デンマークの首都コペンハーゲン。おとぎ話から飛び出してきたようなカラフルな港町ニューハウンや、世界最古の遊園地チボリ公園など、見どころに溢れた魅力的な都市です。ですが、もし旅の日程に少しだけ余裕があるのなら、ぜひ電車に乗って郊外へ足を延ばしてみませんか?コペンハーゲンから北へ約40分、そこにはまるで時が止まったかのような、静かで美しい街があなたを待っています。
その街の名は、ヒレレズ(Hillerød)。シェラン島北部の森と湖に抱かれたこの街の主役は、なんといっても湖上に荘厳な姿を映す「フレデリクスボー城(Frederiksborg Slot)」です。北欧ルネサンス様式の最高傑作と謳われ、「北欧のヴェルサイユ」とも称されるその城は、ただ美しいだけではありません。デンマークという国の500年以上にわたる歴史が、ぎゅっと凝縮された壮大な博物館でもあるのです。
この記事では、私が実際に歩き、心震わせたヒレレズの魅力と、旅のハイライトであるフレデリクスボー城を余すことなく楽しむための方法を、具体的なステップを交えながら丁寧にご紹介します。チケットの買い方から、城内の見どころ、おすすめの散策ルート、そして旅の道中で出会う美味しいものまで。この記事を読み終える頃には、あなたの次の旅の目的地リストに、きっと「ヒレレズ」という名前が加わっているはずです。さあ、一緒にデンマークで最も美しい城への旅を始めましょう。
ヒレレズってどんな街?コペンハーゲンからの麗しき小旅行

ヒレレズは、デンマークの首都コペンハーゲンが位置するシェラン島北部に広がる、約5万人が暮らす穏やかな街です。その歴史は深く、16世紀にデンマーク王フレデリク2世がこの地の荘園を取得し、その息子クリスチャン4世が壮麗なフレデリクスボー城を築いたことで、王室ゆかりの地として発展してきました。
この街の特徴の一つは、その豊かな自然環境です。中心部には城が浮かぶキャッスル湖(Slotssøen)が広がり、その周囲は広大な森林に囲まれています。コペンハーゲンの都市の喧騒から、電車でわずか1時間足らずで到達できるとは思えないほど、空気は澄み渡り、鳥のさえずりが爽やかに響き渡る、まさに都会のオアシスです。多くのデンマーク人が週末のリフレッシュに訪れるスポットでもあります。
この街がコペンハーゲンからの日帰り旅行先として高い人気を誇るのは、アクセスの良さだけが理由ではありません。歴史的な建築物、美しい庭園、湖でのアクティビティ、そしてデンマーク独特の「ヒュッゲ(Hygge)」な時間を楽しめるカフェやショップがコンパクトにまとまっており、旅行者が短時間でその魅力を存分に味わえるからです。
特に、駅から城へ続く湖畔の遊歩道は、ヒレレズの魅力を象徴する場所と言えます。湖面に映る城のシルエットを眺めながら歩く時間は、旅の序章として最高の演出となります。風が水面をそっと撫で、白鳥が優雅に泳ぐ姿は、訪れる人の心を穏やかにし、これから始まる特別な時間への期待を膨らませてくれます。歴史と自然が見事に融合した街、それがヒレレズなのです。
旅のハイライト:水上に浮かぶルネサンスの傑作、フレデリクスボー城
ヒレレズを訪れる人々の視線を一瞬で奪うのが、三つの小島の上にそびえるフレデリクスボー城です。赤レンガの外壁に青緑色の屋根、そして天高くそびえる無数の尖塔が織りなす堂々たる姿は、まさに息を呑む美しさ。デンマークの紙幣にも描かれたことのあるこの城は、国の象徴であり、多くの人々の誇りそのものとなっています。
現在、城内は「国立歴史博物館」として機能しており、デンマークの500年以上に及ぶ歴史を伝える豊富なコレクションが収蔵されています。歴代の王たちの肖像画、歴史的な場面を描いた壮大な絵画、華やかな家具やタペストリーの数々が、訪問者を中世から現代までの時代旅行へと誘います。
フレデリクスボー城の歴史と見どころ
この城の建設を指揮したのは、デンマーク史上最も偉大と称される王の一人、クリスチャン4世です。彼は父フレデリク2世から譲り受けた館を、当時最先端とされたオランダ・ルネサンス様式を取り入れ、自身の権力と繁栄を象徴する壮麗な城へと改築しました。建設は17世紀の初めに行われ、完成した城は北欧全域で最も美しい建築物の一つと称賛されました。
