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    楽園グアムの鼓動を感じる旅へ。エメラルドの海に抱かれたアプラ港のすべて

    紺碧の空とどこまでも続く水平線。常夏の太陽が降り注ぎ、訪れる者の心を瞬時に解き放つ魅惑の島、グアム。多くの人がタモン地区の華やかなビーチやショッピングを思い浮かべるかもしれませんが、この島の真の魅力、その心臓部とも言える場所が、西海岸に静かに広がる「アプラ港」です。

    ここは、単なる港ではありません。グアムの経済と安全保障を支える大動脈でありながら、その内湾には世界中のダイバーを魅了してやまない神秘の海が広がり、穏やかな水面は多彩なマリンアクティビティの絶好の舞台となっています。歴史の荒波を乗り越えてきた重厚な物語と、生命力に満ち溢れた自然の絶景が、奇跡のように同居する場所。それがアプラ港なのです。

    観光客の喧騒から少しだけ離れ、より深く、より本質的なグアムの姿に触れたいと願う旅人にとって、アプラ港はまさに約束の地。この記事では、旅サイトのプロライターである私が、アプラ港の知られざる歴史から、息をのむような絶景アクティビティ、地元民に愛されるグルメ、そして旅を豊かにするヒントまで、そのすべてを余すところなくご紹介します。

    さあ、楽園の鼓動が聞こえる特別な場所へ。あなただけの忘れられないグアムの物語を探す旅に、一緒に出かけましょう。

    目次

    アプラ港とは?知られざるグアムの海の玄関口

    グアムの旅において、アプラ港は多くのツアーの出発点でありながら、その本体はベールに包まれているかのように感じられるかもしれません。タモン湾が「表の顔」なら、アプラ港はグアムの素顔と歴史を映し出す「心の顔」と言えるでしょう。この港がなぜこれほどまでに重要で、そして魅力的なのか。その秘密は、特異な地形と歴史の中に隠されています。

    軍港と商業港、二つの顔を持つ歴史

    アプラ港の風景をユニークなものにしている最大の要因は、アメリカ海軍の巨大な基地と、グアムの生活物資を運ぶ商業港が隣り合って存在している点です。その歴史は古く、マリアナ諸島の中でも最大級の天然の良港として、大航海時代から戦略的な要衝と見なされてきました。

    スペイン統治時代にはガレオン船の寄港地となり、その後、捕鯨船の補給基地として栄えました。そして、20世紀に入り、その運命を大きく変えたのが二つの世界大戦です。特に第二次世界大戦では、日米の激しい戦闘の舞台となり、港の地形すら変えるほどの大規模な戦闘が繰り広げられました。現在、港の底に眠る日本の貨物船「東鶏丸(とうかいまる)」は、その時代の悲しい記憶を静かに今に伝えています。

    戦後、アプラ港はアメリカの太平洋戦略における最重要拠点の一つとして整備され、広大な海軍基地が築かれました。巨大な軍艦が停泊し、最新鋭の潜水艦が出入りする光景は、グアムが今なお地政学的に極めて重要な場所であることを物語っています。私たちが普段利用する商業港エリアは、この軍港の一部を間借りする形で運営されており、島民の生活に必要な食料品から日用品、自動車に至るまで、ほぼすべての物資がこの港を経由してグアムに届けられています。まさに、グアムのライフラインそのものなのです。

    このように、軍事的な緊張感と人々の平和な暮らしが隣り合う独特の空気感。それがアプラ港の第一の魅力であり、この場所を訪れる者に、単なるリゾート地ではないグアムのリアルな姿を教えてくれます。

    自然が創り出した奇跡の地形

    アプラ港がなぜこれほど優れた港なのか。その答えは地図を見れば一目瞭然です。南に突き出た「オロテ半島」と、北から伸びる「カブラス島」が、まるで両腕で優しく抱きかかえるようにフィリピン海の荒波を遮っています。この天然の防波堤によって、港の内側は「アウター・ハーバー(外港)」と「インナー・ハーバー(内港)」に分かれ、特にインナー・ハーバーは湖のように穏やかな水面を保っています。

