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オランダ喫煙事情完全ガイド2024年版:ルール・マナーから最新情報まで徹底解説

アムステルダムの運河沿いを歩けば、歴史的な建造物とモダンなデザインが融合した美しい街並みが広がります。自由と寛容の国、というパブリックイメージを持つオランダですが、こと喫煙に関しては、そのイメージとは少し異なる、厳格なルールが存在することをご存知でしょうか。世界中を飛び回る中で、各国の文化やルールに触れる機会が多くありますが、オランダほどそのイメージと実情にギャップがある国も珍しいかもしれません。特に愛煙家の方にとって、現地のルールを知らずに訪れると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、滞在中の楽しみが半減してしまったりする可能性も否定できません。この記事では、外資系コンサルタントとしてオランダを何度も訪れた経験から、紙巻きタバコから加熱式タバコ、そして多くの人が関心を寄せるであろうコーヒーショップの事情まで、2024年最新のオランダ喫煙事情を徹底的に解説します。単なるルールの紹介に留まらず、旅行者が実際にどのように行動すればよいのか、具体的なステップや準備すべきこと、万が一のトラブル対処法まで網羅しました。この記事を最後まで読めば、あなたはオランダの喫煙ルールを完全に理解し、スマートで快適な旅を実現できるはずです。

オランダの喫煙ルールを理解したら、北欧の厳格な規制も気になる方は、ノルウェーの喫煙事情についてもご覧ください。

目次

まずは基本から:オランダの喫煙に関する大原則

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オランダの喫煙規則を理解するためには、まず押さえておきたい基本的なポイントがいくつか存在します。これらは旅行者に対しても例外なく適用されるため、しっかり把握しておくことが快適な滞在の第一歩となります。

紙巻きタバコ・加熱式タバコ・電子タバコ(VAPE)の区分

オランダの法律では、タバコ製品はニコチンを含むものと含まないものに大別され、扱いに違いがあります。紙巻きタバコおよびIQOS(アイコス)やglo(グロー)といった加熱式タバコは、どちらもタバコ葉を使用しニコチンを含むため、「タバコ製品」として同一の規制対象です。したがって、後述する禁煙エリアでは加熱式タバコの使用も禁じられています。「煙が出ないから問題ないだろう」と考えるのは誤りですので、十分に注意してください。

一方、電子タバコ(VAPE)は少しややこしい部分があります。ニコチン入りリキッドを使う場合はタバコ製品と同様の規制が適用されますが、ニコチンを含まないリキッドの場合は厳密にはタバコ製品と見なされません。しかし公共の場での扱いは曖昧で、多くの施設でタバコ製品同様に使用を禁止しているケースが多いです。周囲に誤解を与えないために、基本的には禁煙場所ではVAPEの使用も控えるのが賢明でしょう。特に最近は世界的にVAPE規制が強化される傾向にあり、オランダも例外ではありません。この点については後ほど詳しく紹介します。

喫煙可能年齢

オランダでは、タバコ製品(電子タバコを含む)の購入および喫煙は18歳以上に法的に許可されています。国籍を問わず、全ての人が対象です。タバコ販売店では身分証明書(パスポートなど)の提示が一般的に求められ、特に若く見える場合は必ず携帯しておくべきです。提示できない場合、販売は拒否されます。また、18歳未満へのタバコの譲渡も法律で禁止されており、違反した場合は罰則が科される可能性があります。グループ旅行中などに未成年の友人に安易にタバコを渡すことは絶対に避けるべきです。法令遵守は成熟した旅行者としての最低限のマナーです。

喫煙可能な場所と禁止エリア

オランダの禁煙ルールは日本よりも厳しいと理解しておくのが無難です。基本は「屋内の公共スペースは全面禁煙」という方針で、以下のような場所が該当します。

  • レストラン、カフェ、バー、ナイトクラブ
  • 公共交通機関(電車、バス、トラム、メトロ)の車内
  • 駅構内(コンコースや待合室など)
  • 空港ターミナル内
  • ホテルや公共施設のロビー、廊下など共用部分
  • 劇場、映画館、美術館、博物館
  • ショッピングモールや店舗内

