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魂が揺さぶられる絶景の宝庫、タイ・クラビへ。碧の海と奇岩が織りなす奇跡の楽園

アンダマン海に抱かれた、エメラルドグリーンの宝石。それが、タイ南部に位置する魅惑の地、クラビです。天を突くようにそびえ立つ石灰岩の奇岩群、どこまでも透き通る碧い海、そして手つかずの自然が色濃く残るマングローブの森。訪れる者の五感を刺激し、日常の喧騒を忘れさせてくれる圧倒的なスケールの絶景が、ここにはあります。プーケットの賑わいとは一線を画し、より穏やかで、より深く自然と対話できるのがクラビの魅力。リゾートでのんびりと過ごす休日も、アドレナリン全開のアクティビティに挑戦する冒険も、この地は優しく受け入れてくれます。さあ、まだ見ぬ楽園の扉を開けてみませんか。あなたの旅の記憶に、鮮烈な一ページを刻む冒険が、ここから始まります。

目次

はじまりの場所、クラビを知る

クラビは、ただのリゾート地ではありません。それは、地球が何億年もかけて創り出した、壮大なアートギャラリーのような場所です。まずは、この奇跡の土地の基本的なプロフィールから紐解いていきましょう。旅の計画を立てる上で、きっと役立つはずです。

どこにあるの?クラビの地理とアクセス

クラビ県は、タイ王国の南部に位置し、西側はアンダマン海に面しています。首都バンコクからは南へ約800キロメートル。隣県にはパンガーやトラン、スラートターニーなどがあります。地理的な特徴は、何と言ってもその複雑で美しい海岸線と、大小130以上もの島々が点在する景観です。海から突き出すようにそびえる石灰岩の断崖絶壁は「カルスト地形」と呼ばれ、これがクラビの唯一無二の風景を創り出しています。

日本からクラビへの直行便は残念ながらありません。一般的なアクセス方法は、まずバンコクのスワンナプーム国際空港(BKK)またはドンムアン空港(DMK)へ飛び、そこから国内線に乗り換えてクラビ国際空港(KBV)へ向かうルートです。バンコクからクラビまでの飛行時間は約1時間20分。LCC(格安航空会社)も多数就航しており、手軽にアクセスできるのが嬉しいポイントです。

また、近隣のプーケット国際空港(HKT)を利用する方法もあります。プーケットからクラビまでは、バスやタクシー、フェリーなどで移動可能で、所要時間は約2〜3時間。プーケット観光と組み合わせて訪れる旅行者も少なくありません。空港から主要な観光地であるアオナン・ビーチまでは、シャトルバスやタクシーで約30〜40分ほどです。旅の始まりは、空港からリゾートへ向かう道中で目にする、熱帯の植物と石灰岩の奇岩が織りなす風景に、きっと胸が高鳴るでしょう。

いつ行くのがベスト?気候とベストシーズン

クラビは熱帯モンスーン気候に属し、年間を通じて温暖です。季節は大きく分けて、乾季と雨季の二つ。旅のスタイルによってベストシーズンは異なりますが、それぞれの季節に魅力があります。

乾季(11月〜4月)

一般的にクラビ観光のベストシーズンと言われるのがこの時期です。空は晴れ渡り、雨が少なく、海の透明度も抜群に高まります。湿気も比較的少なく過ごしやすいため、ビーチでのんびりしたり、アイランドホッピングやシュノーケリング、ダイビングといったマリンアクティビティを心ゆくまで満喫するのに最適です。特に12月から2月にかけては気候が最も安定しており、世界中から多くの観光客が訪れます。ホテルの予約は早めに行うのが賢明です。この時期の夕日は格別で、水平線に沈む太陽が空と海をオレンジ色に染め上げる光景は、一生忘れられない思い出となるでしょう。

雨季(5月〜10月)

