多民族国家マレーシア。近代的なビルが立ち並ぶ首都クアラルンプール、世界遺産の街並みが美しいペナン島、手つかずの自然が残るボルネオ島。その多様な魅力に惹かれ、世界中から多くのビジネスマンや観光客が訪れます。私自身、仕事で頻繁に訪れる国の一つですが、そのたびに新しい発見がある、実に刺激的な場所です。
しかし、我々愛煙家にとって、近年のマレーシアは少々肩身の狭い国になりつつあるのも事実です。かつてはレストランのテラス席で当たり前のように一服できた時代もありましたが、今やその光景は過去のもの。年々強化される禁煙政策により、喫煙に関するルールは非常に厳格化されています。知らずに以前と同じ感覚で過ごしていると、高額な罰金が科せられる可能性も決して低くはありません。
「どこでなら吸えるのか?」「タバコの持ち込みは?」「加熱式タバコはどう扱われる?」
マレーシアへの渡航を控えた愛煙家の皆様が抱くであろう、こうした疑問や不安。今回の記事では、そんな悩みをすべて解決すべく、最新のマレーシア喫煙事情を徹底的に解説していきます。世界中を飛び回る中で得た知見も交えながら、罰則のリスクを避け、快適な滞在を実現するための具体的なノウハウを余すところなくお伝えします。ルールを正しく理解し、スマートに振る舞うこと。それが、異国の地で心置きなく一服を楽しむための唯一の鍵となるのです。
マレーシアの喫煙事情の現状 – かつての「喫煙天国」は過去の話

まずは、現在のマレーシアが喫煙者にとってどのような環境であるか、その全体像を理解することが大切です。一言で言えば、マレーシアは国を挙げて禁煙推進に取り組む「健康先進国」への道を大きく進んでいます。特に注目すべきは、2019年1月1日から施行された、飲食店での喫煙を原則として全面禁止とする法律です。
それまでは、多くのレストランやカフェ、屋台(ホーカーセンター)の屋外席で喫煙が可能で、灰皿が置かれているのが日常的な光景でした。私自身も出張の合間に、賑やかなホーカーでスパイシーな料理を味わいながら一服するのを密かな楽しみとしていました。しかし、この規制の強化により、状況は一変しました。最初は猶予期間や周知期間が設けられていましたが、今ではこのルールが完全に根付き、違反者には厳しい罰則が科されます。
この背景には、国民の健康増進を目指すマレーシア政府の強い決意があります。世界保健機関(WHO)のガイドラインを踏まえた政策を積極的に導入し、受動喫煙の防止や喫煙率の低減を国家目標として掲げているのです。街のあちこちに禁煙マークが掲示され、テレビや広告では頻繁に禁煙キャンペーンが流されています。社会全体の嫌煙意識は日本以上に強いと感じることも少なくありません。
「昔は問題なかったから」という意識は通用しません。マレーシアを訪れるすべての喫煙者は、この厳格な規則を前提に行動計画を立てる必要があります。これは脅しではなく、不要なトラブルを回避し、素晴らしいマレーシア滞在を心から楽しむための第一歩だと言えるでしょう。
【最重要】マレーシアの禁煙エリアを徹底解説
では、具体的にどのような場所が禁煙となっているのでしょうか。その範囲は、旅行者が訪れるほぼすべての場所を網羅しており、非常に広範囲に及びます。マレーシア保健省が定めた「2004年タバコ製品規制管理法」に基づき、禁煙エリアは年々拡大を続けています。違反した際のリスクも含めて、しっかり理解しておくことが大切です。
屋内施設はほぼ全面禁煙
まず、屋内の公共スペースは原則としてすべて禁煙とされています。ほとんど例外はありません。具体例は以下の通りです。
- 飲食店全般:レストラン、カフェ、バー、パブ、フードコート、ホーカーセンターなど、飲食を提供する施設の屋内は完全禁煙です。
- ショッピングモール:クアラルンプールの「パビリオン」や「スリアKLCC」などの大型ショッピングモール内の店舗や通路を含む全エリアが禁煙となっています。
- 公共交通機関:電車(LRT、MRT、KTM)、バス、タクシー、配車サービス(Grab等)の車内は全面的に禁煙です。
- 交通ターミナル:空港のターミナルビル、駅、バスターミナルなどの屋内エリアも禁煙です。(ただし、空港内には出国審査後に限定された喫煙所があります。詳細は後述します。)
- 宿泊施設:ホテルのロビー、廊下、レストランなど共用スペースは禁煙です。客室は「喫煙室(Smoking Room)」に指定された場所以外、すべて禁煙となっています。
