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    中世の宝石箱へようこそ!スイス、ザンクト・ガレン州の魅力を巡る完全ガイド

    アルプスの壮大な自然と洗練された都市が共存する国、スイス。その北東部に、まるで時が止まったかのような美しい州があるのをご存知でしょうか。その名は、ザンクト・ガレン州。世界遺産に登録された荘厳な修道院、絵本の中から飛び出してきたような旧市街、そして息をのむほど美しいアルプスの山々へと続く玄関口。ここは、歴史と文化、そして大自然が優しく溶け合う、知る人ぞ知るスイスの宝石箱です。

    世界30か国以上を旅してきた私も、このザンクト・ガレンの地に足を踏み入れた瞬間、その奥深い魅力に心を奪われました。きらびやかな観光地とは一味違う、しっとりとした落ち着きと、そこに暮らす人々の誇りが感じられる空気。この記事では、そんなザンクト・ガレン州の魅力を余すところなくお伝えします。単なる観光スポットの紹介だけではありません。チケットの買い方から、知っておきたいローカルルール、もしもの時の対処法まで、あなたが実際に旅の計画を立て、安心して行動できるための情報をたっぷりと詰め込みました。さあ、一緒に中世から続く物語を紐解く、特別な旅に出かけましょう。

    この特別な旅の続きとして、アルプスの絶景と文化が織りなすスイス・グラウビュンデン州の物語もぜひ体験してみてください。

    目次

    ザンクト・ガレン州ってどんなところ?基本情報をおさらい

    旅の計画を始める前に、まずザンクト・ガレン州がどのような地域か、その基本的な情報を押さえておきましょう。知識を深めるほど、旅の楽しみもさらに膨らんでいくことでしょう。

    地理とアクセス:スイス東部の玄関口

    ザンクト・ガレン州はスイスの北東部に位置し、南側にはアッペンツェルアルプスがそびえ、北側にはドイツやオーストリアにまたがる壮大なボーデン湖が広がっています。州都ザンクト・ガレン市は、スイス最大の都市チューリッヒから電車で約1時間の距離にあり、アクセスも非常に良好です。

    チューリッヒ空港からの移動が便利

    日本からスイスへ向かう際、多くの旅行者がチューリッヒ空港を利用します。ザンクト・ガレンへの旅は、この空港を起点とするのが一般的です。

    【チケット購入の手順】 スイスの鉄道はSBB(スイス連邦鉄道)が運営しており、時間通りで快適な移動が可能です。チューリッヒ空港駅は空港のターミナルと直結しているため、迷いにくい構造です。

    • 券売機での購入: 赤色のSBB券売機は多言語対応(英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語)しており、タッチパネルで「Tickets」を選び、目的地「St. Gallen」と入力します。片道(Single journey)か往復(Return journey)、1等または2等を選び、クレジットカードか現金(スイスフラン)で支払います。
    • SBB Mobileアプリでの購入: スマホをお持ちなら、ぜひ「SBB Mobile」アプリの利用をおすすめします。出発前にダウンロードし、クレジットカード情報を登録しておくと便利です。アプリを起動し、出発駅「Zürich Flughafen」、目的地「St. Gallen」を入力すると、時刻表や料金が表示され、そのまま購入できQRコードのチケットが発行されます。検札時はQRコードを提示すればOK。乗り換え案内や遅延情報もリアルタイムでチェックでき、スイス旅行の必須ツールといえるでしょう。

    【旅の豆知識:スイストラベルパスを賢く使おう】 スイス内を数日間周遊するなら、「スイストラベルパス」の購入がとてもお得です。このパスを持っていれば、SBBの鉄道だけでなくバスや湖船もほぼ乗り放題。そのうえ、多くの美術館や博物館の入場料が無料になります。ザンクト・ガレン州内の移動だけでなく、後ほどご紹介するゼンティス山のロープウェイも割引対象となるため、トータルでかなりお得になるケースが多いです。日本の旅行代理店やSBB公式サイトで購入可能です。

    チューリッヒからザンクト・ガレンまでは、インターシティ(IC)やインターレギオ(IR)といった特急列車が頻繁に運行され、所要時間は約1時間程度。車窓に広がるのどかな田園風景を眺めながら、あっという間に目的地へ到着します。