雨季と聞くと敬遠しがちですが、クラビの雨季は日本の梅雨のように一日中雨が降り続くことは稀です。多くは、短時間に激しいスコールが降っては、その後カラリと晴れ上がる「カタブイ」と呼ばれる天候です。この時期の魅力は、なんといっても観光客が少なく、落ち着いた雰囲気の中で過ごせること。ホテルの料金も乾季に比べてリーズナブルになります。また、雨によって緑が一層色濃く、生命力に満ち溢れる季節でもあります。滝の水量が増し、エメラルドプールはより一層神秘的な輝きを放ちます。波が少し高くなるため、一部の離島ツアーが催行中止になることもありますが、マングローブ林でのカヤッキングなど、雨季ならではの楽しみ方もあります。しっとりとした熱帯の空気を味わいながら、静かなクラビを堪能したい方には、むしろおすすめのシーズンかもしれません。

個性豊かなクラビのエリアを巡る

クラビの魅力は、一つの場所に留まりません。エリアごとに異なる顔を持ち、それぞれにユニークな体験が待っています。あなたの旅の目的に合わせて、滞在の拠点を選んでみましょう。

旅の拠点、活気あふれる「アオナン・ビーチ」

クラビ本土で最も賑わいを見せるのが、このアオナン・ビーチです。約1.5キロにわたって続く穏やかなビーチ沿いには、多種多様なホテル、リゾート、レストラン、バー、土産物店が軒を連ねています。クラビ観光のハブとして機能しており、ここを拠点にすれば、どこへ行くにも非常に便利です。

アオナンのメインストリートを歩けば、国際色豊かな雰囲気に気づくでしょう。本格的なタイ料理レストランから、イタリアン、インディアン、シーフードBBQまで、食の選択肢は無限大。夜になれば、ネオンが灯り、陽気な音楽が流れるバーでカクテルを片手に夜風に吹かれるのも一興です。

そして、アオナンが旅の拠点たる最大の理由は、ここがアイランドホッピングの出発点であること。ビーチ沿いには数多くのツアーデスクが並び、ピピ島、ホン島、4島巡りなど、様々なツアーを簡単に予約できます。朝、ホテルの前まで迎えに来てくれたソンテウ(乗り合いトラック)に乗り込み、ロングテールボートが待つ波止場へ。そこから始まる冒険への期待感は、アオナンならではの体験です。ビーチ自体は泳ぐのにも適していますが、多くの人々はここからさらに美しい秘境のビーチを目指していくのです。利便性と活気を求めるなら、アオナンは最高の選択肢となるでしょう。

陸の孤島、冒険者の楽園「ライレイ・ビーチ」

アオナンの隣に位置しながら、車では決して辿り着けない場所。それがライレイ・ビーチです。そびえ立つ巨大な石灰岩の崖によって本土から完全に隔絶されており、アクセスはアオナンやクラビ・タウンからのロングテールボートのみ。この「陸の孤島」という隔絶感が、ライレイ・ビーチに神秘的で特別な雰囲気を与えています。

ライレイは、実は一つのビーチではなく、西ライレイ、東ライレイ、プラナン洞窟ビーチという3つの主要なエリアから成り立っています。

西ライレイ・ビーチ

ボートが到着するメインのビーチで、きめ細かな白砂と穏やかな波が特徴。サンセットの名所としても知られ、夕暮れ時には多くの人々が砂浜に座り込み、刻一刻と表情を変える空のショーに見入ります。ラグジュアリーなリゾートもこのエリアに集中しており、静かで美しい環境で優雅な休日を過ごしたいカップルや家族連れに人気です。

東ライレイ・ビーチ

こちらはマングローブが茂る干潟となっており、泳ぐのには適していません。しかし、その分、リーズナブルなバンガローやゲストハウス、個性的なバーやレストランが集まる、バックパッカーたちの聖地となっています。夜な夜な旅人たちが集い、情報交換をしたり、ファイアーショーを楽しんだりする光景が見られます。西ライレイとは遊歩道で繋がっており、歩いて10分もかかりません。この東西の雰囲気の違いを味わうのも、ライレイ滞在の醍醐味です。

プラナン洞窟ビーチ

西ライレイからさらに南へ歩いた先にある、息をのむほど美しいビーチです。透明度の高い海と、そそり立つ奇岩のコントラストは、まさに絵画のよう。ビーチの端には「プラナン洞窟」があり、中には子宝や豊漁を祈願して奉納された、リンガム(男性器の木彫り)が所狭しと並んでいます。この神秘的な光景もまた、ライレイを訪れる目的の一つです。

