こんにちは、旅ライターのさくらえみです。世界には「一度は訪れたい」と称される場所が数多くありますが、その中でもひときときらめく、静謐な光を放つ町があります。イタリア中部に位置するウンブリア州の丘に佇む、天空の町アッシジ。ここは、カトリック教会で最も敬愛される聖人の一人、聖フランチェスコの生誕地です。
ピンク色を帯びた石で造られた家々が織りなす中世の街並みは、まるで時が止まったかのよう。穏やかなウンブリアの緑の丘陵地帯を見下ろす風景は、一枚の絵画のように美しく、訪れる人々の心を優しく包み込みます。
しかし、アッシジの魅力は単なる景観の美しさだけではありません。この地は、清貧、友愛、そして平和のメッセージを世界に伝えた聖フランチェスコと、その精神を受け継いだ聖キアラの息吹が、今なお色濃く残る祈りの場所なのです。世界中から巡礼者が絶えないこの聖地を歩けば、きっとあなたの心にも、何か温かいものが灯るはず。
この記事では、初めてアッシジを訪れる方でも安心して旅を楽しめるよう、アクセス方法から必見の世界遺産、街歩きのヒント、そして旅に役立つ実践情報まで、私の経験を交えながら詳しくご紹介します。さあ、一緒に心の平穏を求める旅に出かけましょう。
アッシジがそうであるように、イタリアの世界遺産には心を揺さぶる場所が他にも数多くありますので、ぜひ次の旅の参考にしてください。
アッシジってどんな町?ウンブリアの緑に抱かれた聖なる丘

アッシジの旅を始めるにあたり、まずはこの町の特徴や魅力の源を探ってみましょう。
イタリアの「緑の心臓」と称される中世の町
アッシジはイタリア半島のほぼ中央、ウンブリア州に位置しています。海に面していないこの州は、穏やかな丘陵地帯に広がるオリーブ畑やブドウ畑、そして豊かな森林に囲まれ、「イタリアの緑の心臓(il cuore verde d’Italia)」と呼ばれています。その中でもアッシジは、スバジオ山の斜面に築かれたまさに天空の町です。城壁に囲まれた旧市街は、中世の面影を驚くほど良好に今に残しています。
町の多くの建物には、地元産のピンクがかった白色の石灰岩が使われています。朝日や夕日に照らされると、街全体がバラ色に染まり、幻想的な雰囲気が漂います。細く入り組んだ石畳の路地を歩くと、どこからともなく教会の鐘の音が聞こえてくる…そんな穏やかな日常風景がアッシジの日々です。
聖フランチェスコと聖キアラの物語が息づく街
アッシジが世界的に知られる最大の理由は、1182年にこの地で生まれた聖フランチェスコ(San Francesco d’Assisi)の存在にあります。裕福な商人の家に生まれながら、すべてを捨てて神に仕え、動物や自然と心を通わせた彼は、清貧と平和の教えを説き、フランシスコ会を創設しました。その生涯と精神は宗派を超えて今も多くの人々に影響を与え続けています。
また、フランチェスコの精神に深く共鳴し彼に続いたのが、同じくアッシジ出身の貴族の娘である聖キアラ(Santa Chiara d’Assisi)です。彼女は女性のための修道会「キアラ会(貧しきクララ会)」を立ち上げ、生涯を祈りに捧げました。
アッシジの街には、この二人の聖人に由来する教会や修道院が点在しています。それらを訪れることは、単なる観光にとどまらず、彼らの歩んだ道を辿り、その精神に触れる心の旅となるのです。2000年には「アッシジ、フランチェスコ聖堂と関連修道施設群」として、この街の主要な建造物群がユネスコの世界遺産に登録され、その歴史的かつ宗教的な価値が世界に認められました。
アッシジへのアクセス完全ガイド:ローマ・フィレンツェからの行き方
丘の上に位置するアッシジへのアクセス方法について、特にイタリアの主要都市であるローマとフィレンツェからの行き方を中心に、具体的かつわかりやすい手順をお伝えします。旅を計画する上で非常に重要なポイントですので、しっかりと確認していきましょう。
列車(Trenitalia)によるアクセスが基本
