澄み切った空気、静謐な湖畔、そして洗練されたデザイン。北欧の至宝、フィンランドへようこそ。世界中を飛び回る中で、私は数多くの都市を訪れてきましたが、フィンランドほど自然と都市が美しく調和した場所はそう多くありません。しかし、このクリーンな国のイメージは、徹底した環境政策と国民の高い健康意識に支えられています。それは、我々愛煙家にとっては、時に厳しい現実を突きつけるものでもあります。
「フィンランドでは、どこでタバコが吸えるのだろう?」「電子タバコの扱いは?」「うっかりルールを破ってしまったらどうなる?」…旅の計画を立てる中で、そんな不安が頭をよぎる方も少なくないでしょう。ご安心ください。この記事では、コンサルタントとして情報を整理・分析する視点から、フィンランドの喫煙に関するあらゆるルールを網羅し、スマートに旅を楽しむための実践的なガイドをお届けします。厳しい規制の裏にある文化を理解し、正しい知識を身につけること。それこそが、ワンランク上の旅を実現する鍵となるのです。さあ、フィンランドの美しい街並みの中で、気兼ねなく一服を楽しむための準備を始めましょう。
フィンランドの旅では、厳しい喫煙ルールを理解した上で、家族で楽しめるサウナ文化を体験するのもおすすめです。
厳格化するフィンランドの喫煙規制:その背景と現状

フィンランドの喫煙ルールを理解するには、まずその根底にある国の考え方を知ることが重要です。これは単なるマナーの問題ではなく、国家的な目標に基づいた厳格な法規制が展開されているためです。
「タバコのない社会」を目指す国家の方針
フィンランドは、世界でも特に進取的な禁煙政策を持つ国のひとつです。2010年に施行された「タバコ法(Tobacco Act)」では、2030年までに成人の喫煙率(毎日または時々喫煙する人の割合)を5%未満に抑えることを最終目標としています。これは実質的に「タバコ製品の常用を終わらせる」ことを意味し、そのために段階的に規制が強化されてきました。
この方針の背景には、国民の健康増進と将来の医療費削減という非常に合理的な目的があります。フィンランド社会は、個人の自由を尊重しつつも、社会全体の利益に関して強い合意を形成する文化が根付いています。喫煙においても、「個人の嗜好」より「予防可能な健康リスク」としての認識が優先されているのです。そのため、広告の全面禁止、プレーンパッケージの導入、公共空間での禁煙エリアの拡大など、多方面にわたる厳しい措置が採られています。我々旅行者もこの国家方針を尊重し、ルールを守って行動しなければなりません。
紙巻きタバコ・加熱式タバコ・電子タバコ(VAPE)の法的扱い
フィンランドのタバコ法は、伝統的な紙巻きタバコに限らず、新しいタイプのタバコ製品にも厳しい規制を適用しています。これらの違いを正確に理解することが、トラブルを避けるための第一歩です。
- 紙巻きタバコ・葉巻: 最も従来型でかつ厳しい規制対象です。販売や広告、喫煙場所に関して厳格に制限されています。特に、2020年以降はEU指令に基づき、メンソール味のタバコ販売が禁止されている点に注意が必要です。
- 加熱式タバコ(IQOS、gloなど): フィンランドの法律では、加熱式タバコは紙巻きタバコと同じ規制が適用されます。喫煙禁止場所での使用も禁じられており、「煙が出ない」という理由は通用しません。販売についてもタバコ製品として管理されており、フレーバー付きスティックの販売も認められていません。
- 電子タバコ(VAPE): 電子タバコについても独自の規制があります。紙巻きタバコと同様に禁煙エリアでの使用は禁止されているほか、リキッドに関して特に厳しい制約があります。国内で販売されるのは「タバコ味」のニコチン入り、またはニコチンフリーのリキッドのみであり、フルーツやミント、デザート風などの特徴的なフレーバー付きリキッドは全面的に販売禁止となっています。この措置は若年層の興味本位の使用を防ぐためのもので、フィンランドの禁煙政策の徹底ぶりを示しています。
これらの規制は旅行者も例外ではありません。自分が使用する製品のカテゴリと適用されるルールを、渡航前に必ず確認しておくことが必要です。
【渡航前に必読】タバコの持ち込みルールと免税範囲
フィンランドへの旅行準備において、喫煙者が最も気にするのはタバコの持ち込み制限でしょう。現地のタバコは非常に値段が高いため、日本から持参したいという思いはごく自然です。しかし、ここにも厳格な規則が設けられています。正確にルールを理解し、余計な税金を支払ったり、没収されたりするトラブルを避けたいものです。
