坂の街、長崎。石畳の路地を歩けば、異国情緒あふれる建物と和の風景が不思議と溶け合い、まるで時代を遡ったかのような感覚に包まれます。この街の魅力を語る上で絶対に欠かせないのが、市民の足として、そして観光客の頼れる相棒として走り続ける「路面電車」です。「ちんちん電車」の愛称で親しまれるこの電車は、ただの移動手段ではありません。ガタンゴトンという心地よいリズムは旅のBGMとなり、車窓から流れる風景は長崎の歴史そのものを映し出します。私、翔太は元自動車整備士という経歴から、エンジンで動く乗り物には特別な愛着がありますが、電気の力で静かに、そして力強く街を駆け抜ける路面電車の姿には、また違った機能美とロマンを感じずにはいられません。排気ガスを出さずに街の空気を汚さない、そのクリーンな存在感は、これからの時代の旅のあり方を示唆しているようにも思えます。この記事では、そんな長崎の路面電車を初めて利用する方でも、まるで地元の人のようにスムーズに乗りこなせるよう、乗車前の準備から乗り方、お得な切符の情報、さらにはトラブル対処法まで、私の知識と経験を総動員して徹底的に解説していきます。このガイドを片手に、あなただけの長崎の物語を描く旅へ、さあ出発しましょう。
路面電車で巡る長崎の旅を堪能した後は、洗練された港町・横浜の大人の散策で、また違った旅の感性を磨いてみませんか。
長崎の路面電車の魅力とは?時を超えて愛される理由

なぜ長崎の路面電車は、これほど多くの人々を惹きつけるのでしょうか。その理由は一つに留まりません。歴史的背景、景観の美しさ、利用のしやすさ、そしてコストパフォーマンス。あらゆる面で旅人の心を満たす魅力が詰まっているのです。
街並みに溶け込むノスタルジックな風景
長崎の路面電車の大きな魅力の一つは、その存在自体が街の美しい景観の一部となっていることにあります。西洋と東洋が融合した独特の建築、歴史の息吹を感じさせる石畳、そして港からの爽やかな潮風が織りなす風景。その中をカラフルな車体がゆっくりと走り抜ける様子は、まるで一枚の絵のようです。特に中島川にかかる日本最古のアーチ型石橋「眼鏡橋」の近くを通過する瞬間は、絶好の撮影スポットとして多くの観光客がカメラを向けます。また、世界文化遺産の大浦天主堂の足元や、日本の近代化の歴史を今に伝える出島のすぐそばを通る路線もあり、単に移動するだけでなく、長崎の歴史を体感できるのです。移動そのものが観光体験となる。これが、長崎の路面電車ならではの唯一無二の魅力です。
驚くほどリーズナブル!どこまで乗っても均一料金
観光地巡りで案外負担になるのが交通費ですが、長崎の路面電車はその点、旅人にとって非常にありがたい存在です。どこまで乗っても大人140円、小児70円といった驚きの均一運賃(2024年5月現在)を採用しており、ほんの隣の電停まででも、始発から終点まででも同じ料金です。これにより、複雑な料金計算に戸惑うことなく、誰でも簡単に利用できる仕組みとなっています。気軽に乗り降りできるので、「あの角の店にちょっと寄ってみたいな」と思えばすぐに途中下車して散策し、また次の電車で旅を続ける、といった自由なスタイルも実現可能です。この手軽さこそ、長崎の街をよりじっくり、のびのびと楽しむポイントなのです。
観光スポットを結ぶ充実の路線網
長崎電気軌道が運行する路面電車は、全部で5つの系統が存在し、市内の主要観光地をまるで毛細血管のように結びつけています。例えば、平和公園や原爆資料館へ行くなら「赤迫」行きの1号線・3号線。グラバー園や大浦天主堂へ向かうなら「石橋」行きの5号線が便利です。また、日本三大中華街の一つである長崎新地中華街や出島へも、複数の系統でアクセス可能です。観光客は複雑なバス路線を覚える必要がなく、色分けされた分かりやすい路線図を頼りに、効率的に名所を巡れます。ほとんどの主要電停の周辺には有名な観光地があり、「とりあえず電車に乗ってみる」だけで自然と素敵なスポットへとたどり着くことができるのです。まさに、長崎観光に最適化された交通網と言えるでしょう。
環境に配慮した、未来志向の交通手段
