バンコクの喧騒から南へ約200キロ。タイ王室の保養地として知られる、穏やかで洗練されたリゾート地、ホアヒン。その長い海岸線の南端に、まるで海を見守るかのように静かに佇む小高い山があります。その名は「カオタキアップ」。地元の人々からは親しみを込めて「猿の山」とも呼ばれ、またその名には「箸の山」というユニークな意味が隠されています。
ここは、ただの景色の良い丘ではありません。頂には篤い信仰を集める寺院があり、麓には穏やかなビーチと活気あふれる漁港が広がる、ホアヒヒンの魅力がぎゅっと凝縮されたような場所。そして、たくさんの野生の猿たちが暮らす、生命力に満ちたパワースポットでもあるのです。
アパレルの仕事で世界中を飛び回る合間を縫って、私はいつも心惹かれる土地へと足を運びます。今回は、都会の華やかさとはまた違う、穏やかな時間と手付かずの自然、そして美味しいローカルフードを求めてホアヒンへ。中でも、このカオタキアップで過ごした時間は、私の旅の記憶に深く、そして鮮やかに刻まれました。
この記事では、ホアヒンの喧騒から少し離れた聖地、カオタキアップの魅力を余すところなくお伝えします。絶景が待つ山頂の寺院の歩き方から、愛らしくも少し手ごわい猿たちとの賢い付き合い方、そして旅の醍醐味である絶品シーフードグルメまで。私の体験を元にした、女性目線の安全対策や、旅をよりスムーズにするための実践的なアドバイスもたっぷり盛り込みました。この記事を読み終える頃には、きっとあなたもカオタキアップへ旅立つ準備を始めたくなるはずです。
さあ、心癒されるホアヒンの旅へ、一緒に出かけましょう。
カオタキアップとは?知っておきたい基本情報

ホアヒン旅行を計画する際、カオタキアップはぜひ訪れてほしいスポットの一つです。しかし、「猿が生息する山」というだけでは、その魅力の半分も伝わりません。まずは、この地の背景やアクセス方法などの基本をしっかり押さえておきましょう。
「箸の山」という名前の由来と伝説
カオタキアップ(Khao Takiab)はタイ語で分けると、「カオ(Khao)」は山、「タキアップ(Takiab)」は箸を意味します。つまり直訳すると「箸の山」。なぜこんな名前がついたのか、不思議に思いませんか?
この名前には、タイの有名な叙事詩「ラーマキエン」にまつわる伝説が関わっています。物語の中で、ラーマ王を助ける猿神ハヌマーンが魔王と戦うため、巨大な山を運んでいましたが、途中で二つの山を落としてしまいます。その一つがカオタキアップで、もう一つは対岸に見えるカオクラット(Khao Klat)と伝えられています。さらに、その戦いの後、ハヌマーンが食事に使った箸をこの地に置いたことから「箸の山」と呼ばれるようになった、というロマンチックな逸話が残されています。
真偽はともかく、この伝説を思い浮かべながら山を眺めると、ただの観光地ではなく、どこか神聖で特別な場所に感じられるはずです。麓のビーチから見える二つの緑豊かな丘は、確かに箸のようにも見え、現地の物語を知ることで旅に深みが増すことでしょう。
ホアヒン市街からのアクセス完全ガイド
カオタキアップはホアヒンの中心部から南へ約7kmの位置にあります。アクセス方法はいくつかあり、旅のスタイルや予算に応じて選択可能です。ここでは、私が実際に試した方法も交え、それぞれのメリットと注意点を詳しくご紹介します。
ローカル気分を満喫!緑色のソンテウ(乗り合いバス)
ホアヒンを訪れたら、一度は乗ってみたいのが緑色のソンテウです。ピックアップトラックの荷台を改造した乗り合いバスで、地元の足として親しまれています。何よりリーズナブルで、窓のない開放的な車内から街並みを楽しみながら移動できるのが魅力です。
- 乗車方法
