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【銚子電鉄】奇跡のローカル線で巡る!醤油と潮風のノスタルジック紀行

ハンドルを握りしめ、アスファルトの上をひた走る日々。元自動車整備士として、僕はいつだってエンジン音と共にありました。しかし、今日ばかりは主役を譲ろうと思います。ガソリンの匂いではなく、潮風と、そしてほんのり香ばしい醤油の匂いに誘われて、千葉県は銚子市へとやってきました。今回の相棒は、レンタカーではなく、日本一のエンタメ鉄道とも称される「銚子電気鉄道」。廃線の危機を幾度となく乗り越えてきた、奇跡のローカル線です。全長わずか6.4kmの短い路線に、日本の原風景と、人々の熱い想いがぎゅっと詰まっていると聞けば、旅せずにはいられません。さあ、切符を片手に、ガタンゴトンと心地よいリズムに身を任せ、銚子の街が紡いできた物語を探しに出かけましょう。

このようなノスタルジックな鉄道旅に興味があるなら、長崎の路面電車を楽しむ旅もおすすめです。

目次

奇跡のローカル線・銚子電鉄とは?

僕が今回旅の中心に据えたのは銚子電鉄です。単なる人の移動手段としての鉄道ではなく、そこには涙あり笑いあり、そして驚くべきアイデアが詰まった壮大な物語が息づいています。この鉄道の背景を知ることで、窓から眺める風景が一層味わい深くなることでしょう。

廃線の窮地から生まれた「濡れ煎餅」

今や全国的に名を馳せる銚子電鉄ですが、その歩みは常に経営の苦難と隣り合わせでした。利用者の減少は続き、何度も廃線の危機に直面してきました。とりわけ2006年が深刻で、当時の車両法定検査にかかる約1000万円をどうしても用意できないという絶体絶命の状況に陥りました。

その時、奇跡が起きました。経理担当者が公式サイトのトップページに悲痛な叫びを綴りました。「電車の修理代を稼がなければなりません。」この正直で切実な呼びかけは多くの人の心を打ちました。さらに、副業で製造・販売していた「濡れ煎餅」の購入を呼びかけると、それがインターネット上で瞬く間に話題となり、全国から注文が殺到。電話は鳴りやまず、サーバーはダウンする事態にまで発展しました。

注文が生産を上回り、一時は「お詫び」の告知を掲載するほどの盛況となりましたが、この「濡れ煎餅フィーバー」によって銚子電鉄は修理費用を捻出し、廃線の危機を乗り越えました。一枚の濡れ煎餅が、鉄道の未来を繋ぐ架け橋となったのです。このストーリーは単なる感動話にとどまらず、地方ローカル線が生き残る一つの指針として、今なお多くの人に勇気を与えています。

アイデア勝負のユニークな経営戦略

濡れ煎餅の成功は銚子電鉄の経営スタイルを「守り」から「攻め」へと変えました。鉄道事業単体の収益だけでは成り立たないため、鉄道会社の枠にとらわれず、知恵と発想で収益を生み出そうという意気込みが次々に奇抜な企画を生み出しました。

その代表例が「ネーミングライツ(愛称命名権)」の販売です。駅名に愛称を付ける権利を企業や個人に売るという、当時は斬新な試みでした。例えば笠上黒生(かさがみくろはえ)駅は、育毛剤メーカーが命名権を取得し、「髪毛黒生(かみのけくろはえ)」という縁起の良い愛称が付けられました。このユニークな施策はメディアにも大きく取り上げられ、銚子電鉄の知名度向上に貢献しました。

さらに、自社の経営状態を逆手にとった自虐的なスナック菓子「まずい棒」も開発。インパクトある名前がSNSで話題となり、大ヒット商品となりました。「経営状況がまずい」というシャレながら、味はコーンポタージュ味で意外にも美味しいのがポイントです。また、お化け屋敷電車や車両貸切でのプロレス興行「銚電プロレス」の開催、さらには映画『電車を止めるな!』の自社製作・公開など、その斬新なアイデアは尽きることがありません。

これらの取り組みは単なる資金調達を超え、銚子電鉄を「乗るのも関わるのも楽しい」エンターテインメント空間へと高めています。自動車がカスタマイズやイベントで楽しみが広がるように、鉄道もまたアイデア次第で無限の可能性を秘めていることを、銚子電鉄は身をもって示しているのです。最新の企業情報やイベントは、銚子電気鉄道株式会社公式サイトでご確認ください。

