微笑みの国、タイ。美味しいグルメに心癒されるスパ、きらびやかな寺院の数々。何度訪れても新しい発見がある、魅力あふれる国ですよね。世界中を旅してきた私にとっても、タイは特別な場所の一つです。
しかし、そんな楽しいタイ旅行で多くの旅行者が頭を悩ませるのが「移動手段」。トゥクトゥクに乗れば、風を感じて観光気分は盛り上がりますが、料金交渉が必須。メータータクシーは捕まえても乗車拒否されたり、メーターを使わずに法外な料金を請求されたり…なんていう苦い経験、ありませんか?言葉の壁もあって、せっかくの旅行気分が台無しになってしまうことも。
そんなタイの交通事情を一変させ、旅行者のストレスを劇的に減らしてくれる魔法のようなアプリがあります。それが、今回ご紹介する「Grab(グラブ)」です。
Grabは、東南アジアを中心に展開する配車サービスアプリ。日本でいうUberやGOのようなもの、とイメージしていただければ分かりやすいかもしれません。しかし、そのサービスは単なる配車にとどまらず、フードデリバリーから買い物代行まで、私たちの旅をあらゆる面でサポートしてくれる「スーパーアプリ」なんです。
この記事では、これからタイへ旅立つあなたが、現地で何の不安もなくGrabを使いこなせるように、日本での準備段階から、現地での具体的な使い方、さらには万が一のトラブル対処法まで、私の経験を交えながら徹底的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたはもうGrabマスター。タイの街を自由自在に、スマートに移動できるようになっているはずです。
まずは、旅の拠点となることが多いバンコクの位置を地図で確認してみましょう。この広大な都市を、Grabがいかに快適なものにしてくれるか、想像しながら読み進めてみてください。
そもそもGrabってどんなサービス?東南アジアを席巻するスーパーアプリの正体
タイ旅行の必須アプリとして知られるGrabですが、運営会社やその背景について詳しくご存知でしょうか?成り立ちを理解することで、サービスの信頼性や利便性についてより深く知ることができます。
Grabの誕生と成長の歩み
Grabの歴史は2012年、マレーシアで始まりました。ハーバード・ビジネス・スクールの同窓生であるアンソニー・タンとタン・ホーイリンが、クアラルンプールにおけるタクシー業界の安全性や信用面の課題を解決しようと立ち上げた「MyTeksi」がその前身です。初めは既存のタクシーと乗客をつなぐシンプルなマッチングサービスにすぎませんでした。
しかし彼らの視野はマレーシア国内に留まらず、すぐに東南アジア全域に広がりました。2013年にはフィリピン、シンガポール、タイへと進出し、社名も現在の「Grab」に変更。自家用車を利用した配車サービス「GrabCar」を開始しました。
ここからGrabの快進撃が始まります。世界的に勢力を拡大していたUberと東南アジア市場で激しい競争を繰り広げましたが、Grabは各国の文化や交通環境に合わせたローカライズ戦略で確実にユーザーの支持を獲得していきました。たとえば、バンコクで人気のバイクタクシーを呼べる「GrabBike (Win)」や、チェンマイのソンテウをアプリで利用できる「GrabRodDaeng」など、地域に根差したサービス展開はその好例です。
そして2018年、GrabはついにUberの東南アジア事業を買収し、東南アジア最大の配車プラットフォームとしての地位を不動のものとしました。現在では配車サービス(Transport)を軸に、フードデリバリー「GrabFood」、買い物代行「GrabMart」、即時配送「GrabExpress」、さらには金融サービス「GrabFin」まで手がけ、生活に欠かせない「スーパーアプリ」へと進化を遂げています。Grab公式サイト
なぜタイでGrabが必須アプリとされるのか?
