旅行の価値観が大きく変わろうとしています。豪華なホテルや有名な観光地を巡るだけの旅から、より本質的で心に残る体験を求める「意味のある旅」へ。大手旅行予約サイトAgodaが発表した2026年の旅行動向予測は、アジアの旅行者たちの間で静かに、しかし確実に広がるこの新しいトレンドを浮き彫りにしました。
豪華さから本物志向へシフトする価値観
Agodaの最新調査によると、アジアの旅行者はもはや単なる豪華さを求めるのではなく、旅を通じて得られる本物の体験や価値を重視する傾向を強めています。これは、旅が自己成長や文化理解、そして人との繋がりを深めるための重要な機会として再認識されていることを示しています。
コロナ禍を経て、私たちは旅行の自由が当たり前ではないことを知りました。その経験が、一回一回の旅をより大切に、そしてより意味深いものにしたいという欲求を加速させているのかもしれません。
国内旅行ブームの再燃と日本の突出した傾向
この「意味のある旅」を求める動きは、旅先の選択にも大きな影響を与えています。特に顕著なのが、自国内の魅力再発見への関心の高まりです。
調査対象となったアジアの旅行者のうち35%が、2026年は国内旅行を計画していると回答しました。この傾向は日本で特に強く、回答者の実に67%が海外旅行よりも国内旅行を優先すると答えています。これは、円安といった経済的な背景に加え、灯台下暗しであった自国の文化や自然の美しさへ改めて目が向けられていることの表れと言えるでしょう。
スポットライトは地方都市へ:高松・松山が注目される理由
旅行者の目が国内、そしてよりニッチな場所へと向かう中、これまで注目されてこなかった地方都市が新たな輝きを放ち始めています。
Agodaのデータでは、香川県の高松市や愛媛県の松山市といった地方都市への関心が、前年比で74%も増加するという驚くべき結果が示されました。これは、オーバーツーリズムが問題化する有名観光地の喧騒を避け、その土地ならではの食、文化、人々の暮らしに触れたいという旅行者の強い意志を反映しています。アート、歴史、豊かな食文化が根付くこれらの都市は、「意味のある旅」を求める旅行者にとってまさに理想的なデスティネーションなのです。
今後の旅行業界への影響と未来予測
このトレンドは、旅行者と旅行業界の双方に新たな変化をもたらすでしょう。
- 旅行者にとっての変化: 旅行の計画は、単なる「点」としての観光地巡りから、地域全体を深く体験する「線」や「面」へと変わっていきます。地元の食文化を学ぶ料理教室、伝統工芸のワークショップ、地元住民との交流など、よりパーソナルで没入感のある体験が旅のハイライトとなるでしょう。
- 旅行業界への影響: ホテルや旅行会社は、画一的なパッケージツアーから、個々の旅行者の興味関心に合わせた体験型プランの提供へとシフトする必要に迫られます。地方の観光資源を掘り起こし、サステナビリティを意識したツアーを造成することが、これからの成功の鍵を握ります。
旅のスタイルは、時代と共に進化します。2026年に向けて加速する「意味のある旅」へのシフトは、私たちに旅の本当の喜びとは何かを改めて問いかけています。次の休暇は、まだ見ぬ日本の地方都市で、あなただけの特別な物語を探す旅に出てみてはいかがでしょうか。

