抜けるような青い空と、どこまでも続く深い碧のインド洋。バリ島と聞けば、多くの人がそんな南国の楽園を思い浮かべるのではないでしょうか。アパレルの仕事で世界中を旅する私も、この島の持つ独特の空気感、人々の信仰心とアートが溶け合った文化に、すっかり心を奪われた一人です。
数あるバリ島の魅力的なスポットの中でも、もしあなたが「忘れられない景色」を探しているなら、私は迷わず南部のバドゥン半島最南端、「ウルワツ寺院」をおすすめします。海に突き出た約70メートルもの断崖絶壁に、まるで空と海の境界線上に浮かぶように佇むその姿は、神々しいとしか言いようがありません。
この記事では、ただ美しいだけではない、ウルワツ寺院の奥深い魅力と、その絶景を120%満喫するための完全ガイドをお届けします。寺院の歴史や見どころはもちろん、旅のハイライトである「ケチャダンス」の楽しみ方、服装のルールやいたずら好きな猿との付き合い方、そして女性一人でも安心して楽しめるような安全対策まで、私の体験を交えながら詳しくご紹介しますね。さあ、神々の島が誇る天空の舞台へ、一緒に旅立ちましょう。
ウルワツ寺院とは? 断崖に佇む海の霊廟の歴史と伝説

ウルワツ寺院を訪れる前に、その背景にある物語を理解しておくと、目の前に広がる景色がさらに深く心に響くことでしょう。この寺院の正式名称は「Pura Luhur Uluwatu(プラ・ルフール・ウルワツ)」です。バリ語で「Pura」は寺院、「Luhur」は高貴あるいは天上を意味します。また「Ulu」は「先端」や「はて」を指し、「Watu」は「岩」を表しており、その名の通り「岩の先端に位置する高貴な寺院」として、古くからバリの人々に厚く信仰されてきました。
創建は11世紀に遡ると伝えられています。ジャワ島から渡来した高僧ウンプ・クトゥランによって建立され、16世紀にはやはりジャワから来た高僧ニラルタによって増築が行われたとされています。ニラルタはバリ・ヒンドゥー教の形成に大きな影響を与えた人物であり、このウルワツ寺院での瞑想を経て解脱し、モクシャ(輪廻の解放)を達成したと信じられている最期の地でもあります。こうした伝説が、この場所に漂う神聖な空気の起源となっているのかもしれません。
バリ島には、島の東西南北を守護する寺院がありますが、ウルワツ寺院は特に南西の方角を守り、インド洋の海の精霊を祀る重要な役割を担っています。バリ島の人々にとって海は、恵みをもたらす一方で、時に脅威ともなる存在です。その荒々しい海の霊を鎮め、島の平和と繁栄を願う場として、この寺院は計り知れないほど重要な意味を持っています。夕陽の名所として世界中の観光客を惹きつけるこの地が、地元の人々にとっては日々の祈りを捧げる神聖な空間であること。それを心に留めておくだけで、私たちの旅はより深い敬意とともに彩られることでしょう。
息をのむ絶景の連続。ウルワツ寺院の見どころ徹底ガイド
ウルワツ寺院の魅力は、何と言ってもその類まれなロケーションに尽きます。しかし、見どころは断崖絶壁からの景観だけにとどまりません。神聖な寺院建築の美しさや、そこで暮らす野生の猿との遭遇も、この場所ならではの特別な体験となっています。
天空に広がる舞台、断崖絶壁からの壮大なパノラマ
寺院の入り口をくぐると、まず目に飛び込んでくるのは果てしなく広がるインド洋の大パノラマです。打ち寄せる波が白い飛沫をあげ、遠くの水平線では空と海がくっきりと分かれています。その圧倒的な景色を囲むように、断崖に沿って遊歩道が整備されています。
