はじめまして、グルメライターの隆です。仕事柄、世界中の都市を飛び回り、その土地の「うまいもん」を探し求める毎日ですが、何度訪れても心惹かれ、ふと帰りたくなる街があります。それが、九州の玄関口・福岡です。
コンパクトな街に美味しいものがぎゅっと詰まり、人々は陽気で開放的。海も山も近く、少し足を伸ばせば豊かな自然にも触れられる。そんな福岡の魅力は、あらゆる旅人を受け入れてくれます。もちろん、私たちLGBTQ+のコミュニティにとっても、それは例外ではありません。むしろ、そのオープンな気質は、パートナーと気兼ねなく過ごしたい、あるいは自分らしく夜の街を楽しみたいと願う私たちにとって、最高のスパイスになるのです。
この記事では、40代の私が実際に足を運び、肌で感じた「ゲイフレンドリー」な福岡の過ごし方をご紹介します。ただホテルをリストアップするだけではありません。なぜそのホテルがおすすめなのか、どんな過ごし方ができるのか。そして、旅の醍醐味である「食」と「夜遊び」の情報を、私の専門分野からたっぷりと盛り込んでいきます。
この記事を読み終える頃には、あなたの次の旅のデスティネーションは、きっと福岡に決まっているはず。さあ、一緒に美食と自由の街へ、旅の計画を始めましょう。
なぜ今、福岡が旅先として熱いのか? – LGBTQ+旅行者にとっての魅力

「どうしてそんなに福岡を推すの?」と聞かれることがあります。理由は一つではありません。いくつかの要素が複雑に絡み合い、福岡ならではの居心地の良さを生み出しているのです。
オープンで温かい県民性
福岡、特に博多の気質を語る上で欠かせないのが「博多っ子」の存在です。祭り好きで、新しいもの好き。そして、何より人懐っこい。屋台で隣り合わせただけなのに、いつの間にか酒を酌み交わし、身の上話で盛り上がっている…なんてことは日常茶飯事です。この「よかよか(良いよ、良いよ)」の精神は、外部から来た人間を温かく迎え入れる土壌そのもの。個人の背景やセクシュアリティをあれこれ詮索するような野暮なことはせず、目の前の「人」として接してくれる心地よさが、この街にはあります。もちろん、すべての人がそうとは限りませんが、街全体を流れる空気感が、どこか大らかで、私たちをリラックスさせてくれるのです。
コンパクトシティの利便性
福岡の旅のしやすさを語る上で、この「コンパクトさ」は外せません。福岡空港から市内の中心地である博多駅まで、地下鉄でわずか2駅、約5分。天神エリアへも約11分。こんなにアクセスが良い大都市は、世界的に見ても稀有な存在です。 主要なエリアである「博多」「天神」「中洲」は、それぞれが徒歩やバス、地下鉄で簡単に行き来できる距離にあります。日中は天神でショッピングを楽しみ、夜は中洲の屋台で一杯、そして春吉のバーへ…といった風に、思い立ったが吉日とばかりにフットワーク軽く動けるのが福岡の強み。タクシーを使っても料金が嵩張りにくいので、夜遊びで少し飲み過ぎてしまっても安心です。この機動力の高さが、限られた旅行期間を最大限に有効活用させてくれます。
食の都としての圧倒的な魅力
グルメライターとして、ここは声を大にして言いたい。福岡は、日本の、いや世界の食の都です。新鮮な魚介が水揚げされる長浜魚市場があり、玄界灘の海の幸は絶品。もつ鍋や水炊きといった鍋料理の文化も根強く、ソウルフードである豚骨ラーメンは言わずもがな。そして、夜の街を彩る屋台文化は、福岡ならではの風物詩です。 高級な割烹から、B級グルメ、深夜に小腹を満たすラーメンまで、あらゆる食の選択肢が、驚くほど高いレベルで揃っています。しかも、東京や大阪に比べて物価が安く、コストパフォーマンスが非常に高いのも嬉しいポイント。「食」が旅の大きな目的になる私たちにとって、福岡はまさに食のパラダイス。毎食、何を食べるか真剣に悩む時間すら、至福のひとときとなるでしょう。
行政や民間の取り組み
