熱気、喧騒、そして祈り。黄金に輝く寺院の尖塔が摩天楼に突き刺さり、スパイシーな香りが路地裏から立ち上る。ここは、伝統と革新がエネルギッシュに交差する街、バンコク。「クルンテープ(天使の都)」という正式名称が示すように、訪れる者を魅了し、天上の喜びと地上の興奮を同時に味あわせてくれる不思議な場所です。初めて訪れる人はその混沌としたパワーに圧倒され、再訪する人はその奥深さにますます引き込まれていく。この街には、あなたの五感を揺さぶり、旅の記憶に鮮烈な一ページを刻む、無限の魅力が眠っています。さあ、この地図を手に、一生忘れられないバンコクの旅へ出かけましょう。
バンコクってどんな街? 知っておきたい基本の「き」
旅の計画を立てる前に、まずはバンコクという街の輪郭を捉えてみましょう。タイ王国の首都であるバンコクは、東南アジア屈指の世界都市。政治、経済、そして文化の中心地として、常にダイナミックな変化を続けています。
街の中心を悠々と流れるのは、「母なる川」チャオプラヤー川。この川を境に、西側は古き良きバンコクの面影を残すトンブリー地区、東側は王宮や寺院が点在する旧市街から、高層ビルが林立する新市街へと広がっています。この地理的なコントラストこそが、バンコクの多面的な魅力を生み出す源泉なのです。
気候は熱帯モンスーン気候に属し、一年を通じて高温多湿。大きく分けると、乾季(11月〜2月)、暑季(3月〜5月)、雨季(6月〜10月)の3つのシーズンがあります。旅行のベストシーズンは、気候が安定し、比較的過ごしやすい乾季ですが、スコールが緑を潤す雨季の風情や、フルーツが最も美味しくなる暑季にも、それぞれ違った趣があります。
人々の信仰心は篤く、街の至る所に大小さまざまな寺院や祠が見られます。朝早くには、オレンジ色の袈裟をまとった僧侶が托鉢に歩く姿を目にすることでしょう。すれ違う人々は、穏やかな微笑みをたたえ、「ワイ」と呼ばれる合掌の挨拶を交わす。この敬虔さと寛容さが同居する空気感が、バンコクの心地よさを形作っています。近代的な都市機能の裏側で、脈々と受け継がれてきた伝統と文化が、今も人々の暮らしに深く根付いているのです。この街の持つ独特のリズムを感じながら歩けば、きっと旅はより一層豊かなものになるはずです。
絶対に外せない!バンコク三大寺院巡り
バンコクを訪れたなら、その荘厳な輝きに誰もが息をのむ「三大寺院」への巡礼は欠かせません。タイの歴史、建築、そして人々の信仰心の結晶ともいえるこれらの場所は、単なる観光スポットではなく、この国の魂に触れるための聖地なのです。
ワット・プラケオ(エメラルド寺院)と王宮
タイで最も格式高く、そして最も美しい寺院といえば、このワット・プラケオをおいて他にありません。王宮の敷地内に鎮座するこの寺院は、国王の個人的な礼拝堂として建立されました。目も眩むような黄金の仏塔、色鮮やかなタイルで装飾された壁面、神話の登場人物をかたどった無数の像。そのすべてが、訪れる者を圧倒的な非日常の世界へと誘います。
本堂に安置されているのが、寺院の名前の由来にもなった「エメラルド仏」。翡翠で彫られたこの小さな仏像は、タイの守護仏として篤い信仰を集めています。年に三度、国王自らの手によって衣替えの儀式が執り行われることからも、その重要性がうかがえるでしょう。
寺院を囲む回廊には、インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をタイ風に翻案した「ラーマキエン物語」が壮大な壁画として描かれています。その緻密さとスケールの大きさに、きっと時間を忘れて見入ってしまうはずです。
隣接する王宮(グランドパレス)も必見。かつて国王が暮らした場所であり、西洋とタイの建築様式が融合した壮麗な宮殿群が並びます。戴冠式などの重要な儀式が執り行われる場所でもあり、タイ王国の歴史の重みを肌で感じることができるでしょう。
