MENU

キューバの至宝、H. Upmannを巡る旅:歴史、味わい、そして極上の一本と出会う方法

世界中の空港を駆け巡り、束の間の休息に私が求めるのは、決まって一杯のラムと一本の葉巻です。それは単なる嗜好品ではなく、その土地の歴史や文化、人々の情熱が凝縮された、まさに「時間のアート」。数多ある葉巻ブランドの中でも、私の心を捉えて離さないのが、キューバの至宝と称される「H. Upmann(エイチ・アップマン)」です。

その洗練された味わいと、背後にあるドラマティックな物語は、多忙な日々の喧騒を忘れさせ、思考をクリアにしてくれる特別な存在。今回は、ビジネスの合間に何度も足を運んだキューバ、特にハバナの記憶を辿りながら、H. Upmannの奥深い世界へと皆様をご案内したいと思います。この一本の葉巻が、いかにして生まれ、世界中の愛好家を虜にしてきたのか。そして、あなたが最高のH. Upmannと出会うための具体的な方法まで、余すところなくお伝えしましょう。ハバナの旧市街、コロニアル様式の建物が並ぶ一角に、その歴史の息吹は今も静かに佇んでいます。

キューバの魅力はH. Upmannだけではなく、クラシックカーと葉巻が彩る独特の世界観にも溢れています。

目次

H. Upmannの魂に触れる旅の始まり

h-upmann-no-tamashii-ni-fureru-tabi-no-hajimari

キューバの首都ハバナ。空港に降り立つとすぐに、湿気を含んだ熱気と、どこからともなく聞こえてくる陽気なソン(キューバ音楽)が五感を刺激します。埃を巻き上げながらも誇らしげに走るクラシックカーが行き交う街並みは、まるで時が止まったかのような趣があります。この街の空気には、甘く芳ばしい葉巻の香りが混じり合っているように感じられるのは、私だけではないでしょう。

葉巻はキューバの文化そのものであり、街角のカフェやホテルのテラスで、人々は自然な流れで葉巻を燻らせながら語らい、人生を楽しんでいます。その中でもH. Upmannは、特にエレガントで知的な雰囲気を漂わせるブランドです。派手さは控えめですが、その一口に込められた複雑で繊細な味わいは、まさに通を唸らせる逸品です。私の旅は、いつもハバナ旧市街にある国営の葉巻専門店「La Casa del Habano」から始まります。ここは世界中のシガー愛好家にとっての聖地であり、ずらりと並んだ木箱の中からH. Upmannのクレイト(木箱)を見つけ出す瞬間は、毎回胸を高鳴らせてくれます。

銀行家が愛した煙の芸術品 – H. Upmannの起源と栄光

H. Upmannの歴史は、多くのキューバ産葉巻ブランドとは異なる、独特の背景を持っています。その物語は、葉巻への深い愛情を持った一人のドイツ人銀行家に端を発しています。

ヘルマン・アップマンの熱意

1844年、ドイツ出身の銀行家ヘルマン・アップマンは、業務の一環でキューバ・ハバナに赴きました。もともと葉巻をこよなく愛していた彼は、キューバの地でその情熱を一層強めます。ハバナの葉巻に魅了された彼は、ヨーロッパにいる友人や家族へそれらを贈るようになりました。やがて、銀行業の傍ら自らの名を冠した葉巻ブランドを立ち上げる決意を固め、こうしてH. Upmannが誕生したのです。

銀行家として培った知識と経験を駆使し、彼は葉巻の製造のみならず、その包装方法にも革新をもたらしました。当時は葉巻が束ねて販売されるのが一般的でしたが、彼は杉の木箱に葉巻を入れて輸出するアイデアを発案します。これは、輸送時の衝撃や乾燥から葉巻を守ると同時に、杉の香りがうつることで熟成を促すという画期的なものでした。今日では当たり前となったこのシダーボックスは、H. Upmannによって初めて導入されたものであり、彼の情熱と創意がブランドの基盤を築きました。

複数の金メダルが示す高品質

ヘルマン・アップマンが追求した卓越した品質は、すぐに世界的な評価を獲得します。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、H. Upmannは国際的な展示会で連続して金メダルを授与されました。その獲得数は少なくとも7つにのぼり、現在もブランドのロゴや箱に誇らしく刻まれています。これらのゴールドメダルは単なる装飾ではなく、創業当初から続く品質への終わりなき追求の証しといえます。ライトからミディアムボディの繊細で上品な味わいは、特にヨーロッパの洗練された市場で高い評価を受け、H. Upmannの名声を不動のものにしました。

