歴史が息づく石畳の路地、芸術の香りに満ちた美術館、そして心を解き放つ雄大な自然。いつの時代も、私たちの心を捉えて離さない旅先、ヨーロッパ。しかし、そのヨーロッパへの旅の形が、まもなく大きく変わろうとしています。
「なんだか手続きが難しくなりそう…」「今まで通りに旅行できるの?」
そんな声が聞こえてきそうですが、どうぞご安心ください。これから導入される新しい渡航制度「EES(エントリー/エグジットシステム)」と「ETIAS(エティアス)」。これらは、あなたの旅をより安全で、そして将来的にはよりスムーズにするための大切なステップなのです。
この記事では、旅のプロとして、どこよりも詳しく、そして分かりやすく、この二つの新制度について徹底的に解説します。単なる制度の説明ではありません。あなたが実際に旅の準備をし、空港のゲートをくぐり、夢に見たヨーロッパの街角に立つ、その瞬間までを具体的にイメージできるよう、必要な準備、手続きの流れ、そして万が一のトラブル対策まで、あらゆる「Do情報」を詰め込みました。
変化の波を乗りこなし、これまで以上に素晴らしいヨーロッパの旅を実現するために。さあ、一緒に新しい旅の扉を開きましょう。
まずは基本から:EES(エントリー/エグジットシステム)とは何か?

まず初めにご紹介するのは「EES(Entry/Exit System)」です。これはシェンゲン協定加盟国など、対象となるヨーロッパ諸国での国境管理を自動化し、強化するために導入された新しいシステムです。これまで空港で入国審査官がパスポートに一つひとつ押していた入国・出国のスタンプは、旅の思い出として親しまれてきましたが、EESの導入により原則として廃止されることになります。
EESの目的と仕組み
EESの主な目的は、セキュリティの向上と国境管理の効率化です。誰がいつ、どこから入国し、いつ出国したかをデジタルで正確に記録・管理することで、不法滞在者の特定がしやすくなるほか、テロなどの脅威に対する国境の防御体制も強化されます。
具体的には、日本などビザ免除対象国の渡航者がシェンゲン協定加盟国に入国する際、パスポート情報に加え、「顔写真」と「指紋」といった生体認証データが登録されます。
登録されたデータはシステム内に3年間保存され、その期間内に再度渡航する際は初回のような手続きは不要となり、よりスムーズな出入国が期待できるという仕組みです。つまり、最初の一手間が、将来の旅を快適にしてくれるのです。
空港での手続きはどう変わる?
それでは空港の入国管理では、具体的にどのような変化が生じるのでしょうか。
【初めてEES対象国へ渡航する場合】
これまでの有人カウンターに並ぶ前に、多くの場合、専用の「キオスク端末(自動ゲート)」での手続きが求められます。
- パスポートの読み取り: まず、端末にパスポートの写真ページをスキャンします。
- 顔写真の撮影: 画面の指示に従い、その場で顔写真を撮影します。帽子やサングラスは外し、髪が顔にかからないよう注意しましょう。
- 指紋の登録: 次に指紋をスキャンします。通常は右手の4本指、続いて親指を複数回にわたってスキャンします。手の乾燥や傷のために認証がうまくいかないこともあるため、旅行前にはハンドクリームで保湿を心がけるのがおすすめです。
これらの手続きが完了すると、ゲートが開くか、あるいは有人カウンターに進むよう案内されます。審査官は登録済みのデータを確認し質問の後、入国許可を出します。パスポートへのスタンプは押されず、すべての情報はデジタルで管理されることになります。
【2回目以降の渡航の場合(登録後3年以内)】
一度EESに情報を登録すれば、次回以降の手続きは格段に簡素化されます。多くの場合、キオスク端末でパスポートをスキャンし、顔認証を行うだけでゲートを通過できる見込みです。これにより、長い列に並ぶ必要が減り、入国審査が非常にスムーズになるでしょう。これは大きなメリットと言えます。
旅行者が最も注意すべき点:滞在期間の厳格な管理
EES導入によって最も重要な変化は、「滞在期間の管理がこれまで以上に厳格になる」ということです。
シェンゲン協定加盟国でのビザ免除滞在期間は、いかなる180日間の期間内でも最大90日と定められています。これまではパスポートのスタンプをもとに自己申告に近い形で管理されていましたが、EESでは出入国日時がデジタルに正確に記録されるため、1日の超過も見逃されることがありません。
