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    グアムの魂を巡る旅 – 首都ハガニャ、歴史と文化が織りなす奥深き魅力のすべて

    きらめくターコイズブルーの海、どこまでも続く白い砂浜、陽気なショッピングストリート。多くの人がグアムと聞いて思い浮かべるのは、きっとタモン地区の華やかな光景でしょう。しかし、その喧騒からほんの少し南へ車を走らせると、グアムが持つもうひとつの、そして真実の顔が現れます。それが、グアムの首都、ハガニャ(Hagåtña)です。

    ここは、グアムの政治・行政・文化の中心地。スペイン統治時代から400年以上にわたり、この島の歴史の舞台であり続けました。豪華なリゾートホテルやブランドショップはありません。その代わり、街の至るところに刻まれた歴史の傷跡、チャモロ文化の誇り、そしてローカルの人々の穏やかな日常が息づいています。

    ハガニャを歩くことは、グアムという島の物語のページを、一枚一枚ゆっくりと、自分の足でめくっていくような体験です。それは、ビーチで過ごすだけでは決して味わうことのできない、深く、そして心に残る旅。この記事では、プロのトラベルライターである私が、ハガニャの魅力を余すところなく、徹底的にご案内します。歴史散策から絶景スポット、ローカルグルメまで、あなたの知らないグアムが、ここにあります。さあ、グアムの魂に触れる旅へ、一緒に出かけましょう。

    目次

    ハガニャとは? – グアムの魂に触れる場所

    グアムを訪れる旅行者のほとんどが滞在するタモン地区が「観光の顔」だとすれば、ハガニャは「グアムの心臓部」と言えるでしょう。グアム政府の主要な機関が集まる行政の中心地であり、島の歴史と文化が最も色濃く残る場所。それがハガニャです。

    タモンのメインストリート、ホテルロードが観光客で賑わい、夜遅くまでネオンが輝くのとは対照的に、ハガニャの街は落ち着いた空気に包まれています。日中は政府機関やオフィスで働く人々が行き交いますが、夕方を過ぎると静寂が訪れ、ゆったりとした島の本来の時間が流れているのを感じられるはずです。

    この街の歴史は、17世紀のスペイン統治時代にまで遡ります。スペインはハガニャを植民地経営の拠点と定め、教会や要塞、行政庁舎を建設しました。その面影は今も街の随所に残り、私たち訪問者に遠い昔の物語を語りかけてきます。その後、アメリカ統治、日本による占領、そして第二次世界大戦の激しい戦火を経て、ハガニャは何度も破壊と再生を繰り返してきました。街を歩けば、その複雑で深い歴史の地層に触れることができるのです。

    ハガニャを訪れることは、単なる観光ではありません。それは、グアムの人々が大切に守り、受け継いできたアイデンティティの源泉に触れる行為です。チャモロの伝統、スペインの影響、アメリカの文化。それらが混ざり合い、独自の空気を醸成しているハガニャ。この街を知らずして、グアムを語ることはできないのです。タモンのリゾートライフにプラスして、ぜひ半日、あるいは丸一日をハガニャ散策に充ててみてください。きっと、あなたのグアム旅行は、何倍も豊かで意味深いものになることでしょう。

    ハガニャの歴史を歩く – スペイン統治時代の面影を訪ねて

    ハガニャ観光のハイライトは、何と言ってもスペイン統治時代の歴史的建造物が集まるエリアの散策です。まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥るこのエリアを歩けば、グアムが歩んってきた400年以上の歴史の重みを肌で感じることができます。

    スペイン広場 (Plaza de España) – 時代の中心、栄華の記憶

    ハガニャ散策の起点となるのが、この「スペイン広場」です。約3世紀にわたるスペイン統治時代、ここがグアムの政治、宗教、そして社会の中心でした。広場を囲むようにして、総督の邸宅や行政庁舎が建てられ、まさにグアムの心臓部として機能していたのです。

    広場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、手入れの行き届いた芝生の緑と、南国らしい木々のコントラスト。そして、点在する歴史的な建造物たちです。第二次世界大戦でその多くが破壊されてしまいましたが、残された遺構が往時の栄華を静かに物語っています。

    チョコレートハウス (Chocolate House)

