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喧騒を離れ、王室の愛した静寂の海へ。タイ・ホアヒンの極上リゾートステイと、夜を彩るバービアの嗜み方

バンコクの熱気と喧騒、プーケットの華やかな賑わい。タイが誇る魅力的なデスティネーションは数多く存在しますが、真に旅慣れた大人が求める「静謐な時間」と「上質な刺激」が交差する場所は、そう多くはありません。今回私が足を運んだのは、タイ王室の保養地として古くから愛されてきた海辺の街、ホアヒン。世界中を飛び回るビジネスの合間に見つけた、心身を深く癒やすための隠れ家です。

そこには、どこまでも続く穏やかなビーチ、コロニアル様式の優雅なリゾート、そして夜の帳が下りると顔を出す、ローカルで温かな社交場がありました。パタヤやバンコクのナイトライフとは一線を画す、ホアヒンの夜。特に「バービア」と呼ばれるオープンエアのバーが集まるエリアは、一見すると近寄りがたい印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、その扉の向こうには、旅人を受け入れるフレンドリーな空気と、心地よいコミュニケーションの世界が広がっています。

この記事では、日中のラグジュアリーなリゾートでの過ごし方から、夜のバービアでのスマートな楽しみ方まで、私が体験したホアヒンの魅力を余すことなくお伝えします。ビジネスの緊張から解放され、ただ純粋に旅を楽しむ。そんなワンランク上の休日を求めるあなたに、ホアヒンという選択肢がいかに素晴らしいものであるか、感じていただければ幸いです。

目次

王室が愛した静寂のビーチリゾート、ホアヒンの魅力とは

ホアヒンが他のタイのリゾート地と一線を画す最大の理由は、その成り立ちにあります。ここは1920年代にラーマ6世が夏の離宮「クライカンウォン宮殿(心配事から遠い宮殿)」を建設して以来、タイ王室の静養地として発展してきました。その歴史が、街全体に落ち着きと品格を与え、過度な商業開発を抑制する要因となっているのです。

バンコクからわずか3時間のアクセシビリティ

多忙なビジネスの合間を縫って訪れる私にとって、アクセスの良さは重要な要素です。ホアヒンはバンコクから南へ約200km、車で3時間弱という絶好のロケーションにあります。スワンナプーム国際空港から直接、あるいはバンコク都心から、快適な移動が可能です。

選択肢はいくつかありますが、最も手軽なのはタクシーのチャーターでしょう。料金は交渉次第ですが、概ね2,000〜2,500バーツが相場。ホテルまで直接送り届けてくれる快適さは、長旅の疲れを癒やす上で何物にも代えがたいものです。複数人での移動であれば、ロットゥー(乗り合いバン)よりもプライベート空間を確保できるタクシーが断然おすすめです。

時間に余裕があり、旅情を味わいたい方には、鉄道の旅もまた一興です。バンコクのフアランポーン駅から出発する列車は、タイの田園風景をのんびりと走り抜け、ホアヒンへと向かいます。特に、タイで最も美しいと称されるホアヒン駅に降り立った時の感動は格別。赤とクリーム色で彩られた木造駅舎は、それ自体が訪れる価値のある観光名所です。

「静けさ」と「品格」が織りなす独特の空気感

ホアヒンのビーチを歩いてみると、その空気感の違いにすぐに気づくはずです。ジェットスキーのけたたましいエンジン音や、ビーチパラソルを売りつける客引きの声はほとんど聞こえません。代わりに耳に届くのは、穏やかな波の音と、潮風にそよぐ木々の葉音。ビーチには家族連れやカップル、そしてリタイア後の長期滞在を楽しむ欧米人の姿が多く、誰もがゆったりとした時間を過ごしています。

この落ち着いた雰囲気は、王室の保養地としての歴史がもたらした賜物。街には高層ビルが少なく、景観を損なうような派手な看板も抑制されています。治安の良さも特筆すべき点で、夜でも女性が一人で歩けるほどの安心感があります。この「守られた静けさ」こそが、心からリラックスしたいと願う旅人を惹きつけてやまない、ホアヒンの本質的な魅力なのです。