ワット・ポー(涅槃寺)
ワット・プラケオから歩いてすぐの場所に位置するのが、ワット・ポーです。この寺院のシンボルは、なんといっても全長46メートル、高さ15メートルにも及ぶ巨大な黄金の涅槃仏。穏やかな微笑みを浮かべ、横たわるその姿は、見る者に安らぎと畏敬の念を与えます。足の裏に施された108の仏教宇宙観を表す螺鈿(らでん)細工の精緻さにも、ぜひ注目してください。
ワット・ポーは、タイで最初の大学ともいわれ、医学や文学など学問の中心地でもありました。特に有名なのがタイ古式マッサージの総本山であること。境内には今もマッサージスクールがあり、伝統の技を受け継ぐ施術師たちによる本格的なマッサージを受けることができます。歩き疲れた体を癒すのに、これ以上の場所はありません。
境内には、中国様式の石像や、様々な表情をした仏塔(チェディ)が点在し、散策するだけでも楽しめます。本堂の裏手にある108つの鉢にサタン硬貨を入れていくと、煩悩が消えるとも言われています。チャリン、チャリンという硬貨の音が、心地よく響き渡ります。
ワット・アルン(暁の寺)
チャオプラヤー川の西岸、ワット・ポーの対岸にそびえ立つのがワット・アルンです。その名は「暁の寺」を意味し、三島由紀夫の小説の舞台になったことでも知られています。
この寺院の最大の特徴は、高さ約80メートルの大仏塔(プラーン)。ヒンドゥー教の神々や神獣をかたどった色とりどりの陶器の破片でびっしりと装飾されており、その姿はまるで芸術作品のよう。急な階段を上って中腹まで行けば、眼下に広がるチャオプラヤー川とバンコクの街並みを一望できます。
ワット・アルンが最も美しく輝くのは、その名の通り、朝日を浴びる時間帯と、夕日に染まるマジックアワー。夕暮れ時、対岸から眺めるワット・アルンのシルエットは、言葉を失うほどの美しさです。ライトアップされた夜の姿もまた幻想的で、リバーサイドのレストランやバーから、あるいはディナークルーズの船上から、その優美な姿を堪能するのもおすすめです。
これら三大寺院を巡る際は、肌の露出が多い服装(タンクトップ、短パン、サンダルなど)は入場を断られることがあるため、肩や膝が隠れる服装を心掛けましょう。入り口で羽織りものを貸してくれる場所もありますが、自分でストールなどを持参するとスマートです。
エリア別!バンコクの歩き方
広大なバンコクを効率よく、そして深く楽しむためには、エリアごとの特徴を理解することが鍵となります。ショッピングの最先端から、歴史が香る路地裏まで。あなたの目的に合わせて、巡るエリアを選んでみましょう。
サイアム・チットロムエリア:ショッピングとアートの震源地
バンコクの「今」を感じたいなら、迷わずこのエリアへ。BTS(スカイトレイン)のサイアム駅とチットロム駅周辺は、巨大ショッピングモールが林立する、まさに消費と流行の中心地です。
- サイアム・パラゴン: 高級ブランドから、水族館「シーライフ・バンコク・オーシャンワールド」、シネコンまで備えた、まさに”殿堂”と呼ぶにふさわしいモール。一日中いても飽きることはないでしょう。
- セントラルワールド: 伊勢丹も入居する、アジア最大級のショッピングコンプレックス。ファッション、雑貨、グルメとあらゆるジャンルが網羅されており、特に若者に人気です。屋外の広場では頻繁にイベントが開催され、いつも活気に満ちています。
- サイアム・センター&サイアム・ディスカバリー: タイの若手デザイナーズブランドが集まる、お洒落感度の高いモール。他では見つからないユニークなアイテムを探すならここです。
- MBKセンター: 地元の人々や観光客でごった返す、巨大なローカルデパート。スマートフォンやガジェット類、衣料品、お土産などが雑多に並び、値切り交渉も楽しみの一つ。そのカオスな雰囲気が魅力です。
