。一方で、中国への渡航を検討している場合は、比較的航空券が確保しやすく、価格も落ち着いている状況が続く可能性があります。

全体としては力強い回復を見せた年末年始の国際線ですが、その内実には地政学リスクや各国の経済状況が色濃く反映される結果となりました。今後の航空業界の動向と、それに伴う旅行トレンドの変化に注目が集まります。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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