    広場の中でもひときわ可愛らしく、印象的な存在がこの「チョコレートハウス」です。八角形の小さな建物で、白壁に赤い屋根が映えます。その名の通り、スペイン総督夫人が賓客をもてなす際に、熱いチョコレートドリンクを振る舞った場所と伝えられています。当時の貴婦人たちが、ここで優雅にお茶会を開いていた光景を想像するだけで、ロマンチックな気分に浸れるでしょう。現在は中に入ることはできませんが、絶好の写真撮影スポットとして人気です。真っ青なグアムの空を背景に、美しい一枚を撮ってみてはいかがでしょうか。

    総督邸跡 (Governor’s Palace)

    チョコレートハウスのすぐ後ろには、かつてスペイン総督が暮らした邸宅の跡が残されています。残念ながら建物本体は戦争で失われ、現在は3つのアーチが連なる玄関部分と基礎部分だけがその姿を留めています。このアーチの向こう側に、どれほど壮麗な邸宅が広がっていたのでしょうか。アーチ越しに広場の緑を眺めると、時の流れの無常さと、それでもなお残り続ける歴史の息吹を感じずにはいられません。

    武器庫 (Almacen)

    広場の片隅には、石造りの頑丈な建物があります。これは「アルマセン」と呼ばれる武器庫の跡です。厚い壁と小さな窓が、ここが重要な軍事施設であったことを物語っています。現在は屋根もなく壁だけが残っていますが、その堅牢な造りからは、当時のスペインの権威と軍事力をうかがい知ることができます。

    スペイン広場は、ただ歴史を学ぶ場所ではありません。木陰のベンチに座って、吹き抜ける風を感じながら、のんびりと過ごすのもおすすめです。地元の人が犬の散歩をしていたり、子供たちが走り回っていたり。歴史的な空間に、現代の穏やかな日常が溶け込んでいる。それこそが、この広場の持つ最大の魅力なのかもしれません。

    ドゥルセ・ノンブレ・デ・マリア大聖堂バシリカ (Dulce Nombre de Maria Cathedral-Basilica) – 信仰の光、白亜の殿堂

    スペイン広場の向かいに、威風堂々とそびえ立つ白亜の教会。それが「ドゥルセ・ノンブレ・デ・マリア大聖堂バシリカ」です。グアムにおけるカトリック教会の総本山であり、島の人々にとって最も神聖な祈りの場所です。

    その歴史は古く、1669年にサン・ビトレス神父によって、グアムで最初のカトリック教会として創建されました。現在の建物は、第二次世界大戦で破壊された後に再建されたものですが、その荘厳な姿は、訪れる者の心を惹きつけてやみません。

    一歩中へ足を踏み入れると、外の喧騒が嘘のような静寂と神聖な空気に包まれます。高い天井、清らかな白で統一された内装、そして壁一面を彩る壮麗なステンドグラス。窓から差し込む南国の強い光がステンドグラスを透過し、床や壁に色とりどりの光の模様を描き出します。その光景は息をのむほど美しく、時間を忘れて見入ってしまうほど。聖書の一場面や聖人たちが描かれたステンドグラスを一つひとつ眺めながら、その物語に思いを馳せるのも良いでしょう。

    祭壇も見事です。聖母マリア像が祀られ、敬虔な信者たちが祈りを捧げる姿は、この場所が今もなお、人々の心の拠り所であることを深く感じさせてくれます。観光客であっても、この神聖な空間では襟を正し、静かに見学するのがマナー。タイミングが合えば、ミサに参加してみるのも貴重な体験です。チャモロ語や英語で捧げられる祈りの言葉は、意味が分からなくても、その響きだけで心に深く染み渡ります。

    大聖堂の前の広場には、ヨハネ・パウロ2世の像が立っています。1981年にグアムを訪問したことを記念して建てられたものです。この像もまた、この大聖堂が持つ世界的な重要性を示しています。ハガニャを訪れたなら、必ず立ち寄りたい、まさにグアムの精神的シンボルと言える場所です。

    ラッテストーン公園 (Latte Stone Park) – 古代チャモロ文化への入り口

    スペイン広場から歩いてすぐの場所にある「ラッテストーン公園」は、スペイン統治時代よりもさらに古い、古代チャモロ文化の謎に触れられる fascinating なスポットです。