福岡の魅力は、人々の気質や街の機能性だけではありません。近年、行政や市民レベルでのインクルーシブな取り組みが着実に進んでいます。福岡市では2018年から「パートナーシップ宣誓制度」が導入され、同性カップルを公的に認める動きが広がっています。 また、毎年秋に開催される「九州レインボープライド」は、九州最大のプライドパレードとして年々規模を拡大しており、多くの市民や企業が参加し、街中が虹色に染まります。こうした公式な動きは、社会全体の意識を変え、私たちLGBTQ+コミュニティがより安心して過ごせる環境作りに繋がっています。街を歩いていても、レインボーフラッグを掲げるお店や企業ロゴを目にする機会が増え、歓迎されているという実感を覚えるシーンも少なくありません。
福岡でゲイフレンドリーなホテルを選ぶための3つの視点

さて、福岡の魅力が伝わったところで、いよいよ本題のホテル選びです。旅の拠点となるホテルは、快適な滞在の要。ここでは、旅のスタイルに合わせたホテル選びの視点を3つご紹介します。
①「立地」で選ぶ – 夜遊びも観光も満喫したいなら
福岡はコンパクトな街ですが、エリアごとに特色があります。自分たちの旅の目的と照らし合わせて、最適な拠点を選びましょう。
天神・大名エリア
福岡の商業・ファッションの中心地。百貨店やファッションビル、路面店が立ち並び、ショッピング好きにはたまらないエリアです。路地裏に入れば、個性的なセレクトショップやおしゃれなカフェ、ビストロが点在し、街歩きだけでも一日中楽しめます。夜遊びの中心地である春吉エリアへも徒歩圏内なので、昼はショッピングやカフェ巡り、夜はバーホッピングと、一日中アクティブに過ごしたいカップルやグループに最適です。交通の便も良く、どこへ行くにも便利な万能エリアと言えるでしょう。
博多駅エリア
新幹線や空港からのアクセスを最優先するなら、博多駅エリア一択です。九州の玄関口として、駅ビルには「博多阪急」や「アミュプラザ博多」といった商業施設が充実しており、お土産選びから食事まで、駅周辺ですべて完結します。特にグルメに関しては、駅地下の「博多一番街」や駅ビルのレストランフロア「くうてん」に名店が集結しており、移動の合間に福岡グルメを堪能できます。福岡を拠点に、少し足を伸ばして太宰府や柳川、あるいは他の九州の都市へ日帰り旅行を計画している人にも便利な立地です。
中洲・春吉エリア
福岡のナイトライフを心ゆくまで楽しみたいなら、このエリアが最もエキサイティングです。那珂川沿いにネオンが輝く中洲は、高級クラブや屋台がひしめく歓楽街。その南側に位置する春吉・住吉エリアには、ゲイバーやクラブが集中しています。バーをはしごして、気に入ったお店で夜が更けるまで語り明かす…。そんな夜を過ごしたいなら、このエリアに宿を取るのが賢明です。終電やタクシーの心配をせず、心ゆくまで夜の街に身を委ねることができます。
②「コンセプト」で選ぶ – こだわりの滞在を求めるなら
ただ眠るだけの場所ではなく、ホテルでの時間そのものを楽しみたい。そんなこだわり派のあなたには、ホテルの持つ「コンセプト」で選ぶことをお勧めします。
デザイン性の高いブティックホテル
建築家やデザイナーが手がけた、空間そのものがアートのようなホテル。細部にまでこだわり抜かれたインテリアやアメニティは、滞在するだけで感性を刺激してくれます。非日常感を味わいたい、パートナーとの時間をより特別なものにしたい、そんな記念日旅行などにもぴったりです。写真映えもするため、旅の思い出をSNSでシェアしたい人にも人気があります。
ラグジュアリーホテル
世界基準のホスピタリティと上質なサービスを求めるなら、やはりラグジュアリーホテルは外せません。きめ細やかなスタッフの対応は、私たちが何ら特別ではない「大切なお客様」の一組として扱ってくれるという安心感に繋がります。広々とした客室、高層階からの絶景、充実したスパやフィットネス、そして一流のレストラン。ホテルから一歩も出なくても、満ち足りた時間を過ごすことができるでしょう。
コスパ重視のビジネスホテル
「ホテル代は抑えて、その分グルメや遊びにお金を使いたい!」という堅実派には、機能的で清潔なビジネスホテルがおすすめです。最近のビジネスホテルは、ただ寝るだけの場所ではなく、デザインにこだわったり、大浴場を備えていたりと、付加価値の高い施設が増えています。特に日本のビジネスホテルは、その清潔さとサービスの質の高さで世界的に評価が高く、安心して利用できます。