    気候と最適な訪問時期:四季折々の魅力を味わう

    ザンクト・ガレン州は四季がはっきりしており、季節ごとに異なる風情が楽しめます。

    • 春(4月~6月): 長い冬が明け、街や牧場が一斉に緑に包まれる美しい季節。花が咲き乱れ、ハイキングの好機でもあります。まだ肌寒い日もあるため、薄手のダウンやフリースを用意すると安心です。
    • 夏(7月~8月): 観光客が最も多く訪れるベストシーズン。日中は30℃近くに達することもありますが、日本のような湿気はなく、爽やかで快適です。強い日差し対策として、サングラスや帽子、日焼け止めは必須アイテム。ボーデン湖での水遊びやアルプスのハイキングにぴったりの季節です。
    • 秋(9月~10月): 黄金色に染まる紅葉が美しい時期で、安定した気候の中、ゆったり街歩きや美術館巡りを楽しめます。朝晩は冷え込むため、ジャケットやセーターが活躍します。
    • 冬(11月~3月): 街が雪に覆われ、幻想的な雰囲気に包まれます。11月下旬から12月のクリスマスマーケットは特に見逃せません。ザンクト・ガレンがイルミネーションで華やかに彩られ、温かな時間を過ごせます。スキーやスノーシューなどのウィンタースポーツも楽しめますが、防寒対策は必須。厚手のコート、帽子、手袋、滑りにくい靴を準備しましょう。

    【準備と服装のポイント:季節ごとのおすすめ】 スイス旅行の基本は「重ね着(レイヤリング)」です。日中と朝晩、あるいは場所によって気温差が大きいため、脱ぎ着しやすい服装を心がけましょう。防水性のあるウィンドブレーカーは、急な雨や山の冷たい風を防ぐのに役立つので、どの季節でも携帯しておくと便利です。

    世界遺産の街、ザンクト・ガレンを歩く

    ザンクト・ガレン州への旅は、州都ザンクト・ガレン市から始めるのが定番です。この街の中心的存在といえるのが、1983年にユネスコの世界遺産に登録された「ザンクト・ガレン修道院と付属図書館、文書館」です。7世紀にアイルランド出身の修道士ガルスが隠遁した庵を起源とし、中世ヨーロッパにおける学問と芸術の要所として繁栄しました。

    圧倒的な美しさを誇るバロック建築、ザンクト・ガレン大聖堂

    修道院の中心にそびえるのが、特徴的な双塔を持つザンクト・ガレン大聖堂です。現在の建物は18世紀に建設されたバロック様式の傑作で、一歩足を踏み入れた瞬間、その壮麗さに誰もが息を呑むことでしょう。

    内装はミントグリーンと白を基調とし、非常に明るく軽やかな雰囲気を醸し出しています。見上げると精巧な漆喰彫刻と壮大な天井画が広がり、まるで天上の世界にいるかのような錯覚を覚えます。祭壇や説教壇に施された金色の装飾や、聖人たちの物語を描いたフレスコ画の数々は、当時の職人たちの熱意と祈りが込められているのを感じさせます。聖堂内に響くパイプオルガンの荘厳な音色は、訪れる人の心を落ち着かせ、日常の喧騒を忘れさせる特別な時間を演出してくれます。

    【訪問時に守りたいルールとマナー】 大聖堂は現在も礼拝の場として使われているため、訪問時には敬意を持って行動することが大切です。

    • 服装について: 厳密なドレスコードはありませんが、特に夏季は肩や膝が過度に露出する服装(タンクトップやショートパンツなど)は控えるのが望ましいです。ショールやカーディガンを一枚持参すると安心です。
    • 静粛に見学: 堂内ではおしゃべりを控え、静かに見学してください。ミサや祈りの時間と重なる場合は、信者の邪魔にならないよう後方で静かに待つか、時間を改めて訪問するのがマナーです。
    • 写真撮影: 個人的な記念撮影は許可されていますが、フラッシュの使用は禁止です。三脚の使用も不可です。他の見学者や祈祷中の方への配慮を忘れないようにしましょう。

