どこまでも続く青い空と、パームツリーのシルエット。乾いた風に混じる潮の香りと、街に満ちるクリエイティブな熱気。ロサンゼルス(LA)は、単なるアメリカ西海岸の一都市ではありません。ここは、世界中の夢追い人が集まり、エンターテインメント、アート、ファッション、そしてライフスタイルの最先端が生まれる場所。「天使の街(The City of Angels)」という愛称が示すように、訪れる人々の心を捉えて離さない、不思議な引力と輝きに満ちています。
映画のワンシーンに迷い込んだかのような高揚感、ビーチで過ごすリラックスした時間、美術館で出会うインスピレーション、そして世界中の味が集まる美食体験。LAの魅力は、ひとつの言葉では到底語り尽くせません。広大なこの街は、訪れるエリアによって全く異なる顔を見せ、まるでカメレオンのようにその表情を変えます。だからこそ、旅の計画には少しだけコツが必要です。
この記事では、旅サイトのプロライターである私が、定番の観光地からローカルが愛する隠れた名所、最新のグルメ事情から実践的な旅のヒントまで、私の持てる知識と情熱のすべてを注ぎ込み、あなたのLA旅行を「最高の体験」にするための完全ガイドをお届けします。さあ、ページをめくるように、この太陽と夢が交差する街への旅を始めましょう。あなたの知らないロサンゼルスが、きっとここにあるはずです。
エンターテインメントの聖地を歩く – ハリウッド&ビバリーヒルズ
ロサンゼルスと聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「ハリウッド」ではないでしょうか。ここは、映画産業の中心地として世界にその名を轟かせ、今もなお、数多のスターが生まれ、伝説が紡がれる場所。憧れのスターに思いを馳せながら、きらびやかな世界の中心を歩いてみましょう。
ハリウッド:夢のファクトリーの中心へ
ハリウッドの中心を貫く大通り、ハリウッド・ブルバード。ここが、すべての始まりの場所です。足元に目を向ければ、エンターテインメント業界で功績を残した人物の名前が刻まれた星形のプレートが、延々と続いています。これこそが、有名な「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム」です。
ウォーク・オブ・フェームと伝説のシアター
歩道に埋め込まれた星の数は2,700以上。音楽、映画、テレビ、ラジオ、舞台の5つのカテゴリーに分かれています。お目当てのスターの名前を探して歩くだけでも、宝探しのような楽しさがあります。マイケル・ジャクソン、マリリン・モンローといった伝説的なスターから、現代の人気俳優や監督まで、その名前は多岐にわたります。事前に公式サイトで星の場所をチェックしておくと、スムーズに見つけられるでしょう。
そして、ウォーク・オブ・フェームの中でもひときわ異彩を放っているのが、「TCLチャイニーズ・シアター」です。オリエンタルな外観が目を引くこの劇場の前庭には、スターたちの手形、足形、そしてサインが刻まれたセメントタイルがずらり。ジョニー・デップの手形に自分の手を重ねてみたり、『スター・ウォーズ』のC-3POやR2-D2の足跡を見つけたりと、スターの存在をより身近に感じられる特別な場所です。
すぐ隣には、アカデミー賞授賞式の会場として知られる「ドルビー・シアター」がそびえ立ちます。レッドカーペットが敷かれる階段を想像しながら歩けば、気分はまるでハリウッドスター。劇場の内部を見学するツアーも開催されており、普段は見ることのできない舞台裏や、オスカー像が渡されるステージに立つこともできます。映画ファンならずとも、その華やかな雰囲気に圧倒されること間違いありません。
絶景の先に輝くハリウッド・サイン