    この穏やかな海は、マリンアクティビティにとってまさに天国。外洋のうねりの影響をほとんど受けないため、初心者でも安心してダイビングやシュノーケリング、SUPなどを楽しむことができます。また、湾内には栄養豊富な水が流れ込み、豊かな生態系を育んでいます。多様なサンゴ礁が発達し、そこに集まる色とりどりの熱帯魚、そして時折姿を見せるウミガメやイルカたち。港という人工的な響きとは裏腹に、アプラ港の海中は驚くほど生命力に満ち溢れているのです。

    歴史が刻んだ物語と、地球が生み出した奇跡の地形。この二つが交差する点に、アプラ港の比類なき魅力は存在します。その奥深さを知れば知るほど、あなたのグアムの旅は、より一層味わい深いものになるはずです。

    心解き放つ、アプラ港の絶景マリンアクティビティ

    アプラ港の真髄は、やはりその海の中にあります。穏やかで透明度の高いエメラルドグリーンの海は、訪れるすべての人を優しく受け入れ、忘れられない感動体験を約束してくれます。世界的に有名なダイビングスポットから、家族で楽しめる手軽なアクティビティまで、アプラ港が誇る海の魅力を心ゆくまで味わい尽くしましょう。

    透明度抜群!初心者から楽しめるダイビング&シュノーケリング

    アプラ港は、グアムが世界に誇るダイビングの聖地です。波が穏やかで流れも少ないため、ライセンスを取得したばかりのビギナーから、経験豊富なベテランダイバーまで、あらゆるレベルの人が楽しめるポイントが点在しています。水中に一歩足を踏み入れれば、そこはまるで別世界。日常の喧騒を忘れ、ただ魚たちと戯れ、海の青さに溶け込んでいく時間は、最高の癒やしとなるでしょう。

    沈船が眠る神秘の海へ – トウカイマル&SMSコーモラン

    アプラ港のダイビングを語る上で絶対に外せないのが、世界でも類を見ないユニークな沈船ポイント「トウカイマル&SMSコーモラン」です。ここは、なんと二つの異なる時代の戦争で沈んだ船が、すぐ近く、一部が重なるようにして眠っている奇跡の場所なのです。

    水深約35メートル。ゆっくりと潜降していくと、巨大な船のシルエットが青い闇の中から荘厳に浮かび上がってきます。手前に横たわっているのが、第一次世界大戦中にドイツ兵によって自沈させられた巡洋艦「SMSコーモランII」。そして、そのすぐ奥に鎮座するのが、第二次世界大戦中にアメリカ軍の攻撃を受けて沈んだ日本の貨物船「東鶏丸(とうかいまる)」です。

    ライトを照らすと、船体は長い年月を経てサンゴや海洋生物たちの住処となり、新たな生命の舞台へと生まれ変わっています。船倉を覗き込めば、当時の面影を残すトラックの残骸やビール瓶などが散乱し、時が止まったかのような不思議な感覚に包まれます。船体を覆うソフトコーラルを住処にするハゼや、船の周りを悠々と泳ぐロウニンアジの群れ。歴史の悲劇と、それを優しく包み込む自然の生命力とが織りなす光景は、言葉を失うほどに幻想的で、胸に深く迫るものがあります。

    このポイントは水深が深いため、アドバンス以上のダイビングライセンスが必要となりますが、その価値は計り知れません。歴史に思いを馳せながら、唯一無二の水中景観を探索する。これぞまさに、アプラ港でしかできない究極のダイビング体験と言えるでしょう。

    カラフルなサンゴ礁の楽園 – ウエスタンショールズ

    「ライセンスがない」「もっと気軽に海の中を覗いてみたい」。そんな方におすすめなのが、「ウエスタンショールズ」です。ここは港の西側に広がる比較的浅いサンゴ礁のエリアで、シュノーケリングでも十分にその美しさを堪能することができます。