    公園の主役は、その名の通り「ラッテストーン」。これは、サンゴ石を削って作られた石柱(ハリギ)と、その上に載せられたお椀型の石(タサ)からなる一対の石柱群です。これらは、古代チャモロ人が住居を建てる際の土台として使われていたと考えられています。高床式の住居を支え、湿気や害虫から家を守る役割があったのです。

    公園内に移設・展示されている8本のラッテストーンは、もともとグアム南部のメッポ地区にあったもの。その大きさと存在感には圧倒されます。数百年、あるいは千年以上も前に、これほど巨大な石を切り出し、運び、そして組み上げた古代チャモロ人の技術力と労力には、ただただ驚かされるばかりです。彼らがどのような暮らしをしていたのか、どんな思いでこの石柱を立てたのか。ラッテストーンの前に立つと、時空を超えた壮大なロマンを感じずにはいられません。

    公園内は緑豊かで、静かな時間が流れています。観光客だけでなく、地元の子供たちの遠足場所としても親しまれているようです。また、公園の奥には、第二次世界大戦中に日本軍が掘った防空壕の跡も残されています。入口は固く閉ざされていますが、ラッテストーンが象徴する古代の平和な暮らしと、防空壕が物語る近代の戦争の記憶が同じ場所に存在していることに、グアムの複雑な歴史を改めて考えさせられます。古代チャモロの謎と、近代史の爪痕。この小さな公園は、グアムの歴史の縮図のような場所なのです。

    サン・アントニオ橋(スペイン橋) (San Antonio Bridge) – 時代を見つめてきた石のアーチ

    ハガニャの中心部を少しだけ歩き、チャモロビレッジの近くまで来ると、道路の脇にひっそりと佇む古い石橋が見えてきます。これが「サン・アントニオ橋」、通称「スペイン橋」です。

    1800年にスペイン総督によって建設されたこの橋は、かつてハガニャ川に架かっていました。現在は川の流れが変えられたため、橋の下に水はありませんが、美しい二連アーチの姿は健在です。珊瑚石を積み上げて作られた橋は、素朴ながらも堅牢で、200年以上の風雪に耐えてきた歴史の重みを感じさせます。

    橋の上には、小さな祠のようなものがあり、聖アントニオの像が祀られています。橋の名前の由来ともなったこの聖人は、旅人の守護聖人。かつてこの橋を渡った人々は、旅の安全をここで祈ったのかもしれません。

    現代では、すぐ隣を車がひっきりなしに行き交っていますが、この橋の上だけは、まるで時が止まったかのよう。橋の欄干に腰かけて、かつてここを流れていた川のせせらぎや、馬車が通り過ぎる音を想像してみるのも一興です。派手さはありませんが、ハガニャの歴史散策に趣を添えてくれる、味わい深いスポット。チャモロビレッジやパセオ公園を訪れる際に、ぜひ立ち寄ってみてください。見過ごしてしまいそうな小さな橋ですが、そこには確かに、時代を見つめ続けてきた確かな記憶が宿っています。

    絶景と癒やしのスポット – ハガニャの自然を満喫する

    歴史散策でグアムの過去に触れた後は、ハガニャが誇る素晴らしい景色で心をリフレッシュしましょう。高台から見下ろすパノラマビューや、海辺の広大な公園など、心洗われる絶景スポットがあなたを待っています。

    アプガン砦 (Fort Apugan / Fort Santa Agueda) – 街と海を見下ろす天空の絶景

    ハガニャの街を見下ろす高台に位置する「アプガン砦」は、グアムでも屈指の絶景ポイントです。正式名称は「サンタ・アグエダ砦」といい、1800年頃にスペイン軍がハガニャ港に出入りする船を監視するために築いた要塞でした。

    急な坂道を車で登りきると、視界が一気に開け、思わず「わぁっ」と声が漏れてしまうほどのパノラマが広がります。眼下には、ハガニャの街並み。赤い屋根や白い壁の建物がミニチュアのように見え、その向こうにはフィリピン海へと続くハガニャ湾の雄大なカーブがどこまでも伸びています。先ほどまで歩いていたスペイン広場や白亜の大聖堂も、ここからなら一望できます。自分が歩いてきた道のりを上から眺めるのは、なんとも感慨深いものです。

