今年の米感謝祭(サンクスギビング)連休は、国内旅行だけでなく、国際旅行への需要がかつてないほど高まっています。パンデミックを経て旅行への価値観が変化する中、多くのアメリカ人が国境を越え、ヨーロッパや近隣の人気リゾート地へと向かっているようです。simvoyageがこの最新トレンドを深掘りします。
記録的な数字が示す海外旅行への渇望
アメリカの旅行シーズンの中でも特に重要な感謝祭。今年は、その規模がパンデミック前を彷彿とさせる、あるいはそれ以上の盛り上がりを見せています。
特に注目すべきは国際線の利用状況です。旅行保険会社アリアンツ・パートナーズの調査によると、今年の感謝祭期間におけるアメリカからの国際旅行予約は、昨年と比較して17%も増加しました。これは、長らく海外旅行を控えていた人々の「リベンジトラベル」需要が本格化したことを示しています。
航空業界のデータもこの傾向を裏付けており、感謝祭連休期間中の航空旅客数は過去20年間で最多となる見込みです。人気路線では航空券の価格が高騰し、人気都市のホテルは満室に近い状況が報告されています。
人気渡航先はヨーロッパとカリブ海
では、具体的にどこが人気なのでしょうか。予約データからは、伝統的な人気都市と温暖なリゾート地への二極化が見られます。
- ヨーロッパの主要都市: ロンドン、パリ、ローマといった歴史と文化が魅力の都市は、依然として絶大な人気を誇ります。特に、強い米ドルを背景に、アメリカ人旅行者にとってヨーロッパでのショッピングや食事が割安に感じられることも、人気を後押ししている要因です。
- メキシコ・カリブ海リゾート: カンクン、サン・ホセ・デル・カボといったメキシコのビーチリゾートもトップクラスの人気を維持しています。アメリカからアクセスしやすく、手軽に非日常を味わえるリゾート地は、短い連休を利用してリフレッシュしたい層から強い支持を得ています。
なぜ今、海外旅行なのか?背景にある3つの要因
この記録的な需要の背景には、いくつかの複合的な要因が考えられます。
1. 抑圧された旅行意欲の爆発
パンデミックによる長期間の移動制限を経て、海外で新しい文化に触れたい、美しい景色を見たいという欲求が最高潮に達しています。特に、これまで見送られてきた家族や友人との再会を海外で祝うケースも増えているようです。
2. 経済的な追い風(強い米ドル)
現在の為替市場は、米ドルが他の主要通貨に対して強い「ドル高」の状況にあります。これにより、アメリカ人旅行者は同じ予算でも海外でより多くのサービスや商品を購入できるため、海外旅行への心理的なハードルが下がっています。
3. 働き方の柔軟化
リモートワークやハイブリッドワークの普及により、休暇の取り方がより柔軟になりました。感謝祭連休に有給休暇を組み合わせ、これまでより長い期間の海外旅行を計画する人が増えていることも、国際旅行需要を押し上げる一因となっています。
今後の旅行業界への影響と未来予測
感謝祭シーズンのこの活況は、今後の旅行トレンドを占う重要な指標となります。
まず、クリスマスから年末年始にかけてのホリデーシーズンも、同様に高いレベルの旅行需要が続くことが確実視されます。特に国際線は、すでに予約が埋まり始めており、航空券や宿泊施設の価格はさらに上昇する可能性があります。これから旅行を計画する方は、一日も早い予約が賢明と言えるでしょう。
一方で、特定の人気都市への旅行者集中は、「オーバーツーリズム」の問題を再び浮き彫りにする可能性も秘めています。旅行者としては、混雑を避けるために旅行時期をずらしたり、まだあまり知られていない魅力的なデスティネーションに目を向けたりする工夫が求められるかもしれません。
今回の感謝祭旅行のトレンドは、人々が旅行に求める価値が「モノ」から「コト(体験)」へと完全にシフトしたことを明確に示しています。この流れは今後も加速し、旅行業界全体がより多様で質の高い体験を提供していくことが求められるでしょう。