イタリア国内の移動手段として最も一般的なのが国営鉄道トレニタリア(Trenitalia)です。アッシジへ行く際も、列車を利用するのが便利かつシンプルな方法です。
ローマ・テルミニ駅(Roma Termini)からのアクセス
ローマの中心駅であるテルミニ駅からアッシジへ向かう列車は直通が少なく、多くの場合フォリーニョ駅(Foligno)で乗り換えます。
- 所要時間: 約2時間から2時間30分程度
- 料金: 普通列車(Regionale)なら片道約15ユーロ。特急列車(例:Frecciabianca)を利用すると、料金は少し上がりますが時間短縮が可能です。
- 乗り換えについて: フォリーニョ駅での乗り換えは、同じホームの向かい側の電車に乗り換えるだけのケースが多く、比較的簡単です。電光掲示板でアッシジ行きの列車のホーム番号(Binario)を必ず確認しましょう。
フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅(Firenze S.M.N.)からのアクセス
フィレンツェからも、多くの場合テーロントラ(Terontola-Cortona)駅やフォリーニョ駅での乗り換えが必要となります。
- 所要時間: 約2時間30分から3時間程度
- 料金: 片道およそ20ユーロ前後
- 乗り換えについて: ローマからのルートと同様に、乗り換え駅の電光掲示板で次の列車の情報をしっかり確認することが重要です。
【行動のステップ】列車チケットの購入から乗車まで
イタリア鉄道の利用を快適にするため、具体的な手順を詳しく解説します。
- チケットの購入方法:
- オンライン予約: 最もおすすめなのは、トレニタリア公式サイトや公式アプリでの事前購入です。英語表示に切り替えられ、クレジットカードで簡単に支払いが可能です。早めに予約すると「Super Economy」などの割引料金を適用できることが多く、お得です。予約完了後に送られてくるQRコード付きPDFのEチケットをスマートフォンに保存しておけば、当日は画面を提示するだけで問題ありません。紙に印刷する必要はありません。
- 駅の券売機: 駅構内の自動券売機でも購入できます。英語表示を選択できるため、操作は簡単です。行き先(Assisi)、利用日時、人数を入力し、表示された列車を選んで現金またはクレジットカードで支払いましょう。
- 駅の窓口: 対面で相談しながら購入したい場合は、窓口(Biglietteria)を利用してください。ただし混雑することが多いため、時間に余裕を持つことをお勧めします。「Un biglietto per Assisi, per favore.(ウン・ビリエット・ペル・アッシジ、ペルファヴォーレ/アッシジまで一枚ください)」と伝えれば大丈夫です。
- 【重要】乗車前の刻印(バリデーション)について:
駅の自動券売機や窓口で購入した紙の切符(たとえば普通列車Regionaleのチケットなど)は、乗車前に必ずホームや通路に設置された緑色または黄色の刻印機で打刻しなければなりません。切符を矢印の方向に差し込むと、日時が刻印されます。この作業を怠り検札で発覚すると高額な罰金が科されますので、絶対に忘れないでください。なお、オンラインで購入したEチケットの場合、この刻印は不要です。
【トラブル時の対処法】ストライキ(Sciopero)に遭遇した場合
イタリアの交通機関ではストライキが比較的頻繁に発生します。もし旅程と重なってしまった際の対応策をご紹介します。
- 情報収集: まずは冷静に、トレニタリアの公式サイトやアプリで最新の運行状況を確認しましょう。駅の電光掲示板にも遅延(Ritardo)や運休(Cancellato)の情報が示されます。
- 代替手段の検討: 主要路線を走る一部の長距離列車は、「保証列車」として運行される場合があります。運休が発生した時は駅の窓口で代替便やバスの手配ができるか問い合わせてみてください。ただし必ずしも保証されるわけではありません。
- 返金対応: 運休になった列車のチケットは窓口で手続きをすれば返金(Rimborso)の対象となります。