キューバ革命と国有化の大波

順調に歩んでいたH. Upmannの歴史にも、大きな変化が訪れます。それが1959年のキューバ革命でした。フィデル・カストロ率いる革命政府は、国内の主要産業を次々と国有化し、葉巻産業も例外ではありませんでした。H. Upmannも多くの個人ブランドと同様にキューバ政府の管理下に置かれ、創業者一族の手元から離れることになりました。しかし、その伝統や技術は守られ続けました。最高品質のタバコを育てる農家、長年の経験を誇るブレンダー、そして「トルセドール」と呼ばれる熟練の巻き職人たちの技が結集し、H. Upmannの精神は受け継がれました。こうして国営ブランドとして新たな歴史を歩み始めたのです。現在私たちが手にするH. Upmannは、革命の激動を乗り越えたまさにキューバの歴史そのものであると言えるでしょう。

一本の葉巻が生まれるまで – ブエルタ・アバホの大地から

from-earth-to-ash-the-journey-of-a-cuban-cigar

H. Upmannの洗練された味わいの源はどこにあるのでしょうか。その答えは、キューバ西部に位置するピナール・デル・リオ州、なかでも「ブエルタ・アバホ」と呼ばれる特別な地域にあります。この地がなければ、ハバナシガーの輝かしい歴史は語れません。

「神に選ばれた土地」ブエルタ・アバホ

世界中に数多くのタバコ産地は存在しますが、ブエルタ・アバホほど葉巻づくりに理想的な環境は他にないと言い切れます。最適な湿度、適度な日照、そして鉄分豊富な赤土。これらの要素が奇跡的な調和を保ち、世界最高峰のタバコ葉を育て上げるのです。H. Upmannに使われる葉も、もちろんブエルタ・アバホ産の中から厳選された最高級品です。ラッパー(外側の巻葉)、バインダー(内側の巻葉)、フィラー(中身の詰葉)それぞれに適した地区で育てられた葉が、あの複雑で深みのある風味を生み出しています。Habanos S.A.公式サイトにも、この原産地呼称の重要性が強調されています。

種まきから収穫までの丁寧な手仕事

タバコ栽培は、膨大な手作業の積み重ねによって成り立っています。種まきは9月から10月にかけて行われ、育った苗は一本ずつ丁寧に畑へと移植されます。葉が成長する間は、脇芽を摘み取り、害虫を手で取り除くなど、細やかな手入れが欠かせません。特にラッパー用の葉は直射日光を避けるため、「タパド」と呼ばれるモスリン布で畑全体を覆い、繊細で滑らかな葉を育てます。収穫は約90日後ですが、一斉に行うわけではなく、下から順に数日おきに2枚ずつ手摘みされます。この手間を惜しまない農家の献身が、何よりの品質の基礎となるのです。

「カサ・デ・タバコ」での乾燥と発酵

収穫された葉は、「カサ・デ・タバコ」と呼ばれる茅葺き屋根の伝統的な乾燥小屋に運ばれます。ここで葉は竿に吊るされ、約50日間かけて自然にゆっくり乾燥されます。この過程で葉は緑色から美しい茶色へと変わり、水分が抜けていきますが、これが終わりではありません。ここからが葉巻の風味を決定づける重要な発酵の段階です。

乾燥後の葉は種類ごとに分けられ、大きな山(ピロン)に積み上げられます。葉に含まれる水分とその下からの圧力によって内部温度が上がり、発酵プロセスが始まります。この発酵により、タールやニコチンなどの不要な成分が減少し、葉巻特有の甘みや芳香が引き出されます。職人たちは山の温度を細心の注意を払って監視し、適切なタイミングでピロンを崩し、再度積み直す作業を何度も繰り返します。この発酵と熟成には、数ヶ月から場合によっては数年にも及ぶ長い時間がかけられます。

職人技の粋を集めたトルセドールの世界

長い熟成を終えた葉は、ハバナの工場へ送られ、そこで葉巻へと姿を変えます。最後の工程を担うのが「トルセドール」と呼ばれる巻き職人たちです。彼らは単なる作業者ではなく、長年の修練で培われた技術と感性を持つまさに芸術家です。