これらのモールは「スカイウォーク」と呼ばれる高架の遊歩道で結ばれており、雨や暑さを気にせず快適に移動できます。
ショッピングに疲れたら、アートに触れてみるのはいかがでしょうか。サイアム・ディスカバリーの向かいにあるバンコク・アート&カルチャー・センター(BACC)は、現代アートの発信拠点。入場無料で、タイの若手アーティストたちの刺激的な作品に触れることができます。螺旋状のスロープを上りながら作品を鑑賞するユニークな構造も面白く、併設されたカフェやアートショップもハイセンスです。
スクンビットエリア:洗練された都会のオアシス
BTSスクンビット線沿いに広がるこのエリアは、日本人を含む多くの外国人が暮らす、国際色豊かな場所です。特に、プロンポン、トンロー、エカマイといった駅周辺は、洗練された雰囲気が漂います。
- プロンポン: 駅直結の高級デパート「エンポリアム」と「エムクオーティエ」がランドマーク。緑豊かなベンチャシリ公園もあり、都会の喧騒を忘れさせてくれます。路地(ソイ)に入れば、隠れ家的なレストランや評判のスパが点在し、大人の時間を過ごすのに最適です。
- トンロー: “バンコクの代官山”とも称される、お洒落なエリアの代表格。ハイセンスなブティック、個性的なカフェ、予約必須の人気レストランが軒を連ねます。夜には、こだわりのカクテルが楽しめるバーや、ライブミュージックが聴けるスポットも賑わいを見せます。
- エカマイ: トンローの隣に位置し、よりローカルで落ち着いた雰囲気が魅力。リノベーションされた倉庫を利用したコミュニティスペースや、気取らないけれど味は確かな食堂など、探検心をくすぐる場所が見つかります。大型バスが発着する東バスターミナルもあり、パタヤなどへの小旅行の拠点にもなります。
スクンビットエリアは、最新のグルメやファッションを追いかけたい人、そして少し落ち着いた環境でバンコクステイを楽しみたい人におすすめです。
旧市街(ラッタナコーシン島)エリア:歴史とバックパッカーの交差点
チャオプラヤー川に囲まれた、バンコク発祥の地。三大寺院や王宮が位置するこのエリアは、まさに歴史の宝庫です。きらびやかな観光地のすぐそばには、人々の生活が息づく昔ながらの街並みが広がっています。
このエリアのもう一つの顔が、カオサン通り。世界中のバックパッカーが集まることで知られるこの通りは、安宿やバー、屋台がひしめき合い、昼夜を問わず独特の熱気に包まれています。かつての”バックパッカーの聖地”の面影は残しつつ、近年はお洒落なカフェやレストランも増え、より多様な旅行者が集う場所へと変化しています。少し歩けば、より落ち着いた雰囲気のランブットリー通りもあり、木陰のテラス席でゆったりと過ごすのも良いでしょう。
リバーサイドの雰囲気を楽しむのも旧市街の醍醐味。ター・マハラートやター・プラチャンといった船着場周辺には、川を眺めながら食事や買い物が楽しめる複合施設や、ローカルな市場が広がっています。
チャイナタウン(ヤワラート)エリア:食欲と活気が爆発する街
一歩足を踏み入れれば、そこはもう別世界。巨大な漢字の看板、軒先で揺れる赤い提灯、そして立ち上る調理の湯気と香り。バンコクのチャイナタウン、通称ヤワラートは、五感を激しく刺激する、エネルギッシュな食のワンダーランドです。
昼間は、金行(ゴールドショップ)や乾物屋が軒を連ねる活気ある問屋街。しかし、この街が真の姿を現すのは、陽が傾き始める夕方から。ヤワラート通りとその周辺の路地には、無数の屋台が次々と出現し、シーフード、フカヒレスープ、バミー(中華麺)、点心など、ありとあらゆる中華系ストリートフードの饗宴が始まります。行列の絶えない人気店も多く、どこで何を食べようか迷う時間すら、最高のエンターテイメントとなるのです。
