新たなトレンド「ショートトリップ」の台頭
海外旅行のスタイルが、今大きく変わろうとしています。Airbnb Japanが発表した2026年の旅行トレンドによると、特にZ世代を中心に、1~2日間のごく短期間で海外の都市を訪れる「ショートトリップ」が急速に人気を集めています。
これは、かつて主流だった長期休暇を利用して一箇所にじっくり滞在する旅行とは一線を画すスタイルです。週末や連休に有給休暇を1日組み合わせるなどして、限られた時間の中で文化的な見どころや食、ショッピングなどを精力的に満喫することを目的としています。時間や費用を抑えながらも、密度の濃い体験を求める現代の若者たちの価値観が色濃く反映された、新しい旅の形と言えるでしょう。
なぜZ世代は「ショートトリップ」を選ぶのか?
このトレンドの背景には、Z世代特有の価値観とライフスタイルの変化があります。
タイムパフォーマンスとコストパフォーマンスの重視
Z世代は「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「コスパ(コストパフォーマンス)」を非常に重視する傾向があります。ショートトリップは、LCC(格安航空会社)などを活用することで航空券代を抑え、短い滞在日数で宿泊費を節約できるため、少ない予算で海外体験が可能です。短い時間で最大限の満足度を得たいという彼らのニーズに、このスタイルが完璧に合致しているのです。
SNS時代の情報収集と体験共有
InstagramやTikTokなどのSNSで日常的に海外の情報を収集する彼らにとって、海外はもはや「特別な場所」ではありません。「このカフェに行きたい」「この景色を撮りたい」といった具体的な目的を複数持ち、それらを効率的に巡る旅は、SNSでの情報収集・発信との親和性が非常に高いと言えます。旅の体験をリアルタイムでシェアすることも、彼らにとって重要な要素の一部です。
働き方の多様化
リモートワークやフレックスタイム制度の普及により、以前よりも柔軟に休暇を取得しやすくなったことも、ショートトリップを後押ししています。金曜の夜に出発し、日曜の夜に帰国するといった「週末海外」が、多くの人にとって現実的な選択肢となりつつあるのです。
人気の目的地と旅行スタイルの具体例
ショートトリップの主な目的地となっているのは、日本から3~4時間程度でアクセス可能な近距離のアジア諸国です。
- 韓国・ソウル: 最新のカフェ文化、コスメ、ファッションを短時間で楽しめる都市として圧倒的な人気を誇ります。
- 台湾・台北: グルメや夜市、歴史的な街並み散策など、多彩な魅力が凝縮されています。
- 香港: 活気あふれる街でショッピングや飲茶を堪能する弾丸旅行に最適です。
これらの都市では、公共交通機関が発達しており、観光スポットが中心部に集中しているため、短い滞在でも効率的に動ける点も支持される理由です。
観光業界への影響と未来予測
この「ショートトリップ」という新たな潮流は、今後の観光業界に大きな影響を与えることが予測されます。
旅行商品の変化
旅行会社は、今後「2泊3日弾丸ツアー」や「週末限定パッケージ」といった短期滞在者向けの企画をさらに強化していくでしょう。また、現地での時間を1分でも長く確保したいというニーズに応えるため、早朝到着・深夜出発便の利用を前提とした商品や、空港から市内への送迎、eSIM、現地アクティビティの事前予約といったデジタルサービスの重要性がますます高まります。
デスティネーションの多様化
現在はソウルや台北といった主要都市が中心ですが、今後はLCCの新規就航路線にあわせて、これまであまり注目されてこなかったアジアの地方都市にも人気が拡大する可能性があります。短期滞在でも満足できる独自の魅力を持つ都市が、新たなデスティネーションとして脚光を浴びるかもしれません。
Z世代が創り出す「ショートトリップ」という新しい旅の形は、海外旅行をより身近で、より気軽なものへと変えていきます。それはまるで、週末に少し遠くの街へ出かけるような感覚です。このトレンドは、私たちの旅の選択肢をさらに豊かにしてくれることでしょう。