    アプガン砦には、当時のものとされる大砲のレプリカが数門設置されており、砦であった頃の面影を伝えています。この大砲が狙いを定めていたであろう青い海を眺めていると、かつてここに立っていたスペイン兵たちの気持ちに少しだけ近づけるような気がします。

    この場所が最も輝くのは、太陽が西の海に傾くサンセットタイム。空と海がオレンジ、ピンク、紫と刻一刻と色を変えていく様は、まさに幻想的。ハガニャの街並みが夕日に染まり、やがて家々の明かりが灯り始める光景は、忘れられない思い出になるはずです。ロマンチックな雰囲気に包まれるため、カップルにも大人気のスポット。タモン地区のビーチから見るサンセットとはまた違った、街の夜景と夕日が織りなす感動的な景色を、ぜひその目に焼き付けてください。訪れる際は、カメラの準備をお忘れなく。

    パセオ・デ・スサナ公園 (Paseo de Susana Park) – ローカルの憩い、潮風薫る海辺の広場

    ハガニャ湾に沿って広がる「パセオ・デ・スサナ公園」は、地元の人々に愛される広大な海浜公園です。埋め立てによって作られたこの人工半島は、スポーツ施設やピクニックエリア、遊歩道などが整備され、グアムの人々の憩いの場となっています。

    公園のシンボル的存在とも言えるのが、半島の先端に立つ「自由の女神像」。ニューヨークにある本物の10分の1サイズのレプリカですが、青い海と空を背景に立つ姿はなかなかの存在感です。1950年にアメリカのボーイスカウトによって寄贈されたこの像は、グアムとアメリカの強い結びつきを象徴しています。

    この公園の魅力は、何と言ってもその開放感。広々とした芝生の上で寝転んだり、海沿いの遊歩道を散策したりするだけで、とても気持ちがいいものです。週末になると、あちこちでバーベキューを楽しむ家族連れの姿が見られます。煙の香ばしい匂いと、楽しそうな笑い声が、公園全体をピースフルな雰囲気で満たしています。

    公園内には、野球場「パセオスタジアム」もあり、地元の野球リーグの試合が行われることも。運が良ければ、グアムの野球少年たちの熱いプレーを垣間見ることができるかもしれません。

    また、この公園はチャモロビレッジに隣接しています。水曜の夜にナイトマーケットを訪れるなら、少し早めに到着して、この公園でのんびりと夕暮れ時を過ごすのがおすすめです。ハガニャ湾に沈む夕日を眺め、潮風に吹かれながら散歩を楽しんだ後、ナイトマーケットの熱気に飛び込んでいく。これぞ、ハガニャの魅力を満喫するゴールデンコースと言えるでしょう。観光地を巡る慌ただしい旅とは違う、グアムの日常に溶け込むような、穏やかで贅沢な時間を過ごせる場所です。

    グアムの文化と食を体感!- ローカル体験の決定版

    歴史と絶景を楽しんだら、次はいよいよグアムの「今」を体感する番です。活気あふれるマーケット、知的好奇心を満たすミュージアム、そしてお腹も心も満たしてくれる絶品グルメ。ハガニャには、五感で楽しむローカル体験が満載です。

    チャモロビレッジ (Chamorro Village) – 週に一度の熱狂、ナイトマーケットの魔法

    ハガニャ観光を語る上で、絶対に外せないのが「チャモロビレッジ」です。特に、毎週水曜日の夜に開催される「ナイトマーケット」は、グアム最大のイベントと言っても過言ではありません。この夜ばかりは、普段は落ち着いているハガニャの街が、地元の人々と観光客でごった返し、 невероятное(信じられないほどの)な熱気に包まれます。

    夕方5時頃から徐々に人が集まり始め、日が暮れる頃にはお祭りのような雰囲気に。会場に足を踏み入れると、まず鼻孔をくすぐるのは、食欲をそそるBBQの香り。あちこちの屋台からもうもうと煙が上がり、ジュージューと肉が焼ける音が聞こえてきます。グアム名物のプレートランチは、ナイトマーケットの定番グルメ。炭火で豪快に焼かれたチキンやポークリブ、甘酸っぱいタレが絡んだ串焼き(ピンチョス)、そして付け合わせには真っ赤なレッドライスと、さっぱりとしたサラダ。このボリュームと美味しさは、一度食べたら病みつきになること間違いなしです。