ホアヒン市街のメインストリートであるペッカセーム通り(Phet Kasem Road)沿いで緑色のソンテウを探しましょう。ホアヒン時計塔やナイトマーケット周辺など、主要スポットで簡単に見かけることができます。手を挙げれば停車してくれますので、車体の「Khao Takiab」の表示を確認してください。
乗ったら空いている席に座り、料金は後払い。カオタキアップが終点なのでうっかり乗り過ごす心配はほぼありません。終点に近づくと運転手が「タキアップ!」と声をかけてくれることも。降りたい場所では車内のブザーを押せば停めてくれます。降車後、運転席で料金を支払います。
- 料金と所要時間
料金は非常に安く、日中の市街地から終点まで15バーツ前後(2023年時点)。夜は若干上がり、20バーツほどになることもあります。所要時間は交通状況にもよりますが、約20~30分。途中でブルーポートやシカダ・マーケットなど観光スポットも通過し、車窓の景色も楽しめます。
- 注意事項
お釣りが出ない場合もあるため、10バーツ硬貨や20バーツ紙幣など小銭を用意しておくと安心です。混雑時は後部ステップに立つこともありますが、安全のためできるだけ座って乗車しましょう。
快適で確実!配車アプリ(Grab・Bolt)
時間や快適さを重視するなら、GrabやBoltといった配車アプリの利用が最も便利です。特に暑い日中や荷物が多いとき、複数名での移動にぴったりです。
- 使い方とメリット
日本で事前にアプリをダウンロードし、クレジットカードを登録しておけば、タイ到着後すぐに利用可能。地図上で目的地を指定できるため、タイ語が話せなくても正確に場所を伝えられます。料金も事前に表示されるため、料金トラブルの心配がありません。
- 料金目安
ホアヒン市内からカオタキアップまではGrabCarでおおよそ100〜150バーツ。Boltはやや安めですが、時間帯や配車状況で変動します。複数人で乗れば、一人当たりの料金はさらにリーズナブルです。
- トラブル時の対応
予約した車が来なかったり、違う場所に案内された場合でも、アプリのヘルプセンターで対応が可能。乗車履歴やドライバー情報がしっかり記録されているので安心して使えます。
自由自在に動くならレンタルバイク
アクティブに観光したい方で国際運転免許証を持っているなら、レンタルバイクも選択肢の一つです。カオタキアップのみならず、ホアヒン周辺の観光地も効率よく回れます。
- レンタル方法と注意点
ホアヒン市内には多くのレンタルバイク店があり、パスポートのコピーとデポジットを預けて借りられます。1日あたり200〜300バーツ程度が相場です。ただし、タイの交通事情は日本とは異なり、ルールが曖昧な箇所も多いので安全運転が不可欠。ヘルメット着用は法律で義務付けられており、必ず守りましょう。また、万が一に備え海外旅行保険の加入を強く推奨します。無免許運転や飲酒運転は絶対に避けてください。
絶景と神秘の空間!カオタキアップ寺院を歩く
カオタキアップの最大の見どころは、何と言っても山の頂上に広がる寺院「ワット・カオ・タキアップ(Wat Khao Takiab)」です。ここからはホアヒンの街並みと海が一望できる絶景スポットであると同時に、地元の人々にとって信仰の厚い聖地でもあります。その空気に触れるだけで、心が自然と清められるような感覚を覚えます。
山頂へ向かう2つのルート
寺院のある山頂へは、大きく分けて二つのルートを選ぶことができます。選ぶ道によって、眺めや体験が少し異なります。
- 車・バイクでのらくらくアクセスルート
ソンテウの終点からさらに坂道を上っていくと、寺院の駐車場まで直接車やバイクで到達可能です。体力に自信がない方や時間を有効活用したい方に最適です。駐車場からはすぐに展望台や本堂のエリアへ入れます。ただし、坂はやや急なので、バイクを運転する際は注意が必要です。