この遊歩道を歩く時間は、ウルワツ寺院観光の醍醐味のひとつです。どちらに進んでも、少し角度を変えるだけでまったく異なる絶景が表れます。とりわけ夕暮れが近づくにつれ、世界は刻々と表情を変えていきます。太陽が水平線に沈みゆくにつれて、空はオレンジ、ピンク、紫へと美しいグラデーションを描き、海面は黄金色に輝きます。その光景はまるで壮大な絵画のようで、カメラのシャッターを押す手が止まらなくなりますが、ときにはカメラを脇に置いて、自分の目で、体全体でこの景色を胸に刻むことも大切です。
風の強い日も多いため、帽子やストールが飛ばされないよう注意しましょう。また、柵はあるもののあまり身を乗り出さないように。足元をしっかり確認しながら、ゆったりと散策をお楽しみください。崖の先端にぽつんと建つ寺院のシルエットが夕陽に染まる様子は、まさに見どころのハイライトです。この瞬間だからこそ、世界中の人々がここを訪れる理由が納得できるでしょう。
神聖な祈りの場、寺院内部の建築美
ウルワツ寺院は、現在も祈りの場として用いられる現役の寺院です。観光客が入れる場所には制限があり、中心の境内(ジェロアン)へはヒンドゥー教徒のみが立ち入ることを許されています。しかし、外側からでも荘厳な建築美を十分に味わえます。
特に印象深いのは、バリ・ヒンドゥー寺院の象徴とも言える「割れ門(チャンディ・ブンタル)」です。山が真ん中で二つに割れたような独特の形状で、善悪や陰陽などの二元論的な世界観を表現していると伝えられています。この門をくぐることは俗世から聖なる領域へ踏み入れる儀式的意味合いが込められています。ウルワツ寺院の割れ門は、長い年月で風化したサンゴ石灰岩で造られており、繊細な彫刻が施されています。その細部をじっくり見ていると、バリの職人の卓越した技術と深い信仰心に感嘆させられます。
門の両脇には、象の頭を持つ神様ガネーシャの石像が祀られています。ガネーシャは学問や商売、困難を取り除く神として知られ、寺院を守護しています。私たちは中には入れませんが、門の前で静かに手を合わせ、この土地への敬意と感謝の念を伝えるのも良いでしょう。
野生の猿との出会い – 注意点と共存の心得
ウルワツ寺院に訪れると、ほぼ確実に出会うのが野生の猿たちです。彼らはこの寺院の「住人」であり、神の使いとして大切に扱われています。観光客に慣れているため、のんびり歩いたり毛づくろいをしたりする姿はとても愛らしく、つい写真を撮りたくなります。
しかし、可愛らしい印象だけで接すると危険です。ウルワツの猿はバリ島内でも特にいたずら好きで、ひったくりが得意です。彼らが狙うのは、観光客の身に付ける光るものや簡単に取れそうな物品です。
ここで、ウルワツ寺院訪問時の【必携アイテムと行動のポイント】を具体的にご紹介します。
【猿に狙われやすい物・避けるべき持ち物】
- 眼鏡・サングラス: 猿に最も狙われやすいアイテムです。顔から器用に奪われることが多いため、コンタクトレンズを利用するか、寺院内では外してバッグにしまいましょう。
- 帽子・キャップ: 風で飛びやすいだけでなく、猿にとっても格好の標的となります。
- ピアス・イヤリング・ネックレス: キラキラ光るアクセサリーは猿の興味を引きやすいです。高価なものや大切なものは事前に外しておくと安心です。
- スマートフォン・カメラ: 首から下げているストラップを猿が引きちぎることがあります。使わないときはカバンの中にしまい、使用時も両手でしっかり持ちましょう。
- ペットボトル・食べ物: 食べ物や飲み物は猿の前で絶対に見せないようにしましょう。
【猿との安全な共存ルール】
- 荷物は体の前で抱える: リュックは前に背負い、ショルダーバッグも必ず体の前でしっかり持ちます。チャックや留め具の閉まり具合も確認しましょう。
- 目を合わせない: 猿と目を合わせることは威嚇と受け取られることもあるため、静かにやり過ごしてください。
