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松江市民のソウルフード「カツライス」を巡る旅。デミグラスの海に浮かぶ、懐かしくて新しい島根の味。

旅の魅力は、その土地の空気を吸い、歴史に触れ、美しい景色に心を奪われること。そして、もうひとつ忘れてはならないのが、地元の人々に愛され続ける「食」との出会いです。世界30カ国を旅してきた私も、いつも心惹かれるのは、観光客向けの華やかな料理よりも、むしろ日常に溶け込んだ飾らない一皿でした。

島根県の県庁所在地、松江市。国宝・松江城が雄大にそびえ、宍道湖の夕景が旅人の心を染めるこの美しい城下町に、市民の胃袋と心を掴んで離さないソウルフードがあるのをご存知でしょうか。

その名も「カツライス」。

初めてその名前を聞いた方は、トンカツ定食のようなものを想像するかもしれません。あるいは、カツカレーのカレーが別のソースに変わったもの?そんな風に思うかもしれませんね。そのどちらも正解のようでいて、実は少し違う。カツライスは、ただのカツライス。他の何物でもない、松江だけの特別な一皿なのです。

熱々の白いご飯の上に、揚げたてのカツがどっしりと鎮座し、その上から艶やかなデミグラスソースが惜しげもなくかけられている。スプーンですくって口に運べば、サクサクの衣、ジューシーな豚肉の旨み、そしてお店ごとに全く違う表情を見せる奥深いソースの味わいが一体となって、口の中いっぱいに広がります。

それは、どこか懐かしく、それでいて初めて食べるのにすっと心に入り込んでくるような不思議な魅力を持った料理。今回は、そんな松江が誇るソウルフード「カツライス」の世界へ、皆さまをご案内したいと思います。この記事を読み終える頃には、きっとあなたもカツライスの虜になり、次の旅の目的地を松江に定めているはずです。

さあ、まずはカツライスの名店たちが点在する松江の街の地図を広げて、私たちの美味なる旅を始めましょう。

カツライス巡りの合間には、国宝・松江城の城下町を散策し、歴史と文化に触れるのもおすすめです。

目次

カツライスとは何か?知られざる松江のソウルフードを徹底解剖

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松江の街を歩いてみると、洋食店や喫茶店のメニューで必ずと言っていいほど見かける「カツライス」。しかし、少し街を離れると、その知名度は決して高いとは言えません。だからこそ、この料理には知る人ぞ知る特別な存在感と、謎めいた魅力が漂っています。まずは、この地元に愛されるソウルフードの正体を、歴史や定義とともにじっくりと紐解いてみましょう。

カツライスの定義と歩み

カツライスを簡単に説明すると、「ご飯の上にカツをのせ、デミグラスソースをかけた一皿の料理」です。言いかえれば、カツカレーのカレーがデミグラスソースに、カツ丼の卵とじが出汁の代わりにデミグラスソースになったようなイメージかもしれませんが、その味わいはまったく異なります。

発祥には諸説ありますが、多くの市民が元祖として挙げるのが、大正時代から続く老舗洋食店「西洋軒」。文明開化とともに日本に入ってきた西洋料理が徐々に日本の食文化と融合していく過程で、このカツライスが生まれました。忙しい人でもスプーンひとつで手軽に食べられるようにとの思いから、ワンプレートにまとめるスタイルが定着したと言われています。

戦後の復興期、洋食が庶民にとっての特別なごちそうだった時代に、カツライスはそのハイカラな響きと共に多くの人々の憧れとなりました。そして時代が進み、食生活が豊かになった現代においても、松江の人々にとってカツライスは、家族団らんの食卓の思い出や学生時代の空腹を満たした懐かしい味として、特別な存在のまま受け継がれています。

興味深いのは、このカツライスが松江という地域に深く根付いていること。隣接する鳥取県や広島県では、ほとんどメニューに「カツライス」が見られません。似た料理として、長崎の「トルコライス」や北海道根室の「エスカロップ」がありますが、ピラフやバターライスを使うそれらとは異なり、白ご飯をベースにした松江のカツライスは独自の存在感を放っています。まさに松江の食文化が独自に育んだ、ガラパゴス的なグルメと言えるでしょう。