そして、ライレイを語る上で欠かせないのがロッククライミング。世界中からクライマーが集まる聖地であり、初心者向けの体験コースから、上級者が挑む超難関ルートまで、無数のクライミングスポットが存在します。崖を登りながら眼下に広がるアンダマン海の絶景を眺める体験は、忘れられないものになるでしょう。

地元の息吹を感じる「クラビ・タウン」

観光の中心地アオナンから車で約20分。クラビ川のほとりに広がるのが、この地方の行政と商業の中心地、クラビ・タウンです。観光客向けの華やかさよりも、地元の人々のリアルな生活が垣間見える、素朴で温かい魅力に満ちた街です。

クラビ・タウンのハイライトは、週末(金・土・日)の夕方から開かれるナイトマーケット、通称「ウォーキング・ストリート」です。ヴォーグ・デパート前の広場一帯に、食べ物の屋台、衣料品、雑貨、アクセサリーなど、様々なお店がずらりと並びます。熱気と活気に満ちた市場を歩きながら、美味しいローカルフードを少しずつ試すのは最高の楽しみ。ステージでは地元の学生によるダンスパフォーマンスやバンド演奏なども行われ、街全体がお祭りのような雰囲気に包まれます。

また、街のシンボルとなっているのが、カオ・カナープ・ナームと呼ばれる、川に浮かぶ二つの巨大な奇岩です。ボートをチャーターして、その麓まで近づいたり、内部の洞窟を探検したりすることもできます。街中には、ユニークな信号機にも注目。絶滅危惧種の原始人やサーベルタイガー、象などをモチーフにした信号機は、思わず写真に収めたくなる可愛らしさです。

アオナンに比べると宿泊施設の選択肢は限られますが、その分、よりローカルな体験を求める旅人や、長期滞在者には人気のエリアです。古き良きタイの港町の風情を感じながら、のんびりと過ごしたい方におすすめです。

究極の美を求めて「離島巡り」

クラビの真髄は、その沖合に浮かぶ島々にこそあると言っても過言ではありません。ロングテールボートやスピードボートに乗り込み、風を感じながらエメラルドグリーンの海を滑るように進むアイランドホッピングは、クラビ滞在中のハイライトとなるでしょう。

ピピ諸島

レオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』の舞台として一躍有名になったピピ諸島。クラビからはスピードボートで約45分。大小6つの島から成り、その中心となるのがピピ・ドン島とピピ・レイ島です。ピピ・ドン島は宿泊施設やレストランが集中する唯一の有人島。一方、ピピ・レイ島は無人島で、映画の舞台となったマヤ・ベイがあります。環境保護のため長らく閉鎖されていましたが、現在は人数制限などを設けながら再開。三方を断崖絶壁に囲まれた、幻想的なまでに美しいビーチは、まさに「楽園」という言葉がふさわしい場所です。その他にも、バイキング・ケーブやピレ・ラグーンなど、見どころが満載です。

ホン島

「部屋」という意味を持つホン島は、その名の通り、島の内部にラグーン(潟)を抱えています。干潮時にはボートで狭い入り口を通り抜けてラグーンの中へ。切り立った崖に囲まれた静寂の空間は、まるで秘密の部屋に迷い込んだかのよう。外のビーチも非常に美しく、パウダーサンドの砂浜と遠浅の海は、シュノーケリングに最適です。魚影も濃く、カラフルな熱帯魚たちと戯れることができます。ピピ島ほどの知名度はありませんが、その分、落ち着いた雰囲気の中で絶景を楽しみたい方には強くおすすめしたい島です。

4島巡り(タップ島、ガイ島、ポダ島、プラナン・ビーチ)

アオナンから半日で手軽に参加できる、最もポピュラーなツアーの一つ。干潮時になると、タップ島とガイ島(チキン・アイランド)の間に砂の道が現れ、歩いて渡ることができる「タレー・ウェーク(分かれる海)」という現象が最大の見どころです。この神秘的な光景は、タイの絶景スポットとしても知られています。ポダ島は、ヤシの木陰でのんびりするのに最適な美しい島。そして最後は、前述のライレイにあるプラナン・ビーチを訪れるのが一般的です。短時間でクラビを象徴するような美しい風景を効率よく巡れるため、滞在時間が短い方や、初めてクラビを訪れる方にはぴったりのツアーです。