飛行機でフィンランドに入国する場合:免税で持ち込めるタバコの数量
フィンランドにタバコを持ち込む際、免税範囲は出発地がEU内か、それとも日本のようなEU外かによって大きく異なります。
- EU圏外(日本など)からの渡航者の場合:
- 紙巻たばこ: 200本(1箱分)
- または 細葉巻たばこ(シガリロ): 100本(1本あたり3g以下のもの)
- または 葉巻(シガー): 50本
- または 刻みたばこ: 250g
これらは「または(or)」の関係であり、例えば紙巻たばこを200本持ち込む場合は、他の種類のたばこを免税で持ち込むことはできません。複数の種類を組み合わせる場合は、それぞれの上限に対する割合の合計が100%を超えないよう計算する必要があります。(例:紙巻たばこ100本(50%)と葉巻25本(50%)の組み合わせ)
- 加熱式タバコのスティック: 加熱式タバコのスティックは法律上、一般的に紙巻たばこと同等に扱われます。そのため、免税範囲は200本までが安全な目安です。これは標準的な1箱分に相当します。
免税範囲を超えて持ち込む場合は、税関に申告し、関税や付加価値税を納める必要があります。申告を怠ると、密輸と見なされ、罰金や没収などの厳しい措置が取られることもあります。ビジネスなどで滞在期間が長くなる場合でも、まずは免税枠内で持ち込むことを強くおすすめします。
電子タバコ(VAPE)の持ち込みと注意すべきポイント
電子タバコ(VAPE)の持ち込みには、特にリキッドの取り扱いに注意が必要です。
- デバイス本体: 多くの電子タバコデバイスにはリチウムイオン電池が内蔵されています。航空会社の規定では、発火のおそれがあるため、リチウムイオン電池を搭載した電子機器は預け入れ荷物(スーツケース)への収納を禁止しています。必ず機内持ち込み手荷物として携帯してください。これは安全上の国際的な規則ですので、必ず守りましょう。
- リキッドの持ち込み:
- ニコチン入りリキッド: 個人使用目的であれば、ニコチン入りリキッドの持ち込みは可能です。ただし、その量は常識的な範囲内にとどめるべきです。目安として3か月分を超えない量が推奨され、短期間の旅行なら数週間分で十分でしょう。
- フレーバー付きリキッド: フィンランド国内ではタバコ味以外のリキッド販売は禁じられていますが、EU圏外から個人使用目的でフレーバー付きリキッドを持ち込むこと自体は禁止されていません。ただし、大量に持ち込むと商用目的と疑われる恐れがあります。好みのフレーバーがある場合は、滞在中に消費可能な量だけを持参するのが賢明です。税関で尋ねられた場合は、「Personal use only(個人使用目的)」と明確に答えられるようにしましょう。
- 液体物の機内持ち込み規則: リキッドは液体物に該当するため、国際線の機内持ち込みルールに従う必要があります。100ml(または100g)以下の容器に入れ、これらの容器を容量1リットル以下の透明ジッパー付きプラスチック袋にまとめて収納します。この袋は一人につき1つまでとされています。
出発前のパッキング時にこれらのルールを再確認し、適切に準備することが、スムーズな入国を実現するための第一歩です。
フィンランド現地でのタバコ購入ガイド

持ってきたタバコがなくなった場合や、現地のタバコを試してみたいときには、フィンランドでの購入方法をあらかじめ知っておくと安心です。ただし、日本のやり方とは大きく異なるため、初めてだと戸惑うこともあるでしょう。
購入場所:販売店の種類と探し方
フィンランドでは、タバコをどこでも簡単に買えるわけではありません。タバコ販売が認められている店舗は限られています。
- スーパーマーケット(S-market、K-market、Lidlなど): 大手スーパーの多くではタバコを扱っていますが、レジの奥やカウンター下に置かれていて、客の視界に入る場所には陳列されていません。
- コンビニエンスストア(R-kioski): フィンランドで最も一般的なコンビニチェーンである「R-kioski(アールキオスキ)」は、タバコ販売の重要拠点です。駅周辺や街中のさまざまな場所で見つけられます。
- ガソリンスタンド: 道路沿いのガソリンスタンド内にあるショップでもタバコを購入できます。