    「魂の薬局」と称される世界で最も美しい図書館

    大聖堂の隣に佇むのが、多くの人々にとってザンクト・ガレン訪問の最大の目的でもある「修道院図書館」です。ここは単なる図書館ではなく、「Seelenapotheke(魂の薬局)」と呼ばれ、心の癒しと知的好奇心を満たす場として古くから大切にされてきました。

    扉を開けた瞬間、まさに叡智の殿堂が広がります。磨き込まれた木の床、優雅な曲線を描く本棚、美しいフレスコ画で埋め尽くされた天井。甘くて古い本の香りが漂い、ここが特別な空間であることが肌で伝わってきます。約17万冊におよぶ蔵書の中には、西暦820年頃に描かれた有名な「ザンクト・ガレン修道院図」をはじめ、手書きの写本や初期の印刷本など、国宝級の貴重な資料が多数含まれています。

    さらにガラスケースの中には、2700年前の古代エジプトのミイラ「シェペヌンムウト」も安置されており、図書館の歴史の深さを物語っています。本はただ「読む」ものではなく「鑑賞する」ものであり、ひとつひとつがまるで芸術品のような存在感を放ち、人類が築いてきた知の歴史に圧倒されるでしょう。

    【見学時に守るべき重要ルール】 この貴重な文化遺産を後世に伝えるため、図書館内には厳格なルールがあります。事前に知っておくと見学がスムーズです。

    • 持ち込み禁止: バッグやリュック、上着などの手荷物は一切持ち込めません。入口手前にある無料のロッカーに必ず預けてください。ロッカーはコイン式(2スイスフラン硬貨が必要)で、使用後は返却されます。小銭の準備を忘れずに。
    • スリッパ着用: 貴重な木製の床を守るため、備え付けの大きなフェルトスリッパを自分の靴の上から着用して入館します。歩きにくさはありますが、文化財保護のための大切な配慮です。
    • 撮影禁止: 図書館内での写真やビデオ撮影は全面的に禁止されています。その美しい光景は目に、心に刻みましょう。

    チケットの購入および見学の流れ

    大聖堂の見学は無料ですが、修道院図書館や同じ敷地内にある展示スペース「ヴォールトセラー(Gewölbekeller)」、企画展示室の見学にはチケットが必要です。

    • チケット販売場所: 図書館入口と同じ建物内、大聖堂正面から見て左側の建物にあります。
    • チケット種類: 図書館、ヴォールトセラー、企画展示室がセットになったコンビチケットが基本です。料金は大人18スイスフラン(2024年現在)。スイストラベルパス所有者は50%割引が適用されます。
    • オンライン購入: 公式サイトから事前にオンラインで購入可能です。観光シーズン中は窓口が混雑するため、時間を有効に使いたい場合はおすすめです。
    • 公式情報の確認: 最新の開館時間や料金、特別展示の詳細はザンクト・ガレン修道院公式サイトで必ず確認しましょう。英語やドイツ語に対応しています。

    絵本の世界に迷い込んだような旧市街の散策

    修道院地区を抜けると、そこには中世の趣を色濃く残す美しい旧市街が広がります。石畳の道を歩けば、建物の壁から華やかに張り出した「エルカー(Erker)」と呼ばれる出窓が目に入ります。これらはかつてこの地を支えた繊維商人たちが、自らの富と権威を示すために競うように建てたもので、彫刻や彩色が施された100以上のエルカーが旧市街の通りを彩っています。

    マルクト広場(Marktplatz)では定期的に市場が開かれ、新鮮な地元産の野菜やチーズ、花々が並び、活気にあふれています。少し脇道に入ると、個性的なブティックや可愛らしいカフェ、チョコレート専門店が軒を連ね、歩くだけで心が弾みます。

    【ここで味わいたい名物グルメ】 旧市街散策の合間にぜひ味わってほしいのが、ザンクト・ガレンの名物「ザンクト・ガラー・ブラートヴルスト(St. Galler Bratwurst)」です。仔牛肉を使った白くなめらかなソーセージで、その美味しさはスイス国内でも広く知られています。

