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    香港ナイトマーケットの女王!女人街(トンチョイストリート)完全攻略ガイド|お土産探しからB級グルメまで徹底解説

    「香港の夜」と聞いて、あなたの胸に去来するのはどんな光景でしょうか。ヴィクトリア・ハーバーを彩る100万ドルの夜景、それとも高層ビルの狭間で妖しく光るネオンサインの洪水?そのどれもが香港の紛れもない顔ですが、この街の夜の熱気を肌で感じたいのなら、訪れるべき場所はただ一つ。そう、眠らないカオスとエネルギーが渦巻くナイトマーケットの女王、女人街(Tung Choi Street / トンチョイストリート)です。

    九龍半島の心臓部、旺角(モンコック)に位置するこの通りは、ただの商店街ではありません。夕暮れと共に無数の露店が出現し、道幅いっぱいに商品を並べ、世界中から集まった観光客と地元の人々が入り乱れる巨大なエンターテイメント空間へと変貌を遂げるのです。チープでキッチュな雑貨、怪しげなブランド品、思わぬ掘り出し物、そして食欲を刺激するストリートフードの香り。五感をフル稼働させて楽しむこの場所は、香港旅行のハイライトになること間違いありません。

    この記事では、旅サイトのプロライターである私が、単なる観光案内にはとどまらない、女人街を120%楽しみ尽くすための徹底ガイドをお届けします。値切り交渉の極意から、マストバイのお土産リスト、絶対に外せない周辺のB級グルメ、さらには安全に楽しむためのヒントまで。これを読めば、あなたも女人街マスター。さあ、香港で最もエキサイティングな夜へ、一緒に繰り出しましょう!

    目次

    女人街とは?眠らないストリートの正体

    香港の夜を象徴する存在としてあまりにも有名な女人街。しかし、その名前の由来や、いつ訪れるのがベストなのか、意外と知られていないことも多いのではないでしょうか。まずは、このエネルギッシュなストリートの基本的なプロフィールを紐解いていきましょう。知れば知るほど、散策の楽しさは倍増するはずです。

    なぜ「女人街」と呼ばれるのか?その歴史と背景

    女人街の正式名称は「通菜街(Tung Choi Street)」。では、なぜ「女人街」という愛称で親しまれているのでしょうか。その答えは、このマーケットが生まれた1970年代に遡ります。

    当時の香港政府が、露天商(ホーカー)を認可制にし、特定のエリアでの営業を許可したのが始まりでした。この通菜街の南側エリアに集まった露店の多くが、女性向けの衣料品、アクセサリー、化粧品、バッグといった商品を扱っていたことから、自然と「女人街(Ladies’ Market)」と呼ばれるようになったのです。その名の通り、かつては香港の女性たちが最新の(そして安価な)ファッションを求めて集まる場所でした。

    時代は移り、今では女性向けの商品だけでなく、男性向けの衣料品、子供服、おもちゃ、スマホグッズ、トラベル用品、そして香港土産の定番まで、ありとあらゆるものが雑多に並ぶカオスなマーケットへと進化を遂げています。それでも「女人街」という名前は残り、今や香港を代表する観光地として、その名を世界に轟かせています。全長約1kmにわたって、道の両脇にぎっしりと緑色のテントが連なる光景は圧巻の一言。この緑の屋根の下には、数え切れないほどの「宝物」と「ガラクタ」が眠っているのです。

    アクセス方法を徹底ガイド!MTRで行くのが一番便利

    女人街は、世界で最も人口密度が高いと言われるエリア、旺角(モンコック)にあります。複雑に入り組んだ街ですが、公共交通機関、特にMTR(地下鉄)を使えば驚くほど簡単にアクセスできます。

    最も一般的なのは、MTR荃湾線(Tsuen Wan Line)または観塘線(Kwun Tong Line)の旺角(Mong Kok)駅で下車する方法です。駅に着いたら、E2出口を目指しましょう。出口を出て彌敦道(Nathan Road)を少し進み、最初の大きな交差点で山東街(Shan Tung Street)を右折します。そのまま真っ直ぐ歩くと、すぐに緑色の屋台群が見えてきます。そこが女人街の南側の入り口です。人の流れに乗っていけば、まず迷うことはないでしょう。

