太陽と情熱の国、ブラジル。リオのカーニバルが奏でるサンバのリズム、世界最大の流域面積を誇るアマゾン川の神秘、そして地球の裏側から訪れる価値のあるイグアスの滝の壮大さ。想像するだけで、心が躍るような魅力に満ち溢れています。サッカーの聖地としても知られ、陽気な人々との出会いも旅の醍醐味となることでしょう。しかし、この計り知れない魅力を持つ国の光と影は、表裏一体です。最高の旅行体験を心に刻むためには、現地の文化やルールを理解し、潜在的なリスクを回避するための正しい知識と周到な準備が不可欠となります。楽しいはずの旅が、一瞬の油断で悪夢に変わってしまうことほど悲しいことはありません。この記事では、ブラジルへの渡航を計画しているあなたが、心から旅を満喫できるよう、治安情報から法律で定められた禁止事項、文化的なマナー、さらには具体的な持ち物リストやトラブル対処法まで、私のこれまでの経験と最新情報を織り交ぜながら、徹底的に解説していきます。さあ、地球の裏側への冒険の扉を開く前に、まずは安全という名の羅針盤を手にしましょう。
また、ブラジルを含む南米各国では喫煙に関する法律やマナーが異なるため、愛煙家の方は渡航前にアルゼンチンの喫煙事情など、隣国の情報も確認しておくと安心です。
ブラジル渡航前に知っておきたい基本情報

旅の具体的な計画を立て始める前に、まずブラジルという国の基本情報を押さえておきましょう。知っているつもりでも、案外知らないことが多い、旅の基盤となる知識です。
ビザは必要?最新の渡航情報をチェックしよう
日本のパスポートを所持する旅行者にとって朗報ですが、2024年現在、ブラジルへ観光目的で90日以内の短期滞在の場合はビザ(査証)が免除されています。これにより、従来よりもブラジル旅行のハードルが下がりました。ただし、この措置は両国間の協定に基づくものであり、国際情勢により変更される可能性があります。渡航前には必ず最新の情報確認を習慣づけましょう。
【実際にできること】 出発前には在ブラジル日本国大使館や外務省の公式サイトで、ビザに関する最新の規定を必ずチェックしてください。また、パスポートの残存有効期間はブラジル入国時に6ヶ月以上あることが推奨されています。さらに、未使用の査証欄が見開き2ページ以上あるかも確認しておくと安心です。
ブラジルの通貨「レアル」と両替のポイント
ブラジルの通貨は「レアル(Real)」、複数形は「レアイス(Reais)」で、通貨コードはBRLです。補助通貨として「センターボ(Centavo)」が用いられています。現地での支払いは基本的にレアルが使われます。
日本の空港や銀行でも両替は可能ですが、為替レートがあまり良くないことが多いです。おすすめはブラジルの国際空港到着後に空港内の両替所(Câmbio)を利用するか、現地の銀行や信頼できる両替所で日本円または米ドルから両替する方法です。特に米ドルからの両替は、日本円よりもスムーズで良いレートが得られるケースが多いです。
近年はクレジットカードの普及率も高く、ホテル、レストラン、大型土産店など多くの場所で使用可能です。しかし、地元の市場や小規模な店舗、屋台では現金のみの場合も多いため、一定額の現金は常に手元に準備しておくのがおすすめです。また、ATMでクレジットカードを使い現地通貨を引き出す「海外キャッシング」も便利です。利用可能なATMには「PLUS」や「Cirrus」マークが目印として表示されています。
【実際にできること】
- 準備: 日本で少額の米ドル(特に1ドルや5ドルなどの小額紙幣)を用意しておくと、到着直後の支払いなどに役立ちます。メインはクレジットカードにし、現金は補助的に運用する計画を立てましょう。
- 行動: 両替は一度に大量に換えるのではなく、必要に応じて複数回に分けることが防犯面でも安心です。両替所やATMの利用時は明るく人目のある場所を選び、周囲に注意を払ってください。
広大な領土が生む多様な気候と最適な訪問時期
南半球に位置するブラジルは日本と季節が逆転します。日本の夏はブラジルの冬、日本の冬はブラジルの夏にあたります。しかし、非常に広い国土のため、地域ごとに気候は大きく異なります。
