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グレートプレーンズの心臓部へ。アメリカの原風景が息づくサウスダコタへの旅

果てしなく広がる大平原、空に突き刺さるような奇岩の群れ、そしてアメリカという国の歴史そのものを刻んだ巨大な彫刻。こんにちは、旅ライターの亜美です。普段はアパレルの世界でトレンドを追いかけていますが、長期休暇のたびにバックパック一つで世界の街角へ飛び出すのが私のライフワーク。今回は、ずっと心に温めていた場所、アメリカ中西部に位置するサウスダコタ州を訪れました。ここは、多くの人がイメージする「アメリカ」のアイコンが凝縮された土地。しかし、その魅力は有名なモニュメントだけにとどまりません。ネイティブアメリカンの魂が今も響く聖地、ゴールドラッシュに沸いた西部の町、そして手つかずの自然が織りなす圧倒的な景観。ファッションやアートが好きな私にとって、この大地の色彩、歴史が紡ぐ物語、そしてそこに生きる人々の文化は、尽きることのないインスピレーションの源泉でした。さあ、一緒にアメリカの魂を探す旅に出かけましょう。まずは、この広大な州のスケールを地図で感じてみてください。

そして、この広大な州の奥深くには、スー族の聖地ブラックヒルズをはじめ、魂を揺さぶるアメリカ原風景と大統領の彫刻があなたを待っています。

目次

サウスダコタへの誘い – なぜ今、この地が旅好きを惹きつけるのか?

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サウスダコタと言われて、すぐに具体的なイメージが浮かぶ人は少ないかもしれません。しかし、だからこそここには、まだ知られていない本物のアメリカの姿が息づいています。東海岸の洗練された都市でもなく、西海岸の陽気なリゾートでもない。グレートプレーンズ(大平原)のど真ん中で、大地と空と歴史が静かに対話する場所。それこそがサウスダコタなのです。

この地を訪れる魅力は、その圧倒的なスケール感にあります。果てしなく続く直線道路をドライブしていると、日常の悩みが小さなものに思えてくるのが不思議です。地平線の彼方に沈む夕日は、まるで空をキャンバスに描かれた壮大なアート作品のようです。そして夜になると、満天の星空が降り注ぎ、宇宙の広がりを肌で感じられます。

さらに、サウスダコタはアメリカの歴史を深く理解するための重要な場所でもあります。建国の父たちを称えるラシュモア山がある一方で、その近くにはアメリカ政府に抵抗したネイティブアメリカンの英雄、クレイジー・ホースの巨大な彫刻が今なお建設され続けています。これら二つの巨大モニュメントは、この国が抱える光と影、そして複雑な歴史を静かに物語っているのです。

旅のベストシーズンは、気候が穏やかで過ごしやすい初夏(6月頃)と初秋(9月頃)が最適でしょう。夏は日差しが強く気温も高まりますが、観光客で最も賑わう季節です。冬は厳しい寒さと雪に覆われるため訪れる場所が限られますが、雪に包まれた静寂の国立公園はまた格別の美しさを見せてくれます。

州内を巡るにはレンタカーが必須です。ラピッドシティ・リージョナル空港(RAP)を拠点に、自分だけのロードトリップを計画するのが一般的です。観光スポットが広範囲に点在しているため、時間に余裕をもってスケジュールを立てることが、この広大な土地を存分に楽しむコツとなります。

大地の彫刻、ラシュモア山 – 4人の大統領が見つめるアメリカの魂

サウスダコタの旅において、この場所を抜きに語ることはできません。ブラックヒルズの岩山に刻まれた4人の偉大な大統領の肖像。ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、そしてセオドア・ルーズベルト。写真や映像で何度も目にしてきた非常に有名な光景ですが、実際にその場に立つと、想像を遥かに超える規模と荘厳さに圧倒されます。

この国家的記念碑は、彫刻家ガットスン・ボーグラム率いるチームによって、1927年から14年をかけて造り上げられました。ダイナマイトで岩を砕き、ノミで細部の表情を整えていくという気の遠くなるような工程の末に完成しています。それぞれの顔の高さは約18メートルに達し、その巨大さだけでなく、岩肌に刻まれた豊かな表情や、彼らが見据える先のアメリカの未来への想いがひしひしと伝わってきます。

