ふわりと鼻先をかすめる豚骨スープの香り、活気あふれる屋台の賑わい、そして、少し歩けば現れる洗練されたカフェやショップ。福岡は、訪れるたびに新しい「おいしい」と「楽しい」に出会わせてくれる、まるで食のテーマパークのような街です。
アパレルの仕事で日本中、世界中を飛び回る私ですが、心と体を満たしたいとき、無性に戻りたくなるのがこの福岡。コンパクトな街に「食の都」のすべてが凝縮されていて、短い滞在でも満足度が非常に高いのが魅力です。
今回の記事では、アパレル勤務で旅ライターでもある私が、定番の博多グルメから、地元で愛される隠れた名店、そして思わず写真に収めたくなる最新スポットまでを網羅した、二泊三三日の食べ歩きモデルプランをご提案します。
ただ食べるだけじゃない。街の空気を感じ、カルチャーに触れ、おしゃれ心も満たされる。そんな、よくばりな女子旅を叶えるためのエッセンスを詰め込みました。一人旅でも、気のおけない友人とでも、きっと最高の思い出になるはず。
さあ、お腹を空かせて、福岡の街へ繰り出しましょう。この記事が、あなたの福岡旅の素敵な道しるべになりますように。
旅の始まりは福岡空港から!まずは基本を押さえる「食の都」の心得

旅の計画を立てる際に、意外と見落としがちなのが空港から市内までのアクセスです。移動に時間がかかると、ただでさえ旅の体力や気力を消耗してしまいますよね。その点、福岡はまさに「旅人に優しい街」と言えるでしょう。
福岡空港の優れたアクセス利便性
福岡空港の最大の特徴は、何と言っても市内中心部へのアクセスの良さです。国内線ターミナルは市営地下鉄空港線に直結しており、福岡の二大繁華街である博多駅までわずか2駅、約5分です。さらに天神駅へも約11分で到着します。この利便性は世界的に見てもかなり珍しいと言えるでしょう。
飛行機を降りて荷物を受け取ったら、そのまますぐ地下鉄に乗れるスムーズな動線は、旅の限られた時間を無駄にしません。ホテルに荷物を預けた後、身軽な状態で早速食べ歩きを楽しめるというのは、福岡旅の満足感を高める最初の大きなポイントです。
福岡グルメの基本知識
「食の都・福岡」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?おそらく多くの人が挙げる代表的な料理がいくつかあるはずです。
まずは、言わずと知れた「博多ラーメン」。白濁した豚骨スープに極細のストレート麺が特徴で、スープの濃さや香り、トッピングは店ごとに異なり、その奥深さは計り知れません。麺の硬さを「バリカタ」「ハリガネ」など好みで選べるのも博多ならでは。替え玉制度もあり、心ゆくまで楽しめる工夫がされています。
次に「もつ鍋」。プリプリの牛もつとたっぷりのニラやキャベツを、醤油や味噌ベースのスープでじっくり煮込む鍋料理です。コラーゲンを豊富に含み、翌日のお肌の調子が楽しみになるため、特に女性に人気のグルメ。〆のちゃんぽん麺や雑炊もセットになっていて、一度の食事で完結する満足感があります。
また、冬の定番「水炊き」も欠かせません。鶏ガラをじっくり煮込んで作られる白濁スープが特徴で、最初は塩やポン酢でそのスープの味を楽しみます。鶏肉の旨味がぎゅっと詰まった滋味深い味わいは、食べ歩きで疲れた胃にもやさしく染みわたります。
もちろん「辛子明太子」も忘れてはなりません。ご飯のお供としてだけでなく、近年は「めんたい重」や「めんたいフランス」など、主役級の料理としても注目されています。お土産の定番ですが、現地でできたての味を味わうのがおすすめです。
夜になると街のあちこちに屋台の灯りがともり、ラーメンやおでん、焼き鳥はもちろん、フレンチや天ぷらなど個性的な店もあり、多彩なバリエーションが楽しめます。店主や客との距離が近いのも屋台の魅力の一つで、一期一会の素敵な出会いが生まれます。
今回の旅では、これらの定番グルメを押さえつつ、新たな福岡の魅力にも触れていきたいと思います。
おしゃれかつ安全に楽しむためのポイント