- ビーチ側から挑む絶景の階段ルート
もう一つのルートは、カオタキアップ・ビーチの麓から長い階段を登る方法です。こちらは体力が求められますが、登るたびに視界が開けて、青い海と空が織りなす景色が広がり感動的です。階段の途中には、海に向かって手を合わせる巨大な仏像が鎮座していて、圧倒される迫力があります。潮風を感じながら一歩一歩、聖域へ進む高揚感を味わえます。私もこのルートを選びましたが、息が上がるほど大変だったものの、振り返った瞬間の景色は最高の思い出となりました。
山頂の黄金の仏像と360度パノラマビュー
階段を登り切った場所、もしくは駐車場の近くにある展望台に立つと、まず目に飛び込んでくるのは煌びやかな装飾を施した中国様式の寺院と、その前に立つ巨大な黄金の仏像です。穏やかな表情でホアヒンの街を見下ろすその姿は、神聖でありながらも親しみやすさを感じさせます。
ここからの眺望こそ、カオタキアップの真骨頂です。北側を見ると、延々と続くホアヒン・ビーチの白い砂浜とエメラルドグリーンの海の美しい弧が広がります。南側には静かなカオタキアップ・ビーチと、のどかな漁港の風景が見渡せます。空が澄んだ日は、遠くの水平線まで見渡せ、地球の丸さを実感できるかのようです。特に朝日が昇る早朝や、夕暮れ時に空がオレンジ色に染まる光景は、言葉を失うほどの美しさです。カメラを手に、心ゆくまでこの絶景を満喫してください。
静寂に包まれた本堂と参拝の心得
展望台から少し奥へ進むと、タイ様式の本堂が現れます。ここは観光客の喧騒から離れ、落ち着いた静かな空間が広がっています。色鮮やかな屋根の装飾や精巧な彫刻が施された壁面は、タイ寺院建築の魅力を存分に感じさせてくれます。
本堂内にはご本尊の仏像が安置されており、地元の人々が熱心に祈りを捧げる姿が見られます。私たち旅行者も、静かに礼拝の時間を共有しましょう。
- 参拝時の服装マナー
タイの寺院は神聖な場所ですので、訪問の際は敬意を示す服装を心がけることが大切です。特に女性は、肩が露出するタンクトップやキャミソール、ショートパンツやミニスカートなど肌の露出が多い服装は避けましょう。
- あると便利な持ち物
もし軽装で訪れてしまっても、寺院入り口でパレオ(腰巻布)を貸し出している場合が多いですが、数に限りがあります。私はいつも旅の荷物に大判ストールや薄手のカーディガンを1枚入れており、さっと羽織って肌の露出を隠せるほか、日差しよけや冷房対策にもなり重宝しています。男性も膝上の短パンは避けたほうが無難です。足元は、本堂に上がる際に靴を脱ぐため、脱ぎやすいサンダルなどが便利です。
- 参拝の作法(タンブン)
興味があれば「タンブン」と呼ばれる徳を積む行為を体験してみるのも良いでしょう。お賽銭を捧げたり、お線香や花を供えたりします。作法が分からなくても、周囲の人の様子を見ながら真似すれば問題ありません。大切なのは、静かに敬意をもって祈る心です。
カオタキアップ名物!野生の猿との正しい付き合い方

カオタキアップが「猿の山」と呼ばれる理由は、その名の通り多くの野生のマカクザルが生息しているためです。寺院の境内や展望台、麓の道端など、あらゆる場所で彼らの姿を目にすることができます。人間に慣れているのか、かなり近づいてくることも珍しくありません。その愛らしい姿は観光客に大人気ですが、あくまでも野生動物であるため、正しい知識を持って接しなければ思わぬトラブルを招くことがあります。
猿との接触で守るべき基本ルール
彼らと安全に共存するためには、いくつか大切なルールを守ることが必要です。楽しい思い出を嫌なものに変えないために、必ず心に留めておきましょう。
- 餌やりは厳禁!