- 政府関連施設:市役所、郵便局、博物館、図書館など。
- 医療・教育機関:病院、クリニック、学校、大学の敷地内。
- 宗教施設:モスク、寺院、教会などの宗教関連施設。
- オフィスビルや銀行、映画館など
このように、屋根のある公共の場所でタバコを吸える場所はほとんど存在しないと言って差し支えありません。「ちょっとくらいなら」という軽い気持ちは絶対に避けるべきです。
屋外でも禁煙対象となる場所に注意
マレーシアの禁煙法が厳しい点として、屋外にも多数の禁煙エリアが設定されていることが挙げられます。特に旅行者が気をつけるべき場所は以下の通りです。
- 飲食店周辺すべてのエリア:これが最も重要なポイントです。法律ではレストラン、カフェ、ホーカーセンターなどの敷地の境界線から「3メートル(約10フィート)」以内は屋外であっても禁煙となっています。つまり、以前のようにオープンテラス席での喫煙は完全に法律違反です。喫煙したい場合は、店舗の敷地から少なくとも3メートル以上離れなければなりません。
- 公園や公共の広場:子どもたちが遊ぶ公園や、観光客で賑わう広場(クアラルンプールのムルデカ・スクエアなど)も多くが禁煙エリアに指定されています。
- 政府施設の周辺:政府庁舎などの建物の周りも禁煙範囲に含まれます。
- 屋根付きの歩道橋やバス停:雨をしのげるような屋根付き歩道やバス停も公共の場とみなされ禁煙です。
- 観光名所:国立公園、史跡、キャンプ場など多くの観光地が禁煙指定となっています。特に、世界遺産のマラッカやペナンのジョージタウンでは、歴史的建造物保護の観点から禁煙規制が厳格です。
「屋外であれば問題ないだろう」という安易な判断は大変危険です。周囲に禁煙マークがないか常に確認し、疑わしい場合は喫煙を控えることが賢明です。
罰則について-違反時のリスク
禁煙エリアでの喫煙が発覚した場合、そのペナルティは決して軽いものではありません。法律では違反者に対し、最大で10,000リンギット(約33万円)の罰金、または最大2年の禁固刑を科す可能性があると規定されています。
もちろん、初めての旅行者がすぐに最高額の罰金や禁固刑になる例は稀ですが、数百から数千リンギットの罰金を現場で支払うよう指示されることは十分にあり得ます。これは、楽しいはずの旅を大きく台無しにしてしまう額と言えるでしょう。
実際に、保健省の職員が私服で巡回しており、とくに飲食店周辺での取り締まりは頻繁です。現地の知人によると、観光客であっても容赦なく摘発されるケースがあるとのこと。この厳しい罰則は、マレーシア政府の禁煙対策に対する強い姿勢を示しており、訪問者として我々もルールを尊重して従う責任があります。
タバコの持ち込みルールと購入方法

マレーシア国内の規則を把握したところで、次に注目すべきはタバコの入手方法です。日本から持ち込むべきか、それとも現地で購入すべきか。ここにも重要なルールがあります。
日本からのタバコ持ち込みについて
かつては、マレーシアで一定量のタバコを免税で持ち込むことが認められていましたが、その規定は大幅に変更されました。タバコ愛好家の旅行者にとって、この変更は非常に重要です。
- 免税範囲の廃止:2021年1月1日をもって、タバコ製品の免税措置は完全に廃止されました。つまり、紙巻きタバコを1本でも持ち込む場合は、基本的に課税の対象となります。
- 課税対象製品:紙巻きタバコや葉巻、刻みタバコなど、すべての種類のタバコ製品が対象であり、個人消費用であっても例外はありません。
- 申告義務:課税対象のタバコを持ち込む際は、空港の税関で赤色の申告カウンター(Red Channel)を利用し、所持品を正しく申告して関税を支払う必要があります。申告をせずに緑色の無申告カウンター(Green Channel)を通ろうとし、発覚した場合は密輸とみなされ、重い罰金やタバコの没収など厳しい処罰を受ける可能性があります。
- 加熱式タバコ(IQOS、gloなど):加熱式タバコのスティックは紙巻きタバコ同様に「タバコ製品」として扱われ、課税の対象です。本体デバイスは持ち込み可能ですが、スティックは申告が必須です。
