アンコールワットの荘厳な夜明け、メコン川に沈む夕日を眺めながら過ごす時間。カンボジアへの旅を控えた愛煙家の皆様の中には、そんな幻想的な風景とともに紫煙をくゆらせる、至福のひとときを思い描いている方もいらっしゃるかもしれません。世界中を飛び回るビジネスの合間に、その土地ならではの一服を楽しむ時間は、私にとっても何物にも代えがたいものです。しかし、その土地のルールを理解してこそ、真に上質な時間を過ごすことができる、というのが私の信条です。特に近年、カンボジアの喫煙に関する規制は著しく強化されており、かつてのような自由な喫煙環境は過去のものとなりつつあります。無知が原因で高額な罰金を科されたり、大切な旅の雰囲気を台無しにしてしまったりする事態は、何としても避けたいところです。この記事では、カンボ-ジアにおける最新の喫煙法から、加熱式タバコや電子タバコ(VAPE)の持ち込みに関する重要な情報、さらには現地でのスマートな振る舞い方まで、私が実際に現地で得た知見を交えながら、包括的に解説していきます。快適で、そして何より品格のあるカンボジア滞在を実現するために、渡航前の最終確認として、ぜひ最後までお付き合いください。
カンボジアの旅の計画を立てる際には、隣国バングラデシュのダッカで味わうような混沌とした五感の体験とはまた異なる、遺跡と静寂の時間をどう組み立てるかが鍵となるでしょう。
カンボジアの喫煙法:基本の「き」を理解する

カンボジアの喫煙事情を理解する際、まず押さえておきたい基本的なルールがあります。それは「ほとんどすべての公共の屋内空間で喫煙が禁止されている」という点です。この規則は、旅行者も現地住民も関係なく一律に適用されます。快適な旅を実現するためには、現地の法律を正確に把握し、それを尊重することが不可欠です。
公共の場所での喫煙は禁止が原則
カンボジアでは2009年に「タバコ製品規制法(Law on Tobacco Control)」が制定され、国民の健康を守る目的で受動喫煙防止の取り組みが年々強化されてきました。この法律の中核となっているのが、公共の場における喫煙の禁止です。では具体的に「公共の場所」とはどこを指すのでしょうか。これは非常に広範囲にわたります。
- レストラン、カフェ、バー、ナイトクラブなどの飲食店全般
- ホテルやゲストハウスのロビーや廊下など共有スペース
- 職場やオフィスビル
- バス、タクシー、トゥクトゥクなどの公共交通機関およびその乗降所
- ショッピングモールや市場
- 映画館や劇場
- 学校、大学、病院およびその敷地内
- 政府関連施設
上記のリストからも明らかなように、屋根がある屋内空間はほぼ全面禁煙と考えるのが賢明です。特に旅行者がよく利用するレストランやホテルでは、このルールが厳格に守られています。違反すると、喫煙者本人には2万リエル(約5米ドル)、施設管理者には5万リエル(約12.5米ドル)の罰金が科されます。金額自体は軽微に見えるかもしれませんが、現地でのトラブルは金銭的な負担以上に、時間や精神的な負担となることが多いです。賢明な旅行者なら、不要なリスクは徹底的に避けるべきでしょう。
「No Smoking」標識は絶対遵守
カンボジアの街中では、赤い丸の中にタバコの絵があり、それに斜線が引かれた国際的な禁煙マークを至る所で目にします。これは最も分かりやすい禁煙の合図であり、こうした表示がある場所では一切の言い訳が通じません。ホテルの客室ドアやレストランのテーブル、ショッピングモールの入り口などで必ず周囲を確認する癖をつけましょう。
しかし、「標識がないから喫煙してもよい」という誤解は避けるべきです。特にカンボジアの人々が神聖視する場所では、禁煙標識がなくても喫煙は固く禁じられています。
その代表例が、アンコールワットをはじめとした寺院や遺跡群です。これらは国民の信仰の対象であり、深い敬意を払うべき場所です。僧侶が修行に励むパゴダ(仏塔)の敷地内も同様です。こうした聖域での喫煙は、法律違反である以上に文化・宗教への冒涜と受け止められ、周囲から厳しい非難を受けるだけでなく、深刻なトラブルに発展する可能性もあります。敬虔な仏教徒が多いカンボジアでは、彼らの文化への尊重が最も重要です。遺跡の壮麗さに心動かされ、一服したくなる気持ちは理解できますが、そこは自制し、指定された喫煙場所まで移動するのがマナーと言えるでしょう。