「可愛いから」とつい食べ物を与えたくなる気持ちは理解できますが、絶対にしてはいけません。観光客から餌をもらうことで、猿は「人間=食べ物をくれる存在」と認識するようになってしまいます。その結果、食べ物を持っていない人にもしつこく付きまとったり、食べ物を奪おうとして攻撃的になることがあります。これは猿にも人間にも不幸なことです。カオタキアップの自然な生態系を守るためにも、餌やりは絶対に控えましょう。いたるところに「DO NOT FEED MONKEYS」という看板が設置されています。
- 食べ物や飲み物は見せず、しっかり隠す
猿は視力や嗅覚が優れており、ビニール袋のガサガサという音を聞いただけで「食べ物だ!」と察知して寄ってくることがあります。訪れる際は食べ物や飲み物をカバンの中にきちんと収納し、外から見えないようにするのが基本です。特にコンビニの袋やスナック菓子の袋を手に持って歩くのは非常に危険です。リュックサックやファスナー付きのバッグを使い、中身が見えないようにしましょう。
- 光るものにも要注意
猿は好奇心が強く、キラキラ光る物が大好きです。スマートフォンやカメラ、サングラス、アクセサリーなどを奪われる被害が報告されています。写真撮影の際は、ストラップをしっかりと手首や首にかけ、猿に不用意に近づけないように注意してください。
猿に囲まれた時の冷静な対処法
ルールを守っていても、思いがけず猿に近づかれたり囲まれたりすることがあり得ます。そんな時は、慌てず落ち着いて対応することが最も重要です。
- 目を合わせない
猿の世界では、相手の目をじっと見ることは威嚇や挑戦を意味します。目が合ってしまったら、ゆっくり視線を外し、無関心の態度を示しましょう。
- 歯を見せずに真顔を保つ
人間の笑顔は友好のサインですが、猿にとって歯をむき出しにすることは威嚇のサインです。怖くても引きつった笑顔は逆効果なので、口を閉じて無表情を保つことが重要です。
- 大声を出さず、ゆっくり後退する
叫んだり突然走ったりすると猿を刺激して攻撃を招く恐れがあります。静かに、ゆっくりと後ずさりして距離を取ってください。
- 噛まれたり引っ掻かれたりした場合の対応
もし猿に噛まれたり引っ掻かれたりしたら、小さな傷であっても軽視してはいけません。猿は狂犬病などの感染症を持っている可能性があります。すぐに傷口を石鹸と流水で15分以上、しっかり洗い流しましょう。その後、できるだけ早く病院を受診してください。破傷風予防接種や狂犬病の暴露後ワクチン接種が必要になる場合があります。ホアヒンにはバンコクホスピタルホアヒンなど、外国人観光客対応の私立病院があります。海外旅行保険に加入していればキャッシュレス治療が受けられることもあるため、保険証や連絡先を事前に確認しておくと安心です。安全情報については、在タイ日本国大使館のウェブサイトも非常に参考になります。
カオタキアップ周辺の魅力!ビーチとグルメを大満喫
カオタキアップの魅力は山頂の寺院だけにとどまらず、麓には穏やかな時間が流れる美しいビーチや、新鮮な海の幸を味わえるレストランが点在しています。絶景とスリルを堪能したあとは、おいしい料理とさわやかな潮風に包まれて、心身ともにリフレッシュしましょう。
静かで美しい地元のビーチ、カオタキアップ・ビーチ
ホアヒンのメインビーチが多くのホテルやレストランが集まるにぎやかなリゾートの顔を持つのに対し、カオタキアップ・ビーチは地元色が強く落ち着いた雰囲気が特徴の「素顔のビーチ」と言えます。
観光客の数も比較的少ないため、ゆったり過ごしたい人にぴったりのスポットです。遠浅で波も穏やかなので、小さな子ども連れのファミリーにも安心して楽しめます。ビーチにはデッキチェアやパラソルの貸し出し店がいくつかあり、1日あたり数十バーツでレンタル可能。冷たいココナッツジュースを飲みながら読書やうたた寝をするなど、贅沢な「何もしない時間」を過ごすのに最適な場所です。