ハリウッドの丘に白く輝く「HOLLYWOOD」の9文字。この街の象徴であるハリウッド・サインは、ぜひ写真に収めたいスポットです。サインを美しく撮影できる場所はいくつかありますが、最も手軽で人気なのが、ショッピングモール「オベーション・ハリウッド(旧ハリウッド&ハイランド)」の連絡通路です。ここからなら、遠景にサインを望む、いかにもハリウッドらしい一枚が撮影できます。
もっと間近でサインの迫力を感じたいアクティブな方には、ハイキングがおすすめです。グリフィス公園内にはいくつかのハイキングトレイルがあり、サインの裏側まで行くことができます。汗を流してたどり着いた場所から見下ろすロサンゼルスの街並みは、まさに絶景。ただし、サインの文字に直接触れることは法律で禁止されているので、フェンスの中からその姿を楽しみましょう。
ビバリーヒルズ:ラグジュアリーが薫る街
ハリウッドの西に隣接するビバリーヒルズは、洗練されたラグジュアリーな空気が流れる、世界屈指の高級住宅街です。手入れの行き届いた街路樹、壮麗な邸宅、そして世界の一流ブランドが軒を連ねるショッピングストリート。歩いているだけで、優雅な気分に浸れるエリアです。
ロデオドライブでウィンドウショッピング
ビバリーヒルズの心臓部とも言えるのが、「ロデオドライブ」。シャネル、グッチ、ティファニーといったトップブランドの旗艦店が並ぶ、わずか3ブロックほどの通りです。実際にショッピングを楽しむのはもちろん、美しいショーウィンドウを眺めながら歩くだけでも、まるでファッション誌の世界に迷い込んだかのよう。映画『プリティ・ウーマン』の舞台としても有名で、ジュリア・ロバーツが颯爽と歩いたシーンを思い浮かべる人も多いでしょう。
石畳が美しい「ツー・ロデオ・ドライブ」は、ヨーロッパの街角のような雰囲気で、特に写真映えするスポットです。カフェで一休みしながら、行き交う人々を眺めるのもまた一興。運が良ければ、高級車から降りてくるセレブリティの姿を目撃できるかもしれません。
憧れの豪邸と緑豊かな公園
ビバリーヒルズといえば、セレブリティが暮らす豪邸も気になるところ。個人で邸宅を訪れることはできませんが、「セレブ豪邸巡りツアー」に参加すれば、スターの家を車窓から眺めることができます。誰がどこに住んでいるのか、ゴシップを交えながらガイドが案内してくれるツアーは、エンターテインメント性も抜群です。
散策に疲れたら、「ビバリー・ガーデンズ・パーク」で一息つきましょう。ここには有名な「Beverly Hills」のサインがあり、絶好の記念撮影スポットとなっています。ヤシの木と色とりどりの花々に囲まれた美しい公園で、ロサンゼルスの強い日差しを避けながら、ビバリーヒルズのゆったりとした時の流れを感じてみてください。
太陽と自由の風を感じて – サンタモニカ&ベニスビーチ
ロサンゼルスの魅力は、なにも都心だけではありません。太平洋に面したビーチエリアは、都会の喧騒から離れ、カリフォルニアらしい解放感を満喫できる最高の場所。特に、サンタモニカとベニスビーチは、隣接しながらも全く異なる個性を持つ、必訪のエリアです。
サンタモニカ:洗練された海辺のリゾート
古き良きアメリカの雰囲気を残しつつも、洗練されたお洒落な空気が漂うのがサンタモニカです。家族連れからカップルまで、誰もが安心して楽しめるこの街は、LA観光の拠点としても人気があります。
サンタモニカ・ピアのノスタルジー
サンタモニカのシンボルといえば、海に向かって伸びる木造の桟橋「サンタモニカ・ピア」。100年以上の歴史を持つこのピアの上には、小さな遊園地「パシフィック・パーク」があります。太陽光で動く観覧車からは、どこまでも続く海岸線とロサンゼルスの街並みを一望でき、特に夕暮れ時はロマンチックな雰囲気に包まれます。
ピアの先端には、アメリカ大陸を横断する旧国道「ルート66」の終点を示す看板「End of the Trail」が立っています。シカゴから約3,800kmに及ぶ長い旅路の終わりを告げるこの場所は、多くの旅人にとって感慨深い記念撮影スポット。歴史に思いを馳せながら、太平洋の雄大な景色を眺めてみてはいかがでしょうか。
