アフリカ大陸の北西端、ヨーロッパとアラブ、そしてアフリカの文化が交差する魅惑の国、モロッコ。一歩足を踏み入れれば、そこはまるで魔法のランプから飛び出してきたかのような、エキゾチックな色彩の世界が広がっています。迷宮のような旧市街(メディナ)を歩けば、スパイスの香りが鼻をくすぐり、人々の活気ある声が耳に響く。そんな五感を刺激するモロッコの旅の中でも、特に私たちの心を掴んで離さないのが、それぞれの街が持つユニークな「色」ではないでしょうか。
空と海の青を溶かし込んだようなシャウエン、サハラ砂漠の赤土を思わせるマラケシュ、大西洋の光を反射する純白のカサブランカ。なぜ、モロッコの街はこんなにも鮮やかな色で染められているのでしょう。それは単なる観光のためだけではなく、その土地の歴史、信仰、気候、そして人々の暮らしに深く根差した、美しい理由が隠されているのです。今回は、アパレル企業で働きながら世界を旅する私が、ファッションやアートの視点も交えながら、モロッコの街々がまとう色彩の秘密を解き明かす旅へと皆さんをお連れします。この地図を眺めながら、これから始まる色彩の冒険に胸を躍らせてください。
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モロッコの色鮮やかな街並み、その背景にある物語

モロッコの街の色彩を理解するには、まずこの国の地理的多様性と複雑に絡み合った歴史背景を把握することが欠かせません。北は地中海と大西洋に面し、中央部には壮大なアトラス山脈が連なり、南東部には広大なサハラ砂漠が広がっています。この豊かな自然環境の変化が、各地域で得られる建築材料、つまり「色」を決定づける重要な要素となっているのです。
マラケシュの建物が赤みを帯びているのは、周囲で採掘される赤土を使った日干しレンガで造られているためです。また、フェズの街が黄土色をしているのも、その地域独特の土壌の色が反映されているからにほかなりません。自然と調和して暮らしてきた人々の知恵が、街の基調となる色彩を形づくっているのです。
加えて、モロッコの歴史もまた街の色合いに深みを与えています。先住のベルベル人文化、アラブ人によるイスラム化、スペインやポルトガルの影響、さらにはフランスの植民地統治時代など、多様な文化が重層的に重なり合い、建築様式や装飾にその足跡を残しています。特に、スペインのアンダルシア地方から追放されたユダヤ教徒やイスラム教徒が伝えた文化は、シャウエンの青い街並みやフェズの繊細なタイル装飾「ゼリージュ」に色濃く表れています。こうした街の色彩は、そこで暮らした人々の記憶やアイデンティティの証しでもあるのです。
天空の青に染まる街、シャウエンの秘密
モロッコと言えば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、リフ山脈の麓に佇む「青い宝石」と称されるシャウエンではないでしょうか。扉や壁、階段まで多彩な青のトーンで彩られた旧市街は、まるでおとぎ話の世界に入り込んだかのような幻想的な光景です。この美しい青には、いくつかの由来が伝えられています。
シャウエンの歴史と青の起源
シャウエンの街の歴史は15世紀後半にまで遡ります。当時、スペインで激化したレコンキスタ(キリスト教による国土回復運動)を逃れて、イスラム教徒やユダヤ教徒たちがこの地に移り住み、安住の地として街を築いたのが始まりとされています。中でも、青色を神聖視するユダヤ教徒が、自分たちの家屋を青く塗る伝統を持ち込んだという説が特に有力です。
ユダヤ教では青は「天」や「神」を象徴する色で、祈りの際に身に纏うタリート(祈祷用のショール)の縞模様にも青が用いられています。日々の暮らしのなかで神の存在を感じられるよう、家々を青く染めたと考えられているのです。壁の青を見るたびに、彼らの深い信仰心が偲ばれます。
もちろん、他の説も存在します。ひとつは、地中海沿岸地域で昔から信じられてきた、青色が蚊などの虫除けになるという実用面の説。確かに、青に囲まれた空間では、虫も混乱してしまうかもしれません。また、青く塗ることで体感温度が下がり、夏の暑さを和らげる効果もあるとされます。厳しい自然環境に対応するために、人々の知恵が込められているのでしょう。
近年では、そのフォトジェニックな美しさが世界的に知られるようになり、観光客を魅了する目的でさらに鮮やかに青く塗られることも増えています。歴史的な背景と現代の理由が融合し、シャウエンの青はより一層深みを増しているのです。