    食べ物だけではありません。民芸品やお土産を売る店もずらりと並びます。ココナッツオイルを使った石鹸や、手作りのアクセサリー、カラフルなパレオなど、グアムらしいアイテムがたくさん。店の人との会話を楽しみながら、お気に入りの一品を探すのもナイトマーケットの醍醐味です。

    そして、中央のステージでは、チャモロダンスのショーが繰り広げられます。力強い男性の踊りと、優雅な女性の踊りが、グアムの伝統音楽に合わせて披露され、会場のボルテージは最高潮に。観客も一緒になって手拍子をしたり、掛け声をかけたり。言葉は通じなくても、その場のエネルギーと一体感を肌で感じることができます。

    水牛に乗って記念撮影ができるコーナーや、子供向けのゲームもあり、家族連れでも一日中楽しめます。水曜の夜にグアムに滞在しているなら、チャモロビレッジのナイトマーケットは必見のイベント。グアムの食、文化、そして人々のエネルギーを全身で浴びることができる、最高の夜があなたを待っています。

    グアムミュージアム (Guam Museum) – 3000年の物語を巡る知の殿堂

    正式名称は「セナドール・アンヘル・サントス・ラッテストーン記念公園・グアム・アンド・チャモロ教育文化施設」。その長い名前が示す通り、ここは単なる博物館ではありません。グアムとチャモロ民族の3000年以上にわたる壮大な歴史と文化を、後世に伝え、教育するための重要な拠点なのです。

    スペイン広場のすぐ隣に立つこのミュージアムは、建物そのものが芸術作品。ラッテストーンを模したと言われるユニークな外観は、見る角度によって表情を変え、非常にフォトジェニックです。中に入ると、古代チャモロ人の暮らしから始まり、大航海時代、スペイン統治、アメリカ統治、そして第二次世界大戦という激動の時代を経て、現代に至るまでのグアムの歩みが、臨場感あふれる展示で紹介されています。

    特に印象的なのは、古代チャモロ人が外洋を航海したカヌー「プロア」の復元模型や、生活様式を再現したジオラマ。彼らが自然と共生し、豊かな文化を育んでいた様子が目に浮かぶようです。また、戦争の歴史を伝えるセクションでは、グアムが日米の激しい戦闘の舞台となった悲劇を、生存者の証言映像などを通して生々しく伝えています。ビーチリゾートとしての華やかなイメージの裏にある、グアムの痛みと苦難の歴史を知ることは、この島をより深く理解するために欠かせない経験となるでしょう。

    展示は、映像やインタラクティブな仕掛けも多く、子供から大人まで飽きずに学ぶことができます。ハガニャの歴史散策の締めくくりとして、あるいは旅の最初に訪れてグアムの全体像を掴むために、ぜひ時間をとって見学してみてください。ここで得た知識は、あなたのグアムでの体験すべてを、より意味深いものに変えてくれるはずです。

    ハガニャで味わう絶品グルメ – ローカルが愛する本物の味

    観光でお腹が空いたら、ハガニャ自慢のグルメを堪能しましょう。観光客向けレストランが多いタモンとは一味違う、地元の人々に愛される名店がここにはあります。

    PROA(プロア)ハガニャ店

    グアムで「最高のBBQはどこ?」と聞けば、多くの人がその名を挙げるのが「PROA」。タモン店は予約必須の大人気店ですが、ハガニャにも支店があることは意外と知られていません。ハガニャ店は比較的落ち着いた雰囲気で、予約なしでも入れる可能性が高い穴場的存在です。

    看板メニューは、なんと言っても「ヒバチスタイルBBQトリオ」。ショートリブ、スペアリブ、チキンの3種類が一度に味わえる夢のような一皿です。特製のタレに漬け込み、炭火でじっくりと焼き上げられた肉は、香ばしくてジューシー。口に入れた瞬間、肉の旨味と甘辛いタレが広がり、至福の時間が訪れます。付け合わせのレッドライスとの相性も抜群。この味を求めて、何度もグアムを訪れるリピーターがいるというのも頷けます。BBQ以外にも、創作チャモロ料理や、見た目も美しいデザートも充実しており、何を頼んでも満足できること間違いなしの名店です。