- 餌を与えない: 「可愛いから」と与えるのは禁物です。ほかの猿も寄ってきてトラブルにつながります。
- 距離を保つ: 写真撮影の際も距離を保ち、特に子猿の周辺には親猿がいることが多いため近づき過ぎに注意しましょう。
【万が一持ち物を奪われた場合】 もし猿に物を取られてしまっても、自分で取り返そうとするのは非常に危険です。猿が興奮して噛んだり引っ掻いたりすることがあります。
そんな際の【対応策】としては、まず冷静になり、近くにいる寺院スタッフ(多くは青や緑の制服を着ています)に助けを求めましょう。彼らは猿の扱いに熟練しており、ナッツなどの餌と交換に物を取り戻してくれることがあります。その際のチップは20,000〜50,000ルピア程度が目安です。
この猿とのやりとりも、ウルワツ寺院訪問の醍醐味の一つです。事前に十分な準備をしておけば過度に恐れる必要はありません。彼らもこの聖地の重要な一員であることを理解し、敬意をもって接することが大切です。なお、在デンパサール日本国総領事館も注意喚起を行っていますので、渡航前に一度目を通しておくことをおすすめします。
旅のハイライト!ウルワツ寺院のケチャダンス完全攻略

ウルワツ寺院を訪れる多くの観光客が最も楽しみにしているのが、夕陽と共に始まる「ケチャダンス」です。インド洋に沈む夕日をバックに展開される円形劇場での演技は、圧倒的な迫力を誇ります。バリ舞踊の中でも特に知られており、その夢幻のような世界観は、一生忘れられない思い出となることでしょう。
炎と男たちの声が織りなす神秘的な舞台
ケチャダンスの大きな特徴は、ガムランなどの楽器をまったく使用しない点です。音楽の代わりに存在するのは、上半身裸で腰に布を巻いた数十名から百名を超える男性たちによるリズミカルな合唱です。「チャッ、チャッ、チャッ」という呪術的な声が波のように響き渡り、独特のトランス状態を作り出します。この声が猿の鳴き声に似ていることから、「モンキーダンス」とも称されています。
演目は古代インドの大叙事詩「ラーマーヤナ」に基づいています。悪魔の王ラワナにさらわれたシータ姫を、夫のラーマ王子が猿の軍勢と共に救出に向かう英雄譚です。言葉が理解できなくても、ダンサーの豊かな表情や力強い動き、そして華やかな衣装を目にするだけで、物語の世界に自然と引き込まれます。
公演のクライマックスでは、猿の将軍ハヌマーンが炎に包まれるシーンが登場し、その迫力は思わず鳥肌が立つほどです。燃え盛る炎が黄昏の闇を照らし、男性たちの合唱が最高潮に達する瞬間は、観客の間からも歓声が湧き上がります。自然の美景と人間の創造する芸術が見事に調和した、まさに奇跡のひとときです。
チケット購入からベストポジション確保まで — 事前準備と当日の流れ
大人気のケチャダンスを確実に、そして良い席で鑑賞するには、事前の準備と当日の行動が不可欠です。ここでは、チケット取得から鑑賞までの【具体的な手順】を詳しく紹介します。
- チケットの購入方法
ウルワツ寺院のケチャダンスチケットは主に以下の2つの方法で入手可能です。
- オンライン事前予約: KlookやKKdayといった旅行アクティビティ予約サイトや現地ツアー会社の公式サイトから購入できます。特に7月から9月や年末年始のハイシーズンは早々に売り切れることが多いため、予定が決まっている場合は早めの予約を強く推奨します。価格はサイトによって異なりますが、おおむね150,000ルピア(約1,500円)前後です。Eチケットをスマホに保存しておけば、当日はQRコードを提示するだけでスムーズに入場できます。