滞在日数が自動で計算され、もしオーバーステイ(不法滞在)が判明した場合は、高額な罰金や将来的な入国禁止など厳しいペナルティが科される可能性があります。ヨーロッパ周遊や長期滞在を予定している方は、これまで以上に綿密なスケジュール管理が必要となるでしょう。EUは渡航者が滞在可能日数を簡単に確認できるオンライン計算ツールを提供予定ですので、渡航前や現地滞在中に必ずチェックする習慣をつけることをおすすめします。
もう一つの重要キーワード:ETIAS(エティアス)を徹底解剖
続いて、EESと同時進行で導入が進んでいるのが「ETIAS(エティアス)」です。正式名称は「欧州渡航情報認証制度(European Travel Information and Authorisation System)」であり、この制度では渡航前の事前申請が必須となります。
ETIASはビザではありません!アメリカのESTAに似た制度
「ビザが必要になるの?」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。ETIASはビザとは異なります。これまで通り、日本国籍の方は観光や短期商用目的であればビザなしでヨーロッパへ渡航可能です。
ETIASは、ビザ免除国からの渡航者を対象に、渡航前に簡単な審査を実施し、渡航認証(許可)を付与する電子システムです。これは、アメリカの「ESTA(電子渡航認証システム)」やカナダの「eTA」と非常に似た仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
この制度の目的は、シェンゲン圏内に入国する前に渡航者の情報を管理し、保安上のリスクをチェックすることにあります。これにより、国境での審査が円滑になり、安全性が向上します。
ETIASの申請はいつ、どこで、どのように行うのか?
ここが皆さんが最も気になる「具体的な申請方法」のポイントです。ETIASの申請は決して複雑ではありません。落ち着いて手順に従えば、誰でも簡単に手続きができます。
必要な準備物リスト
ETIASのオンライン申請を始める前に、以下の3点を準備しておきましょう。
- 有効なパスポート: 申請にはICチップ搭載の「eパスポート」が必要です。現在日本で発行されているパスポートは全てeパスポートなので問題ありません。
- クレジットカードまたはデビットカード: 申請料金の支払いに使います。VISAやMastercardなど主要なブランドに対応しています。
- メールアドレス: 申請の確認や、最も重要な「渡航認証の通知」を受け取るために必要です。普段から確実に確認できるメールアドレスを用意してください。
申請手順の流れ
ETIASの申請はすべてオンラインで完了します。
- 公式サイトにアクセス: ETIASの申請は、欧州連合(EU)の公式ウェブサイト、または今後開設されるETIAS公式のモバイルアプリから行います。ここで重要な注意点です。 制度開始後は、公式を装った代行業者や詐欺サイトが多発する可能性があります。高額な手数料を請求されたり、個人情報を不正に取得されたりするリスクがあるため、必ずURLを確認し、公式サイトから申請するようにしてください。
- オンラインフォームへの入力: 表示される指示に従って、以下の情報を半角アルファベットで正確に入力します。
- 個人情報: 氏名、生年月日、出生地、性別、国籍など、パスポートに記載されている内容を正確に入力します。
- パスポート情報: パスポート番号、発行日、有効期限などを入力します。誤入力すると渡航認証が無効になる可能性があるため、特に数字の「0」とアルファベットの「O」を間違えないよう何度も確認しましょう。
- 連絡先情報: 現住所、メールアドレス、電話番号を入力します。
- 渡航情報: 最初に滞在する国名や、滞在先(ホテル名や住所など分かっている範囲で)を入力します。
- 適格性に関する質問: 健康状態、犯罪歴、過去の紛争地域への渡航歴、シェンゲン協定加盟国からの退去命令の有無などに関するいくつかのセキュリティ関連質問に「はい/いいえ」で答えます。正直に回答してください。
- 申請料金の支払い: 全ての情報を入力し終えたら、クレジットカードまたはデビットカードで申請料金7ユーロを支払います。ただし、18歳未満の未成年者および70歳以上の高齢者は申請料金が免除されます。
- 申請完了と認証通知: 支払いが完了すると申請が完了します。通常は申請内容に問題がなければ、数分以内に登録したメールアドレスへETIAS渡航認証許可が届きます。ただし、追加の審査が必要と判断された場合は、最大で30日程度かかることもあります。
いつ申請すればよい?有効期間は?
