画面の向こう側に広がる、きらびやかな社交界。麗しい紳士淑女たちが織りなす、甘く、時にほろ苦い恋物語。Netflixの大人気シリーズ『ブリジャートン家』は、私たちを19世紀初頭、英国摂政時代(リージェンシー・ピリオド)のロンドンへと誘ってくれます。その魅力は、心ときめくストーリー展開もさることながら、息をのむほどに美しい映像美にあると言っても過言ではないでしょう。
羽飾りのついたドレス、壮麗な舞踏会、緑豊かなカントリーサイドの風景。そのすべてが、現代の英国に実在する歴史的な場所で撮影されているのです。世界中を飛び回る仕事の合間に、私は幾度となくこの国の歴史と文化の深さに触れてきましたが、『ブリジャートン家』のロケ地を巡る旅は、まさに時を超えたタイムトラベル。画面越しに憧れたあの世界が、現実のものとして目の前に立ち現れる感動は、何物にも代えがたい体験でした。
この記事では、そんな『ブリジャートン家』の主要な撮影地を巡る、ワンランク上の聖地巡礼プランをご提案します。ロンドンの華やかなタウンハウスから、バースの優雅な街並み、そして公爵たちが領地とする壮大なカントリーハウスまで。単にロケ地を訪れるだけでなく、その場所が持つ歴史や文化に触れ、旅を最大限に楽しむための実践的な情報もふんだんに盛り込みました。チケットの予約方法から、スマートな立ち振る舞い、万が一のトラブル対処法まで。この記事を読み終える頃には、あなたも麗しの英国社交界への扉を開ける準備が整っているはずです。さあ、夢のような旅の計画を始めましょう。
そして、もし時代劇の華やかな世界を堪能した後に、全く異なるジャンルのドラマ体験を求めるなら、近未来SFドラマのロケ地を巡る聖地巡礼もまた、あなたの心を揺さぶる新たな冒険となるはずです。
旅の始まり:ブリジャートン家の舞台、ロンドンへ

物語の舞台であるロンドンのメイフェア地区、上流階級が集う「トン(ton)」から、私たちの旅は始まります。ドラマではCGで再現されたリージェンシー時代の街並みが目を引きますが、多くの撮影は、今なお歴史的な趣を色濃く残す実際の建築物で行われています。まずはロンドンとその近郊に点在する、物語の主要なロケ地を巡ってみましょう。
ブリジャートン家の邸宅 – レンジャーズ・ハウス(Ranger’s House)
紫色の藤(ウィステリア)が美しく覆い尽くす、上品で優雅なブリジャートン家の邸宅。その印象的な外観の撮影場所となったのが、ロンドン南東部、グリニッジ・パークの端に佇む「レンジャーズ・ハウス」です。赤レンガ造りのジョージアン様式で建てられたこの邸宅は、まさにブリジャートン家のイメージにぴったり。ドラマのオープニングで建物が映し出されるたび、多くのファンの胸が高鳴ることでしょう。
もとは18世紀に建てられた貴族の館で、現在はイングリッシュ・ヘリテッジによって管理される美術館として、中世からルネサンス期にかけての宝飾品や絵画を集めた「ウェルナー・コレクション」が展示されています。ドラマでは外観のみが使われているため、内部のインテリアはブリジャートン家の描写とは異なりますが、このコレクションは見応え十分。美術品を鑑賞しながら、この館に暮らした貴族たちの生活に思いを馳せてみるのもおすすめです。
旅を成功させるための実践ガイド:レンジャーズ・ハウス編
- チケットの購入と手続き:
訪問が決まったら、まずはEnglish Heritageの公式サイトで事前に予約を済ませましょう。特に週末や観光シーズンは混雑が予想されるため、オンラインで前もってチケットを購入するとスムーズです。日時を選択し、クレジットカードで決済を完了させると、Eチケットがメールで届きます。当日はスマートフォンの画面を提示するか、印刷したものを持参すれば入場可能です。イングリッシュ・ヘリテッジの海外ビジターパスなどを利用する場合も、時間指定の予約が必要なケースがあるため、公式サイトでの事前確認を忘れずに。
- 持ち物と準備:
レンジャーズ・ハウスは世界遺産のグリニッジ・パークに面しています。館の見学とあわせて、広大な公園を散策するプランもおすすめ。歩きやすい靴を用意し、変わりやすいロンドンの天気に備えて、折りたたみ傘や軽量の防水ジャケットも携帯しましょう。館内は撮影が可能ですが、フラッシュや三脚の使用は禁止となっています。
- 禁止事項とマナー:
美術品を守るため、館内での飲食は禁じられています。大きなリュックサックや荷物は入り口のクロークに預けるよう案内されることもあります。展示物には触れず、静かに鑑賞するのが紳士淑女の心得。係員の指示には必ず従いましょう。
- アクセス方法:
ロンドン中心部からはナショナル・レールの電車で「ブラックヒース(Blackheath)」駅へ向かうのが便利。駅からレンジャーズ・ハウスまでは、グリニッジ・パークの美しい風景を楽しみながら徒歩約10分です。または、ドックランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)の「カティー・サーク(Cutty Sark)」駅から公園を登っていくルートもありますが、やや坂道となります。
華麗なる舞踏会の会場 – ランカスター・ハウス(Lancaster House)
『ブリジャートン家』の華やかな舞踏会シーンの数々は、その魅力の核心でもあります。多数の舞踏会シーンが撮影されたロケ地の一つが、セント・ジェームズ宮殿の近くにある「ランカスター・ハウス」です。英国政府が所有するこの迎賓館は、その豪華な内装が「バッキンガム宮殿を凌ぐ」と評されるほど。特に壮大な大階段や金箔で飾られたボールルームは圧巻で、シャーロット王妃が臨席する舞踏会のシーンなどでその華やかさを放っています。
この場所はドラマ『ザ・クラウン』の撮影でもバッキンガム宮殿の内部として使われており、英国の歴史と格式を象徴する空間と言えるでしょう。ここに一歩足を踏み入れれば、まるで自分が貴族社会の一員になったかのような錯覚を覚えるはずです。
旅を成功させるための実践ガイド:ランカスター・ハウス編
- 見学の難関:
残念ながらランカスター・ハウスは政府の迎賓館のため、通常は一般公開されていません。これが訪問する上で最大のハードルですが、諦める必要はありません。毎年9月に開催されるロンドンの建築イベント「オープン・ハウス・フェスティバル(Open House Festival)」の期間中、限定的に内部が公開されることがあります。
- 行動のポイント:
オープン・ハウス・フェスティバルのチケットは非常に人気が高く、抽選や先着順で瞬く間に売り切れます。訪問を目指すなら、春頃から公式サイトを頻繁にチェックし、メールマガジンに登録して情報を受け取りましょう。応募開始日時を正確に把握し、当日は素早くアクセスできるよう準備を整えておくことが重要です。まさに舞踏会の招待状を心待ちにするデビュタントの心境です。
- 代替案とトラブル時の対応:
チケットが入手できなくても落胆せず、外観だけでもその重厚な雰囲気を十分に楽しめます。また、後述するハンプトン・コート宮殿など、舞踏会シーンの撮影地は他にもありますので、そうした場所をプランBとしてゆっくり堪能するのも賢明です。旅の計画には柔軟な対応が大切です。
王宮の威厳を感じる場 – ハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace)
シャーロット王妃が君臨するセント・ジェームズ宮殿やバッキンガム・ハウスの荘厳な内部や美しい庭園の撮影は、ロンドン郊外にある「ハンプトン・コート宮殿」で行われました。ヘンリー8世の宮殿として名高いこの場所は、チューダー朝の赤レンガ造りと、後にウィリアム3世とメアリー2世が増築したバロック様式の建築が見事に調和しています。
ドラマでは、王妃が謁見を行うプリヴィ・ガーデンや、華やかな噴水が印象深いファウンテン・コートが登場。広大な敷地内には、英国最古の現存ヘッジ・メイズ(生け垣の迷路)や整備の行き届いた庭園が広がり、何時間いても飽きません。歴史の重みとドラマの世界観を同時に味わえる、非常に魅力的なスポットです。
旅を成功させるための実践ガイド:ハンプトン・コート宮殿編
- チケットはオンラインでベストな選択:
宮殿管理団体Historic Royal Palacesの公式サイトで事前にチケットを購入しましょう。多くの場合、当日券より割安で、入場待ちの列も回避可能です。日付指定のチケットなので旅程に合わせて予約し、Eチケットをスマートフォンに保存あるいは印刷して持参します。
- 準備と必携品:
非常に敷地が広いため、宮殿内部だけでなく庭園や迷路も含めて楽しむなら、最低でも半日は確保してください。クッション性のある履き慣れた靴は必須アイテムです。敷地内にはカフェやレストランがありますが、天気の良い日にはピクニックも素敵。軽食や飲み物を持参するのもおすすめです。
- 注意事項と禁止事項:
宮殿内の一部エリアでは撮影が禁止されている場合があります。案内表示に従い、ルールを守って楽しみましょう。有名な迷路で迷うのも楽しみの一つですが、時間に余裕がないときは注意が必要です。
- もしもの時の対処法:
予約した日に予定が変わった場合、チケットの規定を確認してください。公式サイトから購入したチケットは、条件によっては日時変更ができる場合があります。交通の遅延で遅れそうな時は、慌てずに宮殿のチケットオフィスに連絡してみることも有効です。多くの場合、柔軟に対応してもらえます。
- アクセス:
ロンドン中心部のウォータールー(Waterloo)駅からサウス・ウェスタン鉄道(South Western Railway)に乗り、約35分で「ハンプトン・コート(Hampton Court)」駅に到着。駅からはテムズ川に架かる橋を渡れば、宮殿が目前に広がります。
社交界の中心地、バース(Bath)を巡る優雅な一日
ロンドンから西方向へ約1時間半の場所に位置するバースは、古代ローマ時代から温泉保養地として名高い街です。『ブリジャートン家』の世界観を最も色濃く映し出している場所と言っても過言ではありません。ジョージアン様式の美しいクリーム色の建物が軒を連ね、街全体が世界遺産に登録されています。リージェンシー時代には、ロンドンの喧騒を離れて上流階級の人々が集まる洗練された社交の場として栄えました。ドラマの屋外シーンの多くは、このバースで撮影されています。
フェザリントン家の豪華な邸宅 – No.1 ロイヤル・クレセント(No. 1 Royal Crescent)
ブリジャートン家のライバルであり、華やかな衣装が印象的なフェザリントン家のロンドン邸宅の外観として登場するのが、バースの象徴的建築「ロイヤル・クレセント」の一角にある博物館、「No.1 ロイヤル・クレセント」です。三日月形に連なる30軒のタウンハウスが壮観で、その端に位置するNo.1は、18世紀後半の貴族の邸宅を当時の家具や調度品と共に忠実に再現しています。
一歩足を踏み入れると、まるでフェザリントン家の客間やダイニングルームに招かれたかのような感覚を味わえます。当時の生活様式はもちろん、使用人たちの働く舞台裏にも触れることができ、ドラマの世界に一層没入させてくれます。
旅を満喫するための実践ガイド:No.1 ロイヤル・クレセント編
- 訪問の流れ:
博物館の公式ウェブサイトで開館時間や料金を確認し、チケットを予約するのが基本です。見学は順路に沿って進み、各部屋には当時の生活について説明してくれるボランティアガイドが常駐していることも多く、気軽に質問することで理解を深められます。
- 服装とマナーについて:
特に厳格な服装規定はありませんが、歴史的建造物であり、床や家具も当時のまま保存されています。そのため、先の尖ったヒールの高い靴は控えるのが賢明です。また館内には狭い場所もあるため、大きな荷物は持ち込まず、静かに見学しましょう。
レディ・ダンベリーの気品あふれる館 – ホルバーン美術館(Holburne Museum)
社交界の要人であり、サイモン・バセットの後見人でもあるレディ・ダンベリー。彼女の鋭い観察力と洗練されたセンスを象徴するかのような邸宅の外観として使用されたのが「ホルバーン美術館」です。もともと18世紀にホテルとして建てられたこの建物は、シドニー・プレジャー・ガーデンズの入口に位置し、その優雅な佇まいはまさにレディ・ダンベリーの館にふさわしい風格を備えています。