しかし、その輝かしい歴史の裏には悲劇も存在します。1859年に大火災が発生し、城の内部の大部分が焼失してしまいました。国民はこの国の宝の損失を深く嘆き、全国から義援金が集まりました。その復興を経済面で大きく支えたのは、世界的に知られるビール会社カールスバーグの創業者J.C.ヤコブセンです。彼は再建された城をデンマークの歴史を後世へ伝える国立歴史博物館にすることを提唱し、現在に至っています。この一連の出来事からも、フレデリクスボー城がいかに国民から愛されているかがうかがえます。
城へ足を踏み入れると、その豪華な内装に誰もが息を飲むはずです。見どころは多岐にわたりますが、特に注目すべきスポットをいくつか紹介します。
- 大広間(The Great Hall / Riddersalen)
再建された城の中心的な空間で、最も豪華な部屋です。王室の祝宴や舞踏会が開催された場所で、壁一面に王家の歴史を描いた巨大なタペストリーが飾られています。見上げれば金箔を施した精緻な格天井が広がり、その煌びやかさは圧巻です。窓から差し込む自然光が磨き込まれた床の象嵌(ぞうがん)細工をきらめかせ、まるで夢の世界に迷い込んだかのよう。ここでかつて繰り広げられた華やかな宴の光景を想像してみてください。
- 礼拝堂(The Chapel / Slotskirken)
幸いにも1859年の大火で被害を免れた、城内で最も神聖な場所です。デンマークの絶対王政時代(1660〜1849年)には、歴代国王の戴冠式がここで執り行われました。壁や天井は金や黒檀、象牙で豪華に装飾され、荘厳かつ厳かな雰囲気に満ちています。特に1610年に製作された歴史的なパイプオルガンは、その優美さと複雑な仕組みから芸術作品としても一流です。現在も日曜の礼拝や音楽会が開催されており、運が良ければその美しい音色を聴くことができるかもしれません。
- 謁見の間(The Audience Chamber)
バロック様式の精華が詰まった、息をのむほど美麗な小部屋です。クリスチャン5世の時代に増築されたこの部屋は、まるで宝石箱のように装飾が施されています。天井には王を讃える寓意的な絵画が描かれ、壁一面が緻密な装飾で覆われています。中でも秘密のエレベーターとして使われた「巻き上げ椅子」は、当時の王の権威と遊び心を感じさせる注目ポイントです。
これらの主要スポット以外にも、城内にはデンマークの歴史を彩った著名人の肖像画が年代順に展示されています。デンマーク史に詳しくなくても、服装や表情の変遷を見ているだけで楽しいでしょう。また、現代の王室メンバーやデンマークを代表する著名人のポートレートが置かれたモダンなセクションもあり、歴史が現代まで連綿と続いていることを実感させてくれます。
フレデリクスボー城を満喫するためのポイント
壮麗なフレデリクスボー城を思う存分楽しむためには、事前の準備と計画が重要です。ここでは、チケット購入から館内の効率的な回り方まで、実用的な情報をご案内します。
- チケット購入方法:スマートでスムーズな入場を目指して
フレデリクスボー城の入場券は現地でも購入できますが、時間を有効活用したいならオンラインでの事前購入を強くおすすめします。特に観光シーズンの週末は窓口が混み合うことがあるためです。
- オンライン購入の流れ
- まずは公式サイトへアクセス。デンマーク語表記ですが、多くの場合、画面上部やメニューで英語表示に切り替えられます。
- 「Buy Ticket」や「Tickets & Admission」などの項目を選択します。
- 希望訪問日、大人(Adult)、子供(Child)、シニア(Senior)などのチケットカテゴリーと枚数を指定します。
- 名前やメールアドレスなど必要事項を入力し、クレジットカードで決済を完了します。
- 決済後に確認メールが届き、その中にEチケットが添付されているので、スマホに保存または印刷して当日提示します。QRコードの提示だけでスムーズに入場できます。
- 現地購入について
当日でも城内のチケットカウンターや自動券売機にて購入可能です。支払いは現金(デンマーク・クローネ)やクレジットカードに対応しています。
- コペンハーゲンカードの利用