    もう一つの便利な出口がD3出口です。こちらは亞皆老街(Argyle Street)に面しており、出口を出て少し歩くと、女人街のちょうど中間あたりに出ることができます。どこから散策を始めたいかによって出口を使い分けるのも良いでしょう。

    また、一つ手前の太子(Prince Edward)駅からアクセスすることも可能です。B2出口から出て、旺角方面へ歩いていくと、女人街の北側の端にたどり着きます。こちらは比較的空いていることが多く、南へ向かって下っていくように散策するのもおすすめです。

    香港旅行の必須アイテムである交通系ICカード「オクトパスカード(八達通)」があれば、MTRもバスも乗り降りはラクラク。事前にチャージしておけば、小銭を用意する手間も省け、スムーズに移動できます。

    ベストな訪問時間帯は?活気がピークに達する夜を狙え!

    女人街は「ナイトマーケット」という名がついていますが、実は昼間から営業している店もちらほら。しかし、その真価が発揮されるのは、間違いなく夜です。

    昼過ぎ、午後2時から3時頃になると、店主たちがのそりのそりと現れ、屋台の設営を始めます。この時間帯はまだ準備中の店が多く、通りは閑散としています。午後4時を過ぎると、ほとんどの店が開店し、少しずつ活気が出てきます。

    そして、女人街が本当の顔を見せるのは、太陽が傾き、街のネオンが輝き始める午後7時以降。仕事帰りの地元の人々や、世界中から集まった観光客で通りはごった返し、熱気は最高潮に達します。この喧騒こそが女人街の醍醐味。値切り交渉の声、客を呼び込む声、人々の笑い声が混じり合い、アジアのマーケットらしいエネルギッシュな交響曲を奏でます。ピークタイムは午後7時から10時頃まで続きます。

    もし人混みが苦手であれば、少し早めの午後5時頃から訪れるか、逆に客足が少し引いてくる午後10時半以降を狙うのも一つの手です。ただし、店じまいは店によって異なり、早い店は11時頃、遅い店は深夜0時頃まで営業していますが、遅すぎると選択肢が減ってしまう可能性もあります。

    結論として、女人街の魅力を最大限に味わいたいなら、平日の午後7時から10時の間がベストタイミングと言えるでしょう。週末や祝日はさらに混雑するため、スリなどには一層の注意が必要です。

    女人街ショッピングの極意!値切り交渉は必須アトラクション

    女人街でのショッピングは、単に物を買う行為ではありません。それは、店主との駆け引きを楽しむ、一種のエンターテイメントであり、アトラクションなのです。多くの商品には値札がついていません。表示されている価格も、あってないようなもの。ここでの鉄則は「言い値で買ってはいけない」ということ。値切り交渉をマスターしてこそ、女人街の真の楽しさを知ることができるのです。

    これであなたも交渉マスター!値切りの基本ステップと魔法の言葉

    「値切るなんて、なんだか気が引ける…」そう思う方もいるかもしれません。しかし、心配はご無用。女人街では、値切り交渉はコミュニケーションの一環であり、ごく当たり前の光景です。店主も交渉されることを前提に、最初の価格を高めに設定しています。臆することなく、ゲーム感覚で楽しんでみましょう。以下に、交渉を成功させるための基本的なステップと、覚えておくと便利な広東語のフレーズをご紹介します。

    ステップ1:まずは笑顔で品定め

    気になる商品を見つけたら、まずは焦らずじっくりと商品を手に取って見てみましょう。この時、店員さんと目が合ったら、にこやかに「你好(ネイホウ / こんにちは)」と挨拶するのがポイント。最初の印象が大切です。過度に「欲しい!」というオーラを出すと足元を見られがちなので、あくまで「ちょっと見てるだけですよ」というポーカーフェイスを保ちつつ、品定めをします。

    ステップ2:値段を聞いて、リアクション!