元整備士の視点から特に注目したいのは、乗り物の環境性能です。自動車、特に古いディーゼル車がもたらす排ガスは、歴史的な街並みや大気の質に悪影響を及ぼします。一方、長崎の路面電車は電気で動くため、走行中には一切の排気ガスを出しません。これは美しい景観と清浄な空気を守るうえで大きなメリットです。近年ますます注目されるSDGsや持続可能な観光の観点からも、路面電車の利用はエコな旅の選択と言えます。静かなモーター音で滑らかに走るその姿は、街の喧騒に溶け込み、騒音の問題も引き起こしません。長崎の美しい街並みを未来の世代に残すために、路面電車は過去の遺産であると同時に、持続可能な未来へと繋がる交通システムとして重要な役割を担っているのです。
初めてでも安心!長崎電気軌道パーフェクト乗車マニュアル
その魅力を理解したところで、いよいよ実践編へ進みましょう。ここでは、あなたが明日からすぐに路面電車を快適に利用できるように、乗車前の準備から乗り方、切符の購入方法まで、一つずつ丁寧にご案内します。これを読めば、もう迷うことはありません。
基本はこれだけ!乗車前の準備と心構え
旅の成功は準備にかかっていると言っても過言ではありません。路面電車に乗る前に少し準備をしておくだけで、快適な旅がぐっと楽になります。
準備と持ち物チェックリスト
- 現金(小銭): 運賃は140円のため、100円玉や10円玉を多めに用意するとスムーズです。車内には両替機がありますが、千円札までしか対応していません。五千円札や一万円札は使えないため、乗車前に必ず両替しておきましょう。
- 交通系ICカード: 「nagasaki nimoca」をはじめ、「SUGOCA」「はやかけん」「Suica」「PASMO」など、全国で共通利用可能な交通系ICカードが使えます。お持ちの方は残高を事前にチェックしておくと安心です。タッチするだけで乗り降りでき、小銭の煩わしさもなくおすすめです。
- スマートフォン: 後述する「モバイル一日乗車券」を使う場合に必要です。また、路線図や地図のアプリを入れておくと、現在地や目的地の確認に便利です。
- 一日乗車券: 何度も乗り降りする予定があるなら、とてもお得です。購入場所をあらかじめ確認しておきましょう。
- 歩きやすい靴: 電停から観光スポットまでは多くの場合徒歩移動が必要です。特に長崎は坂が多く石畳も多いため、歩きなれたスニーカーなどをおすすめします。
服装についてのポイント
厳しい服装ルールはありませんが、電車の乗り降りでステップの昇降があるため、動きやすい服装が望ましいです。古い車両は床が高めのことがあり、タイトなスカートや動きにくい服装だと乗り降りの際に不便かもしれません。両手を使いやすくするため、リュックやショルダーバッグを選ぶと、運賃の支払い時や手すりにつかまるときに便利です。
チケット購入方法を詳しく解説
長崎の路面電車の料金支払い方法はおおまかに3種類あります。あなたの旅のスタイルに合わせて、最適な方法を選びましょう。
現金で乗車する場合
最も基本的な乗り方です。流れはとてもシンプルです。
- 乗車: 電車の中ほどのドアから乗ります。この際、整理券を取る必要はありません。空いている席に座るか、手すりにつかまってください。
- 降車: 降りたい電停が近づいたら、車内の降車ボタンを押して運転士に知らせます。アナウンスも流れるため、乗り過ごしの心配は少ないでしょう。
- 支払い: 電車が完全に停車したら、一番前のドアへ進みます。運転士横の運賃箱に、大人140円、小児70円を投入してください。お釣りは出ないため、事前に正確な金額を用意しておくのが理想的です。もし小銭が不足している場合は、運賃箱に付いている両替機で両替してから支払いましょう。
交通系ICカードでスムーズに乗車
小銭を気にせず利用したい方には、交通系ICカードがおすすめです。
- 乗車時: 中ほどのドアから乗る際、ドア横にあるカードリーダーにICカードを「ピッ」と音が鳴るまで確実にタッチしてください。
- 降車時: 降りたい電停で降車ボタンを押し、一番前のドアに移動したら、運賃箱上のカードリーダーに再度ICカードを「ピッ」とタッチします。これで運賃が自動的に引き落とされます。