コペンハーゲン市内の公共交通機関や複数の美術館・博物館の入場が無料になる「コペンハーゲンカード」をお持ちの場合、フレデリクスボー城も無料で入場可能です。さらにヒレレズまでのS-train運賃も含まれているため、コペンハーゲン観光と合わせて考えている人には非常にお得です。カードを持参すればチケット購入は不要で、入場口でカードを提示するだけです。
- 館内の効率的な歩き方
城内は広大かつ見どころが豊富なので、無計画に歩くと疲れてしまう恐れがあります。
- 所要時間
すべてをゆっくり鑑賞するなら、最低でも3時間は確保するとよいでしょう。時間に余裕があれば、半日かけてじっくり探索するのが理想的です。
- おすすめルート
施設内には順路案内が設置されており、それに従うことで主要スポットを効率よく回れます。通常は1階からスタートし、礼拝堂や大広間のある2階、そして3階の近代コレクションへと続きます。
- オーディオガイドの利用
受付で有料のオーディオガイドをレンタル可能です。日本語対応がある場合もあるので、スタッフに確認してみてください。歴史的背景や展示物の解説を耳にしながら回れば、より深い理解が得られます。
- 荷物について
大型のリュックやスーツケースの持ち込みは禁止されています。入口付近に無料のコインロッカーがあるので、そちらに預けましょう。ロッカー使用にコインが必要な場合もありますが、ほとんどは利用後に返却されるタイプです。念のため、小銭(例えば10クローネ硬貨など)を用意しておくと安心です。
- 写真撮影時の注意事項
美しい装飾を写真に収めたい気持ちはよくわかりますが、いくつかのルールを守る必要があります。
- フラッシュ撮影は禁じられています。 古い絵画やタペストリーを傷める恐れがあるため、必ずオフにしてください。
- 三脚や自撮り棒の使用は禁止されていることが多いです。 他の来館者の迷惑になるため、特に混雑した場所では注意しましょう。
- 礼拝堂のような静粛が求められる場所では、シャッター音にも配慮し、周囲の鑑賞者の妨げにならないように心掛けてください。
- 持ち物と服装のアドバイス
快適に見学を楽しむために、以下の準備がおすすめです。
- 歩きやすい靴
城内は広く階段の昇降も多いため、ヒールのある靴ではなくスニーカーやフラットシューズが適しています。中庭は石畳なので安定した履物を選びましょう。
- カメラやモバイルバッテリー
写真をたくさん撮ることになると思われます。スマートフォンのバッテリー切れに備え、携帯充電器を持参すると便利です。
- 羽織るもの
石造りの建物は夏でもややひんやり感じることがあるため、軽く羽織れるカーディガンやジャケットがあると体温調整に役立ちます。
- 飲み物
城内にはカフェもありますが、見学中に喉が渇く場合があるので、蓋付きの水筒やペットボトルを持っていると安心です。
城だけじゃない!ヒレレズの隠れた魅力を歩く

フレデリクスボー城の壮麗さに感動した後は、ぜひヒレレズの街そのものの魅力にも触れてみてください。城の周囲には、心穏やかになる美しい風景や、デンマークの暮らしを感じられるスポットが点在しています。
優雅なひとときを。フレデリクスボー城のバロック庭園
城の見学を終えたら、ぜひ訪れてほしいのが城の裏手に広がる壮大なバロック式庭園(Barokhaven)です。18世紀に造られたこの庭園は、フランスのヴェルサイユ宮殿の庭園を模しており、幾何学的に正確に刈り込まれた植木や階段状のテラス、そして中央に配された噴水が見事なシンメトリーを生み出しています。
この庭園は美しいだけでなく、絶好の写真スポットとしても知られています。庭園の最も高い場所からは、庭園全体とその向こうに広がる湖、さらに城が一望でき、まるで絵葉書のような完璧なパノラマビューが広がります。この景色だけでもヒレレズを訪れる価値があると言っても過言ではありません。
なお、庭園の散策は入場無料です。ベンチに腰掛けて城を眺めながらサンドイッチを楽しんだり、のんびりと読書をしたりと、自分のスタイルでゆったりとした時間を過ごせます。城内の喧騒を離れて、デンマークの穏やかな自然の中で深呼吸すれば、旅の疲れも癒やされることでしょう。
湖上から城を望む特別な体験