食べ歩き中心の旅では、服装も機能性を重視したいところですが、旅の楽しさを損なわないようファッションも意識したいですよね。
福岡の街は比較的平坦で歩きやすいですが、一日中歩くことを考えると、スニーカーやフラットシューズの着用が鉄則です。特に天神の地下街やデパート巡り、あるいは太宰府への足を延ばす場合は、履き慣れた靴が必須です。
バッグは両手が自由になるショルダーバッグやサコッシュがおすすめです。屋台の狭い空間では大きな荷物は邪魔になることが多く、人混みではスリなどの軽犯罪にも注意が必要。バッグは常に体の前で抱えるように持つことが、女性の安全対策として基本です。
決済方法については、福岡市内の店舗はキャッシュレス化が進んでいますが、屋台や歴史ある市場などでは現金のみ対応の場所も多いため、多めに現金を持っておくと安心です。
準備万端になったら、いよいよ福岡の美食探訪へ。期待に胸を膨らませ、最初の目的地へと出発しましょう。
【1日目】博多駅周辺から天神へ!王道グルメと夜の屋台を堪能

福岡旅行の初日は、まずこの街を象徴する定番のグルメからスタートします。博多駅を拠点に、活気あふれる天神エリアへ移動しながら、福岡の食文化の魅力を全身で味わい尽くしましょう。
13:00 博多駅に到着、まずは豚骨ラーメンで腹ごしらえ
福岡空港から地下鉄でわずか5分の距離にある旅の玄関口、博多駅に着いたら、まずは一杯の豚骨ラーメンで「福岡へ来た!」という高揚感を味わってみてください。博多駅には「博多めん街道」をはじめ、多数のラーメン店が軒を連ねており、どのお店に入るか迷うほどの充実ぶりです。
その中でも、私が特におすすめしたいのが「Shin-Shin 博多デイトス店」。博多デイトス内にあり、アクセスは抜群です。昼時は行列ができることも多いですが、回転が速いため、思ったよりスムーズに入店できます。
ここのラーメンの特徴は、何と言ってもクリーミーでまろやかなスープ。豚骨特有の臭みがほとんどなく、コクと旨味がしっかり感じられる一杯です。豚骨ラーメンが苦手な方でもぜひ挑戦してみてほしい味わいです。
麺は博多ラーメンの代表ともいえる極細ストレート麺で、スープによく絡み、するすると喉を通ります。麺の硬さは好みで選べますが、初めは「カタ」で注文し、替え玉を「バリカタ」で楽しんでみるのもおすすめです。
薄切りながら存在感のあるチャーシューに、シャキシャキとしたキクラゲや青ネギのシンプルなトッピングがスープと麺の味を引き立てています。卓上には紅生姜や辛子高菜、すりごまなどが揃っているので、途中で味変を楽しみながら、自分好みの一杯を完成させる楽しみもあります。店内は清潔感があり、女性一人でも入りやすい雰囲気なのも嬉しいポイントです。まずはこの優しい豚骨ラーメンで、福岡グルメの旅を始めてみてください。
15:00 天神へ移動し、最新カフェでひと息
ラーメンでお腹が満たされたら、地下鉄で天神へ向かいましょう。博多がビジネスや交通の要所なら、天神はショッピングやカルチャーの中心地。デパートやファッションビルが立ち並び、路地に入ると個性的なセレクトショップやカフェが点在しています。
少し歩き疲れたら、カフェでゆったりと休憩しましょう。私が最近訪れてすっかり気に入ったのが、天神の中心部から少し南へ歩いた渡辺通エリアにある「STEREO COFFEE」です。
コンクリート打ちっぱなしの壁に、温かみのあるウッド調のインテリア。無機質な素材感と有機的な温かさが絶妙に調和した空間は、都会のオアシスのよう。アパレル業界で働く私としては、こうした空間デザインに自然と心惹かれてしまいます。2階にはギャラリースペースもあり、訪れるたび異なるアーティストの作品に出会えるのも魅力的です。
ここで提供されるのは、丁寧にハンドドリップされたスペシャルティコーヒー。豆の種類を選べるので、好みを伝えてバリスタにおすすめを聞いてみるのも良いでしょう。コーヒーの豊かな香りに包まれ、窓の外を行き交う人々の様子を眺めているうちに、旅の疲れがじんわりと癒されていくのを感じます。
