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【2025年最新版】サウジアラビアの聖地メディナへ。預言者のモスク訪問ガイドと知られざるトリビア

柔らかな光に包まれた街、メディナ。ここはイスラム教の預言者ムハンマドが愛し、その生涯の後半を過ごした約束の地。世界中のムスリム(イスラム教徒)が憧れ、祈りを捧げるために訪れる、メッカに次ぐ第二の聖地です。かつては、その神聖さゆえに、ムスリム以外の訪問者には固く扉を閉ざしていました。しかし、時代の変化とともにサウジアラビアが観光の門戸を開いた今、私たちもこの歴史と信仰が息づく街の空気に触れることができるようになったのです。荘厳なモスク、熱気あふれる市場、そして何よりも人々の穏やかな祈りの姿。それは、ニュースだけでは決して知ることのできない、イスラム文化の奥深い精神性を肌で感じる貴重な体験となるでしょう。この記事では、世界30か国を旅してきた私が、預言者の街メディナの魅力と、実際に訪れるための具体的なノウハウを、心を込めてご案内します。さあ、未知なる聖地への旅支度、一緒に始めませんか?

もし、異文化が息づく人々の暮らしに触れる旅に惹かれるなら、奇岩に暮らすイランの洞窟村を訪れるのも一興です。

目次

メディナとは?預言者ムハンマドが愛した光の街

メディナの街を理解するためには、少しだけ歴史の扉を開く必要があります。この街がイスラム教徒にとってなぜこれほどまでに重要視されるのか、その背景を知ることで、旅は一層深みを増すことでしょう。

歴史の転換点「ヒジュラ」

現在「メディナ」として知られるこの街は、かつて「ヤスリブ」と呼ばれる、普通のオアシス都市に過ぎませんでした。その運命が大きく変わったのは、西暦622年のことです。メッカで新たな宗教「イスラム」を説いていた預言者ムハンマドは、激しい迫害にさらされていました。危険を感じたムハンマドとその信者たちは故郷メッカを後にし、このヤスリブへと移る決断を下しました。

この歴史的な移住は「ヒジュラ(聖遷)」と呼ばれ、イスラム史における重要な転機となります。単なる移動ではなく、迫害から逃れ、理想の共同体を築きあげるための新たな出発を意味しました。ヒジュラが行われた年がイスラム暦の元年として定められていることからも、その意義の大きさが伝わってきます。

ヤスリブの住民たちはムハンマドを温かく迎え入れ、彼はここを拠点にイスラムの教えを広め、共同体を築き上げていきます。そして、街は預言者が住む土地として「マディーナ・アン=ナビー(預言者の街)」、また単に「メディナ」と呼ばれるようになりました。

イスラム共同体「ウンマ」の誕生

メディナに移住したムハンマドは、画期的なことを成し遂げました。それは、血縁や部族の枠を超え、信仰によって結びつく共同体「ウンマ」を創設したのです。当時のアラビア半島は、複数の部族が互いに争い、分裂と対立が続いていました。しかし、メディナではメッカからの移住者(ムハージルーン)と地元の支援者(アンサール)、さらには古くから暮らしていたユダヤ教徒の部族も含め、一つの憲法(メディナ憲章)のもとで共存が実現されました。

この仕組みは、宗教的寛容と社会的団結を重視するイスラム共同体の原点となりました。メディナは単なる宗教の中心地以上に、初のイスラム国家の首都として政治、経済、社会のあらゆる基盤を築いたのです。街を歩くと、1400年以上前にここで理想の社会を目指した人々の熱意や息遣いが今も感じられるように思えます。

なぜ「光の街」と呼ばれるのか?