③「公的な認証」で選ぶ – 安心感を最優先するなら
ホテル選びで最も大切なのは「安心感」かもしれません。特に同性カップルで宿泊する場合、チェックインの際に気まずい思いをしたくない、というのは共通の願いでしょう。そんな時、ホテルの姿勢を客観的に判断する指標が役立ちます。
その一つが、任意団体「work with Pride」が策定した、企業のLGBTQ+に関する取り組みを評価する指標「PRIDE指標」です。最高評価の「ゴールド」を取得している企業が運営するホテルは、従業員への研修などが徹底されており、安心して滞在できる可能性が高いと言えます。
また、マリオット、ヒルトン、ハイアットといった外資系のホテルチェーンは、グローバルでダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の方針を明確に掲げている場合がほとんどです。これらのホテルは、多様なバックグラウンドを持つゲストを歓迎する文化が根付いており、スタッフの対応もスマートです。ホテルの公式サイトでD&Iに関するポリシーを確認してみるのも、安心材料の一つとなるでしょう。
【エリア別】グルメライター隆が選ぶ!福岡のおすすめゲイフレンドリーホテル7選

それでは、これらの視点を踏まえ、私が実際に滞在したり、取材で訪れたりした中から、自信を持っておすすめできる福岡のホテルを7つ、厳選してご紹介します。
天神・大名エリア
ザ・リッツ・カールトン福岡
福岡のホテルシーンに新たな歴史を刻んだ、まさに最高峰のラグジュアリーホテル。2023年、大名エリアの新たなランドマーク「福岡大名ガーデンシティ」内に開業しました。まず圧倒されるのは、18階のロビーに足を踏み入れた瞬間に広がるパノラマビュー。福岡の街並みを一望できる開放的な空間は、これから始まる特別な滞在を予感させます。
客室は、伝統的な織物「博多織」のアートワークが随所にあしらわれ、和の美意識とモダンなデザインが見事に融合しています。ベッドに横たわれば、まるで雲の上にいるかのような寝心地。アメニティは英国のラグジュアリーブランド「Asprey(アスプレイ)」で、その高貴な香りに包まれるバスタイムは格別です。
私が特に感動したのは、スタッフの皆さんのホスピタリティ。彼らはゲスト一人ひとりを名前で呼び、さりげなく、しかし的確にニーズを先読みしてくれます。同性カップルであっても、何ら特別な視線を向けることなく、ごく自然に「お二人様」としてエスコートしてくれるそのスマートさには、流石リッツ・カールトンと唸らされました。
最上階24階にあるバー「ザ・バー」からの夜景は、まさに絶景。パートナーとカクテルを傾けながら、きらめく福岡の夜景を眺める時間は、忘れられない思い出になるはずです。特別な記念日や、自分たちへのご褒美として、これ以上ない選択肢でしょう。
ソラリア西鉄ホテル福岡
「とにかく立地が最優先!」という方には、ここを強くお勧めします。西鉄福岡(天神)駅と西鉄天神高速バスターミナルに直結し、デパートの「福岡三越」も一体化しているという、まさに天神のど真ん中。雨の日でも濡れることなく、ショッピングや食事、移動が可能です。
2018年にリニューアルされた客室は、モダンで洗練されたデザイン。特にビューバスタイプの部屋からは、天神の街並みを眺めながら優雅なバスタイムを楽しめます。ビジネスホテルのような手軽さと、シティホテルの快適さを両立させているのが魅力です。
このホテルのもう一つの強みは、グルメ。最上階17階にあるレストラン「TRANS BLUE」では、素晴らしい景色と共にフレンチを堪能できます。朝食ビュッフェも評判で、九州産の食材をふんだんに使った和洋食が並びます。特に、焼き立てのパンと、糸島産の卵を使ったオムレツは絶品。朝からしっかりエネルギーをチャージして、街へ繰り出せます。
スタッフの対応も非常にプロフェッショナルで、ゲイフレンドリーであることは言うまでもありません。あらゆる面でバランスが取れており、初めて福岡を訪れる方にも、リピーターの方にも、安心しておすすめできるホテルです。
a.m.321
