ネオンが煌めく高層ビル群、世界中の美食が集まるレストラン、そしてエネルギッシュな人々が織りなす喧騒。多くの人が「香港」と聞いて思い浮かべるのは、そんな刺激的な都市の姿ではないでしょうか。大陸を車で旅する私にとっても、香港は立ち寄るたびにその圧倒的なパワーに魅了される場所です。しかし、そんなエネルギッシュな香港に、まるで時間が止まったかのような穏やかな島が存在することをご存知でしょうか。
その名は「坪洲(ペンチャウ)」。
香港島の中心地、中環(セントラル)からフェリーでわずか30〜40分。都会の摩天楼を背に船に揺られれば、そこは別世界。車の走行が原則的に認められていないこの小さな島には、エンジンの音の代わりに鳥のさえずりと、島民たちの穏やかな話し声が響き渡ります。路地裏を吹き抜ける潮風はどこか懐かしく、人々の暮らしが息づくレトロな街並みは、訪れる者の心を優しく解きほぐしてくれるのです。
この記事では、元自動車整備士というキャリアを持ち、大陸のハイウェイをひた走ってきた私が、車の喧騒とは対極にある坪洲の魅力にどっぷりと浸かり、そのすべてを余すところなくお伝えします。賑やかな香港観光の合間に、心からリラックスできる一日を過ごしたい。そんなあなたのための、坪洲完全ガイドです。さあ、一緒にスローな島の旅へ出かけましょう。
坪洲でゆったりとした時間を過ごした後は、香港島で夕日が美しい西環泳棚を訪れてみるのもおすすめです。
坪洲ってどんな島? – 知られざる魅力に迫る

坪洲は、香港にある260以上の島々のひとつで、ランタオ島と香港島の間に位置しています。面積は約1平方キロメートルと非常に小さく、島の端から端まで歩いてもそれほど時間はかかりません。この小さな島が多くの人を引きつける理由は、その歴史と独特の雰囲気にあります。
工業地帯からアートと癒やしの島へと変貌
意外に感じるかもしれませんが、1960年代から80年代にかけて坪洲は香港の主要な工業地帯の一つでした。特にマッチ工場や籐製品工場、そして島の名物であった革工場「牛皮廠」が有名です。最盛期には多数の工場が稼働し、島は活気に満ちていたと言われます。しかし時代の変遷とともにこれらの産業は衰退し、多くの工場が閉鎖されて島には静けさが戻りました。
その後、廃工場がアーティストたちの手により新たな息吹を得ました。彼らはこの独特な空間に魅了され、アトリエやギャラリーとして活用し始めました。その象徴が後で詳しく紹介する「牛皮廠藝術村(Cattle Depot Artist Village)」です。かつて工業の島だった坪洲は、今ではアートとカルチャーが共存するクリエイティブな場へと生まれ変わり、新たな魅力を放っています。産業遺産と現代アートが織りなす風景は、坪洲ならではの特色と言えるでしょう。
時が止まったかのような懐かしい街並み
坪洲のフェリー乗り場に降り立つと、まず感じるのはその静かでのどかな空気です。島には高層の建物がなく、視界は広々と開けています。メインストリートの「永安街」を歩くと、昔ながらの商店や食堂、乾物屋が軒を連ね、店主が客と談笑する風景が見られます。路地裏では猫がのんびりと昼寝をするなど、穏やかな日常が息づいています。
この島では自転車が交通の主役であり、島民たちはゆったりと自転車を走らせています。その様子は都会の慌ただしさとは対照的です。訪れる観光客もレンタサイクルを利用して、自分のペースで風を感じながら島を巡ることができます。派手な観光地ではないがゆえに、ここには香港の素朴な暮らしが色濃く残り、まるで昭和時代にタイムスリップしたかのような懐かしさと温もりが島全体を包み込んでいます。
小さくても見どころ豊富!徒歩で手軽に探検できる
坪洲の大きな魅力の一つは、そのコンパクトさにあります。主な見所はフェリー乗り場から徒歩圏内にまとまっているため、特別な準備無しでも気軽に散策を楽しめます。永安街で地元の雰囲気を味わい、少し歩くと美しいビーチが広がり、小高い丘に登れば香港の素晴らしい景色が広がっています。
