息をのむほど雄大なロッキー山脈、洗練された多文化都市トロントやバンクーバー、そして歴史の趣が薫るケベック。広大な国土に多様な魅力が詰まったカナダは、一度訪れると誰もがその虜になってしまう国です。私も仕事柄、世界中の都市を訪れますが、カナダの持つ自然と都市の完璧な調和、そして人々の温かさには、いつも心を動かされます。
しかし、その素晴らしい体験を心から満喫するためには、事前の準備と現地のルールへの理解が不可欠です。日本では当たり前のことが、カナダでは思わぬトラブルの原因になることも少なくありません。「これくらい大丈夫だろう」という安易な考えが、罰金や入国拒否といった深刻な事態を招く可能性もゼロではないのです。この国を旅するということは、その国の文化と法律に敬意を払うということ。その心構えが、あなたの旅をより深く、より安全なものにしてくれるでしょう。
この記事では、世界中を飛び回るビジネスマンとしての視点から、カナダ旅行で「知らなかった」と後悔しないために、本当に必要な情報を網羅的に解説します。入国時の必須手続きから、滞在中の細かなマナー、万が一のトラブルへの対処法まで、具体的かつ実践的な内容にこだわりました。単なる禁止事項の羅列ではなく、なぜそのルールが存在するのかという背景まで理解することで、よりスマートに、そして深くカナダを味わうことができるはずです。さあ、最高のカナダ旅行への扉を開く準備を始めましょう。
カナダでの長期滞在を検討されている方は、カナダワーホリ完全ガイドで渡航後の具体的な準備を確認することをおすすめします。
カナダ入国前に知るべき重要事項:電子渡航認証(eTA)と持ち込み制限

カナダ旅行の準備は、航空券や宿泊先の予約だけで終わりません。旅の最初の関門となる「入国手続き」をスムーズに進めるために、必ず押さえておきたい重要なポイントが2つあります。それは、電子渡航認証「eTA」の取得と、厳格な「持ち込み制限」の理解です。これらはカナダが自国の安全と豊かな自然環境をいかに守っているかの証とも言えます。手続きの重要性を軽視せず、十分な準備を心がけましょう。
必須の手続き!電子渡航認証(eTA)の申請方法
日本のパスポート所持者がカナダへ空路で渡航する際、ビザは不要ですが、その代わりに「eTA(Electronic Travel Authorization)」と呼ばれる電子渡航認証の申請が義務付けられています。これはカナダ版の電子ビザのようなもので、渡航前にオンライン上で情報を登録し、認証を取得する仕組みです。陸路や海路での入国時は不要ですが、飛行機での入国には欠かせませんので、必ず準備しておきましょう。
eTAとは何か、なぜ取得が必要なのか
eTAは、カナダ政府がビザ免除国からの渡航者を対象に、入国前に安全審査を実施するために設けた制度です。これにより、保安リスクを抱える人物の入国を未然に防ぎ、入国審査をスムーズに進める狙いがあります。一度取得すれば最長5年間、またはパスポートの有効期限まで有効で、期間内であれば何度でもカナダへ渡航可能です。
【実際にできること】eTA申請の手順と注意点
eTAの申請は完全にオンラインで完結します。手続き自体は非常に簡単ですが、いくつか注意すべきポイントがありますので、順を追って説明します。
- 準備するもの
- 有効なパスポート
- クレジットカード(VISA、MasterCard、American Expressなど。申請料7カナダドルの支払いに利用)
- 自分のメールアドレス
申請の流れ
- まずは必ずカナダ政府の公式サイトから申請ページにアクセスしてください。ネット検索すると高額な手数料を請求する代理申請業者のサイトが多数表示されますが、公式サイトなら7カナダドルで申請が可能です。無駄な費用を避けるために、URLをよく確認しましょう。こちらがカナダ政府eTA公式サイト(日本語)です。
- 申請フォームにパスポート情報(氏名、生年月日、パスポート番号、発行日、有効期限など)や連絡先情報を正確に入力します。入力内容はパスポートの記載と完全に一致している必要があります。特に名前のスペルミスや数字の誤記には十分注意してください。小さなミスで審査が遅れたり申請が拒否されたりする恐れがあります。
- 健康状態や犯罪歴などに関するいくつかの質問に回答します。
- 入力内容を最終確認し、クレジットカードで申請料金7カナダドルを支払います。
