旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)と航空券比較サイトのスカイスキャナーが共同で開催したトークセッションにて、2026年に向けた日本人の海外旅行の新たなトレンドが示されました。円安や物価高騰が続く中、旅行者はどのように海外旅行を楽しもうとしているのでしょうか。専門家が指摘する2つのキーワード、「予約の早期化」と「メリハリ消費」について、その背景と今後の影響を詳しく解説します。
なぜ「予約の早期化」が進むのか?
トークセッションで最も注目されたのが、航空券を早期に予約する傾向の強まりです。この背景には、旅行者が直面している経済的な課題が大きく影響しています。
背景1:歴史的な円安と燃油サーチャージの高騰
現在の海外旅行において、費用を押し上げる最大の要因は「円安」と「燃油サーチャージ」です。円の価値が下がることで、航空券や現地の宿泊費、食事代など、海外でのあらゆる支出が以前より割高になっています。
加えて、国際情勢の不安定化などを背景に、航空燃料の価格に連動する燃油サーチャージも高止まりが続いています。これらのコストは個人でコントロールすることが難しいため、旅行者はより早い段階で総額を確定させ、少しでも安い航空券を確保しようと動いています。出発日が近づくほど航空券の価格は上昇する傾向にあるため、数ヶ月、場合によっては半年前から予約を済ませることが、賢いコスト管理術として定着しつつあるのです。
背景2:需要回復による座席確保の競争
世界的に旅行需要が回復する一方で、航空会社の便数や座席供給が完全には元に戻っていない路線も存在します。特に人気の旅行先や連休シーズンでは、座席の争奪戦が激化します。希望のフライトを確実に確保するためにも、早期の予約が不可欠となっているのです。
新たな消費スタイル「メリハリ消費」とは?
もう一つの重要なトレンドが「メリリハリ消費」です。これは、旅の費用全体を無駄なく抑えながらも、自分が価値を置く特定の体験には惜しまずお金をかけるという消費スタイルを指します。
節約と贅沢の使い分け
具体的には、航空券はLCC(格安航空会社)を利用したり、宿泊は中心部から少し離れたコストパフォーマンスの良いホテルを選んだりして、基本的な旅行費用を節約します。その一方で、節約した分を「食」や「体験」に充当するのです。
例えば、以下のような消費行動が「メリハリ消費」の典型です。
- 移動や宿泊はシンプルに済ませ、現地の有名レストランでのディナーや、特別な食材を使った料理教室にはしっかり投資する。
- 無料の観光スポットを巡りつつ、一生の思い出になるようなアクティビティ(気球ツアーやプライベートガイド付きの史跡巡りなど)には費用を惜しまない。
この背景には、「せっかくの海外旅行なのだから、記憶に残る特別な体験をしたい」という価値観の変化があります。単に多くの場所を訪れるだけでなく、その土地ならではの文化や体験を深く味わうことに重きを置く旅行者が増えていることの表れと言えるでしょう。
予測される未来と旅行業界への影響
これらのトレンドは、今後の私たちの旅行計画や、旅行業界全体にどのような影響を与えるのでしょうか。
旅行者に求められる「計画性」
今後、海外旅行を計画する際には、より早期からの情報収集と計画性が重要になります。お得な航空券を見つけるためのリサーチはもちろん、「この旅で何を一番体験したいか」という目的を明確にし、予算をどこに重点的に配分するかを事前に決めておくことが、満足度の高い旅の鍵となるでしょう。
旅行業界の新たな戦略
旅行業界側もこの変化に対応していくことが予測されます。航空会社や旅行代理店は、早期予約割引プランをさらに拡充・強化する可能性があります。また、現地のオプショナルツアー会社などは、画一的なパッケージではなく、旅行者の「特別な体験」へのニーズに応える、ユニークで付加価値の高い体験型プランの開発に力を入れるでしょう。「価格」だけでなく、そこでしか得られない「価値」を提供できるかどうかが、ビジネス成功の分かれ目となりそうです。
2026年に向けて、海外旅行のスタイルはより賢く、そして個性的になっていきます。コストを意識しながらも、自分だけの特別な思い出を作る。「早期予約」と「メリハリ消費」をヒントに、次なる旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