この手軽さが坪洲を「思い立ったらすぐ行ける癒しの場所」にしています。旅の隙間時間に静かな場所でリフレッシュしたい時や人混みに疲れた時、坪洲はいつでも優しく迎えてくれます。1日あれば島の主要スポットを巡り、美味しい食事を楽しみながら心ゆくまでリラックスすることが可能です。自分の足で島のリズムを感じつつ、まるで宝探しのように路地裏を巡る贅沢な時間を過ごせるでしょう。
坪洲へのアクセス完全ガイド – 迷わず行ける船旅のすすめ
坪洲への旅はフェリー乗船からスタートします。都会の高層ビルを背にして、穏やかな島へ向かう船旅自体が特別な体験となります。ここでは、誰もが迷わず坪洲にアクセスできるよう、道順をステップごとに詳しく解説します。特に、香港を初めて訪れる方やフェリーに慣れていない方も安心してご利用いただけます。
フェリー乗り場の場所 – 中環(セントラル)フェリーターミナルを目指そう
坪洲行きのフェリーは、香港島の「中環(セントラル)フェリー埠頭」から出航します。MTR中環駅や香港駅から海側へ歩道橋を渡ると、海に突き出す形で複数の埠頭が並んでいます。それぞれの埠頭には番号が付けられており、目的地によって乗り場が異なります。
坪洲行きは「6番埠頭」です。
埠頭には大きなデジタル案内板が設置され、行き先や次の出航時間が表示されているため一目で分かります。「Peng Chau」の表示を探してみましょう。もし迷った際は、遠慮せず近くのスタッフに「ペンチャウ?」と尋ねると、親切に教えてもらえます。
中環のフェリー乗り場はラマ島や長洲島など他の離島への玄関口でもあり、賑やかな雰囲気です。少し早めに到着して、海の眺めを楽しんだり埠頭の空気感を味わったりするのもおすすめです。
チケット購入方法と運賃 – オクトパスカードがとても便利!
フェリーのチケット購入はとても簡単です。特に、香港の交通系ICカード「オクトパスカード(八達通)」を持っている場合は、日本の電車と同じように改札機にタッチするだけで乗船が可能です。現金払いの場合は、改札近くの券売機または窓口で購入してください。
【オクトパスカード利用の流れ】
- 中環フェリー埠頭の6番乗り場へ向かう。
- 乗り場入口の改札機にオクトパスカードを「ピッ」と音が鳴るまでかざす。
- 料金が自動で引き落とされ、ゲートが開いて乗船完了。
坪洲行きフェリーには「普通船(Ordinary Ferry)」と「高速船(Fast Ferry)」の2種類があり、所要時間と料金が異なります。
- 普通船(Ordinary Ferry):
- 所要時間:約40〜45分
- 運賃:平日HK$16.6、週末・祝日HK$23.9(大人料金)
- 特徴:ゆっくりした船旅で、料金が手頃。デッキに出て潮風を感じながら景色を楽しめるのが魅力です。
- 高速船(Fast Ferry):
- 所要時間:約25〜30分
- 運賃:平日HK$31.0、週末・祝日HK$45.4(大人料金)
- 特徴:短時間で到着し、エアコン完備の快適な船内が特徴。時間を有効活用したい方に適しています。
※料金は2024年5月時点の情報で、変更の可能性があります。
乗船口は普通船と高速船で分かれているため、掲示をよく確認して選んでください。個人的には、往路はゆったり景色を楽しめる普通船、復路は快適な高速船を利用するといった使い分けが便利です。
【公式情報の確認】 フェリーの運航スケジュールや最新の料金は、天候や季節によって変わることがあります。出発前に、新渡輪(Sun Ferry)の公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。サイトは英語対応もしています。
フェリー乗船時の注意点 – 快適に過ごすために
フェリーは比較的揺れが少ないですが、船酔いが心配な方は事前に対策を行うと安心です。
- 酔い止め薬の用意: 乗船30分前を目安に服用すると効果的です。香港のドラッグストアでも購入可能です。