    店員さんが電卓を叩いて値段を見せてくるか、口頭で伝えてきます。もし値段を聞きたければ、「幾多錢?(ゲイドーチン? / いくらですか?)」と尋ねてみましょう。提示された金額を見たら、ここが最初の勝負どころ。少し大げさに「えっ、そんなに高いの!?」という表情で驚いてみせるのが効果的です。そして、魔法の言葉「太貴了!(タイグァイラー! / 高すぎます!)」を発動しましょう。この一言が、交渉開始のゴングとなります。

    ステップ3:希望額を提示する(電卓バトル開始)

    次に、自分の希望額を提示します。一般的に、店側の言い値の50%〜70%あたりからスタートするのがセオリーです。例えば100香港ドルと言われたら、50ドルか60ドルあたりを電卓に打ち込んで見せます。すると、店主は「そんなの無理だよ!」というジェスチャーと共に、少しだけ値下げした金額を提示してくるでしょう。ここから、お互いが少しずつ歩み寄る電卓での応酬が始まります。このやり取りこそが、女人街ショッピングの醍醐味です。

    ステップ4:最後のひと押しと「まとめ買い」の術

    交渉が膠着状態になったら、最後のひと押し。「平啲啦(ペンディーラー / もう少し安くしてください)」と、少し困ったような、お願いするような表情で伝えてみましょう。このフレーズは非常に強力で、これで少しだけおまけしてくれることも少なくありません。 また、同じ店で複数の商品を買う「まとめ買い」も有効な交渉術です。「これを2つ買うから、合わせていくらにして?」といった交渉をすれば、単価を大きく下げてくれる可能性があります。

    ステップ5:交渉成立!感謝を忘れずに

    お互いが納得できる金額に達したら、交渉成立です。気持ちよくお金を払い、商品を受け取りましょう。そして最後に、笑顔で「唔該晒(ンゴイサーイ / ありがとうございました)」と感謝の言葉を伝えることを忘れずに。これが、次のお客さんのためにも、良い関係を築くためのマナーです。

    もし、どうしても値段が折り合わなければ、潔く諦める勇気も必要です。「唔好意思(ンホウイーシー / すみません)」と一言伝えて、その場を去りましょう。少し歩けば、同じような商品を売っている店は必ず見つかります。深追いは禁物です。

    偽物?それとも掘り出し物?商品のクオリティを見極めるコツ

    女人街の魅力の一つは、その商品の「怪しさ」にもあります。明らかに有名ブランドのデザインを模倣したバッグやTシャツ、時計などが堂々と並んでいる光景は、日本ではまずお目にかかれません。

    これらのいわゆる「コピー商品」や「パロディ商品」について、正直にお伝えしておきましょう。クオリティはまさに玉石混淆です。一目で偽物とわかるチープなものから、「A貨」と呼ばれる、素人目には見分けがつかないほど精巧に作られたものまで様々です。(ただし、これらの商品の購入・日本への持ち込みは法律に触れる可能性があるため、あくまで自己責任で判断してください。)

    ブランド品に興味がない方にとっても、商品のクオリティチェックは重要です。安さに飛びついて買ったものの、一度使っただけで壊れてしまっては元も子もありません。以下のポイントを参考に、掘り出し物を見極めましょう。

    • 衣類の場合:生地の質感、縫製の状態をチェックします。特に縫い目の終わり部分がほつれていないか、ジッパーやボタンがスムーズに動くかを確認しましょう。
    • バッグの場合:持ち手やショルダーベルトの付け根がしっかり縫い付けられているか、金具の質感が安っぽすぎないか、内側の布地の処理は丁寧か、などを確認します。
    • 雑貨の場合:プラスチック製品であれば、成形が雑でバリ(余分な突起)が残っていないか。塗装されているものであれば、色ムラや剥がれがないかをチェックしましょう。