メディナの正式名称は「アル=マディーナ・アル=ムナッワラ」で、「光り輝く街」を意味します。この美しい呼び名は単に街の明かりを指すのではなく、預言者ムハンマドの存在そのものが、無知と混沌の闇を照らす「光」としての深い精神性を表しています。彼の教えと導きを受けて、街は平和と知恵の輝きで満たされました。

その「光」は今もなお街の中心で輝き続けています。夜になると、預言者のモスクがライトアップされ、何十万もの人々が静かに祈りを捧げる光景はまさに幻想的です。この光は訪れる人の心を優しく包み込み、メディナを訪れる際の大きな魅力のひとつとなっています。

メディナ観光のハイライト:預言者のモスク (マスジド・アン=ナバウィー)

メディナを訪れる人々が最も目指す場所、それが「預言者のモスク(マスジド・アン=ナバウィー)」です。このモスクは、預言者ムハンマド自身がメディナへ移住後すぐに造り始めた、イスラム教で二番目に聖なる場所として知られています。彼の住居もここにあり、彼が眠る霊廟もモスクの内部に設けられています。

世界でも屈指の規模を誇るモスクの壮麗さ

初めて預言者のモスクを目にした際、その圧倒的なスケールに、誰もが息をのむことでしょう。白大理石で敷き詰められた広大な中庭が果てしなく続き、空高くそびえ立つ数多くのミナレット(塔)、そして丁寧に施されたカリグラフィー(アラビア書道)が壁面を飾っています。これら全てが訪れる人々に深い感動を与えます。

現在のモスクは、何度もの拡張工事を経て、一度に100万人以上の礼拝者を収容できる巨大な規模を実現しました。しかしその巨大さとは裏腹に、威圧感はなく、むしろ訪問者を優しく包み込むような静謐で神聖な空気が漂っています。

ぜひ注目していただきたいのが、中庭に備えられた巨大な開閉式の傘です。これは、強い日差しから礼拝者を守るための可動式の日よけで、その開閉する様はまるで大きな花が開くような壮観です。ちなみに、この傘の骨格と開閉機構には日本企業の技術協力が関わっているという興味深いエピソードもあります。異国の聖地で日本の技術が活かされているのを知ると、なんとも誇らしい気持ちになりますね。大理石のひんやりとした床に座りながら、この美しい傘を眺めるだけでも、心が浄化されるようなひとときを過ごせるでしょう。

預言者が眠る「緑のドーム」

モスクの中でも特に神聖視され、すぐに目を引くのが鮮やかな緑色のドームです。この「緑のドーム」の真下には、預言者ムハンマドの墓所があります。彼のそばには、イスラム共同体の初代カリフであるアブー・バクルと第2代カリフのウマルの墓も一緒に埋葬されています。

世界中のムスリムがメッカのカアバに向かって祈る一方で、メディナを訪れた際にはここを訪ね、預言者に平安の挨拶(サラーム)を捧げるのが慣わしとなっています。そのため、緑のドーム周辺はいつも多くの人々で賑わっています。

緑色のドームとなった理由については、古くは様々な色に塗られていましたが、19世紀のオスマン帝国時代に緑色に改められて以来、預言者の象徴的な色として定着したと伝えられています。イスラム教において緑色は、楽園や生命を象徴する神聖な色とされています。

このエリアは非常に神聖視されているため、訪問に当たっては特別なルールが設けられています。特に女性の訪問可能な時間帯は制限が厳しい場合が多く、事前に宿泊先のスタッフなどに確認しておくと安心です。礼拝の妨げにならぬよう、静かに敬意をもって訪れることが大切です。

天国の庭「リヤド・アル=ジャンナ」

預言者のモスクの内部には「リヤド・アル=ジャンナ(天国の庭)」と呼ばれる特別な一角が存在します。ここは預言者の生前の居住地(現在の霊廟)と説教壇(ミンバル)の間に位置しており、預言者ムハンマド自身が「私の家と説教壇の間は天国の庭の一つである」と語った場所です。この地で行う祈りには非常に大きな功徳があると信じられています。

この区域は、他の部分の赤い絨毯とは異なり、緑色の豪華な絨毯が敷かれているため、ひと目で判別できます。しかし、その神聖さゆえに訪問希望者が絶えず訪れるため、入場には完全予約制が採られています。

【訪問者向け】リヤド・アル=ジャンナ訪問予約の手順

この「天国の庭」を訪れるには、サウジアラビアの巡礼省が管理する公式アプリ「Nusuk(ヌスク)」を利用し、事前予約を行う必要があります。

  • ステップ1:アプリのインストール

スマートフォンに「Nusuk」アプリをダウンロードし、アカウント登録を行います。パスポートやビザの情報が求められる場合があるため、事前に準備しておくとスムーズです。