- 電子タバコ(VAPE):これが最も注意が必要なポイントです。マレーシアではニコチンを含むリキッドが「毒物法」によって医薬品扱いされており、医師の処方がなければニコチン入りリキッドの個人持ち込みは事実上違法とされています。税関で発見されると高確率で没収されます。ニコチンを含まないリキッドに関しては曖昧な部分もありますが、トラブル回避のためには電子タバコ本体やリキッドは日本から持ち込まないことが最も安全です。
【手続きの流れ】日本からタバコを持ち込む際の空港での対応
どうしても日本からタバコを持ち込みたい場合は、以下の手順で正しく申告してください。
- 準備:持ち込むタバコの本数(カートン数)を正確に把握しておきます。
- 入国審査通過後:手荷物を受け取ったのち、税関エリアに進みます。
- 赤色申告カウンターへ:「Goods to Declare」と表示された赤色カウンター(Red Channel)へ行きます。
- 申告:税関職員にパスポートおよび(必要に応じて)税関申告書を提示し、所持するタバコの申告を行います。
- 検査と課税額の算定:職員がタバコの数量を確認し、関税額を計算します。関税額は一本あたりで算出され、変動することもありますが、一箱あたりRM10〜15程度が目安とされています。
- 支払い:指定された金額をマレーシアリンギットで支払います。クレジットカードが使えない可能性もあるため、一定額の現金を用意しておくと安心です。
- 通過:納税証明を受け取り税関を通過します。
手続きはやや手間に感じられるかもしれませんが、大きなトラブルを避けるためには不可欠なプロセスです。
現地でのタバコ購入のポイント
日本からの持ち込みに手間を感じる場合は、現地でタバコを購入する方法もあります。マレーシアでは比較的容易にタバコを入手可能です。
- 購入場所:セブン-イレブン、KKマート、99 Speedmartといったコンビニエンスストアやスーパーマーケットのレジカウンターで販売されています。タバコは通常、顧客から見えないようにカバーされた棚に陳列されており、店員に銘柄を伝えて購入する仕組みです。
- 価格帯:銘柄によって異なりますが、2024年時点で1箱(20本入り)あたり約17〜18リンギット(約560〜600円)が一般的です。日本と比べるとやや高めに感じるかもしれません。
- 代表的な銘柄:マールボロ(Marlboro)、メビウス(Mevius)、ダンヒル(Dunhill)、L&Mなど、日本でもおなじみの国際ブランドが主流です。
- 購入時の注意:マレーシアで販売されているタバコのパッケージには、大きな健康警告写真が法令により義務付けられており、喫煙によるリスクを視覚的に訴えています。これを不快に感じる方もいるかもしれないため、あらかじめ認識しておくとよいでしょう。また、販売時の年齢確認は比較的緩やかですが、法律で18歳未満への販売は禁止されています。
愛煙家がマレーシアで快適に過ごすための実践ガイド
厳しい規制がある中でも、ポイントを押さえれば喫煙者がマレーシア滞在を十分に楽しむことは可能です。ここでは、より具体的で実践的な対処法を紹介します。
喫煙可能な場所の探し方
「一体どこで吸えばいいのか?」という最大の疑問にお答えします。喫煙できる場所は限られていますが、全くないわけではありません。主に以下の場所が喫煙スペースとして利用できます。
- ホテルの喫煙室(Smoking Room):最も確実で快適な喫煙スポットです。マレーシアの多くのホテルには喫煙可能な客室があります。ホテルを予約する際は必ず「喫煙室」を指定しましょう。予約サイトのフィルターで「喫煙可」条件を使うか、予約後に直接ホテルへメールや電話でリクエストする方法が確実です。バルコニー付きの部屋でも、バルコニーでの喫煙を禁止しているホテルは多いため、「バルコニーなら吸えるだろう」という考えは避け、必ずホテルのルールを確認しましょう。
- 指定された屋外喫煙所(Designated Smoking Area):空港や大型ショッピングモールの一部、オフィスビルの周辺などには、灰皿付きの公式な喫煙所が設けられています。これらは緑色の枠で囲まれていたり、「Smoking Area」という標識が掲示されていることが多いです。場所は非常に限られていますが、発見した際は安心して利用できます。例えば、クアラルンプールの繁華街ブキビンタンにあるパビリオン・ショッピングモールでは、正面入口から少し離れた屋外に喫煙所が設置されています。