リオデジャネイロ、サンパウロなど南東部: 年間を通して比較的温暖ですが、夏(12月〜3月)は高温多湿でスコールも頻発します。冬(6月〜9月)は過ごしやすいものの、朝晩は冷えることもあります。観光に適したベストシーズンは気候の安定する4月〜5月、または10月〜11月です。リオのカーニバルは2月〜3月ごろの真夏に開催されます。
マナウスなど北部(アマゾン地域): 熱帯雨林気候で年間を通じて高温多湿です。乾季(6月〜11月)と雨季(12月〜5月)があり、目的により訪問時期を選ぶとよいでしょう。一般的には乾季の方が過ごしやすいとされています。
サルヴァドールなど北東部: 一年中気温が高い熱帯気候で、乾季は9月〜2月頃。この時期が観光にもっとも適しています。
イグアスの滝など南部: 亜熱帯気候で、夏は暑く冬は比較的冷え込みます。滝の水量を楽しみたいなら雨季の夏がよいですが、天候は不安定になりやすいです。乾季の冬は水量は減りますが晴天率が高く、トレイルが歩きやすい利点があります。
【実際にできること】 旅の目的(カーニバル参加、アマゾン探検、ビーチでのんびりなど)や訪問したい地域を明確にし、それに応じた渡航時期を計画しましょう。複数の地域を巡る場合は、それぞれの気候に合わせた服装や装備を用意することが必要です。
公用語はポルトガル語!簡単なあいさつで仲良くなろう
ブラジルの公用語はポルトガル語です。南米の多くの国はスペイン語を使うため混同されがちですが、ブラジルではスペイン語はほとんど通じません。リオデジャネイロやサンパウロなどの大都市や観光地のホテル・レストランでは英語が通じる場合もありますが、ローカルな地域に入るとポルトガル語以外でのコミュニケーションは難しくなります。
とはいえ、過度に心配する必要はありません。片言でも現地語で挨拶や感謝の言葉を伝えれば、現地の人々は表情を和らげ、親近感がぐっと増します。豊かな旅にするためにも、以下の簡単なフレーズを覚えておくと良いでしょう。
- こんにちは: Olá(オラ)
- おはよう: Bom dia(ボン・ジーア)
- こんにちは(午後): Boa tarde(ボア・タルヂ)
- こんばんは: Boa noite(ボア・ノイチ)
- ありがとう(男性が言う場合): Obrigado(オブリガード)
- ありがとう(女性が言う場合): Obrigada(オブリガーダ)
- すみません/ごめんなさい: Desculpe(ディスクウピ)
- はい: Sim(スィン)
- いいえ: Não(ナォン)
- お願いします: Por favor(ポル・ファヴォール)
【実際にできること】 出発前にスマートフォンへ翻訳アプリをダウンロードしておくと便利です。オフラインでも使用できる機能があれば、インターネット接続がない場所でも活用できます。また、簡単なフレーズをメモ帳に書いて持ち歩くのもおすすめです。
【最重要】ブラジルの治安と具体的な危険回避策
ブラジル旅行を計画する際に最も気になるのは治安面の問題でしょう。残念ながら、ブラジルの治安は日本と比べて良好とは言い難い状況です。しかし、危険な場所や時間帯、犯罪の手口を正しく理解し、適切な対策をとることでリスクを大きく減らすことが可能です。ここでは、安全に旅行するための具体的な危険回避策について詳しく解説します。
主要都市の治安事情:明暗が交錯する現状
外務省の海外安全ホームページでも警告が出されていますが、リオデジャネイロやサンパウロといった大都市では、強盗やスリなどの一般犯罪が日常的に発生しています。
リオデジャネイロ: コパカバーナやイパネマの有名なビーチ周辺、セントロ(旧市街)、ラパ地区の階段付近は観光客を狙った犯罪が多いエリアです。特に夜間は危険度が一層高まります。ビーチでの置き引きも頻発しているため、貴重品は絶対に目を離さないよう注意しましょう。
サンパウロ: ブラジルの経済の中心地ですが、貧富の差が激しく、中心部のセー広場周辺やルス駅周辺などは特に警戒が必要です。夕方以降の単独行動はできるだけ避け、移動はタクシーや配車アプリの利用を推奨します。
ファベーラ(スラム街)には絶対に立ち入らないこと
ファベーラと呼ばれるスラム街は、各都市に点在しています。近年、「ファベーラ・ツアー」と称する観光案内もありますが、これらの地域は警察の力が及びにくく、麻薬組織の抗争が頻繁に起きる非常に危険な場所です。興味本位で立ち入ることは、自らの命を危険にさらす行為です。たとえツアーであっても、安全が完全に保証されているわけではないことを肝に銘じ、絶対に足を踏み入れないようにしてください。