    Cup & Saucer(カップ・アンド・ソーサー)

    朝食やランチ、ちょっとした休憩に立ち寄りたいのが、地元で絶大な人気を誇るベーカリーカフェ「Cup & Saucer」。グアム政府庁舎のすぐ近くにあり、朝からローカルのお客さんで賑わっています。

    ここの名物は、フワフワのパン生地の中に、ほんのり甘いクリームチーズがたっぷり入った「クリームチーズロール」。一度食べたら忘れられない、素朴で優しい味わいです。他にも、シナモンロールや種類豊富なケーキ、クッキーなど、甘いものが好きな人にはたまらないラインナップ。ショーケースに並んだ美しいケーキを見ているだけで幸せな気分になります。甘いものだけでなく、サンドイッチやスープなどの軽食メニューも充実しているので、ランチスポットとしても最適。ローカルに混じって、美味しいコーヒーとパンで、のんびりとした朝のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

    Mosa’s Joint(モサズ・ジョイント)

    「グアムで最高のハンバーガーが食べたい!」そう思ったら、迷わず「Mosa’s Joint」へ向かいましょう。数々のグルメアワードを受賞している、実力派のグルメバーガーレストランです。

    ここのハンバーガーは、とにかく個性的でクリエイティブ。定番のビーフバーガーはもちろんのこと、ぜひ試してほしいのが、看板メニューの「ラムバーガー」。スパイスの効いたラム肉のパティに、ほうれん草とクランベリーソース、フェタチーズを合わせた一品で、その意外な組み合わせが驚くほどマッチします。臭みは全くなく、ラム肉の濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。他にも、ブルーチーズを使った「ブルーバーガー」や、魚のフライを挟んだサンドイッチなど、魅力的なメニューが目白押し。グアム産のクラフトビールも豊富に揃っているので、ハンバーガーとの最高のペアリングを楽しむことができます。活気のある店内で、地元の人たちに混じって、ガブリとハンバーガーにかぶりつく。これぞ、アメリカンカルチャーとローカルの雰囲気が融合した、ハガニャならではの食体験です。

    ハガニャへのアクセスと移動手段

    ハガニャはグアムのほぼ中央に位置し、タモン地区からは車で15分から20分ほど。アクセスは比較的容易ですが、見どころが点在しているため、移動手段を事前に計画しておくことが重要です。

    最も便利で自由度が高いのは、やはりレンタカーです。タモンからハガニャへ向かうメインルート「マリン・コア・ドライブ(1号線)」は道幅も広く走りやすいです。ハガニャ中心部、特にスペイン広場周辺には無料の公共駐車場がいくつか用意されているので、車を停めて徒歩で散策するのが基本スタイル。アプガン砦のような高台にあるスポットへも、車があれば楽にアクセスできます。グアムの交通ルール(右側通行、赤信号でも右折可など)を事前に確認しておけば、運転はそれほど難しくありません。

    レンタカーを運転しない場合は、各種シャトルバスやタクシーを利用することになります。主要ホテルとショッピングセンターを結ぶシャトルバスの中には、ハガニャのチャモロビレッジまで行くルートもあります。ただし、本数が限られていることや、運行時間が水曜のナイトマーケット開催日に集中している場合が多いので、事前に時刻表をよく確認しましょう。

    タクシーは最も手軽ですが、料金は割高になります。タモンからハガニャまで片道25ドルから30ドル程度が目安です。複数人で利用する場合や、時間を有効に使いたい場合には選択肢となるでしょう。

    ハガニャ内の移動については、スペイン広場、大聖堂、ラッテストーン公園、グアムミュージアムといった主要な歴史スポットは、すべて徒歩圏内にまとまっています。これらをじっくり見て回るだけでも2〜3時間は必要です。一方、パセオ公園やアプガン砦へは少し距離があるので、徒歩での移動は厳しいでしょう。やはり、レンタカーで各スポットを効率よく巡るのが、ハガニャを最大限に楽しむためのベストな方法と言えます。

    ハガニャ観光モデルプラン提案

    広大なハガニャをどう回ればいいか迷ってしまう方のために、おすすめのモデルプランを2つ提案します。あなたの滞在時間や興味に合わせて、自由にアレンジしてみてください。

    半日満喫コース(歴史探訪編)