クラビでしたいこと、五感を満たすアクティビティ

壮大な自然をただ眺めるだけではもったいない。クラビは、その身をもって自然と一体になれる、多彩なアクティビティの宝庫です。あなたの冒険心をくすぐる、とっておきの体験をご紹介します。

海と戯れる:アイランドホッピング&シュノーケリング

クラビの海を語らずして、クラビは語れません。アイランドホッピングツアーに参加すれば、そこはもう、日常から切り離された夢の世界です。アオナンのツアーデスクで申し込むのが一般的で、ロングテールボートでのんびり巡るツアーや、スピードボートで効率よく多くの島を巡るツアーなど、様々な選択肢があります。

ツアーには通常、シュノーケリングセット、ライフジャケット、ランチ、フルーツ、飲み物が含まれています。ボートがシュノーケリングポイントに到着し、船長の合図で海に飛び込む瞬間は、何度体験しても心が躍ります。顔を水につけた途端、目の前に広がるのは、色とりどりのサンゴ礁と、その周りを優雅に泳ぐ熱帯魚たちの群れ。ニモでおなじみのカクレクマノミ、青く輝くルリスズメダイ、シマシマ模様のロクセンスズメダイなど、まるで水族館の中を泳いでいるかのような感覚に陥ります。

特に透明度が高いのは、ポダ島やホン島周辺の海域です。波も穏やかなので、泳ぎに自信がない方でもライフジャケットを着用すれば安心して楽しめます。ボートの上で食べるシンプルなタイ風チャーハンや、新鮮なパイナップルやスイカの味は、海で遊んだ後の体に染みわたり、格別の美味しさです。太陽の光を浴び、潮風を感じ、美しい海の世界を覗き込む。このシンプルな喜びこそ、クラビが与えてくれる最高の贅沢の一つです。

崖と対峙する:ロッククライミング

ライレイ・ビーチが世界中のクライマーを惹きつけてやまないのには理由があります。それは、圧倒的な数のクライミングルートと、そのロケーションの素晴らしさです。ビーチのすぐそばにそびえ立つ石灰岩の壁は、初心者からプロまで、あらゆるレベルのクライマーを満足させてくれます。

クライミング未経験者でも、全く心配はいりません。ライレイには数多くのクライミングスクールがあり、半日や1日の体験コースを催行しています。経験豊富なインストラクターが、ハーネスの付け方からロープの結び方、登り方の基本まで、丁寧に指導してくれます。最初は「自分にできるだろうか」と不安に思うかもしれませんが、インストラクターの的確なアドバイスに従って手と足を動かしているうちに、少しずつ上へ、また上へと登っていくことができます。

そして、ある程度の高さまで登り、ふと振り返った時に目にする光景は、まさに絶句もの。エメラルドグリーンの海、白い砂浜、行き交うロングテールボート…それらがすべて眼下に広がるのです。この達成感と感動は、地上から眺めているだけでは決して味わえません。自分の力で登りきった者だけが見ることのできる、特別なご褒美です。汗だくになりながらも、心は爽快感で満たされる。クラビでしかできない、究極のチャレンジをぜひ体験してみてください。

森に分け入る:マングローブカヤッキング

海のイメージが強いクラビですが、内陸部にも手つかずの豊かな自然が広がっています。その代表格が、アオ・タレーンやタム・レーンといったエリアに広がるマングローブの森です。この神秘的な水上の森を探検するのに最適なアクティビティが、シーカヤックです。

エンジン音のないカヤックに乗り込み、パドルを漕ぎ出すと、そこは静寂に包まれた別世界。複雑に絡み合ったマングローブの根が、まるで生命体のように水面から伸びています。狭い水路をゆっくりと進んでいくと、時折、カニクイザルが木々の間を飛び移る姿や、色鮮やかな鳥たちがさえずる声が聞こえてきます。運が良ければ、オオトカゲがのっそりと泳ぐ姿に出会えるかもしれません。