美しい海岸線と多彩なアクティビティ

ホアヒンのビーチは、約5kmにわたって続く白い砂浜が特徴です。遠浅で波も穏やかなため、海水浴にも最適。しかし、ホアヒンの海辺で最も象徴的な光景といえば、砂浜を優雅に歩く馬の姿でしょう。

ビーチでの乗馬は、ホアヒンならではのアクティビティ。馬の背に揺られながら、海と砂浜の境界線をゆっくりと進む時間は、まるで映画のワンシーンのようです。特に夕暮れ時、空と海がオレンジ色に染まる中での乗馬は、忘れられない思い出となるはずです。料金は交渉制ですが、30分で500バーツ前後が目安。経験豊富な馬使いが手綱を引いてくれるので、初心者でも安心して楽しめます。

また、乾季(11月〜2月頃)には安定した風が吹くため、カイトサーフィンのメッカとしても知られています。色とりどりのカイトが空を舞う光景は壮観。スクールも充実しており、数日間の滞在で初心者コースに挑戦してみるのも面白いでしょう。静かなリゾートでありながら、アクティブに過ごすための選択肢も用意されている。そのバランス感覚もまた、ホアヒンの魅力と言えます。

太陽と潮風に抱かれる、ホアヒンの海沿い極上ステイ

ホアヒンでの滞在を特別なものにするためには、どこで、どのように時間を過ごすかが重要になります。ここでは、私が実践した「何もしない贅沢」を極めるための、海沿いでの過ごし方をご紹介します。

朝陽を浴びて始まる、ビーチサイドの豊かな一日

ホアヒンの一日は、ぜひ早起きしてビーチから始めてみてください。まだ観光客の姿もまばらな早朝、東の空が白み始め、水平線から太陽が顔を出す瞬間は、息をのむほどに神聖です。裸足で砂の感触を確かめながら海岸線を散策すれば、心身が浄化されていくのを感じるでしょう。

運が良ければ、オレンジ色の袈裟をまとった僧侶たちが、托鉢のためにビーチを歩く姿に出会えるかもしれません。地元の人々が敬虔な祈りと共にお布施をする光景は、タイの文化に深く触れる貴重な体験。その静かで厳かな雰囲気に、旅人である自分もまた、襟を正すような気持ちになります。

散策の後は、ビーチ沿いに点在するお洒落なカフェで朝食を。私のお気に入りは、少し南に下ったカオ・タキアップ地区にある「Air Space Hua Hin」です。古い飛行機の格納庫をリノベーションしたという店内は、天井が高く開放感抜群。ガラス張りの温室のようなカフェスペースで、淹れたてのコーヒーと焼きたてのクロワッサンをいただきながら、輝く海を眺める。これ以上に贅沢な一日の始まりがあるでしょうか。新鮮なフルーツをふんだんに使ったスムージーボウルも絶品で、旅で疲れた身体に活力を与えてくれます。

ラグジュアリーホテルで過ごす、何もしない贅沢

ホアヒンの真価は、質の高いリゾートホテルでの滞在にこそあると言っても過言ではありません。歴史と風格を感じさせるコロニアル様式のホテルから、モダンで洗練されたデザインホテルまで、選択肢は実に多彩です。

私が常宿として利用するのは、「Centara Grand Beach Resort & Villas Hua Hin」。1923年創業という歴史を持ち、かつては鉄道ホテルとして栄えたこの場所は、ホアヒンの象徴とも言える存在です。広大な敷地に手入れの行き届いた庭園が広がり、白亜のコロニアル建築が優雅な佇まいを見せています。まるで時が止まったかのような空間で、プールサイドのデッキチェアに身を預け、ただ流れる雲を眺めているだけで、日常のストレスが霧散していくようです。午後のひとときには、庭園で行われる伝統的なアフタヌーンティーを楽しむのもおすすめです。

