訪日観光の重要性を再確認、JSTOがカンファレンス開催
ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)は先日、訪日観光が日本の経済成長にとって不可欠なエンジンであることを強調するカンファレンスを開催しました。特に焦点が当てられたのは、現在政府内で見直しの議論が進む「外国人旅行者向け消費税免税制度」の維持です。インバウンド市場が活況を呈する中、この制度の行方が今後の日本の観光競争力、ひいては経済全体に大きな影響を与える可能性が指摘されています。
背景:なぜ今、免税制度が議論の的に?
記録的な回復を遂げたインバウンド市場
新型コロナウイルスの水際対策が緩和されて以降、日本のインバウンド市場は驚異的な回復を見せています。 日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年の訪日外客数は約2,507万人に達し、コロナ禍前の2019年比で約8割まで回復しました。さらに2024年に入ってからはその勢いが加速し、3月には単月として過去最高となる308万人を記録するなど、完全に回復軌道に乗っています。
過去最高を更新したインバウンド消費額
訪日客数の回復に伴い、消費額も大きく伸びています。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によれば、2023年の訪日外国人旅行消費額は推計で5兆3,065億円となり、2019年を上回り過去最高額を更新しました。 この消費額のうち、大きな割合を占めるのが「買物代」です。2023年には全体の26.5%にあたる約1兆4,043億円が買い物に費やされており、免税制度がショッピングを目的とする旅行者にとって強力なインセンティブとなっていることは明らかです。
制度見直しの動きとその理由
一方で、この免税制度を巡っては、かねてより不正利用の問題が指摘されていました。免税購入された商品が国内で転売され、消費税が納付されないケースが後を絶たないためです。 この問題への対策として、政府内では現行の「その場で免税される方式」から、一度消費税を支払ってもらい、出国時に空港などで還付手続きを行う「リファンド方式」への変更が検討されています。税の公平性を担保する狙いがありますが、この変更が観光市場に与える影響を懸念する声が上がっています。
予測される未来と日本への影響
JSTOが警鐘を鳴らす「リファンド方式」のデメリット
JSTOをはじめとする観光業界関係者が最も懸念しているのは、リファンド方式導入による旅行者の利便性低下です。
- 購買意欲の減退: 旅行者にとって、出国時の還付手続きは時間と手間がかかります。特に地方空港では手続きカウンターが限られる可能性があり、煩雑さから高額商品の購入やまとめ買いをためらう旅行者が増えることが予想されます。
- 国際競争力の低下: 韓国やシンガポール、台湾など、アジアの主要な観光競合国・地域では、旅行者にとって利便性の高い免税制度が整備されています。「買い物」は旅の大きな魅力の一つであり、日本のショッピング環境の魅力が相対的に低下すれば、旅行先の選択肢から日本が外されるリスクも考えられます。
- 地方経済への打撃: インバウンド消費の恩恵は、大都市だけでなく地方にも及んでいます。地方の百貨店や商店街にとって、外国人旅行者の消費は重要な収益源です。購買意欲の低下は、こうした地方経済に直接的な打撃を与える可能性があります。
免税制度の行方が占う日本の観光の未来
もし現行の免税制度が維持されるのであれば、不正対策を強化しつつ、引き続き活発なインバウンド消費が期待できます。政府が掲げる「訪日客数・消費額でコロナ禍前超え」という目標達成の強力な後押しとなるでしょう。
しかし、リファンド方式が導入された場合、税収確保というメリットはあっても、短期的にはインバウンド消費、特に小売業の売上が減少する可能性があります。旅行者の満足度低下がリピーター率の減少やSNSでのネガティブな評判に繋がることも懸念されます。
日本の経済成長の柱として、その重要性が増すばかりの訪日観光。その魅力を支える免税制度のあり方は、まさに岐路に立たされています。利便性と公平性のバランスをいかに取るか、今後の政府の判断が注目されます。