ヒレレズのキャッスル湖では、小さな遊覧船「Den Lille Færge」が運航されており、湖上からフレデリクスボー城を眺めることができます。地上とは異なる、湖面に映る幻想的な城の姿は、忘れ難い思い出になるでしょう。
- 運航情報: 遊覧船は主に春から秋の暖かい季節に運行しています。冬季は休航するため、訪問前に必ず公式サイトで最新のスケジュールと料金を確認してください。
- 乗り場: 乗り場は湖畔に複数ありますが、ヒレレズの中心地、広場(Torvet)近くの乗り場からの乗船が便利です。バロック庭園の近くにも乗り場があり、庭園散策の後に利用するのもおすすめです。
- 楽しみ方: 約30分のクルーズでは、城の正面や側面、庭園側などさまざまな角度からその美しい姿をじっくりと楽しめます。晴れた日の午後、西日に照らされて輝く城は特に見ごたえがあります。
ヒレレズの街並み散策とショッピング
城と庭園を堪能したあとは、ヒレレズのメインストリートである歩行者専用の「Slotsgade」をゆったり歩いてみましょう。この通りには、デンマークデザインのかわいらしい雑貨店やお洒落なブティック、地元のパン屋さんが軒を連ねています。
ウィンドウショッピングを楽しむだけでも、デンマークの人々の暮らしぶりや感性に触れることができ、とても楽しい体験です。旅の記念に北欧風の温かみあるデザイン小物や、美味しいデニッシュペストリーを探してみてはいかがでしょうか。通り沿いには居心地の良いカフェも多く、散策に疲れたら美味しいコーヒーとケーキでほっと一息つくのもおすすめです。デンマーク語で「ヒュッゲ」と呼ばれる、心地よく安らぐ時間をぜひ味わってみてください。
コペンハーゲンからヒレレズへ!実践アクセスガイド
コペンハーゲンからヒレレズへのアクセスは非常にシンプルで、旅行者でも道に迷う心配はほとんどありません。ここでは、もっとも一般的かつ便利な鉄道の利用方法を、チケットの購入から駅からの徒歩ルートまで、順を追って詳しくご案内します。
S-trainで行く、快適で手軽な鉄道の旅
コペンハーゲンとヒレレズを結ぶ鉄道は、「S-train(S-tog)」という近郊電車です。日本の電車同様、運行本数が多く予約不要なので、気軽に乗ることができます。
- 利用路線: コペンハーゲン市内からヒレレズへは、S-trainのA線に乗車してください。行き先表示に「Hillerød」とあるか必ず確認しましょう。
- 乗車駅: コペンハーゲン中央駅(København H)をはじめ、ノアポート駅(Nørreport)やオスタポート駅(Østerport)など、市の主要駅から乗ることが可能です。
- 所要時間と運行間隔: コペンハーゲン中央駅からヒレレズ駅までは約40〜50分かかります。日中は10分〜20分毎に運行しているため、厳密な時刻表を気にせず利用できます。
- 車窓の景色: 席は自由席です。進行方向の右側の窓際に座ると、後半に森や湖といった美しい自然の眺めを楽しめることがあります。
チケットの購入方法と留意点
デンマークの公共交通のチケットシステムは合理的ですが、初めての方には少しわかりにくい部分もあります。トラブルを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 券売機での購入:
駅には赤い券売機(DSBのロゴが目印)が設置されており、タッチパネル式で英語表示も選べます。
- 言語を「English」に切り替えます。
- 「Buy Ticket」または「Single Trip」を選択します。
- 行き先に「Hillerød St.」を入力または選びます。
- 大人の人数などを入力し、料金を確認します。
- クレジットカードまたはデンマーク・クローネの現金で支払いを完了すれば、チケットが発券されます。
- ゾーン制について:
コペンハーゲンの公共交通はゾーン制を採用しています。市内からヒレレズまで全ての必要なゾーンをカバーしたチケットが必要ですが、券売機で行き先を指定すれば自動的に正しい料金が計算されるため、特に迷うことはありません。
- コペンハーゲンカードが強力な味方:
既にご紹介した通り、コペンハーゲンカードを所持していれば、市内からヒレレズ駅までのS-train往復運賃は全額カバーされます。そのため別途チケットを購入する必要なく、カードを提示して電車に乗るだけで大丈夫です。非常にお得で手軽な選択肢といえます。