    完璧なクオリティを求める場所ではありませんが、少しチェックするだけで「安かろう悪かろう」を避け、「値段の割に良いもの」を見つけ出すことができます。この宝探し感覚こそが、女人街のショッピングを面白くするのです。

    支払い方法と注意点!現金は多めに用意しよう

    女人街の露店での支払いは、基本的に香港ドルの現金のみです。クレジットカードが使える店は、まずないと考えておきましょう。値切り交渉を楽しみ、気になるストリートフードをつまむためにも、ある程度の現金(特に10ドル、20ドル、50ドルといった少額紙幣)を用意しておくことを強くおすすめします。

    また、多くの人でごった返す場所だからこそ、安全対策は万全にしておきたいもの。特にスリや置き引きには注意が必要です。

    • バッグは体の前に抱える:リュックサックは前に背負う「前リュック」が基本。ショルダーバッグやトートバッグも、常に体の前で抱えるように持ちましょう。
    • 貴重品は分散させる:財布を一つにまとめず、現金やカードをいくつかのポケットに分けて入れておくと、万が一の際のリスクを分散できます。
    • 高価なアクセサリーは外しておく:きらびやかな装飾品は、狙われる原因になりかねません。シンプルな服装で出かけるのが賢明です。

    これらの点に気をつけていれば、過度に心配する必要はありません。ほんの少しの注意が、楽しい香港の夜を守ってくれます。

    何を買う?女人街で見つけるべきマストバイ・お土産リスト

    さて、交渉術を学んだところで、次に気になるのは「一体何を買えばいいの?」ということでしょう。女人街は、お土産の宝庫。友人や同僚へのばらまき土産から、自分への旅の記念品、話のタネになるユニークなグッズまで、ありとあらゆるものがあなたを待っています。ここでは、数ある商品の中から、特におすすめのアイテムを厳選してご紹介します。

    チープ&キュート!ばらまき土産に最適な雑貨たち

    手頃な価格で手に入り、香港らしさも感じられる小物は、ばらまき土産にぴったり。かさばらないものが多いのも嬉しいポイントです。

    香港モチーフのマグネット・キーホルダー

    これはお土産の王道中の王道。しかし、女人街の品揃えは侮れません。二階建てトラム、赤いタクシー、スターフェリー、飲茶の点心、麻雀牌、きらびやかなネオンサインなど、香港を象徴するモチーフが勢揃い。デザインも写実的なものから、可愛らしくデフォルメされたものまで様々です。価格は交渉次第ですが、1個あたり10〜20香港ドル程度が目安。複数購入で割引を狙いましょう。会社の同僚や友人へ、それぞれ違うデザインを選んで配るのも楽しいですね。

    オリジナル印鑑(ハンコ)

    自分だけの特別な記念品を作るなら、オリジナル印鑑がおすすめです。通りには、様々な色や材質の石を並べた印鑑屋がいくつもあります。好きな石を選び、自分の名前や好きな漢字を伝えれば、その場で職人さんが手早く彫ってくれます。漢字だけでなく、カタカナやアルファベットを漢字の当て字にしてくれるサービスも人気です。例えば「マイケル」を「舞蹴」といった具合。完成までの時間は30分〜1時間程度なので、先に注文しておいて、他のお店をぶらぶらしてから受け取りに戻るのが効率的です。価格は石の種類や大きさ、文字数によって変わりますが、安いものなら100香港ドル前後から。世界に一つだけのユニークなお土産は、旅の良い思い出になることでしょう。

    I♡HK Tシャツとその仲間たち

    ベタなお土産の代表格ですが、一周回って面白いのが「I♡HK」Tシャツ。しかし、女人街のTシャツはそれだけではありません。ブルース・リーの有名なポーズをプリントしたもの、香港映画のワンシーンをパロディにしたもの、香港の街並みをアーティスティックに描いたものなど、デザインのバリエーションは無限大。中には、意味不明な日本語がプリントされた「面白Tシャツ」もあり、話のネタとして買っていく人も少なくありません。生地の質はピンキリなので、必ず手で触って確かめてから購入しましょう。「3枚で100香港ドル」といったセット販売も多く、交渉次第でさらにお得になります。