    ボートから海に飛び込むと、目の前には息をのむような光景が広がります。太陽の光を浴びてキラキラと輝く水中には、テーブルサンゴや枝サンゴ、ハマサンゴなど、多種多様なサンゴが見事な群生を成しています。その間を、スズメダイの仲間であるデバスズメダイの鮮やかなブルーの群れが駆け抜け、縞模様が愛らしいロクセンスズメダイが舞い踊ります。少し岩陰を探せば、警戒心の強いクマノミがイソギンチャクの中から顔を覗かせているかもしれません。

    水の透明度が高いため、水面に浮かんでいるだけでも、まるで自分が巨大な水槽の中にいるかのような感覚を味わえます。シュノーケリングツアーの多くは、このポイントを訪れます。ライフジャケットを着用するので泳ぎが苦手な方でも安心ですし、子供から大人まで、家族みんなで楽しめるのが魅力です。青い海、色とりどりのサンゴ、そして無数の熱帯魚たち。グアムの海の豊かさを、最も手軽に、そしてダイレクトに感じられる場所が、ここウエスタンショールズなのです。

    ダイビングツアーの選び方と注意点

    アプラ港でのダイビングやシュノーケリングを最大限に楽しむためには、信頼できるツアー会社を選ぶことが重要です。グアムには数多くのダイビングショップがありますが、選ぶ際のポイントはいくつかあります。

    まずは、日本語対応が可能かどうか。特にダイビングは安全に関わる重要な説明が多いため、言葉の不安なくコミュニケーションが取れるショップを選ぶと安心です。多くのショップでは日本人スタッフが常駐していたり、日本語が堪能なローカルスタッフがガイドしてくれたりします。

    次に、ツアー内容と料金を比較検討しましょう。料金には、ホテルからの送迎、機材のレンタル、ランチやドリンクなどが含まれているかを確認します。ファンダイビング(ライセンス保持者向け)や体験ダイビング、シュノーケリングなど、自分のレベルや目的に合ったコースを選びましょう。ショップによっては、少人数制で手厚いサポートを売りにしているところもあります。

    そして何より、安全管理が徹底されているか。PADIやNAUIといった世界的な指導団体の基準に則っているか、長年の実績があるかなどをウェブサイトなどで確認すると良いでしょう。安全に楽しむことが、最高の思い出作りの第一歩です。

    海の上を滑る爽快感!スタンドアップパドルボード(SUP)&カヤック

    波のない鏡のようなアプラ港の水面は、近年世界的に人気が高まっているSUP(スタンドアップパドルボード)やシーカヤックに最適なフィールドです。エンジン音のない静寂の中、自分の力だけで水面を進んでいく感覚は、格別の爽快感と達成感を与えてくれます。

    ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を滑るように進むSUPは、まるで海の上を散歩しているかのよう。目線が高くなるため、水中を泳ぐ魚や、運が良ければウミガメの姿を発見できることもあります。体幹が鍛えられるエクササイズ効果も期待でき、美しい景色を眺めながら気持ちよく汗を流せます。

    二人乗りのカヤックなら、カップルや友人と力を合わせて進む楽しさがあります。安定性が高いので、小さなお子様と一緒に乗ることも可能です。自分たちのペースで、気になる入り江を探検したり、マングローブの茂る岸辺に近づいてみたりと、自由気ままな冒険が待っています。

    特におすすめの時間帯は、風が凪ぐ早朝と、空がオレンジ色に染まるサンセットタイム。朝の清々しい空気の中、静寂を破ってパドルが水をかく音だけが響く時間は、心を穏やかにしてくれます。夕暮れ時には、オロテ半島に沈む夕日を水上から眺めるという、この上なくロマンチックな体験ができます。太陽が水平線に沈む瞬間、空と海が一体となって燃え上がる光景は、きっと一生忘れられない思い出になるでしょう。港内のマリーナなどでレンタルやガイド付きツアーが催行されています。

    イルカとの出会いに感動!ドルフィンウォッチングツアー

    グアムの沖合には、野生のイルカたちが数多く生息しており、アプラ港はそのドルフィンウォッチングツアーの主要な出発港となっています。愛くるしいイルカたちが、ボートのすぐそばでジャンプしたり、回転したりする姿は、大人も子供も思わず歓声を上げてしまうほどの感動的な光景です。