また、カオタキアップ・ビーチでは乗馬体験も人気のアクティビティの一つ。馬に揺られながら砂浜をのんびり散歩する体験は、忘れられない思い出となるでしょう。料金は交渉制で、30分あたり約400バーツが相場です。特に夕暮れ時、夕日に染まる海を眺めながらの乗馬は格別のロマンチックさがあります。
干潮時には、カオタキアップの山麓から沖合に向けて砂州が現れ、歩いて渡ることが可能です。引いた砂浜には小さなカニやヤドカリが多く生息しており、自然観察も楽しめます。
獲れたての味わい!絶品シーフードレストラン巡り
カオタキアップのもうひとつの大きな魅力は、何と言ってもグルメです。山麓にはカオタキアップ漁港があり、その周辺には毎朝新鮮な魚介が水揚げされ、それを使ったシーフードレストランが軒を連ねています。バンコクからわざわざこの地に新鮮なシーフードを求めて訪れるタイ人も多く、まさに食の宝庫といえます。
- レストランの選び方と注文のポイント
多くの店では、店頭に氷を敷き詰めたショーケースがあり、そこにその日の朝捕れたエビやカニ、魚、貝類などがずらりと並びます。好きな食材を選び、「焼く(パオ)」「蒸す(ヌン)」「揚げる(トート)」「炒める(パット)」など、希望の調理法を伝えてオーダーするのがタイ流です。言葉が心配なら、指差しで食材を選び「BBQ?」や「Steam?」など簡単な英語で伝えても問題ありません。写真付きのメニューを見ながら選ぶのも便利です。
- おすすめのシーフードレストラン
このエリアには名店が多くありますが、特におすすめのお店をいくつかご紹介します。
- Supatra by the Sea(スパッタラー・バイ・ザ・シー)
海沿いの絶好のロケーションにあるやや高級感のあるレストランで、おしゃれな雰囲気が魅力的。特にサンセットの時間帯は格別の空間を演出します。伝統的なタイ料理にモダンなアレンジを加えた料理の数々はどれも絶品で、特別なディナーやデートにぴったりの場所です。週末夜は予約をおすすめします。
- La Mer Restaurant(ラ・メール・レストラン)
Supatra by the Seaの隣に位置し、こちらも海沿いの素晴らしい景色が楽しめるレストランです。よりカジュアルな雰囲気で家族連れにも人気。新鮮なシーフードを使ったクラシックなタイ料理が豊富で、特に炭火焼きの大ぶりなエビ「クンパオ」や、カニのカレー炒め「プーパッポンカリー」はぜひ味わいたい一品です。
- 地元の雰囲気を楽しむなら
高級店だけでなく、漁港周辺にはもっと素朴でローカルな食堂も多数あります。プラスチック製の椅子とテーブルが並ぶ飾らないお店ですが、味は確かで価格も手頃です。こうした店で地元の人々と一緒に食べるシーフードは、また違った贅沢な味わいがあります。新鮮なカキにタイ風の辛いソースをかけて味わう「ホイナーンロム・ソット」などは、ローカル食堂ならではの楽しみです。衛生面が心配な場合は、回転が早く人気のある店を選ぶと比較的安心して利用できます。
足を延ばして訪れたい!カオタキアップ周辺のおすすめスポット

カオタキアップを満喫した後は、ぜひその周辺エリアにも足を伸ばしてみてください。洗練されたナイトマーケットからスリリングなウォーターパークまで、旅の魅力をさらに引き立てるスポットがすぐ近くに広がっています。
芸術あふれる週末の夜を過ごす「シカダ・マーケット (Cicada Market)」
カオタキアップからソンテウで数分の距離にあるシカダ・マーケットは、私がタイで訪れた数あるマーケットの中でも特にお気に入りのひとつです。単なるナイトマーケットではなく、「アート・マーケット」という名称が示すように、独創的で洗練された空気が漂っています。
- 開催日時とアクセス
シカダ・マーケットは毎週金・土・日の夕方から夜にかけて開かれています。ホアヒン市街からカオタキアップに向かうソンテウのルート上にあるため、行き帰りともにソンテウを利用するのが便利です。
- エリアごとの楽しみ方
マーケットは複数のゾーンに分かれています。