では、なぜ特にタイでGrabが旅行者にとって「必須」と言われるのでしょうか?そこには、タイ独特の交通事情に根ざした明確な理由があります。
- 料金が明確でぼったくりの心配なし
これが最も大きなメリットです。Grabでは、乗車前に出発地と目的地を入力すると、その時点で料金が確定して表示されます。渋滞やドライバーの経路ミスがあっても、原則として表示された金額を超えて請求されることはありません(一部の高速道路料金など例外あり)。料金交渉やメーターを使わないタクシーでのトラブルから解放されるのです。
- 言葉の壁を感じさせない操作性
目的地をドライバーに口頭で伝える必要がありません。地図上にピンを立てるか、住所や施設名を入力すれば正確な位置情報が送信されます。タイ語や英語が不得意でも問題なく使えます。さらに、定型文が用意されたチャット機能を利用すれば、「今向かっています」や「どちらにいますか?」といった簡単なやり取りもワンタップで可能です。
- 用途に応じて選べる多彩な車種
一人でさっと移動したいときに便利なバイクタクシーから、友人や家族と一緒の移動に適したセダン、大人数や大きな荷物がある場合に役立つミニバンまで、ニーズに合わせて選択できます。ちょっと贅沢をしたい時には高級車の「GrabCar Premium」も利用可能。観光名物のトゥクトゥクもアプリで呼べるのは驚きです。
- キャッシュレス決済で手間なくスムーズに
クレジットカードを事前登録すれば支払いはすべてアプリ内で完了します。降車時に現金を用意したり、お釣りの心配をしたりする必要はありません。感謝の言葉「コップンカー/カップ」を伝えて、スマートに降りられます。この利便性は一度味わうと手放せなくなります。
- 高い安全性と安心感の提供
配車が確定すると、ドライバーの顔写真や名前、車両情報(車種・色・ナンバープレート)、さらにユーザーの評価が表示されます。どんな車に乗るのか、誰が運転するのかが事前にわかるのは非常に安心です。車両はリアルタイムでGPS追跡され、位置情報を家族や友人と共有できる機能もあります。万が一の際に備え、アプリには緊急ボタンも設置されています。
以上のような利点から、Grabはタイ旅行の快適さと安全性を大幅に向上させる「最強のパートナー」であることがよく理解できるでしょう。
【出発前の準備が肝心】日本で済ませておきたいGrabの登録手順
Grabの利便性を最大限に活かすためには、事前の準備が何より重要です。現地に到着してから焦って登録しようとすると、慣れない環境でのSMS認証に手間取ったり、Wi-Fiが不安定でアプリがうまくダウンロードできなかったりすることがあります。日本にいるうちに、落ち着いた環境で全ての設定を済ませておくことをおすすめします。
ステップ1:Grabアプリのダウンロード
まずは、お使いのスマートフォンにGrabアプリをインストールしましょう。以下のリンクから、または各ストアで「Grab」と検索してください。
- iPhone(App Store)の場合
- Android(Google Play)の場合
アプリは無料でダウンロードできます。インストール後、アイコンをタップして起動してみてください。カラフルで直感的な画面があなたを迎えます。
ステップ2:アカウント登録と電話番号のSMS認証
アプリを起動すると、アカウント登録を促されます。GoogleやFacebookのアカウントで登録も可能ですが、一番確実なのは電話番号での登録です。
- 登録方法の選択: 「Continue with Mobile Number」などの選択肢を選びます。
- 国コードと電話番号の入力: 日本の国コード「+81」を選択し、普段使っているスマートフォンの電話番号を入力します。このとき、電話番号の先頭の「0」を抜くのがポイントです。例として、「090-1234-5678」なら「9012345678」と入力してください。
- SMS認証: 入力した番号に4桁または6桁の認証コードがSMSで届きます。
- 認証コードの入力: 受信したコードをアプリの画面に入力しましょう。
- 名前とメールアドレスの入力: 最後に名前(ローマ字でOK)とメールアドレスを入力すれば登録が完了します。
このSMS認証は本人確認の大切なステップです。現地でSIMカードを差し替える予定の方も、最初に日本の電話番号で登録しておくことを強くおすすめします。SIMを差し替えた後も問題なくアプリを利用できます。