- 支払いが完了すると、登録したメールアドレスに申請受領メールが届きます。通常は申請後数分以内に「承認通知メール」が届きますので、このメールに記載されたeTA番号はスクリーンショットや印刷で保管しておくと安心です。
申請するタイミング
多くの場合、申請後すぐに承認されますが、まれに追加書類の提出を求められ、審査に数日かかることもあります。カナダ渡航が決まったらできるだけ早めに申請し、遅くとも出発の72時間前までには手続きを完了させておくことを強くおすすめします。
「うっかり」が大問題に。厳しい持ち込み制限リスト
カナダの税関は、自国の生態系や農業を守るため、非常に厳格な持ち込み規制を設けています。特に食品に関しては、日本からの旅行者が「少しくらいは」と持ち込んだものが、高額な罰金の対象となる事例が後を絶ちません。入国時に提出する税関申告書(多くの場合、空港のキオスク端末で電子申告)では、食品や大金の持ち込みの有無を正直に申告する義務があります。疑わしいものは「持っている」と申告し、税関職員の判断を仰ぐことが最善の対応です。
食品類:特に注意したい肉製品・卵・乳製品
カナダへの食品持ち込みで最も厳しいのは、肉製品、卵、乳製品です。これらは口蹄疫や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病の流入を防ぐため、基本的に持ち込みが禁止されています。
- 具体例
- 肉製品:ビーフジャーキー、ソーセージ、ハム、肉エキス入りのカップ麺やスナック菓子、カレーのルウなど。
- 卵製品:生卵、ゆで卵、卵を主原料とするマヨネーズなど。
- 乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルトなど(一部アメリカ産製品は例外あり)。
微量でも「肉エキス」が含まれていると規制対象になることがあるため、日本から菓子類やインスタント食品を持参する際は、必ず原材料表示を確認する習慣をつけてください。禁止品の申告を怠り発覚した場合は、その場で没収に加え、最高1,300カナダドルの罰金も科される可能性があります。
【実践できるポイント】持ち込み可否の確認方法
どの食品が許可され、どれが禁止されているか迷う際は、カナダ食品検査庁(CFIA)のウェブサイトにある自動情報応答システム(AIRS)を活用しましょう。英語情報ですが、翻訳ツールを使えば十分理解できます。渡航前に必ず持ち込み予定の食品が規制対象でないかをチェックしてください。
現金:1万カナダドル以上の持ち込み・持ち出しについて
テロ資金供与やマネーロンダリング対策のため、カナダでは現金1万カナダドル(または同額の外貨)以上の持ち込みや持ち出しに申告義務があります。現金だけでなく、トラベラーズチェックや国際郵便為替も含まれます。申告しないと全額没収や罰金の対象となるため、該当する金額の現金を持つ場合は税関申告書に必ず正しく記入してください。申告したからといって税金が課されるわけではなく、あくまでも「報告」の義務です。
タバコ・アルコール類:免税範囲を正確に確認
喫煙される方やお酒を愛飲される方にとっては、タバコとアルコールの免税限度額は気になるところでしょう。カナダでは州ごとに飲酒可能な年齢が18歳または19歳に分かれていますが、免税での持ち込みは渡航先の州の法定年齢を満たしている必要があります。
- 一般的な免税枠
- タバコ:紙巻きタバコ200本、もしくは葉巻50本、または刻みたばこ200グラムまで。
- アルコール:ワイン1.5リットル、またはスピリッツ(ウイスキー、ジン等)1.14リットル、またはビール8.5リットル(約24本分)まで。
これらを超えて持ち込む場合は高額の関税や物品税が課せられます。お土産などで日本のタバコや酒類を持参する際は、必ず範囲内であることを守ってください。
その他の注意点:植物、武器、医薬品など
- 医薬品:持病のある方が普段服用している薬は、旅行日数分+余裕分の量であれば基本的に持ち込み可能です。ただし、万が一税関で説明を求められた場合に備え、元の容器に入れたまま持参し、可能なら英文の処方箋や説明書も携帯すると良いでしょう。特に規制成分が含まれていることの多い睡眠薬や精神安定剤には注意が必要です。
- 植物:土の付いた植物や種子、果物などは、外来の病害虫侵入リスクがあるため、持ち込みが厳しく制限されています。