デミグラスソースが味の決め手

カツライスの真髄は、間違いなくデミグラスソースにあります。このソースの完成度こそが、その店の一皿の全てを左右すると言っても過言ではありません。そして、デミグラスソースが店ごとに多種多様で、非常に個性的な点がカツライスの最大の魅力です。

ある店では、丁寧に煮込まれた野菜の甘みと牛肉の深いコクが重なり、赤ワインの香りがほのかに漂う濃厚でビターな大人の味わい。また別の店では、トマトの酸味がさっぱりと効いた、軽やかで毎日でも食べられそうな味わいを特徴としています。さらに、ケチャップの甘みが強く感じられる昔ながらの懐かしい洋食屋の味や、スパイスを効かせて独創的に仕上げたソースも存在します。

多くの老舗店では、創業以来受け継がれてきた「秘伝のソース」が使われており、長年の歳月をかけて数えきれない旨みが溶け合い、複雑で奥深い味わいを生み出しています。店主たちは自店のソースに絶対の誇りを持ち、そのレシピは一子相伝で秘密にされています。カツライスをめぐる旅とは、言い換えれば、この個性豊かなデミグラスソースを追い求める旅とも言えるでしょう。

カツも主役、そして主役以上

ソースが魂であるならば、カツはその体を形作る主役です。デミグラスソースとの相性を緻密に計算されたカツがあって初めて、最高の一皿が完成します。

使用される豚肉の部位は店により異なります。脂身の甘みとジューシーさが魅力のロース肉を選ぶ店があれば、肉の旨みをしっかり堪能できる柔らかくヘルシーなヒレ肉にこだわる店もいます。厚みも、食べ応えのある分厚いものから、ソースとご飯との調和を重視したやや薄めのものまで、それぞれの店の哲学が反映されています。

揚げ方にもこだわりが明確に表れます。粗めのパン粉でザクザクとした食感を際立たせるのか、細かいパン粉で軽やかにサクサクと仕上げるのか。高温短時間で揚げて肉の旨みを閉じ込めるのか、低温でじっくり火を通し柔らかさを引き出すのか。デミグラスソースという海の上に浮かぶカツという名の島は、ソースの波に負けない力強さと包み込む優しさの両方を備えなくてはなりません。

ご飯とカツ、そしてデミグラスソース。この三者が織りなす絶妙なハーモニーこそが、松江市民を魅了してやまないカツライスの真髄なのです。

松江カツライス巡礼!絶対に外せない名店ガイド

カツライスの奥深い魅力に触れたところで、いよいよ実践の段階です。ここからは、松江を訪れた際にぜひ足を運んでほしいカツライスの名店を、それぞれの特色とともに詳しくご紹介します。発祥の味から、地元の人々に愛されるたっぷりボリュームの一皿、さらには洗練された大人の味わいまで。あなたの好みにぴったりのカツライスが、きっと見つかることでしょう。

元祖の味を受け継ぐ伝説の店「西洋軒」

松江でカツライスの話をする際に、この店の名を外すことはできません。大正12年(1923年)創業、カツライス発祥の地として名高い「西洋軒」。その暖簾をくぐることは、カツライス巡礼の出発点であり、松江の食文化を深く感じる貴重な体験となるでしょう。

店舗は松江市の中心、京店商店街のすぐ近くに位置しています。レトロな趣が漂う外観は、初めての方には少し敷居が高く思えるかもしれませんが、心配はいりません。扉を開けると、時の流れが止まったかのような温かみのある落ち着いた空間が広がっています。使い込まれたテーブルや椅子が、この店が積み重ねてきた歴史を静かに物語っているのです。

注文から実食までの流れ 席に着いたら、迷わず「カツライス」をオーダーしましょう。メニューには多彩な洋食が並んでいますが、まずはこのお店の原点と言える一皿を味わうのがおすすめです。注文後、厨房からカツを揚げる心地よい音が聞こえてきます。この待ち時間もまた、ご馳走の一部です。