ステップ3:支払い方法(クレジットカード)の登録
アカウント登録が済んだら、次に支払い方法を設定しましょう。現金払いも可能ですが、クレジットカードを登録しておくと一層便利に使えます。
- メニュー画面へ: ホーム画面の下部にある「Account(アカウント)」や「Payment(支払い)」を見つけてタップします。
- 支払い方法の追加: 「Payment Methods」や「Add a Card」といった項目を選択してください。
- カード情報の入力: クレジットカード番号、有効期限、裏面のセキュリティコード(CVV)を入力します。カード名義はローマ字でカードに記載されている通りに入力しましょう。
- カード認証の手続き: 入力後にカード会社によっては3Dセキュアなどの本人認証が求められます。画面の案内に従ってパスワードなどを入力してください。
これでクレジットカードの登録が完了です。VISA、MasterCard、JCB、American Expressなど主要な国際ブランドのカードに対応しています。
【さくらのワンポイントアドバイス:旅行に持参するクレジットカード】 海外旅行では、紛失や盗難、磁気の不調に備えて異なる国際ブランドのカードを2枚以上持っていくのが鉄則です。Grabに登録するカードとは別に、予備のカードは別の場所に保管しておくと安心です。また、海外利用時にポイント還元率が高いカードもあるため、出発前にお手持ちのカードの特典も確認してみましょう。
これで日本での準備は完璧です。あなたはもう、タイの空港に降り立ったその瞬間から、スマートにGrabを使いこなせるはずです。
【実践編】タイでGrabを使ってみよう!配車から支払いまでの流れ
ついにタイに到着!さっそくGrabを利用して、空港からホテル、さらにホテルから観光スポットへ移動してみましょう。ここでは、最も基本的な配車サービスである「JustGrab」を例に、具体的な操作手順を丁寧にご紹介します。
基本の使い方!JustGrab(グラブカー)を呼ぶ方法
蒸し暑いバンコクの空気を感じながら、スマートフォンでGrabアプリを起動します。
- サービスの選択: ホーム画面には「Car」「Food」「Mart」など複数のサービスアイコンが並んでいます。まずは移動のために、「Car」や「Transport」をタップしてください。
- 目的地(Where to?)の入力: 次に「Where to?」の入力欄に行きたい場所を入れます。基本は英語ですが、有名なホテルや観光スポットであれば日本語でも候補が表示されることがあります。例えば「Siam Paragon」や「Wat Arun」と入力するといくつか候補が出るので、正しいものを選びましょう。もし目的地のタイ語表記がわかるなら、それをコピー&ペーストすると間違いが少ないです。
- 出発地(現在地)の確認: 目的地を設定したあとは、出発地の指定画面になります。スマートフォンのGPSがオンになっていれば、現在地が青いピンで自動表示されます。ただしGPSには若干の誤差があるため、地図を拡大してピンの位置が正確か必ずチェックしましょう。特に大通りのどちら側の車線か、建物のどの入り口前かといった細かな位置の調整が、ドライバーとのスムーズな待ち合わせのコツです。ピンをドラッグして、正確な乗車場所に合わせてください。
- 車種の選択と料金の確認: 出発地と目的地が決まると、利用可能な車種一覧とそれぞれの料金が表示されます。
- JustGrab: 最もスタンダードな選択肢。近くにいるGrab提携のタクシーや自家用車の中で、一番早く来られる車両が自動的に選ばれます。料金が手ごろで早く乗れるため、普段使いに最適です。
- GrabCar: Grabに登録された自家用車を呼べるサービス。
- GrabTaxi: メーター制のタクシーを呼べるサービス。料金はメーター料金に加え予約手数料がかかります。
- その他、GrabVan(大人数対応)、GrabSUV(荷物が多いとき)、GrabCar Premium(高級車)なども利用可能です。
今回は「JustGrab」を選びましょう。表示されている料金はここで確定した金額です。問題なければ画面下部の「Book JustGrab」ボタンをタップしてください。
