インドのフラッグキャリアであるエア・インディアは、首都デリーのインディラ・ガンディー国際空港(DEL)において、国内線の一部をターミナル2(T2)へ移転する計画を発表しました。この変更は、同社の急成長とデリー空港のハブ機能強化戦略の一環であり、旅行者にも大きな影響を与える可能性があります。
移転の概要:国内線60便がT2へ
エア・インディアの発表によると、デリー空港を発着する1日あたり約60便の国内線が、現在のターミナル3(T3)からターミナル2(T2)へ移転します。この変更は、特定の路線を対象に段階的に実施される予定です。
一方で、同社のすべての国際線は、引き続き最新鋭の設備を誇るターミナル3(T3)で運航されます。また、T3を発着する一部の主要国内線も維持されるため、エア・インディアを利用する国内線旅客は、搭乗前に自身の利用ターミナルを正確に確認することが不可欠となります。
背景:なぜ今、ターミナルを移転するのか?
今回のターミナル移転の背景には、いくつかの重要な要因が絡み合っています。
急成長するエア・インディアとデリー空港の混雑
タタ・グループ傘下で再建を進めるエア・インディアは、エアバスとボーイングから合計470機という歴史的な規模の航空機を発注するなど、急速な路線網拡大を進めています。この成長に伴い、ハブ空港であるデリー空港での発着便数が急増し、T3のキャパシティが限界に近づいていました。
インディラ・ガンディー国際空港は、2023年度には約7,220万人の旅客が利用した南アジア最大の空港です。特にT3は国際線と国内線の乗り継ぎ拠点として常に混雑しており、オペレーションの効率化が喫緊の課題となっていました。今回のT2活用は、この混雑を緩和し、よりスムーズな運航を実現するための戦略的な一手と言えます。
ハブ機能の最適化
エア・インディアは、デリー空港を世界有数のメガハブ空港へと発展させる構想を描いています。そのためには、ターミナルごとの役割を明確化し、リソースを最適化する必要があります。
国際線と主要国内線をT3に集約し、その他の国内線をT2へ移管することで、乗り継ぎの利便性を確保しつつ、空港全体のオペレーションを効率化する狙いがあります。これは、現在進められているビスタラ航空との合併を見据えた、グループ全体での空港運用戦略の一環でもあります。
旅行者への影響と注意点
この変更は、特にデリー空港を利用する旅行者にとって、事前の準備と注意を要するものです。
出発ターミナルの事前確認は必須
今後、デリーからエア・インディアの国内線を利用する際は、Eチケットや航空会社の公式サイト、空港のフライト情報案内などで、出発ターミナルがT2なのかT3なのかを必ず確認してください。誤ったターミナルへ向かうと、移動に時間を要し、フライトに乗り遅れるリスクがあります。
国内線と国際線の乗り継ぎ
T2に到着する国内線からT3の国際線へ乗り継ぐ場合、またはその逆の場合、ターミナル間の移動が必要になります。デリー空港では、T2とT3を結ぶ無料のシャトルバスが運行されていますが、移動には30分程度の時間を見込んでおくのが賢明です。手荷物の預け直しなども考慮し、乗り継ぎ時間には十分な余裕を持つようにしましょう。
予測される未来:インド航空市場のダイナミズム
今回のターミナル移転は、単なる一航空会社のオペレーション変更にとどまらず、成長著しいインド航空市場の未来を象徴する出来事です。
インドの航空旅客市場は、中間層の拡大と経済成長を背景に、世界で最も急速に成長している市場の一つです。国際航空運送協会(IATA)は、インドが2030年代初頭にはアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の航空市場になると予測しています。
この旺盛な需要に応えるため、デリー首都圏ではノイダ国際空港の建設も進められており、空港インフラの拡張が急ピッチで進んでいます。エア・インディアの今回の動きは、こうした市場拡大を見据え、競争優位を確立するための戦略的な布石です。
今後、インドの航空会社間の競争はさらに激化し、空港インフラも進化を続けるでしょう。私たち旅行者にとっては、より多くの選択肢と改善されたサービスが期待できる一方で、変化に対応するための情報収集がますます重要になっていきます。