運ばれてくるカツライスは実にシンプルで美しい。銀色の洋皿に盛られたご飯の上には、きつね色に揚がったカツがのり、その上からは艶やかで深いこげ茶色のデミグラスソースがたっぷりとかけられています。派手さこそないものの、堂々たる風格を感じさせます。

スプーンを入れると、ソースは見た目よりもさらっとしています。一口含むとまず感じるのは、深いコクとほどよいほろ苦さ。野菜と牛スジを長時間煮込んで仕上げられるこのソースは、甘さ控えめでビターな大人の味わいです。カツは比較的薄めにスライスされ、サクッとした衣と柔らかい豚肉がこのキレのあるソースと絶妙に絡みます。ご飯、カツ、ソースが三位一体となり、完成されたバランスを生み出します。

訪問時のポイント 「西洋軒」は非常に人気が高く、特に昼時は長い行列ができることも珍しくありません。時間に余裕を持って訪れるか、ピークを避けて少し早めまたは遅めに訪問するのが賢明です。店内は広くないため、大人数よりも一人か二人で静かに味わうのに向いています。支払いは現金のみですので、あらかじめ準備しておくと安心です。この歴史的な一皿を味わえば、きっと松江の食文化の奥深さに感銘を受けるでしょう。

ボリューム満点!学生街のヒーロー「キッチンおかだ」

元祖の味を堪能したあとは、少し趣を変えて地元の若者たちに絶大な支持を得ているお店へ足を運んでみましょう。島根大学のすぐそばに店を構える「キッチンおかだ」は、リーズナブルで美味しく、何よりボリューム満点なことで知られる、学生街における伝説的洋食店です。

店内に一歩入ると、活気あふれる空間が広がります。壁いっぱいに貼られた多彩なメニューが目に飛び込み、学生たちの元気な声と厨房で鍋を振るう音が響きわたります。格式張らず、誰でもリラックスできるアットホームな雰囲気が魅力です。

こちらのカツライスは一言で言うと「豪快」。大きな皿に山のように盛られたご飯の上には、皿からはみ出しそうな特大サイズのカツがのり、そのカツが隠れてしまうほどたっぷりかけられたデミグラスソースがかかっています。初めて見る人は、その圧倒的なビジュアルに驚くことでしょう。

「キッチンおかだ」のデミグラスソースは、西洋軒のビターな大人の味とは対照的に、ケチャップの甘みと酸味が効いた親しみやすい味わいが特徴です。どこか懐かしさを感じさせるこのソースは、サクサクでジューシーな分厚いカツとたっぷりご飯にぴったり。夢中でスプーンを動かしているうちに、最初は多いと思っていた量もいつの間にか完食してしまう魅力があります。

訪問前の準備とポイント 「キッチンおかだ」を訪れる際は、まずお腹をしっかり空かせていくことが不可欠です。ボリュームがかなり多いため、少食の方はご飯の量を減らしてもらうなど調整を依頼すると良いでしょう。ランチ時は学生で満席になることが多く、早めに行くか13時半以降の時間帯を狙うのがおすすめです。駐車場は店前に数台分ありますが、すぐに埋まることが多いため、公共交通機関を利用するか近隣のコインパーキングを利用する準備をしておきましょう。最新の営業時間や定休日については事前に公式情報を確認してから訪れることを推奨します。若者の活力が詰まった一皿は、旅の疲れを吹き飛ばす元気の源になるはずです。

洗練された大人の味「レストラン&カフェ 麪(めん)」

歴史ある元祖の味と学生街の賑わいある味を楽しんだところで、次は少し落ち着いた雰囲気でじっくりカツライスを味わえるお店をご紹介します。松江城のお堀近く、武家屋敷が点在する趣深いエリア・塩見縄手に佇む「レストラン&カフェ 麪(めん)」です。