- 配車の確定: ボタンを押すと近くのドライバーを検索し始めます。数秒から数十秒ほど待つと、ドライバーが見つかり、画面が切り替わります。
お疲れ様です!これで配車は完了です。
ドライバーと合流するためのポイント3つ
配車が決まると、アプリ画面にドライバーの情報と車の現在地が表示されます。この数分間がスムーズな乗車にかなり影響します。
- ポイント1:ドライバーと車両情報の必須確認
画面にはドライバーの顔写真と名前、迎えに来る車の車種、色、ナンバープレートが表示されます。車が近づいたら、この情報をしっかり確認して自分の車を特定しましょう。特にナンバープレートは、同じ車種・色の車がいる場合に識別する上で非常に重要です。間違えて別の車に乗るトラブルを避けるため、必ず確認してください。
- ポイント2:チャット機能を活用しよう
「本当にドライバーと会えるか不安…」というときはチャット機能を使いましょう。画面下のチャットアイコンをタップするとドライバーとメッセージのやり取りが可能です。 便利なのは翻訳機能付き定型文で、「I’m here.(ここにいます)」「What is your car number?(車の番号は?)」「OK, I will wait.(分かりました、待ちます)」など簡単な英語やタイ語がワンタップで送れます。もちろん自分で文章を入力することもでき、「I am wearing a red T-shirt.(赤いTシャツを着ています)」など、自分の服装を伝えるとドライバーが見つけやすくなります。
- ポイント3:指定されたピックアップポイントに必ず向かう
空港や大型ショッピングモール、駅などでは、Grab専用の乗車場所(Pick-up Point)が決められていることが多いです。配車確定時にアプリの地図上に「Pick-up Point」と表示されたら、必ずそこまで移動して待つようにしましょう。違う場所で待つとドライバーとすれ違い、キャンセルされる場合があります。
乗車中と降車後の流れ
無事ドライバーと合流し、本人確認(名前を伝えたり行き先を再確認するとスムーズ)を済ませたら、いよいよ乗車です。
- 乗車中: 車内ではリラックスして過ごせます。アプリ画面では目的地までのルートと到着予定時刻がリアルタイムで表示されるため、今どの辺を走っているか分かり安心です。タイのドライバーは陽気な方が多く、簡単な英語で話しかけてくる場合もあるので、気軽にコミュニケーションを楽しんでみましょう。高速道路(Highway/Expressway)を使うか尋ねられたときは、早く着きたいなら「Yes, please」と答えましょう。その際かかる高速料金はアプリの表示料金には含まれておらず、料金所でドライバーに現金で支払います(目安は25〜75バーツ程度)。
- 降車: 目的地に着いたら降りるだけです。
- クレジットカード払いの場合: 事前にカード登録が済んでいれば決済は自動で行われます。「Thank you」と伝えてそのまま降車してください。初めてだと少し驚くほどスムーズです。
- 現金払いの場合: アプリに表示された料金をドライバーに現金で支払います。お釣りが用意できない場合もあるので、なるべく細かいお札(例:20バーツや100バーツ札)を用意しておくと親切です。
- 評価とチップ: 降車後にはドライバーを評価する画面がアプリに出ます。星5段階で評価し、コメントも書けます。良いサービスを受けたと感じたら、星5つをつけることでドライバーのモチベーションアップやサービス向上に役立ちます。
また、チップを支払うかどうかも選択可能です。必須ではありませんが、特に親切な対応や重い荷物を運んでもらった場合は、20〜50バーツ程度のチップをアプリ経由で渡すと喜ばれます。
以上が、Grabを使った配車から降車までの全体の流れです。一度使ってみると、その簡単さと安心感から手放せなくなることでしょう。
用途に合わせて使い分け!Grabの多彩なサービスと車種一覧
Grabの魅力は、単に車を呼ぶだけにとどまりません。旅行中のさまざまなシーンに対応できる、驚くほど多彩なサービスが揃っています。ここでは、代表的なサービスと車種について詳しく解説します。状況に応じて上手に使い分けることで、タイ旅行がより快適で充実したものになるでしょう。
移動手段(Transport)の種類
- JustGrab(ジャストグラブ)