夏場なら、エスプレッソトニックや自家製レモンスカッシュも特におすすめ。見た目にも涼しげで、歩き回って熱くなった体にぴったりです。スイーツも充実しており、季節のフルーツを使ったタルトやチーズケーキはコーヒーと相性抜群です。
美味しいコーヒーを片手に、これからの旅の予定を練り直したり、何もせずぼんやり過ごしたり。そんな自由な時間が旅をより豊かにしてくれます。
18:00 福岡の夜の華、天神の屋台で乾杯
日が沈み、街にネオンが灯り始める頃。福岡の夜の主役である「屋台」がぽつりぽつりと営業を始めます。屋台といえば中洲が有名ですが、私は地元の活気が感じられる天神エリアの屋台を特におすすめします。
福岡市公式観光サイト「よかなび」によると、福岡市内の屋台は衛生管理やルールが厳格に守られており、安心して楽しめる環境が整っています。女性ひとりでも気兼ねなく訪れやすいのはこのためかもしれません。
天神の親不孝通り付近や渡辺通り沿いには、個性豊かな屋台がずらりと並びます。そのなかでも一度は訪れてほしいのが「小金ちゃん」。今や全国的に知られる「焼きラーメン」発祥のお店です。鉄板の上で豚骨スープとソースが絡む麺は香ばしい香りを放ち、食欲をそそります。もちもちの麺に、どて煮や野菜が絡んだ濃厚な味わいは、一度味わうと忘れられません。
もう少ししゃれた雰囲気で屋台を楽しみたいなら、「Telas & mico(テラスとミコー)」がおすすめ。フレンチシェフの経験を持つ店主が手がける料理は、屋台のイメージを覆す洗練されたものばかり。牛サガリのステーキや季節野菜のグリルなど、ワインと一緒に楽しみたいメニューが揃っています。
屋台にはいくつかの暗黙のマナーがあります。長居せず、食べ終わったら席を譲ること、一人一品の注文を心がけること。こうした細かな心遣いが、心地よい屋台の空気を作っています。店主や隣の客との何気ない会話も屋台ならではの楽しみ。勇気を出して話しかければ、地元ならではの情報を教えてもらえるかもしれません。
21:00 〆はもつ鍋で!心も体も温まる絶品ディナー
屋台で軽く腹ごしらえをしたら、初日のディナーのメインにいきましょう。福岡に来たからには「もつ鍋」はぜひ味わいたい逸品。数あるもつ鍋店の中でも、安定した美味しさと多数の店舗展開で訪れやすい「もつ鍋 おおやま」が旅行者に人気です。
「おおやま」のもつ鍋はスープの種類が選べるのがポイント。定番の「みそ味」は、九州味噌を数種類ブレンドした濃厚かつクリーミーな味わいです。もつの脂の甘さや野菜の旨味が溶け込み、一口飲むたびに心が満たされます。さっぱり派には昆布だしの効いた「しょうゆ味」もおすすめです。
主役のもつは国産の若い牛の小腸だけを使用し、臭みはなく、噛むたびに脂の甘みがじゅわっと広がります。たっぷりのキャベツ、ニラ、ごぼう、豆腐が、その美味しさを吸い上げています。
もつ鍋の楽しみといえば「〆」。残ったスープにご飯と卵を加えた雑炊も絶品ですが、私の一押しは「ちゃんぽん麺」。煮詰まって旨味が凝縮したスープがもちもちの太麺によく絡み、最後の一滴まで飲み干したくなる至福の時間です。
人気店のため、特に週末は予約をしておくのが安心。福岡の夜を締めくくる熱々のもつ鍋を囲みながら、心も体もぽかぽかに温まってください。
【2日目】糸島ドライブ&薬院散策!自然とアート、洗練されたグルメを巡る

旅の2日目は、少しだけ都会の喧騒から離れてみましょう。福岡市内から車で約1時間の場所に、美しい海と澄んだ空、そして豊かな自然に囲まれたグルメとアートの街「糸島」が広がっています。午後には市内へ戻り、おしゃれな大人たちが集まる「薬院」エリアをゆったり散策します。
10:00 レンタカーで糸島へ!絶景と海辺のカフェを巡る旅
糸島を効率よく楽しむなら、レンタカーが断然おすすめです。福岡市内には多数のレンタカーショップがあり、事前に予約しておくとスムーズに出発できます。天神や博多のホテルから都市高速を利用すれば、あっという間に糸島エリアに到着します。