注意すべき点は、フィンランドではタバコのパッケージを店頭に並べることが法律で禁止されている「ブラインド販売」制度が採用されていることです。タバコの箱が広告にならないよう、客の目に触れないよう配慮されています。そのため、購入時にはレジのスタッフに希望の銘柄を口頭で伝える必要があります。銘柄リストがカウンターに置かれている場合もありますが、基本的には銘柄名を覚えていることが求められます。このシステムは、喫煙を抑制するための社会的な仕組みの一つとなっています。
購入時の年齢確認と価格帯
フィンランドではタバコ購入に厳格な年齢確認が義務付けられています。
- 年齢制限: タバコの購入は法律により18歳以上に限定されており、非常に厳密に運用されています。
- 身分証明書の提示: 店員は若く見える購入者に対して、身分証明書の提示を求める義務があります。特に30歳以下に見える人にはIDチェックを徹底する店舗も多いです。私たちアジア人は欧米人と比べて若く見られやすいため、たとえ30代や40代でもパスポートの提示を求められることがあります。スムーズに購入するためには、パスポートの原本または鮮明なコピーを持ち歩くのがおすすめです。
また、価格面でも覚悟が必要です。フィンランドのタバコ税は世界的に見ても非常に高く、毎年引き上げが続いています。2024年現在、主要な国際ブランド(マルボロなど)のタバコ1箱(20本入り)はおよそ9ユーロから11ユーロ(日本円で約1,500円から1,800円)で販売されています。これは日本の2倍以上の価格であり、その負担の大きさが感じられます。この高額な価格設定も、禁煙促進のために効果的に機能しています。
購入可能なタバコ銘柄
フィンランドで販売されているタバコは、主に国際的なブランドが中心です。マルボロ、キャメル、L&Mなどが一般的に手に入ります。かつては「North State」といったフィンランド独自のブランドもありましたが、現在は国際ブランドに統一される傾向があります。
日本のメビウス(旧マイルドセブン)やセブンスターといった銘柄は、まず店頭で見かけることはありません。また、EUの規制によりメンソールやフレーバー付きタバコの販売が禁止されているため、普段メンソールを好む方は渡航前にノンメンソールのタバコに慣れておくか、免税枠内で持ち込む方法以外に選択肢がありません。
【最重要】喫煙が禁止されている場所・許可されている場所
さて、本題に入ります。フィンランドで最も重要なのは、どこで喫煙が許され、どこで禁止されているかという規則を正しく理解することです。この境界が不明瞭なまま行動すると、高額な罰金を科せられるうえ、周囲の冷たい視線を浴びる危険があります。
屋内は基本的に全面禁煙:レストラン、バー、ホテルでの取り決め
まず大前提として、「屋根のある公共スペースはすべて禁煙」というルールがあります。これに例外はありません。
- レストラン・カフェ・バー: 店内での喫煙は法律で厳しく禁止されています。かつては喫煙席や分煙の制度がありましたが、現在ではすべて撤廃されました。バーやパブであっても、屋内でのタバコの使用は認められていません。加熱式タバコや電子タバコも同様に禁止です。
- 屋外テラス席: 多くの飲食店には屋外のテラス席があり、特に夏場は賑わいます。テラス席での喫煙は店舗の方針によります。灰皿がテーブルに置かれていれば喫煙可能の合図ですが、なければ禁煙の可能性が高いです。迷った際は必ず店員に「Can I smoke here?」と確認してください。ただし、喫煙可能なテラスであっても、隣席の人への配慮は欠かせません。風向きを考慮したり、食事中の方がいる場合は時間をずらすなどの気遣いが、洗練された大人のマナーです。
- ホテル: ほとんどのホテル客室は全面禁煙です。そのため、予約サイトには「禁煙ルーム」としか表示されません。ごく一部に喫煙ルームを用意しているホテルもありますが非常に少ないため、あまり期待しないほうがよいでしょう。宿泊予約時に直接確認することは可能ですが、望みは薄いです。また、絶対にやってはいけないのは、禁煙ルーム内やバルコニーでこっそり吸うことです。火災報知器が誤作動する恐れがあるだけでなく、発覚時には数万円に上る清掃料金を請求され、契約違反として取り扱われます。ホテルの喫煙場所は通常、建物の外に指定されています。チェックイン時にフロントで「smoking area」の場所を尋ねるのが確実です。