- 現地での当日券購入: 寺院敷地内に設けられているケチャダンス専用チケットカウンターで購入できます。販売開始は通常17時頃ですが、それ以前から長い列ができることも珍しくありません。オンラインで完売でも、当日券がわずかに残っている場合もありますが確約はできません。現金のみ対応の場合もあるので、十分なルピアを用意しておくと安心です。
なお、ウルワツ寺院の入場料(2024年現在、大人50,000ルピア)とケチャダンス鑑賞料金は別々です。まず寺院の入口で入場券を購入し、その後にケチャダンスのチケットカウンターへ向かう流れになります。
物語の理解が深まるケチャダンスのあらすじ
ケチャダンスをより充実して楽しむ秘訣は、事前に「ラーマーヤナ物語」の内容を押さえておくことです。会場入り口では日本語で記されたあらすじ用紙が配布されるので、開演前に目を通すことをおすすめします。
- 主な登場人物
- ラーマ王子: 物語の主人公。アヨーディヤ国の王子。
- シータ姫: ラーマの美しい妻。
- ラクシュマナ: ラーマの忠実な弟。
- ラワナ: ランカ島の強大な魔王。シータ姫を誘拐する。
- ハヌマーン: 白猿の将軍。圧倒的な力でラーマ王子を支援する。
- スグリワ: 猿の王。
物語は、森で暮らすラーマとシータの前に黄金の鹿が現れる場面から始まります。これは魔王ラワナの仕掛けた罠であり、ラーマがその鹿を追う間にシータ姫が誘拐されてしまいます。悲嘆に暮れたラーマは猿の王スグリワと将軍ハヌマーンの力を借りて魔王ラワナが支配するランカ島へ向かいます。ハヌマーンの活躍によりシータ姫の居場所が判明し、激闘の末にラーマがラワナを倒し、無事にシータ姫を救い出すという筋書きです。
このあらすじを頭に入れておくだけで、ダンサーの動作ひとつひとつの意味が理解でき、感情移入がよりいっそう深まります。とりわけコミカルな演技で観客を楽しませるハヌマーンの出番は見逃せません。
ベストシートはどこ?席選びのポイント
ケチャダンスの会場は、舞台を囲むすり鉢状の円形劇場となっています。全席自由席のため、座る場所によって鑑賞感が大きく異なります。最高の思い出を作るための【座席選びのポイント】をご紹介します。
- 夕陽と舞踊の両方を楽しみたいなら西側の席
最も人気があるのは、西側の席で、舞台の向こうにインド洋と夕陽を見ることができます。開演前に空が茜色に染まる様子を堪能し、日没と共に始まるダンスを最高の環境で観賞できます。この席を確保するには、開場時間(通常17時頃)よりかなり早めに並ぶ必要があり、少なくとも16時30分までには列に加わることをおすすめします。
- 物語に集中したいなら中央付近の席
ステージ正面(南側)に位置する中央席は、ダンサーの細かい表情や動きがよく見え、物語の全体像もつかみやすいです。特に登場人物の出入り口正面の席は迫力満点です。
- 上段席がおすすめ
前の人の頭が視界を遮らず、舞台全体と背景の海を一望できる上段の席が理想的です。下段はダンサーに近く臨場感がありますが、視界が妨げられることもあります。
- 通路側の席も狙い目
公演中にハヌマーンらのキャラクターが観客席に降りてきて触れ合うことがあります。通路側の座席にいると、このような演者との接近チャンスが期待できます。
公演時間は約1時間です。石段の座席は硬いため、薄めのクッションや折り畳んだストールなどを持参すると快適に過ごせます。素晴らしい演者たちに敬意を表し、上演中のフラッシュ撮影は控えましょう。
ウルワツ寺院を120%楽しむための実践的アドバイス
絶景と感動を味わえるウルワツ寺院ですが、アクセス方法や服装についてあらかじめ把握しておくべきポイントがいくつかあります。快適でスムーズな旅を実現するために、具体的な情報をお届けします。