アオ・タレーンのルートでは、マングローブ林を抜けた先に、切り立った石灰岩の崖に囲まれたキャニオン(渓谷)が現れます。静まり返った水面に奇岩が映り込む光景は、荘厳で神秘的。まるで古代の遺跡に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。太陽の光が水面に反射し、キラキラと輝く中をカヤックで進む時間は、心洗われるような癒やしのひとときです。半日ツアーが一般的で、体力に自信のない方でも気軽に参加できます。海とはまた違った、クラビの緑の魅力を発見できるでしょう。

大地の恵みに癒される:天然温泉とエメラルドプール

クラビの魅力は、海や山だけではありません。地下から湧き出る大地の恵み、温泉も楽しむことができるのです。クラビ・タウンから車で1時間ほどのクローン・トム地区には、自然が生み出した驚異のスポットが点在しています。

クローン・トム温泉(ホットスプリングス)

森の中に、天然の温泉が川となって流れているユニークな場所。川底の岩盤が自然の湯船のように段々畑状になっており、そこに38〜42度ほどの温泉が溜まっています。まさに天然のジャグジー。木漏れ日の中で、鳥のさえずりを聞きながら温泉に浸かる時間は、最高のリラクゼーションです。旅の疲れを癒やすのにぴったり。ミネラルを豊富に含んだお湯は、肌にも良いと言われています。

エメラルドプール(サ・モラコット)

ホットスプリングスからほど近い場所にある、神秘的な輝きを放つ天然のプールです。森の奥深く、石灰分を多く含んだ水が溜まってできたこの池は、光の加減によってエメラルドグリーンからターコイズブルーへと色を変えます。その透明度は驚くほど高く、泳いでいる人がまるで宙に浮いているかのように見えるほど。水温は常に20〜25度とひんやりしており、暑い日には最高のクールダウンになります。鬱蒼としたジャングルの中に突如現れるこの光景は、まるでファンタジー映画の世界。訪れる価値は十分にあります。

ブループール

エメラルドプールからさらに森の奥へと続く遊歩道を10分ほど歩くと、その先に息をのむような青い泉、ブループールがあります。こちらは水温が高く、底から気泡が湧き出ているため遊泳は禁止されていますが、その深く、吸い込まれるようなコバルトブルーの色は、見る者の心を捉えて離しません。手を叩くと、その振動で池の底から気泡がぷくぷくと湧き上がってくる不思議な現象も見られます。

これらのスポットは、ツアーで効率よく巡るのがおすすめです。クラビの自然の多様性と、その神秘的な力を肌で感じることができるでしょう。

絶景と向き合う:タイガーケーブテンプル(ワット・タム・スア)

信心深さと、少しばかりの体力を試される場所。それが、クラビ・タウン近郊にあるワット・タム・スア、通称「虎の洞窟寺」です。この寺院の最大の見どころは、山頂からの360度のパノラマビュー。しかし、その絶景にたどり着くためには、1260段(公式には1237段とも言われますが、体感的にはそれ以上!)の急な階段を登り切らなければなりません。

一段一段が不揃いで、場所によってはほとんど崖登りのような急勾配。熱帯の気候の中、汗が滝のように流れ落ち、何度も心が折れそうになります。しかし、すれ違う人々が「もう少しだよ!」「頑張って!」と声をかけてくれるのが、不思議な力になります。道中には猿もたくさんいるので、荷物には注意が必要です。

苦労の末にたどり着く山頂。そこに広がるのは、まさに筆舌に尽くしがたい絶景です。巨大な黄金の仏像が鎮座し、その足元からは、クラビの町、どこまでも続くヤシの木のプランテーション、そして点在する石灰岩の奇岩群が一望できます。遠くにはアンダマン海がきらめき、自分が登ってきた道のりを思うと、言葉にできないほどの達成感と感動が込み上げてきます。特に、朝日や夕日の時間帯は格別。空と大地が織りなす壮大な光のショーは、この試練を乗り越えた者だけへの最高の贈り物です。麓には、その名の由来となった虎が住んでいたとされる洞窟もあり、見どころは尽きません。クラビで最もスピリチュアルで、最も記憶に残る体験の一つとなるはずです。