    グアム近海でよく見られるのは、長い口先が特徴のハシナガイルカ。彼らは非常に好奇心旺盛で遊び好き。ボートが立てる波に乗って並走したり、アクロバティックなスピンを次々と披露してくれたりします。そのダイナミックな動きと、群れでコミュニケーションをとる様子は、生命の躍動そのもの。自然の中で生きる彼らのありのままの姿に触れることで、心が洗われるような気持ちになります。

    多くのドルフィンウォッチングツアーは、イルカとの遭遇率が非常に高いのが特徴です。経験豊富なキャプテンが、長年の勘と知識を頼りにイルカの群れを探し出してくれます。ツアーによっては、イルカを見た後にシュノーケリングタイムが設けられていることも。ウエスタンショールズなどの美しいポイントで、熱帯魚との触れ合いも楽しめる、一石二鳥のプランも人気です。半日で楽しめるツアーがほとんどなので、旅のスケジュールにも組み込みやすいのが嬉しいポイント。青い大海原で繰り広げられる生命のショーは、グアムの旅を象徴するハイライトの一つになるはずです。

    海中散歩を手軽に体験 – シーウォーカー&サブマリン

    「泳ぎは苦手だけど、海の中の世界を見てみたい」「小さな子供がいるからダイビングは難しい」。そんな方々の夢を叶えてくれるのが、アプラ港から出発する「シーウォーカー」と「アトランティス・サブマリン」です。

    シーウォーカーは、専用のヘルメットをかぶるだけで、誰でも簡単に海中散歩が楽しめる画期的なアクティビティ。ヘルメットには地上から常に空気が送られてくるため、顔を濡らすことなく、普段通りの呼吸ができます。メガネやコンタクトレンズをしたままでも大丈夫。インストラクターの案内で梯子をゆっくりと降りていくと、水深5〜6メートルの海底に到着。そこには、カラフルな魚たちがすぐ目の前までやってくる、夢のような世界が広がっています。餌付け体験ができるツアーも多く、自分の手から直接魚たちが餌を食べる様子は、忘れられない体験となるでしょう。

    一方、アトランティス・サブマリンは、本物の潜水艦に乗って、より深い海の神秘を探検するツアーです。快適な船内から、大きな窓を通して水深40メートル以上の世界を眺めることができます。ダイバーでなければ見ることのできない深い場所のサンゴ礁や、沈船の周りを泳ぐ魚の群れなど、次々と現れる壮大な光景に釘付けになること間違いなし。エアコンの効いた船内は快適そのもので、天候に左右されずに楽しめるのも大きなメリットです。ナレーションによる解説を聞きながら、まるで海洋ドキュメンタリー映画の主人公になったかのような気分で、未知なる海の世界を冒険できます。

    港を彩る陸の魅力。訪れるべき周辺スポット

    アプラ港の魅力は、海の中だけにとどまりません。その周辺には、グアムの歴史を物語る史跡や、ローカルな雰囲気を味わえるグルメスポット、そして息をのむような絶景ポイントが点在しています。マリンアクティビティの合間に、ぜひ陸からの視点でもアプラ港とその周辺エリアを探索してみてください。

    歴史の息吹を感じる – オロテ岬とスペイン古橋

    アプラ港の南側を形成するオロテ半島は、その大部分がアメリカ海軍基地の敷地となっていますが、半島の先端にある「オロテ岬(Orote Point)」は、歴史的に非常に重要な場所です。ここは第二次世界大戦中、日本軍が立てこもり、アメリカ軍との間で激しい戦闘が繰り広げられた場所として知られています。現在は、その戦没者を追悼する慰霊碑が静かに佇み、戦争の悲劇と平和の尊さを今に伝えています。岬からは、フィリピン海を一望する雄大な景色が広がり、その美しさがかえって歴史の重みを際立たせます。基地内にあるためアクセスには制限がありますが、歴史に興味のある方は、事前に情報を確認して訪れてみる価値はあります。