- 座席の選び方: 船の中央付近の座席が最も揺れにくく、進行方向を向いて座るのが望ましいです。
- 遠くの景色を見る: 船内で近くの画面を見続けるよりも、窓の外の遠景を眺めることで酔いにくくなります。
普通船では追加料金でデラックスクラスの客室が利用でき、エアコン完備の快適な席で過ごせます。特に暑い季節には検討をおすすめします。
船内には売店や自動販売機はないため、飲料などは乗船前に購入しておくのが賢明です。中環フェリー乗り場にはコンビニやカフェがあるので、そこで買い揃えておきましょう。
坪洲でしたいことリスト – スローな島時間を満喫する

フェリーを降りれば、そこはもう坪洲の地。ここからは、この島ならではの特別な体験が始まります。絶景を求めてハイキングに挑むもよし、アートに触れて感性を刺激するもよし、ただ何気なく路地裏をぶらつくだけでも、心に残る発見がきっとあるでしょう。ここでは、坪洲を訪れたらぜひ体験してほしいおすすめをご紹介します。
坪洲の中心「永安街(Wing On Street)」を気ままに散策
フェリー乗り場からすぐの「永安街」は島の暮らしの中心地。短い通りながら、坪洲の魅力がギュッと詰まっています。通り沿いには八百屋、肉屋、金物店、昔ながらのパン屋さん、そして地元の憩いの場であるレトロな喫茶店「冰室(ビンサッ)」が並びます。
店先から聞こえる広東語の会話、干物の独特な香り、焼きたてパンの甘い香り。五感をフルに使って、島の生活を実感できる場所です。観光客向けの派手なお土産店はほとんど見かけず、日常的に使われている品々が並ぶため、そこに本物の香港の暮らしが垣間見えます。
ここでは、あらかじめ目的を決めずにゆったりと歩くのがおすすめ。気になったお店にふらりと立ち寄り、店主と身振り手振りで交流を楽しむのも貴重な体験です。言葉が通じなくても、温かな笑顔で迎えてくれるでしょう。この通りを歩くだけで、坪洲の暮らしがどれほど身近なものかを感じ取れるはずです。
アートの拠点「牛皮廠藝術村」で新たな感性を刺激
永安街を抜け、少し奥まった路地にあるのが坪洲のアートの象徴、「牛皮廠藝術村(Cattle Depot Artist Village)」です。かつて革なめし工場として使われていた建物をリノベーションしたアートスペースで、歴史的な赤レンガの壁と現代アート作品が見事に調和した独特の空間が広がります。
複数のアトリエやギャラリーには、絵画、彫刻、インスタレーションなど多彩なジャンルの作品が並びます。週末にはワークショップやイベントも開催され、新鮮な発見が絶えません。静謐な空間でアートにじっくり向き合う時間は、都会の喧騒から離れて心を整える貴重なひとときです。
【訪問時の留意点】 牛皮廠はアーティストの創作現場でもあります。鑑賞時は静かに振る舞い、アトリエ内の無断撮影や作業の妨げには十分注意しましょう。開館時間はギャラリーにより異なるため、特定の展示を狙う場合は事前に情報をチェックしておくことをおすすめします。
島一の高台「指先山(Finger Hill)」で360度の絶景パノラマを満喫
坪洲に来たら外せないのが、この島で最も高い丘「指先山」からの眺望。標高95メートルほどで、大袈裟な登山というよりは気軽なハイキング感覚です。フェリー乗り場からゆったり歩いて約30分で頂上に到着します。
整備されたハイキングコースには案内板も設置されており、迷う心配はありません。緑に囲まれ、鳥のさえずりが心地よいBGMのように響きます。適度な運動による汗も爽快です。
山頂に立つと目の前に広がるその景色は圧巻。東には香港島の高層ビル群、西には広大なランタオ島、北には香港ディズニーランドや青馬大橋までも一望できる360度のパノラマ。都市のすぐ近くにありながら、これほどまでに静かで美しい自然に包まれている不思議な感覚。このコントラストこそ坪洲の大きな魅力の一つだと実感できます。
ハイキングを安全に楽しむためのポイント
手軽なコースとはいえ、準備は重要です。安全に楽しむため、以下の点に注意しましょう。
