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EU、東南アジア諸国への扉をさらに開くか?ビザ緩和検討でヨーロッパ旅行がもっと手軽に

欧州連合(EU)が、東南アジアの一部の国々を対象に、シェンゲン協定加盟国へ渡航する際のビザ要件を緩和する方向で検討を進めていることが明らかになりました。この動きが実現すれば、対象国からの旅行者はビザなしで最大90日間、ヨーロッパの広範な地域を自由に旅行できるようになります。これは、コロナ禍からの観光業の完全復活と、急成長する東南アジア市場との経済的・文化的結びつきを強化したいEUの強い意志の表れと言えるでしょう。

目次

なぜ今、ビザ緩和が検討されるのか?

今回の検討の背景には、経済と外交の両面におけるEUの戦略的な狙いがあります。

経済回復を牽引する新たな旅行者層

EUにとって観光業は、GDPの約10%を占める極めて重要な産業です。パンデミックからの回復が続く中、新たな観光客層の開拓は急務となっています。そこで注目されているのが、経済成長が著しい東南アジア諸国です。

近年、タイ、マレーシア、インドネシアといった国々では中間層が急速に拡大しており、海外旅行への意欲と消費能力が飛躍的に高まっています。例えば、コロナ禍以前の2019年には、タイからだけでもEU諸国へ約82万件の短期滞在ビザ申請がありました。ビザ要件が緩和されれば、これまで手続きの煩雑さからヨーロッパ旅行を躊躇していた層を取り込むことができ、観光収入の大幅な増加が見込まれます。これは航空会社、ホテル、レストラン、小売業に至るまで、幅広い分野に数十億ユーロ規模の経済効果をもたらすと期待されています。

強化されるEUとASEANの関係

この動きは、単なる観光促進策に留まりません。EUは近年、地政学的な重要性が増すインド太平洋地域、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化を重視しています。ビザ緩和は、人的交流を活発化させ、相互理解を深めるための強力なツールとなります。

また、一部の東南アジア諸国はすでにEU市民に対してビザ免除措置を導入しており、今回の検討には相互主義の観点から関係をさらに深化させたいという外交的な意図も含まれています。

予測される未来と旅行者への影響

ビザ要件の緩和は、旅行のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

旅行者にもたらされる大きなメリット

対象国の旅行者にとって、メリットは計り知れません。

  • 時間と費用の節約: これまで必要だった煩雑なビザ申請手続きと、それに伴う手数料が不要になります。
  • 計画の柔軟性向上: 「来週、パリに行こう」といった、思い立った時点での柔軟な旅行計画が可能になります。航空券のセールなど、チャンスを逃さず旅行を楽しめるようになります。
  • 周遊旅行がより簡単に: シェンゲン圏内をビザなしで自由に移動できるため、複数の国を巡るヨーロッパ周遊旅行のハードルが劇的に下がります。

EU側の課題と対策

一方で、EU側には不法就労やオーバーステイといった安全保障上の懸念もあります。そのため、ビザ緩和と並行して、渡航者の事前審査を強化する仕組みが導入される見込みです。

2025年から本格導入が予定されているETIAS(エティアス:欧州渡航情報認証制度)がその代表例です。これは、ビザ免除対象国の渡航者に対し、事前にオンラインで渡航認証を申請・取得することを義務付けるもので、安全上のリスクを管理しながら円滑な人の移動を確保することを目的としています。

今後の見通し

今回のビザ緩和はまだ検討段階であり、実現にはEU加盟国すべての合意が必要です。しかし、経済的なメリットと外交的な重要性を考慮すれば、前向きに議論が進む可能性は高いでしょう。

私たち旅行者にとって、ヨーロッパがより身近で、訪れやすいデスティネーションになる未来はそう遠くないかもしれません。simvoyageでは、この重要な動きに関する最新情報を引き続きお伝えしていきます。今後の動向にぜひご注目ください。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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