- 予防策: 旅程に余裕を持つことが大切です。ストライキ情報は通常、数日前に発表されるため、旅行前にニュースサイトでチェックしておくと安心です。
アッシジ駅から旧市街までの最後の移動
無事にアッシジ駅に到着したら、ここで一つ注意点があります。アッシジ駅はサンタ・マリア・デリ・アンジェリ地区の平地に位置しており、目的地である旧市街は丘の上にあります。ここからさらに移動が必要です。
- 路線バス(Linea C): 最も一般的な移動手段です。駅出口近くにバス停があり、旧市街の中心であるマッテオッティ広場(Piazza Matteotti)まで約10分の所要時間です。チケットは駅構内の売店(Edicola)やカフェ(Bar)、バス停近くのタバッキ(Tabacchi)と呼ばれるタバコ店で購入可能です。運転手から購入すると割高になることが多いため、事前に買うことをおすすめします。バス乗車後は車内の刻印機でチケットを忘れずに打刻してください。
- タクシー: 駅前にタクシー乗り場があり、荷物が多い場合やグループでの移動時に便利です。料金はおよそ15〜20ユーロが目安です。
- 徒歩: 約3kmの距離ですが、ずっと急な上り坂が続くため、体力に自信があり荷物も少ない方以外はあまりおすすめしません。基本的にはバスの利用が無難です。
聖フランチェスコの遺産を巡る:必見の世界遺産スポット

アッシジの中心部、聖フランチェスコゆかりの地を訪れましょう。ここは単なる観光スポットではなく、神聖な祈りの場であるため、訪問時には敬意を持った行動を心掛けることが大切です。
サン・フランチェスコ大聖堂(Basilica di San Francesco d’Assisi)
アッシジを象徴する場所であり、旅の始まりと終わりを告げる重要なスポットです。聖フランチェスコの遺体を安置するために、彼の死後に建設が始められました。この大聖堂は「上部聖堂」「下部聖堂」、そして聖人の墓所がある「地下聖堂」という三層構造が大きな特徴となっています。
上部聖堂(Basilica Superiore)
扉を開けると、明るく壮麗な空間に思わず息を呑むでしょう。イタリア・ゴシック建築の傑作で、天井に張り巡らされたリブ・ヴォールトや、壁一面を覆うフレスコ画が目を引きます。なかでも見逃せないのは、ルネサンス絵画の父と称されるジョット(およびその工房)による、全28場面で構成された連作フレスコ画「聖フランチェスコの生涯」です。
文字が読めなかった当時の人々に聖人の物語を伝えるべく描かれたこれらの絵は、芸術史における革命的作品とされます。有名な「小鳥への説教」や「スルタンとの対話」など、フランチェスコの奇跡や教えが生き生きと表現されています。光がたっぷり差し込む内部で、一場面ずつじっくりと鑑賞してみてください。
下部聖堂(Basilica Inferiore)
上部聖堂から階段を下りると、趣は一変します。天井が低く、重厚なロマネスク様式で築かれた下部聖堂は、暗く荘厳な佇まいの祈りと瞑想の空間です。壁や天井には、ジョットの師匠であるチマブーエや、シエナ派の名匠シモーネ・マルティーニ、ピエトロ・ロレンツェッティらによるフレスコ画がびっしりと描かれています。特に祭壇上部の天井に描かれた「フランシスコ会の寓意画」は圧巻で、上部聖堂とは対照的に深い内省を促す時間が過ごせます。
地下聖堂(Cripta)
下部聖堂の中央階段をさらに降りた先に、聖フランチェスコの墓所があります。装飾を排した質素な石棺が安置された空間は、静寂に包まれています。世界中からの巡礼者がここで静かに祈りを捧げる姿から、聖人の精神が今もなお息づいていることを強く感じられるでしょう。
【禁止事項と注意点】大聖堂内でのマナーについて
この場所は非常に神聖なため、以下のルールを必ず守りましょう。
- 服装について: 肩や膝を露出する服装(タンクトップ、ノースリーブ、ショートパンツ、ミニスカートなど)は入場禁止です。特に夏場は注意が必要で、薄手のカーディガンやストールなどを持参すれば、さっと羽織れて便利です。アッシジの他の教会も同様の規定です。