    また、アプラ港から少し南下したピティ(Piti)地区には、スペイン統治時代の面影を残す「スペイン古橋(Taelayag Spanish Bridge)」があります。1800年頃に、サンゴ石を固めて造られたというこの小さな石橋は、緑豊かな自然の中にひっそりと佇み、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。かつてはアガニャと南部のウマタックを結ぶ重要な道の一部でした。派手さはありませんが、400年以上にわたるグアムの複雑な歴史の一端に触れることができる、味わい深いスポットです。ドライブの途中に立ち寄り、写真に収めてみてはいかがでしょうか。

    地元の味を堪能!港近くの絶品グルメ

    アクティビティでお腹が空いたら、港周辺のグルメスポットへ。ツーリスト向けのレストランとは一味違う、ローカルな食文化に触れる絶好の機会です。

    マリーナグリル (Marina Grill)

    アプラ港に隣接するアガット・マリーナ(Agat Marina)内にある「マリーナグリル」は、ヨットやボートが停泊するのどかな港の風景を眺めながら、開放的な雰囲気で食事が楽しめるレストランです。潮風を感じられるテラス席は特に人気。昼は青い海と空のコントラストが美しく、夜はライトアップされたマリーナがロマンチックな雰囲気を演出します。

    メニューは、新鮮な魚介類を使ったシーフード料理が中心。グリルしたマヒマヒ(シイラ)や、マグロのポキ(ハワイ風漬けマグロ)などが人気です。また、グアムの伝統料理であるチャモロ料理のエッセンスを取り入れたメニューも豊富。甘辛いバーベキューソースで焼き上げたポークリブやチキン、ココナッツミルクで煮込んだほうれん草の「スピナッチ・イン・ココナッツミルク」など、本場の味を堪能できます。ボリューム満点のアメリカンなハンバーガーやサンドイッチもあり、誰でも満足できるラインナップ。ドルフィンウォッチングやダイビングの後に、仲間とビールを片手にその日の感動を語り合うのに、これ以上ない最高のロケーションです。

    地元民に愛されるローカルフードスタンド

    もっとディープなグアムの味を体験したいなら、ピティ地区やアガット地区の道沿いに点在する、小さなフードスタンドやローカルレストランに立ち寄ってみましょう。派手な看板はなく、一見すると見過ごしてしまいそうですが、こうした店にこそ、グアムの家庭の味が隠されています。

    メニューの主役は、何と言ってもBBQ。炭火で豪快に焼き上げられたチキンやポークリブは、香ばしい香りが食欲をそそります。そして、グアムの食卓に欠かせないのが「レッドライス」。アチョーテ(ベニノキ)の種で炊き込んだオレンジ色のライスは、ほんのりとした風味があり、BBQとの相性は抜群です。

    その他にも、鶏肉や魚をレモン汁、唐辛子、ココナッツなどで和えた爽やかな「ケラグエン」や、春雨サラダのような「チャモロ・ポテトサラダ」など、試してみたい料理がたくさん。プレートランチ形式で、メインのBBQにレッドライスとサラダがセットになっているのが一般的です。観光客向けのレストランに比べて価格も非常にリーズナブル。テイクアウトして、景色の良いビーチでピクニック気分で味わうのもおすすめです。地元の人々に混じって食べる本場のチャモロ料理は、きっと旅の忘れられない味となるでしょう。

    絶景サンセットを望む穴場 – ファミリービーチ

    アプラ港周辺で、静かに美しい夕日を眺めたいなら、「ファミリービーチ(Family Beach)」がおすすめです。このビーチは海軍基地の敷地内にありますが、一般に開放されているエリア(※開放状況は頻繁に変わるため、訪問前に必ず最新情報を確認してください)で、IDチェックを経て入場することができます。

    その名の通り、軍関係者の家族が憩いの場として利用することが多い、非常に穏やかで手入れの行き届いたビーチです。観光客は比較的少なく、プライベート感あふれる落ち着いた雰囲気が魅力。湾内に位置するため波はほとんどなく、小さな子供でも安心して水遊びができます。