屋外ならどこでも喫煙OK?それは「違う」
「屋内が禁止なら屋外なら問題ないだろう」と考えるのは早計です。カンボジアでは屋外でも禁煙区域が年々拡大しています。特に多くの人が集まる公園や広場、子どもが遊ぶ公共の遊び場などは、受動喫煙による健康被害を防ぐため、自治体などが独自に禁煙ルールを設けていることが少なくありません。
さらに、旅行者が特に注意すべきは前述したアンコールワット遺跡群です。広大な敷地を持つこれらの遺跡群は一見すると開放的な屋外ですが、その大部分が禁煙区域に指定されています。遺跡の保存と、世界中から訪れる観光客への配慮から、厳しい規制が敷かれているのです。喫煙が許されるのは敷地内の限られた指定喫煙エリアのみで、通常はレストランや駐車場の近くに設置されています。遺跡を訪れる際は、ツアーガイドに喫煙所の場所を確認するか、入場前に済ませておくのが賢明でしょう。神聖な遺跡の前でタバコを吸い、スタッフから注意を受ける状況は、避けるべき事態です。
【実践編】カンボジアでタバコを吸うには?
ここまで厳格な規則について説明してきましたが、カンボジアで愛煙家が完全に排除されているわけではありません。ルールとマナーを守れば、快適に喫煙を楽しむことは十分可能です。ここでは、具体的にどこで、どのようにタバコを吸い、どこで購入すればよいのか、実践的な情報をお伝えします。
喫煙が許可されている場所の探し方
カンボジアで喫煙場所を探す際のポイントは、「屋外」および「専用スペース」に注目することです。この点を意識すれば、適切なスポットを見つけやすくなるでしょう。
- ホテル選びが快適な滞在の鍵
愛煙家にとって滞在の満足度を左右する最重要ポイントは、ホテルの選択です。予約の際には必ず喫煙に関する規則を確認しましょう。多くのホテル予約サイト(AgodaやBooking.comなど)では「喫煙ルーム」や「喫煙可」のフィルターが用意されているため、これを活用して候補を絞るのが第一歩です。
より確実なのは「バルコニー付き」の部屋を選ぶことです。全館禁煙のホテルであっても、プライベートバルコニーでの喫煙が認められている場合が多いです。ただしこれはホテルの方針によりますので、予約前に「Can I smoke on the balcony of the room?(部屋のバルコニーで喫煙は可能ですか?)」といった簡単な英文で直接問い合わせることをおすすめします。事前の確認が現地でのトラブルやストレスを大いに軽減します。
- レストランやカフェではテラス席が狙い目
食事や休憩時に一服したい場合、屋外のテラス席を利用しましょう。プノンペンやシェムリアップの多くのレストランやカフェには開放的なテラス席があり、概ね喫煙が許可されています。しかし、これは絶対ではありません。テーブルに灰皿があるかをチェックし、なければ「Can I smoke here?(ここで吸ってもいいですか?)」と店員に確認するのが確実です。仮に屋外でも、隣のテーブルに子連れの家族がいる場合などは一言断るか、少し離れた場所で吸うなど配慮を心がけるのが紳士的な対応と言えるでしょう。
- ローカルなビアガーデンや屋台もおすすめ
現地の雰囲気を味わいたいなら、ローカルが集まるビアガーデンや川沿いの屋台も良い選択肢です。こうした場所は比較的喫煙に寛容な傾向がありますが、周囲の人への配慮は忘れないようにしてください。灰皿が設置されていないことも多いため、携帯灰皿を持参することが必須となります。
タバコの購入方法と価格について
カンボジアではタバコを非常に簡単に手に入れられます。街角の小さな売店(キオスク)、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、さまざまな場所で販売されています。
- 購入場所と銘柄の種類