シャウエン散策ガイド – おすすめ撮影スポットとルート
シャウエンのメディナは、写真愛好家にとってまさに楽園といえる場所。どの角度を切り取っても絵になる風景が広がっていますが、特におすすめのスポットをご紹介します。
まず訪れたいのが、メディナの中心に位置する「ウタ・エル・ハマム広場」。カフェやレストランが立ち並び、地元民と観光客で賑わうこの広場は、散策の拠点としてぴったりです。広場脇にある赤茶色の「カスバ(城砦)」に登れば、青く染まった街並みを一望できます。青と赤の鮮やかなコントラストが美しく、絶好の撮影スポットです。
散策の際は、ぜひメインストリートから一本入った細い路地も歩いてみてください。階段で昼寝する猫や、色鮮やかな植木鉢で飾られた壁、美麗な装飾の扉など、他では見られない「青」に出会う喜びがあります。特に人気の撮影スポットは、青壁に色とりどりの植木鉢が並ぶ階段です。混雑することもあるため、早朝の訪問がおすすめです。
ファッションライターとしては、服装のコーディネートにも触れたいところ。青い街並みに映えるのはなんといっても「白」。清潔感あふれる白のワンピースやシャツは、青との対比で互いの美しさを際立たせ、爽やかな写真に仕上がります。また、補色の黄色やオレンジのスカーフや小物をアクセントに加えるのも、写真上級者のテクニックです。
シャウエン旅行の準備と注意点
この美しい街を存分に楽しむために、いくつかの準備や注意事項をお伝えします。
服装のポイント: シャウエンは比較的リラックスした雰囲気ですが、モロッコはイスラム文化圏です。特に女性は旧市街を歩く際、肩や膝を覆う服装を心がけると、地元の人々に対する敬意を示せます。薄手のカーディガンやストールを一枚持っていくと、日よけや冷房対策としても便利です。モスクなどの宗教施設に入る際は、肌の露出を控えるのがマナーです。
持ち物リスト: シャウエンの街は坂道と石畳の階段が多いため、歩きやすいスニーカーなどの靴を用意してください。日差しが強いので、帽子やサングラス、日焼け止めも必須です。美しい風景を撮影するためにはカメラの予備バッテリーやモバイルバッテリーも忘れずに持参しましょう。
アクセス方法: 多くの旅行者はフェズやタンジェからバスでシャウエンへアクセスします。モロッコで最も信頼されている長距離バス会社「CTM」のウェブサイトやアプリから、事前にチケットを予約することを強くおすすめします。特に観光シーズンには満席になることもあるため、早めの予約が安心です。バスターミナルは旧市街からやや離れているので、到着後はプチタクシー(小型タクシー)を利用すると便利です。
トラブル対策(客引き対応): 観光地では土産物屋やレストランの客引きがしつこいことがあります。興味がなければはっきりと「ノー、サンキュー(La, shukran / ラ、シュクラン)」と伝え、毅然とした態度で通り過ぎるのが最も有効です。曖昧な返事は誤解を招く恐れがあるため避けましょう。
砂漠の赤が映える情熱の街、マラケシュ

シャウエンの穏やかな青の世界から一転して、次にご紹介するのは活気と情熱に満ちあふれる街、マラケシュです。城壁や旧市街の建物は、いずれも赤土を思わせる温かみのあるピンクがかった赤色で統一されており、その美しい色合いから「赭色の街(Al Hamra)」とも呼ばれています。この赤色は、アトラス山脈の雪景色やヤシの緑と鮮やかなコントラストを描き、訪れる人々を魅了してやみません。
「赭色の街」マラケシュの歴史と赤色の由来
マラケシュの街並みが赤く染まっている理由は、使用されている建材にありました。この地域で豊富に採取される赤土と石灰を混ぜて作られる「タビア」と呼ばれる日干しレンガが、城壁や伝統的な住宅であるリヤドの建築に古くから利用されてきたのです。太陽の光を浴びると、そのタビアが美しいピンクがかった赤色に輝きます。科学的な顔料によるものではなく、大地そのものの色彩が街並みを作り上げているという点が、なんともロマンチックに感じられます。
また、この赤色はすぐ南に広がるサハラ砂漠の赤い砂を象徴しているとも言われています。かつてサハラの隊商(キャラバン)が往来した交易の拠点として栄えたマラケシュにとって、砂漠は切り離せない存在。街の色は、その歴史的な繁栄の証を今に伝えているのかもしれません。