強盗・スリ・置き引きの手口と対策
ブラジルで遭遇する可能性の高い犯罪は、主に金品を狙ったものです。犯人は非常に巧妙で、一瞬の隙をついてきます。手口を理解し、事前に対策を立てましょう。
スマートフォンの使用には最大限の注意を
観光客が特に狙われやすいのがスマートフォンです。街中で地図アプリを見たり、写真撮影に夢中になると、ひったくりに遭う危険が高まります。特にバイクに乗った二人組によるひったくりが多発しています。
【具体的な対策】
- 歩きスマホは禁止: 道を確認したい場合は、一旦立ち止まり、安全な場所(カフェや店舗内)に入ってから操作しましょう。
- 背後を壁にする: 路上でどうしてもスマホを使う必要がある場合は、背後から襲われないよう壁を背にして周囲への警戒を怠らず、素早く操作してください。
- 高価なスマホは隠す: 最新型や高価なスマホは目立つため、必要以上に見せびらかさないよう心掛けましょう。
夜間の外出や一人歩きは大きなリスク
言うまでもありませんが、夜間は日中よりも犯罪率が著しく上昇します。特に、人通りが少ない場所や暗い路地を一人で歩くのは非常に危険です。近距離でも夜間は徒歩を避け、タクシーや配車アプリを利用してください。
【対策のポイント】
- 夜の行動は事前に計画: レストランやサンバショーなどの夜の予定がある場合は、必ず往復の安全な交通手段を確保しましょう。
- 複数人で行動: グループで動くことで犯罪のターゲットになるリスクを減らせます。
公共交通機関(バス・地下鉄)での注意点
バスや地下鉄は市民の重要な足ですが、スリや強盗の被害も多い場所です。特にラッシュ時の混雑には要注意です。
【具体的な対策】
- リュックは前に抱える: 背中に背負うと気づかないうちに開けられ中身を盗まれる恐れがあります。必ず前に抱えるようにしましょう。
- 貴重品は分散管理: パスポートや現金、クレジットカードは一つにまとめず複数箇所に分けて持つことが効果的です。マネーベルトやセキュリティポーチの使用もおすすめです。
- 目立つ服装やアクセサリーは避ける: 派手な服や高価なブランド品を身につけると「お金持ち」と思われ狙われやすくなります。なるべく地元の人に溶け込むようなシンプルで動きやすい服装を心掛けましょう。
トラブルが起きた場合の対応策
どんなに注意していても、万が一トラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。慌てず冷静に対応できるよう、あらかじめ対処法を確認しておきましょう。
強盗に遭遇した場合
万が一強盗に遭い金品を要求されたときは、絶対に抵抗せずに落ち着いて従ってください。犯人が武器を持っていることもあり、命の安全が何よりも大切です。冷静に対応し、要求されたものを渡しましょう。
警察への通報
被害に遭ったら、安全な場所に移動してから警察に通報します。ブラジルの緊急通報番号は「190」です。ただし、対応はポルトガル語となるため、ホテルスタッフや信頼できる人に通訳を依頼するのが現実的です。被害届(Boletim de Ocorrência)は保険請求やパスポート再発行の際に必要となるため、必ず作成してもらいましょう。
クレジットカードの紛失・盗難時の対応
カードが盗まれたことに気付いたら、すぐにカード会社の緊急連絡先へ連絡し利用停止手続きを行ってください。緊急連絡先は事前にメモを取り、カード本体とは別の場所に保管しておくことが重要です。
【対応の流れ】
- カード会社に連絡: 24時間対応の紛失・盗難受付に連絡し、カードを停止してください。
- 警察に被害届を提出: 最寄りの警察署で被害届を作成し、盗難証明書(ポリスレポート)を受け取ります。
- 代替手段を用意: 緊急カードが発行される場合もありますが時間がかかることが多いため、予備のカードや現金も準備しておきましょう。
パスポートの紛失・盗難時の手続き
パスポートを紛失した場合は、日本帰国のために「帰国のための渡航書」をブラジル内の日本国総領事館で取得する必要があります。
【手続きの流れ】