    そして、このビーチのハイライトは、なんといってもサンセット。アプラ港の入口、つまり西側に開けているため、太陽が水平線に沈んでいく様子を遮るものなく真正面から眺めることができます。空と海が刻一刻と色を変え、茜色から深い紫へとグラデーションを描いていく光景は、まさに圧巻の一言。遠くに見える軍艦のシルエットが、他では見られない独特の風情を添えます。タモン地区のサンセットも素晴らしいですが、より静かで荘厳な夕景を求めるなら、ぜひ一度足を運んでみてください。

    アプラ港へのアクセスと旅のヒント

    魅力あふれるアプラ港を最大限に楽しむために、アクセス方法やベストシーズンなど、実用的な情報を事前に押さえておきましょう。少しの準備が、あなたの旅をより快適でスムーズなものにしてくれます。

    タモン地区からのアクセス方法

    グアム観光の中心地であるタモン地区からアプラ港までは、距離にして約15キロメートルほど。いくつかの移動手段がありますが、最も便利で自由度が高いのはレンタカーです。

    グアムの道は比較的シンプルで運転しやすく、国際免許証も不要(日本の免許証で運転可能)なので、レンタカーのハードルは高くありません。タモン地区からマリン・コア・ドライブ(1号線)を南下し、ピティ地区で右折してアプラ港方面へ向かうのが一般的なルート。所要時間は、交通状況にもよりますが30分程度です。レンタカーがあれば、マリンアクティビティの後に南部をドライブしたり、気になるローカルレストランに立ち寄ったりと、行動範囲が格段に広がります。

    レンタカーを運転しない場合は、タクシーまたはライドシェアサービス(UberやStroll Guamなど)を利用することになります。料金は片道で30ドルから50ドル程度が目安ですが、時間帯や交通状況によって変動します。特にツアーに参加せず個人でアクティビティの予約などをしている場合、帰りの足を確保しておくことが重要です。

    赤いシャトルバスなどの公共交通機関は、タモンやハガニア(アガニャ)を中心に運行されており、アプラ港の奥まったエリアまで直接アクセスするのは難しいのが現状です。利便性を考えると、レンタカーかタクシーの利用が現実的な選択肢となるでしょう。

    ベストシーズンと服装

    グアムは一年を通して温暖な気候ですが、大きく「乾季」と「雨季」に分かれます。マリンアクティビティを存分に楽しむなら、天候が安定し、晴天の日が多い乾季、おおよそ12月から5月頃がベストシーズンと言えます。この時期は湿度も比較的低く、カラッとした過ごしやすい日が続きます。

    一方、6月から11月頃は雨季にあたります。日本の梅雨のように一日中雨が降り続くわけではなく、短時間で激しいスコールが降っては、またカラッと晴れるという天候が特徴です。スコールの間は雨宿りが必要ですが、その後は問題なく活動できることがほとんど。雨季は旅行代金が比較的安くなる傾向にあるほか、緑がより一層濃くなり、南国らしい力強い風景を楽しめるというメリットもあります。

    服装は、基本的に日本の夏と同じ格好で問題ありません。Tシャツ、短パン、ワンピースといった軽装で過ごせます。ただし、グアムは日差しが非常に強烈なので、紫外線対策は必須です。サングラス、つばの広い帽子、そしてSPF値の高い日焼け止めは必ず持参しましょう。海に入る際は、サンゴで肌を傷つけないため、また日焼け防止のために、ラッシュガードの着用を強くおすすめします。また、レストランやショッピングモール、ホテル内は冷房がかなり効いていることが多いので、薄手のカーディガンやパーカーなど、さっと羽織れるものが一枚あると重宝します。

    知っておきたい注意点

    アプラ港とその周辺を訪れる際には、いくつか心に留めておきたい点があります。

    最も重要なのは、アプラ港がアメリカ海軍の現役の基地であるという事実です。立ち入りが許可されていないエリアや、フェンスで囲まれた場所には絶対に侵入しないでください。また、軍事施設や艦船などを無断で撮影することも、場所によっては禁止されています。不審な行動と見なされないよう、常に節度ある行動を心がけましょう。