食の楽園クラビ、南タイ料理を味わい尽くす

旅の喜びは、景色やアクティビティだけではありません。その土地ならではの食文化に触れることもまた、旅の醍醐味です。クラビは、新鮮なシーフードと、ハーブやスパイスをふんだんに使った刺激的な南タイ料理の宝庫。あなたの舌を虜にする、絶品グルメの世界へご案内します。

これだけは食べたい!クラビの必食グルメ

バンコクなどで食べられるタイ料理とは一味違う、南タイ特有のフレーバーがあります。特徴は、ターメリック(ウコン)を多用することによる黄色い彩りと、唐辛子の突き抜けるような辛さ、そしてココナッツミルクのまろやかさの絶妙なバランスです。

ゲーン・ソム(แกงส้ม)

南タイを代表するスープカレー。「酸っぱいカレー」という意味で、タマリンドの酸味と唐辛子の強烈な辛さが特徴です。魚と野菜を一緒に煮込んだものが一般的で、一口食べると、その刺激的な味に驚くかもしれません。しかし、その奥にある複雑な旨味と爽やかな酸味がクセになり、汗をかきながらもスプーンが止まらなくなります。白ご飯との相性は抜群です。

マッサマン・カレー(แกงมัสมั่น)

CNNの「世界で最もおいしい50種類の食べ物」で1位に輝いたこともある、世界的に有名なタイカレー。イスラム教徒から伝わったとされるため、豚肉は使われず、鶏肉や牛肉、羊肉が主流です。カルダモン、シナモン、クローブなどのドライスパイスが効いた、まろやかでコク深い味わいが特徴。ジャガイモとピーナッツがゴロゴロと入っており、辛さは控えめなので、辛いものが苦手な方でも美味しくいただけます。

カオ・モック・ガイ(ข้าวหมกไก่)

タイ風のチキンビリヤニ、あるいはチキン炊き込みご飯。ターメリックやクミンなどのスパイスで炊き込んだ黄色いご飯の上に、柔らかく煮込まれた鶏肉が乗っています。スイートチリソースをかけて食べるのが一般的。スパイシーながらも優しい味わいで、子供から大人まで楽しめる一品です。屋台や食堂で手軽に食べることができます。

新鮮シーフード

アンダマン海に面したクラビでは、新鮮なシーフードを楽しまない手はありません。アオナンやクラビ・タウンのレストランの店先には、氷の上に並べられた色とりどりの魚、巨大なエビ、カニ、イカがずらり。好きな食材を選び、調理法(焼く、蒸す、揚げる、カレー炒めなど)を指定してオーダーするスタイルが人気です。ニンニクと胡椒で炒めた「クン・ガティアム・プリックタイ(エビのニンニク胡椒炒め)」や、レモングラスと唐辛子で蒸した「プラー・ヌン・マナオ(魚のレモン蒸し)」は、タイのシーフード料理の定番。潮風を感じながら味わう獲れたての海の幸は、最高の贅沢です。

ローカル気分を満喫!レストラン&ナイトマーケット

どこで食べるかによって、旅の体験は大きく変わります。高級レストランからローカルな屋台まで、クラビの食シーンは実に多彩です。

アオナンのシーフードレストラン

アオナン・ビーチ沿いには、海を眺めながら食事ができるオープンエアのレストランが数多くあります。特に夕暮れ時は最高のロケーション。夕日で赤く染まる空を背景に、新鮮なシーフードBBQと冷たいビールを楽しむ時間は、リゾート気分を最高潮に盛り上げてくれます。値段は少し高めですが、その雰囲気と味には代えがたい価値があります。

クラビ・タウンのナイトマーケット

地元の味を安く、そしてディープに楽しみたいなら、クラビ・タウンのナイトマーケット(ウィークエンド・マーケット)へ行くべきです。食べ物の屋台が所狭しと並び、パッタイ、ソムタム、焼き鳥、フルーツシェイク、タイ風クレープ「ロティ」など、ありとあらゆるB級グルメが楽しめます。一品30〜60バーツ程度と非常にリーズナブル。色々なものを少しずつ買って、中央のテーブル席で食べるのがおすすめです。活気あふれる雰囲気の中で、地元の人々に混じって食事をする体験は、忘れられない思い出になります。