- 撮影禁止: 堂内での写真やビデオ撮影は禁止されています。目に焼き付け、心で感じることが最も大切です。
- 静粛に: 私語は控えめにし、静かに行動してください。携帯電話はマナーモードにするか電源を切りましょう。
- 飲食禁止: 堂内での飲食は当然禁止されています。
- 荷物制限: 大きなリュックサックやスーツケースの持ち込みは禁止されており、入口でのセキュリティチェック時に預けるよう求められることがあります。
これらのルールを守ることは、聖地への敬意であり、ほかの訪問者への配慮にもなります。快適に見学するためにも、必ず従ってください。最新の開館時間やミサのスケジュールは、公式サイトで確認することをおすすめします。 サン・フランチェスコ大聖堂公式サイトを事前にチェックすると、よりスムーズに見学できます。
サンタ・キアーラ聖堂(Basilica di Santa Chiara)
町の東側に位置し、ピンクと白の横縞模様が美しいゴシック様式の教会です。聖フランチェスコの教えに従い、清貧の生き方を貫いた聖キアラに捧げられています。
地下礼拝堂には聖キアラの遺体が安置され、多くの人々が今もなお祈りを捧げています。また、この聖堂で最も重要なのが、正面祭壇奥の礼拝堂にある「サン・ダミアーノの十字架」です。若き日のフランチェスコがサン・ダミアーノ教会で祈っていた際に、「フランチェスコよ、行きなさい。そしてわたしの教会を建て直しなさい」と語りかけたとされる奇跡の十字架(オリジナル)で、彼の回心の決定的な契機となりました。その歴史的な十字架を目の当たりにすると、言葉に尽くせぬ感動が湧き上がります。
サン・ダミアーノ修道院(Convento di San Damiano)
旧市街の城壁の外、オリーブ畑に囲まれた静かな場所に、質素で美しい修道院がひっそりと佇んでいます。ここは聖フランチェスコが十字架の声を聞き、自ら修復したと伝えられる教会があります。
その後、この地は聖キアラと彼女が創設した修道会の最初の拠点となり、彼女はここで生涯の大半を過ごし、息を引き取りました。修道院内には当時のまま残る簡素な食堂や寝室があり、彼女たちの清貧で敬虔な生活を肌で感じることができます。華やかな大聖堂とは趣を異にし、素朴で穏やかな空気が漂うこの場所は、アッシジの精神的な核心に触れる貴重なスポットです。旧市街からは少し歩くものの、時間をかけて訪れる価値は十分にあります。
アッシジの魅力を満喫するモデルコースと街歩きのヒント
アッシジは決して大きな町ではありませんが、見どころは丘の上に広がる旧市街に凝縮されています。限られた時間内で効率的に、かつ満足のいく観光をするためのモデルプランと、街歩きを快適にするポイントをご紹介します。
半日(4時間)集中コース:聖なる町の核心をたどる
もし滞在時間が半日しかなくても、アッシジの代表的なスポットを網羅することが可能です。
- 出発点:サン・フランチェスコ大聖堂
- 最初に訪れたいのはアッシジの象徴的建造物、サン・フランチェスコ大聖堂です。上部・下部・地下聖堂をじっくり見学しましょう(所要:約1.5時間)。
- コムーネ広場(Piazza del Comune)へ移動
- 大聖堂から東方向へ、メインストリートのサン・フランチェスコ通りを徒歩約10分進むと、町の中心地であるコムーネ広場に到着します。ここにはローマ時代の神殿「ミネルヴァ神殿」の正面ファサードが今も残り、歴史の息吹を感じられる場所です。広場のカフェで一息つくのもおすすめです。
- ゴール:サンタ・キアーラ聖堂
- 広場からさらに東へ進むと、サンタ・キアーラ聖堂が現れます。聖キアラの遺体やサン・ダミアーノの十字架を拝観しましょう(所要:約45分)。ここからは町の南側の景色も楽しめます。
このルートを巡れば、アッシジを代表する二つの大聖堂と町の核心部を効率的に回ることができます。