トルセドールは数種類のフィラー葉を巧みに組み合わせ、葉巻の吸い心地(ドロー)が完璧になるよう絶妙なバランスで束ね、バインダーで巻き上げます。そして最後に、絹のように滑らかなラッパーを、芸術品を仕上げるかのように丁寧に巻き付けていきます。この全ての作業は、「チャベタ」と呼ばれる半月状の刃物と植物由来の糊、そして職人の繊細な指先だけを使って行われます。工場の広間では数百人ものトルセドールが静かに集中して作業に取り組み、その傍らではレクター(朗読者)が新聞や小説を読み上げるという、キューバならではの風景が広がっています。この揺るぐことのない伝統と職人の技こそが、H. Upmannの優れた品質を支える最後の砦なのです。

H. Upmannを味わい尽くす – 代表的ビトラ(銘柄)ガイド

H. Upmannの魅力は、その多彩なラインナップにもあります。ここでは、数多くあるビトラ(葉巻のサイズや形状の規格)の中から、特に愛好家に支持されている代表銘柄をいくつかご紹介します。それぞれの特徴とおすすめの楽しみ方をぜひ知ってください。

Magnum 46 – 時代を超えて愛されるクラシック

H. Upmannのコレクションの中でも、象徴的な存在といえるのが「マグナム46」です。リングゲージ46、長さ143mmという堂々たるサイズは、クラシックなコロナ・ゴルダ規格に属します。手にすると、ずっしりとした重みと滑らかなラッパーの感触が期待感を掻き立てます。着火するとまずウッディな香りとほのかな甘みが広がり、燃え進むごとにナッツやコーヒー、そして微かなスパイスのニュアンスが複雑に絡み合います。ミディアムボディで非常にバランスが良く、吸い疲れしにくいのが魅力です。約1時間の贅沢な時間を提供してくれるこの一本は、H. Upmannの入門にも、長年のファンにも期待を裏切らない名作です。静かな夜に、ゆっくり自分と向き合う時間の良きパートナーです。

Magnum 50 – 伝統と現代の融合

2008年にレギュラーラインに加わった「マグナム50」は、より太めのリングゲージ50、長さ160mmというサイズが特徴です。豊かな煙量とクリーミーでマイルドな味わいが多くのファンを惹きつけています。序盤は杉の木やローストナッツの香ばしいアロマが広がり、中盤からはカカオやバニラの甘みが顔を覗かせます。マグナム46と比べると、よりマイルドで親しみやすい印象ながら、H. Upmann特有の複雑さとエレガンスがしっかり宿っています。週末の午後、リラックスした雰囲気で楽しむのにピッタリの一本で、少し甘めのラムやカフェラテと合わせるのもおすすめです。

Sir Winston – チャーチルも愛したであろうエレガンス

その名の通り、偉大な政治家であり熱心なシガー愛好家であったウィンストン・チャーチルに捧げられたブランド最高峰の一本です。チャーチルサイズ(リングゲージ47、長さ178mm)のこのビトラは、最低でも1時間半以上かけてじっくりと味わうためのもの。その味わいはまさにエレガンスの極致。フローラルな香り、柑橘系の爽やかさ、蜂蜜のような甘み、そして土や革のニュアンスが時間とともに変化し続けます。きわめて複雑でありながら、極めてスムーズで洗練された喫味は、他にはない唯一無二の存在感を放っています。特別な記念日や何かを成し遂げた際のご褒美にふさわしい至高の一本です。

Half Corona – 短時間に凝縮された至福

忙しいビジネスパーソンにとって、1時間以上ゆったりと葉巻を楽しむ時間をとるのは難しいこともあります。そんなニーズに応えるのが「ハーフコロナ」です。リングゲージ44、長さ90mmとコンパクトなサイズながら、その味わいは驚くほど豊かです。短時間(約20〜30分)の中でもH. Upmannのエッセンスを存分に味わえるよう巧みにブレンドされています。序盤からナッティーでクリーミーな味わいが広がり、短い時間ながら強い満足感を与えてくれます。出張時の空き時間や食後の一服にぴったりで、常にヒュミドールに常備しておきたくなる頼もしい一本です。