- 警察に届出を行う: クレジットカード同様、警察で紛失・盗難届の証明書を受け取ります。
- 必要書類を準備: 紛失届、渡航書発給申請書、写真、戸籍謄本または抄本、航空券の予約確認書などが必要です。パスポートのコピーや顔写真データ、本籍地情報を事前に控えておくと手続きがスムーズです。
- 総領事館へ申請: サンパウロ、リオデジャネイロ、クリチバなどの日本国総領事館に連絡し、書類を持参して申請してください。
ブラジルで法律上禁止されていること・罰則

旅先においては、その国の法律や規則を尊重することが絶対に必要です。日本で当たり前とされていることでも、ブラジルでは厳しい罰則が科される場合があります。「知らなかった」では済まされない重要な禁止事項を事前に確認しておきましょう。
薬物に関する非常に厳しい規制
ブラジルでは麻薬の取り締まりが非常に厳格に行われています。コカインやマリファナなどの麻薬の所持、使用、売買、製造、運搬はすべて重犯罪とされます。旅行者が「少しだけなら」と軽い気持ちで関わったり、知らない人から「荷物を運んでほしい」と頼まれて安易に引き受けたりすると、取り返しのつかない問題に直面します。最長で禁錮15年といった厳しい刑罰が科され、外国人であっても容赦されません。絶対に薬物には関与しないようにしてください。
未成年者の飲酒と喫煙の禁止
ブラジルでは18歳未満の未成年者による飲酒や喫煙は法律で禁止されています。また、18歳未満に対してアルコールやタバコを販売・提供する行為も禁止されています。身分証明書(パスポートなど)で年齢確認を求められることがあるため、常に携帯しておくことをおすすめします。
ドローンの使用制限および許可手続き
美しい風景を上空から撮影したくてドローンを持ち込みたいと考える方もいるかもしれません。しかし、ブラジルでのドローン飛行には厳しい規制が設けられています。重量が250グラム以上のドローンを飛ばすには、事前にブラジルの航空当局(ANACやDECEA)への登録や許可申請が必要です。さらに、空港周辺や政府施設、軍事施設の上空、国立公園内など、飛行が禁止されている区域も多く存在します。許可なく飛行させた場合、罰金や機材の没収、さらには法的処罰を受ける危険があります。
【実際にできること】 ドローンの持ち込みや使用を希望する場合は、渡航前に必ずブラジル政府観光局の公式サイトやANACのウェブサイトで最新の規制情報を確認し、必要な手続きを行ってください。手続きは複雑でポルトガル語対応が求められるため、軽率な持ち込みは避けることが賢明です。
自然保護区での規則
アマゾン、パンタナール、イグアスの滝国立公園など、ブラジルには貴重な自然遺産が数多くあります。これらの保護区では、生態系保護のために厳しいルールが定められています。動植物の無断採取や持ち出しは厳禁です。また、指定されたルート以外への立ち入りや野生動物への餌付けも禁止されています。美しい自然を後世に残すため、現地ガイドの指示に必ず従い、ルールを守りましょう。
公共場所での喫煙に関する規制
ブラジルでは受動喫煙防止法により、屋内の公共スペース(レストラン、バー、ショッピングセンター、空港、バスなど)での喫煙が全面的に禁止されています。違反した場合は罰金が科せられます。喫煙は屋外の指定された喫煙エリアのみで可能です。喫煙者の方は、現地のルールを十分理解し、マナーを守るよう心がけてください。
知らないと損する?ブラジルの文化とマナー
法律で明確に定められているわけではありませんが、現地の文化や慣習を理解し尊重することは、現地の人々と良好な関係を築き、トラブルを防ぐうえで非常に重要です。ここでは、ブラジル独特の文化やマナーについてご紹介します。
写真撮影のマナー
旅の思い出を写真に残したい気持ちはよく理解できますが、いくつか注意すべきポイントがあります。まず、人物を撮影する際は必ず本人の許可を得ることが基本のマナーです。特に、先住民族やファヴェーラ(スラム)に住む人々を無断で撮影することは、彼らのプライバシーや尊厳を侵害する行為とみなされ、問題に発展する可能性があります。また、教会などの宗教施設内では撮影が禁止されていることが多いため、入口の掲示を必ず確認し、祈っている人々の邪魔にならないよう静かに行動しましょう。
チップの習慣は?