  • ステップ2:予約申請

アプリ内の「Permits」から、「Praying in the Noble Rawdah – Men」もしくは「Praying in the Noble Rawdah – Women」を選択します。ここでいう「Rawdah」がリヤド・アル=ジャンナを指します。

  • ステップ3:日時選択

カレンダーから空席のある日時を選びます。予約枠は非常に競争率が高いため、特にサウジアラビア時間の深夜0時に新たな枠が解放されることが多いので、そのタイミングを狙うのが効果的です。旅行計画が決まったら、早めにアプリをこまめにチェックする習慣をつけましょう。

  • ステップ4:予約完了と当日の流れ

予約が完了すると、アプリ内にQRコード付きの許可証が表示されます。指定された日時にモスク内の指定ゲートに向かい、係員にQRコードを提示して入場します。念のためスクリーンショットを保存しておくと、通信環境が悪い場所でも安心です。

混雑は避けられませんが、緑の絨毯の上に立ち、静かに祈るひとときは、メディナ訪問の最も感動的な経験の一つとなるでしょう。計画的に準備を進め、忍耐強く予約に挑んでみてください。

実際にメディナを訪れるための完全準備ガイド

聖地メディナへの旅は、一般的な観光とは異なる特別な準備が求められます。ここでは、ビザ取得から服装やマナーに至るまで、安心して訪れるための重要な情報を詳しくまとめました。

サウジアラビア入国とビザ申請

以前は非常に取得が難しかったサウジアラビアのビザですが、2019年から観光ビザの発給が始まり、日本を含む多くの国の旅行者がオンラインで手軽に申請できるようになりました。

【実際に申請できる】観光e-Visaの取得方法

最もポピュラーなのが、オンラインで申請可能な「e-Visa(電子ビザ)」です。

  • 申請サイト: サウジアラビア公式観光ビザ申請サイトから申請手続きを行いましょう。公式サイトはブックマークしておくのがおすすめです。
  • 用意するもの:
  • 有効期限が6ヶ月以上残っているパスポート
  • 白背景のパスポートサイズ顔写真データ
  • クレジットカード(申請料の支払いに使用)
  • 宿泊先の住所(ホテル予約確認書など)
  • 申請の手順:

指示に従い個人情報、パスポート情報、滞在先情報などを入力し、顔写真をアップロードします。最後にクレジットカードで申請料を支払えば申請完了です。

  • 申請料金と所要時間:

申請料は約535サウジ・リヤル(2024年時点で約22,000円)で、サウジ滞在中の医療保険料も含まれています。通常、申請から数分から数時間以内に登録したメールアドレスへe-Visaが届きます。出発の1週間前までに手続きを済ませると安心です。取得後は印刷し、パスポートと一緒に必ず保管してください。

メディナへのアクセス方法

メディナへの移動手段は、空路か陸路が一般的です。

  • 空路:

メディナの玄関口は「プリンス・ムハンマド・ビン・アブドゥルアズィーズ国際空港(MED)」です。日本からの直行便はなく、ドバイ、ドーハ、イスタンブールなど主要ハブ空港を経由するケースが多いです。空港からはタクシーか配車アプリ(主にUberやCareem)で約30分、料金は交渉制の場合もあるため事前に確認しましょう。

  • ハラマイン高速鉄道:

ジェッダやメッカなど他都市と巡る場合は、「ハラマイン高速鉄道」の利用がおすすめです。日本の新幹線技術を参考に開発されたこの鉄道は、聖地メッカとメディナを約2時間半で結びます。

【実際に予約できる】ハラマイン高速鉄道の利用方法

チケットは駅窓口で購入可能ですが、混雑することも多いためオンライン予約が便利です。

出発地・目的地・日時・人数を選び、乗客情報を入力します。座席はエコノミークラスとビジネスクラスがあり、ビジネスクラスは広めのシートで軽食サービス付きです。エコノミーでも十分快適に過ごせます。クレジットカードで支払い後、Eチケットが発行されるので、当日はQRコードを改札で提示して乗車します。

メディナ駅は預言者のモスクから少し距離がありますが、駅からはタクシーやシャトルバスが頻繁に運行しています。

聖地訪問における服装規定と持ち物のポイント

メディナは聖なる場所であり、保守的な文化が根付いています。敬意を示し、周囲に不快感を与えない服装が重要です。

服装について

  • 女性:

街中やとくにモスク内では、「アバヤ」と「ヒジャブ」の着用が事実上の必須条件です。アバヤは女性の身体のラインを隠す黒いローブで、ヒジャブは髪を覆うスカーフです。近年、サウジ国内全体で服装規定は緩和傾向にありますが、メディナとメッカの聖地では依然として厳格です。日本から持参しても良いですし、現地の空港やショッピングモールで手頃なものが購入可能で、土産にも適しています。

  • 男性:

男性は長ズボンの着用が必須で、短パンや膝が見える服装は避けてください。上半身は半袖のTシャツやポロシャツで問題ありませんが、タンクトップの着用は適切ではありません。モスク内では、派手なデザインや強いメッセージのプリントが入った服は控えましょう。

持ち物リスト

基本の旅行用品に加え、メディナならではの持ち物を挙げます。

  • 必携品:
  • パスポート、印刷済みのe-Visa、航空券の控え
  • 現金(サウジ・リヤル)とクレジットカード
  • 海外旅行保険証
  • あると便利なもの:
  • 小型の靴袋: モスクでは靴を脱ぐため、脱いだ靴を入れて持ち運ぶ布製の小袋があると便利です。ビニール袋でも代用できます。
  • モバイルバッテリー: 地図や翻訳アプリを頻繁に使用するため、スマホの充電切れ防止に必須です。
  • 変換プラグ: サウジアラビアのコンセントはBFタイプが一般的です。
  • ウェットティッシュや除菌ジェル: 食事前や手を清潔に保ちたい時に役立ちます。
  • 乾燥対策用品: 砂漠地域の乾燥対策としてリップクリームや保湿クリーム、のど飴があると快適です。
  • サングラス・日焼け止め: 強烈な日差しから目と肌を守りましょう。
  • 脱ぎ履きしやすいサンダル: モスクで何度も靴を脱ぐため、簡単に着脱できるサンダルが重宝します。

旅先で心得ておくべき禁止事項とマナー

快適で敬意ある滞在のために、以下のルールを守りましょう。

  • 預言者のモスク内での注意点:
  • 写真撮影: 基本的に許可されていますが、礼拝者を撮影するのは絶対に避けてください。フラッシュの使用も控え、大型撮影機材(三脚や自撮り棒など)は持ち込み禁止です。
  • 持ち込み禁止物: 食べ物や飲み物の持ち込みは禁止。ただし、モスク内や周辺にある冷却装置から無料で飲める聖水「ザムザムの水」は例外です。大きなバッグやスーツケースも持ち込めないため、ホテルに預けましょう。
  • 男女の礼拝エリア: 男性用・女性用のエリアが明確に分けられていることが多いので、掲示や係員の指示に従いましょう。
  • 街中でのマナー:
  • 礼拝の時間: イスラム教では1日に5回、決まった時間に礼拝が行われます。その際、街に「アザーン(礼拝呼びかけ)」が流れ、多くの店舗が15~30分程度営業を中断します。この時間帯は買い物ができないため、計画に留意してください。
  • ラマダン期間: イスラム暦9月の断食月であるラマダン中は、ムスリムは日の出から日没まで飲食を断ちます。旅行者も日中の公の場での飲食や喫煙は厳禁で、レストランの営業も制限されるため注意が必要です。
  • 左手の使い方: イスラム文化では左手は不浄とされているため、食事や物の受け渡し、握手は右手で行いましょう。

これらのルールは現地の文化への敬意を示すものです。慣れないこともあるかもしれませんが、「郷に入っては郷に従え」の心構えで、当地の習慣を尊重しながら滞在を楽しんでください。

メディナの歴史と文化に触れる:モスク以外の見どころ

メディナの魅力は、預言者のモスクだけにとどまりません。イスラムの歴史の中で重要な役割を果たした場所が、市内のあちこちに点在しています。時間があれば、ぜひ足を伸ばして訪れてみてください。