日中の訪問も素晴らしいですが、私が最もおすすめしたいのは夏の夜に開催される「イブニング・ライティング・セレモニー」です。日没後に行われるレンジャーのスピーチ、愛国心を称える映像の上映に続き、ゆっくりと大統領の彫刻がライトアップされる瞬間は、鳥肌ものの感動を覚えます。会場に集まった全員が一体となり、静かにその光景を見守ります。セレモニーの最後には、観客席にいる退役軍人がステージに招かれ、国旗をたたむ儀式が行われます。アメリカの成り立ちや国民の思いを直に感じられる、非常に力強い体験でした。

ラシュモア山訪問の実用ガイド

ラシュモア山国定記念物は国立公園に属し、入園自体は無料です。ただし、車で訪れる場合は駐車料金が必要となります。駐車券は購入日から1年間有効なので、滞在中に何度訪れても追加料金はかかりません。支払いは駐車場のゲートで現金またはクレジットカードで行えます。事前のオンライン予約などは不要です。

記念公園内には、彫刻を間近に感じられる「プレジデンシャル・トレイル」という遊歩道があります。約0.9kmの比較的歩きやすいループ状のコースで、途中に階段もありますが、さまざまな角度から彫刻を楽しめます。歩きやすいスニーカーの使用をおすすめします。トレイルの途中には、彫刻家ボーグラムのスタジオが再現されており、当時の作業の様子を垣間見ることができます。

必携品としては、日中の強い日差し対策に帽子、サングラス、日焼け止めが欠かせません。特に夏季は水分補給のための飲み物も必須です。そしてぜひ持参したいのが双眼鏡です。遠くからはわかりづらい大統領の瞳の輝きや細かな表情まで鮮明に見ることができ、感動が何倍にも増します。夜のセレモニー参加時は、夏でも夜間は冷え込むことがあるため、薄手のジャケットやパーカーなど羽織るものを用意すると安心です。

公園内でのドローン使用は禁止されています。また、ペットを連れている場合は、プレジデンシャル・トレイルや建物内への立ち入りは認められていませんのでご注意ください。詳しい規則や最新のイベント情報は、訪問前に国立公園局(NPS)公式サイトで確認することをおすすめします。

未完の巨像、クレイジー・ホース記念碑 – 魂を刻む壮大な物語

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ラシュモア山から車でわずか約30分の距離に、もう一つ全く異なる意味合いを持つ巨大な彫刻があります。それがクレイジー・ホース記念碑です。ラコタ族の伝説的な戦士クレイジー・ホースが馬に乗り、指差す姿をかたどったこの彫刻は、完成すれば高さ172メートル、幅195メートルと世界最大級の彫刻になる予定です。

このプロジェクトは、ラシュモア山の彫刻に対抗し、「我々にも英雄がいる」というメッセージを示すため、ラコタ族の長老ヘンリー・スタンディング・ベアが彫刻家コルチャック・ジオルコフスキーに依頼したことから始まりました。1948年に着工して以来、ジオルコフスキーとその家族、そして彼らの意志を受け継ぐ財団によって、連邦政府の援助を一切受けず、寄付金と入場料のみで建設が続けられています。つまり、この彫刻はまだ完成していません。その未完成であるという事実こそが、この記念碑が伝える最も重要なメッセージかもしれません。

展望台から見渡せるのは現時点で完成している顔の部分のみですが、それでもその圧倒的な大きさから圧倒されます。ラシュモア山がアメリカ合衆国の歴史を象徴するものであるとすれば、クレイジー・ホース記念碑は、その歴史のなかで土地を奪われ、文化を抑圧されてきたネイティブアメリカンの誇りと抵抗の物語を象徴しています。ジオルコフスキーの言葉、「My fellow chiefs and I would like the white man to know that the red man has great heroes, too.(我々部族の長老は、白人に伝えたい。赤い肌の人々にも偉大な英雄がいるのだと)」は重く心に響きます。

敷地内には、北米インディアン博物館や、彫刻家のスタジオ兼住宅、ネイティブアメリカンの文化を紹介するカルチャーセンターなどがあり、彫刻だけでなく彼らの歴史や芸術、精神世界についても深く学ぶことができます。ゆっくり時間をかけて見学すれば、この記念碑が持つ本当の意味が見えてくるはずです。

クレイジー・ホース記念碑を深く知るためのポイント

クレイジー・ホース記念碑の入場料は、車1台あたりや乗車人数に応じて設定されています。料金は季節によって変動することもあるため、公式サイトで最新情報の確認をお勧めします。ここで支払われる入場料は、この壮大なプロジェクトを未来へつなぐ貴重な資金となります。