公共の場における厳格な規制
屋内だけでなく、屋外の公共スペースにおいても禁煙エリアは年々拡大しています。フィンランドが目標としている「煙のない社会」の実現に向けた取り組みは、私たちの日常生活のあらゆる場面に及んでいます。
- 公共交通機関: バス、トラム、電車、地下鉄、フェリーなど、すべての公共交通機関の内部は完全禁煙です。プラットフォームやバス停、タクシー乗り場など、人が待機する場所も禁煙です。屋根があってもなくても、喫煙は禁止と認識してください。
- 公共施設: 役所、図書館、美術館、博物館、劇場、映画館をはじめとする公共の建物およびその敷地内は、全面的に禁煙です。
- ショッピングセンター: 建物全体が禁煙エリアであり、入り口付近も禁煙範囲に指定されているケースが大半です。
- 教育機関・医療機関: 学校、保育園、大学、病院およびそれらの敷地全体(運動場や駐車場も含む)は厳しい禁煙エリアとなっています。
- 子供のいる場所: 公園の遊具周辺など、子供が集う場所での喫煙は法律で明確に禁止されています。周囲に人がいなくとも、遊び場の近くでタバコを取り出すことは避けるべきです。
- イベント会場: コンサートやスポーツイベントの屋外会場でも、指定された喫煙所以外での喫煙は禁止されています。
- 住居(アパート等): 旅行者には関係が薄いかもしれませんが、フィンランドではアパートのバルコニーや共用部分での喫煙を管理組合が禁止するケースが増えています。これは煙が近隣に迷惑をかけることを防ぐためであり、社会全体の嫌煙意識の高まりを示しています。
喫煙できる場所は?喫煙所の見つけ方とマナー
これほど多くの場が禁煙ですと、「どこなら吸ってよいのか?」と戸惑うかもしれませんが、喫煙可能なスポットはきちんと存在します。大切なのは、その場所を正しく把握し、マナーを守って利用することです。
- 「Tupakointipaikka」の表示を確認する: フィンランド語で「Tupakointipaikka」は「喫煙所」を意味します。一方、「Tupakointi kielletty」は「禁煙」です。これらの語を覚えておくととても役立ちます。
- 灰皿の存在が目印: 最もわかりやすいサインは灰皿の設置です。フィンランドでは路上の吸い殻ポイ捨てを厳しく取り締まっています。そのため、自治体や施設管理者が喫煙を認めている場所には、必ずスタンドタイプの灰皿やゴミ箱の上に吸い殻入れが設置されています。灰皿がない場所での喫煙は基本的に避けてください。
- 建物の出入口から一定距離を取る: 多くのオフィスビルや商業施設では、建物の入り口から5〜10メートルほど離れた場所に喫煙所を設けています。これは非喫煙者が出入りする際、受動喫煙を防ぐ目的です。
- 携帯灰皿は必ず持参する: 最も重要な準備のひとつは携帯灰皿の携帯です。街を歩く際や郊外に出た際、すぐに喫煙所が見つかるとは限りません。そんなときでも携帯灰皿があれば、責任を持って吸い殻を処理できるため非常に便利です。ポイ捨ては罰金の対象になるだけでなく、教養のない行為として軽蔑されます。旅行者としてその国のゲストである自覚を持ち、環境を汚さないマナーを徹底しましょう。バッグにスマートな携帯灰皿をひとつ忍ばせておくことは、グローバルに活躍するビジネスマンの常識です。
知っておきたい電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコの特別ルール

フィンランドの法律は、新しいタイプのタバコ製品に関しても明確な態度を示しています。誤解していると、不意のトラブルに発展することがあります。
喫煙禁止エリアではVAPEも禁止
繰り返しになりますが、非常に重要な点です。フィンランドでは、電子タバコ(VAPE)や加熱式タバコの使用は、紙巻きタバコの喫煙と同等に扱われます。「煙ではなく蒸気だから」「匂いが控えめだから」といった説明は、法律の前では通用しません。室内の公共施設や公共交通機関、飲食店の店内など、喫煙禁止の場所ではこれらの製品も使用できません。このルールを知らずに使用し、注意を受ける旅行者は後を絶えません。フィンランドを訪れる際は、「火を使わないタバコも、タバコである」という認識を徹底してください。
フレーバー付きリキッドの販売・輸入禁止について