    タモンでのビーチリゾートも楽しみつつ、グアムの歴史にも触れたいという方におすすめの、コンパクトな半日コースです。

    • 午前9:00 タモンのホテルをレンタカーで出発。
    • 午前9:30 ラッテストーン公園に到着。古代チャモロ文化の神秘に触れます。防空壕跡も忘れずにチェック。
    • 午前10:00 すぐ隣のスペイン広場へ移動。チョコレートハウスや総督邸跡を背景に記念撮影。広場のベンチで少し休憩。
    • 午前10:30 白亜のドゥルセ・ノンブレ・デ・マリア大聖堂バシリカを見学。荘厳な内部と美しいステンドグラスに心癒やされます。
    • 午前11:15 グアムミュージアムへ。1時間ほどで、グアムの歴史のダイジェストを学びます。ここで見たものが、これまでの散策の理解を深めてくれます。
    • 午後12:30 「Cup & Saucer」でランチ。名物のクリームチーズロールやサンドイッチで、ローカル気分を味わいます。
    • 午後1:30 タモンへ戻り、午後はビーチでのんびり。

    このコースなら、午前中だけでハガニャの主要な歴史スポットを効率よく巡ることができます。

    1日じっくりコース(文化と絶景とグルメ編)

    ハガニャの魅力を余すところなく体験したい、欲張りなあなたにぴったりの1日コースです。水曜日に実行するのがベストです。

    • 午前10:00 タモンを出発。まずは半日コースと同様に、ラッテストーン公園、スペイン広場、大聖堂を巡ります。
    • 午後12:30 ランチは「PROA」ハガニャ店へ。絶品のBBQトリオでお腹を満たします。
    • 午後2:00 グアムミュージアムをじっくりと見学。常設展だけでなく、特別展もチェックしてみましょう。
    • 午後3:30 パセオ・デ・スサナ公園へ。自由の女神像を見たり、海辺を散歩したり。潮風を感じながらリラックスタイム。
    • 午後5:00 アプガン砦へ移動。ハガニャの街と海が夕日に染まっていく、感動的なサンセットを鑑賞します。
    • 午後6:30 いよいよチャモロビレッジのナイトマーケットへ。活気あふれる会場で、屋台グルメを食べ歩き。BBQプレートやフルーツジュースを堪能。
    • 午後8:00 ステージで行われるチャモロダンスショーを鑑賞。グアムの文化と人々のエネルギーを肌で感じます。
    • 午後9:00 お土産探しを楽しんだ後、ハガニャの夜を満喫し、タモンへ。

    このプランなら、歴史、文化、絶景、グルメ、そしてローカルとの交流まで、ハガニャが持つすべての魅力を1日で体験できます。忘れられない、密度の濃い1日になることでしょう。

    ハガニャが教えてくれる、もうひとつのグアムの物語

    多くの人が求める「リゾート」としてのグアム。そのイメージを少しだけ脇に置いて、首都ハガニャに足を運んでみてください。そこには、あなたが今まで知らなかった、深く、豊かで、そして少しだけ切ない、もうひとつのグアムの物語が広がっています。

    スペイン広場の石畳を踏みしめ、大聖堂のステンドグラスを見上げ、ラッテストーンの前に佇むとき。あなたの心には、この島が歩んできた数奇な運命と、それでもなお力強く生きる人々の息吹が、静かに流れ込んでくるはずです。

    アプガン砦から見下ろす夕日は、ただ美しいだけではありません。それは、この街を愛し、守り、そして時にはこの街で涙した、数えきれない人々の想いを映し出す光のように見えます。チャモロビレッジの喧騒の中で味わうBBQの味は、グアムの豊かな自然の恵みと、人々が受け継いできた食文化の結晶です。

    ハガニャを旅することは、グアムという土地の魂に触れること。それは、あなたの旅を、単なる海外旅行から、異文化を理解し、歴史に敬意を払い、そこに住む人々の心に寄り添う「真の旅」へと昇華させてくれます。

    次にグアムを訪れるときは、ぜひハガニャのための時間をとってください。そして、あなた自身の足で、あなた自身の目で、この街が語りかける物語に耳を澄ませてみてください。きっと、タモンの青い海がさらに輝いて見えるような、忘れられない発見が待っているはずですから。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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