- 武器類:銃器や弾薬、催涙スプレーなどは厳格に規制されており、特別な許可なしに持ち込むことはできません。
カナダ滞在中のルールとマナー:快適な旅のためのエチケット
無事に入国を果たすと、いよいよカナダでの滞在がスタートします。このとき重要なのは、現地の法律や文化、習慣をしっかりと尊重することです。日本とは異なるルールやマナーを理解し実践することで、不要なトラブルを避け、現地の人々とも円滑な関係を築くことができます。ここでは、特に旅行者が注意すべきポイントをいくつか紹介します。
飲酒と喫煙:場所や年齢に関する厳しい規則
日本では比較的寛容に感じられる飲酒や喫煙のルールも、カナダでは非常に厳密に制定されています。違反すると高額な罰金を科されることもあるため、正確な知識を持つことが不可欠です。
公共の場での飲酒は基本的に禁止
カナダの多くの州では、公共の場所での飲酒は法律で禁止されています。日本のように公園でお花見をしながらお酒を楽しんだり、ビーチで飲んだりすることは原則できません。路上や公園、ビーチ、公共交通機関内など、許可されていない場所での飲酒は違法行為にあたります。
- 飲酒が認められる場所
- 認可を受けたレストラン、バー、パブの室内およびパティオ(屋外席)。
- 自宅などの私有地。
- 特定のイベントや祝祭で特別に許可された区域。
アルコール購入にも注意が必要です。お酒は州が運営するリカー・ストア(LCBOなど)や、一部の許可されたスーパーマーケット、ビア・ストアでのみ購入可能です。購入時には年齢確認のためパスポートなど写真付きの身分証明書(ID)を提示することが一般的です。見た目で成人と判断されても提示を求められる場合が多いので、必ず持ち歩くようにしましょう。
喫煙規制は年々厳しくなっている
カナダは健康志向が非常に強く、喫煙に関する規制は年々厳格化しています。受動喫煙防止の観点から、屋内での喫煙はほぼ全面的に禁止されています。
- 喫煙禁止の例
- レストラン、バー、カフェなど飲食店内。
- ショッピングモールやオフィスビル。
- バスや電車、空港などの公共交通機関およびその施設内。
- ホテルの禁煙ルーム(違反すると高額な清掃料金が請求される場合があります)。
屋外だからと言ってどこでも吸えるわけではありません。多くの州や市では建物の出入口や窓、換気口から一定距離(例:9メートル)以上離れて喫煙することが義務付けられています。また、公園やビーチ、スポーツ施設など公共の屋外スペースでの喫煙を禁止する条例が増えてきています。喫煙する場合は必ず指定の灰皿が設置された喫煙エリアを探しましょう。電子タバコ(ベイプ)も、多くのケースで従来のタバコと同様の規制が適用されます。
チップ文化:スマートに感謝を表す支払い方法
北米の旅で避けて通れないのが「チップ」文化です。日本ではなじみが薄いため、戸惑う方も多いでしょう。カナダにおけるチップは法律で義務付けられているわけではありませんが、良質なサービスを提供してくれたスタッフへの感謝を示す、社会に根付いた大切なマナーです。特にサービス業の従業員はチップを前提とした低賃金が多いことから、彼らにとってチップは貴重な収入源になっています。この背景を理解することが、チップ文化を尊重する第一歩です。
- チップを渡す場面と相場の目安
- レストラン(テーブルサービス):税抜き合計金額の15%〜20%程度が一般的です。サービスが非常に良かった場合は20%以上、不満があっても10%程度は渡すのが通例です。全くチップを置かないのは、著しくサービスが悪い場合以外は避けるべきです。
- バーテンダー:ドリンク1杯につき1〜2ドル、または会計額の15%〜20%。
- タクシー:運賃の10%〜15%。
- ホテルのベルスタッフ:荷物1つにつき1〜2ドル。
- ホテルのハウスキーピング:1泊あたり2〜5ドル程度を毎朝部屋を出る際に枕元などに置きます。感謝を伝えるメモを書いて添えると、さらに良い印象を与えます。
- ヘアサロンやスパなど:施術料の15%〜20%。
フードコートやファストフード店、カウンター注文で自分で商品を運ぶ形式の店では、基本的にチップは不要です。
【読者に役立つ情報】クレジットカードでのスマートなチップ支払い方法
現金でチップを渡す場合は、お釣りの小銭やお札をテーブルに置くだけで問題ありませんが、近年はクレジットカードでの支払いが一般的です。以下の手順を把握しておくと、スムーズに感謝の気持ちを伝えられます。