1日ゆったりコース:絶景と静謐を味わう旅
丸一日滞在できるなら、よりじっくりとアッシジの魅力を堪能できます。
- 午前:半日コースをゆったりと
- サン・フランチェスコ大聖堂からコムーネ広場、サンタ・キアーラ聖堂まで、時間をかけて散策します。
- ランチ:ウンブリア料理を味わう
- 旧市街には雰囲気の良いトラットリアが多数。地元の名物料理でしっかりとエネルギーを補給しましょう。
- 午後①:ロッカ・マッジョーレ(Rocca Maggiore)を訪ねる
- 町で最も高い場所に建つ要塞へ。コムーネ広場から急な坂道を登りますが、その先に広がる絶景は圧巻です。赤茶色の屋根が連なるアッシジの街並みと、広大なウンブリアの緑豊かな平原を一望できる最高のロケーションです。
- 午後②:サン・ダミアーノ修道院で静寂のひととき
- 街の喧騒を離れ、城壁の外へ。サンタ・キアーラ聖堂からオリーブ畑の小道を約15分下るとサン・ダミアーノ修道院に到着します。ここで、聖フランチェスコや聖キアーラの精神に思いを巡らせながら静かな時間を過ごせます。
- 夕方:お土産探しとアペリティーヴォを楽しむ
- 旧市街へ戻り、サン・フランチェスコ通り周辺の小路でショッピング。夕食前には、バールで食前酒(アペリティーヴォ)を味わうのもイタリアらしい楽しみ方です。
街歩きを快適にするコツ
- 歩きやすい靴を必ず用意!:アッシジの道は石畳で舗装されており、急な坂道や階段も多くあります。ヒールのある靴は避け、スニーカーやウォーキングシューズなど、履き慣れた靴を選ぶのが散策の快適さを左右します。
- こまめな水分補給を心がける:特に夏季は日差しが強く、坂の上り下りで汗をかきます。ペットボトルの水を携帯し、適宜水分を補給しましょう。市内には「ナゾーネ(大きな鼻)」と呼ばれる無料の公共水飲み場があり、冷たく美味しい水を利用できます。
- お店の営業時間に留意:イタリアでは多くの店が13時から16時頃まで昼休み(pausa pranzo)をとるため、ショッピングや食事の計画はこの時間帯を避けるのがおすすめです。
- 絶景の写真スポットを探す:ロッカ・マッジョーレからの眺めはもちろんですが、サン・フランチェスコ大聖堂前の広場から見下ろす西側の景色や、サンタ・キアーラ聖堂前の広場も見逃せません。細い小道に入ってみて、お気に入りの撮影スポットを見つけるのも楽しい体験です。
アッシジで味わうウンブリアの恵み:おすすめグルメとレストラン

旅の楽しみの大きな一つとして、その土地ならではの料理が挙げられます。イタリアの「緑の心臓」と称されるウンブリア州は、豊かな自然に恵まれた食材の宝庫です。ここではアッシジでぜひ味わっていただきたい絶品グルメをご紹介します。
絶対に味わいたい!ウンブリア地方の代表的な郷土料理
- ストランゴッツィ(Stringozzi)またはストロンゴッツィ(Strongozzi):
ウンブリア地域を象徴する手打ちパスタで、小麦粉と水だけで作られるうどんのような太くて弾力のある麺が特徴です。名前の由来には「司祭の首を絞める」という意味があり、その美味しさで司祭も喉を詰まらせたという逸話があります。濃厚なソースと絡み合い、食べごたえは抜群です。
- 黒トリュフ(Tartufo Nero):
ウンブリアはイタリア有数の黒トリュフの産地です。薄くスライスしたトリュフをふんだんにかけたストランゴッツィはまさに至福の味わい。オムレツや肉料理にも使われ、その豊かな香りが食欲を刺激します。お土産店にはトリュフ塩やトリュフオイルも多く並んでいます。
- 猪(Cinghiale)料理:
森が広がるウンブリアでは猪が古くから親しまれてきた食材です。生ハムやサラミなどの加工品から、赤ワインでじっくり煮込む「Cinghiale in umido」など多彩な料理があります。野趣あふれる力強い味は地元の赤ワインと相性抜群です。
- トレンタ・フィオーリ(Torta al Testo):