さらに、先住民であるベルベル人の文化では、赤は生命力や幸福、情熱を表す重要な色とされています。彼らの織る絨毯や民族衣装にも赤が多用されており、マラケシュの街全体がベルベルの力強いエネルギーに満ちているようにも感じられます。
マラケシュの賑わいを味わう—ジャマ・エル・フナ広場とスーク
マラケシュの中心地といえば、世界無形文化遺産にも登録されている「ジャマ・エル・フナ広場」です。昼間はヘビ使いや大道芸人、オレンジジュースの屋台が軒を連ね、どこかのんびりとした空気が漂いますが、夕暮れ時には全く違う顔を見せます。
日が傾きはじめると、忽然と無数の屋台が現れ、タジンやクスクス、ケバブなどが次々と調理され、その煙が空に上がります。広場は巨大な屋外レストランに変わり、食材の焼ける香ばしい香りや人々の会話、伝統音楽の調べが入り混じり、五感を刺激する圧倒的な活気に満たされます。この混沌とした熱気こそが、まさにマラケシュの真髄です。
広場から一歩足を踏み入れれば、巨大な迷路のような「スーク(市場)」が広がっています。革製品、金属細工のランプ、鮮やかなバブーシュ(スリッパ)、スパイス、絨毯など、あらゆる品物が狭い路地に所狭しと並んでいます。方向感覚を失いそうになりますが、迷うのがスークの醍醐味。まるで宝探しのように、心に響く一品を見つける時間は、きっと最高の思い出となるでしょう。
マラケシュ滞在を快適にする実用ポイント
エネルギッシュなマラケシュを存分に楽しむためのコツをご紹介します。
値引き交渉のポイント: スークの買い物には定価はなく、交渉が必須です。まずは店主の提示価格の3分の1から半額程度を目安に価格を提示し、双方が歩み寄って合意を目指します。大切なのは笑顔を絶やさず楽しむこと。また、「この価格なら買う」と自分の上限価格を決めてから交渉に臨みましょう。購入の意思がない場合に無駄に交渉を始めるのはマナー違反です。
移動のポイント(タクシー利用時): 市内移動にはプチタクシーが便利ですが、メーターを使わない運転手もいます。乗車前には必ず目的地を伝え、メーター使用を頼むか料金交渉をして合意した後に乗りましょう。観光客向けの法外な料金提示もあるため、事前にホテルなどで相場を確認しておくと安心です。
トラブル回避(広場での写真撮影): ジャマ・エル・フナ広場の大道芸人やヘビ使いを撮影すると、必ずチップを要求されることがあります。無断撮影はトラブルの元なので、撮影前に料金を確認してください。また、勝手にヘビを首に巻いたり猿を腕に乗せてきたりして高額チップを請求されることもあるため、興味がなければはっきりと断ることが重要です。渡航前に在モロッコ日本国大使館の安全情報を確認しておくこともおすすめします。
宿泊施設: マラケシュに滞在するなら、ぜひ「リヤド」を体験してください。リヤドは中庭を持つ伝統的な邸宅を改装した宿泊施設で、外の喧騒が嘘のように静かで美しい空間が広がっています。モザイクタイルや美しい家具に囲まれ、まるでアラビアンナイトの世界に浸るような贅沢な時間を過ごせます。
白と青のコントラストが美しい港町 – カサブランカとアシラー
シャウエンの青やマラケシュの赤と対照的に、大西洋沿岸の街々は太陽の光を反射する「白」を基調としています。強い陽射しを和らげ、家の中を涼しく保つために、地中海沿岸の多くの街で白い壁が用いられてきました。モロッコでは、経済の中心地であるカサブランカや、芸術の街アシラーがその代表例です。
近代都市カサブランカの「白い家」
モロッコ最大の都市カサブランカは、名前がスペイン語で「白い家」を意味します。19世紀までは小さな港町に過ぎませんでしたが、20世紀初頭にフランスの保護領となると、近代的な都市計画に基づき白い建造物が次々と建設され、その名の通りの風景が作られました。
カサブランカの白を象徴するのは、海岸線に威厳をもって立つ「ハッサン2世モスク」です。1993年の完成以来、世界最大級の規模を誇り、約2万5千人を収容できる礼拝ホールや、高さ200メートルに達するミナレット(光塔)は圧巻です。大理石や精緻な彫刻、ゼリージュ(モザイクタイル)で飾られた白亜の建築は、伝統的なイスラム建築の粋を集めた芸術作品と言えます。イスラム教徒でなくても内部見学ツアーに参加できるため、カサブランカを訪れた際にはぜひ立ち寄りたいスポットです。
アートの街アシラーの白いキャンバス