ショッピングとグルメの天国
ビーチ沿いでのんびりした後は、ショッピングストリート「サード・ストリート・プロムナード」へ。ここは歩行者天国になっており、人気のアパレルブランドから雑貨店、レストラン、映画館までが軒を連ねます。腕利きのストリートパフォーマーたちが披露する音楽やダンスも、この通りの名物。常に活気に満ちあふれ、歩いているだけで心が躍ります。
もう少し落ち着いた雰囲気でショッピングや食事を楽しみたいなら、メインストリートへ。ここには、お洒落なセレクトショップやオーガニック系のカフェ、人気のレストランが集まっています。ファーマーズマーケットも定期的に開催され、新鮮な野菜や果物、ローカルフードを味わうことができます。
ベニスビーチ:自由とアートが爆発する場所
サンタモニカからビーチ沿いを南に歩くか、自転車で15分ほど。そこに広がるのが、ベニスビーチです。サンタモニカの洗練された雰囲気とは対照的に、ここは自由で、少しワイルドで、強烈な個性が渦巻く場所。LAのサブカルチャーを肌で感じたいなら、絶対に外せません。
ボードウォークが生み出すカオスな魅力
ベニスビーチの主役は、約2.5kmにわたって続く「オーシャン・フロント・ウォーク」、通称ボードウォークです。ここを歩けば、ベニスのすべてが分かると言っても過言ではありません。
まず目に飛び込んでくるのは、世界的に有名な「ベニス・スケートパーク」。レベルの高いスケーターたちが、次々と華麗な技を繰り出す様子は、見ているだけで圧巻です。その隣には、屈強な男たちがトレーニングに励む屋外ジム「マッスルビーチ」。アーノルド・シュワルツェネッガーもここで汗を流したと言われています。
ボードウォーク沿いには、奇抜なアート作品を売る露店、タトゥーショップ、ヘンプ(麻)製品の店、そして個性的なストリートパフォーマーたちがずらり。占い師、ヘビを首に巻いた男、ギターをかき鳴らすシンガー。その混沌としたエネルギーこそが、ベニスビーチの魅力なのです。
静寂のベニス・キャナルとお洒落なアボット・キニー
喧騒のボードウォークから少し内陸に入ると、まるで別世界のような静かなエリアが広がっています。それが「ベニス・キャナル歴史地区」。イタリアのヴェネツィアを模して造られたこの地区には、美しい水路が流れ、その両脇には個性豊かで可愛らしい家々が並んでいます。アーチ状の橋を渡りながら散策すれば、穏やかでロマンチックな時間を過ごせるでしょう。
さらに、ベニスビーチで今最もホットな通りが「アボット・キニー・ブルバード」です。かつてはアーティストの居住区でしたが、近年お洒落なブティックや高感度なセレクトショップ、人気のレストランやカフェが次々とオープンし、「アメリカで最もクールな通り」と称されるようになりました。最新のLAトレンドを感じながら、ショッピングや食事を楽しむのに最適な場所です。
ダウンタウンLAのルネッサンス – 歴史、アート、グルメの交差点
かつては「ビジネス街で夜は危険」というイメージが強かったダウンタウン・ロサンゼルス(DTLA)ですが、ここ10年ほどの再開発により、LAで最もエキサイティングなエリアへと変貌を遂げました。歴史的な建築物と最新のアートが見事に融合し、食通を唸らせるグルメシーンも充実。今のLAを知る上で、DTLAは絶対に外せないエリアです。
アートと建築が彩る街
DTLAの魅力は、その建築物の多様性にあります。歴史を感じさせる重厚なビルと、未来的なデザインの最新建築が隣り合って存在する風景は、歩いているだけで刺激的です。
ウォルト・ディズニー・コンサートホールとザ・ブロード