「ありきたりなホテルじゃつまらない」という、感度の高いカップルにおすすめしたいのが、大名エリアに佇むブティックホテル「a.m.321」です。コンクリート打ちっぱなしの壁に、ミニマルながらも遊び心のある家具。まるでデザインギャラリーのような空間は、クリエイティブな刺激に満ちています。
客室数はわずか11室。それぞれが異なるデザインで、訪れるたびに新しい発見があります。特徴的なのは、全室に完備された高品質なスピーカー。好きな音楽を流しながら、部屋でゆっくりと寛ぐ時間は、このホテルならではの贅沢です。
1階にはコーヒースタンドが併設されており、こだわりのスペシャルティコーヒーを味わえます。ここでコーヒーを片手に一息つきながら、今日のプランを練るのも良いでしょう。周辺には個性的な古着屋やセレクトショップ、隠れ家的なビストロが多く、ホテルの世界観と街のカルチャーがシームレスに繋がっています。
大規模ホテルのような手厚いサービスとは異なりますが、その分、プライベートな別荘に来たかのような自由さとリラックス感があります。自分たちのペースで、おしゃれに福岡ステイを楽しみたい二人にぴったりの隠れ家です。
博多駅エリア
THE BLOSSOM HAKATA Premier(ザ・ブラッサム博多プレミア)
博多駅から徒歩約7分。駅直結ではありませんが、その少しの距離を歩くだけで、喧騒から離れた落ち着いた滞在が約束されます。JR九州ホテルズが手がけるアッパーブランドで、九州の魅力を随所に感じられるデザインが特徴です。
このホテルの最大の魅力は、なんといっても最上階にある大浴場。旅の疲れを癒すのに、広いお風呂はやはり格別です。手足を伸ばしてゆっくりとお湯に浸かれば、一日の観光や仕事の疲れも吹き飛びます。
客室は、博多織や大川組子といった九州の伝統工芸をモチーフにしたデザインが取り入れられ、上品で落ち着いた雰囲気。ベッドはシモンズ社製で寝心地も抜群です。
朝食は、九州各地の郷土料理が並ぶビュッフェ形式で、これがまた素晴らしい。がめ煮(筑前煮)や辛子明太子はもちろん、佐賀の温泉湯豆腐や鹿児島のさつま揚げなど、朝から九州一周グルメ旅行気分を味わえます。グルメライターとしても、ここの朝食は太鼓判を押せるクオリティです。ビジネス利用からカップルの旅行まで、幅広いニーズに応えてくれる、質の高いホテルです。
都ホテル 博多
博多駅の筑紫口を出て、目の前。地下鉄駅にも直結という、これ以上ないほどの好立地を誇るホテルです。2019年に全面建て替えを経てリニューアルオープンし、「緑と水と光のホテル」をコンセプトにしたラグジュアリーな空間に生まれ変わりました。
このホテルの象徴は、最上階13階にある屋上のスパ「SPA lucida」。天然温泉を利用した屋外のスパプール(水着着用)からは、博多の街並みや、時間帯によっては空港に離着陸する飛行機を眺めることができます。都会の真ん中でリゾート気分を味わえる、まさに天空のオアシス。夜はライトアップされ、非常にロマンチックな雰囲気になるので、カップルには特におすすめです。
客室は全室30平米以上と広々としており、洗い場付きのバスルームも快適。大きな窓からは光がたっぷりと差し込み、開放感があります。
3階にある「SOMEWHERE RESTAURANT & BAR」は、ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019特別版で一つ星を獲得したことでも知られる名店。ここでいただく食事は、旅のハイライトになること間違いありません。利便性とリゾート感を両立させたい、欲張りな旅にぴったりの一軒です。
中洲・春吉エリア
ホテル イル・パラッツォ
建築好きならずとも、その名を知る人は多いでしょう。イタリアの巨匠アルド・ロッシが設計し、日本のポストモダン建築の傑作と謳われた伝説のホテルです。開業から30年以上が経ち、2023年にリニューアル。その歴史と個性を尊重しつつ、現代的な快適性をプラスした空間へと進化を遂げました。
ファサードの重厚な雰囲気とは裏腹に、一歩中に足を踏み入れると、光と影が織りなす幻想的な空間が広がります。客室はシンプルながらも上質で、ロッシのデザイン哲学が息づく家具が配されています。