モダンラグジュアリーを好むなら、「InterContinental Hua Hin Resort」が筆頭に挙がるでしょう。美しいインフィニティプールは、まるで海と一体化したかのような設計。プールの中から眺める水平線は、どこまでも青く、心を解き放ってくれます。プライベートプール付きのヴィラを選べば、誰にも邪魔されることのない、完全なプライベート空間で至福の時間を過ごすことができます。

そして、タイの伝統建築と自然の調和を愛するならば、「Anantara Hua Hin Resort」は見逃せません。緑豊かな庭園にラグーンが配され、その周りにタイ様式のヴィラが点在しています。蓮の花が咲く池を眺めながらテラスで読書をしたり、世界レベルのスパで伝統的なタイマッサージを受けたり。ここでは、自然と一体となる深いリラクゼーションを体験できます。

重要なのは、予定を詰め込みすぎないこと。ホテルという極上の空間そのものを目的地とし、「何もしない」という選択を積極的にする。それが、ホアヒンでの最も贅沢な時間の使い方なのです。

海を見渡す絶景レストランでの至福のディナー

日が傾き、空が茜色に染まる頃、ホアヒンの海辺は最もロマンチックな表情を見せます。このマジックアワーを逃さず、最高のロケーションでディナーを楽しみましょう。ホアヒンは新鮮なシーフードの宝庫。ビーチ沿いには、獲れたての魚介類を好みの調理法で提供してくれるレストランが軒を連ねています。

地元民にも観光客にも絶大な人気を誇るのが、「Chao Lay Seafood」です。海に突き出た桟橋の上に建てられたこのレストランは、常に活気に満ちています。店頭の氷の上に並べられたエビ、カニ、魚、貝類を指さし、「ガーリック炒め(パット・ガティアム)」「チリソース(パット・プリックパオ)」「蒸し(ヌン)」など、好みの調理法を伝えるスタイル。気取らない雰囲気の中で、新鮮そのもののシーフードをリーズナブルに味わえます。海風を感じながら、シンハービール片手にいただくプーパッポンカリー(カニのカレー炒め)の味は格別です。

もう少し落ち着いた、洗練された雰囲気を求めるなら、「Supatra by the Sea」が最適。カオ・タキアップの麓に位置し、ホアヒンの海岸線を一望できる絶好のロケーションを誇ります。美しい庭園に囲まれたタイ伝統家屋のレストランで、夕陽が海に沈むのを眺めながらいただく食事は、忘れられない体験となるでしょう。料理は伝統的なタイ料理をベースに、モダンなエッセンスが加えられており、盛り付けも美しい。大切な人とのディナーや、少しフォーマルな席にも対応できる品格があります。

デザイン性を重視するなら、「Let’s Sea Hua Hin’s Beach Restaurant」も素晴らしい選択肢です。スタイリッシュなリゾート「Let’s Sea」に併設されたこのレストランは、ビーチに置かれたデイベッドでカクテルを楽しみながら、フュージョン料理を味わうことができます。夜にはライトアップされ、幻想的な雰囲気に。食後もそのまま星空の下で寛ぐことができる、大人のための空間です。

どのレストランを選ぶにせよ、サンセットの少し前に予約し、空の色の移ろいをゆっくりと楽しむことをお勧めします。海から吹く心地よい風、寄せては返す波の音、そして目の前で繰り広げられる自然のショー。それらすべてが、最高のスパイスとなるのです。

ホアヒンの夜を識る、大人のバービア入門

日が完全に沈み、街にネオンが灯り始めると、ホアヒンはもう一つの顔を見せ始めます。それが、タイのナイトライフの象徴とも言える「バービア」の世界です。しかし、ホアヒンのバービアは、パタヤやバンコクの一部エリアに見られるような、過度にアグレッシブで猥雑な雰囲気とは一線を画します。ここでは、旅人が安心して夜の社交を楽しむための、スマートなバービアの歩き方をご紹介しましょう。