銚子電鉄の旅、始め方ガイド

さあ、銚子電鉄の魅力的なストーリーに触れたところで、いよいよ乗車の準備を始めましょう。ローカル線ならではのルールや、知っておくと便利な情報がいくつかあります。旅をスムーズに楽しむために、しっかりと事前に確認しておきましょう。

切符の購入方法とおすすめの乗車券

銚子電鉄の旅を思い切り満喫するなら、断然おすすめなのが「弧廻手形(こまわりてがた)」という一日乗車券です。大人700円、小児350円(2024年5月現在)で銚子電鉄の全線が一日中乗り放題になります。銚子駅から終点の外川駅までの片道運賃は350円なので、往復するだけで元が取れてしまう計算です。途中下車を繰り返し沿線の見どころを隅々まで散策したい私のような旅人にとっては、必携の切符といえるでしょう。

この弧廻手形は、いくつかの駅で購入可能です。JRからの乗り換え口となる「銚子駅」、車庫のある「仲ノ町駅」、濡れ煎餅の手焼き体験ができる「犬吠駅」、そして終点の「外川駅」の窓口で販売されています。ただし、これ以外の駅はほとんど無人駅であること、また窓口の営業時間も限られているため、事前に営業状況を確認しておくと安心です。もし無人駅から乗車した場合は、車内のアテンダントさんに購入または有人駅で精算する形になります。

さらに、この弧廻手形には嬉しい特典も付いています。犬吠駅のぬれ煎餅の手焼き体験が一枚無料になったり、沿線の提携施設で割引が受けられたりと多彩なサービスがあります。記念になる硬券タイプの一日乗車券を手にすれば、旅の楽しさが一層深まることでしょう。

旅のパートナー!個性あふれる車両たち

元自動車整備士の私としては、やはり車両そのものに目がいきます。銚子電鉄を走る電車たちは、いずれも大手私鉄で長く活躍した後に、銚子の地で第二の人生を送るベテラン揃いです。新車の華やかさはありませんが、長年走り続けてきたことで醸し出される風格や、丹念に整備されてきた維持状態には心を打たれます。

例えば、主力車両のひとつ「3000形」は、もともと愛媛県の伊予鉄道で使われていたもので、その前は東京の京王電鉄で活躍していました。アイボリーと青の爽やかなカラーリングは、銚子の海沿いの風景によく映えています。一方、緑色のレトロな外観が特徴の「2000形」も元は京王電鉄の車両です。車内に足を踏み入れると、木の板張りの床やふかふかのシートが昭和の時代にタイムスリップさせてくれます。モーターのうなりや連結部分のジョイント音も、最新の電車にはない、人間味あふれる音色です。

これらの車両は一両一両に歴史と物語が刻まれています。車窓からの景色を眺めるだけでなく、車両の細部にも目を向けてみるのも楽しいかもしれません。製造年が記されたプレート、色あせた広告、手動で開ける窓など、それら一つひとつがこの電車が歩んできた長い旅路を物語っています。写真撮影の際は他の乗客の迷惑にならないよう配慮し、特にフラッシュの使用は避けて、安全な場所から旅の仲間の姿を残しましょう。

持ち物リストと服装についてのポイント

銚子電鉄の旅は、電車に乗っている時間だけでなく、駅から次の目的地まで歩く時間もけっこう多くなります。快適な旅にするために、持ち物や服装はしっかりと準備しておきましょう。

必携アイテムリスト

  • 歩きやすい靴:これは絶対に欠かせません。スニーカーが最適です。灯台の階段を上ったり、漁師町の坂道を散策することが多いため、歩きやすい靴で臨みましょう。
  • 現金:無人駅が多く、車内精算や地元の小さな商店での買い物には現金が必要になるケースがあります。千円札や小銭を多めに持っておくと便利です。
  • カメラ:レトロな駅舎、美しい海岸線、地元グルメなど、撮りたい瞬間がたくさんあります。スマートフォンでも十分ですが、こだわりたい方はぜひカメラを準備しましょう。
  • モバイルバッテリー:写真撮影や地図アプリの利用でスマホのバッテリーは予想以上に消耗します。いざというときのために満充電のバッテリーを持っていくと安心です。
  • 弧廻手形:購入後は紛失しないよう、大切に保管してください。
  • 飲み物:特に夏場は熱中症対策として水分補給が不可欠です。自動販売機がない駅もあるので、事前に飲料を用意しておきましょう。