食だけでなく、文化的な見どころも。ワット・トライミットには、純金で作られた重さ5.5トンもの巨大な仏像が安置されており、その輝きは必見です。細い路地、サンペーン市場を探検すれば、アクセサリーや布地、雑貨などが驚くほどの安さで手に入ります。迷路のような路地を彷徨い、この街の混沌としたパワーに身を委ねてみるのも一興です。
チャオプラヤー川リバーサイドエリア:優雅な時間が流れる水辺の特等席
バンコクの歴史は、このチャオプラヤー川と共にあります。川沿いのエリアは、昔も今も、この街の特別な場所であり続けています。高級ホテルが立ち並び、優雅でロマンチックな雰囲気が漂います。
- アイコンサイアム(ICONSIAM): 近年オープンした、リバーサイドの新たなランドマーク。世界的なブランドショップから、タイ全土の物産や名物料理が集まる「SOOKSIAM」ゾーンまで、その規模と内容は圧巻の一言。屋内の水上マーケットは、天候を気にせずタイの雰囲気を楽しめると人気です。夜には、壮大な噴水ショーも開催されます。
- アジアティーク・ザ・リバーフロント: かつての貿易港の倉庫群を再開発した、巨大なナイトマーケット。観覧車が目印で、買い物、食事、エンターテイメント(ニューハーフショーなど)が一度に楽しめます。サパーンタクシン駅近くの船着場から無料のシャトルボートが出ているので、アクセスも便利です。
- リバークルーズ: バンコクの夜を最もロマンチックに過ごす方法の一つ。ライトアップされた寺院や高層ビル群を眺めながら、ビュッフェやコース料理に舌鼓を打つ時間は、忘れられない思い出になるでしょう。豪華な大型船から、こぢんまりとしたプライベートな船まで、様々なタイプのクルーズが選べます。
川を行き交うボートを眺めながら、ラグジュアリーホテルのバーでカクテルを傾ける。そんな贅沢な時間の過ごし方が、このエリアにはよく似合います。
バンコクの「食」を極める!
「美食の都」バンコク。この街を旅する喜びの大部分は、「食」にあると言っても過言ではありません。道端の屋台で味わう一皿から、星付きレストランの洗練された一品まで。その奥深い食の世界を探求しましょう。
ストリートフード天国を味わい尽くす
バンコクの食文化の心臓部は、間違いなくストリートフードにあります。安くて、早くて、そして驚くほど美味しい。街のあらゆる角から、食欲をそそる香りが漂ってきます。
- パッタイ: タイ風焼きそば。甘酸っぱいタマリンドのソースが米麺によく絡み、エビや豆腐、もやし、ニラなど具材もたっぷり。ライムを絞り、ピーナッツをかけて味の変化を楽しむのが通の食べ方です。
- ガパオ・ライス: 豚肉や鶏肉のひき肉を、聖なるバジル「ガパオ」と共に炒めた、ピリ辛の定番料理。目玉焼き(カイダーオ)を乗せるのがお決まりです。刺激的な辛さとバジルの爽やかな香りが、食欲をかき立てます。
- カオマンガイ: 茹で鶏とそのスープで炊いたご飯を、特製のタレでいただく、シンプルながら奥深い一品。しっとりとした鶏肉と、鶏の旨味が染み込んだご飯のコンビネーションは絶妙です。
- ムーピン: 豚肉の串焼き。甘辛いタレに漬け込まれた豚肉を炭火でじっくりと焼き上げます。もち米(カオニャオ)と一緒に食べるのがローカルスタイル。
- ソムタム: 青パパイヤを使ったスパイシーなサラダ。唐辛子の辛さ、ライムの酸っぱさ、ナンプラーの塩気、パームシュガーの甘さが複雑に絡み合う、タイ料理の真骨頂ともいえる一皿です。
- ロティ: 屋台スイーツの王様。薄く伸ばしたクレープのような生地を焼き、バナナや卵を包んで、練乳やチョコレートソースをたっぷりとかけたもの。甘くて香ばしい香りに、思わず足が止まってしまうはずです。
これらの屋台グルメは、チャイナタウン(ヤワラート)や、オフィス街のランチタイム、ナイトマーケットなどで楽しむことができます。衛生面が気になるかもしれませんが、地元の人で賑わっている店を選べば、まず間違いありません。指差しや写真で簡単に注文できるのも嬉しいポイントです。