イスラム教最初のモスク「クバー・モスク」

預言者のモスクの南へ数キロ進むと、真っ白な外観が美しい「クバー・モスク」が現れます。ここは預言者ムハンマドがメディナ到着後、最初に建てたモスクであり、イスラム教史上最初のモスクとして知られています。規模は小さいですが、その歴史的重要性は計り知れません。

伝えられるところによると、ムハンマドは「自宅で身を清め、クバー・モスクで礼拝する者にはウムラ(小巡礼)と同等の報奨が与えられる」と語ったとされています。このため、特に土曜日には多くの巡礼者がこのモスクを訪れます。預言者のモスクの賑わいから少し離れ、静けさの中で歴史を感じるにはぴったりの場所です。預言者のモスク周辺からタクシーで約15分の距離にあります。

二つのキブラを持つモスク「マスジド・アル=キブラタイン」

イスラム教徒は礼拝の際、メッカのカアバ神殿の方向(キブラ)を向きます。しかし、イスラム教の初期にはキブラがエルサレムの方向でした。「マスジド・アル=キブラタイン」は、そのキブラがエルサレムからメッカに変更されたちょうどその場として知られるモスクです。

伝承によれば、預言者ムハンマドがこの場所で礼拝中、神からキブラ変更の啓示を受けました。礼拝の最中にムハンマドはくるりと向きを変え、メッカの方角を向いたと伝えられています。この出来事を記念して、このモスクは「二つのキブラを持つモスク」と呼ばれるようになりました。内部にはかつてのキブラ(エルサレム方向)と現在のキブラ(メッカ方向)を示す二つのミフラーブ(礼拝方向を示すくぼみ)が設けられており、イスラム史の重要な瞬間を今に伝えています。

ウフドの戦いの舞台「ウフド山」

メディナ北部に位置する赤茶色の岩肌が印象的な「ウフド山」は、西暦625年にメディナのイスラム共同体とメッカのクライシュ族が戦った「ウフドの戦い」の古戦場です。この戦いでは、イスラム軍が苦戦を強いられ、預言者の叔父ハムザをはじめ多くの勇敢な教友たちが命を落としました。

山のふもとには殉教者たちが眠る墓地があり、多くのムスリムが祈りを捧げに訪れます。近くの小高い丘に登れば、かつての戦場を見渡すことも可能です。教科書で学んだ歴史の出来事が現実の風景として目の前に広がる様は、非常に感慨深いものがあります。この場所は観光スポットというよりは、歴史を学び犠牲者に敬意を表す場として、静かで厳かな心持ちで訪れたい場所です。

メディナの日常を垣間見る「旧市街と市場(スーク)」

預言者のモスク周辺には、迷路のように入り組んだ市場(スーク)が広がっており、地元の人々や巡礼者たちで常に賑わっています。ここではメディナならではのお土産を探すことができます。

【読者が実際に楽しめる】メディナでのお土産探し

  • デーツ(ナツメヤシの実): メディナは最高級のデーツの産地として知られています。特に「アジュワ」と呼ばれる黒く丸い品種は、預言者も好んだとされる特別なデーツで、お土産に最適です。市場には数多くの種類のデーツが並び、試食しながらお気に入りを探す楽しみもあります。
  • 香水(アトル): イスラム文化で香りは非常に重要視されており、市場にはアルコールを含まないオイルベースの香水「アトル」を扱う店が多くあります。ウード(沈香)、ムスク、ローズなどのエキゾチックで奥深い香りの中から、自分だけの一本を見つけてみてはいかがでしょうか。
  • 礼拝用具: 礼拝用の絨毯や数珠(タスビーフ)など、美しいデザインが施された宗教的用品も豊富に揃っています。イスラム芸術の結晶ともいえる品々は、見ているだけでも楽しめるでしょう。

市場では値段交渉もまた楽しみのひとつ。まずは提示された価格の半額程度から交渉を始めるのがコツですが、無理な値引きは避け、お互いに気持ちよく取引できる価格を探りましょう。こうしたやり取り自体が旅の醍醐味と言えます。