そして何より、このホテルのアドバンテージは立地。ゲイバーが軒を連ねる春吉エリアの入り口に位置し、文字通り徒歩0分で夜の街へ繰り出すことができます。中洲の屋台街もすぐそこ。福岡のナイトライフを心ゆくまで満喫したい人にとって、これ以上のロケーションはありません。思う存分飲んで、語らって、疲れたらすぐにベッドへ。そんな理想的な夜遊びが実現します。歴史とデザイン、そして最高の立地を兼ね備えた、唯一無二のホテルです。
THE LIVELY FUKUOKA HAKATA(ザ・ライブリー福岡博多)
中洲川端に位置する、新感覚のライフスタイルホテル。「世界中から人と情報と機会が集まる場所」をコンセプトに掲げ、宿泊するだけの場所ではない、新たな体験を提供してくれます。
ここの特徴は、宿泊者同士のコミュニケーションを促す様々な仕掛け。夕方にはロビーラウンジでフリービールが振る舞われ、自然と会話が生まれるきっかけになります。ビリヤード台が置かれたプレイルームや、開放的なテラスもあり、一人旅で訪れても、他の旅行者と交流する楽しみがあります。
客室はコンパクトながら機能的で、デザイン性も高い。最上階にはバーがあり、夜景を楽しみながらオリジナルカクテルをいただけます。
スタッフは若くフレンドリーな方が多く、ゲストとの距離感も近いのが特徴。堅苦しいサービスが苦手で、もっとカジュアルにホテルステイを楽しみたい、新しい出会いや発見を求めたい、という方にぴったりのホテルです。もちろん、ダイバーシティへの理解も深く、誰もが自分らしく過ごせる雰囲気がここにはあります。
ホテルだけじゃない!福岡の夜を彩るゲイカルチャー

最高のホテルを見つけたら、次はいよいよ街へ繰り出す番です。福岡の夜は、ただ眠るにはもったいない魅力に溢れています。
春吉・住吉エリア – 福岡ゲイシーンの中心地
福岡のゲイシーンを語るなら、春吉・住吉エリアは外せません。天神南駅から那珂川方面へ歩いた一帯に、数十軒のゲイバーやクラブがひしめき合っています。東京の新宿二丁目や大阪の堂山町に比べると規模は小さいですが、その分、店同士の距離が近く、アットホームな雰囲気が特徴です。
バーのタイプも様々。初めての人でも入りやすい、カラオケがメインのMIXバー。ママやマスターとじっくり話せる、こぢんまりとしたスナック風の店。週末にDJイベントで盛り上がる、クラブ寄りの店。自分の気分や好みに合わせて、お店を選ぶことができます。
もし初めてでどこに入ればいいか迷ったら、比較的大きめの看板が出ているお店や、SNSで積極的に情報発信しているお店から試してみるのが良いでしょう。福岡の人は基本的にフレンドリーなので、勇気を出して扉を開ければ、温かく迎えてくれるはずです。ただし、どこでも最低限のマナーは大切。他のお客さんへの配慮を忘れず、節度を持って楽しむことを心がけましょう。このエリアでの出会いや会話が、旅の忘れられない一ページになるかもしれません。
九州レインボープライド – 街が虹色に染まる日
もしあなたの福岡旅行が秋に計画できるなら、ぜひ「九州レインボープライド」の開催日に合わせることを強くお勧めします。毎年11月頃に開催されるこのイベントは、九州最大級のLGBTQ+の祭典。福岡市中心部の公園をメイン会場に、パレードやステージイベント、数多くのブース出展で街中が虹色に染まります。
パレードには、当事者だけでなく、アライ(支援者)の家族連れや、地元企業、行政関係者など、本当に多くの人々が参加します。沿道からも温かい声援が送られ、街全体が一体となる光景は感動的です。ブースを覗けば、各地域のLGBTQ+団体や、D&Iに積極的な企業の取り組みを知ることもできます。
この日に福岡を訪れれば、この街が持つインクルーシブなエネルギーを、より強く感じることができるでしょう。それは、単なる観光では味わえない、特別な体験となるはずです。
グルメライター隆の「これだけは食べておけ!」福岡グルメ&お土産

お待たせしました。ここからは私の本領発揮。福岡を訪れたなら、絶対に外せないグルメとお土産情報をお届けします。胃袋の準備はよろしいですか?