これらの場所では、たとえ個室であっても喫煙は認められていません。違反した場合は施設管理者だけでなく、喫煙者本人へも罰金が課せられる可能性があり、その金額は一般的に95ユーロ以上と軽視できません。旅行の楽しい思い出を台無しにしないためにも、ルールは厳守しましょう。

では、どこで喫煙できるのかというと、基本的には「屋外」になります。ただし、屋外ならどこでも構わないわけではありません。近年、屋外の禁煙エリアも増加しています。例として、駅のプラットホームは2020年10月から全面禁煙で、以前は設置されていた喫煙ゾーンも撤廃されました。電車を待ちながらの一服はオランダでは過去の光景となっています。また、公園や広場でも特に子供の遊び場周辺は禁煙エリアに指定されることが多く、「Rookvrij(禁煙)」の標識が設置されている場合が多いため、周囲の表示を必ず確認する習慣を身に付けましょう。

確実に喫煙できる場所としては、街中の灰皿付きゴミ箱(通称「喫煙ポール」)の近辺や、レストランやバーの屋外テラス席などがあります。ただし、テラス席でも店舗の方針によっては禁煙の場合もあるため、着席前に灰皿が置いてあるか確認したり、店員に一言尋ねるとスマートです。喫煙所の場所が分かりにくい場合は、Google Mapsで「roken gebied(喫煙エリア)」や「smoking area」と検索すると、近隣の喫煙スペースを見つけやすいでしょう。

日本とは違う!オランダにおけるタバコの購入方法

オランダでタバコを入手する方法は、日本とは大きく異なっています。特に近年では、政府の禁煙促進政策の影響で販売場所が大幅に制限されており、事前に情報を収集しておくことが重要です。

購入可能な場所の変化

かつては多くのスーパーマーケットやコンビニでタバコを購入できましたが、現在は状況が大きく変わりました。オランダ政府は「禁煙世代(Smoke-Free Generation)」の実現を目指し、その一環として2024年7月1日からスーパーマーケットでのタバコ製品販売を全面禁止しました。このため、旅行者にとって最も手軽に購入できる場所がなくなったと言えます。では、どこで買えばよいのでしょうか。

現在の主な購入場所は以下の通りです。

  • タバコ専門店(Tabaksspeciaalzaak): 最も確実な購入先です。さまざまな種類の紙巻きタバコ、葉巻、手巻きタバコ用のシャグや喫煙具などを取り扱っています。専門知識を持つ店員が多いため、希望を伝えればおすすめの商品を教えてもらえることもあります。
  • 一部のキオスクや小規模雑貨店: 駅の構内や街角のAKOやBrunaといった書店兼雑貨店の一部では、タバコを販売している場合があります。ただし、全店舗で取り扱っているわけではないため注意が必要です。
  • ガソリンスタンド: 高速道路沿いや市街地のガソリンスタンドに併設された店舗でもタバコが販売されています。車での移動時には便利な選択肢ですが、24時間営業でない場合も多く、深夜にタバコが切れた際の最終手段として覚えておくとよいでしょう。

いずれの店舗でも、購入時には身分証明書の提示が求められることが多いです。パスポートの原本を持ち歩くのに不安がある場合は、コピーやスマートフォンの写真で代用できることもありますが、原本を携帯するのが確実です。常に手元に置いておくことをおすすめします。

タバコの価格帯について

オランダのタバコ価格は旅行者が驚くポイントの一つです。日本に比べ非常に高く、年々値上がりが続いています。これは、政府が健康増進のために高額な税金を課しているためです。具体的な価格は銘柄により異なりますが、2024年時点では20本入りの紙巻きタバコ1箱が10ユーロから13ユーロ(約1,600円〜2,100円)程度が相場です。日本円に換算すると、日本の約2倍から3倍に相当します。滞在中の消費量を考慮すると、かなりの出費になることを覚悟しておく必要があります。この価格設定も、政府が喫煙のハードルを高める目的で意図的に導入した政策の一環です。

日本からのタバコの持ち込み(免税範囲)

オランダの高いタバコ価格を踏まえると、日本から持ち込むことが経済的な選択肢となる場合が多いです。ただし、持ち込み量には免税範囲が設けられており、無制限に持ち込めるわけではありません。このルールは、日本(EU域外)からオランダ(EU域内)へ入国する17歳以上の旅行者に適用されます。