    • 地元の食べ方: 地元の人はこのブラートヴルストをマスタードなしで味わうのが通例です。ソーセージ本来の繊細な風味を損なわないための習慣だと言われています。まずは何もつけずに、焼きたての香ばしい味わいを楽しんでみてください。パンは丸くて硬い「Bürli」が定番の組み合わせです。
    • おすすめの購入スポット: マルクト広場周辺の屋台や、精肉店(Metzgerei)の店頭で手軽に購入できます。特に「Metzgerei Gemperli」などは、地元でも評判の高いお店です。

    ザンクト・ガレン州の自然を満喫するアクティビティ

    ザンクト・ガレンの魅力は、世界遺産の街並みだけにとどまりません。少し足を伸ばせば、スイスらしい雄大な自然があなたを待っています。

    絶景パノラマが広がるゼンティス山へ

    ザンクト・ガレン州からアッペンツェル地方にかけてそびえるアルプシュタイン山塊の最高峰が、標高2502メートルのゼンティス山です。山頂までは麓のシュヴェーグアルプ(Schwägalp)から大型ロープウェイで一気にアクセスでき、誰でも気軽にアルプスの壮大な景色を満喫できます。

    山頂の展望台からは、360度のパノラマビューが広がります。晴天なら、スイス、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタイン、フランス、イタリアの6か国の山々を見渡せるといわれています。眼下に広がる緑の牧草地と、遠方に連なる雪をいただくアルプスの名峰たちの光景は、まさに圧巻。言葉を失うほどの感動が待ち受けています。

    【読者が実際に体験できるポイント:ゼンティス山のアクセス方法と持ち物準備】 ザンクト・ガレンからは、まず鉄道でウアネッシュ(Urnäsch)へ向かい、そこからポストバスに乗り換えてロープウェイ乗り場のシュヴェーグアルプへ向かうのが一般的なルートです。

    • 持ち物リスト:
    • 防寒着は必須! 麓が夏でも山頂は別世界で、気温が10℃を下回ることも少なくありません。風も強いので、ウィンドブレーカーやフリースは必ず持参しましょう。
    • 日焼け対策: 標高が高いため日差しが強烈です。サングラス、帽子、日焼け止めは必須アイテムです。
    • 歩きやすい靴: 展望台周辺を少し歩くだけでも、安定したスニーカーなど歩きやすい靴が望ましいです。
    • 行動手順:ロープウェイチケットの購入
    • チケットはシュヴェーグアルプ駅の窓口で購入可能です。
    • スイストラベルパスをお持ちの方は往復料金が50%割引、ハーフフェアカードも同様に割引が適用されます。購入時に忘れず提示してください。
    • 公式情報の確認を忘れずに

    ロープウェイは天候に非常に左右されます。強風や悪天候時には運休も多いため、出発前に必ずゼンティス山ロープウェイ公式サイトでライブカメラ映像や運行情報をチェックすることをおすすめします。

    天候が悪い場合の対処法

    当日、悪天候でロープウェイが運休となってしまった場合でも、落ち込む必要はありません。その際は、代替プランを楽しみましょう。

    • 代替案: シュヴェーグアルプ周辺には整備された美しいハイキングコースがあります。天候の許す範囲で自然散策を楽しむのも良いでしょう。また、近隣のアッペンツェル村を訪れるのもおすすめです。可愛らしい木組みの家並みが広がるメルヘンのような村で、チーズ工場や民俗博物館の見学も楽しい体験となるでしょう。
    • チケットの払い戻しについて: 事前にオンラインで購入したチケットが悪天候で利用できなかった場合の返金ポリシーは、公式サイトのFAQを確認するか、現地のチケットカウンターに問い合わせてください。

    ボーデン湖畔で過ごすゆったり休日

    ザンクト・ガレン州の北側に広がるボーデン湖は、スイス、ドイツ、オーストリアの三か国にまたがる中央ヨーロッパで3番目に大きな湖です。ザンクト・ガレンから鉄道で約20分、湖畔の町ロールシャッハ(Rorschach)に簡単にアクセスできます。