もっとも基本的で利用頻度の高いサービスです。近隣にいるタクシーもしくは自家用車の中から、最も早く到着できる車両が自動的に配車されます。料金は手頃で、とにかくすぐに移動したいときに最適です。
- GrabCar(グラブカー)
Grabに登録されている一般の自家用車が迎えに来るサービスです。JustGrabと比べて料金はほぼ同じか、若干高くなることがあります。車種が事前に確認できる点が特徴です。
- GrabCar Plus / Premium(グラブカー・プラス/プレミアム)
ゆったりとしたセダン(Plus)や高級車(Premium)が配車されるサービスです。料金は高めですが、記念日のディナーや大切な人との特別な移動にぴったり。乗り心地も良く、優雅な気分を味わえます。
- GrabVan(グラブバン)
トヨタのハイエースのような大型バンが配車され、6〜10名程度が乗車可能です。家族旅行や友人とのグループ移動、大きなスーツケースを持っているときに非常に便利です。
- GrabSUV(グラブSUV)
名前の通り、SUVタイプの車が配車されます。セダンより広くバンほど大きくはないため、4〜5人の移動やゴルフバッグなどの大きな荷物がある場合に適しています。
- GrabBike (Win)(グラブバイク・ウィン)
バンコクの名物であるバイクタクシー(タイ語でウィン・モータサイ)をアプリで呼べるサービスです。最大の魅力はそのスピード。世界的にも有名なバンコクの激しい渋滞を縫うようにすり抜け、迅速に目的地へ向かいます。スリル満点ですが、時間通りに移動したい際には最適です。乗車時は必ずヘルメットを着用し、安全面には十分配慮しましょう。料金が非常に安い反面、多くの荷物がある場合や雨天時は適していません。
- GrabTukTuk(グラブトゥクトゥク)
観光客に人気の三輪タクシー「トゥクトゥク」も、一部の観光エリア(バンコクのアソーク周辺やチェンマイなど)でGrabを通じて利用可能です。最大の利点は、乗る前に料金が確定しているため、面倒な値段交渉が不要なこと。安心して気軽にトゥクトゥク観光を楽しめます。
- GrabRodDaeng(グラブロッデーン)
主にチェンマイで利用できるサービスで、地元の乗り合いタクシー「ソンテウ」(赤い車体からロッデーンと呼ばれています)をチャーター可能です。決まったルートを走るソンテウを貸し切って、自分たちだけのオリジナル観光ルートを楽しめます。
移動だけじゃない!Grabの便利なサービス
Grabは移動手段の提供にとどまらず、旅行中の「ちょっと困った」を解決する多彩なサービスも揃っています。
- GrabFood(グラブフード)
タイ料理は本当に美味しいですが、「暑さで外に出るのが面倒」「ホテルの部屋でゆっくり食べたい」というときに役立つのがGrabFoodです。アプリで近隣のレストランから料理を選び注文すると、配達員が熱々のお料理を届けてくれます。名店からローカル屋台まで幅広く利用でき、写真付きメニューは言葉がわからなくても注文しやすいのが嬉しいポイント。深夜や早朝営業のお店も検索できるので、フライトの合間に利用するのにも便利です。
- GrabMart(グラブマート)
コンビニやスーパーからの買い物代行サービスです。飲み物やお菓子から日焼け止め、虫除けスプレーなどの生活必需品まで、必要なものをアプリで注文すれば概ね30分から1時間で届けてもらえます。急に体調を崩して薬が必要なときや、お土産の買い忘れにも役立つ便利なサービスです。
- GrabExpress(グラブエクスプレス)
書類や小包などを指定の場所へ迅速に届けるバイク便サービスです。旅行者が使うことはあまり多くないかもしれませんが、たとえば友人のホテルへ忘れ物を届けたい場合などに活用できます。
このように、Grabは単なる配車アプリの枠を超え、旅行のあらゆる場面で頼れる「ポケットの中のコンシェルジュ」のような存在と言えるでしょう。
【トラブル回避術】Grab利用時に知っておきたい注意点とQ&A
非常に便利なGrabですが、海外のサービスである以上、予想外のトラブルが起こる可能性は完全には否定できません。とはいえ、典型的な問題点とその解決策をあらかじめ把握しておけば、慌てずに落ち着いて対応できます。ここでは、私自身の体験や友人の話をもとに、具体的な回避法やQ&Aをお伝えします。
よくあるトラブルと対処方法