    パンダグッズの宝庫

    香港の海洋公園(オーシャンパーク)にもジャイアントパンダがいることから、香港ではパンダグッズも人気です。女人街には、ぬいぐるみ、キーホルダー、文房具、靴下、マグカップなど、ありとあらゆるパンダグッズが溢れています。特に子供へのお土産には大人気。愛らしいパンダの表情に癒やされながら、お気に入りの一品を探してみてください。

    ファッションアイテムは「一点もの」感覚で探すのが楽しい

    女人街のルーツであるファッションアイテムも健在です。最新のトレンドを追うというよりは、個性的でエキゾチックなアイテムを宝探し感覚で見つけるのが正しい楽しみ方です。

    カラフルなチャイナドレス・カンフースーツ

    香港らしいファッションといえば、やはりチャイナドレス(旗袍)。本格的なシルク製のものではありませんが、色鮮やかな化繊のチャイナドレスが手頃な価格で手に入ります。パーティーやコスプレ用としてはもちろん、デザインによっては普段着としても着られるモダンなものも見つかります。子供用のチャイナドレスやカンフースーツは特にかわいらしく、お土産にすると非常に喜ばれます。サイズが豊富なので、試着が可能か確認してみましょう。

    個性的なデザインのスマホケース

    スマホケースは、もはやファッションの一部。女人街には、日本では見かけないようなド派手で個性的なデザインのスマホケースがずらりと並んでいます。キラキラのラインストーンでデコレーションされたもの、香港のネオンサインを模したもの、飲茶のミニチュアが付いた立体的なものなど、見ているだけでも飽きません。価格も非常に安いので、気分に合わせて付け替えるために複数買いするのもおすすめです。購入前には、必ず自分のスマートフォンの機種に合っているかを確認しましょう。

    意外な掘り出し物?エスニック調のアクセサリーやバッグ

    雑多な商品の中に、意外な掘り出し物が眠っているのが女人街。特に、エスニック調やアジアンテイストのアクセサリー、刺繍が施された布製のバッグ、カラフルなストールなどは、チープながらもおしゃれなアイテムが見つかることがあります。ボヘミアンスタイルのビーズネックレスや、タイやインドから来たと思われるようなデザインのシルバーアクセサリー(本物の銀ではない場合が多いですが)など、自分のファッションのアクセントになる一品を探すのも楽しい時間です。

    ちょっと変わった?マニアックなお土産セレクション

    定番のお土産では物足りない、という方のために、少しマニアックで香港らしいアイテムもご紹介します。

    麻雀牌セット

    香港の人々が愛してやまないゲーム、麻雀。女人街では、本格的なサイズの麻雀牌セットから、手のひらサイズのミニチュアセットまで、様々な麻雀牌が売られています。実際にプレイしなくても、その美しいデザインはインテリアとして飾っておくだけでも絵になります。ずっしりと重い本格的なセットは持ち帰るのが大変ですが、小さなトラベルセットならお土産にもぴったりです。

    レトロな香港映画のポスターやグッズ

    1980年代から90年代にかけて、香港映画は世界を席巻しました。その黄金時代を彷彿とさせる、レトロな映画ポスターのレプリカや、ブルース・リー、ジャッキー・チェンといったスターのグッズを扱う店も隠れています。映画ファンならずとも、その独特の色彩やデザインは、香港のカルチャーを感じさせてくれる貴重なアイテムです。

    謎の日本語が書かれた面白グッズ

    先ほどのTシャツの項でも触れましたが、女人街を歩いていると、時折「?」となるような、奇妙で間違った日本語が書かれた商品に出会うことがあります。文法がおかしかったり、単語のチョイスが謎だったり。そういった「ツッコミどころ満載」のアイテムを探して歩くのも、一興です。友人へのウケ狙いのお土産として、これ以上のものはないかもしれません。