DTLAのランドマークといえば、建築家フランク・ゲーリーが設計した「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」。波打つようなステンレスの外観は、見る角度によって表情を変え、まるで巨大な彫刻のようです。ロサンゼルス・フィルハーモニックの本拠地であり、音響効果も世界最高レベル。コンサートを鑑賞するのはもちろん、その独創的な建築美を外から眺めるだけでも価値があります。
その向かいに立つのが、現代美術館「ザ・ブロード」です。ハニカム(蜂の巣)のような白い外観が特徴的で、アンディ・ウォーホルやジェフ・クーンズ、草間彌生といった戦後・現代アートの巨匠たちの作品を無料で鑑賞できます。特に、草間彌生の「インフィニティ・ミラールーム」は、万華鏡の中にいるような幻想的な体験ができるとあって、事前予約が必須の人気展示です。
歴史的建造物とストリートアート
DTLAには、古き良き時代の面影を残す歴史的建造物も数多く残されています。中でも「ブラッドベリー・ビルディング」は必見。外観は平凡なオフィスビルですが、一歩足を踏み入れると、自然光が降り注ぐ壮麗な吹き抜け、美しい鉄製の手すりやオープンケージのエレベーターが織りなす空間に息をのみます。映画『ブレードランナー』のロケ地としても有名で、そのレトロフューチャーな雰囲気に浸ることができます。
一方、DTLAの東側に位置する「アーツ・ディストリクト」は、その名の通り、街全体がアートギャラリーのようなエリアです。かつての倉庫街がアーティストたちのアトリエやギャラリーに生まれ変わり、壁という壁が巨大なキャンバスとなって、色鮮やかなストリートアート(ミューラル)で埋め尽くされています。お気に入りのアートを探しながら街を歩き、お洒落なカフェで休憩するのが、このエリアの楽しみ方です。
世界の味が集まる食のワンダーランド
DTLAは、LA屈指のグルメエリアでもあります。多種多様な人種が集まるこの街らしく、世界中の本格的な味を手軽に楽しむことができます。
グランド・セントラル・マーケットの活気
1917年から続く歴史ある屋内市場「グランド・セントラル・マーケット」は、DTLAの胃袋を支える場所。ネオンサインが輝く活気あふれる市場内には、老舗のメキシコ料理店から、人気のラーメン店、行列のできるエッグサンドイッチ店「Eggslut」、本格的なタイ料理、クラフトビールバーまで、約40もの屋台がひしめき合っています。何を食べようか迷いながら歩くだけでも楽しく、ローカルに混じって様々な味をつまむのが最高の贅沢です。
リトルトーキョーとチャイナタウン
DTLAには、アメリカ最大級の日本人街「リトルトーキョー」も存在します。本格的な寿司やラーメンはもちろん、日本のスーパーや書店、文化施設もあり、アメリカにいながら日本の空気を感じられる場所です。全米日系人博物館では、日系移民の歴史を深く学ぶことができます。
また、赤いランタンが印象的な「チャイナタウン」もすぐ近く。飲茶(ヤムチャ)の名店や、本格的な中華料理をリーズナブルに味わえるレストランが数多くあります。エキゾチックな門や建物を眺めながら、異国情緒あふれる散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。
知的好奇心と絶景を求めて – LAを象徴する丘の上の名所
ロサンゼルスの魅力は、平地に広がる街並みだけではありません。丘の上には、この街の知性と美しさを象徴するような、素晴らしい場所が点在しています。少し足を延ばして、息をのむような絶景と世界レベルのアートに出会いに行きましょう。
グリフィス天文台:星空と街の灯りが交わる場所
ハリウッドの丘の上に白く輝くドーム。それが「グリフィス天文台」です。映画『理由なき反抗』や『ラ・ラ・ランド』のロマンチックなシーンの舞台としてあまりにも有名ですが、その魅力は映画のロケ地というだけにとどまりません。
昼と夜で変わるパノラマビュー