バービアとは何か?誤解と真実

まず、「バービア」とは何かを正確に理解することが重要です。バービアとは、一般的にオープンエア、もしくは半屋外の小さなバーが集まったエリアのことを指します。多くの場合、カウンター席といくつかのテーブル席、そしてビリヤード台や簡単なゲームが置かれています。そして、そこには「バーガール」と呼ばれる女性スタッフがおり、客の接客や話し相手を務めます。

多くの人が抱く「バービア=風俗的な場所」というイメージは、必ずしも正しくありません。もちろん、そうした側面を内包していることは事実ですが、その本質はもっとシンプルです。それは「観光客向けの、フレンドリーな社交場」なのです。一人で旅をしている旅行者が、孤独を感じることなく気軽に一杯飲める場所。地元の人と(たとえ片言の英語でも)言葉を交わし、その土地の空気に触れることができる場所。それがバービアの基本的な機能です。

ホアヒンのバービアは、特にその傾向が顕著です。客層は欧米人の熟年カップルやリタイアメント層が多く、皆、穏やかに音楽を聴いたり、友人とおしゃべりを楽しんだりしています。女性スタッフたちも、過度な営業を仕掛けてくることは少なく、フレンドリーでありながらも節度を保った接客が中心。健全なナイトスポットとして、夜の時間を過ごすための選択肢の一つとして捉えるのが正解です。

ホアヒンのバービア・エリア徹底ガイド

ホアヒンには、バービアが集中するエリアがいくつか存在します。それぞれの特徴を知ることで、自分の好みに合った場所を見つけやすくなるでしょう。

  • ソイ・ビンタバート(Soi Bintabat)とその周辺

ホアヒンのナイトライフの中心地といえば、このソイ・ビンタバートです。ヒルトンホテルの向かい側にあるこの通りとその周辺には、数多くのバービアが密集しており、夜な夜な賑わいを見せます。生演奏を聴かせるライブバー、スポーツ観戦が楽しめるパブ、そして典型的なバービアが混在し、歩いているだけでも活気が感じられます。ネオンが煌めき、様々な音楽が交じり合うこのエリアは、ホアヒンで最もエネルギッシュな夜を体験できる場所と言えるでしょう。初心者の方は、まずこのエリアを散策し、全体の雰囲気を掴むのがおすすめです。

  • ソイ80(Soi 80)

メインストリートであるペッカセーム通りを少し北上した場所にあるソイ80は、ソイ・ビンタバートに比べると、よりローカルで落ち着いた雰囲気のバービア・エリアです。通りの両脇にバーが並んでいますが、規模は比較的小さく、アットホームな店が多いのが特徴。常連の欧米人長期滞在者が多く、スタッフとの関係もより親密な印象を受けます。派手な喧騒よりも、静かにお酒を飲みながら会話を楽しみたいという方には、こちらのエリアが向いているかもしれません。

  • その他

上記の二大エリア以外にも、街の至る所にバービアは点在しています。例えば、ナイトマーケットの近くや、海沿いの小道など。こうした単独で営業しているバーは、より個性的で、店主のカラーが色濃く出ていることが多いです。散策中にふと気になった店に立ち寄ってみる、そんな偶然の出会いもまた、旅の醍醐味です。

初めてでも安心!バービアでのスマートな振る舞い方

いざバービアに入るとなると、少し緊張するかもしれません。しかし、いくつかのポイントさえ押さえておけば、誰でもスマートに楽しむことができます。ここでは、入店から会計までの流れを具体的に解説します。

  • ステップ1: 店選び

まずは外から店の雰囲気をじっくり観察しましょう。どんな音楽がかかっているか、客層はどうか、女性スタッフたちはどんな様子か。自分が心地よいと感じる場所を選ぶのが一番です。客の入りが良く、楽しそうな笑い声が聞こえる店は、良い店である可能性が高いと言えます。無理に入る必要はありません。ピンとこなければ、次の店を探しましょう。