かつての蔵を改装したという趣ある店舗は、高い天井と太く立派な梁が印象的。ジャズが静かに流れ、窓からは松江城のお堀を見渡せます。観光の中心でありながら、街の喧騒を忘れさせる落ち着いた空間が魅力的です。

「麪」のカツライスは、これまで紹介した2店とは趣の異なる、洗練された上品な一皿です。丹念に仕上げられた光沢のある滑らかなデミグラスソースは、赤ワインを贅沢に使い、香味野菜とともにじっくり煮込まれています。深いコクと芳醇な香りがありながら、後味は驚くほどさっぱりとしています。

主役のカツには島根県産の豚肉が使われることも多く、きめ細かく柔らかい肉質が特徴です。衣は薄く軽やかでサクッとした食感。ソースと絶妙に調和し、繊細な味わいを引き立てます。付け合わせの野菜も丁寧に調理されており、シェフの料理に対する真摯な姿勢が感じられます。

訪問時のマナーと楽しみ方 こちらの店には特別なドレスコードはありませんが、雰囲気に合わせて少しお洒落をして訪れるのがおすすめです。ジーンズやTシャツよりも、襟付きのシャツやワンピースなどが似合うでしょう。カツライスはランチの定番メニューですが、ディナーではコース料理の一品としても楽しめます。ワインの種類も豊富で、ソムリエに相談しながらこの上品なカツライスに合う一杯を選ぶのも素敵な体験です。大切な人との記念日や旅の特別な思い出作りに、ぜひ訪れてみてください。予約をしてから行くと、スムーズに席へ案内してもらえます。公式サイトなどで連絡先を事前に確認しておくと安心です。

地元民の憩いの場「喫茶MG」

最後にご紹介するのは、観光客の喧騒を離れた場所にあり、地元の人々に長年愛され続けている喫茶店「喫茶MG」です。昭和の時代を彷彿とさせる「純喫茶」の趣を色濃く残す店内は、懐かしくも温かな空気に包まれています。

店内には年季の入ったテーブルやふかふかのソファ席があり、壁には絵画が飾られています。カウンターの奥ではマスターが静かにコーヒーを淹れ、新聞を広げる常連や談笑する地元のマダムたちの姿が日常の風景として溶け込んでいます。そんな空間でいただくカツライスは、また一味違った特別な味わいです。

「喫茶MG」のカツライスは、喫茶店ならではのどこかほっとする優しい味わいが魅力です。デミグラスソースは突出した個性はないものの、甘み・酸味・コクのバランスがよく、誰にでも合うマイルドな味に仕上がっています。カツも奇をてらわず丁寧に揚げられたオーソドックスなスタイル。この安心感が、地元の人たちから長く愛されている理由でしょう。

食後にはサイフォンで一杯ずつ淹れられる香り高いコーヒーを楽しむのがこの店の定番。カツライスの満足感を胸に、コーヒーの湯気をぼんやり眺めながら過ごす時間は、旅の合間の最高のひとときとなります。

ローカルな体験として:テイクアウトも相談可能? 地元密着型のこうしたお店では、場合によってテイクアウトに対応してくれることもあります。晴れた日には、カツライスを持ち帰って近くの公園や宍道湖のほとりでピクニック気分を味わうのも、ひと味違った楽しみ方かもしれません。事前にお店の方に気軽に確認してみてください。支払いは現金のみのところが多いので、小銭を用意しておくとスムーズです。観光地の表面だけでは見えない、松江の暮らしを垣間見られる「喫茶MG」。ぜひ旅の候補リストに加えてみてください。

あなたもカツライスマスターに!お店訪問の心得と楽しみ方

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これまでに魅力的なカツライスのお店をいくつかご紹介しましたが、実際に松江を訪れてカツライス巡りを始める際には、どのような準備をすればよいのか、どう楽しめばいいのか、不安に感じる方もいるかもしれません。ご安心ください。ここでは、あなたのカツライス体験を最高のものにするための具体的な準備方法や心得、そして万が一のトラブル対策まで詳しくお伝えします。この記事を読めば、きっとあなたも立派なカツライスマスターになれるでしょう!