より間近で彫刻を体感したい方には、有料のバスツアーがおすすめです。このツアーに参加すると、展望台からは見られない彫刻の麓までアクセスできます。巨大な岩山を間近に見上げ、その制作規模を肌で感じる貴重な体験となるでしょう。ツアーの申し込みは敷地内のビジターセンターで受け付けています。

持参するものとしては、ラシュモア山と同様に基本的な日焼け対策のほか、カメラに望遠レンズがあると彫刻の細部まで撮影できて便利です。また、博物館や展示が非常に充実しているため、時間に余裕を持ったスケジューリングを強くおすすめします。

この記念碑は単なる観光スポットではなく、現在も続くひとつの物語の舞台です。訪れる私たちは、その物語の目撃者となります。詳細情報や彫刻の最新進捗については、ぜひクレイジー・ホース記念碑の公式サイトをご覧ください。寄付を通じて、この歴史的なプロジェクトのサポートにも参加できます。

奇岩の迷宮、バッドランズ国立公園 – 地球の記憶を歩く

サウスダコタの旅で、私が最も心奪われた場所はバッドランズ国立公園です。ラピッドシティから東へ車でおよそ1時間ほど走ると、緑豊かなブラックヒルズの景色から一変し、まるで異世界に足を踏み入れたかのような荒涼とした美しい風景が目の前に広がります。重なり合う地層が剥き出しとなった奇岩の群れ、深く切り込んだ渓谷、そして果てしなく続く広大なプレーリーが広がっています。

「バッドランズ(悪い土地)」という名称は、かつてこの地を越えようとしたラコタ族が、その険しい地形と水の乏しさから「マコ・シカ(悪い土地)」と呼んだことに由来します。しかし、その厳しい環境の中にこそ、この地の真の美しさが秘められているのです。数千万年という長い時間をかけて水や風が作り出したこの地形は、まるで地球の歴史を記した巨大な地質学の教科書のよう。地層には多くの化石が眠っており、古代哺乳類の化石が豊富に発見される世界有数の場所としても知られています。

公園を走る「バッドランズ・ループ・ロード(Highway 240)」をドライブするだけでも、その壮大な景観を十分に満喫できます。次々に現れる展望台に車を停めては、息をのむような美しい景色を写真に収め続けました。特に朝日や夕日に照らされる時間帯は、岩肌が刻一刻と色を変え、幻想的な光景が広がります。ピンクやオレンジ、紫といった自然が織りなす色彩のパレットは、どんなアーティストの作品にも勝るドラマチックさでした。

この公園のもう一つの魅力は、野生動物との遭遇です。悠然と草を食むバイソンの群れ、岩山に佇むビッグホーンシープ、巣穴からひょっこり顔をのぞかせる愛らしいプレーリードッグ。彼らこそ、この過酷な環境でたくましく生きるバッドランズの真の主役たちです。

バッドランズ国立公園を安全に楽しむための準備

バッドランズ国立公園への入園には料金が必要です。車1台あたり7日間有効のパスを購入するか、アメリカの多くの国立公園で使える年間パス「America the Beautiful Pass」の提示が求められます。複数の国立公園を訪れる予定がある場合は、年間パスが非常にお得なので、旅の計画に合わせて検討してみてください。パスは公園の入口ゲートで購入可能です。

園内を散策する際は、万全の準備が欠かせません。特に夏場は気温が40度近くになることもあり、日陰がほとんどないため熱中症対策を徹底しましょう。

  • 持ち物リスト:
  • 十分な水分: 最も重要なアイテムです。1人あたり1ガロン(約4リットル)を目安に、余裕をもって持参してください。
  • 日焼け止め、帽子、サングラス: 紫外線が非常に強いので、肌の保護を忘れずに。
  • 歩きやすい靴: トレッキングシューズや頑丈なスニーカーがおすすめです。
  • 軽食・スナック: エネルギー補給用に。園内の飲食施設は限られています。
  • 地図: ビジターセンターで配布される公園の地図は必ず携帯しましょう。携帯電話の電波が届かない場所も多いためです。
  • 禁止事項とルール:
  • 野生動物に近づかない: バイソンやビッグホーンは見た目に反して危険です。安全な距離を保ち、絶対に餌を与えないでください。
  • 化石や岩石の採取禁止: これらは公園の貴重な資源です。発見したら写真を撮るだけにとどめ、レンジャーに報告しましょう。
  • トレイルから外れない: 指定のハイキングコース以外を歩く場合は、迷子にならないよう十分注意してください。
  • トラブル時の対処法:

園内は非常に広く、携帯電話の電波が届かないエリアがほとんどです。入園前に車のガソリンを満タンにしておきましょう。車の故障や体調不良などのトラブルが起きた際は、近くのレンジャーか他の旅行者に助けを求めてください。主要な展望台やビジターセンターには人がいることが多いです。緊急時のために、公園の連絡先をあらかじめメモしておくと安心です。詳細な安全情報やトレイルの状況については、バッドランズ国立公園公式サイトで事前に確認しておくことをおすすめします。

ブラックヒルズの深淵へ – カスター州立公園と風の洞窟

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ラシュモア山やクレイジー・ホース記念碑を抱えるブラックヒルズの森は、一層深い魅力に満ちています。その中心となるのがカスター州立公園です。この公園はサウスダコタ州で最初に創設された州立公園であり、約1,300頭もの野生バイソンが自在に暮らす、北米でも最大級のバイソン生息地として広く知られています。

公園内を巡る「ワイルドライフ・ループ・ロード」は、まさに野生動物の楽園と言えるでしょう。車窓からは、ゆったりと道を横断するバイソンの大群や、プロングホーン(エダツノレイヨウ)、ミュールジカなど、多彩な動物たちの姿を目にすることができます。時にはバイソンの群れが道路を塞ぎ、「バイソン・ジャム」と呼ばれる交通渋滞が起こることもありますが、これもこの公園ならではの貴重な体験です。エンジンを止めて、彼らが通り過ぎるまで静かに待つ時間は、自然と一体になるような穏やかなひとときでした。

もう一つ、カスター州立公園で絶対に見逃せないのが「ニードルズ・ハイウェイ」のドライブです。その名の通り、針のように天へとそびえる花崗岩の奇岩群の間を縫うように走るこの道は、息をのむ絶景が続きます。特に、岩をくり抜いて造られた狭い「ニードルズ・アイ・トンネル」をくぐる瞬間は、スリル満点です。道はカーブが多く運転には細心の注意が必要ですが、その苦労を乗り越えて走る価値のある、アメリカ有数の絶景ドライブコースと言えるでしょう。

ウィンドケーブ国立公園での地底探検

ブラックヒルズの魅力は地上だけでなく、その地下にも広がっています。地下には広大かつ複雑な洞窟が展開し、ウィンドケーブ国立公園(風の洞窟)は、世界で初めて国立公園に指定された洞窟です。最大の特徴は「ボックスワーク」と呼ばれる、ハチの巣状の珍しい方解石構造にあります。

洞窟の探検はレンジャーが引率するガイドツアーでのみ許可されており、複数のコースが用意され、所要時間や難易度も異なります。私が参加したのは最も人気のある「ナチュラル・エントランス・ツアー」。自然の入口から洞窟内に入り、約300段の階段を下りながら、ボックスワークなど美しい洞窟生成物を鑑賞するコースでした。

  • 洞窟ツアー参加に関する手続きと注意点:
  • 予約は必須: ウィンドケーブのツアーは非常に人気が高く、特に夏休みシーズンはすぐに満員になります。旅行の計画が決まり次第、できるだけ早く公式ウェブサイトからオンライン予約を行うのがおすすめです。当日券も若干枚数ありますが、必ず確保できるわけではありません。
  • 適切な服装: 洞窟内の気温は年間を通じてほぼ一定で約12℃です。外の気温がどんなに高くても中はひんやりしているため、長袖のジャケットやフリースなどを必ず持参してください。また、洞窟内は湿って滑りやすい場所や階段が多いため、サンダルやヒールは不可です。滑りにくいスニーカーやトレッキングシューズを履くことを推奨します。
  • 持ち込み制限: 大きなリュックやバッグ、三脚、食べ物・飲み物(水を除く)は洞窟に持ち込めません。貴重品は小さなポーチなどにまとめて身につけましょう。
  • 時間に余裕を: ツアーは開始時間が厳格に管理されています。ビジターセンターでのチェックインが必要なため、予約時間の30分前には到着するよう心がけてください。遅刻すると参加不可となる可能性が高く、返金対応も難しいことが多いので注意が必要です。