- トラブル1:ドライバーがなかなか到着しない、または一方的にキャンセルされる
比較的頻繁に見られるトラブルです。特に交通渋滞が激しい時間帯やエリアでは、ドライバーが目的地までたどり着けず、待てずにキャンセルしてしまうことがあります。
- 原因: 交通渋滞の激化、ドライバーが場所を特定できない、アプリの不具合など。
- 対処法: まずはアプリの地図でドライバーの現在地を確認しましょう。全く動いていない、あるいは逆方向に向かっている場合は、チャット機能で「Are you coming?(来ていますか?)」と尋ねて状況を確認します。それでも改善しないか急いでいる場合は、一旦自分からキャンセルして別の車を探すのが賢明です。
- キャンセル料金について: ドライバーが指定時刻を大幅に過ぎても到着しなかったり、ドライバー側からキャンセルされた場合は基本的にキャンセル料は発生しません。ただし、配車確定後にこちらの都合で短時間内(通常約5分程度)にキャンセルすると、少額のキャンセル料が請求されることがあるので注意してください。
- トラブル2:ドライバーと合流できない
空港や大型ショッピングモールなど、出入り口が多く人の多い場所で起こりやすい問題です。
- 原因: ピックアップ場所の指定が曖昧、GPSの誤差による位置ズレ、お互いに見つけられない。
- 対処法: まず落ち着いて、チャットで自分のいる場所の目印(例:「I’m in front of the 7-Eleven.」)を具体的に伝え、服装なども教えると効果的です。それでも見つけられない場合は、アプリからドライバーに電話をかけることも可能ですが(通話料がかかる場合あり)、周囲のわかりやすいランドマークや大きな建物まで移動して、再度場所を伝える方法も有効です。
- トラブル3:高速道路の料金を請求された
「アプリで表示された料金以外に追加料金があるの?」と驚くかもしれませんが、これは正式な請求でありトラブルではありません。
- ルール: タイのGrabでは、高速道路(エクスプレスウェイ)の通行料は基本的にアプリの料金に含まれていません。
- 対応方法: 乗車中にドライバーから「Use highway?」と尋ねられることがあります。意味は「高速道路を使いますか?(料金は別途ですが、より早く到着します)」ということです。混雑を避けたい場合は「Yes, please」と答えましょう。料金所通過時にドライバーが立て替えるか、現金で請求されます。料金は区間によって異なりますが、おおむね25〜75バーツ程度です。降車時にアプリの料金に加えて現金で支払うのが一般的です。
- トラブル4:車内に忘れ物をした!
旅先での忘れ物は焦るものですが、Grabなら対処できる可能性が高いです。
- 対処法: まずGrabアプリの「Activity(履歴)」から対象の乗車履歴を探しましょう。その画面からドライバーに直接電話やメッセージを送る機能があります(乗車後一定時間内のみ)。まずはこれを利用して連絡を取ってみてください。
- 連絡がつかない場合: ドライバーと連絡が取れない場合は、乗車履歴の詳細にある「Help Centre(ヘルプセンター)」から忘れ物の報告を行いましょう。Grabのサポートチームが間に入り、ドライバーへ連絡を試みます。忘れ物が見つかれば、受け渡し方法などを調整します。諦めず速やかに連絡を取ることが重要です。
- トラブル5:アプリの料金と異なる金額を請求された
通常は起こりにくいですが、万が一、降車時にアプリの表示額より高額を現金で要求された場合の対応方法です。
- 原因: 高速道路料金、空港の乗り入れ料(約50バーツ)、または5分以上待機した場合の待機料金などが加算されている可能性があります。
- 対処法: まず冷静に「What is this for?(これは何の料金ですか?)」と内訳を確認しましょう。正当な理由があれば支払います。身に覚えのない不当な請求だと感じた場合は、支払う必要はありません。「No, the price is on the app.(いいえ、料金はアプリの通りです)」とはっきり伝え、その場で解決しない場合はアプリのヘルプセンターへ報告する姿勢を示しましょう。多くは合理的な説明があるか、ドライバーの勘違いであることがほとんどです。
Grab利用に関するQ&A
- Q. 現金での支払いは可能ですか?