季節ごとの服装アドバイス

銚子は海に面しているため天候が変わりやすく、特に風が強い地域です。

  • 春・秋:日中は過ごしやすいものの、朝晩や海沿いは冷え込むことがあります。カーディガンやウインドブレーカーなど、脱ぎ着しやすい上着が一枚あると便利です。
  • :強い日差し対策として、帽子、サングラス、日焼け止めは必須です。通気性の良い服装を選び、汗をぬぐうタオルも忘れずに持ちましょう。
  • :太平洋からの海風が強く、体感温度はかなり低く感じられます。ダウンジャケットやコートに加え、手袋、マフラー、ニット帽などしっかりとした防寒対策が必要です。カイロを携帯するとさらに安心です。

しっかり準備を整えれば、些細なことで旅の楽しさが損なわれることもありません。さあ、銚子電鉄の旅へ出かけましょう。

銚子駅から出発!各駅停車の見どころ巡り

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旅のスタート地点は、JR総武本線の終点である銚子駅。ここから全長6.4km、全10駅にわたる小さな旅が始まります。それぞれの駅には独自の個性やストーリーが息づいており、銚子電鉄の魅力あふれる駅々を巡っていきましょう。

銚子駅:JRからの乗り換え拠点としての出発点

JR銚子駅のホームの端、まるで隠れた入り口のようにひっそりと待つのが銚子電鉄の乗り場です。大きな改札はなく、JRのホームからそのまま直接乗り換えが可能。ここから先は、時間の流れがほんの少し緩やかになるかのような、不思議な感覚に包まれます。発車時刻が近づくと、レトロな車両がガタゴトと音を立てて入線し、ローカル線の旅がいよいよ始まります。期待で胸が高まる瞬間です。

仲ノ町駅:車庫見学と歴史あるデキ3電気機関車

銚子駅から一駅進んで最初に訪れたいのは仲ノ町駅。ここには銚子電鉄の本社と車両基地があり、まさに鉄道の心臓部です。最大の魅力は、入場券(150円の硬券)を購入すれば車庫の中を間近に見学できること。この入場券は旅の素敵な記念にもなります。

車庫に足を踏み入れると、整備中の車両や出番を待つ列車がずらり。油の匂いや金属がぶつかる音に包まれ、元整備士としては胸が高鳴る空間です。特に車庫の主役である、1922年(大正11年)にドイツで製造された「デキ3」という凸型の愛らしい黒い電気機関車は、まるで生きた鉄道遺産のよう。現在は本線を走ることはありませんが、その存在感は圧倒的です。見学時は作業員の邪魔をせず、安全のため立ち入り禁止区域には入らないなどマナーを守って楽しみましょう。

観音駅:たい焼きとレトロ駅舎の魅力

次に訪れる観音駅では、駅舎内で営業しているたい焼き屋さんが名物です。電車の待ち時間に甘い香りに引き寄せられ、一つ手に取れば外はカリッ、中はあんこがぎっしり詰まった熱々のたい焼きが懐かしい味を奏でます。小腹を満たすのにぴったりです。

駅舎自体も特徴的で、スイスの登山鉄道の駅舎を模したかわいらしい洋風建築。駅のすぐそばには、坂東三十三観音霊場の第27番札所「飯沼観音」があり、駅名の由来にもなっています。たい焼きを片手に少し足を延ばして参拝してみるのもおすすめです。

本銚子駅:ヒロミさんが手がけたリフォーム駅舎

本銚子駅は、近年全国的に話題となった駅です。その理由は、テレビ番組の企画でタレントのヒロミさんが駅舎のリフォームを担当したことにあります。老朽化していた駅舎が地元の協力を得て見違えるほど美しい空間に生まれ変わりました。

陽光を受けて輝くステンドグラス風の窓、温もり溢れる木材をふんだんに用いた内装、そして地域の方々が手作りしたタイルアート──どれもが駅と地域への深い愛情を感じさせます。小さな無人駅ながら、途中下車してでもぜひ見ておきたいアートのような駅舎です。この美しい駅舎がこれからも長く使われるよう、私たち利用者も大切に扱いたいですね。