免税で持ち込めるタバコ製品の数量は以下の通りです(いずれか1種類の選択)。

  • 紙巻きタバコ: 200本(1カートン相当)
  • 細葉巻(シガリロ): 100本 (1本あたり最大3gまで)
  • 葉巻(シガー): 50本
  • 刻みタバコ(シャグなど): 250g

加熱式タバコのスティック(IQOSのヒーツやテリアなど)は、一般的に紙巻きタバコと同様に扱われ、200本までが免税範囲とされています。ただし、これは一般的な解釈であり、最終的には税関職員の判断に委ねられます。念のため、オランダ税関(Belastingdienst)の公式サイトで最新情報を確認することを推奨します。

免税範囲を超えて持ち込む場合は、到着時に税関で申告し、関税および付加価値税の支払いが必要です。申告を怠って検査で超過が発覚した場合、税金に加えて罰金が科せられることもあります。不要なトラブルを避けるため、必ずルールを守りましょう。短期滞在であれば1カートン程度が十分なことが多いので、自身の喫煙量を踏まえて計画的に準備してください。

【重要】コーヒーショップと大麻(カンナビス)のルール

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オランダ、特にアムステルダムと聞くと、多くの人が「コーヒーショップ」を連想するでしょう。ただし、このコーヒーショップは、日本で一般的にイメージされるカフェとは全く異なるものです。ここでは、オランダを象徴する存在ともいえるコーヒーショップと、大麻(カンナビス)にまつわる複雑な規制について、誤解のないように詳しくご説明します。

コーヒーショップとは?

オランダで「コーヒーショップ(Coffeeshop)」と呼ばれる店舗は、ソフトドラッグである大麻(マリファナやハシシ)を、政府の寛容政策のもとで合法的に販売し、その場での使用が認められている場所を指します。看板にコーヒーカップの絵があっても、スターバックスのような一般的なカフェを想像してはいけません。もちろん、コーヒーやソフトドリンクも販売していますが、主な役割は大麻の販売と消費の場の提供にあります。街中には通常のカフェ(Koffiehuis)も多数あるため、看板や店の雰囲気に注意して見分けることが大切です。コーヒーショップは、大麻を管理された環境で提供することにより、より危険なハードドラッグへの移行を防ぎ、関連犯罪の抑制にも寄与しています。

大麻に関する「寛容政策(Gedoogbeleid)」

オランダの大麻に対する姿勢を理解するうえで重要なのが「寛容政策(Gedoogbeleid)」です。これは非常に独特な政策で、法律上は大麻の所持、栽培、販売は依然として違法(犯罪)とされています。しかし、政府が定めた厳格なガイドラインを遵守している限り、警察や検察は違反行為を起訴しない、つまり「見て見ぬふりをする(黙認する)」というものです。これは「非犯罪化」や「合法化」とは全く異なり、あくまで「違法だが処罰しない」という、極めてオランダらしい現実主義のアプローチです。この寛容政策によって、個人が5グラム以下の大麻を所持・使用することや、認可を受けたコーヒーショップが500グラム以下の在庫で販売することが許容されています。

コーヒーショップ利用に関するルールとマナー

旅行者がコーヒーショップを利用する際は、厳しいルールと守るべきマナーが存在します。これらを知らずに利用すると、入店を拒否されたりトラブルに巻き込まれたりすることがあるため注意が必要です。

  • 年齢制限: コーヒーショップに入店できるのは18歳以上に限定されています。入店時には、ほぼ確実に身分証明書(パスポート)の提示が求められます。コピーやスマートフォンに保存された画像は認められないケースが多いため、必ず原本を携帯してください。
  • 購入量の上限: 1人が1日に購入できる大麻の量は5グラムまでと厳格に決まっています。複数店舗を回って大量購入することは控えましょう。
  • アルコールの禁止: ほとんどのコーヒーショップではアルコールの販売および提供が禁止されています。これは大麻とアルコールの同時摂取による予期せぬ影響を避けるためです。
  • ハードドラッグの厳禁: 大麻以外の薬物(ハードドラッグ)の持ち込み、使用、売買は絶対に禁止です。発覚すれば寛容政策の対象外となり、直ちに警察へ通報され厳しい処置が取られます。
  • タバコとの混合(ジョイント)について: ここが多くの喫煙者が戸惑うポイントです。オランダの禁煙法はコーヒーショップの店内にも適用されるため、原則としてタバコの喫煙は禁止されています。大麻をタバコ葉と混ぜて巻いた「ジョイント」を店内で吸うことはできません。多くの店では代わりに無料でニコチンフリーのハーブを提供しているため、純粋な大麻をパイプやボングで吸うか、このハーブを使って巻く必要があります。このルールを知らずにタバコを持ち込んで注意される観光客は少なくありません。