ケネディ大統領と1200本の葉巻 – H. Upmannにまつわる伝説

kennedy-daitouryou-to-1200hon-no-hamaki-h-upmann-ni-matsuwaru-densetsu

H. Upmannの歴史を語る際に欠かせないのが、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領にまつわる有名なエピソードです。この話は、H. Upmannの品質と名声の象徴として、現在も広く語り継がれています。

1962年2月、米ソ冷戦が激化するなか、ケネディ大統領はキューバに対する全面的な禁輸措置に署名する決断を下しました。しかし、彼自身が熱心なキューバ産葉巻のファンでもありました。なかでも特にお気に入りだったのが、H. Upmannの「Petit Upmann(現在のHalf Coronaに近いサイズ)」だと言われています。

署名を翌日に控えた夜、ケネディは側近のピエール・サリンジャーを呼び寄せ、こう指示しました。「明日の朝までに、できるだけ多くのキューバ産葉巻を集めてきてほしい。最低でも1000本は必要だ」と。サリンジャーはワシントン中のタバコ店を駆け回り、翌朝には見事に1200本のPetit Upmannを手配して大統領に報告しました。ケネディは満足そうに微笑むと、デスクの引き出しから禁輸措置の文書を取り出し、躊躇なく署名したと伝えられています。この逸話は、一国の大統領であっても抗いがたい魅力を持つキューバ葉巻、特にH. Upmannの価値を雄弁に物語っています。

【実践ガイド】キューバで本物のH. Upmannを手に入れる

キューバ訪問の最大の魅力の一つは、やはり現地で本場の葉巻を手に入れることです。しかし、そのためには適切な知識と準備が不可欠です。ここでは、あなたが最高のH. Upmannと出会うために必要な具体的な手順をご案内します。

キューバ渡航の準備と注意点

まず、キューバへ渡航する際には「ツーリストカード」が必須です。これはビザの代わりとなり、キューバ大使館や旅行代理店、航空会社のカウンターなどで取得可能です。渡航前にあらかじめ用意しておくことを強く推奨します。

通貨はキューバ・ペソ(CUP)で統一されていますが、両替には注意が必要です。米ドルからの両替は手数料が高くつくことが多いため、ユーロやカナダドルを持参するのが一般的です。クレジットカードは高級ホテルや一部の国営店のみでの利用が中心で、特にアメリカ発行のカードは使用できない場合が多いため、現金を中心に準備するのが賢明です。

インターネット環境は日本ほど快適ではありません。一般的には公衆Wi-Fiスポットで「ETECSA」のWi-Fiカードを購入して接続しますが、通信速度は遅く、接続が不安定なことも多いです。重要な情報はあらかじめオフラインで保存しておくことをおすすめします。

ハバナで立ち寄るべきスポット – La Casa del Habano

本格的なキューバ産葉巻を入手するなら、国営の葉巻専門店「La Casa del Habano(LCDH)」以外に適当なところはありません。街中には偽物を売りつける勧誘者(ヒネテロ)が多くいますが、彼らの誘いには絶対に応じないようにしましょう。路上で売られている葉巻の多くは、バナナの葉などで作られた粗悪な偽物です。

LCDHはハバナ市内の主要なホテルや観光地に店舗を構えています。温度や湿度が完璧に管理されたウォークインヒュミドールを備えており、知識豊富なスタッフが常駐しているため、安心して購入できます。特に、旧パルタガス工場隣接の店舗やホテル・ナシオナル・デ・クーバ内の店舗は品揃えが充実していて有名です。

葉巻購入の流れとマナー

LCDHに入店したら、まずは焦らずにウォークインヒュミドールをゆっくり見て回ってください。H. Upmannの棚を見つけたら、気になるビトラの箱を手に取ってみましょう。スタッフに声をかければ、箱を開けて中の葉巻を見せてくれます。葉巻の色(ラッパーの色合い)が均一かどうか、キズや斑点がないか、巻きがしっかりとしているかを確認しましょう。

基本的には25本入りの箱買いが一般的ですが、多くの店舗では1本単位でのバラ売りも対応してくれます。複数の種類を試したい場合はバラでの購入も良いでしょう。購入する葉巻が決まったら、スタッフに伝えて支払いをします。その際、必ず正規の領収書(Factura)を発行してもらうことが重要です。これは後述する税関での持ち出し手続きに欠かせません。