グリフィス天文台の最大の魅力は、何と言ってもそのロケーションです。展望台からは、西に太平洋、東にダウンタウンLAの高層ビル群、そして正面にはハリウッド・サインという、ロサンゼルスのすべてを凝縮したかのような大パノラマが広がります。
日中の青空の下で見る景色も素晴らしいですが、この場所が真価を発揮するのは日没後。太陽が水平線に沈み、空がオレンジから深い藍色へと変わるにつれて、眼下の街にひとつ、またひとつと灯りがともり始めます。やがて、目の前には無数の光が広がり、まるで宝石を散りばめたベルベットの布のような、感動的な夜景が現れます。この夜景を見るためだけに、LAを訪れる価値があると言っても過言ではありません。
宇宙の神秘に触れる
天文台の内部は、宇宙の神秘に触れることができる魅力的な展示で満たされています。フーコーの振り子やテスラコイルの実演、惑星や銀河に関する展示は、子供から大人まで楽しめます。そして、ハイライトは「サミュエル・オシン・プラネタリウム」。最新鋭のプロジェクターが映し出す満天の星空は、まるで本当に宇宙を旅しているかのような没入感を味わえます。入場料が無料(プラネタリウムは有料)というのも嬉しいポイントです。
ゲティ・センター:丘の上の芸術の城
サンタモニカ山脈の高台にそびえ立つ「ゲティ・センター」は、美術館の概念を覆す場所です。ここは、美術品、建築、そして庭園が一体となった、まさに「芸術の城」。石油王ジャン・ポール・ゲティの莫大なコレクションを収蔵するこの場所は、訪れる人々に至高の美的体験を約束してくれます。
トラムで向かう非日常空間
ゲティ・センターへのアプローチは、麓の駐車場から専用のトラムに乗って丘を登るという、ユニークなもの。この時点から、日常を離れて特別な場所へ向かう高揚感が高まります。トラムを降りると、建築家リチャード・マイヤーが設計した、トラバーチン(大理石の一種)をふんだんに使った白亜の建物群が目に飛び込んできます。カリフォルニアの強い日差しを浴びて輝くその姿は、神殿のようでもあり、未来の都市のようでもあります。
光と緑に満ちたアート体験
コレクションは、中世から近代までのヨーロッパ絵画、彫刻、装飾美術が中心で、ゴッホの『アイリス』やモネの『積みわら』といった珠玉の名品を、ゆったりとした空間で鑑賞することができます。しかし、ゲティ・センターの魅力は美術品だけではありません。
建物の間からはロサンゼルスの街並みや太平洋を一望でき、敷地内を散策するだけでも楽しめます。特に、アーティストのロバート・アーウィンが設計した「セントラル・ガーデン」は圧巻。幾何学的なデザインと自然の植物が見事に調和し、迷路のような小道を歩きながら、季節の花々や水の音に癒される、瞑想的な空間です。アート鑑賞に疲れたら、カフェのテラスで景色を眺めながら休憩する。そんな贅沢な時間の使い方が、ここゲティ・センターでは可能です。
LAグルメのるつぼ – 味わうべきカリフォルニアの味
ロサンゼルスは、世界中から人々が集まる多民族都市。その多様性は、食文化にも色濃く反映されています。最先端の高級レストランから、B級グルメのフードトラック、健康志向のオーガニックカフェまで、LAの食のシーンは常に進化し、刺激に満ちています。
カリフォルニアを象徴する味
まずは、LAを訪れたら絶対に外せない、カリフォルニアならではの味からご紹介しましょう。
ファストフードの王様「In-N-Out Burger」
カリフォルニア生まれのハンバーガーチェーン「In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)」。冷凍食材を一切使わず、新鮮な素材だけで作るシンプルなメニュー構成ながら、その味は絶品。地元民から絶大な支持を得ており、多くのハリウッドスターもファンを公言しています。メニューには載っていない「アニマルスタイル」や「プロテインスタイル」といった裏メニューも有名。LAに来たら、まず一度はこの味を体験してみてください。