- 要注意:検札(Ticket Inspection)
デンマークの駅には改札口がありません。誰でも自由にホームへ入れますが、車内では頻繁に検札員がチケット確認を行います。もし有効なチケットを所持していないと、罰金(750クローネ以上)を科されることになるため、必ず乗車前に正しいチケットを購入し持っていることを確認してください。チケットによっては、刻印機(stamping machine)で日時打刻が必要なタイプもあるので、券面の指示をよく確認しましょう。
ヒレレズ駅からフレデリクスボー城への行き方
終点のヒレレズ駅に着いたら、城まではもう少しです。
- 徒歩によるアクセス(おすすめ!):
駅から城までは、徒歩でおよそ15〜20分です。道はほぼ一本道でわかりやすく、湖畔の美しい風景を楽しみながら歩けます。駅を出て程なくして湖が見えてきますので、そのまま湖沿いに左手(北方向)へ進むと、やがて壮麗な城の姿が目に入ってきます。この道のりこそ、ヒレレズ観光のハイライトの一つと言えます。
- バスの利用:
徒歩が難しい場合や悪天候の際は、駅前から路線バスを利用することも可能です。フレデリクスボー城近辺を通るバス(例:301番、302番など)に乗り、「Frederiksborg Slot」停留所で降ります。乗車時間は約5分です。バス運賃もコペンハーゲンカードでカバーされます。
ヒレレズの食を味わう。おすすめカフェ&レストラン

美しい風景や歴史を満喫したあとには、美味しい食事で旅の思い出をさらに深めてみましょう。ヒレレズでは、絶好のロケーションにあるレストランから、気軽に立ち寄れる居心地の良いカフェまで、多彩なグルメスポットが揃っています。
湖畔の絶景レストランでランチタイムを満喫
ヒレレズを訪れた際には、キャッスル湖とフレデリクスボー城の風景を眺めながら食事ができるレストランでのランチがおすすめです。
- Spisestedet Leonora
フレデリクスボー城の敷地内、湖畔に位置するこちらのレストランはまさに特別な席。テラスからは、湖と城が織りなす美しい景色を間近に楽しめます。メニューはデンマークの伝統的なオープンサンド「スモーブロー(Smørrebrød)」や、旬の食材を使った伝統料理が中心です。多彩な種類のスモーブローは見た目も華やかで、デンマークの食文化を気軽に味わうことができるので特におすすめ。ニシンの酢漬けやローストビーフなど定番の具材はぜひお試しください。人気のため、景色の良い席を希望する場合は、事前予約が安心です。
街中の居心地の良いカフェでほっと一息
デンマークの人々にとって、カフェで過ごす時間は「ヒュッゲ」を象徴する大切なひとときです。散策の合間にあたたかな雰囲気のカフェに立ち寄り、デンマーク流のゆったりとした休憩時間を楽しみましょう。
ヒレレズのメインストリートや路地裏には、個性豊かな小さなカフェが点在。自家焙煎のこだわりコーヒーを提供する店や、焼きたてのデニッシュペストリー(デンマークではWienerbrødと呼ばれます)が自慢の店など、さまざまな魅力があります。
ショーケースに並べられたケーキやパンの中から直感で選び、香り豊かなコーヒーとともに味わうひととき。窓の外の景色を眺めたり、旅のプランを見直したりと、そんな何気ない時間が旅の思い出をより豊かに彩ります。
予算やシーンに合わせたお店選びのポイント
- 予約について
湖畔の人気レストランや週末のランチタイムは混み合うため、訪れる際にはウェブサイトなどから事前予約をしておくのが安心です。
- アレルギー・食事制限
アレルギーがあったり、ベジタリアン・ヴィーガンメニューを希望する場合は、スタッフに遠慮なく相談してください。デンマークの飲食店はこうした要望に柔軟に応じてくれることが多いです。
- チップについて
デンマークは料金にサービス料が含まれているため、チップは必須ではありません。ただし、特に心地よいサービスを受けた際は、料金の5〜10%程度のチップを渡すと喜ばれます。クレジットカード払いの際に金額を上乗せすることも可能です。
旅のプランニングQ&A:ヒレレズ観光の疑問を解消!
