2026年の幕開けとともに、日本のインバウンド観光市場は国・地域によって対照的な姿を見せています。日本政府観光局(JNTO)が発表した2026年1月の訪日外国人数は、全体で約360万人と、1月としては過去2番目の高水準を記録しました。しかし、その内訳を見ると、日本の観光業界が新たな局面を迎えていることが鮮明になっています。
韓国からの旅行者が過去最多を記録
特筆すべきは、韓国からの訪日客数の目覚ましい伸びです。2026年1月の韓国からの訪日客は、前年同月比で21.6%増となる約117万人に達し、単月としての過去最多記録を更新しました。
好調の背景
この力強い成長の背景には、複数の要因が考えられます。
- 円安の継続: 他国通貨に対して円安が続いていることで、韓国の旅行者にとって日本でのショッピングや食事が非常に割安になっています。
- 航空便の充実: LCC(格安航空会社)を中心に日韓間の航空路線が豊富で、地方都市への直行便も増えていることから、手軽に日本を訪れやすい環境が整っています。
- 多様化する日本の魅力: 東京や大阪といった定番の観光地だけでなく、地方の自然や文化、アニメや漫画の聖地巡礼など、個々の興味に合わせた多様な旅行スタイルが人気を集めており、リピーターの増加にも繋がっています。
同様に、台湾や米国からの訪日客も堅調な伸びを見せており、東アジアや欧米からの強い需要が全体の数字を押し上げる形となりました。
中国からの訪日客は大幅な減少
一方で、かつてインバウンド市場を牽引してきた中国からの訪日客は、前年同月比で60.7%減と大幅に落ち込みました。この減少には、旧正月の時期が前年と異なるという技術的な要因も含まれていますが、それを考慮しても深刻な減少幅と言えます。
減少の背景
この減少の主な要因としては、両国間の外交関係の緊張が挙げられます。政治的な関係性が個人の旅行マインドに影響を与え、日本への渡航を控える動きが広がっていると見られます。また、中国国内の経済状況や、海外旅行先として東南アジアなど他の国を選択する旅行者が増えている可能性も指摘されています。
今後の展望と日本観光への影響
今回のデータは、日本のインバウンド市場が特定の国への依存から脱却し、より多様化していく転換期にあることを示しています。
予測される市場の変化
- ターゲットの多角化: 今後、日本の観光業界は、好調を維持する韓国、台湾、香港といった東アジア市場や、旅行消費額が大きい欧米豪、そして成長著しい東南アジアからの観光客誘致にさらに力を入れていくことになるでしょう。
- 「コト消費」へのシフト: 中国からの団体旅行客の減少は、いわゆる「爆買い」に代表されるモノ消費から、日本ならではの体験や食文化を楽しむ「コト消費」へのシフトを一層加速させると予測されます。これにより、地方の観光地や体験型コンテンツを提供する事業者にとっては新たなチャンスが生まれる可能性があります。
旅行者への影響
私たち旅行者にとっては、訪問する時期や場所によって混雑状況が大きく変わる可能性があります。韓国や台湾からの旅行者に人気の観光地では引き続き混雑が予想される一方、これまで中国人観光客に人気だったエリアでは、比較的落ち着いて観光を楽しめるかもしれません。
日本のインバウンド市場は、大きな構造変化の真っ只中にあります。simvoyageでは、今後も最新の動向を注視し、皆さんの旅行計画に役立つ情報をお届けしていきます。