フードトラックカルチャーの発信地
LAの食文化を語る上で欠かせないのが、フードトラックです。中でも、韓国焼肉とメキシコのタコスを融合させた「Kogi BBQ」は、LAのフードトラックブームの火付け役。SNSで出店場所を告知するという新しいスタイルも話題を呼びました。現在では、ピザ、寿司、クレープ、ロブスターロールなど、ありとあらゆるジャンルのフードトラックが街の至る所に出没します。アートイベントやファーマーズマーケットで、お気に入りの一台を見つけるのも旅の醍醐味です。
ヘルシー&オーガニック志向
健康とウェルネスへの意識が高いカリフォルニアでは、オーガニック食材やヴィーガン(完全菜食主義)料理も日常に溶け込んでいます。新鮮な野菜や果物をふんだんに使ったサラダボウル、コールドプレスジュース、アサイーボウルなどを提供するカフェが至る所にあり、美味しくて体にも優しい食事を手軽に楽しむことができます。旅で疲れた胃を休めたい時にもぴったりです。
世界の本格料理を味わい尽くす
LAでは、世界旅行をしているかのように、各国の本格的な料理を味わうことができます。
本場の味、メキシカンフード
メキシコと隣接していることもあり、LAのメキシカンフードは安くて本格的。特にタコスはLAのソウルフードです。小さなトルティーヤに様々な具材を乗せたストリートタコスは、1つ数ドルから楽しめます。アル・パストール(豚肉のスパイス焼き)、カルネ・アサダ(牛肉のグリル)など、種類も豊富。イーストLAやダウンタウンの屋台で、ローカルに混じって頬張るタコスは格別の味です。
コリアタウンの熱気と旨味
全米最大のコリアンタウンがLAにあります。ここでは、24時間営業の焼肉店や、スンドゥブチゲ(豆腐の辛い鍋)、冷麺、ビビンバなど、本場さながらの韓国料理を堪能できます。特に、週末の夜は多くの若者で賑わい、その熱気と美味しい匂いに食欲がそそられます。
多国籍料理の探求
LAの食の探求はこれだけでは終わりません。タイタウンの本格タイ料理、リトルエチオピアのエチオピア料理、アルメニア人コミュニティのあるグレンデールのケバブなど、少し足を延せば、日本ではなかなか味わえないような、ディープで本格的な食体験が待っています。
ショッピング天国LA – トレンドからヴィンテージまで
最先端のファッションが集まるロサンゼルスは、買い物好きにとってまさに天国。高級ブランドが並ぶストリートから、巨大なショッピングモール、個性的な古着屋まで、あらゆるニーズに応えてくれるショッピングスポットが揃っています。
モール&アウトレットで効率的に
一日中ショッピングを楽しみたいなら、すべてが揃うショッピングモールが便利です。
ザ・グローブの開放感
「ザ・グローブ」は、屋外型のショッピングモールで、その美しい街並みが人気です。敷地内を走るレトロなトロリー、音楽に合わせて踊る噴水など、まるでテーマパークのような雰囲気。人気のアパレルブランドやデパート、Apple Storeなどが揃い、映画館やレストランも充実しています。散歩気分でショッピングを楽しめる、LAらしいスポットです。
巨大アウトレットで宝探し
少し足を延ばしてでも行く価値があるのが、郊外のアウトレットモールです。ロサンゼルスから車で1時間ほどの「カマリロ・プレミアム・アウトレット」や、さらに東にある砂漠のオアシス「デザートヒルズ・プレミアム・アウトレット」は、広大な敷地に数百のブランドが集結。憧れのブランド品が驚きの価格で手に入ることも。レンタカーを借りて、一日がかりで訪れたい場所です。
個性を探すストリートショッピング
LAのファッションの面白さは、ストリートにこそあります。自分だけの掘り出し物を見つけに行きましょう。
メルローズ・アベニューの今