コーヒーショップを利用する際のステップ

初めて利用する方のために、一般的な流れを紹介します。

  • STEP1: 入店と身分証提示: 入口でセキュリティスタッフにパスポートを提示し、年齢確認が済めば入店できます。
  • STEP2: メニューの確認と注文: カウンターには大麻の種類が記されたメニューがあります。インディカ(鎮静効果)やサティバ(覚醒効果)などの種類や、強さ、風味が書かれています。初めてで何を選べば良いかわからない場合は店員(バドテンダー)に気軽に相談しましょう。「初めてです(First time)」「リラックスしたい(I want to relax)」などと伝えるとおすすめを教えてもらえます。
  • STEP3: 購入と店内での喫煙または持ち帰り: 商品を選んで購入します。支払いは現金のみの店舗も多いため、あらかじめ現金を用意しておくとスムーズです。購入した大麻は店内の席で喫煙可能です。巻紙やフィルター、グラインダー(大麻を細かく砕く器具)なども店内で販売または貸し出しされています。また、購入品を持ち帰ることも可能です。

絶対に守るべき禁止事項

コーヒーショップの利用にあたり、以下の行為は寛容政策の範囲を超える重大な違反であり、厳禁です。

  • 公共の場での大麻使用: コーヒーショップや自宅などの私的空間以外、つまり路上、公園、公共交通機関、飲食店のテラス席など公共の場での大麻使用は禁止されています。違反すると警察から罰金が科せられることがあります。
  • オランダ国外への持ち出し: 最も重要な禁止事項です。オランダ国内で黙認されていても、一歩国外に出ると大麻は違法な麻薬となります。国外に大麻を持ち出す行為は「麻薬の密輸入・密輸出」とみなされ、日本の法律はもちろん、渡航先の法律によっても重く処罰されます。少量であっても絶対に国外へ持ち出さないでください。
  • 運転: 大麻の影響下で自動車や自転車を運転することは、アルコール運転と同様に法律で禁止されており非常に危険です。事故が起これば重い罰則が科されます。

万が一、路上で警察に職務質問を受け、5グラム以下の大麻を所持していることが判明しても、慌てる必要はありません。所持していることを正直に認めれば、通常は没収されるだけで逮捕や起訴には至りません。これが寛容政策の精神です。ただし、嘘をついたり反抗的な態度を取ると、状況が悪化する恐れがあります。常に冷静かつ誠実な対応を心掛けてください。

加熱式タバコ・電子タバコ(VAPE)の最新事情

近年、世界的に利用者が増えている加熱式タバコや電子タバコ(VAPE)ですが、オランダにおける規制は年々厳しくなっています。日本と同じ感覚で使用すると、現地で戸惑うことになる可能性があります。

加熱式タバコ(IQOS、gloなど)の扱いについて

前述のとおり、IQOSやgloなどの加熱式タバコは、タバコの葉を原料としているため、オランダでは紙巻きタバコと全く同じ「タバコ製品」と見なされています。そのため、レストランや駅、空港などの屋内公共スペースを含む禁煙法が適用されるすべての場所での使用は禁止されています。「煙ではなく蒸気だから」という主張は認められません。喫煙が許可されている屋外の指定区域のみで使用可能です。

また、本体や専用スティックの購入環境も日本とは異なります。アムステルダムなどの大都市では、IQOSストアや一部の専門店で入手可能ですが、日本のコンビニのようにどこでも簡単に買えるわけではありません。地方に行くほど購入はさらに困難になります。価格は日本よりも高めに設定されているため、日常的に加熱式タバコを使用している方は、滞在期間分のスティックに加え、故障に備え予備のデバイスや充電器を日本から持参することを強くお勧めします。