もっとも一般的なのは、道端にある個人経営の小規模な商店です。ここでは、Marlboro、MEVIUS、Camelなどの国際ブランドから、ARAやAngkorといった現地ブランドまで幅広い銘柄が揃っています。価格はブランドによって異なりますが、概して日本よりかなり安価です。国際ブランドは1箱あたり約1.5ドル〜2.5ドル程度、現地ブランドなら1ドル以下で手に入ることも珍しくありません。手軽さゆえに多く買い込んでしまいがちですが、免税範囲には十分注意してください。
- 購入時の注意点
カンボジアではタバコ購入時の年齢確認が徹底されているとは言えませんが、旅行者としては現地の法律やマナーを遵守することが大切です。未成年の喫煙を促すような行為は控えましょう。また、市場などで個人からタバコを買う際は、偽物や湿気による品質の劣化に注意し、パッケージの状態をよく確認してください。信頼できるコンビニやスーパーマーケットで買うのがもっとも安心です。
携帯灰皿はスマートな喫煙者の必須アイテム
これはカンボジアに限った話ではありませんが、海外での喫煙において携帯灰皿を持参することはもはやマナーの基本です。カンボジアの街中では日本のように至る所に灰皿が設置されているわけではありません。とくにローカルの店頭や路上で一服する際、吸い殻を捨てる場所に困る場面が多々あります。
カンボジアにはポイ捨てに対する罰金制度もあり、旅行者だからといって見逃される保証はありません。なにより美しい街並みや神聖な遺跡を汚すことは、旅人として決して許される行為ではありません。ポケットやバッグからさっと携帯灰皿を取り出し、きちんと吸い殻を処理する。この小さな気配りがあなたの品位を示すだけでなく、日本人の評価向上にもつながります。出発前には必ず「携帯灰皿」を持ち物リストに加えるようにしましょう。
電子タバコ・加熱式タバコの持ち込みと使用は可能か?

ここは現代の愛煙家にとって最も重要なポイントかもしれません。日本で広く普及しているIQOS(アイコス)やglo(グロー)といった加熱式タバコ、さらにはVAPE(ベイプ)などの電子タバコ製品をカンボジアに持ち込むことが可能かどうか、結論から申し上げると、その答えは断固として「できません」。
カンボジアにおける電子タバコ(VAPE)の法的な扱い
カンボジア政府は国民の健康、とくに若年層への影響を強く警戒し、電子タバコに対して非常に厳格な規制を敷いています。2014年、カンボジア保健省は電子タバコの使用および輸入を禁止する命令を発出しました。さらに2021年には、この規制を改めて強調し、加熱式タバコも明確に禁止対象に加えることを発表しました。この件については現地英字新聞のKhmer Timesで詳しく報じられています。
この法律により、カンボジア国内において電子タバコおよび加熱式タバコの輸入、販売、流通、さらには「使用」自体が違法とされています。旅行者も例外ではなく、空港の税関で発見された場合はほぼ確実に没収されます。大量に持ち込んでいると見なされれば、高額な罰金や法的措置のリスクも伴います。「少しだけなら大丈夫」といった考えは非常に危険です。私の知人にもプノンペン国際空港の税関でIQOSを没収された者がいます。幸い罰金は科されなかったものの、旅のスタートに気分の良くない経験をしたと語っていました。
加熱式タバコ(IQOS、gloなど)の扱いについて
「加熱式タバコは電子タバコとは異なるから大丈夫では?」という意見もありますが、これは大きな誤解です。既述の通り、カンボジア当局は2021年の通達でIQOSなどの「加熱式タバコ製品(Heated Tobacco Products, HTPs)」を明確に禁止品目に指定しています。彼らの定義では、これらはニコチンを含む有害物質を吸引させる電子機器であり、VAPEと同様の扱いを受けます。
したがって、IQOSやglo、PloomTECHなどの製品は、種類を問わずすべて持ち込み禁止となっています。デバイス本体はもちろん、専用のタバコスティックやリキッドも例外ではありません。手荷物でも預け荷物でも、X線検査で見つかれば必ず指摘されることになるでしょう。
【渡航者へのアドバイス】事前準備と判断基準
愛用のデバイスで喫煙できないのは残念ですが、カンボジア滞在中のリスクを回避するためには選択肢はひとつしかありません。それは、「電子タバコおよび加熱式タバコ関連のすべての製品を日本に置いていく」ことです。これがトラブルを100%回避する唯一かつ最良の方法です。