アクセス方法 – 自分に合った移動手段を選ぼう
ウルワツ寺院はクタやスミニャックなどの主要観光エリアから車で約1時間から1時間半の距離にあります。公共交通機関は十分に整っていないため、移動は以下のいずれかの方法が主流です。
- カーチャーター(プライベートチャーター)
車とドライバーを時間単位で貸し切るスタイルで、最も自由度が高くおすすめです。料金は車種と利用時間によりますが、6時間で約500,000〜700,000ルピア(およそ5,000〜7,000円)が相場です。ウルワツ寺院のみならず、途中でビーチやカフェに立ち寄るなど、オリジナルのプランを組めます。ドライバーはケチャダンス終了まで待機してくれるため、帰路も安心です。現地のツアー会社やホテルのツアーデスク、またはオンラインで事前予約が可能です。
- タクシー・配車アプリ(Gojek/Grab)
メーター制のブルーバードタクシーや、配車アプリのGojek(ゴジェック)やGrab(グラブ)を利用する方法です。片道ならカーチャーターより費用を抑えられますが、注意点があります。夕方以降、ウルワツ周辺はクタ方面へ帰る観光客で混雑し、アプリ上で車がつかまりにくくなる「配車難民」状態になることがあります。また、地域によってはアプリ利用が制限される場合もあります。行きは問題なくても、帰りの移動が困難になる可能性があることに留意しましょう。
- ツアーへの参加
移動手段やチケット手配をすべて任せたい場合は、ウルワツ寺院のサンセット&ケチャダンス鑑賞を含む半日または一日ツアーに参加するのが手軽で便利です。他の観光地と組み合わせたり、ディナー付きプランもあります。一人旅や初めてのバリ旅行の方には安心できる選択肢です。
いずれの方法を利用しても、夕方のウルワツ周辺は渋滞が起こりやすいので、ケチャダンスの開始時間に間に合うよう、時間に余裕をもって計画を立てることが重要です。
服装規定と持ち物リスト – 敬意を払いながら快適に過ごすために
ウルワツ寺院は神聖な祈りの場であるため、訪問時には服装に注意が必要です。礼儀を尽くしながら、南国の気候に合わせて快適に過ごせる【服装規定と持ち物のポイント】をご紹介します。
- 服装規定:肌の露出は控えめに
寺院の規則として、肩と膝を隠す服装が求められます。キャミソールやタンクトップ、ショートパンツ、ミニスカートなどは入場不可です。
- トップス: 袖のあるTシャツやブラウスがおすすめです。
- ボトムス: くるぶし丈のロングスカートやワイドパンツ、ジーンズなどが適しています。
- サロンとスレンダンの無料貸し出し
もし当日の服装が規定に沿っていなくても心配ありません。寺院入口で「サロン(腰巻布)」と「スレンダン(腰帯)」を無料で借りられます。サロンはパレオのような布で腰に巻いて脚を覆い、スレンダンは腰に巻く帯で俗世と神聖な空間を区別する意味があります。スタッフが着用方法を教えてくれるため、バリの伝統的なスタイルを体験する良い機会にもなります。
- 自分らしいスタイルを楽しむ
貸し出しのサロンも素敵ですが、お気に入りのパレオや大判ストールを持参するのもおすすめです。アパレル勤務の私からすると、旅先でもファッションを楽しみたいもの。軽くてかさばらないパレオは腰に巻くだけでなく、肩に羽織って日除けや冷房対策としても活躍する万能アイテムです。旅のコーディネートに合わせ、自分らしい装いで参拝するのも素敵です。
【ウルワツ寺院 持ち物チェックリスト】
- 必携アイテム
- 寺院入場料やケチャダンス鑑賞料の現金(ルピア)
- 日焼け止め、日傘
- 飲み物(水分補給用。猿に取られないよう飲むとき以外はバッグにしまいましょう)
- カメラ、スマートフォン(予備バッテリーがあるとより安心)