  • ステップ2: 入店と注文

気に入った店が見つかったら、空いている席に座ります。カウンター席はスタッフと話しやすく、テーブル席はグループや一人で静かに飲みたい場合に適しています。席に着くと、すぐにスタッフが注文を取りに来てくれます。メニューがない店も多いですが、心配は無用。「ビア・シン?(シンハービール?)」「ビア・チャーン?(チャーンビール?)」と聞いてくれるはずです。ローカルビールは小瓶で80〜120バーツ程度が相場。支払いは、一杯ごとに払うキャッシュオンデリバリー形式か、最後にまとめて支払う形式かは店によりますが、どちらも明朗会計なので安心してください。

  • ステップ3: コミュニケーションとゲーム

ドリンクを飲んでいると、手が空いている女性スタッフが隣に座り、話しかけてくることがあります。これは彼女たちの仕事の一部です。簡単な挨拶から会話を始めましょう。「サワディークラップ(こんにちは)」、「チュー・アライ?(名前は何?)」、「マー・ジャック・ナイ?(どこから来たの?)」といった簡単なタイ語を知っていると、場が和みます。もちろん、英語での会話が基本です。 もし会話が苦手でも、心配はいりません。多くのバーには、ビリヤードや「コネクトフォー(四目並べ)」のようなシンプルなゲームが置いてあります。「Play game?」と誘われたら、ぜひ挑戦してみてください。ゲームは、言葉の壁を越える最高のコミュニケーションツールです。ルールは万国共通。勝っても負けても、自然と笑顔が生まれ、打ち解けるきっかけになります。慣習として、負けた方が相手にドリンクを一杯ご馳走することが多いですが、これも強制ではありません。

  • ステップ4: レディドリンク(LD)について

会話が弾み、楽しい時間を過ごしていると、彼女から「You buy me a drink?(一杯ご馳走してくれない?)」と頼まれることがあります。これが「レディドリンク(LD)」です。これは、彼女たちの給料の一部となる重要な収入源。もし彼女との時間を楽しいと感じたなら、感謝の気持ちとしてご馳走するのがスマートな振る舞いです。 レディドリンクの価格は、客のドリンクよりも少し高く設定されており、150〜200バーツが相場。もちろん、奢る義務は一切ありません。もし気が進まなければ、「Sorry, maybe next time.」と丁寧に断れば大丈夫です。無理強いされることはまずありません。楽しい時間への対価として、快く一杯ご馳走する。そんな大人の余裕を持つことが、バービアをより楽しむためのコツです。

  • ステップ5: 会計とチップ

そろそろ店を出ようと思ったら、「チェック・ビン(お会計)」と伝えれば、伝票を持ってきてくれます。内容を確認し、支払いを済ませましょう。チップは義務ではありませんが、気持ちの良いサービスを受けたなら、お釣りの小銭(20バーツ程度)をテーブルに置いていくのが粋な振る舞いです。お世話になったスタッフに直接「Thank you」と伝えて店を出れば、お互いに気持ちの良い夜の終わりとなります。

バービアの先にあるもの – ペイバーとロングタイム

ここからは、さらに踏み込んだ情報になります。バービアでの出会いは、時に店の外へと続くことがあります。その際に知っておくべき二つのシステムが「ペイバー」と「ロングタイム」です。

「ペイバー(Pay Bar)」とは、女性スタッフを店の営業時間内に外へ連れ出す際に、店に対して支払う料金のことです。これは、そのスタッフが店にいることで得られたであろう売上(ドリンク代など)を補填するためのもので、「バーファイン(Bar Fine)」とも呼ばれます。彼女を食事に誘ったり、一緒にナイトマーケットを散策したりする場合に必要となります。料金は店や時間帯によって異なりますが、ホアヒンでは500〜1,000バーツ程度が一般的。これはあくまで「店に支払う料金」であり、彼女自身への対価ではありません。