旅の計画を立てよう:お店の選び方と訪問準備

素晴らしい旅は、しっかりした計画から始まります。何も決めずにふらっと出かけるのも旅の楽しみですが、特に「食」に関しては、少しの準備が満足度を大きく左右します。

  • お店の選び方

今回ご紹介したお店は、どれも個性豊かです。

  • 歴史と伝統を味わいたいなら:「西洋軒」で元祖のビターな味わいを堪能。
  • 満腹になって元気をつけたいなら:「キッチンおかだ」の豪快な一皿を。
  • 特別なひとときと上品な味を求めるなら:「レストラン&カフェ 麪」で洗練された味を。
  • 地元の雰囲気に馴染みたいなら:「喫茶MG」の懐かしい味を。

まずはあなたの気分や旅のスタイルに合わせて、お店を選んでみてください。もちろん、一日に複数のお店を回る「はしご」も、食いしん坊の旅の楽しみ方のひとつです。

  • 訪問前にチェックすべきポイント

訪問先のお店が決まったら、以下の点を必ず確認しましょう。特に個人経営のお店が多いので、事前のチェックが欠かせません。

  • 営業日・営業時間:定休日や営業時間が変更になる場合があります。お店の公式サイトがあればそちらを、ない場合は直接電話で確認するのが確実です。グルメサイトの情報は古いこともあるので注意が必要です。
  • 臨時休業の有無:店主の体調不良や家庭の事情で、予告なく休業することもあります。遠方からの訪問なら、当日に再度電話で確認しておくと安心です。
  • 支払い方法:老舗や個人店ではカードや電子マネーが利用できず、現金のみというケースもあります。入店前に確認するか、十分な現金を持参しましょう。
  • 駐車場の有無:車で行く場合は駐車場の有無や場所を確認。満車のときに備えて、近隣のコインパーキングも調べておくと慌てずに済みます。
  • 混雑状況:人気の店はランチ時に行列ができることがあります。開店直後やランチピークを過ぎた14時以降に訪れるなど、時間をずらした計画を立てるとスムーズに入店できる可能性が高まります。

いざ入店!注文から実食までのポイント

準備が整ったら、いよいよお店に入ってカツライスを堪能しましょう。美味しく味わうためのちょっとしたコツやマナーをご紹介します。

  • 注文のポイント

初めてのお店では、まず看板メニューの「カツライス」をお願いするのが定番です。お店によってはご飯の量を「大盛り」「小盛り」に調整できたり、カツを「ヒレ」か「ロース」か選べたりすることもあります。メニューをよく確認し、自分の空腹具合や好みに合わせて頼みましょう。サラダやスープが付くセットメニューがあれば、栄養のバランスが取れるのでおすすめです。

  • テーブルマナーとお店のルール

特別な作法は必要ありませんが、周囲の方やお店への配慮は忘れずに。

  • 写真撮影について:料理の写真を撮るのは旅の楽しみの一つですが、シャッター音やフラッシュが周囲の迷惑にならないよう注意してください。また、他の客や店員が写り込まないよう角度にも気を配ると良いでしょう。撮影に夢中で料理が冷めてしまわないように気をつけてくださいね。
  • 長居は控えよう:混雑時や店外に行列ができている場合、食事終了後は速やかに席を空けるのがマナーです。待っている人への思いやりを忘れずにご協力をお願いします。
  • 持ち込み禁止:飲食店では基本的に飲み物や食べ物の持ち込みは禁止されています。お店で提供される料理や飲み物を楽しみましょう。
  • カツライスの楽しみ方:通な食べ方の提案