ここまでヒレレズの魅力についてご紹介してきましたが、実際に旅の計画を立てる際には、さらに細かな疑問が出てくることもあるでしょう。そこで、よくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
- Q. ヒレレズ観光の最適なシーズンはいつですか?
ヒレレズは一年中訪れることが可能ですが、季節ごとに異なる趣があります。
- 春〜夏(5月〜9月): 最もおすすめの時期です。バロック庭園の花々が鮮やかに咲き誇り、緑が美しさのピークを迎えます。日没も遅く、夜9時過ぎまで明るいため、一日をフルに活用できます。遊覧船も運行されており、湖畔でのピクニックも楽しめます。
- 秋(10月〜11月): 城を囲む森が紅葉で彩られ、落ち着いた美しい景観が広がります。気温はやや下がりますが、夏に比べて観光客が少なく、ゆっくり見て回ることができるでしょう。
- 冬(12月〜2月): 日照時間は短く寒さも厳しいものの、雪に覆われたフレデリクスボー城は幻想的で、まるで童話の世界のような風情です。観光客が少ないため、静かな環境で城内を見学できます。クリスマスシーズンには、街や城でイルミネーションが楽しめることもあります。
- Q. 観光にはどのくらいの時間を見込めばよいですか?
滞在時間によって楽しみ方が異なります。
- 半日プラン(約4〜5時間): コペンハーゲンからの日帰り旅行に適したプラン。フレデリクスボー城の内部見学(約2.5時間)と、バロック庭園の散策(約1時間)を主に楽しみます。
- 一日プラン(約7〜8時間): ヒレレズをゆったり満喫したい場合におすすめ。城と庭園の見学に加え、湖の遊覧船乗船や街の中心部散策、カフェでの休憩、湖畔のレストランでのランチなど、幅広く楽しめる時間が取れます。
- Q. どのような服装で行くのが良いですか?
快適さと天候への備えを重視した服装選びがポイントです。
- 靴: まずは歩きやすい靴を選びましょう。城内は広く、庭園や石畳の道も歩くため、疲れにくいものが適しています。
- 服装: 重ね着できる服装が基本です。デンマークの天気は変わりやすく、夏でも風が強い日は肌寒く感じることがあります。Tシャツの上にシャツやカーディガン、薄手のジャケットなど、調節しやすいものを組み合わせるのが賢明です。
- 持ち物: 小さめの折りたたみ傘やレインコートを用意すると、急な雨にも安心です。冬に訪れる場合は、帽子や手袋、マフラー、厚手の靴下など防寒対策をしっかり行いましょう。
- Q. 旅行中にトラブルがあった場合はどうすればよいですか?
万が一に備えて対応方法を知っておくと安心です。
- 電車の遅延・運休: まずは落ち着いて、駅の電光掲示板やDSB(デンマーク国鉄)の公式サイト、またはアプリで最新情報を確認しましょう。大幅な遅延や運休時には代替バスが運行されることもあるため、駅の案内所で尋ねてみてください。
- 落とし物・忘れ物: 駅や城内で紛失した場合、それぞれのインフォメーションセンターや遺失物取扱所に問い合わせましょう。
- 体調不良: 薬が必要な場合、薬局の目印は「Apotek」という看板です。緊急で医師の診察が必要な場合や救急車を呼ぶ必要がある時は、デンマークの緊急通報番号「112」に連絡してください。海外旅行保険の連絡先も事前に控えておくことをおすすめします。
- Q. ヒレレズでのお土産におすすめは何ですか?