カサブランカから列車で北へ約3時間のところにある大西洋に面した小さな港町アシラーは、白い壁がアーティストたちのキャンバスとなっている個性的な街です。城壁に囲まれた旧市街メディナの家々は真っ白な壁で覆われ、その上に国内外の画家たちが色鮮やかな壁画(ウォールアート)を描いています。
毎年夏には国際文化芸術フェスティバルが開催され、世界各地からアーティストが集い、新たな壁画が加えられます。そのため、訪れる度に街の雰囲気が少しずつ変わっているのもアシラーの魅力の一つです。白い壁と青い窓枠、そしてカラフルなアートが織りなすコントラストはどの場所も写真映えし、迷路のような細い路地を散策しながらお気に入りの作品を探す楽しみは宝探しのようです。
大西洋沿岸の街を旅するためのポイント
移動のポイント(鉄道利用): カサブランカ、ラバト、タンジェ、アシラーといった大西洋沿岸の主要都市は、モロッコ国鉄「ONCF」の路線で結ばれており、快適に移動が可能です。ONCFの公式サイトや駅窓口でチケットを購入できます。座席指定の一等車はゆったりとしているため、長距離の移動におすすめです。特に高速鉄道「Al Boraq」はタンジェとカサブランカを約2時間で結び、大変便利です。
持ち物のアドバイス: 海沿いの街は日差しが強くても、海風は爽やかですが、朝晩は肌寒く感じることがあります。風を通しにくい軽めのジャケットやパーカーを一枚持参すると役立ちます。また、ビーチを歩く機会もあるかもしれないので、サンダルもあると便利です。
迷宮都市フェズの黄土色と伝統の色彩

世界一複雑とも称される旧市街を抱える古都フェズ。その一歩を踏み入れれば、まるで中世イスラム世界にタイムスリップしたかのような、深くて神秘的な空気感に包まれます。街並みの基調色は温かみのある「黄土色」。これはマラケシュと同様、この地で採れる土や石を建材として使用しているためです。しかし、その落ち着いた色調の迷宮の中には、モロッコ伝統工芸が織り成す目を奪われるほど鮮やかな色彩がひっそりと息づいています。
世界最大級のメディナと黄土色の壁
フェズの旧市街「フェズ・エル・バリ」は、1200年以上の歴史を誇り、ユネスコの世界遺産にも指定されています。9000を超える複雑に入り組んだ袋小路からなるメディナは車の乗り入れが禁止されており、今もなおロバが荷物を運ぶ生活の場です。黄土色の壁に囲まれた細い路地を歩くと、現在地が分からなくなることもしばしばですが、その非日常的な迷走感こそフェズの魅力です。
黄土色の壁の合間には、緑色の屋根瓦や精密なゼリージュで飾られた神学校(マドラサ)やモスクが突然姿を現します。特に「ブー・イナニア・マドラサ」の幾何学模様のタイルと木彫りの美しさは圧巻で、控えめな黄土色の背景がこれら色鮮やかな装飾の魅力を一層引き立てています。
タンネリに息づく色鮮やかな職人技
フェズの鮮やかな色彩を語るうえで外せないのが、皮なめし職人が集う地区「タンネリ」です。円形の桶が蜂の巣のように並び、多彩な染料が入った光景は、その独特な匂いとともに強烈な印象を残します。ここでは中世からほとんど変わらない伝統的な技法で動物の皮をなめし、染色しています。
サフランの黄色、ポピーの赤、藍の青、ミントの緑。天然染料によって染められた羊や牛、ラクダの皮は、その後バブーシュ(スリッパ)やバッグ、ジャケットなど上質な革製品へ姿を変えます。タンネリを見下ろせる革製品店のテラスでは、強烈な匂いを和らげるためにミントの葉を手渡されるのがお決まり。ミントの爽やかな香りと原色のコントラスト、そして力強い職人の技が混ざり合う様子は、フェズでしか味わえない貴重な体験です。
迷宮都市フェズを安全に楽しむために
トラブル対処法(道に迷ったら): フェズのメディナで道に迷うのはごく自然なこと。慌てる必要はありません。冷静に人通りの多い方へ進めば、主要な通りに出られます。「Balak(バラク)!」という声は荷物を運ぶロバの合図なので、その際は壁際に寄って道を譲りましょう。親切に道案内をすると言ってくる子供たちには注意が必要で、後から高額なチップを要求されることがあります。道を尋ねる場合は、その場で営業している店主など大人に聞くのが安全です。
行動のポイント(公認ガイド利用): 効率的に主要スポットを回りたい場合や、タンネリのような特定の場所を訪問したいときは、公認のガイドを手配するのが最も安心かつ確実です。ホテルや観光案内所で紹介を受けると良いでしょう。料金は半日または一日単位で設定されているため事前にきちんと確認してください。モロッコ政府観光局公式サイトでも、信頼できる旅行会社やガイドの情報を取得できます。