洗練されたタイ料理レストラン
ストリートフードが日常の味なら、レストランでいただくタイ料理は、特別な日のご馳走です。伝統的な宮廷料理から、世界中の食通を唸らせるモダン・タイ・キュイジーヌまで、バンコクには素晴らしいレストランが数多く存在します。
- 宮廷料理: かつて王宮で食されていた、繊細で手の込んだ料理。ハーブやスパイスの使い方が巧みで、見た目も華やか。辛さは控えめで、まろやかな味わいのものが多いのが特徴です。ブルーエレファントやバーン・カニタといった有名店で、その優雅な世界を体験できます。
- モダン・タイ・キュイジーヌ: 伝統的なタイ料理のレシピを、現代的な調理法やプレゼンテーションで再構築した、新しいスタイルの料理。ミシュランガイドで星を獲得している「Sra Bua by Kiin Kiin」や「Le Du」などは、予約必須の人気店。料理一つひとつに驚きと発見があり、タイ料理の新たな可能性を感じさせてくれます。
- 雰囲気自慢のレストラン: 古民家をリノベーションしたレストランや、チャオプラヤー川を望む絶景レストランなど、ロケーションや内装にこだわった店も豊富。美味しい料理と共に、非日常的な空間を味わうことができます。
特別な夜には、少しドレスアップして、こうしたレストランを訪れてみてはいかがでしょうか。忘れられないディナー体験が待っています。
話題のカフェ&スイーツ巡り
高温多湿のバンコクでは、カフェでの休憩はまさに砂漠のオアシス。近年、バンコクのカフェシーンは目覚ましい進化を遂げており、個性豊かなカフェが次々とオープンしています。
- インスタ映えカフェ: 花々に囲まれたメルヘンチックなカフェや、インダストリアルデザインのクールなカフェ、韓国風のミニマルなカフェなど、思わず写真を撮りたくなるような空間が人気を集めています。トンローやエカマイ、旧市街の路地裏に、そうした隠れ家的なお店がたくさんあります。
- 本格派コーヒー: サードウェーブコーヒーの波はバンコクにも及んでおり、豆の産地や焙煎、淹れ方にこだわったスペシャルティコーヒーを提供するカフェが増えています。Roots Coffee RoasterやFactory Coffeeなど、国内外で評価の高い店で、至高の一杯を味わうことができます。
そして、忘れてはならないのがタイのスイーツ。
- マンゴースイーツ: タイを代表するフルーツといえばマンゴー。「カオニャオ・マムアン(マンゴーともち米のデザート)」は必食の一品。甘いマンゴーと、ココナッツミルクで炊いたもち米の塩気が絶妙なハーモニーを奏でます。マンゴー専門カフェ「Mango Tango」も有名です。
- 伝統菓子(カノム・タイ): ココナッツや米粉、パームシュガーなどを使った、色鮮やかで素朴な味わいの伝統菓子。市場や屋台で気軽に買うことができます。見た目も可愛らしく、お土産にも喜ばれるでしょう。
- タイティー: オレンジ色が鮮やかな、甘くて濃厚なミルクティー。コンデンスミルクの甘さが、歩き疲れた体に染み渡ります。かき氷にかけていただく「タイティー・カキゴリ」も人気です。
ショッピング天国バンコク!お土産探しも完璧ガイド
バンコクは、アジアでも有数のショッピング天国。最新のファッションが集まる巨大モールから、掘り出し物が見つかるマーケットまで、買い物好きにはたまらない場所です。
巨大ショッピングモールで最先端をチェック
BTSの駅に直結した巨大ショッピングモールは、バンコクショッピングの主戦場。涼しく快適な空間で、効率的に買い物を楽しむことができます。