    湖畔には美しい遊歩道が整備されており、散歩やサイクリングを楽しむ人々の姿が見られます。湖を行き交う遊覧船に乗って対岸のドイツの街まで足を伸ばすのも魅力的です。静かな湖面と遠くに望むアルプスの山々の景観は、心を穏やかにしてくれます。夏季には湖水浴を楽しめ、まるで海辺のリゾートのようなリラックスした雰囲気を味わえます。

    旅をもっと豊かにする!ザンクト・ガレンの食と文化

    旅の魅力は、風景や歴史的建造物だけにとどまりません。その土地ならではの食や文化に触れることで、旅はより豊かで心に残るものとなります。

    地元の味覚を楽しむ

    先にご紹介したブラートヴルスト以外にも、ザンクト・ガレンには美味しい名物が数多く存在します。

    • チーズ: スイスといえばチーズが有名です。なかでもこの地域で生産されるアッペンツェラーチーズは、ハーブやスパイスを加えた塩水で熟成されるため、独特のスパイシーな風味が特徴です。レストランでチーズフォンデュやラクレットを楽しむのも素敵ですし、スーパーや専門店で購入して、ホテルの部屋でワインとともに味わうのもおすすめです。
    • ショコラ: スイスはチョコレートの一大生産国でもあります。ザンクト・ガレンの旧市街には老舗のショコラトリーが点在し、宝石のように美しいプラリネはお土産としても喜ばれることでしょう。
    • ビーバーリ(Biberli): 蜂蜜とスパイスの香りが漂う生地でアーモンドペーストを包んだ、この地域伝統のお菓子です。表面には可愛らしい絵柄が型押しされており、コーヒーや紅茶との相性も抜群です。

    伝統とテキスタイル産業の歴史

    ザンクト・ガレンは中世以来、高品質なリネンや刺繍製品の産地としてヨーロッパ全土に名を馳せ、テキスタイル産業が大いに発展しました。世界的なハイブランドであるシャネルやディオールが今なおザンクト・ガレンのレースや刺繍生地を使用していることから、その卓越した技術力の高さがうかがえます。

    この豊かな歴史と技術を深く学べる場所が「テキスタイル博物館(Textilmuseum)」です。世界中から集められた貴重な布地やレース、刺繍のコレクションは見応え十分で、ファッションや手仕事に関心のある方なら時間を忘れて鑑賞してしまうことでしょう。詳しくはスイス政府観光局のサイトでもご覧いただけます。

    ザンクト・ガレン旅行のプランニングと実践ガイド

    これまでにザンクト・ガレン州の魅力をお伝えしましたが、ここからは実際に旅行を計画する際に役立つ具体的な情報をご紹介します。

    モデルプランのご提案

    1日プラン:世界遺産の街をぎゅっと体感

    • 午前: チューリッヒから電車でザンクト・ガレンに到着。まずは駅のロッカーや宿泊先に荷物を預けましょう。
    • 午前中: ザンクト・ガレン修道院を訪れ、荘厳な大聖堂を見学。その後、修道院図書館で「魂の薬局」と称される独特の雰囲気を味わいます。
    • 昼食: マルクト広場の周辺で、名物のブラートヴルストをテイクアウトして楽しみましょう。
    • 午後: 美しいエルカー川沿いの旧市街を散策。テキスタイル博物館で精巧な刺繍芸術に触れてみてください。
    • 夕方: カフェでひと息ついた後、チューリッヒへ戻ります。

    2泊3日プラン:歴史と自然を存分に楽しむ旅

    • 1日目: 上記の1日プランに沿ってザンクト・ガレン市内をゆっくり観光、市内で宿泊。
    • 2日目: 朝から電車とポストバスを乗り継ぎ、ゼンティス山へ。ロープウェイで山頂へ登り、アルプスの大パノラマを満喫しましょう。ハイキングや山頂レストランでの食事もおすすめです。午後にザンクト・ガレンへ戻ります。
    • 3日目: 午前はボーデン湖畔の町ロールシャッハを訪れ、湖沿いの散策や遊覧船でのクルーズでリラックス。午後にザンクト・ガレンに戻り、お土産選びを楽しんだあと、次の目的地や空港に向かいます。