笠上黒生駅:唯一の行き違い可能駅

銚子電鉄は全線が単線のため、上下線の列車が行き違うことはできません。その唯一の場所が笠上黒生駅です。ここで銚子行きと外川行きの電車がすれ違います。タイミングが合えば、ホームに2種類の車両が並ぶ貴重な光景を目にすることができ、鉄道ファンにはたまらないシャッターチャンスとなっています。

また、この駅はネーミングライツの成功例としても知られています。正式名称は「笠上黒生」ですが、駅名標にはユニークな愛称「髪毛黒生(かみのけくろはえ)」が大きく掲げられ、訪れる人の笑いを誘います。小さな駅ですが、銚子電鉄の運行を支える重要な役割と経営努力の象徴が詰まった場所と言えるでしょう。

西海鹿島駅:関東最東端のシンプルな駅

西海鹿島駅は、鉄道ファンの間で「関東最東端の駅」として知られています。単線のホームが一本のみの極めてシンプルな無人駅で、周囲には広大なキャベツ畑が広がっています。派手な観光地はないものの、広々とした青空と穏やかな田園風景が心をほっとさせてくれます。電車を降りて深呼吸すれば、土と潮の香りが混じった銚子らしい空気が胸いっぱいに広がります。日常の喧騒を離れてゆっくり物思いにふけるには、格好の場所かもしれません。

終点・外川駅とその周辺でノスタルジーに浸る

ガタンゴトンと揺られること約20分、電車は終点の外川(とかわ)駅に到着します。ここから先には線路が続いていませんが、旅の終わりではなく、新たな散策の始まりに他なりません。外川の街には、まるで時間が止まったかのような懐かしい風景が広がっています。

昭和へタイムスリップ!外川駅の魅力

外川駅の駅舎は、1923年(大正12年)の開業当初から使われている木造建築です。使い込まれて艶やかに光る木の床、手書きの運賃表、改札口のラッチ。これらすべてが、大正から昭和、そして平成、令和へと続く長い歴史を静かに物語っています。駅舎に足を踏み入れた瞬間、まるで映画のセットの中に迷い込んだかのような感覚にとらわれます。

実際、この懐かしい雰囲気を求めて、多くのドラマや映画のロケ地としても使われてきました。駅舎内には撮影で使われた小道具や出演者のサインなどが飾られており、それらを探すのも楽しみの一つです。ホーム脇にはかつて銚子電鉄で活躍した「デハ801」という古い車両が静態保存されていて、その丸みを帯びた愛らしい姿は絶好の写真スポットとなっています。

坂の町・外川の漁師町を散策

外川駅を出ると目の前に港へと続く長い坂道が広がります。この坂道こそ、外川の街最大の見どころです。坂の両側には古い木造家屋がぎっしりと建ち並び、迷路のように細い路地が縦横に走っています。この町並みは、江戸時代に紀州(現在の和歌山県)の漁師たちが移住して開いたもので、碁盤の目状に区画整理されているのが特徴です。

坂をゆっくりと下っていくと、眼下に外川漁港と広大な太平洋が姿を現します。潮風を肌で感じながら、どこか懐かしい漁師町の風景を歩くうちに、日々の慌ただしさを忘れて心がほぐれていくのを実感します。ただし、このエリアは今も実際に人が暮らしている場であるため、散策の際は住民の方々に迷惑をかけないよう、静かに歩き、私有地には入らないよう注意しましょう。昔ながらの日本の漁村の風情を、敬意を持って味わいたいものです。

犬吠埼で感じる地球の丸さ

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外川駅のひとつ手前、犬吠(いぬぼう)駅で降りると、銚子観光のハイライトといえる犬吠埼エリアが待ち構えています。雄大な太平洋の絶景は、忘れがたい思い出になることでしょう。

犬吠駅:濡れ煎餅の手焼き体験とポルトガル風の駅舎

犬吠駅は、銚子電鉄を支えた名物「濡れ煎餅」の販売拠点として多くの観光客で賑わうスポットです。白い壁にオレンジ色の瓦屋根が映える、美しい南欧ポルトガルをイメージした駅舎が印象的。駅に降りた瞬間から、リゾート気分がぐっと高まります。