- Art a la Mode: ハンドメイドのアクセサリーや洋服、個性的な雑貨が並ぶブース群。アパレル業に携わる私にとっては、常に刺激をもらえる場所です。タイの若手アーティストの才能に触れられ、唯一無二のお土産探しにもぴったり。ここでしか出会えない一点物を見つけるのも醍醐味です。
- Art Factory: 屋内のギャラリースペースで、絵画や彫刻など本格的なアート作品の展示と販売が行われています。
- Amphitheatre: 屋外ステージではライブ音楽やダンス、演劇など多彩なパフォーマンスが繰り広げられ、マーケット全体を心地よい雰囲気で満たしています。
- Cicada Cuisine: 広いフードコートエリア。タイ料理はもちろん、シーフード、イタリアン、日本食、スイーツなど多国籍な屋台が並びます。食券制で清潔感があり、観光客も安心して楽しめます。
- マーケットを楽しむためのおすすめ持ち物
- 現金:カード不可の小規模な店も多いので、ある程度の現金を用意しておくのが安心です。
- エコバッグ:魅力的な雑貨をたくさん買ってしまうかもしれないため、お気に入りのエコバッグを持参しましょう。
- 虫よけスプレー:屋外マーケットなので、緑が多い場所では蚊に刺されることもあります。肌の露出部分には虫よけスプレーを塗っておくと快適です。
隣接するグルメ天国「タマリンド・マーケット (Tamarind Market)」
シカダ・マーケットのすぐ隣には、もうひとつ「タマリンド・マーケット」というナイトマーケットがあります。こちらはシカダよりもローカル感が強くカジュアルな雰囲気。何よりもグルメに特化しているのが大きな特徴です。
シカダのフードコートも洗練されていますが、タマリンドはまさに「食べ歩き天国」。串焼き、シーフードのBBQ、パッタイ、そしてマンゴーともち米のデザート「カオニャオ・マムアン」など、様々なタイのストリートフードがリーズナブルに楽しめます。中央には多数のテーブルと椅子が用意されており、ライブ音楽を聴きながら屋台で買った料理を皆でシェアするのが定番スタイルです。
シカダでアートとショッピングを楽しんだ後、タマリンドでディナーを満喫する――そんなマーケットはしごもおすすめ。異なる雰囲気の2つのマーケットを訪れて、ホアヒンの夜を二倍楽しんでみてはいかがでしょうか。
ファミリーからカップルまで楽しめる「ワナ・ナワ・ウォーター・ジャングル」
もし時間に余裕があり、アクティブに遊びたいなら、「ワナ・ナワ・ウォーター・ジャングル(Vana Nava Water Jungle)」が最適です。カオタキアップからタクシーで約10分の場所にある、アジア最大級のウォーターパークです。
その名の通り、園内は緑豊かな熱帯雨林をイメージしたデザインで、単なるプールとスライダーがある施設とは一線を画しています。絶叫スライダーや流れるプール、子ども向けのキッズゾーンなど、20種類以上のアトラクションが揃い、子供から大人まで一日中思い切り楽しめます。
- チケット購入と利用方法
チケットは当日に窓口で購入可能ですが、混雑回避のため公式サイトから事前にオンライン購入しておくのがスムーズです。オンライン限定の割引プロモーションが開催されることもあります。 入場時にはキャッシュレス決済用のリストバンドが渡され、お金をチャージしておくと園内の飲食やロッカー利用が便利です。タオルのレンタルも可能なので、水着さえあれば手ぶらで訪れて楽しめます。
ホアヒン・カオタキアップ旅行を成功させるための実践アドバイス
最後に、ホアヒンでの旅をより快適で安全に、そして忘れがたい思い出となるよう、いくつかの実用的なアドバイスをご紹介します。
ベストシーズンと気候、おすすめの服装
ホアヒンは年間を通じて温暖な気候ですが、快適に過ごすための季節は主に三つに分けられます。