- 注意点: 残高不足に気をつけてください。足りない場合は、その場で運転士に相談し、不足分を現金で支払うか、停車中に車内のチャージ機(千円札のみ対応)でチャージしてください。あらかじめ駅の券売機やコンビニでチャージしておくと安心です。
観光に便利な一日乗車券
1日に4回以上乗るなら、「一日乗車券」が断然お得です。大人600円、小児300円で全線乗り放題。2種類あり、それぞれの特徴をご紹介します。
モバイル一日乗車券
スマホアプリ「STLOCAL」から購入可能なデジタル版です。クレジットカードで決済でき、乗降時にスマホ画面を運転士に提示するだけ。紙の券を紛失する心配がなく、販売窓口に行く手間もありません。登録・購入手順も簡単なので、スマホ操作に慣れている方に特におすすめです。
紙の一日乗車券
昔ながらのスクラッチ式です。長崎駅観光案内所や主要ホテルのフロント、長崎電気軌道の営業所などで購入できます。利用日の年月日部分をコインで削り、降車時に運転士に見せます。旅の記念にもなるのが魅力です。販売場所は限られているため、事前に長崎電気軌道公式サイトで確認しておきましょう。
乗車と降車の基本ステップ
基本は「後ろのドアから乗り、前のドアから降り、運賃は後払い」です。これを押さえておけば安心です。
- 電停で待つ: 電車は道路中央の安全地帯(電停)に停まります。黄色い線の内側で安全に待ちましょう。行き先表示を確認し、自分が乗りたい系統かどうかを必ず確かめてください。
- 乗車: 電車が来たら中ほどのドアから乗ります。混雑時でも落ち着いて順番に乗り込みましょう。
- 車内で: 空席があれば座り、なければ手すりや吊革にしっかりつかまってください。電車は意外と揺れるため、注意が必要です。車窓を楽しみながら、目的の電停のアナウンスに耳を傾けましょう。
- 降車: 降りる電停の手前でアナウンスが流れたら、降車ボタンを押します。ボタンを押すとランプが点灯し、運転士に降車を知らせます。既に誰かが押していれば、重ねて押す必要はありません。
- 支払いと下車: 電車が完全に停車したら、一番前のドアに向かい、運転士に運賃を支払うか、ICカードをタッチ、一日乗車券を提示して降ります。
乗り換えも安心!乗り継ぎ券の使い方
長崎の路面電車には、特定の電停で別路線に乗り換える際に便利な「乗り継ぎ制度」があり、その中心となるのが「新地中華街」電停です。
- 現金利用時の乗り換え: 最初の電車を降りる際、料金を払う前に運転士に「乗り継ぎ券をください」と伝えます。すると、運賃と引き換えに小さな乗り継ぎ券をもらえます。次の電車で降りる際に、その券を運賃箱に入れれば追加料金はかかりません。ただし乗り継ぎ券は発行から30分以内で、指定の方向のみ有効なのでご注意ください。
- ICカード利用時の乗り換え: ICカードならさらに簡単です。新地中華街電停で降車時にタッチし、30分以内に乗り換え先の電車でも降車時に再度タッチすると自動的に乗り継ぎ割引が適用され、2回目の運賃は引かれません。特別な操作は不要でとてもスムーズです。
- 一日乗車券利用時: 一日乗車券を持っていれば、乗り降りは完全に自由です。乗り継ぐ際も特に意識することなく、降車時に見せるだけで問題ありません。様々な路線を利用したい観光客には、一日乗車券がやはり最も頼りになるアイテムと言えるでしょう。
知っておくと旅がもっと楽しくなる!路面電車の豆知識

基本的な乗り方を覚えたら、次はもう少し深掘りした世界に足を踏み入れてみましょう。知識が増すほど、路面電車の旅はより奥深く味わい深いものになります。
個性豊かな車両たち
長崎の街を走る路面電車は、一種類だけではありません。注意深く観察すると、多彩な形状や色彩の電車が行き交っていることに気づくでしょう。特に目を引くのは、最新型の超低床車両「3000形」や「5000形」です。これらの車両は地面との段差がほとんどなく、車椅子やベビーカーの乗降が非常にスムーズなバリアフリー設計となっています。未来感あふれる洗練されたデザインも魅力の一つです。その一方で、昭和時代から走り続けるレトロな車両も多数現役です。木製の床が奏でる心地よい音と、懐かしさを誘うモーター音を響かせながら走る姿は、鉄道ファンはもちろん、多くの人の心を惹きつけます。元整備士としては、この新旧の車両が同じ線路を共有していることに、技術の進化と古き良きものを大切に使う文化の両方を感じ、感慨深い思いがこみ上げます。どの車両に乗れるかは、その時の運次第というのも、旅の醍醐味の一つです。
