2025年夏、カナダ発「家族・多世代旅行」がブームに！航空業界への影響と今後の展望

2025年8月4日

2025年の夏、カナダの旅行市場で新たなトレンドが鮮明になっています。それは、親子孫の三世代や親戚同士で旅をする「家族・多世代旅行」の急増です。この動きは単なる旅行スタイルの変化に留まらず、航空券の予約パターンから空港サービスに至るまで、航空業界全体に大きな影響を及ぼし始めています。

simvoyage国際旅行ニュースでは、このトレンドの背景と、今後の旅行業界や旅行者に与える影響について深掘りします。

なぜ今、「家族・多世代旅行」が注目されるのか

このブームの背景には、いくつかの社会的・経済的要因が複雑に絡み合っています。

ポストコロナ時代の価値観の変化

新型コロナウイルスのパンデミックを経て、多くの人々が家族と過ごす時間のかけがえのなさを再認識しました。長い間の移動制限や社会的距離の確保は、離れて暮らす家族との再会や、共に思い出を作る機会への渇望を強めました。この価値観の変化が、世代を超えて一緒に旅をしようという動きを力強く後押ししています。

経済的な合理性

世界的なインフレと生活費の上昇は、旅行費用にも影響を与えています。しかし、多世代で旅行することで、宿泊費や交通費といったコストを分担できるというメリットが生まれます。例えば、祖父母が経済的に余裕のある場合、子どもや孫の旅費を援助することで、よりグレードの高い宿泊施設や長期間の滞在が可能になります。カナダ国内のある調査では、多世代旅行を計画する理由として「費用を分担できるから」と回答した人が3割を超えたというデータもあります。

ベビーブーマー世代のライフステージの変化

カナダでは高齢化が進行しており、カナダ統計局によると65歳以上の人口はすでに全体の約19%（2023年時点）を占めています。特に、退職して時間的・経済的な余裕が生まれたベビーブーマー世代（1946年〜1964年生まれ）が、子どもや孫との思い出作りを積極的に求めていることが、このトレンドの大きな牽引力となっています。彼らにとって、旅行は家族の絆を深めるための重要な投資と捉えられています。

航空業界に広がる変化の波

家族・多世代旅行の急増は、航空業界に具体的な変化を要求しています。

予約パターンの変化と大型機材の需要増

最も顕著な変化は、予約パターンです。個人やカップルではなく、4人から10人といったグループでの予約が大幅に増加しています。これにより、航空会社は隣接した座席を確保するためのシステム改修や、グループ向けの割引運賃の設定を迫られています。

一部の航空会社では、2025年夏のカナダ発着路線における4名以上のグループ予約が、前年同期比で20%以上増加したとの報告もあります。この需要に応えるため、特にカリブ海のリゾート地やフロリダのテーマパークなど、家族に人気のデスティネーションへ向かう路線では、ボーイング777やエアバスA350といった座席数の多い大型機材（ワイドボディ機）の投入が増加傾向にあります。

空港・機内サービスの再構築

大人数のグループ、特に小さな子どもや高齢者が含まれる旅行者に対応するため、空港や機内でのサービスも見直しが進んでいます。

空港での対応: ファミリー向けの優先搭乗レーンの拡充や、ベビーカーをゲートまで利用できるサービスの徹底が求められています。また、複数の世代が快適に過ごせるよう、キッズスペースと静かな休憩エリアを両立させた空港ラウンジの需要も高まっています。

機内サービスの多様化: 機内食では、アレルギー対応食や子ども向けメニューに加え、高齢者向けの柔らかく消化しやすい食事の選択肢が重要視されています。機内エンターテインメントも、最新のハリウッド映画から子ども向けアニメ、往年の名作まで、あらゆる世代が楽しめるコンテンツの充実が競争力の鍵となっています。

今後の予測と旅行者へのアドバイス

このトレンドは一過性のものではなく、今後も旅行市場の主流の一つとして定着していくと予測されます。

旅行商品とデスティネーションの未来

旅行会社は、3世代がそれぞれ楽しめるアクティビティを組み込んだパッケージツアーや、キッチン付きのコンドミニアム、ヴィラといった大型宿泊施設の提供を強化するでしょう。デスティネーションとしては、カナダ国内のバンフ国立公園のような大自然から、オールインクルーシブのリゾートが充実するメキシコのカンクン、クルーズ旅行など、幅広い年齢層が満足できる場所の人気がさらに高まると見られています。