現在では、18世紀の肖像画や装飾美術品を中心とした充実のコレクションを誇る美術館となっています。ドラマファンにとっては、建物の前に立ちレディ・ダンベリーの主催するパーティーへ招かれた気持ちで記念撮影をするのは欠かせない楽しみです。
旅をより充実させるための実践ガイド:ホルバーン美術館編
- 準備と楽しみ方:
ホルバーン美術館の常設展は、英国の多くの美術館と同様に無料で入場可能な場合があります(特別展は有料)。訪問前に公式サイトで最新情報をチェックしましょう。館内には近代的で明るいカフェも併設されており、美術鑑賞後の休憩に最適です。また、美術館の裏手には広大なシドニー・ガーデンズが広がり、リージェンシー時代の貴族たちが楽しんだであろう風景を散策できます。
伝説の社交場 – アッセンブリー・ルームズ(Assembly Rooms)
バースの社交界の中心地として、数多くの舞踏会やコンサートが開催された場所が「アッセンブリー・ルームズ」です。ドラマの中でも、レディ・ダンベリーが主催するシーズン初の舞踏会など重要なシーンの舞台として使用されました。中に入ると、煌めく巨大なシャンデリアが輝くボールルームや優雅なティールームが広がり、今にもワルツの旋律が響きそうな雰囲気に包まれています。
ここはジェーン・オースティンの小説にも登場する、まさしくリージェンシー時代社交を象徴する場所。ダフネとサイモンが踊った情景に思いを馳せると、感動もひとしおです。
旅を成功に導く実践ガイド:アッセンブリー・ルームズ編
- 公式情報の確認:
この施設はナショナル・トラストの管理下にあります。訪れる際は必ず公式サイトで開館日や時間を確認してください。現在もイベント会場として利用されており、一般公開されない日があるためです。なお、かつて併設されていたファッション博物館は移転により閉鎖されており、施設の今後の利用方法は変わる可能性があります。事前チェックは必須です。
- ナショナル・トラストの活用法:
もし英国内の他の歴史的建築を巡る予定があるなら、ナショナル・トラストの会員登録を検討する価値があります。短期旅行者向けにツーリングパスもあり、多くの施設を無料または割引料金で入場可能です。コストパフォーマンスを考えれば、とても賢い選択と言えるでしょう。
郊外のカントリーハウスへ – 公爵たちの壮麗な領地

ロンドンやバースの華やかな「トン」の世界から離れ、物語の舞台は広大な領地を誇る貴族たちのカントリーハウスへと移り変わります。英国の田園地帯に点在する壮麗な邸宅は、彼らの財力と権勢を象徴しています。ドラマに登場する公爵たちの邸宅を訪ねる旅は、まさにファンにとっての聖地巡礼のハイライトといえるでしょう。ただし、これらの場所は多くが都市から離れた場所にあり、アクセスにはある程度の計画が必要です。
ヘイスティングス公爵の故郷──クライヴデン城(Clyvedon Castle)の秘密
シーズン1の重要人物であるヘイスティングス公爵サイモン・バセットがダフネと新婚生活を送ったクライヴデン城は架空の設定ですが、その荘厳な姿は複数の実在するカントリーハウスを組み合わせて描かれています。
外観と敷地のモデル──ハワード城(Castle Howard)
クライヴデン城の壮麗な外観や広大な敷地の撮影に使われたのは、イングランド北部ヨークシャーにそびえる「ハワード城」です。名前は「城」ですが、実際には18世紀に建てられた雄大なカントリーハウスであり、300年以上の歴史を誇り、今もハワード一家の居住地となっています。
ドラマでサイモンとダフネが馬を乗り回した美しい庭園、印象的なアトラスの噴水、ギリシャ神殿を模した「テンプル・オブ・フォーウィンズ」など、敷地内の様々な場所が撮影ポイントとして使われています。その規模の壮大さは圧巻で、公爵の領地に相応しい堂々とした美しさを備えています。
##### ハワード城訪問のポイント
- アクセスのハードル:
ハワード城への訪問は計画が不可欠です。最寄りの大都市はヨークで、ヨーク駅からバスも出ていますが、便数が非常に限られているため、事前に時刻表をしっかり確認しましょう。もっとも自由度が高いのはレンタカーの利用ですが、英国の田舎道での運転に自信がない場合、ヨーク発の日帰りツアーへの参加も良い選択肢です。
- 事前準備と行動:
チケットは公式サイトで事前に購入すると割引が適用される場合があります。敷地が広大なため歩きやすい靴が必須です。庭園や邸宅、湖畔の散策路などをじっくり楽しむには、一日かけての訪問がおすすめ。敷地内にカフェがあるのでランチをとるか、ピクニックの準備をしていくと快適に過ごせます。
- トラブル対策:
天候不順や冬季の降雪で予告なく閉館になることもあります。訪問当日の朝には必ず公式サイトで開館状況を確認しましょう。また、公共交通機関利用時は帰りのバスの時間を念頭に置き、余裕を持った行動を心がけてください。
内部の撮影舞台──ウィルトン・ハウス(Wilton House)
クライヴデン城の豪華な内装やヘイスティングス公爵のロンドン邸宅の中の様子として頻繁に登場するのが、イングランド南西部ソールズベリー近郊の「ウィルトン・ハウス」です。450年以上にわたりペンブルック伯爵家が居を構えてきたこの館は、とりわけ華麗な内装で知られています。
ヴァン・ダイクの傑作絵画が飾られた「シングル・キューブ・ルーム」と「ダブル・キューブ・ルーム」はまさに芸術作品のよう。ドラマではサイモンが父親との葛藤を回想する場面や、社交の場面として何度も登場しました。その空間に立つと、自分が物語の世界に入り込んだような強烈な既視感を味わえることでしょう。
##### ウィルトン・ハウス訪問のポイント
- 公開時期の確認が必須:
ウィルトン・ハウスは現在も私邸のため、一般公開される期間が非常に限られています。通常、イースターの春から初秋にかけての限られた日にのみ開放されるため、訪問を計画する際は、まず公式サイトで当該年の公開スケジュールを必ず確認してください。無断で訪れても門が閉まっていてがっかりする可能性が高いです。
- 撮影禁止とマナー:
邸宅内、特にステート・ルームにおける写真撮影は美術品保護のため厳禁です。目に焼き付けることに意識を集中しましょう。大きな荷物は持ち込み不可なので、車に置くか入り口のクロークに預ける必要があります。
ブリジャートン家の本拠地──オーブリー・ホール(Aubrey Hall)
シーズン2の重要な舞台であるブリジャートン子爵家のカントリーハウス「オーブリー・ホール」。アンソニーとケイトの恋の物語が繰り広げられた緑豊かなこの場所の撮影が行われたのは、ロンドン近郊ハートフォードシャーにある「ロザム・パーク(Wrotham Park)」です。パラディオ様式の荘厳な邸宅は、ドラマで描かれた通りの優雅さと気品を備えています。
ロザム・パーク訪問の実情と代替案
- 訪問の現状:
残念ながらロザム・パークは私有地であり、プライベートイベントや映画撮影の貸出が主で、ハワード城やウィルトン・ハウスのような一般公開は行われていません。そのため、内部の見学や敷地内の散策は原則としてできません。
- 代替の楽しみ方:
がっかりするお気持ちは理解しますが、旅を計画する際は必ず代替案を用意しておくのが賢明です。オーブリー・ホールの雰囲気を味わいたいなら、ナショナル・トラストなどが管理する他の素晴らしいカントリーハウスの訪問をおすすめします。例えば、ウィルトシャーの「ストラウヘッド(Stourhead)」にある風景式庭園や、ウェスト・サセックスの「ペットワース・ハウス(Petworth House)」などは、英国田園地帯の魅力を十二分に感じさせてくれる場所です。特定のロケ地のみにこだわらず、「ブリジャートン家の世界観を感じる」という視点で訪問先を選べば、旅の楽しみは広がります。
聖地巡礼を120%楽しむための実践的アドバイス
ここまで個別のロケ地をご紹介してきましたが、最後に、これらの旅をより快適で充実したものにするための総合的なアドバイスをお伝えします。入念な準備こそが、一段上の旅を実現する鍵となるのです。
効率的な巡礼ルートの組み立て方