ブラジルでは、アメリカほど厳密なチップの習慣はありませんが、特定の場面でのチップは一般的です。多くのレストランでは、会計時に合計額の10%がサービス料(Serviço)として自動的に加算されています。この場合は、追加のチップを渡す必要はありません。もし伝票にサービス料が含まれていなかったり、特に優れたサービスを受けたと感じた場合は、総額の10%程度を目安にテーブルに残すと良いでしょう。ホテルのポーターやルームサービスには、2~5レアル程度のチップが適切です。
服装に関する注意点(TPO)
ブラジル人はビーチで水着姿でリラックスしますが、状況に応じた服装の配慮は欠かしません。例えば、高級レストランや格式の高い劇場に行く際は、ビーチサンダルやショートパンツのようにカジュアルすぎる服装はマナー違反とされます。また、教会を訪問する場合は、タンクトップやミニスカートなど過度な露出を避け、肩や膝が隠れる服装を心がけましょう。スリや強盗対策のためにも、高価な宝飾品やブランド品を身につけるのは控え、周囲に溶け込む控えめな装いが安全です。さらに、夜は冷え込むことがあるため、薄手の羽織りものを一枚持っておくと便利です。
時間にルーズ?「ブラジリアンタイム」
ブラジルには「ブラジリアンタイム」という言葉があるほど、時間に対して寛容な面があります。友人との待ち合わせなどプライベートな場面では、30分から1時間程度の遅刻が日常的です。しかし、この感覚をすべての場面に当てはめるべきではありません。飛行機や長距離バスの出発時間、オプショナルツアーの集合時間などは、時間厳守が基本です。ビジネスシーンや公式なアポイントメントでも同様です。状況に応じて柔軟に対応しながらも、自分が守るべき時間はしっかり守る意識を持ちましょう。
そのジェスチャー、実はNGかも?
日本で「OK」を示す親指と人差し指で輪を作るサインは、ブラジルでは相手を侮辱する非常に不快な意味を持つため、絶対に使わないようにしましょう。肯定の意味を伝えたい場合は、親指を立てる「グッドサイン(現地ではジョイアと呼ばれます)」を用いるのが適切です。また、人を呼び止める際に、手のひらを下に向けて手招きするジェスチャーも失礼と受け取られることがあります。相手の名前を呼ぶか、軽く手を挙げて合図するのが無難です。
健康と衛生管理で快適な旅を!

慣れない土地での体調不良は、せっかくの旅行を台無しにしてしまうことがあります。特にブラジルのような熱帯地域では、感染症や衛生面に関して十分な注意が必要です。出発前の準備と現地での日々の配慮によって、健康リスクをできるだけ抑えましょう。
必須および推奨される予防接種
ブラジル渡航時に特に注意したい感染症の一つが「黄熱病(Yellow Fever)」です。アマゾン地域やイグアスの滝周辺など、黄熱病のリスクが高い地域へ行く場合は、予防接種を受けることが強く推奨されています。接種は出発の10日以上前に済ませる必要があります。予防接種を受けると国際的に認められる予防接種証明書(イエローカード)が発行され、入国時に提示を求められることはまれですが、念のため携帯しておくと安心です。
また、A型肝炎、B型肝炎、破傷風などの予防接種も、滞在期間や旅行のスタイルに応じて推奨されることがあります。
【具体的な対策】 渡航が決まったら、できるだけ早めにトラベルクリニックや検疫所などの専門機関へ相談しましょう。厚生労働省検疫所(FORTH)のウェブサイトでも最新の感染症情報が得られます。自分の渡航先や滞在期間、旅行内容を伝え、どの予防接種が必要か医師からアドバイスを受けてください。
水道水は飲める?水や食事に関する注意点
ブラジルの水道水は、日本の衛生基準とは異なるため、直接飲むのは避けるべきです。うがい程度なら問題ありませんが、飲む際は必ずミネラルウォーターを購入してください。レストランで提供される水も、瓶入りのもの(água com gás=炭酸入り、água sem gás=炭酸なし)を頼むのが安全です。
食事については、火が十分に通ったものを選ぶようにしましょう。路上の屋台の食べ物は魅力的ですが、衛生状態が不明な場合は避けた方が無難です。カットフルーツやサラダも洗浄に使われた水が不確かなことがあるため、注意が必要です。食中毒を防ぐためには、清潔で信頼できるレストランを選ぶことが大切です。