A. はい、可能です。配車リクエストの際に支払い方法を選ぶ画面で「Cash(現金)」を選択できます。ただし、ドライバーがお釣りを持っていない場合もあるため、小銭を用意しておくことをおすすめします。利便性や安全面を考慮すると、やはりクレジットカード払いが断然便利です。
- Q. 空港から市内までの移動にも使えますか?
A. はい、もちろん利用できます。スワンナプーム国際空港(BKK)やドンムアン空港(DMK)どちらでもGrabは非常に便利です。ただし、空港ごとに公式のピックアップポイントがあります。
- スワンナプーム空港: 到着ロビー1階の4番ゲート付近が一般的な待ち合わせ場所です。アプリの指示に従ってください。
- ドンムアン空港: 到着ロビーの指定された柱番号(例:Gate 5)周辺がピックアップポイントです。
空港の無料Wi-Fiを活用し、指定エリアで待つようにしましょう。
- Q. 複数の経由地を設定したい場合はどうすればいいですか?
A. Grabには経由地を追加する機能があります。目的地入力画面で「+」ボタンを押すと、複数の停車場所(Stop)を設定可能です。例えば、友人をホテルでピックアップしてからレストランに向かうときに便利です。ただし、経由地を加える分、料金は高くなりますので注意してください。
- Q. 事前予約は可能ですか?
A. はい、「Advance Booking」という機能で希望日時に配車予約ができます。早朝のフライトに向かう場合など、確実に車を確保したい時に便利です。ただし、予約には別途手数料がかかります。
- Q. チップは渡すべきですか?
A. タイでは厳密なチップの習慣はありませんので、基本的には不要です。しかし、ドライバーが非常に親切だったり、重い荷物を積み下ろししてくれたりした場合は、感謝の気持ちを示すと喜ばれます。降車後にアプリから送るか、現金で20〜50バーツ程度を「Thank you」と添えて渡すのがスマートです。
Grabだけじゃない!タイの主要な配車アプリ比較
Grabはタイで最も広く利用されている配車アプリですが、ほかにもいくつかの選択肢があります。複数のアプリをスマートフォンにインストールし、状況に応じて使い分ければ、よりお得かつ確実に移動が可能です。
Bolt(ボルト)
エストニア発の配車アプリで、ヨーロッパやアフリカを中心に急速に拡大しており、タイでも利用者が増加しています。
- 特徴: 最大の魅力は料金の安さで、同じ区間でもGrabより10%〜30%ほど低価格に設定されていることが多いです。交通費を節約したい旅行者にとっては非常に魅力的な選択肢と言えます。
- デメリット: Grabと比べて登録ドライバー数がまだ少ないため、特にバンコク中心部から離れたエリアや早朝・深夜の時間帯では、車両が見つかりにくいケースがあります。また、現金払いのみ対応のドライバーが多い点も特徴です。
- 使い分け: 時間に余裕があり、少しでも安く移動したい場合はBoltでまず検索し、車両が見つからなければ即Grabに切り替えるのが賢い使い方です。
inDrive(インドライブ)
ロシア発のユニークな配車アプリで、他とは全く異なる料金交渉型のシステムを採用しています。
- 特徴: 乗客が「この区間を〇〇バーツで移動したい」と希望価格を提示し、その価格に合意したドライバーと直接交渉する方式です。複数のドライバーから「その価格で行ける」「もう少し上げてほしい」などの返答が届き、最も条件が良いドライバーを選べます。
- 使い方と交渉のポイント: まずはGrabやBoltで同じ区間の相場を確認し、それより少し低めの価格でオファーを出してみましょう。あまりに低すぎる価格だと返信が得られない場合があります。