- 服装・靴: 動きやすく汗を吸いやすい服装がおすすめ。舗装道が多いものの、階段や坂道もあるため、歩きやすいスニーカーなどの靴を選び、サンダルは避けましょう。
- 飲み物: 特に夏は湿度が高く汗をかきやすいため、十分な水分やスポーツドリンクを必ず持参してください。山頂に自動販売機はありません。
- 虫除け: 自然環境のため蚊などがいます。出発前に虫よけスプレーをしっかり塗ることを強く推奨します。
- 天候: 出発前に必ず天気予報を確認しましょう。雨天時は滑りやすく危険で、雷注意報が出ている場合はハイキングを見合わせてください。
坪洲の歴史を伝える「天后廟」と「龍母廟」を訪ねる
坪洲には島の歴史や人々の信仰を物語る古い廟が点在しています。中でも代表的なのは、海の守護神である天后(媽祖)を祀る「天后廟」。1792年に建立され、坪洲で最も古い廟の一つです。漁業で栄えた島の歴史を象徴する場所として、今も多くの島民から篤く信仰されています。
廟内は静かで厳かな空気が漂い、渦巻き線香の煙と精緻な彫刻の屋根から歴史の重みを感じられます。旅の安全を願い、ゆっくりと手を合わせてみてはいかがでしょうか。参考情報として、香港の寺院に関する詳細はAntiquities and Monuments Officeの公式ページも一読するとよいでしょう。
もう一つ訪れてほしいのが、少し風変わりな「龍母廟」。ここには龍の母とされる神様が祀られており、特に安産や子宝のご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。廟の前には「龍床」と呼ばれる石のベッドがあり、触れると幸運がもたらされると伝えられています。島のパワースポットとして、不思議なエネルギーを感じるのも良い思い出となるでしょう。
坪洲グルメ探訪 – 素朴で美味しい島のごはん
旅の醍醐味といえば、やはりグルメが欠かせません。坪洲にはミシュランの星を獲得したような華やかなレストランは少ないものの、地元の人々に長く愛されてきた、素朴で温かみのある美味しい料理が数多くあります。散策中にお腹が空いたら、ぜひ島の味を存分に味わってみてください。
地元に愛される海鮮料理 – 新鮮な海の幸を堪能
島を訪れたなら、やはり新鮮なシーフードは外せません。坪洲には、家族で営む小さな海鮮食堂がいくつか点在しており、フェリー乗り場周辺や永安街に多く見られます。店の前の水槽には獲れたての魚介類が生き生きと泳いでいます。
おすすめの楽しみ方は、水槽から好きな魚介を選び、蒸す、炒める、揚げるなどの調理方法を伝えて注文するスタイルです。定番料理には、シャコをガーリックと唐辛子で炒めた「椒鹽瀨尿蝦(ジウイムライニウハー)」や、ハタの蒸し物「清蒸石斑(チンジェンセッパーン)」などがあります。言葉が不安でも、指差しや簡単な英語で問題なくオーダー可能です。素材の新鮮さを活かしたシンプルな味付けは格別。青空の下、潮風に包まれながらビールとともに味わう海鮮料理は、まさに至福のひとときです。
レトロなカフェでひと息 – 坪洲独特のリラックスタイム
散策に疲れたら、カフェでひと休みするのもいいでしょう。近年、坪洲には島の風情に溶け込むような、おしゃれで居心地の良いカフェが少しずつ増えています。古い建物を改装したカフェも多く、ノスタルジックな空間でゆったりとした時間を過ごせます。
美味しいコーヒーや香港を代表するミルクティー「港式奶茶(ゴンセッナイチャー)」を手に、窓の外の穏やかな風景を眺める。そんなささやかな時間が、旅の素敵な思い出になるでしょう。自家製ケーキやスコーンを提供している店もあり、小腹がすいた時にもぴったり。忙しい日常を忘れ、ただ流れる時間に身をゆだねてみてください。
食べ歩きも楽しい!地元のスイーツ&スナック
坪洲では、気軽に味わえる食べ歩きグルメも豊富です。永安街にある昔ながらのパン屋「麵包舖(ミンバウポウ)」をのぞいてみましょう。店頭には、パイナップルパン(菠蘿包)やココナッツタルト(雞尾包)、香港名物のエッグタルト(蛋撻)など、焼きたてのパンやスイーツがずらりと並びます。どれもお手頃価格で、素朴ながらも飽きのこない味わいです。