食べ方に決まりはありませんが、より味わいを深めるための一例をご紹介します。

  • まずはソースをじっくり味わう:スプーンの先でデミグラスソースだけを少量すくい、味わってみてください。お店こだわりの味わいがダイレクトに伝わるはずです。
  • 黄金のバランスを見つける:次に、ご飯・カツ・ソースをスプーン上で自分なりの「黄金比率」に合わせてひと口。サクサク感を残したいならソースは控えめに、しっとりが好きならたっぷりかけて。自分だけの食べ方を発見するのも楽しいですよ。
  • 付け合わせも大切に:多くのカツライスには千切りキャベツが添えられています。これは単なる飾りではなく、濃厚なデミグラスの合間に食べると口の中がさっぱりし、次の一口をより美味しく感じさせてくれます。福神漬けや紅生姜などがあれば、それらを使って味の変化を楽しみつつ、最後までおいしくいただきましょう。

万が一に備える:トラブル対処法

旅先では思いがけないトラブルも起こり得ますが、事前に対処法を知っていれば慌てずに済みます。

  • お店が休みだったら?

楽しみにしていた店が突然の臨時休業ということもありますが、落ち込まずに別のプランに切り替えましょう。この記事でご紹介した他のお店を試すのも良いですし、松江駅の観光案内所や松江観光協会の公式サイト「松江観光情報」で近隣の飲食店を探してみるのもおすすめです。思いがけない新しい発見が、旅の良い思い出になるかもしれません。

  • アレルギーがある場合

食物アレルギーをお持ちの方は、安全に楽しむために事前確認が大切です。デミグラスソースには小麦や乳製品、牛肉や大豆など、様々なアレルゲンが含まれている可能性があります。訪問前に電話で問い合わせるか、注文時に必ずスタッフにアレルギーの旨を伝え、使用されている食材を確認しましょう。

  • 味がイメージと違った場合

口コミサイトで高評価でも、自分の好みと合わないことはあり得ます。それもまた旅の面白さ。なぜそう感じたのか考えることで、自分の味覚の好みを新たに知るきっかけになるかもしれません。「今回はこんな味に出会えた」と前向きにとらえ、次のお店の味を楽しみにしましょう。これこそが食べ歩き旅の醍醐味と言えます。

カツライスだけじゃない!松江の食と文化を味わい尽くす

カツライスで満たされたお腹を抱えつつ、松江の街を散策すれば、この地の魅力をより一層感じられることでしょう。カツライスを旅の中心に据えながら、その合間に訪れたいスポットやほかの絶品グルメもご紹介します。

カツライス後のおすすめ散策スポット

美味しい食事の後は、腹ごなしに軽く歩きたくなりますよね。松江には、歴史と自然が調和する美しい散策路が多数あります。

  • 松江城周辺

カツライスの名店「西洋軒」や「麪」からほど近い松江城は、絶対に見逃せない名所です。現存する12の天守閣の一つで、その黒く勇ましい姿は圧巻。天守閣からの眺望は素晴らしく、松江市街や宍道湖を一望できます。城を囲むお堀を小舟で巡る「堀川めぐり」もぜひ体験してください。船頭さんの軽快な話を楽しみながら、水上からゆったりと城下町の風情に浸れます。また、ぐるっと松江堀川めぐり公式サイトでは、運航状況や料金の確認ができます。

  • 宍道湖畔

日本の夕日百選に選ばれた宍道湖の夕景は、松江訪問の際には見逃せない絶景です。湖に浮かぶ嫁ヶ島のシルエットと茜色に染まる空と水面のコントラストは、一幅の絵画のよう。日没の時間を狙って湖畔を訪れ、刻々と変わる空の色を眺めながら旅の思い出に浸る時間は、何ものにも代えがたい至福のひとときです。湖畔には「島根県立美術館」もあり、ロビーからゆったりと夕日を楽しむこともできます。

  • カラコロ工房

かつての日本銀行松江支店の建物をリノベーションした「カラコロ工房」は、レトロで可愛らしい複合施設です。館内には、和菓子作りやアクセサリー作りが体験できる工房や、島根県産の特産品を扱うおしゃれなショップが揃います。ピンク色の幸運のポストなどフォトジェニックなスポットも多く、カツライスのあとにデザートを探しに立ち寄るのも楽しいでしょう。