    ショッピングだけじゃない!女人街周辺のグルメ&見どころスポット

    女人街の魅力は、買い物だけに留まりません。このエリアは、香港のローカルな食文化と日常生活が凝縮された場所でもあります。ショッピングの合間に、あるいはショッピングの後に、ぜひ周辺エリアにも足を延ばして、旺角のディープな魅力を満喫してください。

    食べ歩き天国!ストリートフードで小腹を満たす

    人混みを歩き回り、値切り交渉に熱中していると、自然とお腹が空いてきます。そんな時、あなたの鼻をくすぐるのが、女人街とその周辺に漂う魅惑的なストリートフードの香り。これらを楽しまずして、香港の夜は語れません。

    • 咖喱魚蛋(ガーレィユィダーン / カレー風味のフィッシュボール)

    香港のストリートフードの王様といえば、これ。魚のすり身を丸めた団子を、スパイシーなカレーソースで煮込んだものです。プリプリとした食感と、後を引くピリ辛な味わいがたまりません。店によって辛さや味が微妙に違うので、食べ比べてみるのも一興。竹串に刺してくれるので、歩きながら食べるのに最適です。

    • 鶏蛋仔(ガイダーンジャイ / エッグワッフル)

    ベビーカステラのような、たこ焼きのような、不思議な見た目のスイーツ。卵をたっぷり使った甘い生地を、丸い凹凸のある特殊な鉄板で焼き上げます。外はサクサク、中はもっちりとした食感が特徴で、素朴ながらもやみつきになる美味しさです。プレーンが定番ですが、最近ではチョコレート味や抹茶味などのバリエーションも増えています。

    • 臭豆腐(チャウダウフ / 発酵豆腐の揚げ物)

    その名の通り、強烈な匂いで知られる上級者向けのストリートフード。発酵させた豆腐を揚げたもので、その独特の香りは好き嫌いがはっきりと分かれます。しかし、勇気を出して一口食べてみると、外はカリカリ、中はとろりとしており、意外にも美味しいと感じる人も多いとか。スイートチリソースや豆板醤を付けて食べるのが一般的。旅の思い出に、挑戦してみてはいかがでしょうか。

    • 串焼き(チュンギウ)

    牛肉、豚肉、鶏肉、手羽先、イカ、ソーセージ、野菜など、様々な具材を串に刺し、甘辛いタレを付けて炭火で焼いたもの。香ばしい匂いが食欲をそそります。好きな串を自分で選んで焼いてもらうスタイルのお店が多く、ビールとの相性も抜群です。

    これらのストリートフードは、女人街の通りの中や、交差する山東街(Shan Tung Street)や豉油街(Soy Sauce Street)沿いなどに見つけることができます。衛生面が気になる方もいるかもしれませんが、多くの人で賑わっているお店を選べば、まず問題ないでしょう。

    本格的な香港グルメを味わうならこのお店

    食べ歩きも良いですが、少し落ち着いて食事をしたいという方のために、女人街周辺には安くて美味しいローカルレストランもたくさんあります。

    • チャーチャンテン(茶餐廳)で香港式B級グルメを

    チャーチャンテンは、香港式のファミレス兼喫茶店のような存在。朝食から夕食まで、あらゆる時間帯に利用できる庶民の味方です。パイナップルパン(菠蘿包)や香港式フレンチトースト(西多士)、濃厚な香港式ミルクティー(奶茶)といった軽食から、焼味飯(ロースト肉のせご飯)や麺類まで、メニューは非常に豊富。女人街周辺にも有名な老舗が点在しているので、活気あふれる店内でローカル気分を味わうのがおすすめです。

    • お粥(ジョッ)と麺(ミン)の専門店

    香港の食生活に欠かせないのが、お粥と麺。疲れた胃にも優しいお粥は、夜食にもぴったりです。ピータンと豚肉の入った「皮蛋痩肉粥」が定番。麺類では、プリプリの海老ワンタンが入った「雲吞麺(ワンタンミン)」が絶品です。女人街から少し歩けば、こうした専門店がいくつも見つかります。ローカルな雰囲気の中で、本場の味を堪能してください。