- 乾季(11月〜2月): 最も過ごしやすいシーズンです。降雨が少なく湿度も低いため、快適に過ごせます。日中は強い日差しがあるため半袖で十分ですが、朝晩は少し肌寒く感じることもあるので、薄手の羽織物があると便利です。寺院の訪問や冷房対策にも役立ちます。
- 暑季(3月〜5月): 一年で最も気温が高くなる時期です。日中の外出は熱中症に注意が必要で、帽子やサングラス、日焼け止めは必ず用意しましょう。服装は通気性に優れたコットンやリネン素材がおすすめで、こまめな水分補給を心がけてください。
- 雨季(6月〜10月): 短時間に激しいスコールが降ることが多い季節です。終日雨が続くことは少ないですが、折りたたみ傘や撥水性のあるウィンドブレーカーがあると安心です。雨上がりには虹が見られたり、緑が一層鮮やかになる美しい時期でもあります。また、旅行費用が比較的抑えられるのもこの季節の利点です。
滞在エリアの選び方
ホアヒンでの宿泊場所は、旅行スタイルによって選択肢が変わります。
- カオタキアップエリア: 静かな環境でリラックスしたい、ゆったりとビーチタイムを楽しみたい方にぴったりのエリアです。大型リゾートからプライベート感のあるブティックホテルまで多彩な宿泊施設があります。ただし、市街地の中心からはやや離れているため、夜の外出やショッピングを主に考えている場合には移動に少し手間がかかるかもしれません。
- ホアヒン市街地エリア: ナイトマーケットやレストラン、バーが集まって活気あるエリア。食事やお買い物の利便性を重視するならこちらがおすすめです。ビーチ沿いの高級ホテルから手頃なゲストハウスまで、予算や好みに合わせて様々な宿泊施設を選べます。
安全で安心な旅を楽しむコツ
ホアヒンはタイの中でも比較的治安が良い観光地ですが、海外であることを念頭に置き、基本的な安全対策を心がけましょう。
- 貴重品の管理: ナイトマーケットや乗り物の中など、人混みではスリや置き引きに注意が必要です。バッグは体の前で抱えるようにし、貴重品は外から見えにくい内ポケットなどにしまいましょう。
- 交通の安全: バイクをレンタルする際はヘルメットを必ず着用し、安全運転を心がけてください。道を渡る時も日本と同じ感覚でいると危険なので、左右の確認を十分に行いましょう。
- 健康管理: なじみのない食事や暑さで体調を崩さないように注意してください。生水は避け、ミネラルウォーターを利用しましょう。屋台での食事は、清潔そうで現地の人が多く利用している店を選ぶのがポイントです。さらに重要なのは海外旅行保険への加入です。万が一の病気や怪我に備えて、出発前に必ず手続きを済ませておきましょう。タイの医療に関する詳細は、外務省の公式サイトで確認できます。
日常を離れ、ホアヒンの風に吹かれて

カオタキアップの山頂から見渡すのは、果てしなく広がる青い海と澄んだ空。耳を澄ませば穏やかな波音と鳥たちのさえずりが響き渡る。人懐っこさの中にどこか野生の鋭さを秘めた猿たちの鋭いまなざし。そして漁港の活気とともに漂う、新鮮な海の香りが心地よく感じられます。
ホアヒン、カオタキアップでの旅は、私の五感を優しく、それでいて力強く揺さぶりました。単なる華やかな観光地巡りとは異なり、その土地の息吹を肌で感じることができる、深く豊かな体験となりました。
伝説が息づく「箸の山」に登り、時代を超えて交差する風景に想いを馳せる。自然の営みに身を寄せる動物たちと適切な距離を保ちながら共に生きる術を学びます。そして、その地の恵みを心から「美味しい」と味わう。旅とは日常から離れ、そんな当たり前だけれど忘れがちな、生きることの根源的な喜びに再会する時間なのかもしれません。
もし日々の忙しさに少し疲れを感じているなら、次の休暇にはホアヒンを訪れてみてはいかがでしょうか。そしてぜひカオタキアップの丘の頂上まで歩みを進めてみてください。そこには間違いなく、あなたの心を解きほぐし、新しい活力で満たしてくれる穏やかで優しい時間が流れています。
さあ、次の旅の計画をはじめましょう。世界はまだ見ぬ素晴らしい景色と出会いを携えて、あなたを待っています。