また、豆腐を使ったスイーツ「豆腐花(ダウフーファー)」もぜひ試してください。なめらかな温かい豆腐に甘いシロップや生姜シロップをかけていただくもので、シンプルながら奥深い味わいがあり、歩き疲れた体にじんわりと染みわたります。こうした地元の味を少しずつつまみながら島を巡るのも、坪洲散策の魅力のひとつです。
旅のプランニング – 坪洲を最大限に楽しむためのヒント

さあ、ここまで読んで坪洲に行きたくなったあなたへ。最後に、旅をより快適で充実したものにするための実践的な情報をお届けします。しっかりと準備を整えて、最高の島時間を満喫してください。
おすすめの滞在時間とモデルプラン
坪洲はコンパクトな島なので、半日でも十分に楽しめますが、できれば一日かけてゆったり過ごすのが理想的です。
- 半日(約4時間)弾丸プラン:
- 午前中に中環からフェリーで出発 → 坪洲に到着後、永安街を散策 → 海鮮レストランで早めのランチ → 指先山へ軽いハイキング → 午後のフェリーで中環に戻る。
- 1日(約7〜8時間)満喫プラン:
- 午前中に中環からフェリーで出発 → 坪洲に到着したら、まず指先山へハイキング。涼しい時間帯に絶景を楽しむ → 永安街でランチと散策 → 牛皮廠でアート鑑賞 → レトロなカフェでひと休み → 島のビーチでリラックス → 夕方のフェリーで中環へ戻る。
あくまで一例ですので、自分のペースで興味のある場所を自由に巡るのが一番。レンタサイクルを借りて島の隅々まで探検するのも素敵な計画です。
準備と持ち物リスト – これがあれば安心!
快適な島旅を楽しむために、以下の持ち物リストを参考にしてください。
- 必携アイテム:
- 歩きやすい靴: 島内は基本的に徒歩移動になります。スニーカーが最適です。
- オクトパスカードまたは現金: フェリーの支払いおよび小さなお店での買い物に必要です。島内のATMは少ないため、ある程度の現金を用意しておくと安心です。
- 日焼け対策グッズ: 帽子、サングラス、日焼け止めは必須です。日陰の少ない場所が多いため、特に夏はしっかり対策を。
- 虫よけスプレー: ハイキング時には必ず持参しましょう。
- 飲み物: こまめな水分補給が重要です。水筒持参は環境にも優しい選択です。
- モバイルバッテリー: 写真撮影や地図確認でスマホの充電が予想以上に減るため、あると安心です。
- あると便利なもの:
- ウェットティッシュ: 食べ歩きやちょっとした汚れを拭くのに便利です。
- 小さなタオル: 汗を拭いたり手を洗った後に重宝します。
- エコバッグ: 小さなお店ではビニール袋が有料のことがあります。
坪洲の観光に役立つ情報は、香港離島区議会の公式サイトもぜひ訪問前にご覧ください。
坪洲のルールとマナー – 島の暮らしを大切に
坪洲は観光地であると同時に、たくさんの人が暮らす生活の場でもあります。訪れる際は島の住民の生活を尊重し、以下のマナーを守りましょう。
- ゴミは持ち帰る: 島内にはゴミ箱がありますが、自分の出したゴミはできるだけ持ち帰ることを心がけ、美しい環境を守りましょう。
- 静かに過ごす: 坪洲の魅力は静けさにあります。特に住宅街では大声を出したり騒ぐのを控えましょう。
- 写真撮影のマナー: 人を撮影する際は必ず一声かけて許可を得てください。民家の中を覗き込むような撮影は絶対に避けましょう。
- 自転車のルール: レンタサイクル利用時は歩行者優先を徹底し、狭い路地ではスピードを落として安全運転に努めましょう。
- 持ち込み禁止物: 島への危険物や生態系に悪影響を及ぼす恐れのある動植物の持ち込みは禁止されています。常識の範囲内で行動してください。
トラブルシューティング – もしもの時に備えて
旅にはトラブルがつきものですが、あらかじめ対応方法を知っていれば、慌てずに冷静に対処できます。ここでは坪洲で起こりうる可能性のあるトラブルと、その対策についてご紹介します。