- 会計を依頼すると、店員が請求書(Bill)を持ってきます。
- 支払い方法を伝えると、多くの場合、携帯用のクレジットカード決済端末をテーブルまで運んできます。
- 店員がカードを端末に挿入またはタッチした後、端末にチップ入力画面が表示されます。
- 画面には「Tip %(パーセントで入力)」か「Tip $(金額で入力)」の選択肢があり、通常「15%」「18%」「20%」といったボタンもあります。好みのパーセンテージを選ぶか、任意の金額を入力しましょう。
- チップが加算された最終合計金額が表示されるので、確認して「OK」や「Enter」を押します。
- 続いて暗証番号(PIN)を入力すれば支払い完了です。
この方法を知っておけば、会計時に慌てずにスマートにチップを支払うことができます。
大麻(カンナビス)の合法化と旅行者への注意事項
2018年、カナダは先進国で初めて嗜好用の大麻(カンナビス)を全国的に合法化しました。そのため街中に政府認可の販売店が見られますが、旅行者が安易に捉えるのは非常に危険です。合法とはいえ厳格なルールが存在し、外国人である私たちは特に細心の注意を払う必要があります。
- 年齢制限:合法的に購入・所持・使用できる年齢は州によって18歳または19歳以上に限られています。アルコール同様、購入時に厳格な年齢確認があります。
- 使用場所の制限:大麻の使用が許される場所は限られており、一般的には私有地(自宅など)に限定されます。公共の場所、公園、路上、レストラン、ホテル(指定喫煙室を除く)、特に車内での使用は法律で禁じられています。運転中の使用は絶対に許されず、厳しい罰則が科されます。
- 最大の注意点:国境を越えた持ち出しは禁止
旅行者にとって最も重要なのは、カナダ国内で合法的に購入した大麻製品であっても、それをカナダ国外に持ち出すことは全面的に禁止されていることです。これにはアメリカとの国境越えも含まれます。もちろん、日本へ持ち込むことは日本の大麻取締法違反となり、極めて重い刑罰が科されます。「カナダで合法だからお土産に」という考えは絶対に避けてください。人生を台無しにするリスクを冒す価値は全くありません。
トラブルを未然に防ぐ!安全対策と準備

旅の楽しみは思いがけない出会いや新たな発見にありますが、予期せぬトラブルは避けたいものです。しっかりとした準備と少しの注意が、あなたのカナダ旅行をより安全かつ快適にしてくれます。本稿では、具体的な持ち物の準備からカナダ特有の自然環境との接し方、そして都市部での安全対策にいたるまでをご紹介します。
想いを形にする旅の必需品リスト:これがあれば安心!
旅の準備の基本は荷造りです。忘れ物をすると現地で買い揃える手間や余分な出費が生じやすくなります。以下の項目を目安に、出発前の最終チェックをおすすめします。
- 重要書類
- パスポート:カナダ滞在期間を十分にカバーする有効期限があるか、必ず確認しましょう。
- eTA承認メールの控え:スマホに保存するだけでなく、念のため紙でもプリントアウトしておくと安心です。
- 航空券(eチケット)のコピー。
- 海外旅行保険証書:保険会社の連絡先や証券番号はいつでも取り出せるよう携帯してください。
- 現金・カード類
- クレジットカード:VISAやMastercardはほとんどの店舗で利用可能ですが、American Expressは使えない場所もあるため、複数の国際ブランドを持つのが望ましいです。
- カナダドルの現金:大金は必要ありませんが、チップや小規模な店舗での支払いに備え50~100ドルほど用意しておくと安心です。空港や市内の両替所で調達しましょう。
- 電子機器
- スマートフォンおよび充電器、モバイルバッテリー。
- 変換プラグ:カナダのコンセントは日本と同じAタイプが多いため、基本的に不要です。
- 変圧器:カナダでは電圧が120Vで日本の100Vに近く、多くの電化製品(スマホ、パソコンなど)はそのまま使えます。ただし、ドライヤーなど熱源を用いる製品や精密機器は対応電圧を確認し、必要なら変圧器を用意してください。
- 衣類や日用品
- 季節に合わせた服装:カナダは広大な国土のため地域と季節で気候差が大きいです。夏でも朝晩は冷えることが多いので、重ね着がしやすい服装が基本になります。防水ジャケットが1枚あると急な天候変化に便利です。冬季訪問時は防寒具、帽子、手袋、滑りにくい靴が必須です。