すべてのロケ地を一度の旅で回るのは、地理的な面でも時間的な面でも非常に難しいものです。旅行日程や興味に合わせて、テーマを絞り込んだルートを計画するのが賢明です。
- ロンドン&バース集中プラン(3〜4日):
ロンドンを拠点に、レンジャーズ・ハウスやハンプトン・コート宮殿を訪れ、その後日帰りでバースへ向かいます。鉄道を利用すれば、ロンドン・パディントン駅からバース・スパ駅まで約1時間半。バース市内のロケ地は徒歩で十分巡ることが可能です。
- カントリーハウス巡りプラン(5〜7日):
ロンドンから入国後、レンタカーを借りて南西部のウィルトン・ハウスへ向かい、その後コッツウォルズの魅力的な村々を楽しみながら北上し、ヨークシャーのハワード城を目指します。英国の田園風景をゆったりと堪能したい方におすすめのルートです。
チケット予約と会員制度の賢い活用法
多くの施設では、オンラインでの事前予約が推奨されています。これは時間節約だけでなく、費用の面でも効果的です。さらに、英国の歴史的建造物を巡る際に役立つのが、各種会員制度の利用です。
- ナショナル・トラストとイングリッシュ・ヘリテッジ:
この二つの団体は、多くの城や邸宅、庭園を管理しています。複数の施設を訪れる場合は、短期旅行者向けのパス(例:National Trust Touring Pass、English Heritage Overseas Visitor Pass)の購入を検討すると、個別にチケットを買うより割安になることが多いです。訪問予定の施設がどちらの団体の管理下にあるかを事前にリストアップし、費用シミュレーションをしておくと安心です。
旅の準備と持ち物について
英国旅行では、準備が快適な旅のポイントとなります。
- 服装:
「一日の中に四季がある」と言われる英国の気候に対応するため、重ね着が基本です。薄手のニットや防水性のあるアウターは必携。カントリーハウスの庭園や公園を歩くために、防水機能付きのウォーキングシューズを準備すると安心です。アフタヌーンティーなどを予約している場合は、男性なら襟付きシャツ、女性ならワンピースなど、少しおしゃれな服装を一着用意すると、雰囲気もより一層楽しめます。
- 持ち物:
スマートフォンやカメラの充電切れを防ぐため、モバイルバッテリーは必須です。英国のコンセントはBFタイプなので、変換プラグも忘れずに持参しましょう。各種予約確認書は、スマホのスクリーンショットやPDFで保存するほか、紙に印刷して予備を用意しておくと、電波が届かない場所やバッテリー切れの際も安心です。
万が一のトラブルに備えるポイント
どんなに準備しても予期しないトラブルは起こりますが、対処法を知っていれば慌てずに済みます。
- 交通機関の遅延や運休:
英国の鉄道はときに遅延やストライキが発生します。ナショナル・レール(National Rail)の公式アプリをインストールしておくと、リアルタイムの運行情報を確認でき、代替ルートも探せます。駅のスタッフは親切なので、不安な時は遠慮なく相談しましょう。
- 予約のキャンセルや変更:
急な体調不良などでキャンセルが必要になった場合は、まず各施設の公式サイトでキャンセルポリシーを確認してください。返金不可の場合でも事情を説明すれば、日程の振替など柔軟に対応してもらえることがあります。連絡はできるだけ早めに行うのが大切です。
- 海外旅行保険:
病気や怪我、盗難に備え、海外旅行保険には必ず加入しましょう。緊急連絡先や保険証の番号はすぐに取り出せる場所に控えておくことをおすすめします。
『ブリジャートン家』の聖地巡りは、ドラマのロケ地を訪れるだけではなく、英国の豊かな歴史や文化、そして息を呑むような美しい風景に触れる、知的な旅でもあります。赤レンガの邸宅の前に立ち、広大な庭園を吹き抜ける風を感じ、華やかなボールルームに足を踏み入れたとき、あなたはきっと画面の向こうの夢の世界が、まさにこの現実の場所に息づいていることを実感するでしょう。
さあ、あなただけの社交界デビューの準備は整いましたか。入念な計画と少しの冒険心を携えて、時を超えた優雅な旅へと一歩踏み出してみてください。その先には、きっと忘れがたい感動が待っています。