    海で遊ぶ際は、安全に十分配慮してください。グアムの紫外線は日本の数倍とも言われます。こまめな水分補給を忘れず、熱中症対策を万全に。また、美しいサンゴ礁は非常にデリケートな生き物です。誤って踏みつけたり、傷つけたりしないよう注意しましょう。環境に優しい日焼け止めを選ぶことも、未来の海を守るための大切な一歩です。

    そして、グアムの豊かな自然と文化に敬意を払うことを忘れないでください。ゴミは必ず持ち帰る、地元のルールや習慣を尊重するなど、旅人としてのマナーを守ることが、島の人々との良好な関係を築き、自分自身の旅をより価値あるものにしてくれます。

    アプラ港を拠点に巡る、もう一歩先のグアム南部

    アプラ港の魅力を存分に味わったなら、そこを旅の新たな起点として、さらに南へと足を延ばしてみませんか。タモン地区の洗練された雰囲気とは対照的に、グアム南部には、チャモロの伝統文化が色濃く残り、手つかずの雄大な自然が広がる、もう一つのグアムの顔があります。アプラ港は、この素朴で美しい南部エリアへの絶好のゲートウェイなのです。

    チャモロ文化が色濃く残る村々へ

    マリン・コア・ドライブを南下していくと、次々と現れる小さな村々が、訪れる者を温かく迎えてくれます。

    アプラ港のすぐ南に位置する「アガット(Agat)」は、美しいマリーナと、スペイン様式のカトリック教会が印象的な村。第二次世界大戦ではアメリカ軍の上陸地点の一つとなり、村の各所に戦いの歴史を物語る碑が残されています。

    さらに南へ進むと、風光明媚な「ウマタック(Umatac)」湾が姿を現します。ここは、1521年に探検家マゼランが初めてグアムに上陸したとされる歴史的な場所。湾を見下ろす丘の上には、スペイン統治時代に海賊の襲来を見張るために造られた「ソレダッド砦(Fort Soledad)」があり、そこから眺めるウマタック湾の景色は、グアム南部を代表する絶景の一つです。

    最南端の村「メリッソ(Merizo)」は、グアム有数の美しさを誇る桟橋がシンボル。エメラルドグリーンの遠浅の海にどこまでも伸びていくかのような桟橋は、絶好のフォトスポットです。また、沖合に浮かぶリゾートアイランド「ココス島」への玄関口でもあります。のどかで時間がゆっくりと流れる村の空気は、旅の疲れを優しく癒やしてくれるでしょう。

    自然の造形美に心奪われる絶景ロードトリップ

    グアム南部は、まさに絶景の宝庫。レンタカーで海岸沿いの道を走るロードトリップは、最高の体験です。

    ウマタックからメリッソへ向かう途中にある「セッティ湾展望台(Cetti Bay Overlook)」からは、緑深い谷間と、そこに抱かれるように広がる穏やかなセッティ湾のパノラマを一望できます。複雑な海岸線とジャングルの緑、そして海の青が織りなすダイナミックな景観は、思わず車を停めて見入ってしまうほどの美しさです。

    東海岸に回り、イナラハン(Inarajan)地区まで来ると、自然が作り出した海水プール「イナラハン自然プール(Inarajan Natural Pool)」があります。外洋から流れ込んだ海水が岩礁によってせき止められてできた天然のプールは、波が穏やかで、地元の子供たちの格好の遊び場となっています。飛び込み台も設置されており、冒険心あふれるローカルたちに混じって、天然のプールで泳いでみるのも楽しい経験です。

    アプラ港でアクティブに海を楽しんだ後、南部の村々を巡り、雄大な自然に抱かれる。この二つの体験を組み合わせることで、あなたのグアムの旅は、単なるリゾート滞在から、この島の歴史と文化、自然の奥深さに触れる、忘れられない「物語」へと昇華するはずです。アプラ港は、その物語の始まりを告げる、魔法の扉なのかもしれません。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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