- 常備薬:胃腸薬、頭痛薬、絆創膏などと、日頃服用している薬は忘れずに持参してください。
- 日焼け止め、サングラス、帽子:特に夏は日本より強い紫外線対策が必要です。
野生動物との安全な関わり方
カナディアン・ロッキーなどの国立公園ではクマ、エルク、シカなど多様な野生動物に出会えることがあります。これらは旅の大きな魅力の一つですが、彼らはあくまで自然界の野生生物であり、ペットではないことを強く認識することが重要です。正しい知識を持つことで、自分も動物も安全に過ごせます。
- 絶対に避けるべき行為
- 餌やり禁止:どんな理由があっても野生動物に餌を与えてはいけません。人間の食べ物に慣れると自立できなくなり、攻撃的になる恐れがあります。こうした行為は生態系を壊すだけでなく、公園内で法律により厳禁とされています。
- 接近禁止:リスやアライグマも近づくのは危険です。病原菌を持っている可能性があり、人に感染することがあります。クマやエルクのような大型動物とは100メートル以上の安全距離を保ちましょう。車内からの観察時も、決して車を降りて接近しないでください。
【実践編】クマに遭遇した際の対応方法
ハイキング中にクマと遭遇したら、慌てず次のステップを心がけましょう。
- 冷静を保つ:大声を出したり走り出したりせず落ち着いて行動してください。走ると追いかけられる可能性があります。
- 存在を知らせる:ゆっくりと話しかけながら両手を広げて自分を大きく見せます。
- ゆっくり後退する:クマから目をそらさず、安全な距離を取りながらゆっくりと後ずさりします。背中を見せて逃げるのは避けてください。
ハイキング時はクマよけの鈴を装着し、複数人で会話しながら歩くことで人間の存在を事前にアピールし、偶発的な接触を防げます。クマ撃退スプレーの携帯も推奨されますが、使い方は事前にしっかりと学んでおくことが必要です。出発前にパーク・カナダ公式サイトで最新の安全情報を確認しておくことをお勧めします。
治安状況と危険地域の注意点
カナダは世界的に見て治安の良い国ですが、日本とは異なる点も多く、油断すると思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。観光客を狙ったスリや置き引きは都市部で発生する可能性がありますので警戒が必要です。
- 都市部での注意ポイント
- 貴重品は体の前で持てるバッグに入れるか、ホテルのセーフティボックスに保管しましょう。
- レストランやカフェでスマートフォンや財布をテーブルに置きっぱなしにしないこと。
- 夜間の一人歩きは特に、人気の少ない場所や暗い路地を避ける。
- 親しげに話しかける者に気を取られている間に別の仲間が盗みを働く集団スリの手口にも注意が必要です。
避けるべきエリア
多くの都市には、ホームレスや薬物依存者が集まる地域があり、旅行者は近づかない方が賢明です。例えばバンクーバーのダウンタウン東部(East Hastings Street周辺)がよく知られています。事前にガイドブックや現地情報を調査し、無用の立ち入りは控えましょう。
【実践編】最新の治安情報を常にチェック
出国前には外務省海外安全ホームページで渡航先の最新の治安情報や注意報を確認し、現地で大規模な抗議活動や事件が起きていないかも把握しておく習慣をつけましょう。
もしもの時のための実践的アクションプラン
どれだけ注意を払っていても、予想外のトラブルに遭遇する可能性はゼロにはなりません。重要なのは、慌てず落ち着いて対応することです。ここでは、パスポートの紛失や病気・怪我といった具体的なトラブルが起きた際の対処法についてシミュレーションしてみましょう。事前に手順を理解しておくことで、いざというときに精神的な余裕が大きく変わります。
パスポートを紛失・盗難された場合の対処法
海外でパスポートを紛失するのは、避けたいトラブルの代表的な例です。万が一、そのような状況に陥った場合は、以下のステップに沿って対応しましょう。
ステップ1:現地警察へ届け出る
まず、最寄りの警察署へ行き、パスポートを紛失または盗難に遭ったことを報告します。その際、必ず「紛失・盗難証明書(Police ReportやLost Property Report等)」を受け取りましょう。この証明書は、その後の手続きで非常に重要な書類となります。