そして、ペイバーの先にあるのが「ロングタイム(Long Time)」です。これは、ペイバーを支払って店から連れ出した後、翌朝まで一緒に過ごすことを指します。この場合の料金は、完全に当人同士の交渉で決まります。これはもはや、恋愛や男女の関係性の領域に入ってきます。

ここで最も重要なのは、すべてが自己責任であるということです。ペイバーやロングタイムは、トラブルの温床にもなり得ます。金銭的なトラブルや、持ち物の盗難、あるいは「仙人掌(サボテン)」と呼ばれる美人局のリスクもゼロではありません。相手が本当に信頼できる人物かどうか、短い時間で見極めるのは非常に困難です。

私自身のスタンスとしては、バービアはあくまで「その場限りの楽しい社交場」として捉えることを推奨します。旅先での一夜限りの関係を求めるよりも、フレンドリーな会話やゲームを楽しみ、心地よい時間を共有する。そして、「良い友達ができたな」という気持ちで店を後にする。その方が、旅の思い出としてはるかに豊かで、美しいものになるのではないでしょうか。もちろん、個人の選択は自由ですが、リスクを十分に理解した上で、節度ある行動を心がけることが、大人の旅人としての嗜みです。

海だけじゃない!ホアヒンの魅力を深掘りする

ホアヒンの魅力は、美しい海とラグジュアリーなリゾート、そして夜の社交場だけにとどまりません。街とその周辺には、訪れるべき魅力的なスポットが数多く存在します。

活気あふれるナイトマーケットを巡る

タイの夜の楽しみといえば、ナイトマーケットは外せません。ホアヒンには、それぞれに特色のある魅力的なナイトマーケットが複数あります。

  • ホアヒン・ナイトマーケット

街の中心部、ソイ72にあるこのマーケットは、毎晩開催されるホアヒンで最も有名で伝統的なナイトマーケットです。通りの両脇に、シーフードレストラン、衣料品、雑貨、お土産物屋などがぎっしりと並び、多くの観光客と地元民で賑わいます。特にシーフード屋台は圧巻で、巨大なロブスターや新鮮な魚介類が氷の上に並べられ、その場で調理してくれます。マンゴーともち米のデザート「カオニャオ・マムアン」や、タイ風クレープ「ロティ」など、食べ歩きグルメも充実。ホアヒンの夜の活気を肌で感じるには、最高の場所です。

  • シカダ・マーケット(Cicada Market)

もしあなたが週末(金・土・日)にホアヒンに滞在するなら、シカダ・マーケットは必見です。ここは単なる市場ではなく、「アート」をテーマにしたクリエイティブな空間。地元のアーティストやデザイナーが手がけた一点もののアクセサリーや洋服、絵画、オブジェなどが販売されており、見ているだけでも楽しめます。フードエリアも充実していますが、それ以上に魅力的なのが、敷地内で行われるライブ演奏やコンテンポラリーダンスのパフォーマンス。緑豊かな公園のような敷地で、アートと音楽と食事が融合した、非常にお洒落で心地よい時間を過ごすことができます。

  • タマリンド・マーケット(Tamarind Market)

シカダ・マーケットのすぐ隣にあるのが、タマリンド・マーケットです。こちらは完全に「食」に特化したマーケットで、巨大なフードコートといった趣。タイ料理はもちろん、日本食、イタリアン、ステーキ、シーフード、スイーツまで、世界各国の料理を提供する屋台がずらりと並びます。中央には大きな飲食スペースとステージがあり、ライブ演奏を聴きながら食事を楽しむことができます。シカダ・マーケットと合わせて訪れ、二つの異なる雰囲気を味わうのがおすすめです。