福岡に来たら外せない定番グルメ
屋台
福岡の夜のシンボルといえば、やはり屋台です。主に天神、中洲、長浜のエリアに集まっていますが、それぞれに少しずつ特徴があります。観光客で賑わうのは中洲エリア。那珂川沿いの景色も楽しめます。地元の人に愛される店が多いのは長浜や天神エリアです。定番は、豚骨スープで炒めた麺を鉄板で提供する「焼きラーメン」や、出汁の染みた「おでん」。そして、ビールや焼酎との相性が抜群の「牛サガリの串焼き」などもおすすめです。店主やお客さんとの距離が近いのも屋台の醍醐味。一期一会の出会いを楽しみながら、博多の夜に酔いしれてください。
もつ鍋
福岡の冬の風物詩ですが、今や一年中楽しめる定番鍋。プリプリの新鮮なもつ(牛の小腸など)と、たっぷりのニラ、キャベツを煮込んでいただきます。スープは、醤油ベースと味噌ベースが二大巨頭。どちらも甲乙つけがたい美味しさですが、初めてならニンニクの効いた醤油味が定番でしょうか。具材をあらかた食べ終えた後の「〆」が、もつ鍋の真骨頂。残ったスープにちゃんぽん麺、あるいはご飯と卵を入れて雑炊にするのがお決まりです。この〆のために、お腹のスペースをしっかり空けておきましょう。
豚骨ラーメン
もはや説明不要の福岡ソウルフード。クリーミーで濃厚な白濁スープに、極細のストレート麺。この組み合わせが基本です。特徴的なのは、麺の硬さを「バリカタ」「ハリガネ」「粉落とし」など、細かく指定できること。そして、一杯の麺の量が少なめなので、「替玉(麺のおかわり)」をするのが一般的です。最初はノーマルで、替玉の際に辛子高菜や紅生姜、すりごまを加えて味を変える「味変(あじへん)」を楽しむのが通の食べ方。市内には無数のラーメン店がありますが、それぞれにスープの濃度や風味が異なります。ぜひお気に入りの一杯を見つけてみてください。
ゴマサバ
福岡の居酒屋に入って、このメニューがあったら絶対に注文してください。新鮮な真サバの刺身を、特製の醤油ダレとすりごまで和えた、博多の郷土料理です。サバは足が早い(傷みやすい)魚なので、新鮮なものが手に入る港町ならではの味。甘めの醤油ダレとゴマの香ばしさが、サバの脂の旨味を最大限に引き立てます。これさえあれば、日本酒が何杯でも飲めてしまう、罪深い一品です。
ちょっとディープな福岡の食体験
博多うどん
「うどんといえばコシ」という常識は、福岡では通用しません。博多うどんは、驚くほどフワフワで柔らかいのが特徴。これは、忙しい博多商人がすぐに食べられるように、茹で置きしていた名残とも言われています。澄んだいりこ出汁は、滋味深く、飲んだ後の胃にも優しく染み渡ります。定番のトッピングは、大きな「ごぼう天」。出汁を吸ったごぼう天と、柔らかいうどんの組み合わせは、一度食べると病みつきになります。ラーメンの影に隠れがちですが、地元民に深く愛される真のソウルフードです。
水炊き
もつ鍋と並ぶ、博多が誇る二大鍋料理。鶏ガラをじっくり煮込んで作る、美しい白濁スープが命です。まず、お店の方が最初に湯呑みに注いでくれるスープを、塩や柚子胡椒で味わうのが作法。鶏の旨味が凝縮された、濃厚ながらもクリアな味わいに、きっと驚くはずです。その後、骨付きの鶏肉、つみれ、野菜と進んでいき、最後は雑炊で〆るのが王道。素材の味をじっくりと楽しむ、少し大人な鍋料理です。
柳橋連合市場