ピザの原型とされる円盤型の平たいパンで、中にプロシュットやチーズ、野菜などを挟みパニーニのように楽しみます。手軽に味わえるストリートフードとして地元の人々に愛されています。
- ウンブリア産ワイン:
ウンブリアは知られざるワインの名産地で、特にモンテファルコ地区で生まれる力強い赤ワイン「サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(Sagrantino di Montefalco)」が有名です。またオルヴィエート周辺で造られる辛口白ワイン「オルヴィエート・クラッシコ(Orvieto Classico)」も評判です。食事のお供にぜひお試しください。
シーン別おすすめのレストラン
アッシジには魅力的な飲食店が数多く存在します。
- 絶景を満喫したい場合:
町のはずれや高台にあるレストランからは、ウンブリアの渓谷を一望しながら食事が楽しめます。特に夕暮れ時はロマンチックな雰囲気に包まれますので、テラス席のあるお店を探してみてください。
- 地元の味をじっくり堪能したい方へ:
主要な通りから一本入った路地裏にある家族経営の小さな「トラットリア(Trattoria)」や「オステリア(Osteria)」がおすすめです。メニューはシンプルでも手作りの心温まる家庭料理が味わえます。
- 気軽に済ませたいときは:
コムーネ広場周辺には、ピザの切り売り(Pizza al taglio)を行う店や、おいしいパニーニが楽しめるパン屋さん(Paninoteca)、カフェ(Bar)が豊富にあります。散策の合間にさっと軽食を取るのに最適です。
レストランを利用する際は、特にディナータイムは予約をするのが安心です。週末や観光シーズンは混雑することが多いため、事前の予約をおすすめします。チップは必須ではありませんが、サービスに満足した場合は料金の5〜10%をテーブルに置くとスマートに感じられます。
旅の準備と実践情報:アッシジ滞在を快適にするために
アッシジへの旅をより安全で快適にするために、具体的な準備内容や現地での注意点、さらには万が一のトラブルへの対応方法をまとめました。この記事を参考にすれば、より安心して旅を楽しめるでしょう。
【準備】アッシジ旅行に必要な持ち物リスト
基本的なアイテムに加え、アッシジ特有のポイントも押さえておきましょう。
- 必須アイテム:
- パスポート(有効期限を事前に要チェック)
- 航空券(電子チケット)
- 現金(ユーロ):小規模なお店やバスのチケット購入には現金が重宝します。
- クレジットカード:複数枚持つと安心。VISAやMastercardが主流です。
- 海外旅行保険証:病気や盗難など万一に備えて必ず加入しておきましょう。
- 服装・靴:
- 歩きやすい靴(最も重要!):スニーカーやウォーキングシューズがおすすめです。
- 温度調節がしやすい服装:Tシャツ、長袖シャツ、カーディガンなど重ね着できるものが便利です。
- 教会訪問用の羽織もの:肩や腕を覆えるストールやカーディガン、薄手のジャケットなどを用意しましょう。
- 季節に合わせた小物:夏は帽子やサングラス、日焼け止めを。冬は防寒着やマフラー、手袋が必要です。
- あると便利なもの:
- モバイルバッテリー:地図アプリや写真撮影でスマホのバッテリーが減りやすいため必携です。
- 電源変換プラグ:イタリアではCタイプのプラグが使われています。
- エコバッグ:多くのスーパーでレジ袋は有料なので持参すると便利です。
- 常備薬:胃腸薬や頭痛薬、絆創膏など。
- 簡単なイタリア語の会話帳や翻訳アプリ。
- ウェットティッシュや除菌ジェル。
【ルール】アッシジでのマナーと注意事項
聖地であるアッシジでは、訪れる旅行者にも節度ある振る舞いが求められます。
- 教会内のルール(再確認しましょう):
- 服装規定:肩や膝の露出は避けましょう。
- 静粛を守ること:大声での会話は控えてください。
- 撮影禁止:多くの教会内部では撮影が禁じられています。掲示を必ず確認しましょう。