暗く涼しい地下世界で、何万年もの長い歳月をかけて自然が創り出した芸術を間近に感じる体験は、地上の旅とは異なる神秘的な感動を与えてくれました。

ゴールドラッシュの面影を訪ねて – デッドウッドの街並み

サウスダコタの旅に少し変化を加えたいなら、ぜひデッドウッドの街を訪れてみてください。ブラックヒルズの奥地に位置するこの街は、1870年代のゴールドラッシュで一攫千金を夢見た人々が集まって誕生しました。かつては無法者たちの巣窟として知られ、伝説的なガンマンであるワイルド・ビル・ヒコックがポーカーの最中に背後から撃たれて命を落とした場所としても名高いです。

現代のデッドウッドは、街全体が国定歴史建造物に登録されており、ヴィクトリア様式の建物が当時の面影を残しながら立ち並ぶ趣深い観光地となっています。メインストリートを歩けば、西部劇の映画セットに迷い込んだかのような気分に浸れます。歴史的なサルーン(酒場)で一杯楽しんだり、夏季には路上で繰り広げられるガンファイトの再現ショーを観覧したりと、西部開拓時代の雰囲気を存分に味わえます。

さらに、デッドウッドはサウスダコタ州で唯一、カジノが合法化されている街でもあります。多くの歴史的建物は現在、カジノやホテルとして活用されており、少額で遊べるスロットマシンも豊富にあるため、旅の思い出にちょっとした運試しを試みるのも楽しいでしょう。

街を見下ろす丘の上にあるマウント・モライア墓地には、ワイルド・ビル・ヒコックと、彼と行動を共にしたとされる女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの墓が隣接して眠っています。激動の時代を生きた彼らに思いを馳せながら、静かな墓地を散策するのもデッドウッドならではの過ごし方です。

サウスダコタ旅の実践ガイド – 計画から実行まで

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これまで訪れた広大な自然や歴史の舞台を巡る旅を、より快適かつ思い出深いものにするための具体的な情報と、私なりのアドバイスをまとめました。

ベストシーズンと服装

旅の快適さに大きく影響を与えるのが気候と服装です。サウスダコタ州の気候は、大陸性気候の典型で、夏は暑く乾燥し、冬は非常に寒く雪が深いのが特徴です。

  • 初夏(6月)と初秋(9月): 私が特におすすめする時期です。日中は暖かく過ごしやすいものの、朝晩は冷え込むため、調節しやすい服装がポイントとなります。
  • 夏(7月〜8月): 観光のピークシーズンで、日差しが強く気温が30℃を超える日も多いです。通気性の良い服装としっかりした紫外線対策が欠かせません。
  • 冬(11月〜3月): 雪や氷に覆われる厳しい季節です。防寒対策はもちろん、道路状況の確認も必須であり、一部の道路や施設が冬季閉鎖されるため注意が必要です。

アパレル業界で働く私からのファッション提案としては、「機能性とおしゃれを兼ね備えたレイヤードスタイル」が最適です。ベースは吸湿速乾性のあるTシャツ、その上にチェック柄のフランネルシャツや薄手のフリース、さらに防風・防水機能のあるアウターを一枚重ねます。ボトムスは動きやすいトレッキングパンツかストレッチ素材のデニムが便利です。足元はどのような地形にも対応可能なトレッキングブーツが理想的。バッドランズの赤茶けた大地やブラックヒルズの緑に映えるアースカラーをベースに、スカーフや帽子でアクセントを加えると、旅先での写真も一層映えるでしょう。

アクセスと州内の移動手段

日本からサウスダコタへの直行便はないため、デンバーやミネアポリス、シカゴなどの主要都市で乗り継ぎ、州最大の玄関口であるラピッドシティ・リージョナル空港(RAP)を利用するのが一般的です。

また、サウスダコタの旅ではレンタカーが欠かせません。空港到着後は予約済みのレンタカーを受け取り、いよいよロードトリップのスタートです。

  • レンタカー予約のポイント:
  • 早めの予約: 特に夏休み期間は料金が高騰し、車種の選択肢も少なくなるため、航空券と同時に早期予約をおすすめします。
  • 保険の確認: 対人・対物保険や車両損害保険が含まれているか必ずチェックしましょう。クレジットカード付帯の保険でカバーされる内容も事前に調べておくと安心です。
  • 四輪駆動車(4WD/AWD): 冬季や未舗装の道を走行する可能性がある場合は、四輪駆動車を選ぶと安全面で安心です。