どうしてもニコチンが必要であれば、現地で紙巻きタバコを購入するのが現実的な選択肢です。幸いなことに、カンボジアでは紙巻きタバコは安価で簡単に手に入ります。また、この機会にニコチンガムやニコチンパッチといった禁煙補助製品を持参して、喫煙から一時的に距離をおくのも良いかもしれません。何より、法律で禁止されている製品を密かに持ち込もうとする行為は、スマートなビジネスパーソンや良識ある旅行者のとるべき態度ではありません。
空港やフライトでの喫煙ルール
カンボジアへの旅の起点となる空港では、喫煙に関するルールを事前にしっかりと把握しておくことが重要です。出発から到着まで滞りなく行動するためのポイントを解説します。
日本の空港とカンボジアの空港の違い
日本の主要国際空港(成田、羽田、関西国際空港など)では、出国審査後のエリアに比較的多くの喫煙所が設けられています。フライト前にゆっくりと喫煙を楽しむことができ、航空会社のラウンジ内にも喫煙ブースが用意されていることが多いです。
それに対して、カンボジアの主要空港、プノンペン国際空港とシェムリアップ・アンコール国際空港は、いずれもターミナル内に喫煙所がありますが、その数は日本ほど多くありません。
- プノンペン国際空港(PNH):国際線出発ロビーでは、搭乗ゲート付近に数か所ガラス張りの喫煙室が設けられています。やや分かりにくい場所もありますが、案内板を確認すれば見つけることができます。到着ロビーには喫煙所がないため、空港施設の外に出るまで煙草を控える必要があります。
- シェムリアップ・アンコール国際空港(SAI):2023年に新設されたこの空港は最新の設備を備えています。出発エリアには指定の喫煙スペースが設置されており、旧空港よりも快適に利用可能です。ただし喫煙所の数は限られているため、搭乗前に余裕を持って場所を確認しておくことをおすすめします。
どちらの空港でも、到着後は建物の外に出ないと喫煙ができません。荷物の受け取りや税関手続きを終えるまでは禁煙となるため、長時間移動の後すぐに一服したい気持ちは理解できますが、まずは入国手続きを完了させることを優先しましょう。
タバコの免税範囲と持ち込み規制
日本の空港免税店で購入したタバコをカンボジアに持ち込む場合、免税対象の上限量を守ることが重要です。これを超えて持ち込むと高額な関税が発生します。
カンボジアの税関で定められているタバコの免税範囲は、21歳以上を対象に以下の通りです。
- 紙巻きタバコ:200本(1カートン)
- 葉巻:50本
- 刻みたばこ:200グラム
上記のうち、いずれか1種のみが免税対象となります。例えば、紙巻きタバコを1カートン持ち込み、さらに葉巻も数本持っていくと、免税範囲を超えてしまうため注意が必要です。
免税範囲を超えた場合は税関に申告し、所定の関税を支払わなければなりません。申告せずに違反が発覚した場合は密輸とみなされ、罰金が科される可能性もあります。カンボジア現地で安価に購入できることを踏まえ、無理に大量持ち込みするメリットは少ないでしょう。
【読者の心得】
出発前に必ず、日本の空港免税店で購入するタバコの量を1カートン(200本)以内に抑えてください。お土産として複数カートン購入しても、個人で持ち込めるのは1カートンまでです。同行者がいる場合は、それぞれが1カートンずつ持ち込む形にすることでトラブルを回避できます。このルールを守ることで、入国時の不要な問題を未然に防げます。
トラブル回避術:スマートな愛煙家でいるために

ルールを理解していても、慣れない海外の地では思いがけないトラブルに遭遇する可能性がゼロではありません。特に、罰金を請求された際には落ち着いた対応が求められます。ここでは、万が一のトラブルに備えるための知識と、現地で良好な関係を築くためのマナーについてご紹介します。
罰金を請求された場合の対処法
もし、禁煙エリアでの喫煙を警察官や当局者を名乗る人物に咎められ、罰金を要求されたときは、慌てずに冷静に対応することが肝心です。残念ながら、東南アジアの一部の国では、旅行者に対し不当に高額な金銭を請求する悪質な事例も報告されています。