ヒレレズならではの素敵な記念品を選んでみましょう。
- フレデリクスボー城のミュージアムショップ: 城の歴史や展示に関連する書籍、ポストカード、オリジナルグッズなどが揃っています。ここでしか手に入らないユニークなお土産が見つかるかもしれません。
- デンマークデザインの雑貨: ヒレレズのメインストリートにある雑貨店では、北欧らしいシンプルで機能的なデザインの小物や食器、テキスタイルなどを購入できます。
- ロイヤルコペンハーゲンの陶磁器: デンマークを代表する陶磁器ブランドです。専門店やデパートで取り扱っています。
ヒレレズから足を延ばす、北シェラン島のさらなる魅力

もしあなたがヒレレズの美しさに心を奪われ、もっとこの地域を知りたいと思ったなら、それは素晴らしいことです。ヒレレズは、北シェラン島を旅する上で理想的な拠点となります。ここから少し足を伸ばして訪れることができる、魅力あふれるスポットをいくつかご紹介しましょう。
- クロンボー城(Kronborg Slot) in ヘルシンオア(Helsingør)
シェイクスピアの名作『ハムレット』の舞台、エルシノア城のモデルとして世界的に知られるのがこのクロンボー城です。ヒレレズから電車で約30分の距離にあり、デンマークとスウェーデンの海峡の最も狭い地点に築かれたこの要塞城は、フレデリクスボー城とは異なる重厚かつ力強い魅力を放っています。対岸のスウェーデンを睨むその姿は、かつてバルト海の覇権を握っていた時代のデンマークの歴史を色濃く伝えています。地下の巨大な砲台や「眠れる巨人」ホルガー・ダンスクの像など、冒険心を刺激する見所が豊富です。
- フレデンスボー宮殿(Fredensborg Slot)
ヒレレズの隣町フレデンスボーに位置し、現デンマーク王室が春と秋に滞在する宮殿です。「平和の城」を意味するこの宮殿は、優雅なバロック様式の建築で、広大な庭園はデンマーク屈指の美しさを誇ります。女王が不在の期間(主に7月)には、宮殿内部のガイド付きツアーが実施されることもあり、王室御用達の静謐で品格ある雰囲気を味わうことができるでしょう。
- ルイジアナ近代美術館(Louisiana Museum of Modern Art)
アートファンでなくとも一度は訪れたいスポットがこちらの美術館です。コペンハーゲンとヘルシンオアの間に位置し、ヒレレズからも電車で気軽にアクセス可能です。海を見渡す緑豊かな敷地に建つ美術館自体が一つのアート作品であり、ジャコメッティや草間彌生など世界的なアーティストのコレクションをはじめ、自然と調和した空間を歩くだけで深いインスピレーションを受けることでしょう。海を眺めながらのカフェでのランチも格別の体験です。
これらのスポットは、ヒレレズからの日帰り観光や、コペンハーゲンへの戻り道に立ち寄るのに便利です。フレデリクスボー城のルネサンス建築、クロンボー城の重厚な要塞、フレデンスボー宮殿の優美なバロック、そしてルイジアナのモダンアート。北シェラン島は、多様な時代を彩る歴史と文化が凝縮された、本当に宝石のような場所です。
旅は時として、私たちを日常の枠から解き放ち、忘れかけていた感動や心のときめきを呼び覚ましてくれます。湖面に映る城の輪郭、荘厳な礼拝堂を包む静寂、庭園を爽やかに吹き抜ける風。ヒレレズで過ごす時間は、きっとあなたの心に静かに刻まれる、優美で穏やかな記憶になることでしょう。さあ、手にした地図を片手に、あなただけの物語を探しにデンマークの温かな小旅行へ旅立ってみませんか。