- メリット・デメリット: 交渉次第で最安料金で移動できる可能性がある一方で、交渉に時間がかかることやドライバーの品質にばらつきがあること、現金払いのみ対応していることがデメリットです。時間に余裕があり、ローカル感を楽しみたい上級者向けのアプリといえます。
MuvMi(ムーブミー)
タイのスタートアップが提供する電動トゥクトゥクのシェアリングサービスです。
- 特徴: 環境に優しい電動トゥクトゥクを使い、指定したエリア内で乗り合いによる格安移動が可能です。アプリで目的地を入力すると、最寄りの乗降ポイントが表示され、そこで待つとMuvMiが迎えに来ます。
- 利用エリア: 現在はバンコクのスクンビット、シーロム、王宮周辺のラタナコーシンなど主要エリアで利用可能です。
- 使い分け: BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)の駅から少し離れた目的地への「ラストワンマイル」移動に特に便利で、一人旅で短距離を素早く移動したい時におすすめです。
これらのアプリを上手に使いこなせば、あなたはタイの交通マスター。どんな状況でもスマートかつ効率的に移動できるでしょう。
タイの交通事情を理解して、もっと快適な旅を
最後に、Grabを使いこなすうえで知っておくと便利な、タイ、特にバンコクの交通事情についてご紹介します。この国の交通文化を少しでも理解しておくと、移動の計画が立てやすくなり、ストレスを減らす助けとなります。
バンコクの交通渋滞は、世界的にも非常に深刻な問題です。オランダの交通情報サービスTomTomの調査によれば、バンコクは常に世界の渋滞都市ランキングの上位に名を連ねています。特に朝夕のラッシュアワー(おおよそ朝7時から9時、夕方16時から19時頃)は、その渋滞の酷さが際立ちます。この時間帯にGrabで車を呼ぶと、通常よりも2倍以上の時間を要することも珍しくありません。
この渋滞を賢く回避するためのポイントは以下の通りです。
- ラッシュアワーの移動を避ける: 可能ならば、この時間帯の車移動は避け、スパでゆったり過ごしたり、カフェで休憩したりする時間に充てるのがおすすめです。
- 公共交通機関との併用: バンコク市内を縦横に走る高架鉄道「BTS(スカイトレイン)」や地下鉄「MRT」は、渋滞の影響を受けずに移動できる非常に優秀な手段です。まずBTSやMRTで目的地の近くまで移動し、そこからGrabを利用して最終目的地まで向かう「ハイブリッド移動」が、時間も費用も節約できる最も効率的な方法です。
- GrabBikeの活用: 先述のとおり、渋滞の間をすり抜けることができるGrabBikeは、時間が限られているときに非常に有効です。ただし、その速さとスリルゆえに、安全面には常に注意が必要です。
タイで車を利用する際には、日本の交通ルールとの差異にも気をつけてください。シートベルトの着用は後部座席も含めて義務付けられており、安全のため必ず装着しましょう。また、在タイ日本国大使館も警鐘を鳴らしているように、タイは交通事故が非常に多い国のひとつです。信頼できるGrabのようなサービスの利用は、旅行者の安全を確保するうえで重要です。
Grabという便利なツールを手に入れた今、タイの交通事情を怖がる必要はありません。事前に料金や所要時間を確認し、公共交通機関と上手に組み合わせて活用し、なにより安全を最優先に考える。この心得さえあれば、タイでの移動はこれまでになく快適で自由なものになるでしょう。
それでは、準備は完了です。Grabアプリを片手に、微笑みの国タイの魅力を心ゆくまで味わってください。きっと忘れられない素晴らしい旅があなたを待っています。