- サイアム・パラゴン、セントラルワールド、アイコンサイアム: 前述の通り、これらのモールは高級ブランドからローカルブランド、グルメ、エンタメまで全てが揃う場所。特に地下のスーパーマーケットやフードコートは、お土産探しにも最適です。
- ターミナル21: 各フロアが東京、ロンドン、イスタンブールなど、世界各国の都市をテーマにしたユニークなモール。個性的で手頃な価格のショップが多く、若者に人気です。最上階のフードコート「ピア21」は、驚くほどの安さと美味しさで有名です。
ナイトマーケット&ウィークエンドマーケットの熱気
バンコクの夜と週末の楽しみといえば、マーケット巡り。その熱気と雑多な雰囲気に、旅情がかき立てられます。
- チャトゥチャック・ウィークエンドマーケット: 週末にのみ開かれる、世界最大級のマーケット。衣料品、雑貨、アンティーク、アート、ペットまで、ありとあらゆるものが売られています。15,000以上もの店がひしめき合う様は圧巻。一日ではとても回りきれないので、事前に目当てのエリアをチェックしておくのがおすすめです。暑さ対策と水分補給は忘れずに。
- アジアティーク・ザ・リバーフロント: 倉庫街を改装した、清潔で観光客にも歩きやすいナイトマーケット。観覧車からの夜景も楽しめ、デートにもぴったりです。
- タラート・ロットファイ・シーナカリン(シーナカリン鉄道市場): 都心から少し離れますが、訪れる価値のある巨大ナイトマーケット。特にアンティークやヴィンテージのコレクションは圧巻で、レトロな車や家具が並ぶ様はまるで博物館のよう。ローカルな若者で賑わい、活気ある雰囲気が楽しめます。
バラマキ土産から自分へのご褒美まで
何を買って帰るか、考えるのも旅の楽しみ。バンコクには、魅力的なお土産がたくさんあります。
- スーパーで探すバラマキ土産: Big CやTopsといった大型スーパーは、お土産の宝庫。トムヤムクン味のプリッツや、様々なフレーバーのインスタントラーメン、ドライフルーツ、タイティーのティーバッグなどは、安くてかさばらず、誰にでも喜ばれます。
- タイコスメ: 手頃な価格で質の良いコスメが揃うのもタイの魅力。「Srichand」のトランスルーセントパウダーや、「Mistine」のアイライナーは定番の人気商品。パッケージも可愛く、女性へのお土産に最適です。
- スパプロダクツ: タイといえば、やはりスパ。「HARNN」や「THANN」、「Panpuri」といった高級スパブランドのアロマオイルやボディクリームは、自分へのご褒美にぴったり。ナチュラルな香りに癒されます。
- タイシルク: 「ジム・トンプソン」に代表されるタイシルクは、光沢が美しく、品質も高いことで有名。スカーフやネクタイ、クッションカバーなど、上品なお土産として喜ばれます。
- セラドン焼き・ベンジャロン焼き: タイの伝統的な陶磁器。セラドン焼きは翡翠のような淡い緑色、ベンジャロン焼きは色鮮やかな絵付けが特徴です。食器や小物入れなど、長く使える記念品になります。
癒しと刺激のバンコク体験
観光、グルメ、ショッピングだけがバンコクの魅力ではありません。この街ならではの体験が、あなたの旅をさらに特別なものにしてくれます。
極上のタイ古式マッサージ&スパ
「世界で一番気持ちいいマッサージ」とも称されるタイ古式マッサージ。ヨガや指圧、整体などを組み合わせた独自の手法で、全身のエネルギーライン(セン)を刺激し、心身のバランスを整えます。
- 街角の格安マッサージ: 街を歩けば、至る所にマッサージ店があります。1時間200〜300バーツ程度で、気軽にフットマッサージやタイ古式マッサージを受けられます。技術の差はありますが、宝探し感覚で良い店を見つけるのも楽しいものです。