行先表示の見方と系統の仕組み
長崎の路面電車は観光客が分かりやすいよう、系統ごとに色分けされています。これを覚えておくと、間違って乗ることがぐっと減ります。
- 1号系統(青色): 赤迫(あかさこ)から崇福寺(そうふくじ)までの主要ルート。長崎駅前や出島、新地中華街など主要スポットを経由します。
- 3号系統(赤色): 赤迫から蛍茶屋(ほたるぢゃや)まで走る路線。平和公園方面から公会堂前や諏訪神社方面へ向かう際に使います。
- 4号系統(黄色): 崇福寺から蛍茶屋を結ぶ路線。観光客の利用は比較的少ないかもしれませんが、眼鏡橋などを通ります。
- 5号系統(緑色): 石橋(いしばし)から蛍茶屋までの路線で、グラバー園や大浦天主堂へ行く際に欠かせないルートです。
電車の正面や側面にある行先表示板には、系統番号と色、そして終点名が表示されています。例えば、「①青 崇福寺」と書かれていれば、それは1号系統の崇福寺行きであることが一目で分かります。「赤迫」や「蛍茶屋」といった終点は観光客には馴染みが薄いかもしれませんが、自分の目的地がどの系統の色に該当するかを覚えておけば、直感的に正しい電車を選ぶことができます。
車窓から楽しむ長崎の風景おすすめ区間
せっかくなら路面電車の移動時間を単なる移動だけで終わらせず、車窓の景色も存分に楽しみましょう。おすすめの区間をいくつかご紹介します。
- 大浦海岸通~石橋(5号系統): この区間では、進行方向の右手に広がる長崎港の風景を楽しめます。巨大なクルーズ船が停泊していることもあり、港町としての長崎の雰囲気を満喫できます。終点の石橋に近づくにつれ、坂の上に連なる家々の景色が見え、長崎ならではの風情を感じられます。
- メディカルセンター~大浦天主堂(5号系統): この区間では、路面電車が急勾配の坂を力強く登る場面を体験できます。特に大浦天主堂電停手前のカーブはまるでアトラクションのようです。車窓には坂の途中に点在する洋風建築が見え隠れし、異国情緒が漂います。
- 西浜町~公会堂前(4号・5号系統): この区間では、あの有名な「眼鏡橋」のすぐそばを通過します。進行方向左側の座席に座れば、川面に映る美しいアーチ橋を一瞬だけ眺められます。絶対に見逃さないよう、カメラの準備をしておくことをおすすめします。
- 平和公園周辺(1号・3号系統): 松山町電停付近は平和公園エリアです。車窓からは穏やかな日常が流れる街並みの奥に、平和を象徴する景色が広がります。電車が静かに走っているその風景自体が、平和の大切さを改めて感じさせてくれます。
もしもの時のためのトラブルシューティング
どれだけ準備を重ねても、旅にはトラブルがつきものです。しかし、あらかじめ対処法を知っておけば、慌てずに冷静な対応が可能です。ここでは、路面電車で起こりやすい「もしも」の状況と、その解決法をまとめました。
乗り過ごしてしまった場合の対処法
初めて訪れる場所では、風景に気を取られたり、考え事をしていたりして、うっかり目的の電停を通り過ぎてしまうことがあります。ですが、あわてる必要はありません。長崎の路面電車は均一料金制なので、金銭的な負担はほとんどありません。まずは落ち着いて、次の電停で降りましょう。道路を渡って反対側の電停に向かい、折り返しの電車に乗れば問題ありません。電停同士の距離はそれほど長くないため、歩いて戻ることもできます。もし終点まで乗ってしまっても、運転士が案内してくれますし、そのまま折り返しの電車に乗ることも可能です(その際は運賃の再支払いが必要です)。落ち着いて対応することが大切です。
一日乗車券やICカードを紛失した際の対応
旅の途中で大事な乗車券を失くすと、気持ちが沈みますよね。
- 紙の一日乗車券:残念ながら、紛失した場合は再発行できません。金券と同様の扱いなので、なくさないように財布やカードケースなど決まった場所にしっかり保管しましょう。