歴史と文化に触れる小旅行

少し足を延ばせば、ホアヒンの歴史やタイの自然の神秘に触れることができます。

  • ホアヒン駅

先にも触れましたが、ホアヒン駅は単なる交通機関の拠点ではありません。赤とクリーム色を基調とした、ヴィクトリア朝様式の影響を受けた可愛らしい木造建築は、タイで最も美しい駅と称されています。特に目を引くのが、王室専用の待合室。かつてサナームチャン宮殿にあった建物を移築したもので、その精巧で優美な装飾は、王室の保養地としてのホアヒンの歴史を物語っています。プラットフォームに佇み、時折通り過ぎる列車を眺めていると、古き良き時代にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな気分に浸れます。

  • カオ・タキアップ(モンキーマウンテン)

ホアヒンビーチの南端に突き出た小高い丘が、カオ・タキアップです。その名の通り、多くの野生の猿が生息していることから「モンキーマウンテン」とも呼ばれています。丘の上には寺院があり、巨大な黄金の仏像が海に向かって鎮座しています。頂上からの眺めは素晴らしく、ホアヒンの市街地と長く続く海岸線を一望できます。猿に持ち物を取られないよう注意は必要ですが、眼下に広がる絶景は、少し汗をかいて登る価値が十分にあります。

  • プラヤー・ナコーン洞窟

時間に余裕があれば、ぜひ訪れてほしいのが、ホアヒンから車で1時間ほどの場所にある「カオ・サムローイ・ヨート国立公園」内にあるプラヤー・ナコーン洞窟です。この洞窟は、タイで最も神秘的な場所の一つと言われています。駐車場からボートか徒歩でビーチへ渡り、そこから急な山道を30分ほど登ると、巨大な洞窟の入り口が現れます。洞窟は二つの部屋に分かれており、天井の一部が崩落して大きな穴が空いています。ハイライトは、その穴から太陽の光が差し込み、洞窟の奥にたたずむ「クーハーカルハット宮殿」を神々しく照らし出す光景です。特に午前中の特定の時間帯に見られる光の筋は、まるで天から光が降り注ぐようで、言葉を失うほどの美しさ。この幻想的な光景を目の当たりにすれば、旅の疲れも吹き飛んでしまうことでしょう。

旅の終わり、そして次なる旅へ

ホアヒンでの時間は、いつも静かに、そして豊かに流れていきます。朝の光を浴びながら歩いた静寂のビーチ。プールサイドのデッキチェアでまどろんだ、何もしない贅沢な午後。夕陽に染まる海を眺めながら味わった、新鮮なシーフード。そして、夜のバービアで交わした、拙いながらも心温まる会話。

この街は、激しい刺激や熱狂とは無縁かもしれません。しかし、ここには、日常の鎧を脱ぎ捨て、本来の自分へと還るための時間が流れています。王室が愛した品格ある静けさと、旅人を受け入れる人々の温かさ。その二つが絶妙なバランスで共存しているからこそ、ホアヒンはこれほどまでに心地よいのでしょう。

ビジネスの世界では、常に結果と効率が求められます。しかし、人生という長い旅においては、時に立ち止まり、ただ風の音に耳を澄ませるような時間こそが、次の一歩を踏み出すための最も重要なエネルギー源となるのです。

ホアヒンで心身を満たした私は、また新たなプロジェクトが待つ日常へと戻ります。しかし、私の心の中には、あの穏やかな海の青と、バーで出会った人々の屈託のない笑顔が、確かな記憶として刻まれています。

この旅の記録が、喧騒から逃れ、真のリフレッシュを求めるあなたの次なる旅の、一つの標となれば幸いです。世界は広く、私たちの知らない素晴らしい場所は、まだ無数に存在します。さあ、次はどこへ向かいましょうか。旅はまだ、終わりません。

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この記事を書いたトラベルライター

外資系コンサルやってます。出張ついでに世界を旅し、空港ラウンジや会食スポットを攻略中。戦略的に旅をしたいビジネスパーソンに向けて、実用情報をシェアしてます!

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