路上の屋台とローカル食堂

タイの食文化の心臓部とも言えるのが、街の至る所にある屋台や小さな食堂です。アオナンやクラビ・タウンの通りを歩けば、麺類を茹でる湯気や、肉を焼く香ばしい匂いが漂ってきます。指差しで注文できることも多く、言葉の壁を気にする必要はありません。一皿40〜70バーツほどで、本格的なタイ料理が味わえます。衛生面が気になるかもしれませんが、地元の人で賑わっている店を選べば、まず間違いありません。勇気を出して一歩足を踏み入れれば、そこには安くて美味しい、本物のタイが待っています。

賢く旅する、クラビ旅行プランニングガイド

最高の旅は、周到な準備から始まります。気候や交通手段、宿泊施設の選び方など、クラビ旅行を計画する上で役立つ実用的な情報をお届けします。

クラビでの移動手段をマスターする

クラビ県内、特にアオナン周辺での移動は、いくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を理解して、効率よく動き回りましょう。

ソンテウ(สองแถว)

トラックの荷台を改造した、クラビで最も一般的な公共交通機関。決まったルートを巡回しており、アオナン・ビーチとクラビ・タウンを結ぶ路線がメインです。乗りたい場所で手を挙げれば停まってくれ、降りたい場所でブザーを押すだけ。料金も安く(アオナン-クラビ・タウン間で約60バーツ)、ローカル気分を味わうのに最適です。ただし、夜間は料金が上がったり、運行本数が減ったりするので注意が必要です。

トゥクトゥク&バイクタクシー

近距離の移動に便利なのが、三輪自動車のトゥクトゥクや、バイクの後ろに乗るバイクタクシーです。料金は交渉制。乗る前に必ず目的地を告げ、料金を確認してから利用しましょう。ソンテウよりも割高ですが、行きたい場所に直接行ける手軽さが魅力です。特にアオナン内のホテルからビーチへの移動などに重宝します。

レンタルバイク

自由気ままに動き回りたいなら、レンタルバイクが最強の選択肢です。アオナン周辺にはレンタルショップが多数あり、1日200〜300バーツ程度で借りることができます。国際運転免許証とパスポートの提示を求められます。タイは日本と逆の左側通行なので運転しやすいですが、交通マナーは日本と大きく異なるため、運転には細心の注意が必要です。ヘルメットの着用は義務付けられています。タイガーケーブテンプルやエメラルドプールなど、公共交通機関では行きにくい場所へ足を延ばすのに非常に便利です。

ロングテールボート

クラビの島々や、ライレイ・ビーチなど陸路で行けない場所への足となるのが、木製のエンジン付きボート、ロングテールボートです。アオナン・ビーチにはチケット売り場があり、ライレイやプラナンなどへの乗り合いボートのチケットを簡単に購入できます。また、グループであればボートを1日チャーターして、自分たちだけのオリジナルアイランドホッピングを楽しむことも可能です。料金は交渉次第ですが、自由度の高い旅が実現します。

目的で選ぶ、クラビの宿泊施設

クラビには、豪華な5つ星リゾートから、バックパッカー向けの格安ホステルまで、あらゆる予算とスタイルに対応する宿泊施設が揃っています。どこに泊まるかで、旅の質は大きく変わります。

ラグジュアリー&プライベート重視派

静かで優雅な休日を過ごしたいなら、人里離れた場所に佇む高級リゾートがおすすめです。プライベートビーチや、美しいインフィニティプール、ワールドクラスのスパなどを備えたリゾートでは、誰にも邪魔されない極上の時間を過ごせます。特に、トゥブカーク・ビーチ周辺や、ライレイ・ビーチの一部には、素晴らしいヴィラタイプのホテルが点在しています。ハネムーンや記念日旅行に最適です。

利便性&アクティブ派

観光の拠点としての利便性を最優先するなら、アオナン・ビーチ沿いや、その周辺のホテルがベストです。レストランやショップ、ツアーデスクへも徒歩圏内。夜遅くまで賑わいがあり、飽きることがありません。中規模のホテルから大型リゾートまで選択肢も豊富で、プール付きの快適なホテルが手頃な価格で見つかります。アイランドホッピングなど、アクティブに動き回りたい方にぴったりです。

