旅行サイト運営者やインバウンド関連事業者が注目すべき最新の調査結果が公開された。海外インフルエンサーのネットワークを持つ「PEPPER LIKES」が実施した調査により、訪日経験のあるインフルエンサーたちが「本当に海外に知らせたい」と感じている日本製品のランキングが明らかになった。この結果は、今後のインバウンド市場における消費トレンドの新たな方向性を示唆している。
調査で浮かび上がった意外なトップ3
株式会社PlayWingsが運営する「PEPPER LIKES」は、日本在住の海外インフルエンサー106名を対象に、「母国や海外に知らせるべき日本の製品」についてアンケート調査を実施した(調査期間:2024年4月22日〜4月30日)。
その結果、最も多くの支持を集めたのは「日本の文房具」で、34.0%のインフルエンサーが推薦した。回答者からは、その高い機能性やユニークなデザイン、種類の豊富さが評価されている。
僅差で続いたのが「日本の伝統工芸品」(31.1%)だ。品質の高さや美しさはもちろん、その背景にある歴史や職人の技術といったストーリー性が、海外の人々の心を惹きつける魅力となっているようだ。
そして第3位には、インバウンド消費の定番ともいえる「日本の化粧品」(29.2%)がランクイン。品質の高さや肌への優しさが、依然として高い評価を得ていることがわかる。
以下、「日本のアニメ・マンガグッズ」(27.4%)、「日本のお菓子」(26.4%)と続いた。
なぜ今、この調査結果が重要なのか
この調査結果は、現在のインバウンド市場の動向を的確に捉えている。記録的な円安を背景に訪日客は急増しており、消費額もコロナ禍以前を上回る勢いを見せている。しかし、その消費内容はかつての「爆買い」とは質的に変化している。
「モノ消費」の深化とストーリー性の重視
単に有名ブランド品を大量購入するのではなく、よりパーソナルで、その国ならではの価値を持つ製品を求める傾向が強まっている。今回の調査で「文房具」や「伝統工芸品」が上位に入ったことは、その象徴と言えるだろう。これらは、日本の「ものづくり」の精神や、細部へのこだわり、長い歴史といった「ストーリー」を体現した製品であり、旅行者は単なる「モノ」としてではなく、日本の文化や価値観を体験する「コト」の一環として購入していると考えられる。
インフルエンサーが鍵を握る情報発信
今日の訪日客にとって、SNSやインフルエンサーからの情報は、旅行先の決定から購入するお土産選びまで、あらゆる場面で絶大な影響力を持つ。彼らが発信するリアルな体験談やおすすめ情報は、ガイドブックや公式サイト以上に信頼され、新たな観光需要や消費トレンドを生み出す起点となっている。今回の調査は、まさにその影響力の源泉であるインフルエンサーたちの視点を可視化したものであり、極めて価値が高い。
予測される未来と市場への影響
この調査結果は、今後のインバウンド戦略にいくつかの重要な変化をもたらす可能性がある。
マーケティング戦略のシフト
インバウンド向けのプロモーションを展開する企業は、これまで定番とされてきた商品群だけでなく、「文房具」や「伝統工芸品」といった新たなカテゴリに注目する必要があるだろう。単に製品を並べるだけでなく、インフルエンサーと協業し、その機能性やデザインの背景、職人の想いといったストーリーを伝えるコンテンツマーケティングがより一層重要になる。
新たな観光デスティネーションの創出
特に「伝統工芸品」への関心の高まりは、地方創生の大きなチャンスとなり得る。これまで観光地としてあまり知られていなかった地域でも、魅力的な工芸品や工房があれば、それを目当てに訪れる旅行者が増える可能性がある。工房見学や制作体験といった体験型コンテンツと組み合わせることで、滞在時間の延長や消費額の増加にも繋がり、地域経済への波及効果が期待できる。
今回の調査は、インバウンド消費のトレンドが、より深く、より多様な日本の魅力へと向かっていることを明確に示した。この変化を的確に捉え、旅行者に新たな価値を提供できるかどうかが、今後のインバウンドビジネス成功の鍵となるだろう。