ピンクの壁で有名な「ポール・スミス」がある「メルローズ・アベニュー」は、LAのストリートファッションを象徴する通りです。高級ブランドから、個性的なセレクトショップ、そして膨大な数のヴィンテージショップ(古着屋)が軒を連ねます。パンクやロックのテイストが強いエリアから、洗練されたデザイナーズブランドが集まるエリアまで、歩くごとに雰囲気が変わるのも面白いところ。時間をかけてじっくりと古着をディグ(探す)すれば、唯一無二のアイテムに出会えるはずです。
アボット・キニー・ブルバードの洗練
ベニスビーチにある「アボット・キニー・ブルバード」は、前述の通り、今LAで最もお洒落な通りとして注目されています。ローカルのデザイナーによるブティックや、高感度なライフスタイルショップ、アートギャラリーなどが並び、洗練された西海岸のボヘミアンスタイルを感じることができます。歩き疲れたら、行列のできるアイスクリーム店「Salt & Straw」で、ユニークなフレーバーを試してみては。
旅をスムーズにする実践的アドバイス
最後に、広大なロサンゼルスを快適に旅するための、実践的なヒントをいくつかご紹介します。
交通手段を賢く選ぶ
LA観光の最大の鍵は、移動手段です。
- レンタカー: 最も自由度が高く、効率的に広範囲を観光できるのがレンタカーです。特に郊外のアウトレットやビーチに行く際には威力を発揮します。ただし、世界的に有名な交通渋滞、慣れないフリーウェイの運転、そして高額な駐車料金は覚悟が必要です。
- ライドシェア(Uber/Lyft): 数人での移動や、短距離の移動に非常に便利です。アプリで簡単に呼ぶことができ、料金もタクシーより安い場合が多いです。駐車場の心配もいりません。
- 公共交通機関(メトロ): ダウンタウン、ハリウッド、サンタモニカといった主要な観光地は、メトロ(地下鉄・ライトレール)で結ばれています。渋滞知らずで安価に移動できるのが魅力。TAPカードというICカードを購入すると便利です。ただし、路線網はまだ発展途上で、夜間の利用や駅周辺の治安には注意が必要です。
気候と服装について
LAは年間を通して温暖な気候ですが、「一日の中に四季がある」と言われるほど、朝晩と日中の寒暖差が激しいのが特徴です。日中はTシャツで過ごせても、日が落ちると急に肌寒くなることがよくあります。夏でも薄手のジャケットやパーカーなど、羽織るものを一枚持っていくと安心です。日差しは非常に強いので、サングラス、帽子、日焼け止めは必須アイテムです。
治安に関する注意点
多くのエリアは安全に観光できますが、残念ながら治安が良いとは言えないエリアも存在します。特に、ダウンタウンの「スキッド・ロウ」周辺には絶対に近づかないでください。また、夜間の一人歩きや、貴重品を見える場所に置いたまま車を離れるといった行為は避けるべきです。人通りの少ない場所には行かない、常に周囲に気を配るといった、海外旅行の基本的な注意を怠らないようにしましょう。
あなただけのLAストーリーを紡ぐ旅へ
ここまで、ロサンゼルスの多様な魅力を駆け足で巡ってきました。しかし、この記事で紹介できたのは、この広大な街が持つ魅力のほんの一部に過ぎません。
ハリウッドの喧騒の中でスターの夢に触れ、サンタモニカの夕日に心を奪われる。ダウンタウンのアートに刺激を受け、ゲティ・センターの丘の上で静寂に包まれる。フードトラックのタコスに舌鼓を打ち、メルローズの古着屋で自分だけの宝物を見つける。
ロサンゼルスは、訪れる人それぞれに、全く違う物語を用意してくれる街です。あなたの興味や好奇心が、あなただけの旅のルートを描き出します。この街には、決まった正解などありません。あるのは、無限の可能性と、夢を追いかけることを肯定してくれる、どこまでも広がる青い空だけです。
さあ、地図を片手に、自分だけのLAストーリーを探す旅に出かけませんか。きっとそこには、あなたの人生の1ページを鮮やかに彩る、忘れられない体験が待っているはずです。