交流&節約派

旅人との出会いを求めたり、とにかく費用を抑えたいという方には、ホステルやゲストハウスがおすすめです。特に東ライレイやクラビ・タウンには、ドミトリー(相部屋)形式の安宿が多く集まっています。共用のキッチンやラウンジで、世界中から集まった旅人たちと情報交換をしたり、一緒に食事をしたりするのも旅の醍醐味。シンプルながらも、温かいホスピタリティに触れられる場所が多いのも魅力です。

クラビの夜、もう一つの顔

太陽が水平線に沈むと、クラビは昼間とは違う、幻想的でエキサイティングな表情を見せ始めます。ロマンチックな夜、賑やかな夜、あなたはどちらの夜を過ごしますか?

活気と熱気に満ちたナイトマーケット

クラビの夜の楽しみ方として、ナイトマーケットは外せません。特にクラビ・タウンで週末に開催される「ウィークエンド・ナイトマーケット」は、観光客だけでなく地元の人々でごった返し、強烈なエネルギーに満ちています。美味しそうな匂いを漂わせる無数の屋台、手作りのアクセサリーや民芸品を売る店、そしてステージで繰り広げられるライブパフォーマンス。ただ歩いているだけで、五感が刺激され、ワクワクしてきます。

アオナンにも、小規模ながら毎晩開かれているナイトマーケットがあります。こちらはより観光客向けで、シーフードBBQやカクテルバーなどが中心。食事をしながら、お土産を探すのにちょうど良い場所です。マーケットの喧騒と活気は、旅の夜を一層思い出深いものにしてくれるでしょう。

サンセットを彩るビーチバー

クラビのサンセットは、世界でも有数の美しさを誇ります。この魔法のような時間を最大限に楽しむなら、ビーチ沿いのバーが最高の舞台となります。アオナン・ビーチや、さらに静かなノッパラット・タラ・ビーチには、砂浜にクッションやマットを並べた、カジュアルでおしゃれなバーがたくさんあります。

冷たいシンハービールや、トロピカルなマイタイを片手に、素足を砂に埋めてリラックス。空がオレンジ、ピンク、紫と刻一刻と色を変え、太陽がアンダマン海にゆっくりと沈んでいく様子を眺める時間は、まさに至福のひととき。波の音をBGMに、大切な人と語り合うもよし、一人で物思いにふけるもよし。ライレイ・ビーチの西側も絶好のサンセットスポットで、静かでロマンチックな雰囲気が漂います。この風景は、きっとあなたの心に深く刻み込まれるはずです。夜が更けると、一部のバーではファイアーショーが始まり、夜のビーチをさらに盛り上げます。

風景が心に語りかける場所

クラビの旅は、単なる観光地巡りではありません。それは、地球という惑星が持つ、荒々しくも美しい、むき出しの力と対峙する時間です。

海から突き出す石灰岩のシルエットは、まるで古代の巨人が眠っているかのよう。その麓に広がるエメラルドの海は、生命の源そのもののような輝きを放ちます。ロングテールボートのエンジン音と潮風、ジャングルに響く鳥の声、ナイトマーケットの喧騒とスパイスの香り。これら全てが渾然一体となって、クラビという唯一無二のシンフォニーを奏でています。

1260段の階段を登りきった山頂で見る朝日に、あなたは努力の尊さを知るかもしれません。静寂のラグーンでカヤックを漕ぎながら、自然との一体感に涙するかもしれません。夕日に染まるビーチで、人生で本当に大切なものに気づくかもしれません。

クラビは、訪れる者に何かを問いかけ、そして何かを与えてくれる場所。その壮大な風景は、私たちのちっぽけな悩みなど、いとも簡単に飲み込んでしまいます。そして、旅を終えて日常に戻った後も、あなたの心の中には、あの碧い海と緑の森、そして天を突く奇岩の風景が、いつまでも鮮やかに残り続けるのです。さあ、次はあなたが、この魂を揺さぶる風景の証人となる番です。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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