    • 深夜の誘惑、糖水(トンソイ)

    糖水とは、香港式の伝統的なスイーツのこと。温かいものも冷たいものもあり、食後のデザートや夜食として親しまれています。マンゴープリンやタピオカ入りココナッツミルクといった定番から、小豆のおしるこ(紅豆沙)や胡麻のおしるこ(芝麻糊)など、ヘルシーで優しい甘さのものがたくさん。深夜まで営業している店も多いので、ショッピングで疲れた体を癒やしに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

    足を延ばして探検!旺角(モンコック)のディープな魅力

    女人街がある旺角は、香港でも特に個性的でエネルギッシュなエリア。女人街だけでなく、周辺にはテーマ性のあるユニークな通りがいくつも存在します。少し足を延ばすだけで、また違った香港の顔に出会うことができます。

    金魚街(Goldfish Market / トンチョイストリート北部)

    実は、女人街と同じ「通菜街(Tung Choi Street)」の北側部分は、「金魚街」という全く別の顔を持っています。ここには、金魚や熱帯魚を売る店がずらりと軒を連ね、ビニール袋に酸素と共に入れられた色とりどりの魚が壁一面に飾られています。その光景は非常にユニークで、まるで水中のアートギャラリーのよう。香港では、金魚は幸運や金運を呼ぶ縁起物とされており、風水の観点から飼う人も多いそうです。魚を買わなくても、この不思議な通りを歩くだけで楽しめます。

    雀鳥花園(Bird Garden)

    金魚街をさらに北へ進むと、中国式の庭園「雀鳥花園」が見えてきます。ここは、美しい鳴き声の鳥(バード)を売る店が集まった公園です。精巧な作りの鳥かごが吊り下げられ、あちこちから様々な鳥のさえずりが聞こえてくる癒やしの空間。鳥かごを片手に、自慢のペットの鳥を愛でながら談笑するおじさんたちの姿は、香港ならではののどかな日常風景です。

    花園街(Fa Yuen Street) / スニーカー街

    女人街の一本東側を平行して走るのが「花園街」。その南側の一部は、通称「スニーカー街」として知られています。ナイキ、アディダス、ニューバランスといった有名ブランドのスポーツ用品店が50軒以上も密集しており、最新モデルから日本では手に入りにくいレアな限定スニーカーまで、驚くほどの品揃えを誇ります。スニーカー好きならずとも、その熱気は一見の価値ありです。

    ランガムプレイス(朗豪坊)

    女人街の喧騒から少し離れて、近代的な空間で一息つきたいなら、大型ショッピングモールの「ランガムプレイス」がおすすめです。旺角駅直結でアクセスも抜群。ファッションブランドやコスメショップ、レストラン、シネコンなどが揃っており、女人街とは対照的な洗練されたショッピングが楽しめます。何より、清潔なトイレが利用できることと、空調が効いていて涼しいことが、ナイトマーケット巡りの合間の休憩場所として非常に重宝します。

    香港の夜を120%楽しむための旅のヒント

    最後に、女人街をはじめとする香港の夜を、より安全に、より深く楽しむためのいくつかのヒントをお伝えします。ほんの少しの知識と心構えが、あなたの旅をさらに豊かなものにしてくれるはずです。

