MENU

2025年10月、日本の訪日客数が過去最高を記録 – 回復から成長フェーズへ

日本政府観光局(JNTO)が発表した2025年10月の訪日外客数統計によると、同月の訪日客数が285万人に達し、単月として過去最高を記録したことが明らかになりました。これは、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年同月(約249万人)を14%以上上回る数値であり、日本の観光業が完全な回復期を終え、新たな成長フェーズに入ったことを力強く示しています。

目次

記録更新を支えた詳細データ

2025年10月の訪日客数を国・地域別に見ると、韓国、台湾、香港といった東アジア市場が引き続き全体の数字を牽引しています。特に、個人旅行客を中心に安定した人気を誇っています。

注目すべきは、東南アジアや欧米豪市場からの伸びです。タイ、シンガポール、ベトナムからの観光客は2019年同月比で30%以上の増加を見せ、米国、カナダ、ドイツなどの欧米諸国からの観光客も20%を超える高い伸び率を記録しました。

また、回復が緩やかであった中国市場も、団体旅行の本格的な再開と個人旅行の回復が進み、2019年同月の8割程度の水準まで回復しました。この回復が、今回の過去最高記録の達成に大きく寄与した形です。

なぜ今、過去最高を更新したのか?

今回の記録的な数値には、複数の要因が複合的に絡み合っています。

継続する円安の追い風

最大の要因は、歴史的な円安水準が続いていることです。外国人観光客にとって、日本の宿泊、食事、ショッピング、交通費などが自国通貨建てで非常に割安になっており、旅行先としての魅力を格段に高めています。特に購買意欲の高い富裕層や長期滞在者にとって、日本は魅力的なデスティネーションとなっています。

国際線の完全回復と地方路線の拡充

コロナ禍で大幅に減少した国際航空便は、主要な国際空港では2024年までにほぼ回復していましたが、2025年に入り、地方空港と海外を結ぶ直行便やチャーター便の再開・新規就航が相次ぎました。これにより、これまでアクセスが不便だった地方への送客がスムーズになり、観光客の選択肢が広がったことも大きな要因です。

多様な観光コンテンツと戦略的プロモーション

2025年に開催されている大阪・関西万博への関心もさることながら、日本各地で造成された新たな観光コンテンツが人気を博しています。地方の伝統文化に触れる体験型ツアーや、豊かな自然を活かしたアドベンチャーツーリズム、アニメやゲームの舞台を巡るコンテンツツーリズムなどが、リピーターを含む幅広い層の関心を集めています。日本政府観光局(JNTO)や各自治体による、ターゲット市場に合わせた効果的なデジタルプロモーションも功を奏しています。

今後の展望と日本が直面する課題

この好調な流れは今後も続くと予想され、2025年の年間訪日客数は、2019年に記録した過去最高の3,188万人を上回り、3,400万人規模に達する可能性も出てきました。これは日本経済、特に地方経済にとって大きな朗報です。

一方で、急激な観光客の増加は新たな課題も浮き彫りにしています。

オーバーツーリズム問題の再燃

京都、鎌倉、富士山周辺などの人気観光地では、再び混雑による交通麻痺やゴミ問題、騒音などが深刻化しつつあります。地域住民の生活への影響も懸念されており、入域料の導入や予約システムの活用など、実効性のある対策が急務となっています。

深刻化する人手不足

宿泊、飲食、交通といった観光産業の現場では、深刻な人手不足がサービスの質の低下を招く恐れがあります。多言語対応ができる人材の不足も課題であり、持続的な成長のためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や働き手の待遇改善が不可欠です。

持続可能な観光への転換

今後の日本の観光業には、単に数を追うだけでなく、「質」への転換が求められます。観光客を大都市圏だけでなく地方へ分散させ、高付加価値な体験を提供することで消費単価を向上させる「持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)」の実現が、次の成長ステージへの鍵となるでしょう。

今回の記録更新は、日本の観光コンテンツが世界で高く評価されている証です。山積する課題と向き合いながら、いかにしてこの成長を持続させていくか、日本の観光業は今、重要な岐路に立たされています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

目次