- 交通系ICカード:無記名カードは再発行が難しいです。一方、氏名や連絡先を登録する「記名式」のカードであれば、発行会社の窓口で所定の手続きをすれば、手数料がかかるものの再発行が可能な場合があります。旅先での手続きは困難かもしれませんが、覚えておくと役立ちます。
- モバイル一日乗車券:こちらが最も安心です。乗車券はスマートフォンに保存されるため、スマホそのものを失わない限り紛失の心配はほぼありません。ただし、バッテリー切れには注意が必要なので、モバイルバッテリーを持ち歩くのがおすすめです。
もし乗車券を失くした場合は、その後の乗車で現金や別のICカードでその都度運賃を支払うことになります。
車内に忘れ物をしたと気づいたら
降りたあとに「カバンがない!」「お土産を忘れた!」と思ったら、できるだけ早く行動しましょう。まずは長崎電気軌道の営業所(本社)へ電話で問い合わせるのが最も確実です。その際、以下の情報をできるだけ詳しく伝えると、発見の可能性が高くなります。
- 忘れ物をした日時(何月何日の何時頃か)
- 乗車区間(〇〇電停から△△電停まで)
- 乗っていた電車の系統と行先(例:1号系統 崇福寺行き)
- 車両番号(わかれば)
- 忘れ物の特徴(色や形、中身など)
問い合わせ先は長崎電気軌道のお問い合わせページでご確認いただけます。早めの連絡ほど発見率が高まるので、気づいた時点ですぐ連絡しましょう。
運休や遅延が起きたときの対処法
路面電車は道路上を走るため、交通事故やイベント、悪天候などによってダイヤに乱れが生じたり、一部区間が運休したりする場合があります。もし電車がなかなか来なかったり途中で停止したりしたら、まず状況を確認しましょう。長崎電気軌道の公式ウェブサイトや公式SNSでは、最新の運行情報を発信していることがあります。また、電停にいる他の乗客や運転士に状況を尋ねるのも有効です。大幅な遅延や運休で目的地への到着が難しい場合は、代替手段を検討してください。近隣を走る路線バスやタクシー、場合によっては徒歩で移動することも可能です。運賃の払い戻しについては、自己都合ではないため一概には言えませんが、計画運休などの特別なケースを除き、基本的にはほとんど行われません。まずは公式の発表を確認し、冷静に次の行動を決めましょう。
路面電車で巡る!おすすめ観光モデルコース

さあ、これであなたも路面電車の達人です。ここでは、一日乗車券を手に、長崎の魅力を効率的に巡るためのモデルコースをいくつかご紹介します。もちろん、これらはあくまでも参考例。気になったスポットで途中下車しながら、自分だけのオリジナルプランを作るのも旅の楽しみのひとつです。
歴史と異国情緒を満喫!定番の半日コース
長崎の代表的な名所をコンパクトに回る、初めて訪れる方に最適なコースです。
- スタート:長崎駅前 → (1号系統・崇福寺行き) → 出島:まずは日本の近代化の窓口として知られる出島へ。復元された建物群を歩けば、鎖国時代の雰囲気を肌で感じられます。
- 出島 → (徒歩すぐ) → 新地中華街:電停を乗り換えの拠点「新地中華街」へ。ちゃんぽんや皿うどんで腹ごしらえ。角煮まんの食べ歩きもおすすめです。
- 新地中華街 → (5号系統・石橋行きに乗り換え) → 大浦天主堂:国宝の大浦天主堂の荘厳な美しさに圧倒されます。周辺には多くのお土産屋さんもあります。
- 大浦天主堂 → (徒歩) → グラバー園:坂を登れば、長崎港を一望できる絶景が広がります。異国情緒あふれる洋館群をのんびり散策しましょう。
- 石橋(グラバー園第2ゲートからスカイロード経由が便利) → (5号系統・蛍茶屋行き) → 西浜町 → (徒歩) → 眼鏡橋:締めくくりは日本最古のアーチ型石橋へ。ハートストーンを探すのも楽しいですよ。
平和を祈る、学びの旅コース
長崎が持つもうひとつの重要な側面である「平和」について考える時間を大切にするコースです。
- スタート:長崎駅前 → (1号または3号系統・赤迫行き) → 松山町:降車後すぐ平和公園があります。平和祈念像の前で静かに祈りを捧げましょう。
- 平和公園 → (徒歩) → 原爆落下中心地公園:公園内を歩いて原爆が落下した中心地へ。当時の地層を観察できるスポットもあります。