- 一軒家スパ・高級ホテルのスパ: プライベートな空間で、ゆったりと施術を受けたいなら、一軒家を改装したスパや、高級ホテルのスパがおすすめ。ハーブボールを使ったトリートメントやアロママッサージなど、メニューも豊富。静かで洗練された空間で、心ゆくまで癒しの時間を堪能できます。Let’s Relax SpaやDivana Spaなどが有名です。
熱狂と興奮!ムエタイ観戦
タイの国技、ムエタイ。肘や膝も使う激しい格闘技は、観る者に強烈なインパクトを与えます。選手たちの鍛え上げられた肉体、ワイクルー(試合前の儀式の舞)、そして会場を包む賭け師たちの熱狂。そのすべてが一体となって、独特の興奮空間を生み出します。
バンコクには、ルンピニー・スタジアムとラチャダムヌン・スタジアムという二大殿堂があります。試合の迫力はもちろん、観客の熱気もムエタイ観戦の醍醐味。リングサイドの席で、選手の息遣いや打撃音を間近で感じるのは、忘れられない体験となるでしょう。
夜景に酔いしれるルーフトップバー
熱帯の夜風を感じながら、きらめく摩天楼の夜景を眼下にカクテルを傾ける。そんな映画のワンシーンのような体験ができるのが、バンコクのルーフトップバーです。
- マハナコン・スカイウォーク: タイで最も高いビル「キングパワー・マハナコン」の屋上にある展望台。床がガラス張りになった「グラス・トレイ」はスリル満点。併設されたバーで、360度のパノラマ夜景と共に特別な一杯を楽しめます。
- シロッコ(Sirocco): 映画『ハングオーバー2』の舞台にもなった、世界的に有名なルーフトップバー。黄金のドームが特徴で、その豪華さと息をのむような眺望は、訪れる価値があります。
- ヴァーティゴ&ムーン・バー(Vertigo and Moon Bar): バンヤンツリーホテルの屋上にある、船の先端のような形をしたバー。遮るものが何もない開放感は格別で、まるで空に浮かんでいるかのような気分を味わえます。
多くのルーフトップバーにはドレスコードがあります。サンダルや短パンは避け、少しお洒落をして出かけましょう。
ちょっと足を延ばして。バンコク近郊日帰り旅行
バンコクの喧騒から離れて、少し違う景色を見たくなったら、日帰りで行ける魅力的な場所がたくさんあります。
古都アユタヤ遺跡巡り
バンコクから北へ約80km。かつて400年以上にわたってアユタヤ王朝の都として栄えたこの場所は、街全体が世界遺産に登録されています。ビルマ(現ミャンマー)軍の攻撃によって破壊された寺院や仏像が、無常の美をたたえて点在しています。
木の根に覆われた仏頭で有名なワット・マハタート、アユタヤで最も大きな仏塔を持つワット・ヤイ・チャイ・モンコン、3人の王の遺骨が納められていたワット・プラ・シー・サンペットなど、見どころは尽きません。レンタサイクルやトゥクトゥクをチャーターして、広大な遺跡公園を巡るのがおすすめです。夕暮れ時のライトアップされた遺跡も幻想的です。
水上マーケットの活気に触れる
運河と共に暮らす人々の生活を垣間見ることができるのが、水上マーケット。小舟に乗って、水上で商品を売買する光景は、タイならではの風物詩です。
- ダムヌンサドゥアック水上マーケット: 最も有名で観光地化されていますが、それだけに活気は随一。果物や土産物を売る小舟で運河が埋め尽くされる光景は圧巻です。
- アンパワー水上マーケット: 週末の午後から夜にかけて開かれるマーケット。よりローカルで落ち着いた雰囲気が魅力です。運河沿いのカフェでくつろいだり、夜にはボートに乗ってホタル観賞ツアーに参加したりするのも人気です。
線路市場の奇跡!メークロン市場
市場の真ん中を、なんと現役の国鉄が通過する。そんな信じられない光景が見られるのが、メークロン市場です。電車が近づくと、警笛を合図に、線路脇の店主たちが一斉に日よけをたたみ、商品を片付け始めます。電車がすぐ脇を通り過ぎると、何事もなかったかのように再び店を広げる。その一連の動作の素早さと連携の見事さは、まさに神業。地元の人々の日常に溶け込んだ、驚きと感動の光景です。
