これまで海外旅行先の王道として根強い人気を誇ってきたアメリカ。しかし今、世界の旅行トレンドに大きな地殻変動が起きています。為替の変動や旅行者の価値観の変化を背景に、アメリカに代わる新たなデスティネーションとして7つの国が注目を集め、特にヨーロッパ観光が世界的に人気を再燃させています。
simvoyageでは、この最新トレンドの背景と、今後の国際旅行に与える影響を深掘りします。
なぜ今、アメリカ以外の国が選ばれるのか？
長年にわたり、ニューヨークの摩天楼やカリフォルニアの広大な自然は多くの旅行者を魅了してきました。しかし、近年のいくつかの要因が、旅行者の目を他の地域へと向けさせています。
ドル高による旅行コストの増大
最も大きな要因の一つが、米ドルの高騰です。多くの国の通貨に対してドル高が続いているため、アメリカでの宿泊、食事、アクティビティにかかる費用が相対的に割高になっています。同じ予算であれば、ヨーロッパや他の地域でより長く、より豊かな体験ができると考える旅行者が増えているのです。
旅行スタイルの多様化と「本物」志向の高まり
パンデミックを経て、旅行者の価値観は大きく変化しました。単なる観光名所巡りだけでなく、その土地ならではの文化や歴史に深く触れる「本物の体験」を求める傾向が強まっています。数千年の歴史が息づくヨーロッパの街並みや、多様な文化が混じり合う独特の雰囲気は、こうしたニーズに完璧に応えるものとして再評価されています。
世界が注目する7つのデスティネーションと欧州の魅力
アメリカの代替旅行先として特に注目されているのが、ヨーロッパの国々です。中でも、ポルトガル、ギリシャ、ハンガリー、チェコ、ポーランド、クロアチア、スロベニアといった国々が人気を集めています。これらの国々には共通した魅力があります。
圧倒的なコストパフォーマンス
西ヨーロッパの主要な観光大国に比べ、これらの国々は比較的物価が安く、旅行者は限られた予算内で質の高い宿泊施設や美味しい食事を楽しむことができます。
豊かな歴史と文化遺産
古代遺跡から中世の城、美しい旧市街まで、これらの国々はユネスコ世界遺産を数多く擁し、歴史好きにはたまらない魅力に溢れています。
安全性とアクセスの良さ
比較的治安が良く、ヨーロッパ内の鉄道網や格安航空会社（LCC）を利用すれば、周遊旅行も容易です。多様な文化圏を短期間で体験できるのも大きな利点です。
数字で見るヨーロッパ観光の回復
この人気を裏付けるように、国連世界観光機関（UNWTO）のデータによると、2023年にヨーロッパを訪れた国際観光客数はパンデミック前の94%まで回復しました。これは他のどの地域よりも早い回復ペースであり、ヨーロッパが世界の観光市場を力強く牽引していることを示しています。特に、南地中海ヨーロッパへの需要はパンデミック前を上回る勢いを見せており、その人気は今後も続くと予想されています。
予測される未来と国際旅行への影響
このトレンドは、今後の国際旅行にいくつかの重要な変化をもたらすでしょう。
旅行先の分散とオーバーツーリズムの緩和
これまでパリ、ローマ、バルセロナといった一部の有名都市に集中していた観光客が、中東欧や南欧の新たなデスティネーションへと分散していく可能性があります。これは、人気都市のオーバーツーリズム問題を緩和する一方で、新たに注目される地域にとっては、持続可能な観光インフラの整備が急務となることを意味します。
アメリカ観光業界の戦略転換
国際観光客の減少に直面するアメリカの観光業界は、新たな魅力の発信を迫られるでしょう。ドル高の影響を受けにくい富裕層向けのラグジュアリー体験や、広大な国立公園を活かしたアドベンチャートラベルなど、よりターゲットを絞ったプロモーションが強化される可能性があります。
旅行者にとっての新たな選択肢
私たち旅行者にとっては、選択肢が広がる絶好の機会です。これまで候補に挙がらなかった国々のユニークな文化や絶景に触れることで、旅の体験はより一層豊かなものになるでしょう。
世界の旅行地図は、今まさに塗り替えられようとしています。次の休暇の計画を立てる際には、アメリカだけでなく、新たな魅力に満ちたヨーロッパの国々にも目を向けてみてはいかがでしょうか。そこには、まだ見ぬ発見と感動が待っているはずです。