フェリーに乗り遅れたら? – 次の便を確認しよう
坪洲を散策しているうちに、乗ろうとしていたフェリーに間に合わなかったということは誰にでも起こり得ます。しかし、慌てる必要はありません。
【対処の手順】
- まずは落ち着いて、フェリー乗り場の時刻表を確認しましょう。普通船と高速船の両方の次の便の時間をチェックすることが大切です。
- フェリーは日中、30分から45分おきに運航していることが多いので、次の便までの間は乗り場付近のカフェで休憩したり、お土産屋さんを見て回ったりしながら待つのがよいでしょう。
- 最も重要なのは最終便の時刻を把握しておくことです。中環(セントラル)への最終便は比較的遅くまでありますが、事前に香港運輸署のウェブサイトなどで確認し、乗り遅れを防ぐために余裕を持った行動計画を立てることが大切です。
もし最終便に乗り遅れてしまうと、坪洲には宿泊施設がほとんどないため、非常に困った状況に陥ります。そうならないように、帰りの時間は特に注意しましょう。
体調を崩した場合は? – 島内クリニックの情報
旅行中に体調が急に悪くなったり、ケガをしたりすることもあるかもしれません。坪洲には政府運営の「坪洲公立診所(Peng Chau Public Clinic)」というクリニックがあり、軽い診察や応急処置に対応しています。
ただし、ここはあくまで初期対応用の施設なので、重症の場合や専門的な治療が必要な場合には、フェリーで香港島へ戻り大きな病院を受診する必要があります。海外旅行保険には必ず入っておき、必要な連絡先や保険証券をすぐに確認できるように準備しておくことが重要です。
熱中症や脱水症状は予防が可能なトラブルです。こまめな水分補給と休憩を欠かさず、無理せず行動することが何より大切です。
言葉が通じない場合は? – 翻訳アプリを使おう
坪洲の公用語は広東語です。観光客慣れした店舗では簡単な英語が通じることもありますが、地元の食堂や商店ではほとんど通じないことが多いでしょう。そうした場合に頼りになるのがスマートフォンの翻訳アプリです。
音声入力やカメラ翻訳機能を活用すれば、メニューの読み取りや簡単な質問に役立ちます。オフラインでも使える翻訳アプリを事前にダウンロードしておくと、通信環境に左右されず安心です。
また、「唔該(ンーゴイ)=ありがとう・すみません」、「幾多錢?(ゲイドーチン?)=いくら?」などの基本的な挨拶やフレーズを覚えておくと、地元の人とのコミュニケーションがよりスムーズになり、旅が一層楽しくなります。
坪洲の静寂が教えてくれること

一日を通して坪洲の穏やかな空気に包まれていると、普段どれほど多くの音や情報に囲まれて生活しているかを改めて感じます。大陸横断の旅では、力強く響くエンジンの鼓動やタイヤがアスファルトを捉えるロードノイズが常に隣にありました。それもまた心地よいBGMではありますが、坪洲で聞こえてくるのは風のそよぎ、波のさざめき、そして人々の穏やかな笑い声だけです。
ここでは、誰もが自分のペースで時間を紡いでいます。急ぎ足の人は一人もいません。指先山の頂上から香港の摩天楼を見下ろしたとき、その煌びやかな都市のすぐ隣に、これほどまでに人間味あふれる温かい場所が存在していることに、深い感銘を受けました。
坪洲の旅は、次々と特別なアトラクションを巡るものではありません。むしろ、何もしない時間、ただぼんやりと景色を眺めたり、路地裏で猫を目で追ったりするひとときこそが、真の価値を持っていると感じます。それは、情報や刺激に疲れた心をリセットし、自分自身と向き合うための、大切なひとときです。
もしあなたが香港の喧騒に少し心疲れているなら、ぜひ中環フェリー乗り場から船に乗ってみてください。わずか30分ほどの船旅が、まったく異なる世界へとあなたを誘ってくれるはずです。そして坪洲の静寂の中で、自分の心の声に耳を傾けてみてください。きっと、明日へ向かう新たなエネルギーが見つかることでしょう。