- まずは身分証明書の提示を求める
相手が本当に公的な権限を持つ人物かどうか確認するために、まずは丁寧に身分証明書(IDカード)の提示をお願いしましょう。英語で「May I see your ID, please?」と落ち着いて伝えます。正規の警察官であれば提示を拒むことはまずありません。もし提示を躊躇したり、曖昧な態度をとったりした場合は、詐称の可能性があるため注意が必要です。
- 公式な領収書の発行を要求する
罰金を支払う際は、必ず正式な領収書(Official Receipt)の発行を求めてください。これは、支払いが正規の手続きに則っていることを証明する重要な書類となります。領収書の発行を拒まれたり、「ここでは発行できない」と言われたりした場合は、その場での支払いを控えたほうが賢明です。「I would like to pay at the police station.(警察署で支払いたい)」と伝え、最寄りの公的機関へ同行を提案しましょう。この一言が不当な要求に対する強い抑止力となるでしょう。
- 困ったときは大使館に相談を
状況が悪化し、身の危険を感じたり、法外な金額を請求され続けたりした場合、最終手段として在カンボジア日本国大使館に連絡し、助言を求めることも視野に入れておきましょう。大使館は個別のトラブルに直接介入はできませんが、現地の法律に基づく適切な対応策についてのアドバイスを提供してくれます。スマートフォンに大使館の電話番号を登録しておくと、緊急時に安心感が得られます。
現地でのマナーとコミュニケーション
法律を守ることは基本ですが、一歩進んで現地の文化や人々に敬意を表すマナーを心がけることで、旅の質はさらに向上します。
- 状況に応じた配慮を忘れずに
カンボジアでは、年長者や女性、子どもの前での喫煙は失礼とみなされることが多いです。特に、オレンジ色の袈裟を纏う僧侶は非常に尊敬されているため、彼らの近くでの喫煙は厳禁です。喫煙可能な場所であっても、周囲にどのような人がいるかを常に確認し、配慮する態度を大切にしましょう。
- 一言添えたコミュニケーションが効果的
喫煙する前に、近くの人に軽く会釈をしたり、身振りで許可を得たりすることで印象は大きく変わります。クメール語が話せれば、よりスムーズな対話が可能です。「スォム・トート(Suom Toh)」は「すみません」や「ごめんなさい」という意味で、喫煙前に一言添えるだけでも配慮が伝わり、現地の方々も快く受け入れてくれるでしょう。
こういったささやかな心遣いを積み重ねることで、文化の違いを乗り越え、相互の尊重が生まれます。法や規則に従うだけでなく、一人の人間としての品格ある振る舞いを常に意識して行動したいものです。
愛煙家におすすめのスポット in カンボジア
厳しいルールやマナーについての話が続きましたが、最後にカンボジアで喫煙を楽しみながら、素敵な時間を過ごせる具体的なスポットをご紹介します。これらは私がビジネスの合間やプライベートで実際に訪れて、心地よい時間を過ごした場所です。ルールをきちんと守りつつ、ぜひカンボジアならではの雰囲気を存分に味わってください。
プノンペンのルーフトップバーで味わう至福の一服
急速に発展している首都プノンペン。その魅力を堪能するなら、高層ビルの屋上に設けられたルーフトップバーが最もおすすめです。眼下に広がる街の夜景やメコン川の雄大な流れを眺めながら楽しむ一杯と一服は、まさに格別の体験です。
- Sora Sky Bar (Vattanac Capital Tower):プノンペンで最も高いヴァタナック・キャピタル・タワーの37階にあるこのバーは、まさに天空のオアシス。開放感あふれる屋外テラス席が充実しており、ドレスコードも一定レベルが求められる洗練された空間です。重要なクライアントとの会食後の二次会など、ビジネスの場面でも安心して利用できます。カクテルの質も高く、特別な夜を演出してくれます。
- Eclipse Sky Bar (Phnom Penh Tower):プノンペンの夜景スポットとして長く親しまれている安定感のあるルーフトップバーです。360度のパノラマビューが自慢で、日没時には目を奪われるほどの美しいサンセットを楽しめます。比較的カジュアルな雰囲気で、リラックスして過ごせるのが魅力。心地よい夜風に包まれて旅の疲れを癒すのにぴったりの場所です。