電子タバコ(VAPE)に対する規制の強化

電子タバコ(VAPE)に関する規制は、加熱式タバコ以上に厳しくなっています。オランダ政府は若年層へのVAPEの普及を問題視し、規制を大幅に厳格化しています。

最も大きな変更は、2023年10月1日から施行された「フレーバー付きリキッドの販売禁止」です。これにより、オランダ国内で合法的に販売されるVAPE用リキッドはタバコフレーバーのみとなりました。フルーツ、ミント、デザートなど若者に人気のフレーバーリキッドは、実店舗およびオンラインストアの両方から姿を消しました。この措置は、VAPEを禁煙補助具ではなく新たな喫煙の入り口として捉える政府の強い姿勢を示しています。さらに、2025年からはスーパーマーケットなどでのVAPE本体の販売も禁止され、タバコ専門店のみでの販売に限定される見込みです。

この強化された規制は、旅行者にも大きな影響を及ぼします。もしタバコフレーバー以外のリキッドを使用している場合、オランダ国内での入手は困難と考えた方が良いでしょう。

【VAPEユーザーに向けた準備ポイント】

オランダを訪れるVAPEユーザーは、以下の点を必ず確認・準備してください。

  • リキッドの十分な持参: 滞在中に必要となるお好みのフレーバーリキッドを、日本から十分な量を持ち込んでください。現地での調達はほぼ不可能です。
  • 持ち込み制限の確認: 航空機へのリキッド持ち込みには制限があります。一般的に100ml以下の容器に入れ、それらを1リットル以下のジッパー付き透明ビニール袋にまとめる必要があります。預け荷物や機内持ち込みルールは利用する航空会社の規定を必ず事前に確認してください。
  • 予備のコイルやバッテリーの用意: リキッド同様、消耗品であるコイルやバッテリーも現地では手に入りにくいため、あらかじめ予備を用意しておくと安心です。

オランダにおけるVAPE規制は今後さらに厳しくなることが予想されます。滞在中は地元の法律を尊重し、周囲への配慮を忘れずにマナーを守って利用することが大切です。

オランダ喫煙者のリアルな声と社会の目

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法律や規則だけでなく、オランダ社会が喫煙という行為をどのように受け止めているかを理解することも、旅行者にとって大切です。現地の雰囲気を把握することで、より適切でスマートな行動が可能になります。

喫煙率の変化と禁煙意識の向上

かつては喫煙に対して寛容だったオランダですが、現在では国を挙げて禁煙推進に取り組んでいます。オランダ政府は「Smoke-Free Generation(煙のない世代)」というスローガンを掲げ、2040年までに喫煙率を5%未満に減らすという大胆な目標を掲げています。これを達成するために、タバコ価格の大幅な値上げや販売場所の制限、禁煙エリアの拡大などの施策が次々と導入されています。その結果、オランダの喫煙率は着実に低下しており、国民の健康意識も高まっています。特に若年層の間では、喫煙は「時代遅れで健康を害するもの」というイメージが広がっています。街中で喫煙する人の数も以前に比べて明らかに減少した印象です。このような社会的背景から、喫煙に対する目は日本よりも厳しいと感じることも少なくありません。歩き煙草や禁煙エリアでの喫煙は、周囲から冷たい視線を浴びるだけでなく、時には注意を受けることもあります。旅行者は「お客様」である一方、その社会のルールを守るべき「訪問者」でもあります。現地の禁煙ムードを尊重し、謙虚な態度でマナーを守ることが求められます。

ポイ捨て問題と罰金制度

中でも特に厳しく対処されているのが、吸い殻のポイ捨てです。美しい街並みや自然環境の保護に力を入れているオランダでは、ポイ捨ては単なるマナー違反にとどまらず、明確な違法行為とされています。吸い殻のポイ捨てに対する罰金は現在150ユーロに設定されており、日本円で約24,000円に相当する高額です。警察官や法執行官に見つかれば容赦なく罰金が科せられます。「言葉がわからない」といった言い訳は通用しません。これらのルールは厳格に運用されており、実際に罰金を支払った観光客の話も聞かれます。