ETIASの申請は、遅くとも航空券予約前、もしくは出発72時間前までに完了することが推奨されています。しかし、追加情報の提出や面接が求められるケースも稀にあるため、安心して旅行準備を進めるためにも、ヨーロッパ旅行が決まった時点でなるべく早め(例:出発の1ヶ月前)に申請しておくことをおすすめします。
一旦認証されると、ETIASの有効期間は3年間となります。ただし、パスポートの有効期限が3年未満の場合は、そのパスポートの有効期限に合わせて終了します。この3年間の間であれば、何度でもETIAS対象国へ渡航が可能です。
旅の成功は準備で決まる!完璧なヨーロッパ旅行準備ガイド

新たな制度の導入により、ヨーロッパ旅行の準備には従来以上の計画性が求められます。しかし、ポイントを押さえれば特に不安に感じる必要はありません。あなたの旅が順調に進むよう、時系列に沿った完璧な準備リストを作成しました。
出発の数ヶ月前〜1ヶ月前:旅の基礎をしっかり固める時期
この段階で旅の計画が本格的にスタートしますので、重要な手続きを優先して済ませましょう。
- パスポートの有効期限を必ず確認!
基本ではありますが、つい見落としがちな大切なポイントです。シェンゲン協定加盟国への渡航には、「出国予定日から3ヶ月以上の有効期限が残っているパスポート」が必須となります。例えば、8月10日に日本へ帰国予定の場合、パスポートの有効期限は11月10日以降でなければなりません。期限がギリギリの場合は、早めに更新手続きを行いましょう。更新にはおよそ1週間から2週間ほどかかるため、早めの確認が肝要です。
- ETIASの申請を早急に済ませる
旅行計画が固まったら、すぐにETIASの申請を行いましょう。航空券や宿泊先の予約前に認証を取得しておくことで、認証に時間がかかったり問題が発生した場合にも余裕を持って対応できます。承認メールはスマートフォンに保存したりスクリーンショットを撮っておくだけでなく、念のため印刷しパスポートと一緒に保管しておくことを強くおすすめします。空港のチェックインカウンターや現地の出入国審査場で提示を求められる可能性があります。
- 航空券・ホテルの予約
ETIAS認証が無事に下りてから、航空券とホテルの予約を行いましょう。EESの導入により滞在期間の管理が厳格化されているため、入国日と出国日がはっきりしている往復航空券を手配するのが賢明です。
出発の1週間前〜前日:最終確認と心構え
出発日が目前に迫ったら、持ち物の最終確認と新しい手続きに備えた心構えを整えましょう。
- 持ち物最終チェックリスト
海外旅行の基本的な持ち物に加え、以下のものは必ず忘れずに用意してください。
- パスポート: 再度有効期限を確認しましょう。
- ETIAS承認通知のコピー: 印刷物とスマートフォン内のデータ(PDFやスクリーンショット)の両方を用意すると安心です。
- クレジットカード: ETIAS申請に使用したカード以外にも、予備としてVISAやMastercardをもう1枚持っておくと安心です。
- 海外旅行保険証書: 渡航先での急病やケガ、盗難などに備え、保険加入は必須です。証書や緊急連絡先はすぐ取り出せる場所にしまいましょう。
- E-ticket(航空券控え)やホテル予約確認書: こちらも印刷物とデータの両方を用意すると便利です。入国審査時に滞在目的や期間の証明として提示を求められることがあります。
- EES登録に備える心構え
空港で実施されるEES登録(顔写真撮影・指紋スキャン)が円滑に進むよう、少しだけ事前に準備しておきましょう。
- 指先のケア: 指紋認証時に問題がないよう、ささくれや傷がないかを確認し、ハンドクリームで保湿しておくとスムーズです。
- 当日の服装: 顔認証時には帽子やサングラス、マスクを外す必要があります。着脱が簡単な服装を心がけるとスムーズに対応できます。
空港での実践シミュレーション:もう迷わない出入国手続き
いよいよ出発当日を迎えました。空港に到着してからヨーロッパに降り立つまでの手順を、具体的にシミュレーションしてみましょう。
日本の空港でのチェックインカウンターでのポイント