- あると便利なもの
- サングラス(ただし猿には注意が必要です)
- 帽子(あご紐付きだと風で飛ばされにくいです)
- 虫除けスプレー(夕方は蚊が増えます)
- ウェットティッシュ
- 羽織物(カーディガンやストールなど。夜は肌寒く感じることもあります)
- オペラグラス(ケチャダンスのダンサーの表情をじっくり観たい場合に)
インドネシア観光省の公式サイトでも寺院訪問時のマナーについて案内されていますので、ぜひ参考にしてください。
ベストな訪問時間と滞在時間の目安
ウルワツ寺院の訪問目的によって、おすすめの時間帯は異なります。
- 静かに寺院を散策したい場合は午前中
観光客がまだ少なく、ゆったりと建築や断崖の絶景を楽しみたいなら午前中が適しています。日差しは強いですが、青空と海の鮮やかな対比が最も美しい時間帯でもあります。
- 夕日とケチャダンスを楽しみたいなら午後
ウルワツ寺院の最大の見どころはサンセットタイム。ケチャダンスも観賞するなら15:30〜16:00頃に到着するのが理想です。
【サンセット&ケチャダンス鑑賞のモデルスケジュール】
- 15:30 ウルワツ寺院に到着。入場券を購入し、サロンを着用。
- 15:30〜16:30 寺院内を散策しながら絶景スポットで写真撮影。日がまだ高い時間帯の風景を満喫。
- 16:30 ケチャダンスのチケットカウンターに並ぶ、またはオンラインチケット保持者は入場列に並ぶ。
- 17:00 ケチャダンス会場が開場。良い席を確保。
- 17:00〜18:00 インド洋に沈む夕陽をゆったり鑑賞。
- 18:00〜19:00 ケチャダンス上演。幻想的な舞台に引き込まれる。
- 19:00 上演終了。出口は混雑するため、少し時間を空けてから移動するのがおすすめ。
このプランなら、寺院散策、サンセット、ケチャダンスの三大魅力をすべて楽しむことができます。滞在時間は約3時間半から4時間ほどを見積もっておくと良いでしょう。
ウルワツ寺院周辺のおすすめスポット&グルメ

ウルワツ寺院への訪問は、半日以上かける価値が十分にあります。南部のウルワツエリアまで足を運ぶなら、周辺の魅力的なスポットにも立ち寄って、1日を存分に楽しむことをおすすめします。
崖の上に広がる絶景カフェでサンセットを満喫
ウルワツエリアには、インド洋を一望できる崖の上に建つおしゃれなカフェやビーチクラブが点在しています。ケチャダンスの開始前に少し余裕があれば、こうした場所でゆったり過ごすのも贅沢なひとときです。
- Single Fin Bali(シングルフィン・バリ)
ウルワツのサーファーたちにとっての聖地とも言える伝説的なサーフバー&カフェ。断崖に突き出たテラス席からの景色は見事で、特に日曜夜に行われるサンセットパーティーは世界中から多くの人が訪れ、盛り上がりを見せます。カジュアルな雰囲気の中、ビンタンビールを片手に夕陽を楽しむ時間は格別です。
- El Kabron Spanish Restaurant & Cliff Club(エル・カブロン)
地中海のリゾートを思わせる白を基調とした洗練された空間が魅力のクリフクラブ。インフィニティプールにつかりながらシャンパンやカクテルを味わえます。ラグジュアリーな雰囲気を求めるカップルや大人の方に特におすすめのスポットです。
これらのスポットはウルワツ寺院にも近いため、カーチャーターを利用している場合は、寺院訪問の前後に立ち寄るプランがスムーズに楽しめます。
南国リゾートの美しいビーチを満喫
ウルワツが位置するバドゥン半島には、まるで隠れ家のような美しいビーチが数多く点在しています。映画『食べて、祈って、恋をして』のロケ地としても有名な「パダンパダン・ビーチ」は、岩の裂け目を抜けた先に現れるプライベート感漂うビーチで、透明度の高い海をのんびりと楽しむのに最適です。