「博多の台所」と呼ばれる、歴史ある市場。天神から歩いて15分ほどの場所にあり、観光客だけでなく地元の料理人も仕入れに訪れます。狭いアーケードの両脇に、鮮魚店や青果店、蒲鉾店などがぎっしりと軒を連ね、活気に満ちています。市場内で買った新鮮な魚介を、併設の食堂で調理してもらって食べることもできます。市場の雰囲気を楽しみながら、絶品の海鮮丼で朝食や昼食をとるのも、最高の贅沢です。
パートナーも喜ぶ!福岡のおすすめ土産
定番の甘いもの
- 通りもん: もはや説明不要の博多土産の王様。白餡とバター、生クリームを使った西洋和菓子で、しっとりとした食感は誰にでも愛されます。
- なんばん往来: ラズベリージャムをサンドした、アーモンド風味の焼き菓子。甘酸っぱさと香ばしさのバランスが絶妙で、少しお洒落なお土産として喜ばれます。
辛党・お酒好きへ
- 辛子明太子: 定番ですが、やはり外せません。最近は、使いやすいチューブタイプや、イカや昆布と和えたもの、バジルやチーズ風味といった変わり種も豊富。色々試して、お気に入りを見つけるのも楽しいです。
- 柚子胡椒: 九州を代表する万能調味料。ピリッとした辛さと、柚子の爽やかな香りが、肉料理や魚料理、鍋物など、何にでも合います。赤唐辛子を使った赤い柚子胡椒もおすすめです。
グルメライターならではの逸品
- 茅乃舎(かやのや)の出汁: 福岡の食品会社「久原本家」が作る、無添加の出汁パック。焼きあご(トビウオ)など、厳選された国産素材を使った本格的な出汁が、ティーバッグ方式で手軽にとれます。料理好きな方へのお土産なら、間違いなく喜ばれる一品です。
- 地元の醤油: 九州の醤油は、全国的なものに比べて甘みが強いのが特徴です。刺身に合う甘口醤油や、卵かけご飯専用の醤油など、種類も様々。スーパーや百貨店の調味料コーナーで、小さなボトルを探してみてはいかがでしょうか。その土地ならではの味を、自宅でも再現できます。
福岡での滞在を、もっと心に残るものにするために

ここまで、福岡の魅力とゲイフレンドリーな過ごし方について、私の視点から語ってきました。
福岡という街が持つ、人を惹きつけてやまない魅力。それは、美味しい食事や便利な交通網といった機能的な側面だけではなく、そこに流れる「よかよか」という大らかな空気感にあるのだと思います。他者をありのままに受け入れ、一緒に楽しもうというポジティブなエネルギーが、この街には満ちています。
旅の拠点となるホテルを選ぶことは、最高の旅をデザインするための第一歩です。ラグジュアリーホテルで非日常に浸るのも、デザインホテルで感性を磨くのも、利便性の高いホテルを拠点にアクティブに動き回るのも、すべてがあなたとパートナーにとって、かけがえのない選択です。大切なのは、自分たちのスタイルに合った場所を見つけること。そして、そこを安心できる基地として、心ゆくまで福岡の街を探訪することです。
屋台のカウンターで隣り合わせた人と笑い合い、春吉のバーでグラスを傾け、博多湾から吹く潮風を感じる。そんな何気ない瞬間の一つひとつが、きっとあなたの心を解き放ち、明日への活力を与えてくれるはずです。
食、人、文化、そして温かいコミュニティ。福岡には、私たちの旅を豊かにしてくれるすべてが揃っています。 さあ、次の休暇には、パートナーの手を取って、この魅力的な街を訪れてみませんか。
きっと、あなたもこの街の虜になるはずです。福岡のどこかで、あなたとすれ違う日を楽しみにしています。