    安全に楽しむための心構え

    繰り返しになりますが、女人街のような人でごった返す場所では、自分の身の回りの安全に気を配ることが最も重要です。

    • スリ・置き引き対策:バッグは前に抱える、貴重品は分散させる、という基本を徹底しましょう。特に、商品を夢中になって見ている時や、会計でお財布を出した時が狙われやすい瞬間です。常に周囲への注意を怠らないようにしてください。
    • 強引な客引きへの対処法:時折、しつこく商品を勧めてきたり、腕を掴んで店に引き込もうとしたりする店員もいるかもしれません。興味がなければ、はっきりと「不要(ブッイウ / いりません)」と伝えるか、完全に無視して通り過ぎるのが最も効果的です。曖昧な態度は禁物です。
    • 道に迷ったら:旺角の路地は複雑ですが、慌てる必要はありません。大きな通りである「彌敦道(Nathan Road)」か「亞皆老街(Argyle Street)」を目指せば、現在地を把握しやすくなります。最悪、どこにいるか分からなくなったら、MTRの駅のサインを探しましょう。地下に潜れば、必ず知っている場所に出ることができます。

    女人街と合わせて訪れたい、香港のナイトマーケット

    香港のナイトマーケットは女人街だけではありません。もし時間に余裕があれば、もう一つの有名なナイトマーケット「廟街(テンプルストリート)」にも足を運んでみることを強くおすすめします。

    廟街は、MTR佐敦(Jordan)駅や油麻地(Yau Ma Tei)駅の近くにあり、女人街から南に下った場所に位置します。こちらは「男人街(Men’s Market)」とも呼ばれ、男性向けのガジェットや衣類、骨董品などが多く見られます。しかし、廟街の最大の魅力は、その独特の雰囲気にあります。

    路上にテーブルを並べた海鮮料理の大牌檔(ダイパイトン)、妖しげな光を放つ占い師のブース、そして時折聞こえてくる広東オペラ(粵劇)の歌声。女人街が「ショッピング」中心のマーケットなら、廟街は「エンターテイメントとグルメ」が融合した、よりディープでノスタルジックな雰囲気が漂う場所です。女人街でショッピングを楽しんだ後、タクシーやMTRで廟街へ移動し、B級グルメに舌鼓を打つ…そんなナイトマーケットの「ハシゴ」は、香港の夜を味わい尽くす最高のプランと言えるでしょう。

    香港の夜は終わらない!ナイトマーケットの後の楽しみ方

    女人街や廟街の喧騒が落ち着き始める深夜0時頃。しかし、眠らない街・香港の夜はまだ終わりません。ナイトマーケットで高ぶった興奮をクールダウンさせる、素敵な夜の過ごし方もあります。

    • 深夜デザートで一日を締めくくる:先ほども紹介した糖水(香港スイーツ)の専門店は、深夜まで営業しているところが多くあります。温かいおしるこや冷たいマンゴースイーツで、歩き疲れた体を癒やし、甘い余韻と共に一日を締めくくるのは最高の贅沢です。
    • バーで香港の夜景を眺める:旺角からMTRで数駅の尖沙咀(チムサーチョイ)エリアには、ヴィクトリア・ハーバーの絶景を望むルーフトップバーが数多く存在します。ナイトマーケットの熱気とは対照的に、洗練された空間でカクテルを片手に、静かに煌めく夜景を眺める時間は、忘れられない思い出になるでしょう。
    • 静寂のヴィクトリア・ハーバーを散歩する:シンフォニー・オブ・ライツが終わった後のヴィクトリア・ハーバー沿いの遊歩道(アベニュー・オブ・スターズ)は、人影もまばらになり、静けさを取り戻します。対岸の香港島のビル群の明かりを眺めながら、潮風に吹かれてゆっくりと散歩する。アジア屈指の国際都市のエネルギーと静寂を同時に感じられる、とっておきの時間です。

    女人街は、ただの買い物スポットではありません。そこは、香港という街が持つエネルギー、カオス、そして人々の生活感が凝縮された劇場です。値切り交渉という名のコミュニケーションを楽しみ、キッチュな雑貨の山から宝物を探し出し、魅惑的なストリートフードの香りに誘われる。五感をフルに使ってこの劇場に参加するとき、あなたは単なる観光客ではなく、香港の夜の物語の一部になるのです。さあ、今夜は少しだけ冒険心を胸に、緑のテントが連なる魅惑のストリートへ、足を踏み入れてみませんか?

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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