松江の他の名物グルメ

カツライスも魅力的ですが、松江にはほかにも食の楽しみが豊富にあります。せっかくならさまざまな味を堪能してみましょう。

  • 宍道湖七珍(しんじこしっちん)

宍道湖で獲れる代表的な7種類の魚介類(スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミ)の総称です。なかでも全国屈指の漁獲量を誇るヤマトシジミを使った「しじみ汁」は、二日酔いにも効果があるとされ、奥深い味わいが体に染み入ります。旅館の朝食時などにぜひ味わってみてください。

  • 出雲そば

松江を含む出雲地方の名物である「出雲そば」は、そばの実を殻ごと挽いているため色が濃く香り高いのが特徴です。冷たい「割子(わりご)そば」や温かい「釜揚げそば」など、独特の食べ方で楽しまれています。カツライスとはまた違ったさっぱりとした味わいが魅力です。

  • 和菓子

松江は、江戸時代の松江藩主・松平不昧(ふまい)公が茶の湯文化を広めたことで、京都や金沢と並ぶ和菓子の名産地としても知られています。不昧公が好んだとされる「不昧公御好み菓子」をはじめ、上品な甘さの洗練された和菓子が豊富です。お土産にはもちろん、老舗の和菓子店で抹茶とともに味わうのも趣があります。島根県公式サイトでも「島根の和菓子」としてその文化が紹介されています。

カツライスをお土産に?

旅先で出会った美味しい味を「家に持ち帰りたい」と思うのは自然なことです。とはいえ出来たてのカツライスそのものを遠方まで持ち帰るのは難しいですが、その味の記憶を持ち帰る方法はあります。

一部の店ではテイクアウトを利用できるため、帰りの電車の中で味わうこともできるかもしれません。また、旅の思い出として自宅でカツライス作りに挑戦するのも面白いでしょう。市販のデミグラスソース缶をベースに、赤ワインやケチャップ、ウスターソースなどを加えて自分好みのソースを研究してみるのも楽しみの一つです。松江で味わった一皿を思い浮かべながら作るカツライスは、きっと特別な味わいになるはずです。

旅の終わりに思う、カツライスが繋ぐ人と町の物語

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松江のカツライスを巡る旅はいかがでしたか。

一皿の料理を深く味わうことは、その土地の歴史や文化、そしてそこに暮らす人々の息づかいを感じ取ることだと、私は旅を重ねる中で何度も実感してきました。

松江のカツライスも、まさにその一例です。大正時代に誕生したハイカラな洋食は、長い年月をかけてこの城下町に根ざし、市民の日々の生活に寄り添うかけがえのないソウルフードへと進化してきました。

元祖の味を頑なに守る「西洋軒」の誇り。学生たちの空腹と青春を支える「キッチンおかだ」の温かい想い。趣ある街並みの中で洗練された一皿を提供する「麪」の美学。そして常連客の憩いの場として、変わらぬ優しい味わいを守り続ける「喫茶MG」のぬくもり。

どのお店の一皿にも、作り手の信念が息づき、それを愛する人々の物語が込められていました。デミグラスソースの奥深い味わいは、この町が積み重ねてきた歳月の濃さそのものかもしれません。

次に松江を訪れる際は、ぜひお気に入りの一軒を見つけ、その扉を開けてみてください。スプーンを手に取り目の前の一皿と向き合う瞬間、あなたはただの観光客ではなく、松江という町の物語の一員となるのです。

サクサクのカツに、深みのあるデミグラスソース、白く輝くご飯が織りなす、どこか懐かしくも新しい味わい。それはきっと、旅の記憶に温かく、そして美味しく刻まれることでしょう。

さあ、次のお休みには、この美味しい物語の続きを確かめに、松江へ旅に出てみませんか。この町と最高の一皿が、あなたを待っています。

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この記事を書いたトラベルライター

旅行代理店で数千人の旅をお手伝いしてきました!今はライターとして、初めての海外に挑戦する方に向けたわかりやすい旅ガイドを発信しています。

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