ステップ2:在カナダ日本国総領事館・大使館に連絡
次に、管轄の日本国総領事館または大使館に連絡し、パスポート紛失の状況と警察への届け出済みであることを伝えます。担当者から今後の必要書類や手続きの詳細な案内が受けられます。
ステップ3:必要書類を揃える
新しいパスポート、あるいは日本への帰国用の渡航文書「帰国のための渡航書」を申請する際に、一般的に以下の書類が求められます。
- 紛失一般旅券等届出書(総領事館・大使館で入手可能)
- 警察発行の紛失・盗難証明書
- 6カ月以内に撮影されたパスポート用顔写真
- 6カ月以内に発行された戸籍謄本または抄本
- その他、身分証明となる書類(日本の運転免許証など)
【読者ができる事前準備】備えが肝心
この中で特に時間がかかるのが「戸籍謄本または抄本」の取り寄せです。日本にいる家族や友人に依頼し、役所で取得したものを国際郵便で送ってもらう必要があります。この時間短縮のため、出発前にパスポートの顔写真ページや身分事項ページのコピー、ならびに戸籍謄本のコピーを用意し、原本とは別の場所に保管しておくことをおすすめします。さらに予備のパスポート用顔写真を数枚持参すると、現地での撮影を省けます。これらの準備があるだけで、再発行までの手続きが格段にスムーズになります。
病気や怪我をした時の医療機関の利用方法
慣れない土地での体調不良や突然のケガは、誰にでも起こり得ます。カナダの医療費は日本と比べて非常に高額で、例えば盲腸の手術では数百万円の請求がされることも珍しくありません。だからこそ、海外旅行保険への加入は「任意」ではなく「必須」と考えるべきです。
ステップ1:保険会社のサポートデスクに連絡
病院に行く前に、まず加入している保険会社の24時間対応の日本語サポート窓口に連絡し、症状と現在地を伝えます。提携する最寄りの病院を紹介してもらい、可能であればキャッシュレス(現金不要)で診療が受けられる医療機関を手配してもらいましょう。キャッシュレス対応なら、その場で高額な支払いをする必要がなく、保険会社が病院に直接費用を支払います。
ステップ2:指定された病院を受診
サポートデスクの案内に従い、指定された病院を訪れます。パスポートと保険証券を持参してください。必要に応じて、保険会社が電話医療通訳サービスを取り次いでくれることもあります。
緊急時
命に関わる緊急状況の場合は、迷わず「911」に電話をして救急車を呼んでください。救急車の利用は有料ですが、まずは命が第一です。その後、速やかに保険会社へ連絡を入れましょう。
軽い症状の場合
予約不要で受診できる「ウォークイン・クリニック」を利用する手もあります。ただし、こちらの場合は一旦自己負担で全額支払い、後から保険会社に請求する形式となることが多いので注意が必要です。必ず診断書と領収書は受け取って保管しましょう。
フライト遅延・欠航時の対応方法
悪天候や機材トラブルによって、フライトの遅延や欠航が起こることがあります。その際は、空港で慌てることなく冷静に行動することが求められます。
状況を確認する
まずは航空会社のカウンターや公式ウェブサイト、公式アプリで遅延・欠航の理由や今後の予定をしっかり確認しましょう。
代替便の手配を行う
航空会社には乗客を目的地まで運ぶ義務がありますので、カウンターにて代わりの便を手配してください。同日中の便が満席の場合は翌日以降の便を案内されることがあります。
補償内容を確認する
遅延や欠航の原因によっては、航空会社が食事券や宿泊施設の提供、さらにホテルへの交通手段を手配してくれるケースがあります。自分の権利として、何が提供されるのか明確に確認しましょう。加えて、海外旅行保険に「航空機遅延費用補償」の特約をつけている場合は、代替便を待つ間の食費や宿泊費などが補償されることがあります。領収書は必ず保管しておくことが大切です。
カナダの交通ルール:レンタカーを運転する前に

広大なカナダを自由に旅する際は、レンタカーの利用が非常に魅力的な選択肢となります。ただし、日本とは交通ルールが大きく異なるため、運転前にはしっかりとした知識と心構えが求められます。
押さえておきたい基本ルール
- 右側通行・左ハンドル:日本とは逆方向のルールが適用されます。交差点での右左折時には、特に逆走しないよう注意を払う必要があります。
- 速度制限の単位:速度標識はすべてキロメートル毎時(km/h)で表記されており、日本と同様なので理解しやすいでしょう。