写真撮影時の注意(マナー): タンネリや工房の職人の写真を撮る際は、必ず一言声をかけて了解を得るのが礼儀です。彼らは自身の仕事にプライドを持っているため、敬意を払うことが重要です。また、革製品店からの見学の場合は、何か小さなものを購入するか、チップを渡すのが賢明な対応と言えます。
モロッコ旅行を計画するあなたへ – 実践的アドバイス
色鮮やかなモロッコの街並みをめぐる旅を思い浮かべるだけで、胸が高鳴りませんか。最後に、あなたの旅がより快適かつ安全になるよう、具体的な準備とアドバイスをまとめました。
最適な時期と滞在期間
モロッコを訪れるのに最も過ごしやすいのは、春(3月~5月)と秋(9月~11月)です。夏(6月~8月)は内陸部で気温が40度を超えることもあり非常に暑く、冬(12月~2月)はアトラス山脈で雪が降り、朝晩は冷え込みが厳しくなります。周遊旅行を計画するなら、最低でも8日間、できれば10日以上を確保すると、主要な都市をゆったりと楽しめます。例としては、「カサブランカ到着 → シャウエン → フェズ → 砂漠ツアー → マラケシュ出発」というルートが人気です。
モロッコの文化やマナーへの配慮
服装: 既に触れましたが、モロッコはイスラム教が国教です。旅行者は比較的自由に服装を選べますが、特に女性は地元の文化を尊重し、過度な肌の露出(タンクトップやショートパンツなど)は控えることが望ましいです。ストールやカーディガンは、モスクで髪や肩を覆う用途だけでなく、日焼け防止や防寒具としても重宝するため、一枚持参することをおすすめします。
ラマダン: イスラム教の断食期間であるラマダン中に訪れる際は注意が必要です。日中はイスラム教徒が飲食を控えるため、多くのレストランやカフェが閉まります。観光客向けの施設は営業していることが多いですが、公共の場での飲食は控えるのがマナーです。日没後に行われる断食明けの食事「イフタール」の時間帯には街が活気づき、ラマダン特有の雰囲気を味わうことができます。
写真撮影: 美しい風景や人々の日常を撮りたくなる気持ちは理解できますが、特に女性の撮影は必ず本人の許可を得るようにしてください。無断で写真を撮るのは失礼にあたります。笑顔で話しかけると、多くの人が快く応じてくれるでしょう。
安全で快適な旅のための準備
持ち物チェックリスト: パスポート(有効期限の確認を忘れずに)、航空券、海外旅行保険証、常備薬(胃薬や頭痛薬など)、ウェットティッシュや除菌ジェルは必須アイテムです。通貨はモロッコ・ディルハム(MAD)ですが、日本国内での両替が難しいため、日本円またはユーロを現地空港や市内の両替所で換金するのが一般的です。クレジットカードはホテルや大きなレストランでは使用可能ですが、スークや小規模店舗では現金が主流です。電源プラグはCタイプまたはSEタイプが多いため、変換プラグを準備しましょう。
トラブル発生時の対応: 万一、パスポートの紛失や盗難、その他のトラブルに見舞われた場合は、まず現地の警察に届け出てポリスレポートを取得してください。その後、速やかに最寄りの在モロッコ日本国大使館または領事事務所へ連絡し、指示に従いましょう。渡航前に大使館の連絡先や所在地を控えておくと安心です。
色彩の向こうに見えるモロッコの素顔

青いシャウエン、赤いマラケシュ、白いカサブランカ、そして黄土色に染まるフェズ。モロッコの街が纏う色彩は、ただ風景を美しく彩るだけのものではありません。それぞれの色には、人々の祈りや歴史の記憶、厳しい自然と共に生きる知恵、そして今も受け継がれる職人たちの誇りが深く鮮明に刻まれています。
路地裏の壁に漂うペンキの香り、スークの市場に並ぶスパイスの鮮やかな色合い、職人が丹念に染め上げる革の鮮明な色彩。旅の途中で触れる多様な「色」は、あなたの五感を刺激し、きっと心の奥底に残るでしょう。
なぜモロッコの街はこれほどまでに色彩豊かなのでしょうか?その答えはガイドブックの中だけにあるのではありません。実際にその地を訪れ、空気を感じ、迷宮のような路地を自分の足で歩くことで、初めて肌で実感できるのです。この色彩あふれる魔法の国が、あなたの次なる旅の目的地になることを心から願っています。

