ドバイでの理想のノマド生活に新たなハードル?
世界中のデジタルノマドやリモートワーカーから注目を集めるアラブ首長国連邦(UAE)が、人気のリモートワークビザの申請要件を改定しました。これまで3ヶ月分でよかった収入証明が、新たに過去6ヶ月間の銀行取引明細書の提出が義務付けられることになります。この変更は、UAEへの移住を検討している人々にとってどのような意味を持つのでしょうか。
具体的な変更点と現行の要件
今回の改定で最も大きな変更点は、申請時に提出する銀行取引明細書の期間が3ヶ月から6ヶ月に延長されたことです。これは、申請者が一過性ではなく、継続的かつ安定した収入源を持っていることをより確実に証明するための措置です。
現在、UAEのリモートワークビザ(1年更新可能)を取得するための主な要件は以下の通りです。
- パスポート(残存有効期間6ヶ月以上)
- UAEで有効な健康保険
- 【変更点】 月収3,500米ドル以上を証明する、過去6ヶ月間の銀行取引明細書
- 雇用主からの証明書(1年以上の契約期間と月給を記載)または自営業の場合は会社所有権の証明
この月収3,500米ドルという基準自体は維持されていますが、その収入が半年間にわたって安定していることを示す必要が出てきたわけです。
なぜ今、要件を厳格化するのか? – その背景
この変更の背景には、UAEが目指す国家戦略があります。パンデミックを機に2021年から導入されたこのビザ制度は、世界中から優秀な人材を惹きつけ、同国の経済を活性化させることに大きく貢献してきました。事実、ドバイの人口は増加を続け、2023年には360万人を突破するなど、人材誘致策は大きな成功を収めています。
今回の要件厳格化は、この成功を土台にした次のステップと見ることができます。つまり、単に多くの人材を呼び込む「量」のフェーズから、経済的により安定し、長期的にUAE社会に貢献できる人材を選別する「質」のフェーズへと移行しているのです。
安定した収入を持つ人材を確保することは、国内の消費を促進し、不動産市場を安定させる効果も期待されます。ビザ制度の信頼性を高め、UAEを単なる一時的な滞在先ではなく、「質の高い長期居住地」としてブランディングする狙いがあると考えられます。
今後の影響と予測:申請者へのインパクトは?
申請を検討しているリモートワーカーへの影響
この変更は、特に収入がプロジェクト単位で変動しやすいフリーランサーや、キャリアをスタートさせたばかりの若い専門家にとっては、申請のハードルが上がったと感じられるかもしれません。これまでは好調な3ヶ月間の実績で申請できたものが、今後は半年間の安定した収入実績が求められるため、より計画的な準備が必要となります。
UAEの長期的な展望
一方で、この措置はUAEに住む人々にとってはポジティブな影響をもたらす可能性があります。経済的に安定した居住者が増えることで、コミュニティの質が向上し、より安定した生活環境が期待できるでしょう。
また、世界中でデジタルノマドビザの導入が進む中、UAEが基準を厳格化することで、他国も追随する可能性があります。これは、リモートワークという働き方が世界的に定着し、各国がより持続可能な形で優秀な人材を受け入れるための制度を模索していることの表れと言えます。
UAEへの移住や長期滞在を考えている方は、今回の変更点を踏まえ、自身の収入状況を6ヶ月というスパンで確認し、余裕を持った準備を進めることをお勧めします。最新の情報は、必ずUAEの公式サイトで確認するようにしてください。