- 赤信号時の右折:「NO TURN ON RED」のサインがない限り、赤信号でも一時停止して安全を確認すれば右折が可能です。ただし、モントリオール島を含むケベック州内など、一部の地域では原則禁止されている場合もあります。
- 全席シートベルトの着用義務:後部座席も含め、乗車する全員がシートベルトを着用することが法律で義務付けられています。
- スクールバスの停止義務:黄色のスクールバスが赤色のランプを点滅させ停車している際は、後続車だけでなく対向車線の車も完全に停止しなければなりません。子どもたちの乗降を示すサインであり、違反した場合は厳しい罰則が科されます。
冬の運転:雪道とブラックアイスへの備え
カナダの冬に運転する場合、雪道対策は欠かせません。ブリティッシュ・コロンビア州やケベック州などでは、特定の期間や道路で冬用タイヤ(スノータイヤまたはマッド&スノータイヤ)の装着が義務化されています。レンタカーを予約する際には、必ず冬用タイヤが装備されているかどうかを確認してください。
雪や凍結した路面では、急ハンドルや急ブレーキ、急発進を避けることが重要です。車間距離を十分にとり、速度も普段より控えめにし、安全運転を心がけましょう。特に「ブラックアイス」と呼ばれる、うっすらと路面に張った氷には十分な注意が必要です。
駐車のルールと違反時の罰金
都市部での駐車は、標識の内容を正確に把握することが大切です。駐車可能な時間帯や曜日、最大駐車時間が細かく設定されています。また、消火栓周辺の数メートルは駐車禁止と定められています。パーキングメーターが設置されている場所では、指定時間分の料金を事前に支払わなければなりません。駐車違反に対しては厳しい取り締まりが行われ、罰金も高額なため、ルールを厳守することが重要です。
自然を愛する国ならではのエチケットと法律
カナダは、その広大な自然環境を国全体で守り、未来の世代に引き継ごうとする意識が非常に強い国です。旅行者である私たちも、自然に訪問させていただくという謙虚な心を持ち、環境への配慮を忘れず行動することが求められます。
国立公園・州立公園での規則
バンフやジャスパーなど、世界的に名高い国立公園を訪れる際には、いくつかの規則を遵守する必要があります。
- 入園許可証(Park Pass):国立公園への入場には、入園許可証の購入が必須です。料金所で手続きし、車のダッシュボードなど外から見える場所に必ず掲示してください。
- Leave No Trace(痕跡を残さない):アウトドアの基本原則として、ゴミは必ず持ち帰りましょう。トレイルから外れると、貴重な高山植物を踏みつける恐れがあります。決められた道を歩くことが大切です。
- 動植物の採取禁止:美しい花や珍しい石を見つけても、持ち帰ることは厳禁です。写真に収めるだけにとどめましょう。
- ドローンの使用規制:カナダの国立公園内では、特別な許可なしにドローンを飛ばすことは原則禁止されています。
釣りや狩猟に関わるライセンス制度
カナダの豊かな自然で釣りを楽しみたい方もいるでしょう。しかし、釣りを行うにはライセンスの取得が義務づけられており、州ごとに管理されています。ライセンスはオンラインや現地の釣具店で購入可能です。無許可で釣りをした場合、高額の罰金や釣具の没収など厳しい処罰が科されるため注意が必要です。
環境保護に対する高い意識
カナダの生活には、環境保護の意識が深く根づいています。旅行者もその考え方を尊重することが大切です。
- リサイクルの徹底:ホテルや街中のゴミ箱は、リサイクル可能なもの(紙、プラスチック、缶・瓶等)とそれ以外に分けられていることが多いです。表示をよく確認して、正しく分別しましょう。
- 使い捨てプラスチック製品の制限:カナダでは国として使い捨てプラスチック削減に力を入れており、多くの店舗でレジ袋は有料か提供されません。買い物の際には、エコバッグを持参するのが賢明です。
- マイボトルの活用:水道水は安全に飲めるため、マイボトルを持ち歩き、ホテルや公共施設の給水スポットで水を補充すると、ペットボトル飲料の購入を減らせて環境にも経済的にも優しくなります。
カナダの旅は、美しい景色を楽しむだけでなく、その国の大切にしている価値観やルールを理解し尊重することによって、より深く意味のある経験を得ることができます。この記事が、あなたのカナダ旅行を安全かつ充実したものにする一助となれば幸いです。