最初に訪れたいのは、糸島を象徴する絶景スポット「桜井二見ヶ浦の夫婦岩」。海岸から約150メートル沖合に、しめ縄で結ばれた二つの岩が寄り添うように浮かんでいます。その手前には、真っ白な鳥居が立ち、青い海と空、そして白い鳥居の美しいコントラストは、思わず息をのむほどの光景です。特に夕暮れ時は、空や海がオレンジ色に染まり、幻想的な風景が広がります。ここが多くの人のカメラに収められるのも納得の、神秘的でフォトジェニックな場所です。
糸島市観光協会公式サイトでも紹介されている通り、この夫婦岩は夏至の日に二つの岩の真ん中から太陽が昇ることで知られ、古くから桜井神社の御神体として信仰されてきました。そんな歴史を感じながら眺めると、また一段と感慨深いものがあります。
絶景を満喫したら、海辺のカフェでランチタイムを楽しみましょう。糸島の海岸線には、海を望むおしゃれなカフェやレストランが点在しています。その中でも、長年地元の人々に愛されているのが「SUNSET」です。目の前に広がる海を眺めながら、ゆったりと食事できるロケーションはまさに最高。
店内は開放感のある空間で、テラス席に座れば潮風と波の音に包まれながら過ごせます。メニューは、自家製ソーセージのホットドッグや糸島産の野菜たっぷりのパスタ、スパイシーなカレーなど魅力的な品揃え。私はいつもオリジナルのロコモコを頼みます。ジューシーなハンバーグに半熟の目玉焼き、特製ソースがご飯と絶妙に絡み合い、その美味しさに毎回感動します。
美しい絶景を眺めつつ美味しい食事を味わう。これ以上ない贅沢な時間こそ、糸島ドライブの醍醐味と言えるでしょう。
15:00 糸島のクラフトとアートにふれる時間
糸島は単に景色の美しさだけでなく、多くのアーティストや職人が自然に惹かれて移り住み、個性的な工房やギャラリーが点在する「クラフトの街」としても知られています。
ぜひ訪れたいのが、製塩所「またいちの塩 工房とったん」。ここでは、海水を立体式の塩田で濃縮し、釜で炊き上げる伝統的な製法で塩作りが行われています。見学も可能で、職人さんたちが丁寧に塩を作り上げる様子を間近で見られ、一粒の塩がいかに貴重なものか実感できます。
そして、ここの一番の楽しみは敷地内のカフェで味わえる「花塩プリン」。塩作りに使う釜の熱でじっくり蒸し焼きにされたプリンは、とろけるようになめらかな口当たり。カラメルソースの代わりに特製の塩をかけていただくと、プリンの濃厚な甘さと塩のキリッとした塩味が絶妙に調和し、甘さが一層引き立ちます。ここでしか味わえない特別なスイーツです。お土産には様々な種類の塩を買い求めるのもおすすめ。料理好きの友人にも喜ばれるでしょう。
18:00 福岡市内に戻り、洗練された「薬院」でディナーを
糸島の自然とアートを満喫した後は、福岡市内に戻ります。今夜のディナーは、天神の南側に位置する「薬院」エリアで。大通りから一歩入ると落ち着いた大人の雰囲気の街並みが広がり、センスの良いセレクトショップやインテリアショップ、隠れ家的な飲食店が軒を連ねています。
その中で今注目されているのが「炉端ト酒 タキビ」。和モダンな洗練された空間で、旬の素材を使った炉端焼きが楽しめるお店です。店の中心には大きな炉端があり、その周囲にカウンター席が配されています。職人が目の前で食材を焼き上げる臨場感は、カウンター席ならではの魅力。
メニューは糸島産の野菜を使った野菜巻き串や長浜市場直送の新鮮な魚介の炭火焼、こだわりの肉料理など、いずれも素材の味を最大限に引き出す逸品ばかりです。特にレタスを豚バラで巻いた串焼きは、シャキシャキとした食感と豚肉の旨味が絶妙に融合する必食の一品です。
合わせるお酒には、全国から厳選された日本酒がぴったり。どの日本酒が合うかわからなくても、スタッフが料理に合わせて丁寧に提案してくれるので安心です。美味しい料理にお酒、活気がありつつも居心地の良い空間で、福岡の夜を少しだけ大人っぽくスタイリッシュに楽しみたいときにぴったりのお店です。