    効率的な交通手段の選び方

    スイス国内の移動には、先述の「スイストラベルパス」が非常に便利ですが、旅の期間やスタイルによっては他の選択肢も検討できます。

    • ハーフフェアカード(Half Fare Card): 利用期間は1か月間で、スイス国内のほとんどの公共交通機関が半額になります。長距離の移動が少なく、滞在期間が長い場合に特にお得です。
    • セーバーデイパス(Saver Day Pass): 指定日の公共交通機関が乗り放題となる1日券。早期購入ほど価格が安くなるため、旅行日程が早めに決まっている時に便利です。

    それぞれのパスが最適かどうかは、旅程によって異なります。SBBの公式サイトやアプリで通常料金を計算し、パスの料金と比べてみると賢い選択ができます。

    旅の準備と持ち物のチェックリスト

    気持ちよく旅を楽しむために、必要な持ち物もきちんと準備しましょう。

    • 必携アイテム:
    • パスポート(有効期限の確認をお忘れなく)
    • 航空券や鉄道パスの控え
    • 複数枚のクレジットカード(予備もあると安心)、そして少額のスイスフラン現金
    • 海外旅行保険証(万が一の病気やケガに備えて必ず加入しましょう)
    • 衣類:
    • 重ね着しやすい服装(Tシャツ、長袖シャツ、フリースなど)
    • 防水・防風性のあるジャケット
    • 歩きやすい靴(スニーカーやトレッキングシューズ)
    • 少しフォーマルなレストラン用の服も1セットあると便利です
    • 電子機器類:
    • スマートフォンと充電器
    • モバイルバッテリー
    • 変換プラグ(スイスはCタイプまたはJタイプ。一般的にはCタイプが広く使われています)
    • カメラ
    • その他:
    • 常備薬や絆創膏などの救急用品
    • 日焼け止め、サングラス、帽子
    • エコバッグ(スイスのスーパーではレジ袋は有料です)
    • 折りたたみ傘

    トラブル発生時の対処法

    旅行中は予期せぬトラブルも起こり得ますが、あらかじめ対策を知っておけば落ち着いて対応できます。

    • 盗難・紛失の場合:
    • まずは最寄りの警察署で紛失・盗難証明書を発行してもらいましょう。
    • クレジットカードを紛失した際は、すぐにカード会社の緊急連絡先に連絡し使用停止手続きを行います。
    • パスポート紛失時は、警察で証明書を受け取り、ベルンにある在スイス日本国大使館へ連絡。再発行や「帰国のための渡航書」の発行手続きを進めます。連絡先は事前にメモしておくと安心です。
    • 交通機関の遅延や運休の場合:
    • SBB Mobileアプリが役立ちます。遅延情報や代替ルートがリアルタイムで確認可能です。
    • 駅のインフォメーションボード(青色の表示が多い)や駅員にも最新情報を尋ねましょう。
    • 体調不良の場合:
    • 軽い症状なら、薬局(Apotheke)で薬剤師に相談して薬を購入できます。
    • 病院を受診する必要がある場合は、まず加入している海外旅行保険のサポートデスクに連絡し、提携病院の案内や手続きについて指示を仰ぐのがスムーズです。

    歴史と自然が織りなす、忘れられない旅へ

    ザンクト・ガレン州は、スイスの他の名高い観光地とは一味違い、静謐で知的、そして心に深く沁み入る魅力が息づく場所です。世界遺産に登録された図書館で中世の知識に思いを馳せ、美しい旧市街の石畳の道をゆっくり歩き、少し足を伸ばせばアルプスの壮麗な景色が広がります。多彩な表情を持つこの地は、きっとあなたの旅の思い出に特別な一章を刻んでくれるでしょう。

    この記事が、ザンクト・ガレンへの旅の指針となれば幸いです。さあ、準備は整いましたか?歴史の息吹と雄大な自然が織り成す、あなただけの物語を求めて、スイスの宝石とも称されるザンクト・ガレン州へ出かけてみませんか。きっとそこには、予想を超える感動が待ち受けています。

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    この記事を書いたトラベルライター

    旅行代理店で数千人の旅をお手伝いしてきました!今はライターとして、初めての海外に挑戦する方に向けたわかりやすい旅ガイドを発信しています。

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