電子タバコユーザーにとって最も衝撃的かもしれないのが、フレーバーリキッドに対する厳しい規制です。フィンランドでは若年層の電子タバコへの興味を抑える目的で、タバコ風味以外の「特徴的な香りや味」を持つリキッドの国内販売を法律で禁止しています。これにはフルーツ系、ミント・メンソール系、スイーツ系など、ほぼあらゆるフレーバーが含まれます。
個人使用のための持ち込みについては前述の通りですが、現地でリキッドを購入しようと考えている方は注意が必要です。専門店やキオスクで手に入るのは、タバコ風味の無味乾燥なリキッドのみとなっています。旅の途中でリキッドがなくなっても、日本で楽しんでいるような多彩なフレーバーを補充することはできません。滞在期間と自身の消費量を正確に見積もり、必要な分を日本から持参する準備をしておくことが不可欠です。この情報は見落とされがちなので、VAPEユーザーの友人がフィンランドへ行く際には、ぜひ伝えてあげてください。
もしルールを破ってしまったら?トラブル対処法
どれだけ気をつけていても、慣れない場所では知らず知らずのうちにルールを違反してしまうことがあります。万が一の事態に備えて、落ち着いて対処できる方法を知っておくことも、リスク管理の大切な一環です。
罰金(Rikesakko)について
禁煙区域での喫煙などタバコ関連の法律に違反した場合、警察官や権限を持つ警備員からその場で罰金を科されることがあります。これが「Rikesakko」と呼ばれる即決罰金制度です。罰金の額は違反内容や状況によって異なりますが、一般的には40ユーロから100ユーロ程度が多いとされています。
もし罰金を科された際は、感情的にならず冷静に対応することが肝心です。慌てたり言い争ったりしても状況は改善しません。まずは指示に従い、身分証明書(パスポート)を提示しましょう。通常、その場で違反切符のようなものを渡され、後日銀行などで支払うかクレジットカードで決済するよう指示されます。その指示に誠実に従うことが、問題をこれ以上大きくしないための最善の方法です。
周囲とのトラブルを避けるために
法律上の罰則以上に避けたいのは、現地の人との不必要なトラブルです。フィンランドの人々は穏やかで控えめな性格が多い一方で、ルールやマナーに違反する行為には厳しい目を向けます。
例えば、喫煙している際に誰かから注意を受けた場合、相手の言葉がわからなくても、表情や身ぶりから咎められていることは感じ取れるはずです。その際は言い訳せずにすぐに「Sorry」とひと言謝り、タバコを消してその場を離れるのが最も適切な対応です。たとえ自分では「ここは喫煙可の場所」と思っていたとしても、相手が不快に感じている事実を真摯に受け止めるべきです。知らない土地では、私たちは常に「見られている」存在であり、一人の旅行者の行動が日本人全体の印象にも影響を与えることがあります。常に謙虚で礼儀正しい態度を心がけましょう。
愛煙家におすすめするフィンランドでの過ごし方

厳しい規則について述べてきましたが、フィンランドは愛煙家にとって決して過ごしにくい国ではありません。ルールを正しく理解し、マナーを守ることで、この国の美しい自然や文化の中で心地よい一服を楽しむことが可能です。
自然の中での喫煙時の注意事項
フィンランドの最大の魅力は、なんといっても壮大な自然環境です。森と湖に囲まれたこの地で、澄み切った空気の中で味わう一服は格別です。ただし、自然の中での喫煙には一層の慎重さが求められます。
特に夏の季節は、森林火災のリスクを抑えるために、火の取り扱いに対して非常に厳しい制限が設けられています。乾燥しやすい時期には、タバコの火の不始末が大規模な山火事の原因となることもあります。国立公園やハイキングコースでは、喫煙は指定されたキャンプサイトや休憩所の焚火スペース付近に限られる場合がほとんどです。歩きながらの喫煙(歩きタバコ)はマナー違反であると同時に、非常に危険ですので絶対に控えましょう。また、携帯灰皿は必ず携帯してください。自然の中にフィルターなどの人工物を一つでも残すことは許されません。「来たときよりも美しく」を心がけ、自然に対する敬意を忘れないようにしましょう。
喫煙可能なテラス席が魅力のカフェやバー
ヘルシンキなどの都市部では、愛煙家の憩いの場として屋外テラス席(フィンランド語で「terassi」)が人気です。特に夏の長い日照時間には、多くのカフェやバーが通りにテラス席を設け、賑わいを見せます。