【持ち物リスト】愛煙家がオランダ旅行で必ず準備すべきアイテム

こうした厳しい規則に対応するため、オランダを訪れる愛煙家は以下のアイテムを必ず用意しておくことをおすすめします。

  • 携帯灰皿: これが絶対的に必要なアイテムです。オランダの街中には灰皿付きのゴミ箱も設置されていますが、いつでもどこでも見つかるわけではありません。喫煙したいタイミングで灰皿がない場合に備えて携帯灰皿を持ち歩き、吸い殻は責任を持って処理してください。運河などに吸い殻を投げ捨てる行為は断じて許されません。
  • 身分証明書(パスポート): タバコ購入やコーヒーショップ入店時に提示が求められます。必ず携帯しましょう。
  • 日本から持参するタバコ・VAPE関連用品: 現地での高額な費用や入手困難を避けるため、滞在日数や喫煙量を考慮し十分な量のタバコやVAPEリキッド、アクセサリー類を持参することが望ましいです。

こうした準備をきちんと行うことで、オランダで不快な思いをせず、スマートに喫煙を楽しむことが可能になります。

シーン別・エリア別喫煙ガイド

オランダ旅行中に直面する可能性のあるさまざまなシーンや場所別の具体的な喫煙ルールについてご説明します。これらを把握しておくことで、迷うことなく行動できるでしょう。

アムステルダム・スキポール空港

ヨーロッパの主要ハブ空港として多くの旅行者に利用されているアムステルダム・スキポール空港ですが、喫煙者にとっては非常に制限の多い環境です。現在、スキポール空港のターミナル内は、保安検査前後を問わず完全禁煙となっています。かつては出国審査後に喫煙ラウンジや専用ブースが設置されていましたが、これらはすべて撤去されました。そのため、一旦建物内に入ると、次の目的地に着くまで煙草を吸うことは一切できません。

喫煙可能なのは、ターミナル外の指定された喫煙エリアのみです。出発時は、チェックインカウンターで荷物を預ける前に、外で一服しておく必要があります。また、オランダを経由して乗り継ぎをする際も要注意です。乗り継ぎ時間が長くても、喫煙するには一度オランダに入国し、ターミナル外に出なければならず、再度保安検査と出国審査を受ける必要があります。これにより時間的ロスが大きくなるため、乗り継ぎ時間が短い場合は喫煙を諦めるほかありません。スキポール空港を利用するときは、「一度中に入ったら喫煙不可」というルールを頭に入れておきましょう。

ホテルでの喫煙

オランダの宿泊施設も禁煙が徹底されており、ほとんどのホテルは「全館禁煙(smoke-free hotel)」となっています。客室内はもちろん、多くの場合バルコニーでの喫煙も禁止されています。予約サイトで「喫煙可」部屋の選択肢があるホテルは非常に珍しくなっています。もし喫煙可能な部屋を希望する場合は、予約サイトのフィルター設定を使うだけでなく、予約後に直接ホテルへ連絡し、喫煙可能かどうかを確認することをおすすめします。「バルコニー付きの部屋なら大丈夫だろう」と安易に考えるのは避けたほうが良いでしょう。室内での無断喫煙は、高額な清掃料金や罰金が科されるケースがあります。ホテルの正面玄関付近などに灰皿が設置されていることが多いため、喫煙時はそこまで移動する必要があります。チェックインの際に、喫煙指定場所の場所をしっかり確認しておくとスムーズです。

レストランやカフェ、バーのテラス席

屋内は全面禁煙ですが、多くのレストランやカフェ、バーでは屋外のテラス席での喫煙が許されています。特に気候の良い季節には、運河沿いのテラス席で食事やお茶を楽しみながら一服するのはオランダならではの心地よい体験です。ただし、これも絶対的なルールではありません。店によってはテラス席も禁煙としている場合がありますし、隣席との距離が近い場合など、周囲への配慮が求められます。テーブルに灰皿が置かれていれば基本的に喫煙可能と考えてよいですが、灰皿が見当たらない場合は、店員に「Mag ik hier roken?(マッハ イック ヒール ローケン?/ここでタバコを吸ってもよいですか?)」と尋ねるのが最も確実で礼儀正しい方法です。喫煙者と非喫煙者が互いに快適に過ごせるよう、この一言を忘れないようにしましょう。

旅行者が知っておくべきトラブルシューティング

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どれだけ注意を払っていても、海外での慣れない環境では思いがけないトラブルに見舞われることがあります。万が一の状況に備え、適切な対処法を知っておくことで冷静に対応できるようになります。