蚊が媒介する感染症(ジカ熱、デング熱など)
ブラジルでは黄熱病以外にも、蚊が媒介するジカウイルス感染症(ジカ熱)、デング熱、チクングニア熱といった感染症のリスクがあります。これらには予防接種がないため、最も重要なのは「蚊に刺されないこと」です。
【行動のポイント】
- 虫よけ対策を徹底する:DEET(ディート)など有効成分を含む虫よけスプレーやクリームを日本から持参し、肌の露出部分にこまめに塗り直しましょう。
- 服装で防御する:屋外活動時は、できるだけ長袖や長ズボンを着用して肌の露出を減らしましょう。特に夕暮れから夜間にかけて蚊が活発に活動するため注意が必要です。
- 滞在環境の確認:宿泊施設の網戸に破れがないか確認し、必要に応じて携帯用蚊取り線香や電気蚊取り器を使用すると効果的です。
- 妊婦の方への注意:ジカ熱は胎児に小頭症などの先天異常を引き起こす可能性があるため、妊娠中や妊娠の可能性がある方は、流行地域への渡航を慎重に検討し、必ず医師に相談してください。
海外旅行保険の加入は不可欠
ブラジルで病気やけがをした場合、高額な医療費が発生するおそれがあります。また、盗難や航空機の遅延など予期せぬトラブルも想定されます。こうしたリスクに備えるため、海外旅行保険への加入は必ず行いましょう。治療・救援費用が無制限のプランや、携行品損害、航空遅延費用などが含まれた補償内容の充実した保険を選ぶことが重要です。
【具体的な対策】 クレジットカード付帯の保険がある場合でも、補償範囲や適用条件(たとえば旅行代金のカード決済など)を事前にしっかり確認してください。不足があれば、別途保険会社の海外旅行保険に加入することをおすすめします。保険証券や緊急連絡先はコピーをとるかスマートフォンに保存し、すぐに確認できるようにしておきましょう。
持ち込み・持ち出し禁止&制限品リスト
出入国時の税関検査でトラブルを避けるため、禁止または制限されている持ち込み・持ち出し品について、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
ブラジル入国時の持ち込み制限品目
食品(特に肉製品や乳製品)
衛生面の観点から、多くの国で動物由来の製品の持ち込みに厳しい規制が設けられています。ブラジルも例外ではなく、肉製品(ハム、ソーセージ、ジャーキーなど)や乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)、卵、果物、野菜、種子などについては、無許可での持ち込みは基本的に禁止されています。個人利用目的であっても、没収や罰金の対象となることがあります。日本からの土産として食品を持ち込む場合は、工業的に加工され密閉包装された菓子類などに留めておくのが安心です。
現金の持ち込み
外貨やブラジルレアルで合計10,000米ドル相当額以上の現金を持って入国する際には、必ず税関での申告(e-DBV)が必要です。申告を怠ると、超過分が没収されるなど厳しいペナルティが科される可能性があります。通常はそんなに多額の現金を持ち歩くことは少ないと思いますが、念のため覚えておきましょう。
医薬品の持ち込み
持病の治療などで医薬品を持ち込む場合は、個人使用の範囲内であれば許可されています。ただし、入国時に説明を求められることを想定し、医師が発行した英語またはポルトガル語の処方箋や診断書を携帯することが望ましいです。薬の成分によってはブラジルで規制されているものもあるため、事前に在日ブラジル大使館に確認するとさらに安心です。
ブラジル出国時の持ち出し制限品目
動植物製品・宝石・鉱物
ワシントン条約により保護されている動植物や、それらを原料とした製品(たとえば特定の蝶の標本や毛皮製品など)は、許可なしに持ち出すことができません。また、ブラジルは世界的に有名な宝石・鉱物の産出国ですが、未加工の原石などを持ち出す場合は、政府発行の許可証や輸出証明書が求められます。宝石類をお土産に購入する際は、必ず正規の販売店で購入し、証明書の発行を受けておきましょう。
現金の持ち出し
入国時と同様に、10,000米ドル相当額を超える現金を持ち出す場合も税関での申告が必要です。
これで安心!ブラジル旅行の準備と持ち物チェックリスト

事前の準備が、旅の快適さや安全性を大きく左右します。ここでは、ブラジル旅行に必携のアイテムから、携帯すると格段に便利になるグッズまでをまとめました。