こちらでぜひ参加してほしいのが、「濡れ煎餅の手焼き体験」です。駅構内の売店で申し込むと、まだ焼く前の白い煎餅生地が渡されます。専用の網に載せ、トングでひっくり返しながら丁寧に焼き上げていく過程は、まさに手作りの楽しさそのもの。ぷくっと膨らんだら、特製醤油にジュッと浸して仕上げます。自分で焼いた熱々の濡れ煎餅は格別で、香ばしい醤油の香りが食欲を刺激します。外はカリッと、中はもちもちとした独特の食感も魅力的です。弧廻手形を提示すれば1枚無料で体験できるのも嬉しいポイント。お土産には、濡れ煎餅やまずい棒、各種オリジナルグッズが豊富に揃っているので、旅の記念にぜひどうぞ。銚子の観光情報全般については、銚子市観光協会のウェブサイトもぜひご参照ください。

白亜の灯台、犬吠埼灯台を訪ねて

犬吠駅から海へ向かって徒歩約10分。青空にそびえ立つ白亜の壮大な塔、犬吠埼灯台が見えてきます。1874年(明治7年)にイギリス人技師の設計によって築かれたこの灯台は、日本有数の名灯台として知られ、「世界灯台100選」にも選出されています。その優美な姿は銚子の象徴として、多くの人々から親しまれています。

内部には99段の螺旋階段があり、展望スペースまで登ることが可能です。階段はやや狭く急ですが、登り切れば360度の大パノラマが眼前に広がります。眼下に続くのは果てしない水平線。岩礁に打ち寄せる荒波と太平洋の雄大な景観は、まさに絶景のひとことです。近くの「犬吠テラステラス」といった商業施設でひと息つくのもおすすめ。灯台の歴史やメカニズムについて学べる資料館も併設されているので、ぜひ足を運んでみてください。入場料や営業時間は公式サイトで事前にご確認を。

地球が丸く見える丘展望館のパノラマビュー

犬吠埼灯台の眺めも素晴らしいですが、もうひとつぜひ訪れてほしい絶景スポットが「地球の丸く見える丘展望館」です。小高い丘の上に建つこの展望館の屋上からは、その名の通り、わずかにカーブを描く水平線を肉眼で確認できます。「地球は丸いんだ」ということを、頭で理解するだけでなく全身で感じられる感動的な場所です。

展望スペースからは、東に太平洋、西には屏風ヶ浦の断崖、北は鹿島灘まで遮るものなく360度の景色が一望できます。特に夕暮れ時は空と海がオレンジ色に染まり、幻想的な光景が広がります。日没後、犬吠埼灯台が力強い灯りを灯す様子もまた心に残る風景です。旅の締めくくりに、地球の壮大な大きさを実感できるこの景色を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。詳しいアクセス方法や開館時間は、銚子市公式サイトでご確認されることをおすすめします。

銚子グルメを味わい尽くす

旅の醍醐味といえば、やはりグルメは欠かせません。銚子は日本有数の漁港の街であり、醤油の名産地でもあります。ここでしか味わえない、新鮮で美味しい食材が豊富に揃っています。

新鮮!海の幸に舌鼓を打つ

銚子漁港は全国でも有数の水揚げ量を誇り、親潮と黒潮が交わる恵まれた漁場に位置しています。一年を通じて多彩な魚介類が水揚げされ、特に「釣りキンメ」と呼ばれる高級な金目鯛が有名です。脂がたっぷりのった煮付けは、まさに絶妙な味わいです。また、入梅の時期に旬を迎える「入梅いわし」も銚子ならではの味覚。刺身でいただけば、とろけるような脂の甘みが印象的です。

銚子駅や外川漁港周辺には、新鮮な魚介を楽しめる食堂や寿司屋が数多く点在しています。豪快な海鮮丼や地魚を使った握り寿司、サクサクのミックスフライ定食など、目移りするほど魅力的なメニューが並びます。もしお店選びに迷ったら、地元の人で賑わっている店を選ぶのがおすすめです。きっと忘れがたい味に出会えることでしょう。

醤油の町ならではの食の楽しみ

銚子は江戸時代から続く醤油の二大名門、ヤマサ醤油とヒゲタ醤油の工場がある、日本有数の醤油の町です。街を歩くと、どこからともなく醤油の香ばしい香りが漂い、食欲を刺激します。