罰金を請求された場合の対応方法

禁煙区域での喫煙や吸い殻のポイ捨てにより、警察官や制服を着た法執行官(BOAと呼ばれる職員)から罰金を科されることがあります。この場合、基本的にはその場での支払いを求められるか、後日支払用紙を受け取ることが一般的です。観光客だからといって見逃されることはほとんどありません。まずは相手の身分証明書の提示を求め、正規の法執行官であることを確認しましょう。そのうえで冷静に指示に従うことが大切です。罰金の支払いを拒否したり、その場から逃げ出そうとすると、公務執行妨害と見なされ、状況が一層悪化する恐れがあります。もし罰則内容に納得できない場合は異議申し立てをする権利がありますが、その手続きはオランダ語で行わなければならず非常に煩雑です。多くの場合、素直に支払いを済ませるのが現実的な解決方法となります。不当だと感じたら、後日在オランダ日本国大使館に相談することも可能ですが、まずはその場で不要なトラブルを避けることを優先しましょう。

タバコがなくなったら?深夜に購入できる場所

長期滞在や予想外の消費で持ってきたタバコが足りなくなることもあるかもしれません。オランダでは多くの店舗の営業時間が短いため、夜遅くにタバコを手に入れるのが困難です。2024年以降はスーパーでのタバコ販売が禁止されたため、なおさら入手が難しくなっています。深夜にタバコを買う必要が生じた場合、最も可能性が高いのは24時間営業のガソリンスタンドですが、都市中心部には少なく、郊外まで出かける必要があるかもしれません。また、夜遅くまで営業しているバーやナイトクラブで販売している場合もありますが、価格は非常に割高です。最も賢明なのは、日中のうちにタバコ専門店などで余裕を持って購入しておくことです。アムステルダム市の公式サイトでは市内の地図や店舗情報を閲覧できるため、滞在先近くのタバコ専門店の場所や営業時間を事前に確認しておくと安心です。

公式情報と相談窓口について

この記事は2024年時点の最新情報を基にしていますが、法律や規則は変更される可能性があります。旅行前には必ず一次情報となる公式サイトを訪れて、最新の情報を確認する習慣をつけましょう。喫煙に関するルールはオランダ政府(Rijksoverheid)のウェブサイトが信頼できますし、観光全般や現地ルールについてはオランダ政府観光局の日本語サイトが非常に役立ちます。また、現地でトラブルに巻き込まれたり緊急の助けが必要になった場合は、在オランダ日本国大使館に連絡しましょう。パスポート紛失や盗難、事件や事故に遭遇した際には頼もしいサポートを受けることができます。

これからのオランダ喫煙事情の展望

オランダが掲げる「Smoke-Free Generation」の実現は、まだ道半ばにあります。これから喫煙者を取り巻く環境はより一層厳しくなることが見込まれています。政府は、2030年までにタバコの販売場所をタバコ専門店のみに限定し、2032年までに1箱あたりの価格を段階的に40ユーロ(約6,400円)以上に引き上げるという非常に大胆な計画を検討中です。これらの施策が実行されれば、オランダは世界でもトップクラスの厳しい喫煙規制を持つ国となるでしょう。

これらの政策は主に国内の住民を対象としていますが、旅行者もその影響を免れることはできません。タバコの価格は高騰し、購入可能な場所は減少し、喫煙可能なスペースもさらに制限されていく見込みです。多様性と寛容を掲げるオランダですが、健康面においては国民を厳しく導く側面も併せ持っています。訪れる愛煙家は、この厳しいルールと社会の風潮を理解し、敬意を払うことが求められます。携帯灰皿を携え、指定の場所で周囲に配慮しながら喫煙する—そんなスマートな態度こそ、これからの時代にふさわしい喫煙者の姿かもしれません。最新情報を常に確認し、ルールやマナーを守ることで、変わりゆくオランダでの滞在を存分に楽しんでください。

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この記事を書いたトラベルライター

外資系コンサルやってます。出張ついでに世界を旅し、空港ラウンジや会食スポットを攻略中。戦略的に旅をしたいビジネスパーソンに向けて、実用情報をシェアしてます!

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