本物と偽物を見極めるための重要ポイント

LCDHで購入すれば問題はほとんどありませんが、本物の見分け方を知っておくことが大切です。

  • 政府保証シール: 箱には緑色の政府保証シールが貼られており、ここにはマイクロ文字やホログラム、固有のバーコードが印刷されています。Habanos S.A.公式サイトでバーコードを入力すれば真偽を確認できます。
  • 箱の刻印: 箱の底には製造工場と製造年月を示すスタンプが押されており、これも偽物を見分けるポイントとなります。
  • 葉巻本体: 本物のハバナシガーはラッパーの色合いが均一で、巻きがしっかりしています。灰は白くて固まっており、容易に崩れません。偽物は作りが粗雑で、すぐに形が崩れてしまいます。

キューバからの葉巻持ち出しに関する規制

キューバから葉巻を持ち出す際には厳格なルールがあります。これを知らないと、購入した葉巻を空港で没収される可能性があるため注意が必要です。

  • 領収書なしの場合: 開封済みの葉巻であれば、最大50本まで持ち出すことができます。
  • 領収書ありの場合: 正規店(LCDHなど)が発行した公式の領収書(Factura)を持っていれば、50本を超える数量を持ち出すことも可能です。領収書には購入した葉巻の詳細が記載されている必要があります。持ち出し限度額は5,000CUC(約5,000ドル)相当に設定されていますが、個人利用には十分な量と言えるでしょう。

トラブルを避けるため、必ずLCDHで正規の領収書を受け取り、大切に保管してください。最新の規制については、キューバ税関公式サイトなどで渡航前に必ず確認することをおすすめします。

【実践ガイド】日本でH. Upmannを最高の状態で楽しむために

practical-guide-enjoying-h-upmann-in-japan

キューバ旅行の思い出と共に持ち帰ったH. Upmann。その卓越した味わいを保ち楽しむには、日本国内での適切な管理が欠かせません。

信頼できる正規販売店について

もしキューバへの訪問が難しい場合でも、日本国内の正規販売店でH. Upmannを手に入れることが可能です。百貨店の葉巻コーナーや専門のシガーショップでは、厳密に管理された高品質な葉巻が購入できます。価格はキューバ現地よりやや高くなりますが、品質の確実性と安心感は何よりの価値があります。

葉巻の保管方法 — ヒュミドールの選び方とその管理

葉巻は大変繊細なため、適切な環境下でなければ乾燥して味が損なわれたり、湿度過多でカビが生えることもあります。理想的な保管環境は「温度70°F(約21℃)・湿度70%」とされています。そのために必要なのが、保湿機能を持つヒュミドールと呼ばれる専用ケースです。

ヒュミドールには様々なサイズとデザインがあるものの、初心者は約25〜50本収納できる卓上タイプから始めるのがおすすめです。内部がスパニッシュシダー(スペイン杉)製のものは香りが良く、調湿効果にも優れています。加湿器と湿度計がセットになっているタイプが多く、定期的に精製水(※水道水はカビの原因となるため避ける)を補充し、湿度を70%前後に維持することが大切です。この一手間が葉巻の熟成を促進し、より深い味わいを引き出します。

極上の一服を楽しむためのアクセサリー

葉巻を満喫するには、専用アクセサリーがいくつか役立ちます。これらもまた、シガーライフの質を高める重要なアイテムです。

  • シガーカッター: 吸い口をカットするための道具です。最もポピュラーなのは両刃で真っすぐにカットする「ギロチンカッター」。その他、「パンチカッター」は丸い穴を開け、「Vカッター」はV字状の切り込みを入れます。ラッパーを傷つけずスムーズにカットできる鋭利なカッターを選ぶことが大切です。
  • ライター・マッチ: 葉巻の点火には匂いのないガスを使う「ターボライター」が最適です。オイルライターは臭いが移るため避けましょう。また、硫黄のない先端を持つ「シガーマッチ」を使うのも伝統的で粋な方法です。