21:00 大人の夜の締めくくりに、隠れ家的バーへ
ディナーの余韻に浸りつつ、もう一軒立ち寄りましょう。薬院の夜を締めくくるのにふさわしい、本格的な雰囲気を持った「BAR HOSHI」は、重厚な扉の奥に静かで落ち着いた隠れ家のような空間が広がります。
バックバーには世界各国から集められた多彩なお酒のボトルがずらりと並び、その眺めだけで気持ちが高まります。マスターのカクテル作りの腕前も確かで、特に季節のフルーツをたっぷり使ったフレッシュフルーツカクテルは絶品です。その時期に最も美味しいフルーツの魅力を最大限に引き出し、一杯一杯丁寧に作り上げてくれます。
「甘くてさっぱりしたものが良い」「今日の気分に合うウイスキーを」といった曖昧なリクエストにも、笑顔で親身に応えてくれるのが嬉しい点。静かに流れるジャズをBGMに、至福のカクテルを傾けながら一日の旅を振り返る、そんな贅沢なひとときが旅の思い出をより深く彩ってくれます。
【3日目】柳橋連合市場で朝食を!福岡の台所と歴史に触れる最終日

あっという間に旅も最終日を迎えました。福岡を離れるその瞬間まで、食の探求は止まりません。最終日は、地元の人々が行き交う活気あふれる市場で朝食を楽しんだあと、少し足を伸ばして福岡の歴史と文化に触れる旅へ出かけましょう。
9:00 「博多の台所」柳橋連合市場で朝食を楽しむ
最終日の朝は、少し早起きして「博多の台所」と称される「柳橋連合市場」へ向かいましょう。天神から徒歩約15分、那珂川沿いに約100メートル続くアーケードには鮮魚店を中心に約40軒の店舗が軒を連ねています。ここは、プロの料理人も仕入れに訪れる福岡の食文化の要所です。
アーケードに足を踏み入れると、威勢の良い掛け声と新鮮な魚介の香りが出迎えてくれます。玄界灘で獲れたばかりの輝く魚が店頭にずらりと並び、その豊富な種類と抜群の鮮度に驚かされることでしょう。眺めているだけでも楽しいですが、何よりの魅力はその場で新鮮な海の幸を味わえることにあります。
市場の奥にある「柳橋食堂」は朝早くから営業し、市場の人々や地元の客で賑わっています。ここではやはり「海鮮丼」が外せません。その日仕入れたばかりの新鮮なネタが、惜しげもなくご飯の上にたっぷりと乗っています。プリプリとした食感と魚の自然な甘みが口いっぱいに広がり、1,000円前後という価格も市場ならではの魅力です。
もうひとつの楽しみは、市場内の「吉田鮮魚店」で好きな魚を選び、隣接する食事処で好みの調理法に仕上げてもらうこと。刺身や煮付け、塩焼きなど、最高の鮮度を活かした料理をいただける贅沢さは、朝から福岡の食文化の奥深さを実感させてくれます。市場の活気に包まれながら食べる朝食は、旅の最高の思い出になるでしょう。
11:00 歴史と文化に触れる太宰府天満宮へ訪問
お腹を満たしたら、福岡の歴史と文化を感じるために少し遠出してみましょう。西鉄福岡(天神)駅から電車で約30分、学問の神様として知られる菅原道真公を祀る「太宰府天満宮」に到着します。
太宰府天満宮公式サイトによれば、全国に約12,000ある天満宮の総本宮で、年間を通して多くの参拝客が訪れます。朱塗りの美しい御本殿はもちろん、広い境内には見応えのあるスポットが満載です。過去・現在・未来を象徴すると言われる太鼓橋を渡り、体の気になる部分をなでると良くなると伝わる御神牛の頭を撫でたら、静かに心を込めて参拝しましょう。
参拝後の楽しみといえば、何と言っても参道のおいしい食べ歩きです。太宰府名物「梅ヶ枝餅」は、米粉の生地で小豆あんを包み、梅の刻印が押された型で焼き上げた素朴で優しい味わいのお餅。参道に軒を連ねる各店の焼きたてをその場で味わうのが最高です。店によって焼き加減やあんの甘さが微妙に異なるので、いくつか食べ比べるのも楽しいでしょう。