まずは日本の空港にある航空会社のチェックインカウンターが最初の関門となります。ここで航空会社のスタッフは、あなたが渡航先の入国条件を満たしているかどうかを確認する責任があります。
特に、ETIASの渡航認証が有効かどうかがシステム上でチェックされます。申請をしていなかったり、認証の有効期限が切れていたりすると、搭乗を拒否される場合があります。そのため、出発前に確実に申請を済ませておくことが非常に重要です。もしスタッフから質問があったときに備え、ETIAS承認通知のコピーを手元に持っておくと、手続きがよりスムーズに進みます。
ヨーロッパ到着空港でのEES登録と入国審査
長時間のフライトを終えて、いよいよヨーロッパの空港に到着します。ここから本格的にEESおよびETIASの手続きが始まります。
- 「ALL PASSPORTS」から自動化ゲートへ誘導される流れ
飛行機を降りたら案内表示に従って入国審査(Immigration/Passport Control)へ進みます。以前はEU加盟国のパスポート保持者用「EU PASSPORTS」と、それ以外の旅客用「ALL PASSPORTS」に分かれていましたが、今後はEES対応の「自動化ゲート(Automated Border Control / Kiosk)」へ案内されるケースが増えるでしょう。
- 初めてのEES登録手続きの流れ
EES導入後、シェンゲン協定加盟国を訪問するのが初めての場合は、キオスク端末で生体情報の登録を行います。
- パスポートのスキャン: 端末にパスポートの写真面をセットします。
- 言語選択: 日本語対応の端末も増えているため、スムーズに操作できるでしょう。
- 顔写真の撮影: 指示に従い、正面をカメラに向けます。
- 指紋の読み取り: 右手の4本指→右手の親指→左手の4本指→左手の親指の順に指をガラスに置いて認証します。
- 手続き確認書の発行: 登録完了後に小さなレシート状の確認書が発行される場合があります。これを持って次のステージへ進みます。
- 入国審査官との対面審査
自動化ゲートが完了しても、それだけで手続きが満了するわけではありません。多くのケースで、その先にいる入国審査官へ進みます。審査官はキオスクで登録された情報とパスポートの内容を照合します。
ここで、簡単な質問をされることがあります。
- 「What is the purpose of your visit?(渡航目的は?)」→ 「Sightseeing(観光です)」
- 「How long will you be staying?(どのくらい滞在しますか?)」→ 「For 10 days(10日間です)」
- 「Where are you staying?(宿泊先はどこですか?)」→ ホテル名を答えるか、予約確認書を見せましょう。
審査官はETIASの情報もシステムで確認しており、問題がなければ入国許可をもらえます。パスポートに入国スタンプが押されないため、少し物足りなさを感じるかもしれませんが、これが新たな旅の標準スタイルです。
シェンゲン域内からの出国時
旅行を終えてシェンゲン協定加盟国から出国するときも、EESシステムを利用した出国手続きが行われます。入国時と同様、自動化ゲートでパスポートをスキャンし、顔認証を受けます。
この際、システムは入国日と出国日を照合し、シェンゲン協定で定められた「任意の180日間に最大90日の滞在」というルールを遵守しているか自動的にチェックします。もし滞在期間を超過(オーバーステイ)していると判明した場合は警告が表示され、場合によっては別室での事情聴取や罰金など、重大な対応が求められることもあります。滞在期間の管理は自己責任でしっかり行いましょう。
知っておけば安心!トラブルシューティングとQ&A

新しい制度には、予期しないトラブルや疑問がつきものです。ここでは、旅行者からよく寄せられる質問や、万が一トラブルが起きた際の対処法をまとめました。
ETIASに関するトラブル
- Q. ETIASの申請を忘れて空港に来てしまいました。どうすればよいですか?