- 一部の飲食店やバーの屋外スペース:前述の通り、飲食店の敷地内から3メートル以内は禁煙です。しかし、一部のバーやパブでは、この3メートルルールをクリアした「路上」に近い場所にテーブルや灰皿を置き、実質的に喫煙スペースを用意している場合があります。ただし、これは店舗の裁量により異なり、一般的ではありません。利用前に必ず店員に喫煙の可否と場所を確認しましょう。
- 路上(禁煙エリアを除く):法律上、禁煙指定されていない路上での喫煙は禁止されていません。ただし、歩きタバコは周囲への迷惑になるだけでなく、うっかり禁煙区域に入ってしまう恐れがあるため非常にリスクが高い行為です。路上で喫煙する場合は、立ち止まり人通りが少ない場所を選び、携帯灰皿を使うのが最低限のマナーです。
持ち物リスト – マレーシア旅行で喫煙者が準備すべきもの
マレーシアで快適に喫煙ライフを送るために、愛煙家が用意すると便利なアイテムを紹介します。
- 携帯灰皿:必須アイテムです。マレーシアでは喫煙所が少なく、灰皿がない場所で喫煙しなければならない場面もありえます。ポイ捨ては法律違反で罰金の対象です。環境保護の観点はもちろん、マナーとしても必ず携帯灰皿で吸い殻を処理しましょう。小型で密閉性の高いものがおすすめです。
- ライター・マッチ:航空機内への持ち込みに制限があります。日本の航空会社、例えばJAL(日本航空)の規定によれば、喫煙用ライターや安全マッチは1人につき1個のみ機内持ち込み手荷物として許可されています。預け入れ手荷物への収納は禁止です。オイルタンク式ライターやトーチライター(葉巻用)は持ち込み自体が禁じられているので注意してください。
- タバコ(課税を承知の上で):現地での購入が不安な場合や特定銘柄を好む方は、申告・納税手続きを前提に日本から持ち込む方法もあります。ただし、手続きの手間と費用は考慮しておきましょう。
加熱式タバコ(IQOS、gloなど)および電子タバコ(VAPE)の取り扱い
利用者が増えている加熱式タバコと電子タバコですが、マレーシアでの扱いは異なります。
- 加熱式タバコ:IQOSやglo、Ploom Xなどの加熱式タバコは、マレーシアでは紙巻きタバコと同じ規制対象です。つまり禁煙エリアでの使用は禁止され、違反した場合は同様の罰則があります。専用スティックの持ち込みも課税対象です。現地でのスティック入手はクアラルンプールなど主要都市の専門店や一部コンビニで可能ですが、地方では困難なこともあります。愛用者は日本から十分な量を(納税の上で)持ち込むか、滞在中は紙巻きタバコで代用するなど準備しましょう。
- 電子タバコ(VAPE):前述のとおり、ニコチン入りリキッドの個人持ち込みは違法とみなされるリスクが非常に高いです。一方、マレーシア国内には多数のVAPEショップがあり、現地の人々が利用している光景も見られます。これは法整備が追いついていないグレーゾーンであり、旅行者が軽はずみに手を出すべきではありません。税関でのトラブルを避けるためにも、VAPEの持ち込みは絶対に避けることを強く推奨します。
トラブル発生!もしも違反を指摘されたら

どれだけ注意を払っていても、うっかりルールを違反してしまう可能性は完全には排除できません。もし警察官や保健省の職員から喫煙違反を指摘された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。慌てず、落ち着いて行動することが最も大切です。
- 冷静かつ誠実に対応すること:まず、感情的になったり、その場を立ち去ろうとしたりしてはいけません。相手は公務を執行している公的な人物です。冷静な態度で、丁寧に指示に従いましょう。多くの場合、英語が通じますので、「I’m sorry, I didn’t know the rule.(すみません、規則を知りませんでした)」など、まずは謝罪を伝えるのが望ましいです。
- 身分証明書の提示:パスポートの提示を要求されるケースが多いため、迅速に応じましょう。コピーやスマートフォンに保存した画像で代用できる場合もありますが、原本を携帯していると最もスムーズに対応できます。