- 原爆落下中心地公園 → (徒歩) → 長崎原爆資料館:被爆の惨状とそこからの復興の歩みを学びます。目をそらさず、真摯に向き合うことが未来への一歩となるでしょう。
- 原爆資料館 → (徒歩またはバス) → 浦上天主堂:原爆で甚大な被害を受けながらも再建されたカトリック教会。その力強い姿に心を打たれます。
地元気分満喫、通好みの坂道&商店街コース
定番スポットだけでなく、長崎の生活に触れてみたい方におすすめのコースです。
- スタート:長崎駅前 → (1号系統・崇福寺行き) → 崇福寺:中国様式の寺院としては日本最古の国宝建築。その鮮やかな色彩と独特の雰囲気に引き込まれます。
- 崇福寺 → (1号系統・赤迫行き) → 観光通り:長崎で最も賑やかな商店街「浜んまちアーケード」をゆったり散策。地元のグルメやお土産を見つけましょう。
- 観光通り → (5号系統・石橋行き) → 石橋:終点の電停です。ここから「グラバースカイロード」という斜めに動くエレベーターを利用して、グラバー園の丘の上へ楽にアクセス。地元の生活路を体験できます。
路面電車利用時のマナーと注意点
路面電車は観光客だけでなく、多くの地元の人々が日常的に利用している公共交通機関です。誰もが快適に利用できるよう、いくつかのマナーや注意点を忘れずに心掛けましょう。
みんなが快適に利用するために
- 車内での飲食について: 香りの強い食べ物やこぼれやすい飲み物は控えめに。特に混雑時は、周囲の人への配慮が大切です。
- 大きな荷物の扱い: スーツケースなど大きな荷物を持つ場合は、ドア周辺や通路を塞がないよう注意してください。混雑が予想される時間帯を避けて移動するのもおすすめです。国土交通省のガイドラインでも、他の乗客に迷惑をかけない配慮を推奨しています。
- 会話や携帯電話の利用: 大声での会話はできるだけ控えましょう。電話での通話も、緊急時以外は避けるのがマナーです。音楽を聴く場合はイヤホンを使い、音が漏れないよう心掛けてください。
- 優先席について: 車内には高齢者や身体の不自由な方、妊婦さん、小さいお子様連れの方のための優先席があります。必要としている方がいれば、席を譲る思いやりを忘れないようにしましょう。
安全に乗車するためのポイント
- 乗り降りは完全停車後に: 電車が動いているときの乗降は非常に危険です。必ず電停で完全に停車し、ドアが開いてから乗り降りしてください。
- 軌道敷内を歩かない: 線路の敷かれている「軌道敷」は基本的に歩行禁止です。道路を横断するときは、必ず横断歩道を使いましょう。
- 足元の安全に注意: 雨の日などは電停や車内の床が滑りやすくなります。乗降時は手すりをしっかりつかみ、足元に十分注意してください。
- 自動車運転者へのアドバイス: ドライバーの視点から一言。路面電車が走る道路には特別な交通ルールがあります。電停で乗客が乗り降りしている場合は、その後方で停止して待つ義務があります。また、右折時には後方から来る電車に注意し、常に軌道の安全を確認してください。車で長崎を訪れる際は、これらのポイントもぜひ心得ておいてください。
ガタンゴトン、旅のBGMは今日も長崎を走る

長崎の路面電車での旅はいかがでしたか。ただ単にA地点からB地点へ移動する手段に留まらず、その一瞬一瞬が忘れがたい思い出へと変わっていきます。これが、この街を走る「ちんちん電車」に宿る不思議な魅力です。歴史の息吹を感じさせるレトロな車両に揺られながら、窓外に広がる変わりゆく景色に目を向けると、まるで自分が長崎という壮大な物語の一部になったかのような気持ちになります。便利でお得、さらに環境にも優しい路面電車は、あなたの長崎観光を何倍にも豊かに彩る最高のパートナーです。さあ、一日乗車券をポケットに忍ばせ、またはスマートフォンを手に取り、気ままな電車の旅に出かけてみませんか。次に流れてくる電停のアナウンスが、あなたをどんな素晴らしい風景へ導くのか。ガタンゴトンと響く心地よいリズムに身を委ねれば、次の曲がり角の先にまた新たな長崎の表情が待っていることでしょう。あなただけの軌跡を描く、特別な旅が今、ここから始まります。