メディナ滞在を快適にするためのプラクティカル情報

最後に、滞在をより快適かつスムーズに過ごすために、役立つ実用情報をお伝えします。

通貨と支払い方法

サウジアラビアの通貨は「サウジ・リヤル(SAR)」で、2024年現在、1リヤルはおよそ42円に相当します。ホテルや大型ショッピングモール、レストランなどではクレジットカード(主にVisaやMastercard)が広く利用可能です。一方で、市場(スーク)での買い物やタクシーの利用時には現金が必要となるケースがまだ多く見受けられます。空港や市内の両替所で、適度な日本円をリヤルに両替しておくと安心して行動できます。

通信環境:SIMカードとWi-Fi

現代の旅行に欠かせないインターネット接続ですが、空港到着後はまずSIMカードの購入をおすすめします。到着ロビーには「stc」「Mobily」「Zain」といった主要キャリアのカウンターがあり、パスポートの提示だけで旅行者用プリペイドSIMを簡単に入手できます。通信料金も比較的リーズナブルです。多くのホテルやカフェでは無料Wi-Fiが利用可能ですが、外出先で地図や翻訳アプリを活用するためにも、自分用のSIMカードを用意すると利便性が格段に向上します。

食文化とおすすめグルメ

メディナでは、伝統的なアラビア料理を心ゆくまで楽しめます。鶏肉や羊肉をスパイスとともに炊き込んだご飯料理の「カブサ」や「マンディ」は特におすすめの代表的なメニューです。また、忘れてはならないのが「ザムザムの水」。聖なる水として預言者のモスク周辺の給水所から自由に飲むことができ、巡礼者たちはこの水に特別な力が宿ると信じて、空のボトルに汲んで帰国するほどです。メディナ訪問の際は、ぜひこの神聖な水で喉を潤し、その恵みを感じてみてください。

トラブル発生時の対処法

慣れない土地で何かトラブルが起きる可能性を考え、事前に対処法を把握しておくことが大切です。

  • 体調不良の場合: まずは宿泊先のフロントに相談しましょう。近隣の病院や薬局を教えてくれます。軽い症状であれば薬局で適切な薬を購入可能です。必ず海外旅行保険に加入し、保険会社の緊急連絡先を事前に控えておくことをおすすめします。
  • 盗難・紛失: パスポートや貴重品を失くした場合は、速やかに最寄りの警察署に行き、紛失・盗難証明書を発行してもらいましょう。パスポート紛失時は、その証明書を持参してリヤドの在サウジアラビア日本国大使館へ連絡し、再発行手続きの指示を受けてください。
  • フライトや鉄道の遅延・キャンセル: 天候不良や機材トラブルなどによる交通機関の乱れに遭遇したら、焦らずに各航空会社や鉄道会社の窓口、あるいは公式ウェブサイトで最新情報を確認しましょう。代替便や払い戻しの対応は各社で異なります。Eチケットや予約確認書を手元に準備し、冷静に対応することが重要です。

聖なる光が照らし出す、心の旅路

メディナへの旅は、単に美しい建築物を鑑賞したり、珍しい文化に触れたりする観光にとどまりません。それは、1400年以上にわたって培われてきた信仰の歴史と、今なお世界中の人々の心を惹きつける精神的なエネルギーを、全身で感じ取る特別な体験なのです。

預言者のモスクに響き渡るアザーンの声、静かに祈りを捧げる信者たちの敬虔な姿、市場の喧騒とそこにあふれる人々の笑顔。それら一つひとつが、私たちの日常とは異なる価値観や時間の流れの存在を教えてくれます。白と緑、そして金色で彩られた壮麗なモスクの広場で、ひんやりとした大理石の上に腰を下ろし空を見上げると、自分がいかに小さな存在であるか、同時にこの世界がどれほど広大で多様であるかを改めて実感させられるのです。

この街は、訪れる人々に静かに問いかけてきます。信じることとは何か、平和とは何か、そして共同体とは何か。その答えはすぐに見つかるものではないかもしれません。しかし、メディナの「光」に照らされた記憶は、必ずやあなたの心に深く刻まれ、これから歩む人生の道を照らし続ける、ささやかでありながら確かな灯火となるでしょう。さあ、次はあなた自身がこの聖なる光を目の当たりにする番です。

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この記事を書いたトラベルライター

旅行代理店で数千人の旅をお手伝いしてきました!今はライターとして、初めての海外に挑戦する方に向けたわかりやすい旅ガイドを発信しています。

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