- 罰金(Compound)手続きについて:その場で罰金の支払いを求められることがあります。これが「Compound」と呼ばれる簡易的な罰金制度です。通常、支払いのための書類(サマン/Saman)がその場で発行されます。金額に納得がいかなくても、その場で強く抗議するのは避けたほうが無難です。支払いを拒否すると正式な裁判手続きに移行し、事態が複雑になる恐れがあります。
- 言語が通じない場合:相手の言葉が理解できない時は、スマートフォンの翻訳アプリなどを活用し、コミュニケーションをとってみてください。それでも問題が解決しなかったり、過剰な額を請求されるなど不審な状況が生じた場合は、在マレーシア日本国大使館に連絡することを検討してもよいでしょう。渡航前に大使館の連絡先を控えておくことをおすすめします。在マレーシア日本国大使館の公式サイトには緊急連絡先や領事情報が掲載されていますので、事前に一度確認しておくと安心です。
- 公式情報の確認先:マレーシアの禁煙に関する最も信頼できる情報は、マレーシア保健省(Ministry of Health Malaysia)の公式ウェブサイトで入手可能です。内容はマレー語や英語ですが、最新の規制情報を知るためには最適な情報源です。
何よりも、こうしたトラブルに巻き込まれないよう、渡航前にルールを十分に理解しておくことが最善の対策となります。
各都市別・シーン別の喫煙スポット情報
ここからは、私が実際に訪れた場所の具体的な喫煙スポット情報をお伝えします。ただし、状況が変わる場合があるため、現地では必ずご自身の目で確認してください。
クアラルンプール国際空港(KLIA/KLIA2)
マレーシアの主要空港、クアラルンプール国際空港では、出国審査を通過した後のエリアに喫煙所が設けられています。
- KLIA(メインターミナル): 出国後にサテライトターミナルへ移動する必要があります。エアロトレインでサテライトへ渡った後、「Smoking Lounge」の案内に従いましょう。たとえば、C5ゲートやC27ゲート付近に喫煙スペースがあります。ラウンジ形式で比較的快適ですが、時間帯によっては混雑することもあります。
- KLIA2(LCCターミナル): こちらも出国審査後のエリア内に喫煙所があります。Skybridgeを渡った先のPゲートやQゲート方面に設置されており、案内表示もあるため見つけやすいです。オープンスペースのため、やや暑さを感じるかもしれません。
到着時はマレーシアに入国後、ターミナルビルの外に出るまで喫煙所はありません。長時間のフライトを終えた後の喫煙は、ビル外の指定喫煙エリアまで控える必要があります。
クアラルンプール市内
クアラルンプール市内での喫煙スポットは、探すのに少々手間がかかります。
- ブキビンタン周辺: 高級ブランド店が並ぶパビリオン・ショッピングモールの正面を出て、大通りを渡った噴水近くに喫煙エリアがあります。また、周辺の大型ホテルの入口付近にも、宿泊者向けの喫煙スペースが設けられている場合が多いです。
- KLCC周辺: スリアKLCCモールの外側、KLCCパークに面した出口付近に喫煙可能なエリアがあります。ここではペトロナスツインタワーを眺めながら一服できますが、飲食店からは3メートル以上離れる必要があります。
- チャンカット・ブキビンタン: 外国人客が多いバー街ですが、喫煙に関しては同様のルールが適用されます。多くの店舗はオープンテラス形式ですが、テーブルでの喫煙は禁止されており、店外の路上に設置された灰皿の近くで喫煙することになります。
ペナン島やランカウイ島などのリゾート地
リゾート地では少し異なるルールが採用されています。
- リゾートホテル内: 多くのリゾートホテルでは、敷地内の屋外バーやプールサイドの一部に喫煙エリアがあります。チェックイン時にスタッフに喫煙場所を尋ねるのが確実です。プライベートビーチでも、指定された場所以外での喫煙は禁止されていることが多いため注意が必要です。
- ジョージタウン(ペナン島): 世界遺産に登録されているジョージタウンの旧市街は、景観保護の観点から喫煙規制が厳しいです。歩きタバコは絶対に避けましょう。カフェやレストランの屋外での喫煙では、必ず3メートル以内に他の席がないことを確認し、ルールを遵守してください。
マレーシアの禁煙事情に関するQ&A

最後に、よく寄せられる質問とその回答をまとめておきます。
- Q. ホテルの客室のバルコニーで喫煙してもいいですか?