そんな銚子ならではのユニークなグルメが「醤油ソフトクリーム」です。バニラの甘さに醤油のほのかな塩気と香ばしさが融合した、甘じょっぱさがやみつきになります。また、濡れ煎餅だけでなく、醤油を使った菓子やパンも販売されています。ヤマサ醤油の工場では、醤油の製造過程を見学できるほか、限定商品を購入することも可能です(要予約)。見て、味わって、香りを楽しみながら、五感で醤油の魅力を堪能するのは、銚子ならではの楽しみ方と言えるでしょう。

もしもの時のために知っておきたいこと

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楽しい旅を続けるためには、万一のトラブルに備えておくことも重要です。問題が起きても冷静に対応できるよう、いくつかのポイントを頭に入れておきましょう。

運行トラブル時の対処法

銚子電鉄は路線が短いものの、特に強風などの悪天候によって遅延や運休が生じる場合があります。電車が止まった際には、まず慌てずに現状を確認してください。運行情報は公式サイトや有人駅(銚子・仲ノ町・犬吠・外川)の掲示板にて確認可能です。車内にいる場合には、アテンダントの指示に従いましょう。

大幅な遅延や運休が決まった際の代替手段としては、路線バスやタクシーが考えられますが、本数に限りがあるためすぐに利用できるとは限りません。スケジュールには余裕を持つことが最も効果的な対策です。購入した乗車券の払い戻しは、原則として銚子電鉄の都合による運休に限られますので、詳細は駅の係員に問い合わせてください。

旅のルールとマナー

全ての旅人が心地よく過ごせるよう、いくつかのルールやマナーを守りましょう。

  • ワンマン運転と無人駅の利用方法:銚子電鉄では時間帯によりワンマン運転を実施しています。無人駅から乗車する際は、先頭車両の後部ドアから乗り込み、整理券を取ってください。降りる際は、先頭車両の前方ドアへ進み、運転士の横に設置された運賃箱に運賃または一日乗車券を入れて降車します。有人駅では、改札で精算を行います。
  • 車内での飲食について:ローカル線の旅の楽しみの一つに駅弁や軽食がありますが、匂いの強い食べ物は控え、周囲の乗客への気遣いを忘れないようにしましょう。ゴミは必ず持ち帰り、車内に残さないようお願いします。
  • 写真撮影の注意点:車窓景色や列車の撮影は旅の魅力の一つですが、他の乗客が映り込まないように配慮し、フラッシュの使用は避けてください。また、安全のためホーム上は白線の内側から撮影し、プライバシーにも十分気をつけましょう。

こうしたささやかな気配りが、自分自身はもちろん、他の旅行者や地元の方々の旅をより快適にしてくれます。

レールが紡ぐ、未来への物語

全長わずか6.4kmのこの鉄道は、ゆっくり走ってもおよそ20分ほどで終点に到着してしまう、小さな鉄道路線です。しかし、その短い線路には、廃線の危機を乗り越えてきた強い意志、地域の人たちの深い愛情、そして訪れる旅人たちの笑顔が幾重にも重なり合い、輝きを放っていました。

「濡れ煎餅」を一枚買うことは、単なる消費行動ではなく、この鉄道の未来を支える一票とも言えるでしょう。ユニークなネーミングライツが付けられた駅名を見て笑うことも、銚子電鉄の独特な挑戦を後押しする力となります。

元自動車整備士の私は、機械の持つ力と、それを動かす人間の情熱を信じています。銚子電鉄は、古い車両を丁寧に整備し、知恵やアイデアという新たな燃料を注ぎ込むことで、今なお力強く走り続けています。ガタンゴトンと響く心地よいリズムは、過去から今、そして未来へとつながる希望の鼓動のように感じられました。

この旅で私が見たのは、単なる美しい風景や美味しい料理だけではありません。困難に立ち向かいながらもユーモアを忘れず、前へ進み続ける人々の生きざまだったのです。さあ、次にこのレールをたどるのはあなたです。切符を手に、この温かな物語の続きをぜひその目で確かめてください。

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この記事を書いたトラベルライター

元自動車整備士、今はロードトリップ愛好家!レンタカーでアメリカ横断しながら、絶景とBGMとキャンプ飯を楽しんでます。車と旅、どっちも好きな方はぜひチェックしてください!

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