H. Upmannを正しく味わうために — カットから点火、味わい方まで

準備が整ったら、いよいよ至福のひとときを体験しましょう。

  • カット: 葉巻のヘッド(丸みのある吸い口側)をカッターで2〜3mm程度、水平に切ります。切り過ぎるとラッパーがほぐれてしまうため注意が必要です。
  • 点火: 葉巻の先端(フット)を直接火に押し付けるのではなく、火を回しながら全体を均一にあぶります。先端が黒く炭化し始めたらゆっくり口に咥え、火を近づけながら数回吸い込み着火させます。
  • 味わい方: 葉巻の煙は肺に吸い込まず、口腔内でゆっくりと味わい、その香りを楽しみます(口腔喫煙)。急いで吸うと過燃焼し辛くなるため、1分に1吸い程度のペースでゆったりと燻らせるのが理想です。H. Upmannの繊細で複雑な味の変化をじっくり堪能してください。
  • 灰の扱い: ハバナシガーの灰は品質の証でもあります。頻繁に落とす必要はなく、2〜3cm程度に伸びたら、灰皿の縁にそっと押し当てて落としましょう。強く叩き落とすのはエレガントさを欠きます。

H. Upmannと最高のペアリングを探求する

H. Upmannの上品な味わいは、多彩な飲み物とのペアリングによって、その魅力が一層際立ちます。理想的な組み合わせを探すことも、シガーを楽しむ大きな喜びのひとつです。

キューバの魂を味わう – ラム酒との絶妙なマリアージュ

キューバ産の葉巻とラム酒の組み合わせは、これ以上にないほど完璧です。特にH. Upmannのライトからミディアムボディの葉巻には、7年熟成の「Havana Club Añejo 7 Años」のような、熟成感がありながらもなめらかなラムがよく合います。ラムの甘みとスパイシーさが、葉巻の木質感やナッツの風味と絶妙に調和し、お互いの良さを引き立て合います。ハバナの夜景を眺めつつ味わうこのペアリングは、何にも代えがたい至福のひとときです。

豊かなコクの共演 – コーヒーとのひととき

朝や午後のひと息には、コーヒーとのペアリングがおすすめです。濃厚なエスプレッソや、ほんの少し砂糖を加えたキューバスタイルのコーヒーは、H. Upmannが持つクリーミーな甘みをいっそう引き立てます。特に「Half Corona」のような短めのビトラとエスプレッソの組み合わせは、短時間で気分をリフレッシュさせ、午後の活力を与えてくれる、私の定番の楽しみ方です。

芳醇な香りの対話 – ウイスキーとともに味わう

よりしっかりとしたペアリングを楽しみたいときは、ウイスキーも素晴らしい選択肢となります。H. Upmannの繊細な風味を損なわないよう、強いピート香を持つスモーキーなタイプよりは、スペイサイドのモルトや、まろやかなバーボンがおすすめです。ウイスキーのバニラやフルーツの香りが、葉巻の複雑なアロマと響き合い、口の中で新たな第三の風味を生み出します。ゆったりと時間をかけて楽しみたい、大人のペアリングです。

H. Upmannの未来 – 伝統と革新の先にあるもの

h-upmann-no-mirai-dentou-to-kakushin-no-saki-ni-aru-mono

1844年の創立から170年以上の歳月を経て、H. Upmannは今なお世界中のシガー愛好家から揺るぎない支持を得続けています。その理由は、ヘルマン・アップマンが打ち立てた品質への徹底的なこだわりと、キューバの豊かな自然環境、そして何世代にもわたり受け継がれてきた職人たちの情熱にほかなりません。

世界は日々急速に変化し、人々のライフスタイルも多様化しています。しかしながら、一巻の葉巻をゆっくりと燻らせながら、自分自身と向き合うひとときの価値は決して色あせることなく存在し続けるでしょう。H. Upmannは、その普遍的な価値をこれからも私たちに届けてくれるに違いありません。それはまるでハバナの夕暮れを思わせるような、温かく穏やかで、奥深い味わいを持つ煙の芸術品そのものです。

次にキューバを訪れる機会に恵まれたとき、あるいは日常の中で少しだけ特別な時間を求めたくなった際には、ぜひH. Upmannを手に取ってみてください。その一服があなたの旅を、そして人生をより豊かで深みのあるものに変えてくれると、私は確信しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いたトラベルライター

外資系コンサルやってます。出張ついでに世界を旅し、空港ラウンジや会食スポットを攻略中。戦略的に旅をしたいビジネスパーソンに向けて、実用情報をシェアしてます!

目次