また、参道で目を引くのが「スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店」です。日本を代表する建築家・隈研吾氏の設計によるこちらの店舗は、伝統的な木組みを活かした独創的で美しいデザインが特徴。光あふれる開放的な空間はまさにアート作品のようで、ここで味わうコーヒーはまた格別の味わいです。伝統的な街並みに融け込むモダンな建築、そのコントラストも太宰府の魅力のひとつです。
14:00 空港に向かう前に、お土産探しと福岡グルメを満喫
楽しい福岡の旅もいよいよ終盤。空港へ向かう前に、思い出とともにお土産を揃えておきましょう。
福岡定番のお土産といえば、やはり「辛子明太子」。博多駅や天神のデパートには「やまや」や「ふくや」など有名店の直営店が多数あり、試食しながら自分好みの味を選べます。家庭用の切れ子から贈答用の一本ものまで、用途に合わせて選べるのも嬉しいポイントです。
もう一つの定番が「博多通りもん」。白あんをベースにしつつもバターや生クリームが加えられたしっとり洋風の和菓子で、長年モンドセレクション金賞を受賞し続ける美味しさは折り紙つき。老若男女問わず喜ばれる定番のお土産です。
もし空港で最後に福岡グルメを味わいたいなら、福岡空港のレストラン街も非常に充実しています。人気の水炊き店「とり田」やラーメン店、海鮮料理店など有名店が軒を連ねているので、食べ逃した味があればここでリベンジするのもおすすめ。最後の最後まで福岡の食を心ゆくまで堪能し、満たされた気持ちで帰路につきましょう。
食だけじゃない!福岡の旅を彩るプラスαの魅力

二泊三日の食べ歩きプランをご紹介してきましたが、福岡の魅力は「食」だけにとどまりません。時間に余裕がある際は、ぜひ訪れてほしい、旅をより充実させるおすすめスポットをいくつかご案内します。
アートと文化が交差する「福岡アジア美術館」
中洲川端駅に直結する「博多リバレインモール」内に位置する「福岡アジア美術館」は、アジア23カ国の近現代美術を専門に収集・展示する、世界的にもユニークな美術館です。欧米の美術とは異なる、エネルギッシュで独創的なアジアのアート作品に触れることができます。
普段なかなか目にする機会の少ない国々のアーティストたちの作品は、新鮮な驚きと発見に満ちています。力強いメッセージを秘めた作品や、繊細で美しい伝統技術を用いた作品など、多彩な表現を通じて、アジアという地域の多様性と深い魅力を実感できるでしょう。ショッピングやグルメの合間に、知的なインスピレーションを求めて訪れてみてはいかがでしょうか。
ショッピング好き必見!天神のデパートと地下街
ファッション愛好者にとって、天神でのショッピングは欠かせません。老舗百貨店「岩田屋」「三越」「大丸」が軒を連ね、国内外のハイブランドから福岡発のローカルブランドまで、幅広いアイテムが揃っています。
特に歩いてみてほしいのが「天神地下街」。19世紀のヨーロッパの街並みを再現した石畳の通路は、歩いているだけで気分が高まります。鉄やガラスを使ったクラシカルな装飾やステンドグラスの天井など、細部にまでこだわりが感じられる美しい空間デザインは見逃せません。ファッション、コスメ、雑貨など多様なお店が並んでいるため、雨の日でも天候を気にせずショッピングが楽しめます。
少し足を伸ばして「櫛田神社」へ
博多の総鎮守として「お櫛田さん」の愛称で親しまれている「櫛田神社」。博多の中心地にありながらも、境内は静寂で荘厳な雰囲気に包まれています。博多を代表する祭り「博多祇園山笠」のクライマックスである「追い山笠」の出発地点としても知られており、境内には豪華絢爛な飾り山笠が一年中展示されています。その大きさと迫力にはきっと圧倒されることでしょう。
また境内には「霊泉鶴の井戸」と呼ばれる井戸があり、ここで汲んだ水を飲むと不老長寿のご利益があると伝えられています。一口いただいて、旅の安全や健康を祈願するのもおすすめです。キャナルシティ博多からも近いため、散策の合間に気軽に立ち寄れるパワースポットです。