バンコク旅行を快適にするためのTIPS
最後に、あなたのバンコク旅行をよりスムーズで快適なものにするための、実用的な情報をお伝えします。
気候とベストシーズン
バンコクは一年中暑いですが、シーズンによって特徴があります。
- 乾季(11月〜2月): 降雨が少なく、湿度も比較的低いため、最も過ごしやすいベストシーズン。観光には最適です。
- 暑季(3月〜5月): 一年で最も暑い時期。日中の外出は大変ですが、マンゴーなどのフルーツが旬を迎えます。
- 雨季(6月〜10月): 1〜2時間程度の激しいスコールが降ることが多いです。一日中降り続くことは稀なので、雨宿りの時間をうまく使えば観光は可能。緑が美しく、旅費が安くなるメリットも。
どの季節でも、日差し対策(帽子、サングラス、日焼け止め)と、冷房対策(羽織るもの)は必須です。
市内の交通手段をマスターしよう
バンコク市内の移動は、様々な交通手段を使い分けるのがコツです。
- BTS(スカイトレイン)/ MRT(地下鉄): 市内の主要な観光地やショッピングモールを結ぶ、最も時間通りで快適な移動手段。渋滞知らずなので、計画的に移動したい場合に重宝します。一日乗車券や、ICカード「ラビット・カード」などを活用すると便利です。
- タクシー / Grab: 初乗り運賃が安く、複数人での移動には便利。ただし、朝夕のラッシュ時の渋滞は深刻です。乗車拒否やメーターを使わないといったトラブルを避けるためにも、配車アプリ「Grab」の利用が断然おすすめです。
- トゥクトゥク: タイ名物の三輪タクシー。小回りが利き、風を感じながら走るのは楽しい体験ですが、料金は交渉制で割高になりがち。近距離の移動や、アトラクション感覚で乗るのが良いでしょう。
- チャオプラヤー・エクスプレスボート: チャオプラヤー川沿いの移動に便利な水上バス。渋滞がなく、料金も非常に安い庶民の足です。川からの景色を楽しみながら移動できます。
通貨・両替・チップ
タイの通貨はバーツ(THB)。両替は、日本の空港よりバンコクの空港や市内の両替所の方がレートが良いのが一般的です。特に、サイアムやアソークなどにある「スーパーリッチ(Super Rich)」という両替所は、レートが良いことで有名です。
チップの習慣は義務ではありませんが、良いサービスを受けた際には渡すのがスマート。ホテルのポーターやベッドメイキングには20〜50バーツ程度、マッサージでは施術料金の10〜20%程度、レストランではお釣りの小銭を置いてくるか、料金の10%程度が目安です。
知っておきたい安全対策とマナー
バンコクは比較的安全な都市ですが、旅行者として最低限の注意は必要です。
- 寺院でのマナー: 三大寺院の項でも触れましたが、肌の露出の多い服装はNGです。敷居を踏まない、仏像に背を向けない、女性は僧侶に触れない、といった基本的なマナーを守りましょう。
- 王室への敬意: タイ国民は王室を深く敬愛しています。街中の肖像画を指さしたり、紙幣を踏んだりする行為は絶対にやめましょう。
- 詐欺に注意: 「王宮は今日休みだ」などと声をかけてきて、別の場所に連れて行こうとする親切そうな人には要注意。これは、高価な宝石店などに連れて行くための古典的な詐欺の手口です。毅然とした態度で断りましょう。
- スリ・置き引き: 人混みでは手荷物に注意し、貴重品は体の前で持つようにしましょう。レストランなどで席を離れる際は、荷物を置いたままにしないこと。
これらの点に少し気をつけるだけで、トラブルを避け、安心して旅を楽しむことができます。さあ、準備は整いました。喧騒と静寂、伝統と未来が混ざり合う魅惑の都、バンコクがあなたを待っています。この街でしか味わえない、一生の思い出となる旅が、今、始まります。