必携アイテム(これがなければ旅が始まりません)
- パスポート:有効期限が6ヶ月以上残っているか必ず確認しましょう。
- パスポートのコピーおよび証明写真:紛失や盗難の際に再発行手続きがスムーズにできるよう、原本とは別の場所に保管してください。
- 航空券(eチケットの確認書):スマートフォンにも保存しておくのがおすすめです。
- 現金(日本円、米ドル、ブラジルレアル):少額の米ドルと、現地到着後すぐに使うためのレアルがあると便利です。
- クレジットカード:最低2枚は用意し、異なるブランド(VISA、Mastercardなど)を揃えておくと安心。カード番号や緊急連絡先も控えておきましょう。
- 海外旅行保険証書:コピーを取り、緊急連絡先とともにパスポートとは別の場所で管理してください。
- 各種予約確認書類:ホテルやツアーのバウチャーなどを忘れずに持参しましょう。
あると便利なアイテム
防犯関連
- セキュリティポーチ(マネーベルト):パスポートや現金など大事なものを服の下に隠して携帯するのに便利です。
- ワイヤーロックや南京錠:バックパックのファスナーを閉じたり、ホステルのロッカーをロックしたりする際に役立ちます。
- ダミー財布:少額の現金を入れた偽物の財布。万が一の強盗時に相手に渡して身を守るための準備として有効です。
衛生用品
- 虫除けスプレー、かゆみ止め:DEET含有のものが効果的です。現地で購入もできますが、使い慣れたものを持参すると安心です。
- 携帯用除菌ジェルや除菌シート:手を洗えない場合や食事前に重宝します。
- 常備薬:普段使用している薬のほか、胃腸薬、頭痛薬、絆創膏などを準備しましょう。
- 日焼け止め、サングラス、帽子:ブラジルの日差しは非常に強烈なので、紫外線対策はしっかり行いましょう。
衣類
- 薄手の長袖シャツや長ズボン:虫よけ、日焼け防止、冷房対策、また宗教施設訪問時にも役立ちます。
- 速乾性素材の衣類:突然のスコールや汗をかいても乾きやすい素材が便利です。
- レインウェアや折りたたみ傘:特に雨季に渡航する場合は必須のアイテムです。
電子機器関連
- 変換プラグ:ブラジルのコンセントは主にCタイプとNタイプですが、日本ではNタイプはあまり見かけません。複数形状に対応可能なマルチ変換プラグが便利です。
- モバイルバッテリー:スマートフォンは連絡や情報収集に欠かせません。電池切れを防ぐために大容量のものを用意しましょう。
- スマートフォン用防水ケース:ビーチやイグアスの滝など、水に濡れる恐れがある場所での使用に適しています。
緊急連絡先と役立つウェブサイト
旅の締めくくりとして、万が一の際に頼れる連絡先や信頼できる情報源をまとめました。このページをブックマークするか、スクリーンショットで保存することをおすすめします。
在ブラジル日本国大使館・総領事館
パスポートの紛失や盗難、事件・事故に巻き込まれた場合に最も頼りになる窓口です。
- 在ブラジル日本国大使館(ブラジリア)
- 在サンパウロ日本国総領事館
- 在リオデジャネイロ日本国総領事館
- 在クリチバ日本国総領事館
- 在マナウス日本国総領事館
- 在レシフェ領事事務所
- 在ベレン領事事務所
※各施設の連絡先や開館時間などの詳細は、外務省の公式ウェブサイトで必ずご確認ください。
緊急通報番号
- 警察: 190
- 消防: 193
- 救急: 192
※これらの番号は緊急時のみ利用してください。オペレーターは基本的にポルトガル語で対応します。
便利なウェブサイト
- 外務省 海外安全ホームページ: 国や地域ごとの最新の危険情報や安全対策の基本情報が掲載されています。渡航前および滞在中に必ずチェックしましょう。
- 在ブラジル日本国大使館: 現地の安全情報や領事サービスの案内が提供されています。
- 厚生労働省検疫所 FORTH: 海外の感染症情報や予防接種に関する資料が閲覧できます。
ブラジルは、一度訪れれば誰もがその魅力に心を奪われる素晴らしい国です。ここで挙げた注意点は、決して不安をあおるためのものではありません。正確な知識をもとに賢明な判断と行動を心がけることで、危険を最小限に抑えられます。万全の準備を整え、情熱あふれるブラジルの地で忘れ難い素敵な体験をお楽しみください。Boa Viagem(良い旅を)!