- ミサの最中の見学:ミサが行われている時は、信者の邪魔にならないよう見学は控え、入口で待つか後方で静かに立ち止まる程度に留めてください。
- 街中のマナー:
- 挨拶を大切に:お店に入る際は「ボンジョルノ(こんにちは)」、出る時は「グラッツィエ、アリヴェデルチ(ありがとう、さようなら)」と声をかけることで、より良いコミュニケーションが生まれます。
- ゴミのポイ捨て禁止:街の美観を保つため絶対にやめましょう。
- 治安について:
アッシジはイタリア内でも治安が良好な街ですが、観光客が集まるためスリや置き引きには注意が必要です。
- バッグは前に抱えるように持ちましょう。
- レストランなどで席を離れる際、荷物をそのままにしないこと。
- 多額の現金やパスポートはホテルのセーフティーボックスに預け、必要なコピーを持ち歩くのが安全です。
これらの基本的な注意を忘れずに行動しましょう。
【トラブル対策】万が一の時の対応マニュアル
旅先でトラブルに遭った場合の対処法を知っておくと心強いです。
- 体調不良の場合:
- 薬局(Farmacia):緑色の十字マークが目印。薬剤師に症状を伝えれば適切な市販薬を案内してくれます。簡単なイタリア語(例:「熱がある」= Ho la febbre、「頭が痛い」= Ho mal di testa)をメモしておくと便利です。
- 病院受診:深刻な場合はホテルのフロントに相談し、最寄りの病院(Ospedale)や救急外来(Pronto Soccorso)への案内を受けましょう。海外旅行保険のサポートサービスに連絡するのも効果的です。
- 緊急時対応:救急車や警察への緊急連絡番号は「112」です。
- 盗難に遭遇した場合:
- カードの停止:まずは速やかにクレジットカード会社の緊急連絡先へ電話し、カードの利用停止手続きを行いましょう。連絡先は事前に控えておくことをおすすめします。
- 警察への届出:最寄りの警察署(PoliziaまたはCarabinieri)で盗難・紛失の届け出(Denuncia di furto/smarrimento)を作成してもらいます。この証明書はパスポート再発行や保険請求の際に必要です。
- パスポートの再発行手続き:パスポートを紛失した場合、警察で証明書を取得後、ローマにある在イタリア日本国大使館で再発行や「帰国のための渡航書」の発行手続きを行ってください。再発行には時間と手間がかかるため、パスポートは極めて慎重に管理しましょう。
トラブルに遭わないのが一番ですが、万が一の際に正しい対応法を知っておくことが心のゆとりになります。
聖フランチェスコの精神に触れる、特別な体験

アッシジの旅は、単に美しい景観を楽しみ、美味しい食事を味わうだけには留まりません。この町の真の魅力は、そこに漂う特別な精神性に触れることにあります。
丘の上からウンブリアの谷を見渡すと、聖フランチェスコが詠んだ有名な「太陽の賛歌(Cantico delle Creature)」の一節が自然と心に浮かんできます。彼は太陽を「兄弟」と称し、月を「姉妹」と呼び、水や火、そして大地といったあらゆる自然を神の創造物として讃えました。動物に向けて説教をしたという逸話も、彼の全ての生命に対する深い愛情と敬意を象徴しています。
サン・フランチェスコ大聖堂の壮麗さに圧倒され、サン・ダミアーノ修道院の静けさに心を鎮めます。石畳の小道を歩きながら、すれ違う修道士や巡礼者の姿から、何世紀にもわたって受け継がれてきた信仰の歴史を肌で感じることでしょう。アッシジでの時間は、日常の喧騒から離れ、自分自身の内面と静かに向き合う貴重なひとときとなるはずです。
この町が放つ平和のメッセージは、宗教や文化の壁を超え、すべての人の心に響く普遍的な力を持っています。なぜ世界中の人々がこの小さな丘の町に惹かれるのか、その答えはきっと、あなた自身の足でこの地を歩き、その空気を感じたときに見つかることでしょう。
このガイドが、あなたの素晴らしいアッシジの旅の信頼できる伴侶となることを心より願っています。Buon viaggio!(良い旅を!)