シェムリアップで喧騒から離れ、ゆったりと過ごせるカフェ
アンコールワット観光の拠点であるシェムリアップ。パブストリート周辺は夜遅くまで活気にあふれていますが、落ち着いた時間を過ごしたい愛煙家には、緑豊かな庭を備えたカフェが最適です。
- The Little Red Fox Espresso Cafe:川沿いの静かなエリアにひっそりと佇む、地元在住の外国人にも人気のカフェです。質の高いコーヒーはもちろん、快適な屋外席も用意されており喫煙が可能です。遺跡巡りの合間に立ち寄って冷たいドリンクと共に一服し、次のプランを練るのにうってつけの場所。スタッフも非常にフレンドリーで会話を楽しめます。
- FCC Angkor by Avani:かつて外国通信社の記者クラブだった建物をリノベーションした、歴史と風格を感じさせるホテル&レストランです。その中庭にあるカフェ&バーは、コロニアル様式の美しい建築に囲まれ、大人のための落ち着いた空間を提供しています。昼下がりに葉巻をくゆらせる、贅沢なひとときを過ごすのに最適です。少々予算はかかりますが、それに見合う価値のある体験ができます。
ホテル選びのポイント:喫煙者に適した宿を見つける方法
述べたように、快適な滞在にはホテル選びが重要です。予約サイトのフィルター機能を使うのは基本ですが、さらに一歩進んだ探し方をご紹介します。
- レビューをじっくり読む:宿泊者のレビューには貴重なリアル情報が隠れています。「balcony smoking」や「smoking area」などのキーワードでレビュー内を検索してみましょう。そうすると、「バルコニーで気持ちよく喫煙できた」「ロビー横の喫煙スペースが便利だった」など、実際に宿泊した愛煙家のリアルな声を見つけることができます。これは公式情報だけでは得られない、非常に役立つ判断材料です。
- 問い合わせ時の英語フレーズ:宿泊前にホテルへ確認する際は、以下のような簡単なフレーズで充分です。
- “I am considering booking a room. Is smoking permitted on the balcony?”(部屋の予約を検討中ですが、バルコニーでの喫煙は可能ですか?)
- “Do you have a designated smoking area within the hotel premises?”(ホテル敷地内に指定の喫煙エリアはありますか?)
このひと手間を惜しまないことが、現地での快適でストレスのない滞在につながります。
カンボジアの禁煙トレンドと今後の展望

最後に、カンボジアにおける喫煙の今後について少し展望を述べたいと思います。世界的に健康志向が高まる中、世界保健機関(WHO)などが推進するタバコ規制の枠組みの影響を受け、カンボジアでも禁煙化の動きは今後ますます加速していくと考えられます。
現在検討されている施策には、タバコのパッケージにさらなる警告表示を義務づけることや、タバコ税の増税、さらにはレストランやバーの屋外席における全面禁煙化などが含まれます。数年先には、喫煙可能な場所がさらに限定される可能性が十分にあります。私が初めてカンボジアを訪れた約10年前と比べると、喫煙環境の変化には大きな隔たりを感じます。
私たち旅行者に求められることは、こうした変化の流れを正しく理解し、その時々の現地ルールをしっかり学び、尊重する姿勢です。規則を破ってまで自分の欲求を満たそうとせず、定められたルールの中でいかにスマートに、心地よく過ごすかを考えることこそが、本当に旅慣れた大人の行動ではないでしょうか。
カンボジアは、その壮大な歴史と心温かい人々が魅力的な素晴らしい国です。喫煙に関するルールを守ることは、この国の文化と人々への敬意の表れでもあります。責任を持った行動を心がけることで、あなたのカンボジアでの体験は一層深く、記憶に残るものになるでしょう。次回、そしてその次の訪問でも、気持ちよくこの国に戻ってこられるように。愛煙家一人ひとりの賢明な行動が、未来の快適な旅を形作っていくのです。