A. 多くの場合、禁止されています。多くのホテルでは、火災報知器の誤作動や隣の部屋への煙の流れを防ぐため、バルコニーでの喫煙を認めていません。必ずホテルのルールを確認し、違反すると高額な清掃費用を請求されることがあるので注意してください。
- Q. 歩きながらタバコを吸うのは許されますか?
A. 法律で明確に禁止されているわけではないものの、実際には非常に難しい状況です。街中はほとんどが禁煙区域となっており、常に周囲に気を遣いながら吸うことになります。また、マナー違反と捉えられ、地元の人からは冷たい目で見られる可能性が高いため、トラブルを避けるためにも、立ち止まって指定の場所で吸うことをおすすめします。
- Q. レンタカーの車内でタバコを吸っても大丈夫ですか?
A. レンタカー会社との契約内容によりますが、たいていの会社では車内禁煙をルールとして定めています。これに違反すると、消臭クリーニング費用として高額な罰金が発生することがあります。契約書をしっかり確認し、基本的には車内での喫煙は避けた方が安心です。
未来のマレーシア喫煙事情 – GEG法案とは
マレーシアの禁煙政策は、今後一層厳格化される可能性があります。その代表例が「GEG(Generational End Game)」と呼ばれる法案です。これは、「2007年1月1日以降に生まれた国民に対し、生涯にわたりタバコおよび喫煙関連製品の販売や購入を禁止する」という、非常に画期的な内容となっています。
この法案は現在審議段階にあり、まだ成立していませんが、もし施行されれば、将来的にマレーシアから喫煙者をなくすことを目指すという政府の強い意思が示されることになります。外国人旅行者には直接適用されないものの、こうした国の姿勢が今後の社会全体の喫煙に対する考え方や、さらに厳しい規制の導入へとつながることは確実です。マレーシアを訪れる際には、このような社会的な動きを理解しておくことが重要かもしれません。
喫煙者としてマレーシアをスマートに楽しむために

ここまでマレーシアの厳しい喫煙ルールについて詳しく説明してきましたが、決して「喫煙者はマレーシアを避けるべき」と言いたいわけではありません。私自身、喫煙者でありながら、この国の魅力に強く惹かれ、何度も訪れているからです。
大切なのは「郷に入りては郷に従え」という心構えです。マレーシアが定めたルールをしっかり理解し、それを尊重すること。そして喫煙者としてのマナーを徹底することが求められます。具体的には、「禁煙区域での喫煙は絶対に避ける」「喫煙可能な場所を事前に確認する」「携帯用の灰皿を必ず携帯する」といった基本的な配慮を守るだけで、多くのトラブルは回避可能です。
不便を感じる場面もあるかもしれませんが、それも旅の一側面と言えるでしょう。少し手間をかけて喫煙所を探し、そこで吸う一服は、いつも以上に格別に感じられるかもしれません。ルールを遵守し、スマートに行動することで、喫煙者でありながら良識ある旅行者として、マレーシアの素晴らしい文化や美味しいグルメ、温かな人々との交流を存分に楽しむことができるのです。
今回のガイドが、皆さまのマレーシア旅行をより安全かつ快適なものにする一助となれば幸いです。どうぞ、素敵な旅をお過ごしください。