店選びの際は、テラス席に灰皿が用意されているかどうかを確認するとよいでしょう。ヘルシンキのデザイン地区やエスプラナーディ公園周辺には、センスの良いカフェテラスが数多くあります。美味しいコーヒーや地元のクラフトビールを楽しみながら、行き交う人々を眺めつつゆったりと一服する時間は、旅の素敵な思い出になるでしょう。冬季でも、ブランケットやヒーターが完備された快適なテラス席を備えた店舗があります。そうした場所を見つけ、ルールを守りながら堂々と喫煙を楽しむのが、フィンランド流のスマートな過ごし方と言えます。
この機会に「禁煙」や「減煙」を試みるのも一案
少し視点を変えてみるのもよいでしょう。これほど清潔な環境に身を置くからこそ、旅の間だけでも喫煙量を減らしたり、禁煙にチャレンジするのはポジティブな選択肢です。フィンランドの新鮮な空気を深く吸い込むことで、ニコチンへの欲求が和らぐかもしれません。もし禁煙を試みたい場合は、現地の薬局「Apteekki(アプテーッキ)」でニコチンガムやニコチンパッチを購入できます。InfoFinlandの公的情報サイトでも、これら代替品に関する詳細な情報が得られます。旅をきっかけに新しい自分と出会うという体験も、旅の醍醐味のひとつと言えるでしょう。
フィンランド喫煙事情Q&A:旅の疑問をここで解決
最後に、これまで触れなかった細かな疑問点について、Q&A形式でご説明します。
- Q1: スヌース(無煙タバコ)はどうなのでしょうか?
- A: スヌースは、歯茎と唇の間に挟むタイプの無煙タバコで、北欧ではスウェーデン文化の影響もあり広く普及しています。しかし、フィンランド国内での販売は法的に禁止されています。ただし、個人の使用目的であれば1日に最大1,000グラムまで持ち込みが認められています。使用自体は喫煙には該当しないため、理論上は屋内での使用も可能ですが、周囲に不快感を与える恐れがあるため、公共の場では節度ある使用が求められます。
- Q2: タバコの自動販売機は存在しますか?
- A: いいえ、フィンランドにはタバコの自動販売機は設置されていません。年齢確認を徹底するため、タバコの販売は必ず対面で行われています。
- Q3: 喫煙によって警察が呼ばれることはありますか?
- A: あり得ます。特に、レストランのスタッフや警備員など施設の管理者から喫煙を禁じられているのにそれに従わないなど、悪質な場合には通報されることがあります。フィンランドは法治国家であり、警察の介入は正当な手続きなので、指示には素直に従うことが賢明です。
- Q4: ヘルシンキ・ヴァンター空港の喫煙所はどこにありますか?
- A: ヘルシンキ・ヴァンター空港内には、セキュリティチェック後のエリアにも喫煙所が用意されています。シェンゲン協定エリア内および非シェンゲン協定エリア内の双方に、換気設備の整った喫煙キャビンや屋外の喫煙テラスが設けられています。ただし、空港の改装などで場所が変わることもあるため、搭乗前に空港の案内図や公式ウェブサイトで最新情報を確認することをおすすめします。もちろん、ターミナルの外側にも指定された喫煙エリアがあります。
スマートな旅人のためのフィンランド喫煙エチケット

フィンランドの喫煙に関するルールは、一見すると非常に厳格で窮屈に感じられるかもしれません。しかし、その背後には、美しい自然環境の保護と、国民すべての健康を守りたいという強い国の意思があります。これらのルールを単なる規制と捉えるのではなく、フィンランドが大切にしている価値観への敬意として理解することが重要です。その考え方が、旅をより豊かで意義あるものにしてくれるでしょう。
携帯灰皿を常に持ち歩き、絶対にポイ捨てをしないこと。喫煙が許可されている場所でも、子どもや非喫煙者が近くにいないかを常に気にかけ、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。そして、もし注意を受けた際は素直に謝罪し、その指示に従うことが大切です。こうした小さな気配り一つひとつが、あなたの品格を示し、結果として日本人旅行者全体のイメージ向上へとつながります。
ルールを守ることは、自分自身を守ることでもあります。トラブルを未然に防ぎ、心からリラックスして過ごすためには、正しい知識こそが最高の武器となるのです。さあ、フィンランドの透明な青空の下で、ルールとマナーを尊重しながら、最高にスマートな一服をお楽しみください。あなたの旅が素晴らしいものとなることを心より願っています。