運転中は野生動物の飛び出しに細心の注意を払いましょう。特に夜明けや夕暮れはシカなどの動物が活発に動く時間帯です。また、町と町の間隔が非常に広いため、ガソリンは常に半分以上をキープし、小まめな給油を心掛けてください。

宿泊施設の選び方

旅の拠点として便利なのは、ラピッドシティ、ラシュモア山近くのキーストーンやヒルシティ、そしてカスター州立公園に近いカスターなどの街です。これらの地域には、大手チェーンのホテルから家族経営のモーテル、山小屋風のロッジまで多様な宿泊施設が揃っています。

  • ラピッドシティ: 空港からのアクセスが良く、レストランやスーパーも充実。すべての観光スポットへ日帰り可能なため、連泊して拠点とするのに最適です。
  • キーストーン、カスターなど: 国立公園や記念碑のすぐそばに宿泊したい方におすすめ。朝早くや夕暮れ時の静かな公園を満喫できるのが魅力です。

どの地域に滞在する場合でも、特にピークシーズンは早めの予約が必須です。人気の宿泊施設は数ヶ月前に満室になることも珍しくありません。

安全に旅するための女性目線アドバイス

サウスダコタ州は全般的に治安が良好で、地元の人々も親切なため、安心して旅行を楽しめる場所です。ただし、どの地域を訪れる際も基本的な安全対策は欠かせません。特に女性の一人旅や少人数での旅行では、少し意識を高めることで、より安全に過ごすことが可能です。

  • 車上荒らしへの注意: 観光地の駐車場では、車内に貴重品やバッグ、電子機器などを置いたまま離れないようにしましょう。トランクなど、外から見えにくい場所に収納することをおすすめします。
  • 夜間の単独行動: ラピッドシティのダウンタウンやデッドウッドの繁華街など、夜間も賑わうエリアはありますが、暗い路地や人通りの少ない場所へは一人で入らないようにしましょう。
  • 国立公園でのハイキング: 一人でハイキングをする際は、必ず事前にルートや所要時間を確認し、ホテルのスタッフや友人など信頼できる人に予定を伝えておくことが大切です。ブラックヒルズ周辺では熊よけスプレーの携帯も推奨されています。
  • 野生動物との距離の保ち方: かわいらしいプレーリードッグや堂々としたバイソンに出会うとつい近づきたくなりますが、彼らはあくまで野生動物であり、予測できない動きをすることがあります。必ず安全な距離を取るようにし、車内から観察するのが最も安全です。
  • 緊急連絡先の準備: 緊急時には「911」へ連絡してください。また、万が一のために、加入している海外旅行保険の連絡先や、最寄りの日本国総領事館(サウスダコタ州はデンバー総領事館の管轄です)の連絡先を事前に控えておくと安心です。

アメリカの魂に触れる旅の終わりに

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サウスダコタの広大な大地を駆け抜け、巨大な彫刻を仰ぎ見て、地球の歴史が刻まれた渓谷を歩む旅。この旅は、ただ美しい景色を楽しむだけではありませんでした。建国の理想と、その裏で犠牲となった人々の歴史。人の手による壮大なアートと、自然が生み出す圧倒的な造形美。その対極にあるものを同時に体験することで、アメリカという国の複雑さや深みを、少しだけ理解できたように感じます。

地平線の彼方まで続く一本道をひたすら走るロードトリップは、まるで自分自身の内面を旅しているかのようでした。日常の喧騒から離れ、大自然の中で過ごす時間は、新たな視点を与え、次の一歩を踏み出すための静かな力となりました。

もし、まだ誰も知らないような特別な場所を求めているなら、次の休暇にはサウスダコタを訪れてみてはいかがでしょうか。そこには、心を揺さぶり、忘れがたい思い出を刻む、本物のアメリカの風景が広がっています。この大地が語る物語に、ぜひ耳を傾けてみてください。

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この記事を書いたトラベルライター

アパレル企業で培ったセンスを活かして、ヨーロッパの街角を歩き回っています。初めての海外旅行でも安心できるよう、ちょっとお洒落で実用的な旅のヒントをお届け。アートとファッション好きな方、一緒に旅しましょう!

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