A. 残念ながら、その便に搭乗するのは非常に難しいです。ETIASは事前認証制度であり、航空会社は認証がない乗客の搭乗を認めません。スマートフォンで公式サイトからすぐに申請を試みることは可能ですが、承認が数分で得られる保証はありません。最悪の場合は航空券を買い直す必要があります。このようなトラブルを避けるためにも、出発の数週間前には必ず申請を済ませてください。
- Q. 申請した情報(名前のスペルなど)を間違えてしまいました。
A. パスポート情報とETIASの情報が一致しない場合、認証は無効となり、搭乗や入国はできません。誤りに気がついたら、速やかにETIAS公式サイトから再申請を行ってください。再申請には再度7ユーロの申請料がかかりますが、安全な渡航のためには必要な措置です。
- Q. ETIASの申請が拒否されました。もうヨーロッパには行けないのでしょうか?
A. 申請拒否の場合、その理由が記載されたメールが届きます。また、どの国の当局が決定したかも通知されます。決定に対しては異議申し立てが可能です。メールの指示に従い、該当国の担当機関に連絡してください。場合によっては、その国の在日大使館に連絡して通常のビザ申請をするという選択肢もあります。あきらめず、まずは通知内容をしっかり確認することが大切です。
- Q. 公式サイトが見つかりません。代行業者に頼んでもよいですか?
A. 必ず公式サイトから申請してください。ETIASの公式URLはEUの公式ページで確認可能です。代行業者は高額な手数料を請求するだけでなく、個人情報(パスポート番号やクレジットカード情報)を悪用されるリスクもあります。ETIASの申請は、手順が分かれば誰でも簡単にできます。焦らず公式サイトを見つけて、自分で手続きをしましょう。
EESに関するトラブル
- Q. キオスク端末で指紋認証が何度やってもうまくいきません。
A. 手が乾燥していたり汗で湿っていたり、指に傷があると指紋認証が難しいことがあります。まずは落ち着いて、ハンカチで指を拭いたり、息を吹きかけて少し湿らせたりしてください。それでも認証できない場合は、必ず近くの係員がサポートしてくれます。最終的には有人カウンターに案内され、審査官が直接対応するので、安心してください。
- Q. システム障害で自動化ゲートが使えないようです。
A. 大きなシステム障害が起こる可能性も考えられます。その場合は従来通り有人カウンターでの審査に切り替わります。空港の混雑が予想され、手続きに通常より時間がかかることがあります。こうした不測の事態に備えて、乗り継ぎ時間には十分な余裕を持たせるなど、余裕のある旅程を計画することがこれまで以上に重要です。
新しい時代のヨーロッパ旅行を心から楽しむために
EESやETIASの導入は、一見すると手続きが増えて面倒に感じられるかもしれません。しかし、これらの制度が目指すのは、無秩序な状況を作らず、すべての旅行者が安心して国境を越えられる、より安全なヨーロッパの実現です。そして一度システムに慣れてしまえば、将来的には出入国手続きが大幅に簡素化され、私たちの旅はより快適なものになるでしょう。
こうした変化は、私たち旅行者にも新たな心構えを求めています。それは「旅は準備から始まる」という意識をこれまで以上に強く持つことです。
- 正確な情報の収集: 制度の開始時期や詳細なルールは今後変更される可能性があります。旅行計画を立てる際は、在日EU代表部や外務省の海外安全ホームページなど、信頼性の高い公的機関の情報を常に確認する習慣を身につけましょう。
- 余裕をもって行動する: 制度導入直後は空港で混乱が起きることも想定されます。早めに空港に到着し、乗り継ぎ時間にも十分な余裕を持たせるなど、余裕あるスケジュールを計画しましょう。
- デジタルと紙の両方を活用する: ETIASの承認通知や航空券、ホテルの予約確認書など重要な書類は、スマートフォンに保存するだけでなく、必ず紙に印刷して携帯してください。万が一バッテリーが切れたりシステムトラブルが起きたりした場合、紙の書類が助けになるでしょう。
こうした変化の波は時に私たちに不安をもたらします。しかし、その波を正しく理解し、うまく対応する準備さえ整っていれば、その先には新たな世界の美しい光景が待っているのです。
事前のETIAS申請や空港でのEES登録。このふたつの新しいステップは、憧れのヨーロッパへの新たな「合言葉」といえます。しっかり準備を整え、パスポートを手に、新時代のヨーロッパ旅行へ自信を持って出発しましょう。そこで出会う素晴らしい経験や感動は、少し増えた手間をはるかに上回るかけがえのない宝物となるはずです。