また、「ビンギン・ビーチ」や「ドリームランド・ビーチ」も、白砂とエメラルドグリーンの海を誇る絶景スポット。世界中から多くのサーファーが訪れる場所として知られており、そのライディングを見るだけでも楽しめます。時間に余裕があれば、昼間にこれらのビーチを訪れて過ごし、夕方からウルワツ寺院へ向かうコースがおすすめです。
ジンバランのイカン・バカールでシーフードを堪能
ウルワツ寺院で感動のサンセットとケチャダンスを鑑賞したあとは、少し足を伸ばして「ジンバラン」へ向かうのが人気の流れです。ジンバランのビーチ沿いにはシーフードBBQのワルンがずらりと並び、「イカン・バカール」として知られています。
海辺に並べられたテーブルに着き、新鮮な魚やエビ、イカなど好みのシーフードを選び、炭火で焼いてもらうスタイルです。スパイシーなソース「サンバル」が、炭火で香ばしく焼き上げられたシーフードの味わいをさらに引き立てます。波の音をBGMに満天の星空の下でいただくディナーは、バリ島旅行の忘れがたい思い出になるでしょう。ウルワツからの帰路に位置するため、カーチャーターのドライバーに立ち寄りをお願いするのが便利です。
安全に旅するための女性目線のセキュリティチェック
バリ島は比較的治安の良い地域ですが、やはり海外であることには変わりありません。特に女性が一人で旅行する際には、自身の安全に対する意識をしっかり持つことが重要です。最後に、ウルワツ寺院の旅を安心して楽しむための【安全対策】をいくつかご紹介します。
- 貴重品の管理を徹底しましょう
これは猿の被害だけでなく、人によるスリや置き引き対策にも欠かせません。バッグは常に体の前で持ち、口がしっかり閉まるタイプを選びましょう。パスポートや多額の現金はホテルのセーフティーボックスに預け、その日必要な分だけを携帯するのが賢明です。
- 夜間の移動は信頼できる方法を利用する
ケチャダンスの終了時刻は19時過ぎで、すでに辺りは暗くなっています。暗い道を一人で歩くことは避け、あらかじめ予約したカーチャーターや、信頼性のあるブルーバードタクシーを利用しましょう。配車アプリを使う場合も、乗車前に車両ナンバーとドライバーの顔写真がアプリの表示と一致しているか必ず確認してください。
- しつこい客引きや物売りには断固とした態度を
観光地では、物売りや「案内しますよ」と声をかけられることがよくあります。関心がなければ、曖昧な態度を取らずに「No, thank you」とはっきり断り、その場を離れましょう。
- トラブル時の連絡先を事前に控えておく
万が一、パスポートの紛失や盗難、その他の事件・事故に巻き込まれた場合に備え、在デンパサール日本国総領事館の連絡先や、現地警察、加入している海外旅行保険の緊急連絡先などをスマートフォンのメモや紙に控えておくと安心です。
少しの注意で多くのトラブルは未然に防げます。準備をしっかり行い、安心して旅を満喫してください。
雄大なインド洋の自然、バリ・ヒンドゥーの深い信仰、そして人々を魅了する芸術。ウルワツ寺院は、それらが凝縮された聖なる場所と言えるでしょう。断崖に立ち、潮風に頬をなでられながら、水平線に沈む夕陽を眺める瞬間、日常の喧騒から解放され、心が深い感動に包まれるはずです。そして、夜の帳が訪れる頃に始まる炎と声の饗宴は、旅の思い出に鮮やかな一ページを刻みます。
この記事が、あなたのウルワツ寺院への旅をより豊かで安全、忘れられないものにするお手伝いとなれば幸いです。ぜひ、神々の島バリのエネルギーを全身で感じ取ってください。





